2025年7月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
フォト
無料ブログはココログ

カテゴリー「SSW/フォーク」の記事

2025年5月24日 (土)

Laura Marlingの"Patterns in Repeat"のDeluxe Edition現る。

Laura-marling-patterns-in-repeat-deluxe "Patterns in Repeat (Deluxe)" Laura Marling(Chrysalis) 

昨年リリースされたLaura Marlingの"Patterns in Repeat"は相変わらずの素晴らしいアルバムで,私は昨年のベスト作の一枚に選んでいる(アルバムに関する記事はこちら)。その"Patterns in Repeat"のDeluxe Editionにストリーミングで公開されていた。今のところ,媒体でのリリースはないようだが,これがまた注目すべきものだった。

ストリーミング・サイトでも2枚組扱いとなっていて,Disc 1は昨年リリースされたものと同じだが,今回付加されたのがDisc 2の同作をライブで再現した音源である。基本的にはオリジナルを踏襲した作りとなっていて,非常にインティメイトな感覚に溢れた音となっている。基本はLaura Marlingの弾き語りで,一部ストリングスとコーラスが入る。元々映像化も考えられていたもののようで,YouTube上にこの時の模様がアップされているので,全体像を把握するには映像を観る方がいいかもしれない。

私としてはこの演奏についてもほぼ満足しているのだが,一点だけ難点があると思っている。それは女性コーラス隊の質だ。どうもこのコーラス隊の歌いっぷりが私には気に入らない部分がある。音の乱れのようなものが感じられて,Marlingの歌唱をサポートすべきものが,むしろ邪魔にさえ感じさせるのだ。これは私の一聴した感覚なので,改めて映像でもチェックしようとは思うが,映像でもわかるのだが,ステージも親密度を上げた折角のライブだけに,このコーラスのやや貧弱とも思える歌いっぷりはもったいなかったという気がする。

まぁそれでもLaura Marlingのファンの私としては,こういう音源や映像が出てくるだけでよしとしようと思う。ついでにこのライブの映像も貼り付けておこう。

Recorded Live at the Albert Hall, Manchester on March 6, 2025

Personnel: Laura Marling(vo, g) with Strings and Chorus

2025年5月17日 (土)

Wayne Krantzに何があったのか...。新作は驚きの弾き語りアルバム。

Player-songwriter "Player-Songwriter" Wayne Krantz(自主制作盤?)

ストリーミング・サイトを見ていたら突然ニュー・リリースとして表示されたWayne Krantzの新作。Wayne Krantzのひとかたならぬファンとしては,媒体での入手必須ということで,Bandcampで早速発注したのだが,現物はこれから届くとしても,ダウンロードした音源を聞いてびっくりしてしまった。これが一部を除いて全編がWayne Krantzのギター弾き語りなのだ。確かにBandcampのサイトにも"WK plays electric guitar, sings, taps his foot. There's a loop on one song. No bassists, drummers, keyboardists or saxophonists were harmed during the making of this record."と書いてあるのを後から確認したが,一体これはどうしたことか。

歌に関しては本人も"minimal vocal ability"なんて自虐的に書いている通り,所謂「ヘタウマ」の域を出ないと思うが,Wayne Krantzにとってはテーマとしては「作詞」の方が重かったようだ。Wayne Krantzが敢えてこのアルバムをリリースしたのは,"Howie 61"における作詞の部分に納得がいっていなかったところが大きいようだが,それにしてもである。ここでの音楽がWayne Krantzの本来の音楽性にフィットしているかと言えば少々疑問はあるが,長年のファンと立場としては,いいか悪いかは別にして,これも一つのWayne Krantzの側面として捉えることとしたい。

私は彼のファンであるがゆえに,媒体も発注したものの,これは相当コアなファン向きとしか言えないので,まずはストリーミングでお試しになることを推奨しよう。私としても星をつけにくいアルバムであることこの上ない(笑)。

Personnel: Wayne Krantz(g, vo)

2025年5月 1日 (木)

Rob Wassermanの"Duets":優れた企画アルバムを久しぶりに聞いた。

_20250428_0003"Duets" Rob Wasserman(MCA)

このアルバムを聞くのは実に久しぶりだ。一時期,よく聞いていたのだが,近年はあまり聞く機会がなかったこのアルバムだが,なかなか面白いデュエット・パートナーを集めた企画アルバムだ。

