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カテゴリー「ソウル/R&B」の記事

2026年10月 8日 (木)

Meshell Ndegeocelloの新作が最高だ。もはや完全にプロデューサーの世界。

_20261006_0001 "Synonym" Meshell Ndegeocello(Blue Note)

Meshell Ndegeocelloの新作が届いた。この人のアルバムには多少の好みはあれども,はずれのないアルバムを届ける能力にはいつも感嘆させられる。そのMeshell Ndegeocelloの新作は2018年の"Ventriloquism"に続くカヴァー・アルバム。今回は多彩なゲストを迎えつつやっているカヴァー曲の選曲の広さが物凄い。このアルバムで取り上げている曲とオリジナルで演じた人は次のようになっている(はず)。

  1. I Knew You Were Waiting (for Me): Aretha Franklin & George Michael
  2. Don't You Want Me: Human League
  3. Don't Stop the Music: Yarbrough and Peoples
  4. Islands in the Stream: Kenny Rogers & Dolly Parton
  5. It Ain't Me Babe: Bob Dylan
  6. Always on Time: Ja Rule
  7. Be Real Black for Me: Donny Hathaway & Roberta Flack
  8. Don't Look Any Further: Dennis Edwards & Siedah Garrett
  9. The Closer I Get to You: Roberta Flack & Donny Hathaway
  10. Golden Ring: George Jones & Tammy Wynette
  11. I Got You Babe: Sonny & Cher
  12. Here We Come (Here He Comes): Brian Eno
  13. Guilty: Barbra Streisand & Barry Gibb
  14. Hunger Strike: Temple of the Dog
  15. With God on Our Side: Bob Dylan

Bob DylanとDonny Hathaway/Robert Flackのデュオが2曲ずつというのが目立つが,それ以外はソウル,カントリー,ポップ,ロック,グランジ,ラップまで何でもござれだ。そうした中で,今回のアルバムが"Ventriloquism"と随分と趣が違うのは,リード・ヴォーカルはほぼゲストに任せて,Meshell Ndegeocello自身もリードを取りつつも,どちらかと言えばバッキング・ヴォーカル的な歌唱とベースの演奏に徹している感じということだ。つまりやっている曲は違っても,Robert Glasperの"Black Radio"的だと思えばいいだろう。即ち,主題の通り,プロデューサー的な役割が大きいのだが,ちゃんと演奏も自身でコントロールし,ちゃんとMeshell Ndegeocelloのアルバムにしているって感じだ。そしてこれだけ多様な曲を演奏しつつ,維持されるサウンドの一貫性,適材適所のゲストというところにプロデューサーとしての力量も見事に発揮って感じだ。

ゲストには知っている名前もあれば,知らない名前もあるが,冒頭の"I Knew You Were Waiting (for Me)"のゲストのCynthia Erivoの参加は驚きだ。この人は映画「ウィキッド」シリーズ2作に出ていた人である。そんな人まで呼んでくるセンスが凄い。懐かしやDavid Gamsonとのコラボレーション復活も嬉しいところだが,不勉強にして知らない名前の人たちも,このアルバムを聞いて,どういう人なのか調べたくなること,及びオリジナルも聞いて比較してみたくなること必定だ。

そんな効果ももたらすこの新作は,どの曲を聞いても新鮮に響き,過去の名曲を再構築して,現代におけるソウル・ミュージックに仕立てた作品として高く評価したい傑作。星★★★★★。クレジットに各曲のBPMが書いてあるのもユニーク。Meshell Ndegeocello,才人と言うしかない。今年のベスト作入り確実だ。

