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カテゴリー「SSW/フォーク」の記事

2025年1月 6日 (月)

ブラックホーク99選に選ばれている日本人の作品を改めて聞く。

99

私をSSWやアメリカン・ロックの世界に誘うガイドとなったのが「ブラックホークの99選」だったということは,何度もこのブログに書いてきたが,その99選に選ばれた日本人の作品4枚については一切触れたことがない。荒井由実の「ひこうき雲」はさておき,選出されているあがた森魚も岡林信康も雪村いづみも,それらのアルバムは聞いたこともなかったからだ。しかしストリーミングで聞けるものは聞けばいいが,岡林信康の「金色のライオン」だけはストリーミングで聞けないということもあり,何を血迷ったか(笑),これらのアルバムをまとめて購入したのであった。

これらのアルバムにはあがた森魚と岡林信康が松本隆プロデュース,荒井由実と雪村いづみがキャラメル・ママが伴奏という共通点があることを今更ながら知った私であった。結局のところははっぴいえんど関係者の関与ってことになる。それぞれのアルバムにはそれぞれの面白さがあるとは思うのだが,私としては私が抱いているブラックホークの99選の,特にアメリカ系のアルバム群とはどうもテイストの違いを感じてしまって,少々戸惑ったというのが正直なところだ。これが当時のブラックホークの客にどう捉えられていたのかは非常に興味深いが,「ひこうき雲」以外の3枚で,私が一番面白いと思ったのはあがた森魚の「噫無常」かもしれないな。

しかし,改めてこれらのアルバムを聞いていると,やはり私の音楽に関するアメリカ指向の強さを改めて感じたというのが正直なところ。これもまぁ勉強だ(笑)。

2024年12月28日 (土)

2024年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外)

2024-best-albums1

いよいよ年の瀬も押し詰まってきたので,今年の回顧も音楽編に突入である。今回はジャズ以外でよかったと思うアルバムを取り上げたいが,正直言って,新譜の購入枚数は減る一方なので,ストリーミングも利用しながら聞いた今年の新譜で私がよかったと思うものを挙げたい。最近はジャンルも越境している場合が多いので,どこまでをジャズ以外とするかは難しい。また,今年は発掘盤にいいものが多く,それを新譜として捉えていいのかは議論があるのを承知で,純粋新譜に発掘盤を交えて挙げることにしよう。

今年の前半で最も興奮させられたのがBrittany Howardの"What Now"であった。この人の作り出すサウンドは私の嗜好にばっちり合ってしまっており,今回も文句のつけようがないと思わされたナイスなアルバムであった。

そして,Brittany Howardとは全然音楽のタイプが異なるのに,私がずっぽしはまってしまったのが Arooj Aftabの"Night Reign"であった。彼女がVijay Iyer,Shahzad Ismailyと組んで作り上げた"Love in Exile"も昨年のベスト作の一枚に挙げた私だが,それを凌駕したと言ってもよい本作の魅力は,Arooj Aftabの声そのものだったと言いたい。

2月の来日公演も素晴らしかったMeshell Ndegeocelloの"No More Water: The Gospel of James Baldwin"も印象に残るアルバムであった。まぁ今回はコンセプト・アルバムと言ってよいものなので,彼女らしいファンク度は控えめではあるが,やはりこの人の作り出す音楽の質の高さが素晴らしい。ライブと併せて高く評価したい。

Laura Marlingも確実に期待に応えてくれる人だが,"Patterns in Repeat"にも裏切られることはなかった。パーソナルな響きの中で紡ぎ出されるメロディ・ラインが素晴らしい。ライブで観てみたい人だが,日本に来る様子がないのは残念だ。本作を聞きながらLaura Nyroの"Mother’s Spiritual"を思い出していた私であった。

発掘音源では何と言ってもJoni Mitchellである。Asylum後期の貴重な音源を集めた"Archives Volume 4: The Asylum Years (1976-1980)"こそ,今年最も私が興奮させられた音源だったと言っても過言ではない。マジでたまらない音源ばかりが収められたまさにお宝ボックスであった。