Rob Wassermanは主にロック,フォーク畑のミュージシャンの共演が多いのを反映して,ここでのパートナーもそちら系の人が中心になっている。私がこのアルバムを購入しようと思ったのは,Rickie Lee Jonesとの共演を聞いてみたいと思ったからだったと思うが,今だったらLou Reedの方に惹かれていたかもなぁなんて感じるところに,私の音楽的な嗜好の変化が表れている。そして実際に今の耳で聞いて,一番刺激的なのもLou Reedと共演した"One for My Baby (And One More for the Road)"であったと思えるのだ。

それはさておきである。冒頭のAaron Nevilleをパートナーとした"Stardust"からして,これはいいのではないかと思わせる立ち上がりで,多彩な共演者との(多重録音付き)デュエットはどれも面白く聞けてしまう。まぁマントラことManhattan TransferのCheryl Bentyneとやった"Angel Eyes"はちょっとクセが強いとも感じられて,Rickie Lee Jones的にも響くが,ここで2曲で共演しているクセ強のRickie Lee Jonesを更に上回る感じなのだ(笑)。この辺は好き嫌いが分かれても仕方がないだろう。

本作でLou Reedに加えて私がいいと思ったのがJennifer Warnesが歌ったLeonard Cohenの"Ballad of the Runaway Horse"であった。さすが,Cohenとの共演多数のJennifer Warnesだと思わせる素晴らしい歌唱だと思えた。このいかにもなLeonard Cohenの曲を完全にものにしているという歌唱だと言いたい。

ということで,全体的には相当楽しめる企画アルバムであり,よくできた作品であった。星★★★★。そしてBobby McFerrinとのデュオ,"Brothers"はMcFerrinにBest Jazz Vocal Performanceのグラミーをもたらすこととなった。更にRob Wassermanはこれの続編として"Trio"をリリースすることとなる。そっちも久しぶりに聞いてみるか。

Personnel: Rob Wasserman(b) with Aaron Neville(vo), Rickie Lee Jones(vo, g), Bobby McFerrin(vo), Lou Reed(vo, g), Jennifer Warnes(vo), Dan Hicks(vo), Cheryl Bentyne(vo), Stephan Grappelli(vln)

本作へのリンクはこちら

2025年4月 5日 (土)

確かにPaul McCartney的に響くEmitt Rhodes。

_20250403_0001 "Emitt Rhodes" (Dunhill)

「ひとりBeatles」だの,Paul McCartneyよりPaul McCartneyっぽいだの,パワー・ポップの先駆者だのと言われたEmitt Rhodesのアルバムを久しぶりに聞いた。全ての楽器を自身でこなしている中,ベースとピアノの響きは確かにPaul McCartneyを想起させるに十分だ。このアルバムをリリースした頃はまだ20歳そこそこというところだろうから,まさに早熟のアーチストであった。それに先立ってMerry-Go-Roundのアルバムをリリースしたのは17歳の頃なのだから,実に恐ろしい。

一般的に私が好むSSWのアルバムはもっと渋いものが多いが,ポップさに満ちたこれはこれでよいと思える。Wikipediaによれば,当時は組合の取り決めで,宅録は認められていなかったらしく,ジャケには宅録とは書けないというルールがあったらしい。まぁそんなことは当時の事情としても,このセンスというのは大したものだ。しかし,その後レコード会社ともめて,そのキャリアが絶たれてしまったのは今にしての思えば惜しいことであった。73年に"Farewell to Paradise"をリリースしてから,次の"Rainbow Ends"まで43年を要したということもあれば,その間にもアルバムを出そうとしたものの,様々な不運に見舞われて実現しなかったというのは,つくづくついていない人だったと言わざるをえない。

だからと言ってこのアルバムの価値が下がるものではないし,このポップなセンスをリリースから半世紀以上経過した今日に楽しむと言うのも一興である。星★★★★☆。

Personnel: Emitt Rhodes(vo, all instruments)

本作へのリンクはこちら

2025年3月24日 (月)

「名もなき者」を観てから明らかにBob Dylanを聞く回数が増えた。

Tell-tale-signs "Tell Tale Signs:Bootleg Series Vol. 8" Bob Dylan(Columbia)