Personnel: Meshel Ndegeocello(vo, b), David Gamson(prog, key, g), Chris Bruce(g, b), Oliver Leiber(g), Ella Feingold(g), Wendy Melvoin(g), Doyle Bramhall II(vo), Bela Fleck(banjo), Jake Sherman(p, el-p, org, vib), Jebin Bruni(key, synth, p, bell), Benny Bock(synth, el-p), Larry Goldings(el-p, synth, key, org), Alan Hampton(b), Gabe Noel(b, cello, hca), Abe Rounds(ds, perc, g, b, vo), Deantoni Parks(ds, prog),  Josh Johnson(horn), Levon Henry(horn), Elena Pinderhughes(fl), with Cynthia Ervo(vo),  Cat Power(vo), Nick Hakim(vo), Robert Glasper(p, vocoder, vo), Chaka Kahn(vo), Madison Cunningham(vo, p, g), Laura Lee(vo, b), Emily King(vo), Lizz Wright(vo), Liana La Havas(vo, g), Destin Conrad(vo), Moses Sumney(vo), Brandi Carlile(vo), Anohni(vo), Evann McIntosh(vo), Ink(vo), Willow(vo, ds), Bill Callahan(vo, g), Chris Thile(vo, mandolin), Nayanna Holly(back-vo), Hanna Benn(back-vo)

本作へのリンクはこちら。

2026年9月26日 (土)

Bootsy CollinsとBucketheadがコラボするとなればこうなるよなと思いつつ,想像以上の騒がしさ。

Metal-health"Metal Health" Bootsy Collins & Buckethead(Bootzilla)

主題の通りだ。"Metal Health"と言えば,普通はQuiet Riotだが,これはBootsy CollinsとBucketheadのコラボレーション作。7月にリリースされていたらしいこのアルバムをストリーミングで聞いた。まぁこうなるとはわかっていても,こちらの想像を越える騒々しい音楽が1時間以上続くと,さすがに高齢者にはきついところもあるが,これが快感になると思えた時代が懐かしい...(遠い目)。

そうは言いながら,このファンクとメタルとロックが混じったような音楽は,ある意味爽快感のあるフリー・ジャズと同じように感じられると思う。自然に身体が動くというところだ。このアルバムはBootsy Collinsがギター以外の部分を担っているようだが,そこに多才なゲストを迎えている。ベースが本業のBootsy CollinsがVictor WootenやBilly Sheehan,更にはMetalicaのRobert Trujilloのような強力なベーシストをゲストに迎えているのが面白い。ゲストにはSamuel L. Jacksonが含まれており,"Afflictions"でラップを披露していて,もはや何でもありだ。しかし,このラップが結構まともなのだ。

それにしても,Bootsy Collins,今や74歳とは思えぬ元気さで,こういうのを聞くと高齢者かくあるべしなんて思ってしまう激しさである。もはや音楽的にどうこうと言うよりも,これはこのヘヴィなサウンドを単純に楽しめばいいという感じだ。それにしてもよくやるわ。星★★★★。

Personnel: Bootsy Collins(b, vo, synth, prog), Buckethead(g), Jeniffer Batten(g), Eric Gales(g), Manou Gallo(b), Victor Wooten(b), Billy Sheehan(b), Robert Trujillo(b), Tobotius(key, turntable, DJ), Ouiwey Collins(vo), Nate Alien8(vo), Barbie T(vo), Samuel L. Jackson(rap)

フィジカルが見当たらないので,本作へのストリーミングへのリンクはこちら。

2026年8月 8日 (土)

多彩なゲストを迎えたTerri Lyne Carringtonの新作。

Trip-the-night-fantastic"Trip The Night Fantastic" Terri Lyne Carrington & Social Science

私のレーダーには全く引っ掛かってこなかったのだが,このTerri Lyne Carringtonが率いるSocial Scienceは2019年に"Waiting Game"というアルバムをリリースしていて,これが第2作となるようだ。そもそもSocial ScienceというバンドはAaron Parks,Matthew Stevens,Morgan Guerinという実力者から構成されていることさえ知らなかったんだから,私のチェックの甘さも問題ありだと思ってしまう。

Terri Lyne Carringtonは"We Insist 2025!"もリリースしていて,音楽において主義主張を明確に打ち出す人だが,本作も同様にさまざまな問題意識を発露するものだ。曲目が全て"~Song"となっているところにもそうしたところが表れていると言ってよいだろうが,そこに迎えるのが多様なゲスト陣で,Arooj Aftabまで参加しているのには驚いてしまう。

