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カテゴリー「ECM」の記事

2023年9月19日 (火)

Chick Coreaの小品集と言ってよい"Children’s Songs"

Childrens-songs "Children’s Songs" Chick Corea(ECM)

いろいろなアルバムで公開されてきた"Children's Song"を集大成したのがこのアルバムであった。私の記憶ではリアルタイムで聞いたのが"Friends"に入っていたのが最初だったように思うが,"Light as a Feather"に既に"Children Song"として1曲収録されているから,長い歴史の中で積み上げられてきたものであろう。

一番短い曲は38秒しかないし,長いものでも2分38秒であるから,まさに主題の通りの小品集である。私はこのアルバムがリリースされた時に,リアルタイムで入手していたが,その当時からへぇ~と思いつつ,Chick Coreaを聞くならこれからじゃないなぁと思っていた。もちろんピアノの響きは十分に美しいし,悪いとは思わない。でもプレイバックの回数が上がっていかないというのが正直なところであった。私が現在保有しているのは,ECMからのソロ・ピアノ作品を集成したボックス・セットであるが,買ってからこのアルバムをプレイバックしたかどうか...。しかし,一度曲集としてまとめてリリースしたくなったChick Coreaの気持ちはわからないでもない。

"Children's Songs"20曲の後に,ECMの総帥Manfred Eicherに捧げて"Addendum for Violin, Cello and Piano"が収録されているが,正直言ってしまえば,LPで聞いていた時代にこの曲を聞いた記憶に乏しい。その頃から既にプレイバック頻度が低かったことの証左であるが,まぁアルバム全体を通じてジャズと言うよりは,現代音楽的な響きが強いように思うが,当時の私はまだ現代音楽への耐性ができていなかったことも影響しているかもと今更ながら思う。

今は全然抵抗なく聞けるが,それでもこれからもプレイバック頻度が上がるとは思えないが,久しぶりに聞いてちゃんと聞けるアルバムであったことは再認識した私である。星★★★★。

Recorded in July, 1983

Personnel: Chick Corea(p), Fred Sheery(cello), Ida Kavafian(vln)

2023年8月21日 (月)

先日,久しぶりに聞いた"Tales of Another"。

Tales-of-another_20230815163601 "Tales of Another" Gary Peacock (ECM)

先日,夏休み中に家人が出掛けた隙に(笑),アナログ爆音再生祭りをやっていた私である。通常から在宅勤務がほとんどなんだから,いつでもやろうと思えば爆音再生できるのだが,さすがに仕事をしている時に爆音再生,しかもアナログは結構難しい(と,真面目なサラリーマンを気取る)。

正直言って,在宅勤務中はバックでCDを適切な音量で再生しながら仕事をしている私だが,今回休み中とは言え爆音再生をしてみて,こういうのもたまには必要だと思ってしまった私である。

それはさておきであるが,このアルバム,私がジャズを聞き始めた頃に出たアルバムである。当時の国内盤についていたタイトルが"ECM"だったというのも凄いが,ある意味ECMレーベルの典型,あるいはECMを代表するミュージシャンのアルバムなのだから,当時の国内配給元だったトリオ・レコードがそう呼びたくなるのもわからないでもない。しかもこれが後のスタンダード・トリオの出発点になったことを考えれば,実に感慨深いではないか。

思えば,私がこのアルバムを買ったのは随分後になってからであるが,その当時からアナログ盤でB面ばかり聞いていたような気がするが,おそらくはB面の方により美的な感覚や音楽的なスリルを覚えていたのではないかと思える。そもそもではあるが,私は昔はKeith Jarrettがあまり好きではなかった。Keithのうなりに耐えられなかったという感じもあったが,今となっては全然気にしていないのだから,人間変われば変わるものだと思ってしまう。

改めて聞いてみて,実によく出来たアルバムだったと思うが,その後のECMの録音に比べると,エコーの過剰感も抑制されているように思えるのが面白かった。まぁもう45年以上前の録音なので,テクノロジーも変化しているのは当然だが,それでも最近のECMとは随分違ったんだなぁと感じたことは記しておかねばなるまい。往時のエンジニアであるMartin Wielandを懐かしく思ってしまった私であった。音楽としてはECM好きにとっては正直言って文句のつけようがないものであり,星★★★★★しかないが,本当に素晴らしいアルバムであったと再確認。ジャズの快楽を感じたと言っては大袈裟?

