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2018年おすすめ作

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カテゴリー「ECM」の記事

2020年2月19日 (水)

Carla Bley,Andy Sheppard,Steve SwallowのトリオによるECM第3作。

Life-goes-on "Life Goes on" Carla Bley / Andy Sheppard / Steve Swallow(ECM)

このトリオによるECMレーベル第3作がリリースされた。彼らの初レコーディングは95年の"Songs with Legs"に遡るので,今年で結成25年という節目になるらしい。私は"Songs with Legs"は未聴であるが,ECMでの第1作”Trios",そして第2作"Andando di Tiempo"については絶賛を惜しまなかった。その2枚は2013年と2016年の年間ベスト盤の一枚にも選んでいるから,どれほど評価しているかはお判り頂けるだろう。そうした彼らの新作である。期待しない訳にはいかない。

このアルバムには次のように書かれている。”Carla was hit by a bucket of shit and the band played on. She opened the door and was hit by some more and the band played on. Could this be the ending or just the biginning of life without music or fun?" これをどう解釈するかはなかなか難しいところであるが,皮肉な感覚に満ちているのは間違いないところである。それがどう音楽に反映するのか?

今回のアルバムは3つの組局から構成されているが,冒頭のタイトル・トラックはいきなりのブルーズにびっくりする。それに続く"Life Goes On"組曲に含まれた曲を聞いていて,私は前作に感じたような「深み」は感じなかったのだが,むしろ,音楽を通じたポジティブな感覚をおぼえていた。

しかし,2つ目の組曲"Bearutiful Telephone"はダークな響きで始まる。この曲はECMのサイトによれば,Donald Trumpがホワイト・ハウスに足を踏み入れた時に,“These are the most beautiful phones I’ve ever used in my life"と言ったとか言わないとかいう逸話への皮肉としか思えない。まさに何言ってやがるみたいなCarla Bleyの心証を反映したものと言いたくなってしまう。

3つ目の組曲"Copycat"の意味するところは不明であるが,”After You"~”Follow the Leader"~"Copycat"というタイトルには別な皮肉を感じてしまうのはうがち過ぎだろうか。いずれにしても,ここでは比較的中庸な表現が用いられているって感じである。

トータルで考えると,やはり"Andando di Tiempo"に感じた音楽的な深さは薄れたが,それでも非常に三者によるレベル高い会話を聞かせてくれるという点では評価したいし,彼らにしか出せない音だと思う。Carla Bleyも80歳を過ぎても,まだまだいけるところを実証したアルバム。半星オマケしてちょいと甘めの星★★★★☆ということにしよう。

Recorded in May, 2019

Personnel: Carla Bley(p), Andy Sheppard(ts, ss), Steve Swallow(b)

2020年1月 3日 (金)

今年最初の音楽鑑賞はEgberto Gismonti。

_20200102-2 "Solo" Egberto Gismonti(ECM)

新年最初に何を聞こうかって思いながら,手に取ったのがこのアルバム。今や,ECMの保有アルバムの枚数も結構増えた私だが,私が最初期に購入したECMのアルバムのうちの一枚である。本作は,当時受験生だった私が,予備校の夏季講習の帰りに確か京都の輸入盤屋で購入したような気がする(遠い目...)。だが,何でこれを買う気になったのかは全く記憶から飛んでいる(爆)。

それから月日を経ても,相変わらずEgberto Gismontiのアルバムがリリースされると購入している私だが,購入した当時に彼の音楽の魅力に本当に気づいていたかと問われれば,「否」と答えざるをえないかなぁなんて思う。血気盛んな高校生がこの音楽に魅かれるようなことがあれば,逆にそれもおかしいのではないかとさえ思ってしまう。

だが,年齢を重ねて改めて聞いてみると,ここで展開されるEgberto Gismontiのギターとピアノの音色には惚れ惚れとしてしまう私がいるというのが実態である。特にGismontiのピアノの美感は実に素晴らしく,こういう音楽を聴いていると,今年一年も何とか乗り切れてしまうような気がしてしまう。ソロ演奏だけに刺激的な感じはしないが,穏やかに新年を過ごすにはちょうどいいって感じなのである。しかも,ここで聞かれる8弦ギターは,私が愛してやまないRalph Townerからの借り物らしいが,ギターもピアノもうまいというところに,Ralph Townerとの同質性も感じさせるところに私は魅かれるのかもしれないなぁなんて思ってしまった。