ここに収められた演奏は実に耳当たりのよい仕上がりで,時にアフリカ的な風味も交えつつ,基本はソウル/R&B的なサウンドが支配的。それゆえジャズ的な響きを期待する向きには合わない音楽である。しかし,Terri Lyne Carringtonはストレートなジャズだけを演奏するプレイヤーではないし,Mosaic Projectも同じような響きを持っていたから,雑食系音楽リスナーである私にとってはこうthew Steいうのは全然OKである。

Arooj Aftabが入った"Prayer Song"こそアンビエント的に響くが,後半に出てくるSpoken Wordとも溶け合っているし,その前に入っている"Solidarity Song"ではMarc Ribotが個性的なギターを聞かせるという,まさに多様な音楽性が違和感なく混ざり合ったアルバムと言ってよいだろう。星★★★★。こうなったら前作,"Waiting Game"も聞かねば。尚,下記のPersonnelは必ずしも正しくない部分がありえることはご了承願いたい。

Personnel: Terri Lyne Carrington(ds), Aaron Parks(p, key), Mattew Stevens(g), Morgan Guerin(b) with Ledisi(vo), Arooj Aftab(vo), Michael Mayo(vo), Miki Howard(vo), Fatoumata Diawara(vo), Debo Ray(vo), Christie Dashiell(vo), Lizz Wright(vo), Vuyo Sotashe(vo), Safa(vo), Imani Rousselle(vo), Ian Michael(vo), Brandee Younger(harp), Marc Ribot(g), Larry Goldings(key), Rashaan Carter(b), Simon Moullier(vib), Riley G(perc), Brenda Navarrete(perc), Nappy Nina(MC), Kokayi(MC), Kassa Overall(MC), Khemist(MC), J. Ivy(spoken words), Aja Monet(spoken words) , Tarriona 'Tank' Ball(spoken words), Moor Mother(spoken words)

2026年7月31日 (金)

ストリーミングで流し聞きをしていたら流れてきた超メロウな”Dreams”。Dianne Reevesだったのか...。

Beatiful-life "Beautiful Life" Dianne Reeves(Concord)

主題の通りである。Robert Glasper関連の曲をプレイバックしていたら,聞こえてきたのはFleetwood Macの"Dreams"である。もともとメロウな曲であるが,それが更にメロウ度を増したアレンジで演奏されるのだ。歌っているのは誰だ?と調べてみるとDianne Reevesであった。

私がそもそもジャズ・ヴォーカルにそれほど関心が高くないので,その"Dreams"を収めた本作が2014年にリリースされたことも全く知らなかった訳だが,"Dreams"が魅力的に響いたので,アルバム全体をストリーミングで聞いてみた。

よくよく見てみると,Dianne Reevesも関与したオリジナルに加えて,カヴァー曲が半数を占め,これがなかなか魅力的な選曲に加え,ゲストも多彩ということで,これが結構楽しめてしまった。本作は純粋ジャズ・ヴォーカルと言うよりも,メロウなソウル路線も踏まえた演唱集であり,Robert Glasperの"Black Radio"や,本作のプロデューサーも務めたTerri Lyne Carringtonの"Mosaic Project"にも通じる部分があるところが,私でもOKな理由となった。何てたって冒頭はLeon Wareが書いた"I Want You"だもんなぁ。そのほかにもFleetwood Macやら,Bob Marleyやら,Ani Defranco等のカヴァー曲が並ぶのだ。

知らぬこととは言え,こういうコンテンポラリーな路線なら抵抗もある訳もなく,なかなか聞き応えのあるアルバムであり,私としても楽しんでしまったのであった。ちょっと"Tango"がほかの曲からすると浮いているのが惜しく,星★★★★。

Personnel: Dianne Reeves(vo), Gerald Clayton(p, key), George Duke(key), Robert Glasper(p, key), Cédric Hanriot(key), Shedrick Mitchell(org), Ray Angry(p), Peter Martin(p), Bobby Sparks(org, key), Marvin Sewell(g), Dwight Sills(g), Romero Lubambo(g), Carl Burnett(g), Leandro Pellegrino(g), Reginald Veal(b), Christian St. Louis(b), James Genus(b), Richard Bona(b), Esperanza Spalding(b, vo), Terrion Gully(ds), Terri Lyne Carrington(ds, perc, prog, vo), Munyungo Jackson(perc), Leonardo Osna(perc), Shiela E.(perc), Sean Jones(tp), Ingrid Jensen(tp), Tia Fuller(as), Tineke Postma(ss), Camille Thurman(fl), Grégoire Maret(hca), Gregory Porter(vo), Lalah Hathaway(vo), Raul Midón(vo), Nadia Washington(vo)