映画としての「名もなき者」への評価は必ずしも高くない私だが,明らかにあの映画を観てからというもの,Bob Dylanのアルバムを聞く回数が増えている。記事にはしなかったが,オリジナル「武道館」を聞いたりしていた私だが,今回取り出したのがBootleg Seriesである。カヴァーにも書かれている通り,1989年~2006年の未発表/レア音源を集成したものだが,"Oh Mercy"から"Modern Times"に至る時期だが,この間に出た"Good as I Been to You"と"World Going Wrong"はトラディショナル・フォーク集だったので私は買っていない。しかし,その間のオリジナル作はどれもが優れた出来だったと思っているから,この時期の未発表音源ならば間違いないと思ってしまう。昨今はBootleg Seriesも全部は買わなくなってしまったが,このコンピレーションは改めて聞くと,案の定と言うか,実に滋味溢れる素晴らしい出来だったことに今更気づく私であった。

別テイクやライブ音源を交えながら,結構長い期間の音源を集成しているにしては,感じられる一貫性は見事と言わざるをえないが,本作のプロデュースと選曲に当たっているのはBootleg SeriesをプロデュースしているJeff Rosenだが,この人は「名もなき者」でもプロデューサーの一人となっているのを知って,なるほど...なんて感心してしまった。端的に言えば,「わかっている」のである。見事な審美眼に支えられた曲,演奏が揃っている。まぁDavid Brombergがプロデュースした"Miss the Mississippi"なんかは明らかに浮いているが...(笑)。それでもこれは十分楽しめるコンピレーションであることは間違いない。星★★★★☆。

コンピレーションゆえ,演奏者多数なのでPersonnelは省略。

本作へのリンクはこちら

 

2025年2月17日 (月)

デンマーク発正調Joni Mitchellトリビュート。

_20250213_0002 "Takes You to Unknown and Famous Songs of Joni Mitchell" Big Yellow Taxi(自主制作盤)

私はJoni Mitchellのコアなファンと言ってもよいと思う。だからこそ,ブログ記事のカテゴリーに個別のミュージシャンとして設定されているのはJoni MitchellとBrad Mehldauだけなのだ。それはさておき,世の中にはJoni Mitchellの信奉者が多数いて,Joni Mitchellのサイトを見ていても,しょっちゅうトリビュート・コンサートが開催されている。このブログでも開設した年にスウェーデン発のトリビュート・アルバムを取り上げたことがある(記事はこちら)が,このアルバムはデンマーク発である。

Big Yellow Taxiというバンド名からしてもわかるのだが,この人たちもJoni Mitchellフォロワーだが,元々はカフェでデュオで歌っていたらしい二人が吹き込んだアルバム。"Unknown"とタイトルにあるように,Joni Mitchell本人の公式レコーディングはない曲が3曲含まれており,そのほかはお馴染みのJoni Mitchellナンバーである。これが主題の通り,正調と言うか,実にストレートなトリビュート・アルバムで,ヴォーカルのChristina Friisの声が若い頃のJoni Mitchellを髣髴とさせるのだ。これは結構似ているなぁと思いつつ聞いていたが,完コピに近い感じもありながらも,オリジナリティを若干ながらも打ち出しているところはある。そういうものだと思えば腹も立たない。

しかし,むしろそこはJoni Mitchellの書く曲の素晴らしさもあって,何の苦もなく聞き通せてしまうのは凄いことだ。この人たち,何枚かアルバムを残していて,私が保有しているこのCDには彼らの1stアルバムであるその名も"A Tribute to Joni Mitchell"がオマケで付いているし,Chrisitina Friisはソロ名義でもJoni Mitchellへのトリビュートを続けるという徹底した姿勢。2018年にはソロ名義で"The Quiet of Knowing: Joni Mitchell Unknown"というアルバムもリリースしていて,こちらはストリーミングでも聞けるのでご関心のある方はどうぞ。本作の方は自主制作ってこともあり,なかなか見つかりそうにないかもだが。

Personnel: Big Yellow Taxi<Christina Friis(vo), Henning Olsen(g, b, perc)> with Frede Ewerl(p, org, synth), Dinn Fustafsson(g), T. Skovgaard(sitar-g, g), Michael Klinke(mouth org), Rune Olsen(perc)

2025年1月29日 (水)

買ってから全然聞いていなかったIan Matthewsのアルバムだが,これぞ選曲の妙であった。

_20250124_0002 "Some Days You Eat the Bear and Some Days the Bear Eats You" Ian Matthews (Electra)

このアルバム,保有していることは記憶していたが,いつどういうかたちで買ったのかは全然覚えていない。おそらくは中古盤屋で気まぐれでゲットしたものと思う。それがクロゼットにしまい込まれたまま幾星霜というかたちで,全く聞くチャンスに恵まれなかった不幸なCDだ。