実はこのアルバムを聞くのも久しぶりのことだったのだが,非常に楽しめてしまった私である。星★★★★★。

Personnel: Egberto Gismonti(g, p, vo, bell)

2019年12月 4日 (水)

「ECM catalog 増補改訂版」:資料としては価値を認めるが,改訂ならちゃんと改訂すべきだ。

Ecm「ECM catalog 増補改訂版/50th Anniversary」稲岡邦彌 編著(東京キララ社)

ECMの40周年を記念して本作のオリジナルが発売されたのが2010年7月のことであった。それから約10年を経て,ECMも今年50周年を迎え増補改訂版が発売された。ページ数も940となり,更に分厚い書籍となった。それだけECMがレーベルとして歴史を重ね,更に数多くのアルバムをリリースしてきたことを思えば,実に感慨深いものがある。そして,アルバムをJAPOも含めてカヴァーしているということで,資料性には全く文句はない。

しかし,増補はいいとしても,改訂と言うならば,40周年記念版からの変化については,ちゃんと改めるべきではなかったか。例えば,私がたまたま目にしたところで言えば,ジョンアバとRalph Townerの"Five Years Later"は,Touchstoneシリーズとして後にCDとしてリリースされたにもかかわらず,前回同様「廃盤/未CD化」と表現されているのはどういうことか。せっかく改訂版を謳うならば,ちゃんと前回の記述も一度見直すべきだったというのが本来の「改訂」であろう。その辺りに私は画竜点睛を欠くと言いたくなってしまうのだ。ライター自身に依頼できないのであれば,編著者としての稲岡邦彌が責任を持って加筆なり,修正なり,コメントを加えるなりをするというのが筋だろう。

もちろん,ECMレーベルのファンはこの本を眺めながら,次に何を購入すべきかと考える楽しみを与えてくれるものであることは間違いないのだが,私はこれでは本質的な「改訂」と言えないという思いが強い。ついでにこの本にもう一つ文句を言っておくと,帯には「今世紀最後の完全カタログ」とあるが,なぜ「今世紀最後」と言えるのか?まだ21世紀は80年以上あるし,ECMの歴史はこれからも脈々と続いていくはずだが,もう改訂は絶対しないということであれば,それはそれでよかろう。だが,日本にせよ,ほかの国にせよ同様の書籍が発売される可能性が残っている中での,この「今世紀最後の完全カタログ」という過剰な表現には,強烈な違和感をおぼえると言っておこう。

この労作をまとめ上げた稲岡邦彌からすれば,私の言い分などイチャモンと思われても仕方がないところではあるが,こういうところを看過したのは,正直言って出版社の担当者の責任が大きい。そうした点で評価を下げて,初版より半星減らして星★★★。なんかやっぱり納得いかないんだよなぁ。

2019年11月21日 (木)

アブストラクト度の更に高まったKeith Jarrettの2016年ライブ。

_20191119 ”Munich 2016" Keith Jarrett(ECM)

これはなかなか厳しい音楽である。Keith Jarrettの昨今のソロは,昔に比べるとかなり抽象度が高まったと言うか,ほとんど現代音楽的な感覚さえ与えるものとなっている。しかし,昨年出た"La Fenice"は録音時期が本作より10年も前ということもあるだろうし,場所柄ということもあって,もう少し聞き易い演奏だったと思う。それに比べると,この2016年のミュンヘンで録音された音源は,これはKeith Jarrettとピアノの対峙の瞬間を捉えた音源に思える。特に前半部はとにかくテンションが高く,実に厳しいのである。

ミュンヘンの聴衆たちは万雷の拍手を送っているが,私が会場にいたらどう思っていたかなんて想像をしてしまった。おそらくはこのテンションと音の厳しさによって,どっと疲れが出ていたのではないかと思えてならないのである。ここで奏でられる音楽は芸術として評価しなければならないのは承知していても,冒頭の2曲などはもはや孤高の世界に入り込み過ぎではないのかとさえ言いたくなる。