本作へのリンクはこちら。

2026年6月18日 (木)

Boz Scaggs生誕82年!”Silk Degrees”前夜のソウル色濃厚な”Slow Dancer”。

Slow-dancer-original "Slow Dancer" Boz Scaggs (Columbia)

先日,82歳の誕生日(6/8)目前に来日公演を終えたBoz Scaggsである。今回は私は参戦を見送ったが,老いてますます盛んというか,まだまだ元気なBoz Scaggsである。そんなBoz Scaggsがブレイクを遂げたのは"Silk Degrees"であることに疑いはないが,それに先立つこのアルバムはAORと言うよりもソウル色が濃厚で,ブルー・アイド・ソウルと呼んだ方がしっくりくる感じがする。

本作もビルボードのトップ100には入っているものの,このアルバムのオリジナル・ジャケットはビーチを海パン一丁で歩くBoz Scaggs(笑)の姿を写したものなので,こじゃれた感じの"Silk Degrees"とは購買意欲からして違って当たり前だよなぁってところだ。レーベルもそう思ったらしく,"Silk Degrees"ヒット後はジャケを下のように変えてリリースし直している。むしろ知られているのは再リリース版のジャケかもしれない。

Slow-dancer 上述の通り,むしろソウル色が強いので,"Silk Degrees"でファンになった人が,このアルバムを聞いたらどう思うかは興味深いところだが,それでもタイトル・トラックは"Silk Degrees"につながる部分のある佳曲だと思う。しかし,全体を通して聞けば,Boz Scaggsの音楽性の根源にソウルがあるということが明らかだし,それは後の多少おしゃれ度は増してはいるものの,"Down Two Then Left"等のアルバムでも感じさせる部分はあって,AORオンリーの人ではないのだ(きっぱり)。

Boz Scaggsの音楽的な幅広さを感じるにはよいと思うし,それなりには楽しめる。星★★★★。

Personnel: Boz Scaggs(vo, g), David Cohen(g), David T. Walker(g), Dennis Coffey(g), Greg Poree(g), Jay Graydon(g), Wah Wah Watson(g), Red Rhodes(g),Clarence McDonald(key), Jerry Peters(key), Joe Sample(key), Mike Melvoin(key), Russell Turner(key), James Jamerson(b), Jim Hughart(b), Ed Greene(ds), James Gadson(ds), Gene Estes(perc), John Arnold(perc)
Joe Clayton(conga), King E(vo)rrison(conga), Ernie Watts(reeds), Fred Jackson(reeds), John Kelson(reeds), George Bohanon(tb), Lon Norman(tb), Chuck Findley(tp, fl-h), Jack H. Laubach(tp, fl-h), Paul Hubinon(tp, fl-h), Warren Roché(tp, fl-h), Carolyn Willis(vo), Julia Tillman Waters(vo), Lorna Willard(vo), Myrna Matthews(vo), Pat Henderson(vo)

本作へのリンクはこちら。

2026年6月 5日 (金)

追悼,Peabo Bryson。

Peabo-bryson_20260604181801

Peabo Brysonが亡くなった。脳卒中だったそうだが,昨年7月にはBlue Note東京で公演をしていたはずだから,この急逝には驚いた。

私は決してPeabo Brysonの熱心な聞き手だった訳ではない。しかし,Roberta Flackとの"Tonight I Celebrate My Love"から始まって,Celine Dionとの"Beauty and the Beast",そしてRegina Belleとの"Whole New World"とまさにデュエット名人であった。

私が唯一保有する彼のアルバムはRoberta Flackとの"Live and More"だけだが,改めてほかのアルバムもストリーミングで聞いて追悼することとしたい。

R.I.P.