最後に現代音楽畑から,高橋アキの「佐藤聰明:橋」を挙げたい。リリースは23年なので,今年のベスト作と言うには遅きに失したのだが,昨年後半のリリースだったから,敢えてここにも挙げさせてもらう。

ということで,聞いたアルバムの枚数なんて知れたものなのだが,今年もいいアルバムに出会うことができたと思う。

2024年11月30日 (土)

Nick Drakeの遺作。沁みるねぇ。

_20241123_0001 "Pink Moon" Nick Drake(Island)

わずか3枚のアルバムを残してこの世を去ったNick Drakeだが,生前はうつ病に悩まされる中,最終作(遺作)として残したアルバムが本作である。わずか28分という短い収録時間ではあるが,紛うことなきNick Drakeのメロディ・ラインが聞かれる。

私にとってNick Drakeの音楽への入口はBrad Mehldauだった。Brad Mehldauが"River Man", "Day Is Done",更には"Time Has Told Me"のような曲を取り上げるのは,今にして思えば,Nick Drakeの紡ぐメロディに,Brad Mehldauの音楽との同質性があったがゆえだと思えてくる。Brad MehldauはNick Drakeの音楽にシンパシーを感じていたはずなのだ。

前2作と異なり,ここではNick Drakeのギターの弾き語り(タイトル・トラックだけピアノがオーヴァーダビングされる)で歌われるが,こうしたスタイルにより,Nick Drakeの心象がよりストレートに出たのではないかと思える。生前,Nick Drakeのアルバムはちっとも売れなかったようだが,それでもその後の評価はうなぎ上りであり,極めて強い影響力を持つミュージシャンとして認識されているが,黄泉の世界でNick Drakeはそれをどう思うか。

本作のエンジニアリング(及び実質的プロデューサー)を務めたJohn Woodは本作について「剝き出しの魂を見ているような気がした」と語っているが,まさにそういう音楽である。決して気楽に聞ける音楽ではないが,実に深い音楽であり,ちゃんと相対しなければならないと感じさせる。星★★★★★。

Personnel: Nick Drake(vo, g, p)

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2024年11月24日 (日)

Bonnie Raittの2ndアルバム:これもブラックホーク99選だ。

_20241121_0001 "Give It Up" Bonnie Raitt (Warner Brothers)

私はこのアルバムを以前はアナログ・レコードで保有していたのだが,いつの間にやら中古で売り払ってしまったものの,やっぱり聞きたくなって改めてCDで買い直すというアホなパターンを繰り返したもの。

このアルバムはBonnie Raittの最高傑作とも言われるし,主題の通り,ブラックホークの99選の1枚でもある。リリース当時は決して売れた訳ではなく,後のCapitolレーベル移籍後の大ヒットなんて想像もできない時代のアルバムであった。久しぶりにこのアルバムを聞いて,何でこれを中古に出してしまったのかを考えた時,一部で聞かれるデキシーランドあるいはニューオリンズ・スタイルの伴奏が好みじゃないと感じたのではないかと思えた。だが,それは一部に限られていたのであって,私もまだまだ修行がたりなかったなんて思ってしまう。

例えばChris Smitherが書いたシンプルなブルーズである"Love Me Like a Man"なんて痺れるし,Jackson Browneの"Under the Fa,ily Sky"や最後を締める”Love Has No Pride"のようにナイスな選曲に満ちたアルバムであることに改めて気づく。そう言えば本作にも収められた"Too Long at the Fair"を書いたJoel Zossのアルバムも以前は持っていたが,売っちゃったなぁなんてことも思い出してしまうのだ。