こうしたパターンは最近のKeith Jarrettのライブには共通しているが,やっぱりPart IIIあたりで美的な感覚を打ち出してきて,聴衆をほっとさせるのはある意味演出と言っても過言ではない。こうしたところに若干の反発を覚えるのは,私が天邪鬼なせいだが,やはり一定のパターンというものが出来上がってしまっているように思える。Part IVがフォーク・ロック的な感覚を打ち出すのもこれもお約束みたいなものだ。まぁ,Keithとしては,最初の2曲で集中力を高めておいて,徐々に聴衆に寄り添っていくって感じなのかもしれないが,こういう感じだが毎度続いてくると,もう出れば買うみたいなことは必要ないかなとさえ思ってしまうし,ストリーミングで十分って気もしてきてしまうのだ。

ディスク2に移行すると,多少聞き易さは増してくるのだが,不思議なことにこちらのディスクには聴衆の拍手が収められていない。なんでやねん?だが,聞き続けていると,結局多くのリスナーにとってはアンコール3曲が一番の聞きものになってしまうのではないかと皮肉な見方をしたくなる。今回やっているのは"Answer Me, My Love",そして"It's a Lonesome Old Town"という渋いチョイスに「虹の彼方に」であるが,これらは実に美しく,このためにライブを聞いているのだと言いたくなってしまっても仕方がないのである。完全即興から解放された感覚がこれらの演奏に表れると言ってもよいような,実にしみる演奏なのだ。

ということで,正直言って私はアンコール・ピースを集成したアルバムを出してもらった方がいいとさえ思ってしまう。もちろん,全体のクォリティの高いことは否定するものではないが,やっぱりこう同じような感じの演奏パターンを聞かされると,さすがに微妙だと感じてしまった。星★★★★。全体としては前作"La Fenice"の方が私の好みだな。

Recorded Live at Philharmonic Hall, Munich on July 16, 2016

Personnel: Keith Jarrett(p)

2019年11月 4日 (月)

Alexei Lubimovの”Der Bote”:この曲の組合せはECM以外にできないだろう。

_20191104 "Der Bote" Alexei Lubimov(ECM New Series)

このアルバム,タイトルは"Der Bote"(英語にすると"The Messenger"らしい)であるが,これは最後に収められたシルベストロフの曲のタイトルから取られたものだろう。しかし,バック・インレイには"Elegies for Piano"とあり,そっちの方がずっとわかりやすいのではないかと思えるアルバムとなっている。

このアルバムが特異だと思えるのは,様々な時代の音楽,それこそバロックから現代音楽までの曲を並べておきながら,そこに全くの違和感をもたらさないことである。普通の人間であればC.P.E.バッハとジョン・ケージの音楽が続けて演奏されることなど夢想だにしないが,自然に耳に入ってきてしまうって実は凄いことではないのか。

ここでピアノを弾いているAlexei Lubimovは,様々な現代音楽の初演をしていることからしても,現代音楽には造詣が深いはずだが,ソ連時代に活動の制約を受けて,古典も演奏していたことを踏まえると,ここでの曲の並びは彼にとっては全然不思議はないのかもしれない。しかし,このようにいろいろな時代に作られた曲が演奏されながら,響きは極めて一貫性があって,私は一発でまいってしまった。響きにはもの悲しさをたたえているが,実に美しい音楽。Manfred Eicherの美学ってのをこういうところにも強く感じてしまった。星★★★★★。たまらん。

Recorded in December, 2000

Personnel: Alexei Lubimov(p)

2019年11月 2日 (土)

これでHenckのECMのアルバムが揃った。

_20191102-3 ”Jean Barraqué: Sonata pour Piano" Herbert Heck (ECM New Series)

私は現代音楽に関してはピアノ音楽が好きで,いかにもな響きを楽しんでいると言ってもよい。そうした中で,Herbert HenckがECMに吹き込んだアルバム群はほぼ揃っていたのだが,残っていたのが本作。ネット上では結構な値段がついていたりするし,ECMのサイトでもOut of Stock状態だったのだが,今回,ネットで中古をゲットできた。