2026年5月19日 (火)

Dan Pennの初リーダー作,”Nobody’s Fool”は渋くていいんだが,どうしても納得いかない部分もある。

_20260512_0001 "Nobody’s Fool" Dan Penn(Bell)

ブラックホークの99選にも選ばれているこのアルバム。Dan Pennはどちらかと言えば楽曲提供者としての位置づけであったところに,自分でもアルバムを出したもので,さすがに曲のよさは文句のつけようがない。

だが,私の中ではDan Pennのアルバムとしては本作のプレイバックの頻度が低いのには理由がある。どうしても納得のいかない瑕疵があるからだ。そもそも冒頭のタイトル・トラック,"Nobody's Fool"の唐突感のあるフェード・アウトが気に入らないこともあるのだが,もっと許せないのが"Raining in Memphis"のエンディング近くに出てくるホーンなのかキーボードなのかわからない奇妙な音だ。これが雰囲気をぶち壊すのも甚だしい。これと最後のDan Pennのつぶやきのような蛇足にも思える"Skin"によって,このアルバムの印象が悪化してしまった。

上述の瑕疵さえなければ,私はこのアルバムをもっと聞きたいと思っていたはずなのだ。それ以外には"Prayer for Peace"のホーン・セクションもやり過ぎ感はあるものの,ほとんど文句はないし,John Forgertyが書いた"Lodi"なんて無茶苦茶いいのに,本当にもったいないとしか言いようがないのだ。曲のよさは認めつつ,プロダクションがイマイチだと思わせるので星★★★★。私はこれを聞くなら"Do Right Man"かSpooner Oldhamとのデュオ・ライブを聞きたいと思ってしまうのも仕方ない。

Personnel: Dan Penn(vo, g), Charlie Freeman(g), Tommy Richards(g), Marlene Greene(g), John Huey(steel-g), Leo LaBranc(steel-g), Mike Utley(key), Spooner Oldham(key), Jay Spell(p, key), Greg Rediing(org), Bill Phillips(org), Bergen White(vib), Tommy McClure(b), Jim Johnson(b), David Hood(b), Sammy Creason(ds), Dulin Lancaster(ds), Roger Hawkins(ds), Susan Dotson(vo), Mary Holiday(vo), Ginger Holiday(vo), Cargo(vo), Jeanie Greene(vo), Susan Coleman(vo), strings and horns

本作へのリンクはこちら。

2026年4月15日 (水)

多様なゲストを迎えたMoonchildの新作は相変わらずの超メロウ・グルーブ。

_20260413_0001 "Waves" Moonchild(自主制作盤)

MoonchildとしてはEP"Reflections"以来の約2年ぶりの新作だが,フル・アルバムとしては"Starfruits"以来4年ぶりになる。しかし,Amber NavranはCatpackとしてアルバムをリリースして,昨年来日もしているので,久しぶりという感覚はないが,相変わらずのメロウ・グルーブぶりである。

新作の特徴は前作に続いてのゲスト陣の参加だろうが,本作のゲストは前作よりも更に豪華。先日11年ぶりのフル・アルバム"To Whom This May Concern"をリリースしたJill Scottに加えて,Robert GlasperやChris Daveがゲストとして参加している。

だからと言ってやっている音楽が劇的に変わる訳でなく,あくまでもMoonchildの音楽の中でのゲストであり,全編に渡ってゆったりしたリズムで演じられるため,悪く言えば一本調子なのだが,この心地よさにはやっぱり参ってしまうというところだ。これまではプログラミングで対応していたドラムスに人力で対応している曲があるのが新機軸と言えるが,サウンドとしては大きくは変わらない印象だ。まぁこれがMoonchildのMoonchildたる所以だ。いずれにしても,Amber Navranのウィスパー・ヴォイスはたまらないが,ゲストとの声の対比も面白い。星★★★★。それにしても昨今のCDの価格高騰著しき折,この価格設定(国内仕様:税込¥2,090)は嬉しいねぇ。

Personnel: Amber Navran(vo, p, el-p, synth, fl, prog), Andris Mattson(p, el-p, synth, org, tp, fl-h, g, prog), Max Bryk(p, el-p, synth, org, as, cl, prog) with Jill Scott(vo), Rapsody(vo), Astyn Turr(vo), Robert Glasper(p, el-p), D. Smoke(vo), The Kount(ds, perc), PJ Morton(vo), Chris Dave(ds, perc), Gretchen Parlato(vo), Dayna Stephens(ts), Elena Pinderhughes(fl), Jacob Mann(sample), Erin Bentlage(vo), Lalah Hathaway(vo), Roe Khalil(vo), Brittney Carter(vo), Christie Dashiell(vo) and Strings