プロデュースをしているのがMichael Cuscunaであるが,後にジャズ界で重要なポジションを占めることになるMichael Cuscunaはこの当時,Eric Justin Kazの大傑作"If You’re Lonely"もプロデュースしていたから,ウッドストック系のナイスなプロデューサーだったということになる。それもあって,このアルバムにもウッドストック系のミュージシャンが数多く参加していて,その筋の音楽ファンはクレジットを見ているだけで嬉しくなってしまうのだ。Amos Garrettも1曲だけ参加しているが,トロンボーンってのは...ではあるが。

私としてはやはり好みと好みでない曲が分かれるところはあるものの,やはりこれはよくできたアルバムであったという完全な温故知新モード。星★★★★☆。

Personnel: Bonnie Raitt(vo, g), Jack Viertel(g), John Hall(g, vo), T.J. Tindall(g), Kal David(g), Lou Terriciano(p), Eric Kaz(p, vib), Mark Jordan(p, vib), Merl Saunders(p), Dave Holland(b), Freebo(b, tuba), Chris Parker(ds), Wells Kely(ds, conga, vo), Dennis Whitted(ds), Paul Butterfield(harp), John Payne(ts, ss, cl), Marty Grebb(ts, as), Terry Eaton(ts), Peter Eckland(cor), Amos Garrett(tb), Gene Stashuk(cello), Jackie Lomax(vo), Tim Moore(vo)

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2024年11月15日 (金)

"Batteaux":そう言えばこういうのも保有していた。

_20241112_0002"Batteaux" Batteaux (Columbia)

先日,クロゼットにしまい込んであったCDをアルファベット順に並び替えて,随分整理ができたと思っている。そうすると,今まではクロゼットで全く整理されていなかったアルバムにも手が伸びる機会が増える訳だ。このアルバムも保有していたことは記憶にあっても,いかんせん奥まった場所にしまい込んでいたものだから,プレイバックするのはいつ以来かもわからない。そもそもなんでこのアルバムを購入する気になったのかも記憶が曖昧だが,このジャケだけは印象に残っていた。

これはRobinとDavid Batteauの兄弟バンドによる1973年の唯一のアルバム。フォーク的なサウンドで,CSN&Yのように感じさせる部分もあれば,少々ソウル的に響く曲もあるというアルバムだが,久しぶりに聞いてみると,これがなかなかよかった。メジャーのColumbiaから出ているのだから,それなりに期待も大きかったのではないかと思うが,商業的には成功したという話は聞いたことはない(きっぱり)。兄貴のRobin Batteauが参加したCompton and Batteauの"In California"は昔LPでリリースされたことは知っていても,聞いたことはなかったから,私にはこのアルバムを聞くまでは全く無縁の人たちであった。

だが,このアルバムを聞くとなかなかいい曲を書く人たちだったということはわかる。特に弟のDavid Batteauは職業作曲家として,いろんな人に曲を提供しているからそれも納得って感じだ。近いところではMadeleine Peyrouxにも曲を提供しているらしいから,へぇ~って感じだ。まぁ私が無知なだけだが...。

いずれにしても,このソフト・ロック的なサウンドは,リリースから半世紀を経た現在でも魅力的に響く部分もあり,いい温故知新となった。ちょいと甘めの星★★★★。

Personnel: David Batteau(vo, g, melodica, cello), Robin Batteau(vo, vln, g), Peter Freiberger(b), Doug McClaran(key), Andy Newmark(ds), John Guerin(ds), Milt Holland(perc), Tom Scott(fl, reed), Robin Lane(vo), Jackie Ward(vo), Sally Stevens(vo), Shelby Flint(vo)

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2024年11月 9日 (土)

ストリーミングで聞いたStephen Stillsのライブ盤。

Stephen-stills"Live at Berkeley 1971" Stephen Stills(Omnivore)

ストリーミングで音楽を聞いていると,こんな音源があったのかぁなんてことに気づいて,聞いてみようって気になることは結構ある。先日,CSN&Yの1969のライブ音源がリリースされたこともあって,この音源が推奨されたのかもしれないが,Stephen Stillsの1971年のライブが昨年発掘されていたようだ。