Ian MatthewsはFairport Conventionのオリジナル・メンバーらしいが,ブリティッシュ・トラッドをほとんど聞いたことがない私にとっては無縁であったが,Ian Matthewsの名前を意識したのは"Shake It"がヒットした1978年のことだから,私は高校生だ。なかなかいい曲だと思っていて,後にオリジナルであるTerence Boylanのアルバムを購入するに至ったのであった。そうした意味で,私の中ではIan Matthewsは"Shake It"だけで記憶に残っていたのだが,その記憶に基づいてそれに先立つ1974年にリリースされたこのアルバムも買ったと思う。

それでもってこのアルバムを聞いてみると,いきなりTom Waitsの"Ol’ 55"で始まるではないか。そして続くのが"I Don’t Want to Talk About It"ってなんてセンスのいい選曲って思ってしまう。本人のオリジナルに加えて,前述の2曲に加えてカヴァーしているのが,Gene Clarkの"Tried So Hard",Steely Danの"Dirty Work",そしてJesse Winchesterの"Biloxi"なのだ。全然一貫性がないではないかと言われても仕方がないが,Ian Matthewsの歌いっぷりがはまっていて,こんなアルバムを寝かしていた自分を呪いたくなった。

このアルバムも全然売れなかったらしいが,傑作とは言わずとも,この選曲のセンスやオリジナルを聞けば,なかなかの佳作だったと思える一作で,改めて聴くに値するアルバムであった。星★★★★。

Ian Matthewsと言えばPlainsongのアルバムも持っていたはずだ。聞かねば...(爆)。

Personnel: Ian Matthews(vo, g), Jeff "Skunk" Baxter(g, pedal-steel), David Lindley(lap-steel), B.J. Cole(pedal-steel), David Barry(org, p, key), Andy Roberts(g), Joel Tepp(g, hca), Michael Fonfara(p, key), Lynn Dobson(as), Al Garth(as), Jay Lacy(g), Willie Leacox(ds), Danny Lane(ds), Timi Donald(ds), Danny Weis(g), Steve Gillette(g), David Dickey(b), Billy Graham(b), Bob Warford(g)

本作へのリンクはこちら

2025年1月23日 (木)

これも久しぶりに聞いたAmericaのベスト盤。

_20250121_0001 "The Complete Greatest Hits" America(Warner Brothers/Rhino)

久しぶりにこのアルバムを聞いた。私はAmericaというバンドに思い入れはないのでベスト盤で十分なのだが,私が彼らの音楽に惹かれた契機は"Ventura Highway"だったように思う。あるいは"Sister Golden Hair"だったか。いや,やっぱり"Ventura Highway"だ。子供心にこの曲のメロディ・ラインが魅力的だったのだ。このベスト盤を買ったのも"Ventura Highway"が聞きたかったからと言っても過言ではない。

それでもって改めて聞いてみると,端からわかっていることではあるが,曲にしてもコーラス・ワークにしても,明らかにCSN&Y的であった。ただ,Americaの場合はより西海岸的な軽快さと言うか,爽やかさが強い感じがあって,そちらのサウンド指向がより明確であるから,おそらくはこの調子では飽きられるのも早かったのではないかと思える。デビュー・シングルとアルバムが売れて,2枚目もそこそこ売れたものの,3枚目が大して売れずってのも納得なのだ。

4枚目のアルバムでGeorge Martinをプロデューサーに迎えて起死回生を図り,5枚目の"Hearts"所収の”Sister Golden Hair"で盛り返したものの,その辺りまでがAmericaというバンドの人気が維持されていたことになるだろう。それが82年になって,いきなり"You Can Do Magic"がヒットしてカムバックみたいな感じになるのだが,この頃になると完全にAOR化したって感じだろう。これは長年のファンに響いたってより,新たなファン層を開拓したってことになるだろうが,その後はアルバム・ジャケも完全AORじゃんって感じになっていくのも面白い。

まぁ本作はベスト・アルバムだから,それなりの曲が揃っているとは言え,クォリティにはばらつきがあると感じさせるのが否定できない。それでも一時代を築いたバンドの軌跡を手軽に知るには丁度いいって感じだろう。星★★★☆。

Personnel: America<Gerry Buckley(vo, key, g, b, hca), Dewey Bunnel(vo, g), Dan Peek(vo, g, b, key, hca)>