Recorded in February 1977

Personnel: Gary Peacock(b), Keith Jarrett(p), Jack DeJohnette(ds)

#GaryPeacock #TalesofAnother #KeithJarrett #JackDeJohnette #ECM

2023年7月15日 (土)

Pat Methenyの"Rejoicing":プレイバックの頻度が高まらない訳...

_20230713 "Rejoicing" Pat Metheny (ECM)

私はPat Methenyのリーダー作はほぼ全て保有していると思うが,それらの中でプレイバックの頻度が高いものと,低いものが出てくるのは仕方がないことである。そんな中でこのアルバムはどちらかと言えば低い方になってしまうのには訳がある。

冒頭からオーセンティックなジャズ・ギター・アルバムと言ってもよい響きの中で,いかにもPat Methenyらしいフレージングが散りばめられており,実に楽しめるアルバムなのだ。しかし,その流れを完全に分断してしまうのが7曲目のPat Methenyのオリジナル,"The Calling"なのだ。ギター・シンセで演じられるこの曲はハードなフリー・ジャズとなっていて,明らかに浮いている。本作にはOrnette Colemanの曲が3曲含まれているし,Pat Methenyは後に"Song X"をOrnette Colemanと吹き込む。またアルバム"OffRamp"においても,タイトル・トラックはOrnette Colemanへのオマージュを捧げているが,この"The Calling"は更にアバンギャルドが高いので,初めて聞いた時はのけぞってしまったし,その印象が強過ぎたのであった。

アナログ盤であれば,A面だけ聞いていればいいやってことにもなるし,CDでも6曲目でプレイバックを止めてもいいのだが,私が保有しているのはCDなので,止めるのを忘れて7曲目に至るとはぁ~...となってしまう(笑)。そういう経験が何度か重なるとついついプレイバックする気が失せてくる。だから"The Calling"という曲は実に罪作りな曲なのだ。

私は決してフリー・ジャズに耐性がない訳ではない。しかし,そんな私にとっても"The Calling"はやり過ぎとしか思えないのは,アルバムとしての統一性を失わせたことによるものだ。Pat MethenyはDerek Baileyとの共演盤や"Zero Tolerance for Silence"のような破壊的なアルバムを作ってしまうこともあるから,それも含めてPat Methenyだよねということではある。しかし,いくらファンだからと言っても何でも受け入れられる訳ではないのだ。ということで,全体としてはいいアルバムだと思う一方,1曲の違和感が勝ってしまうという不幸なアルバム。星★★★★。

Recorded on November 29 & 30, 1983

Personnel: Pat Metheny(g, g-synth), Charlie Haden(b), Billy Higgins(ds)

2023年5月27日 (土)

Rainer BrüninghausのECMにおける2枚目のリーダー作。Fredy Studerが効いている。

_20230523"Continuum" Rainer Brüninghaus (ECM)

久しぶりにこのアルバムを聞いた。Rainer BrüninghausはJan GarbarekやEberhard WeberのECMのアルバムに数多く参加しているが,リーダー作は以前このブログでも取り上げた"Freigeweht"(記事はこちら)と本作だけになる。ECMらしいちょっと不思議な編成により,なかなかエッジの効いた演奏をする人だという印象である。

前作においてはKenny WheelerにJon Christensenというメンツ(+Brinjar Hoffのオーボエ,イングリッシュ・ホルン)を迎えていたが,今回はオーボエ,イングリッシュ・ホルン抜きながら,基本的に同じ編成で臨んだアルバム。今回はラッパがMarkus Stockhausen,ドラムスがFredy Studerに代わっているが,私は本作のキモはFredy Studerのドラムスだと思っている。前作のJon Christensenも多彩なドラミングを聞かせたが,ここでのFredy Studerはよりロック的なサウンドと言えばよいだろうか。それがよりコンテンポラリーな感覚を強め,Rainer Brüninghausのクリアなピアノ・トーンと絶妙にブレンドしているって感じなのだ。ベース不在が全く気にならないし,こういう音には無条件に反応してしまう私である。