Stephen Stillsにはそのものずばり"Live"というライブ盤が存在する。私は大昔,そのアルバムをLPで保有していたが,どうもピンとこなくて,早々に売り払ってしまった。そのアルバムもアコースティックとエレクトリックのセットを収めたものだったと記憶しているが,圧倒的にアコースティック・セットの方がよかったと当時は感じていたはずだ。これは私がStephen Stillsのアコースティック・ギターの腕が素晴らしいと思っているからにほかならないが,この発掘音源ではバンド紹介を除けば14曲収録されているが,アコースティックが10曲なのが私としては嬉しかった。David Crosbyも2曲でゲスト参加しているのは想定内ではあっても付加価値としては認められる。まぁそうは言っても"Love the One You with"をJoe Lalaのパーカッションとのデュオでやるのはちょっとなぁ...という感じではあったりするが(笑)。

しかし,このアルバムのエレクトリックでの演奏にはMemphis Hornsが加わって,少々ソウルフルな味付けもあってなかなか面白かった。そんなこともあって,ついでに"Live"もストリーミングで聞いてみたのだが,以前ほど印象は悪くなかったのには笑ってしまった。「噂の男」とかを歌っていたことなんて完全に失念していたが,そうした印象の変化は私の加齢による経験値のアップによるものかもしれないし,まだまだ私も若造の頃と趣味も変わってきたということかもしれない。今聞くと,アコースティック・セットはそれほどいいってほどでもないしなぁ。まぁ当時はManasasやStillsのソロ・アルバムも聞いたことがなかったのだから,Stephen Stillsの魅力は"4 Way Street"からしか感じていなかったという状態では仕方あるまいってこともある。それでもStephen Stillsのソロ・アルバムで最も優れているのは1stだということからしても,この人のソロ・キャリアには限界があったとは思う。

こうした発掘音源に今どれほどの人が反応するかはわからないとしても,この手の音楽好きならばそこそこは楽しめるアルバムだと思う。

Recorded Live at the Berkeley Community Theater in Berkeley, CA, on August 20 and 21, 1971

Personnel: Stephen Stills(vo, g, p), Dallas Taylor(ds), Calvin "Fuzzy" Samuels(b), Paul Harris(key), Steve Fromholz(g), Joe Lala(perc) with Memphis Horns and David Crosby(vo)

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2024年10月31日 (木)

Laura Marlingの新作は母性と死生観に満ちたアルバムと言ってよい傑作。

Laura-marling-patterns-in-repeat"Patterns in Repeat" Laura Marling (Chrysalis)

Laura Marlingは極めて高いレベルの音楽を届け続ける人だ。彼女がリリースするアルバムには常に高い評価を与えてきた私だが,この新作も実に素晴らしい。エレ・ポップ的なLumpとしての"Animal"をはさんで,"Song for Our Daughter"以来約4年半ぶりにリリースされたこのアルバムには,彼女の出産が色濃く反映している。ストレートに子供に向けた歌もある一方,人生には「死」による別れが付きものであることをうかがわせる曲もあり,そうした死生観も反映したアルバムは極めて内省的な響きであるが,リスナーを感動させるに十分な作品だ。

ドラムスもベースもほとんど入らない編成での音楽は非常にパーソナルな響きを持たせる印象があるが,紡ぎ出されるメロディ・ラインが素晴らしい。これが現代のリスナーにどのように受け入れられるのかはわからないが,ちゃらちゃらしたところのない純粋に優れた音楽に接する喜びすら私は感じる。そもそもLaura Marlingの歌と演奏自体は彼女の家での宅録が中心なところも,落ち着いた印象を与える理由とは思う。それにしてもこの落ち着きに満ちた音楽には,母となったLaura Marlingの強さも感じさせるメッセージに満ちていると言ってもよい。