本作へのリンクはこちら。

2026年2月17日 (火)

突然だが,Earth, Wind & Fireのベスト盤をストリーミングで聞く。

Ewf-greatest-hits "Greatest Hits" Earth, Wind & Fire(Columbia)

突然だがEarth, Wind & Fireである。今でも現役でライブを続ける彼らだが,私は彼らのライブは見たことがないし,保有しているEWFのアルバムも"All 'n All"とボックス・セットの"The Eternal Dance"だけなので,その程度の聞き方をしてきたリスナーに過ぎない。しかし,彼らの全盛期の勢いだけは同時代に体感していることもあり,気まぐれでも聞きたくなることもあるのだ。しかし,手っ取り早く懐メロ・モードに入ろうと思えばベスト盤が丁度いい。本来ならボックスをちゃんと聞けよってことになるが,全部聞くと3時間越えになってしまうこともあり,満遍なくヒット曲を収めたこういうベスト盤の方が便利だってことで,ストリーミングで聞いた。

このベスト盤,実によく出来ていて,こっちが期待するところはちゃんと押さえているのが素晴らしい。これだけ聞いていれば,EWFの全盛期のキャリアは総括できるって感じの選曲と言える。彼らの全盛期は70年代中盤から80年代前半というところだろうが,きっちりその時期の曲を収めていて,全編往時のノリのよさと同時に,メロディ・ラインの素晴らしさも追体験できる。やはり優れたバンドだったってことを改めて感じさせた一枚。

尚,ストリーミングで聞けるのはオリジナルの曲順だが,ボートラ2曲を加えた国内盤は曲順を変えているのが面白い。

本作(国内盤)へのリンクはこちら。

2025年12月28日 (日)

2025年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外)

2025-best_1

今年の回顧も3回目となった。今回はジャズ以外の音楽で気に入ったものをご紹介することにしよう。と言っても,新譜を買うことは少なくなったし,せいぜいストリーミングでチェックするのが関の山という中で,回顧もへったくれもないだろうと言われればその通り。今年聞いた中で最も刺激的だったのは実はThe Cureの"Songs of the Lost World"だったのだが,同作品は昨年のリリースなので,今回は対象外とする。しかし,今年の初頭に聞いた作品ではありながら,記憶に残るというのは大したものだと思っているので,敢えてその名を挙げておく。

では今年聞いた中で,何に一番興奮したかと言えば,録音は10年も前なので反則と言えばその通りのTedeschi Trucks BandがLeon Russellと共演した"Mad Dogs & Englishmen Revisited Live at Lockin’"であった。アメリカン・ロック好きが興奮させられること必至のこのアルバムこそ,私にとってのロックにおけるナンバー1アルバム。

そして嬉しかったのが私の「推し」であるRachael Yamagataの9年ぶりのフル・アルバム"Starlit Alchemy"であった。少々仰々しい曲もあるところは惜しかったのだが,それでもやはりこの人の声は魅力的だと思えた。

また今年の後半では Mavis Staplesが多彩なゲストを迎えた"Sad and Beautiful World"が素晴らしかった。Mavis Staplesの音楽界における立ち位置を示すものとして,このアルバムはやはり高く評価すべきものと思っている。

ミュージック・マガジン誌でも今年のベスト・アルバムが発表されているが,ロックにしろ,ソウルにしろ,その他のジャンルにしろ,私が全然聞いたことのない音楽ばかりが並んでいて,見事なまでに私の関心領域から外れているのがよくわかった。今までだったら,聞いてみるかと思えたものも,食指が動かないというところに自分の加齢を感じたと言ってもよいだろう。来年はもう少し新しい音楽にも関心を示さんといかんなぁと反省しつつ,もう好きなものだけ聞いてりゃいいじゃんと思うのも一方では事実。さて,どうなることやら...。

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