ECMにしてはコンテンポラリーな感覚が幾分強いという気もするが,こんな編成でアルバムを作れたのは今も昔もECMだけだなという気がする。さすがにMarkus StockhausenのラッパにはKenny Wheelerほどの魅力は感じないものの,Fredy Studerの貢献が大きく,前作同様見逃すには惜しいと思えるアルバム。星★★★★。

Recorded in September, 1983

Personnel: Rainer Brüninghaus(p, synth), Markus Stockhausen(tp, piccolo-tp, fl-h), Fredy Studer(ds)

2023年5月26日 (金)

今回も素晴らしい出来のZsófia BorosのECM第3作。

_20230522 "El Último Aliento" Zsófia Boros (ECM New Series)

Zsófia BorosがECMから最初のアルバム,"En Otra Parte"をリリースして今年で10年になるが,10年目にして3作目というのは寡作ってことになると思うが,前作"Local Objects"からも7年近くが経過しているというのには,我ながら驚いてしまった。現代の曲を専門的に取り上げながら,実に美しい響きを提示してきたZsófia Borosのギターはここでも全く変わりがない。

今回のテーマに据えたのはアルゼンチンの作曲家の曲と,前作でも取り上げたフランスのMathias Duplessyの曲であるが,紡がれるアルペジオを同期するメロディ・ラインの美しい曲ばかりで,今回も難解さはゼロである。それでも演奏するのは結構難しそうだなぁとは思える曲を,完璧に弾きこなしている。これまでのアルバムでもそうだったが,よくぞこうした曲を見出してくるものだと思わざるをえない。この目配りの素晴らしさがECM New Seriesとマッチしていることは言うまでもなく,全2作に続いて大いに楽しめる作品となった。静謐でありながら,実に刺激的なギター・アルバム。

第1作の驚きや衝撃は薄れたとしても,アルバムのクォリティは極めて高い。本当に素晴らしいギタリストである。星★★★★☆。

Recorded in March and April, 2022

Personnel: Zsófia Boros(g)

2023年5月24日 (水)

Jacob Young,何と9年ぶりの新作が届く。

_20230520 "Eventually" Jacob Young (ECM)

Jacob YoungがECMからアルバムをリリースしたのは2014年の"Forever Young"にまで遡る。それまでも,多少の間を置きながら,3枚のリーダー作をECMから発表していたJacob Youngなので,この9年というインターバルは想定外であった。その間にMike Mainieriらとの共演アルバムもあったようだが,リーダー作と言うより,セッション・アルバムと思った方がよさそうで,この沈黙の期間の活動はあまり活発だったとは言えないのかもしれない。

そんな今回のJacob Youngの新作であるが,プロデューサーとしてManfred Eicherの名前がなく,An ECM Productionの記述があるのみなので,これは持ち込み音源ということになるだろう。しかし,ベースは自身もECMにリーダー作を持つMats Eilertsenなので,レーベルとしてもリリースには違和感はないってところだったのだろう。

Jacob Youngのこれまでのアルバムはホーン・プレイヤーが入っていたが,今回はギター・トリオというフォーマットになっている。昨今はECMのアルバムはストリーミングでも聞けるようになっているので,以前のように出れば買うというようなことにはならなくなったが,ストリーミンsグで聞いて,これはと思うものを買うという現在の私のスタンスにぴったりはまるアルバムになった。とにかく,全編を通じて落ち着いたトーンで展開される音楽は,まさにECMというレーベルにぴったりと言ってもよい。

かつ,Jacob Youngのギターだけでなく,Mats Eilertsenのベースの露出も結構あるし,そしてそれを支えるAudun Kleiveのドラムスが適切な演奏ぶりで,実にバランスが取れている。静謐な中に繰り広げられるリリシズムが魅力的に響く演奏は何度聞いても飽きることがない。星★★★★☆。せっかくこうしてレーベルに復帰したのだから,次もまたよろしくと思うのはきっと私だけではないだろう。