母性と言えば同じLauraでもLaura Nyroの"Mother’s Spiritual"を思い出しつつ,このアルバムを聞いていた私である。Laura Marling,やはり素晴らしいミュージシャンである。また彼女が生み出した傑作と評価したい。星★★★★★。

Personnel: Laura Marling(vo, g, b, p, el-p, synth), Maudie Marling(vo), Buck Meek(vo), Nick Pini(b), Dom Monks(synth-b, ds, perc, bazzouki), Katt Newlon(cello), Rob Moose(vln, vla), Harry Fausing-Smith(vln), Henry Rankin(vln),  Fred Wordsworth(horn)

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2024年10月29日 (火)

音楽シーズン突入ということで,注目のアルバムが届く:まずはCSN&Yのライブ音源から。

Csny"Live at Fillmore East, 1969" Crosby, Stills, Nash & Young (Rhino)

秋から冬にかけては音楽シーズンということもあり,注目すべきアルバムもリリースされている。今回取り上げるのはCSN&Yの1969年のライブ音源である。以前,このブログにも書いたが,私がSSWやアメリカン・ロックの世界に強く惹かれたのは彼らの"4 Way Street"が契機だったこともあり,彼らの音源がリリースされるとあっては,これは見逃せない。しかも1969年と言えば,"Déjà Vu"リリース前ということであり,かなり早い時期での4人でのライブ音源ということになるから,更にどういうことになっていたのかが興味深い。"Déjà Vu"前ということでは,既にWoodstockでのライブ音源が公開されているので,あっちも改めて聞いてみなければ...。でも35枚組ボックスはでかいわ,取り出しにくいわという難点があって,全然聞いていないのだ(爆)。宝の持ち腐れだ。

それでもって,今回リリースの音源を早速聞いてみると,半世紀以上前の古い録音にしては随分音がまともに聞こえるのはテクノロジーのおかげって気もする。その一方で,冒頭はお馴染みの"Suite: Judy Blue Eyes"からだが,どうもハーモニーが彼らにしては少々粗く感じられる。そのほかの曲にしても特にアコースティック・セットでそうした感触が強い。今にして思えば"4 Way Street"は多少なりともお化粧直しをしていたかもしれないという気もするが,逆にこれがリアルだったのかもなぁという感覚は強かった。まぁこの頃はレパートリーも固まっていない頃だから,試行錯誤的なところもあったのかもしれない。そんな中で,長尺で演じられる"Down by the River"が本作のハイライトかもなぁ。やっぱりNeil Youngの存在感は強烈だ。

いずれにしてもCSN&Yの若々しい声を今聞けるだけでも価値はある。リリースされただけでも喜ぶべきということで,ついつい評価も甘くなり星★★★★☆。

Recorded on September 20, 1969

Personnel: David Crosby(vo, g), Stephen Stills(vo, g), Graham Nash(vo, g), Neil Young(vo, g, org), Greg Reeves(b), Dallas Taylor(ds)

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2024年10月23日 (水)

ようやく到着:Joni MitchellのArchive Boxシリーズ第4弾。最高だ!

Jm-archives-4 "Archives Volume 4: The Asylum Years (1976-1980)" Joni Mitchell (Rhino)

<ボックスの収録内容をチェックし,一部記事を改訂しました。>

輸入盤は少し前にリリースされていながら,私が発注していたのが国内仕様だったので,少々到着が遅れたがようやくデリバリーされた。丁度Joni MitchellがHollywood Bowlで再度Joni Jamをやった時期と合致してしまうのも何かの縁か。

私にとってはJoni Mitchellの最高傑作は"Hejira"だと思っている(決して"Blue"を否定しているのではない)ので,このボックスに収められたAsylumレーベルの時代のアーカイブはまさに待望だったと言ってもよい。だが,本当の意味でのこのアーカイブへの期待は何だったかと言うと,"Mingus"のリハーサル的に行われていたリリース版とは異なるジャズ・ミュージシャンたちとの共演だったと言ってもよい。それに加えて,ライブ盤"Shadows And Light"のメンツによる別ヴァージョンの音源も期待値が高かった。そして届いた音源はその期待には十分応えるものだったと言ってよい。