現代音楽のピアノにもミニマルからアブストラクトまでいろいろある訳だが,私にとって,これはいかにも現代音楽的な響きの強い音楽だったと言ってもよい。これはおそらく12音技法によるものだと感じるが,こういう音楽を聞いていて,何がよいのかさっぱりわからんという人も多かろう。しかし,私の場合,こういう冷たい感覚の音楽に身を委ねることによって得られる快感っていうのもあると思っている。

HenckのECMのアルバムではJohn Cageのアルバムをまだちゃんと聞けていないが,これまで聞いたHenckのアルバムにおいては,最も前衛的な響きが強く,おぉっとなってしまった私である。まぁ,しょっちゅう聞く音楽ではないと思うが,やっぱりこういうのが好きだと言ってしまう私は変わり者ってことで。星★★★★。

Recorded in July 1996

Personnel: Herbert Henck(p)

2019年10月19日 (土)

確かにECMらしくないが,Tom Harrellを迎えて実に味わい深いEthan Iversonのアルバム。

_20191019 "Common Practice" Ethan Iverson Quartet with Tom Harrell(ECM)

ほかの方もおっしゃっているように,実にECMらしくないセッティングであり,演奏のように思える。Manfred EicherはExecuive Producerとクレジットされているので,おそらくはリーダー,Ethan Iversonの持ち込み音源であろうが,それをリリースするところに,EicherのEthan Iversonに対する評価が出ているように思える,その一方で,ここでのTom Harrellの吹奏を聞けば,リリースしたくなるのもわかるってところか。

ECMらしくない要素は,2曲のIversonオリジナルを除いて,よく知られたスタンダードを演奏していること。そして,それを非常にコンベンショナルなスタイルで演奏しているということだろう。本作がレコーディングされたのは名門Village Vanguardだが,まさにVanguardにぴったりの音と言ってもよいかもしれない。そして,ライブとは言え,11曲で65分という1曲当たりの演奏時間は結構コンパクトなのも珍しいが,延々と演奏するのではなく,リーダーのIversonとしてはTom Harrellのソロは短くても絶妙な歌心を聞かせることを狙ったように思える。バック・インレイのミュージシャンの並びもTom Harrellがトップに来ているのはそうした心根の表れではないだろうか。

Ethan Iversonはそれまでもアルバムはリリースしてはいても,やはりThe Bad Plusのメンバーとしてシーンに登場してきたと言ってもいいだろうが,ここでやっているのはよりジャズの伝統に即した音楽となっている。どっちがEthan Iversonの本質かは知る由もないが,このアルバムが実に味わい深いのは,Tom Harrellの貢献によるところが大きいと言い切ってしまおう。この人たちに"Sentimental Journey"のような曲がフィットしているとは言えないが,それでもこのアルバムは沁みる。ライナーにはVanguardのオーナーであったLorraine Gordonへの謝辞が記されているが,それもむべなるかなというところ。星★★★★☆。

Recorded Live at the Village Vangard in January 2017

Personnel: Ethan Iverson(p), Tom Harrell(tp),Ben Street(b), Eric McPherson(ds)

2019年9月 9日 (月)

残暑の中で聞くMarilyn Crispell。室温が下がったような気にさせる。

_20190908 ”Storyteller" Marilyn Crispell(ECM)

9月に入っても,まだまだ暑い日々が続く中で,久しぶりに取り出したのがこのアルバム。およそ60分に渡って静謐な音楽が展開され,ある意味現代音楽的な響きさえ感じさせる部分もある音楽である。だからと言って,冷たい感じというよりも,比較的ウォームな感覚を与える部分もあるにはあるが,このジャケットのイメージが音と重なるってところか。

Marilyn Crispellという人は,結構な数のアルバムをECMに残しているが,私が彼女のアルバムをこのブログに取り上げたことはない。私にとってはちょっと敷居の高さを感じさせる人なのだ(笑)。そもそもECMだけでなく,LeoだとかPi Recordingsだとか,彼女がアルバムをリリースしているレーベルはハイブラウなレーベルであるから,そういう風に感じるのもまぁ仕方がない部分はあるのだ(開き直り)。しかし,久々にこのアルバムを聞いてみて,まぁ一般的なリスナーには決してハードルは低くないとして,これなら全然問題ないと思わせるに十分な作品であった。