Recorded in May, 2021

Personnel: Jacob Young(g), Mats Eilertsen(b), Audun Kleive(ds)

2023年4月 4日 (火)

久しぶりに聴いたEgberto Gismontiの"Dança dos Escravos"。

_20230402 "Dança dos Escravos" Egberto Gismonti(ECM)

このアルバムを聞くのも久しぶりのことだ。ECMのアルバムは相当数保有している私だが,カタログの枚数が多くなり過ぎて,到底全部を購入するということはないし,昨今はストリーミングで聞ければいいやってアルバムも結構ある。そうした中で,基本的に全部買いを基本とするミュージシャンの一人がEgberto Gismontiなのだが,それでもアルバムをしょっちゅう聞いているかというと,そんなこともない。このアルバムは89年で,私が保有しているのはBMGから出たアメリカ盤。普通ならドイツ盤を買っているはずなので,本作に関してはおそらく在米中に購入したものと思われる。だが,買ってから本当に何回聞いたかなんてのは自分でも疑問なのだから,家人から死ぬまでに何回聞くわけ?と聞かれても抗弁できない(苦笑)。しかし,気まぐれでもなんでも,たまに聞きたくなるのがEgberto Gismontiだと思っている。

Egberto Gismontiは何枚もECMにアルバムを吹き込んでいるが,ECM作品ではソロと言ってもほかの楽器を弾いていることもあり,純粋ギター・ソロのアルバムというのは本作だけではないか。そして,本作では6弦,10弦,12弦,14弦を弾き分けながら,ギタリストとしての卓越した技量を聞くことができるのは貴重と言ってもよいだろう。

そして聞こえてくるのは,どこを切ってもEgberto Gismontiって感じで,2007年,2016年に聞いた生での彼の演奏を思い起こしていた。ギタリストにもいろいろなタイプが存在するが,やはりこの個性,テクニックは素晴らしいと思った。星★★★★★。

Recorded in November 1988

Personnel: Egberto Gismonti(g)

2023年3月27日 (月)

これまた長年ECMを支えてきたBobo Stensonの新作。

_20230325-2 "Sphere" Bobo Stenson Trio(ECM)

先日のRalph Townerに続いて,長年ECMレーベルにアルバムを残してきたBobo Stensonの新作である。Bobo StensonのECMでの初リーダー作は"Underwear"だと思うが,それがリリースされたのが1971年だから,既に半世紀以上前のことである。年齢的にはRalph Townerより若いBobo Stensonだが,ECMでのキャリアはこの人の方が長いということになるのだから,それって結構凄いことだよねぇと言いたくなる。

それはさておき,Bobo Stensonの音楽というのは冬のイメージである。美的な感覚と抽象性をミックスした音楽はいつもながらというところであるが,一聴した段階では前作"Contra la Indecisión"より抽象性が高いように感じられた。それをよしとするかどうかはリスナー次第ってところだが,私にとっては問題はないものの,アルバム全体としては前作により魅かれるってところだろうか。

しかし,今回もこのトリオらしい演奏であり,この世界にはまってしまうと,どうしても抜けられない魅力があると感じる。このトリオ,レパートリーにクラシックや現代音楽の作曲家を取り上げることが多いが,今回はシベリウスをやっているし,2曲を取り上げたSven-Erik Bäckもスウェーデンのクラシック系の作曲家である

私の中ではBobo Stensonの音楽は現代音楽のピアノ作品のような感覚を与えてくれるイメージもあるが,更にいかにも北欧的なサウンドがマッチして,いかにも彼ららしい音楽を楽しんだのであった。ちょっと甘いかなと思いつつ,星★★★★☆。

Recorded in April 2022

Personnel: Bobo Stenson(p), Anders Jormin(b), John Fält(ds)

2023年3月20日 (月)

Ralph Townerの新作が届く。実に素晴らしい。

_20230319"At First Light" Ralph Towner(ECM)

Ralph TownerがECMからの最初のアルバムとなる"Trios / Solos"をリリースしたのが1973年。即ち,半世紀に渡ってECMというレーベルにおいて,代表的なミュージシャンの一人として活動を続けてきたという事実からして凄いことだと思う。そんなRalph Townerももはや83歳の大ベテランであるが,年齢をものともせずの新作がリリースされたので,早速聴いている。