CD6枚組というヴォリュームの中でディスク1の途中までと,ディスク3の一部はRolling Thunder Revueの音源から構成されている。これらの音源はBob DylanのRolling Thunderボックスにも含まれていないものばかりなので超貴重だ。ディスク1後半~ディスク2が76年の米国ツアーのライブ音源,ディスク3が"Hejira"のデモ音源が中心,ディスク4以降が上述の"Mingus"+"Shadows And Light"関係の音源となる。"Don Juan's Reckless Daughter"関連の音源が2曲のみなのはちょいと不思議。ライブ音源に関してはブートレッグで公開済みのものもあるが,大したことはないとは言え,当然音はこっちの方がいい。"Shadows And Light"の別テイク版はForest Hills Tennis Stadiumの音源が24曲に渡って収録されているから,これはほぼフル・コンサート音源だろう。

そもそもこのForest Hillsという響きが私の郷愁を刺激する。実は私がNYCに在住していた頃に住んでいたのが,まさにこのForest Hillsなのだ。このスタジアムには直接行ったことはないが,近所はチャリンコで何度も通過しているはずだ。そんなノスタルジーを刺激する音源に加えて,やはり気になるのが"Mingus"のデモ音源だ。特に"Early Alternate Version"は"Mingus"のジャケットにも記されていたメンツによるセッションの模様であり,これが実に刺激的なメンツなのだ。だってクレジットされているのはEddie Gomez, Phil Woods, Gerry Mulligan, John McLaughlin, Jan Hammer, Stanley Clarke, John Guerin, Tony Williams, Don Alias, そしてEmil Richardsなのだ。どんな演奏がされているかワクワクしてしまうのも無理ないのだ(きっぱり)。

ということで,音を聞かずともこれほど興奮させてくれる音源はそうそうない。ここ暫くはこれだけ聞いていれば十分だって気もしてくる最高のボックス・セットだ。もうこれは無条件に星★★★★★。私はディスク4から聞いているが,もはや興奮状態だ。

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2024年9月23日 (月)

改めてJ.D. Southerを偲んで,彼の1stアルバムを聞く。

_20240919_0001"John David Souther" (Asylum)

先日亡くなったJ.D. Southerは6番目のEaglesと言われたぐらい,Eaglesとは縁の深い人であった。もともとGlenn Freyとバンドを組んでいたのだから当たり前と言えば当たり前だが,長きに渡ってEaglesの曲への貢献も果たしてきた人であった。そんなJ.D. Southerの最初のソロ・アルバムはEagles的なカントリー・ロック・フレイヴァーに溢れた作品である。

このアルバムが出たのが1972年であるから,もう半世紀以上前の作品であることを考えれば,時代を感じさせるのは仕方ないとしても,その時代感が私たちの世代には懐かしく響くのである。しかも聞こえてくるのはJ.D. Southerな瑞々しい声なのだ。本作に収められた曲は少々地味という気もするが,それでもいい曲を書き,いい声で歌う優れたシンガー・ソングライターであった。

尚,CDのクレジットによれば,バック・コーラスを含めて,全てJ.D. Southerが歌っているように見える。普通ならここにゲスト・ヴォーカルを迎えるのが,ウエスト・コーストのアルバムではよくあるところなのだが,このクレジットが本当なら結構珍しいと思う。

改めてR.I.P.

Personnel: John David Souther(vo, g, p, b), Ned Doheny(g), Glenn Frey(g), Wayne Perkins(g), David Jackson(p, b), Bryan Garofalo(b), Mike Bowden(b), Gary Mallaber(ds, p, vib), Mickey McGee(ds), John Barbarta(ds), Gib Guilbeau(fiddle), Joel Tepp(harp)

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