正直言ってしまえば,これをしょっちゅう聞きたいという気持ちにはならないとしても,この厳しい残暑の中で,部屋をやや涼し気に感じさせるには十分だったというところ。星★★★★。

そう言えば,彼女が参加したJoe LovanoのECMでのアルバムも全然聞けていないねぇ。何とかせねば(笑)。

Recorded in February,2003

Personnel: Marilyn Crispell(p), Mark Helias(b), Paul Motian(ds)

2019年8月19日 (月)

まだまだ続くECM未CD化盤聞き:今日はArild Andersen

Lifelines "LifelinesArild AndersenECM

CD化のECMのアルバムを相変わらず聞き続けている私だが、このアルバムを(多分)初めて聞いて、このいかにもECM的なアルバムがなぜCD化されていないのだろうと思ってしまった私である。メンツとしてもピアノのSteve Dobrogosz以外の3人はECMレーベルに欠かすことのできない人たちであり、にもかかわらずなぜ?って感じが強い。まぁ,Arild Andersenの場合,クァルテット音源を"Green in BlueEarly Quartets"としてボックス化するまで入手が困難だったことを考えれば,Manfred Eicherにとって,Arild Andersenの位置づけはそんなもんなのかもしれないが

しかし,奏でられている音楽はまさにECM的。典型的な4ビートではないにもかかわらず,Kenny Wheelerの鋭いラッパの音を聞いているだけで嬉しくなってしまった私である。このアルバムがリリースされたのは1981年のことだが,既にレーベル・カラーを明確に確立していることがはっきり感じられるアルバムであり,ECMレーベル好きのツボにはまること必定と言いたい。ということで評価もついつい甘くなり星★★★★☆。

Recorded in July 1980

Personnel: Arild Andersen(b),Kenny Wheeler(fl-h,cor),Steve Dobrogosz(p),Paul Motian(ds)

2019年8月14日 (水)

更に続くECM未CD化アルバム聞き:今日はJack DeJohnette’s Directions。

Untitled"Untitled" Jack DeJohnette's Directions(ECM)

ECM/JAPOレーベルの未CD化アルバムのストリーミングに関しては,予定されていた40枚が出揃ったが,まだまだ聞けていないアルバムがある。今日はJack DeJohnetteである。先日,Jack DeJohnette's Directions名義の"New Rags"も取り上げたが,その時にはややとっ散らかった印象とこのブログに書いたが,今回はどうか。本作はその"New Rags"に先立ってリリースされたもので,メンツはほぼ同じながら,Warren Bernhardtのキーボードが加わっているのが違いである。

結論から言ってしまえば,Warren Bernhardtという,Jack DeJohnetteとは合いそうにないようなプレイヤーのキーボード・プレイがいい感じのクッションになっているように感じられた。相変わらず本作においても多様な音楽が試されており,2曲目なんて,無理やりインド・フレイヴァーでやってしまいましたってところもあり,この辺りにはう~むとなってしまった私である。4曲目の"The Vikings Are Coming"というタイトルとは全く印象が異なる牧歌的な曲調もある。そして,最後の"Maribu Reggae"のイントロに至ってはムード・ミュージックかっ?と言いたくなるようなもので,リスナーとしては戸惑うのは"New Rags"と同じ感じである。

まぁ私としてはWarren Bernhardtの生み出すグルーブの分,"New Rags"よりはこっちの方が好きかなぁって気もするが,それでもこちらも相当にとっ散らかった印象はほとんど同じであり,この頃のECMレーベルの作品のプロデュースの質にはまだ問題があったという感じなのだ。Manfred Eicherもまだ若かったってところか。そうは言いながら冒頭の"Flying Sprits"とかは実にカッコいいんだが...。だからこそ何だかもったいないって気がする一枚。星★★★☆。

Recorded in February, 1976

Personnel: Jack DeJohnette(ds, ts), John Abercrombie(g), Alex Foster(ts, ss), Warren Bernhardt(p, el-p, key, perc), Mike Richmond(b)

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