本作へのリンクはこちら

2025年1月 6日 (月)

ブラックホーク99選に選ばれている日本人の作品を改めて聞く。

99

私をSSWやアメリカン・ロックの世界に誘うガイドとなったのが「ブラックホークの99選」だったということは,何度もこのブログに書いてきたが,その99選に選ばれた日本人の作品4枚については一切触れたことがない。荒井由実の「ひこうき雲」はさておき,選出されているあがた森魚も岡林信康も雪村いづみも,それらのアルバムは聞いたこともなかったからだ。しかしストリーミングで聞けるものは聞けばいいが,岡林信康の「金色のライオン」だけはストリーミングで聞けないということもあり,何を血迷ったか(笑),これらのアルバムをまとめて購入したのであった。

これらのアルバムにはあがた森魚と岡林信康が松本隆プロデュース,荒井由実と雪村いづみがキャラメル・ママが伴奏という共通点があることを今更ながら知った私であった。結局のところははっぴいえんど関係者の関与ってことになる。それぞれのアルバムにはそれぞれの面白さがあるとは思うのだが,私としては私が抱いているブラックホークの99選の,特にアメリカ系のアルバム群とはどうもテイストの違いを感じてしまって,少々戸惑ったというのが正直なところだ。これが当時のブラックホークの客にどう捉えられていたのかは非常に興味深いが,「ひこうき雲」以外の3枚で,私が一番面白いと思ったのはあがた森魚の「噫無常」かもしれないな。

しかし,改めてこれらのアルバムを聞いていると,やはり私の音楽に関するアメリカ指向の強さを改めて感じたというのが正直なところ。これもまぁ勉強だ(笑)。

2024年12月28日 (土)

2024年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外)

2024-best-albums1

いよいよ年の瀬も押し詰まってきたので,今年の回顧も音楽編に突入である。今回はジャズ以外でよかったと思うアルバムを取り上げたいが,正直言って,新譜の購入枚数は減る一方なので,ストリーミングも利用しながら聞いた今年の新譜で私がよかったと思うものを挙げたい。最近はジャンルも越境している場合が多いので,どこまでをジャズ以外とするかは難しい。また,今年は発掘盤にいいものが多く,それを新譜として捉えていいのかは議論があるのを承知で,純粋新譜に発掘盤を交えて挙げることにしよう。

今年の前半で最も興奮させられたのがBrittany Howardの"What Now"であった。この人の作り出すサウンドは私の嗜好にばっちり合ってしまっており,今回も文句のつけようがないと思わされたナイスなアルバムであった。

そして,Brittany Howardとは全然音楽のタイプが異なるのに,私がずっぽしはまってしまったのが Arooj Aftabの"Night Reign"であった。彼女がVijay Iyer,Shahzad Ismailyと組んで作り上げた"Love in Exile"も昨年のベスト作の一枚に挙げた私だが,それを凌駕したと言ってもよい本作の魅力は,Arooj Aftabの声そのものだったと言いたい。

2月の来日公演も素晴らしかったMeshell Ndegeocelloの"No More Water: The Gospel of James Baldwin"も印象に残るアルバムであった。まぁ今回はコンセプト・アルバムと言ってよいものなので,彼女らしいファンク度は控えめではあるが,やはりこの人の作り出す音楽の質の高さが素晴らしい。ライブと併せて高く評価したい。

Laura Marlingも確実に期待に応えてくれる人だが,"Patterns in Repeat"にも裏切られることはなかった。パーソナルな響きの中で紡ぎ出されるメロディ・ラインが素晴らしい。ライブで観てみたい人だが,日本に来る様子がないのは残念だ。本作を聞きながらLaura Nyroの"Mother’s Spiritual"を思い出していた私であった。

発掘音源では何と言ってもJoni Mitchellである。Asylum後期の貴重な音源を集めた"Archives Volume 4: The Asylum Years (1976-1980)"こそ,今年最も私が興奮させられた音源だったと言っても過言ではない。マジでたまらない音源ばかりが収められたまさにお宝ボックスであった。

最後に現代音楽畑から,高橋アキの「佐藤聰明:橋」を挙げたい。リリースは23年なので,今年のベスト作と言うには遅きに失したのだが,昨年後半のリリースだったから,敢えてここにも挙げさせてもらう。

ということで,聞いたアルバムの枚数なんて知れたものなのだが,今年もいいアルバムに出会うことができたと思う。

より以前の記事一覧