ミュージシャンを含めて指を使う職業についている人はボケることはないとよく言われるが,この新作におけるRalph Townerの演奏はテクニカルな問題もなく,全く年齢を感じさせないもので,Charles Lloydと並んで80過ぎてもまだまだ凄いという思いを新たにする。本作は2017年の"My Foolish Heart"以来のECM作ではあるが,全編に渡ってRalph Townerらしいギターが聞けて,Ralph Townerの大ファンとしては本当に嬉しくなる出来だ。

昨今のRalph Townerは12弦ギターを弾くことは少なくなったが,本作もクラシック・ギターのみでの演奏。Ralph Townerの弾く12弦好きの私としては,1曲ぐらい入れて欲しいなぁというところもあるのだが,そこは今でも現役での演奏が聞けるだけで満足せねばなるまい。オリジナルを中心にスタンダードや"Danny Boy"を交えるプログラムもRalph Townerらしいものだが,どこから聞いてもRalph Townerだとわかってしまう音色,フレージングが素晴らしい。

私のCDラックにおいては数少ない別格扱いをしているRalph Townerゆえ,私としては新作がリリースされただけでも嬉しいのだが,この年齢にしてこの演奏ということに,私は星★★★★★となってしまうのだ。やはりこの人の演奏は私の琴線をくすぐる。私はOregonとソロで2回,Ralph Townerのライブに接する機会はあったものの,前回(2019年)の来日は見逃しているだけに,是非元気なうちにもう一度来日して欲しいと思う私である。

Recorded in February 2022

Personnel: Ralph Towner(g)

2023年3月10日 (金)

今頃になって聞いたJakob Bro~Joe LovanoによるPaul Motianトリビュート。

_20230304-3 "Once around the Room: A Tribute to Paul Motian" Jakob Bro / Joe Lovano(ECM)

リリースされたのは昨年だが,入手に手間取り,今頃になって本作を聞いている。昨年,新譜として聞いていたら,ベスト盤の候補になっていたかもなぁと思わせるアルバムであった。

Joe Lovanoと言えば,Paul Motian Trioのメンバーとして,Bill Frisellと共に共演を重ねた縁があるし,ECMにもそのトリオでアルバムを残している。一方のJakob BroもPaul Motianと共演歴があるだけでなく,そのギターのサウンドは,まさに幽玄と言った感じの響きを持つものであり,Bill Frisellに近いものも感じる。そんな二人がPaul Motianへのトリビュート・アルバムを作ることには違和感はなかった。そして,ここにはPaul Motianとの共演歴のあるLarry Grenadierのほか,Paul Motianに加えてBill Frisellとアルバムを残しているThomas Morgan,そしてリーダー作,"Dear Someone"にPaul Motianを迎えたほか,George Gazoneのアルバムでも共演しているAnders Christensenがエレクトリック・ベースということで,縁もゆかりもあるミュージシャンが集結しているところにPaul Motianの人徳を感じる。更にPaul Motianに代わってドラムスを叩くのがJoey BaronとJorge Rossyとあっては,鉄壁の布陣と言わず何と言うって感じだ。

そして流れてくる音楽は,Paul Motianが生きていれば,こういう感じで演奏したかもなぁという感覚を与えるものであり,正調トリビュートって感じである。ただ,こういうサウンドに対してベースが3人,ドラマーが2人必要かというとその辺りは若干疑問もあるものの,演奏自体はレベルが高い。Jakob Broには珍しく,ギターを歪ませる瞬間もあり,へぇ~ってなってしまった私である。参加するミュージシャンたちのPaul Motianへのリスペクトを感じながら聞きたい,あっという間に40分弱が過ぎていくアルバム。星★★★★☆。

Recorded in November 2021

Personnel: Jakob Bro(g), Joe Lovano(ts), Larry Grenadier(b), Thomas Morgan(b), Anders Christensen(el-b), Joey Baron(ds), Jorge Rossy(ds)

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