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カテゴリー「クラシック」の記事

2025年12月23日 (火)

2025年の回顧:ライブ編

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年の瀬も押し迫ってきたので,今年の回顧を始めようと思う。最初は年内の予定が終了したライブからである。今年行ったライブだが,計31本。大体月あたり2.5本ってことになる。昨年も31本だったから全く同じペースであった。

今年はがっくり来るようなライブはほとんどなく,基本的には満足のいく演奏を聞かせてもらったと思うが,その中でも印象に残っているのが,Brad Mehldau~Christian McBride~Marcus Gilmore@紀尾井ホール,Brian Blade & the Fellowship Band@Cotton Club,SFJazz Collective@Blue Note東京,そしてKlaus Mäkelä+パリ管@サントリーホール。一方,参考までにではあるが,一番つまらなかったのがJames Mason@Blue Note東京であることは間違いない(きっぱり)。

Mehldau~McBride~Gilmoreは実力者によるトリオによるオーセンティックなジャズ演奏の醍醐味を感じさせたし,Brian Bladeはゴスペルに根差した音楽性をリアル体験できたことの喜びが大きかった。SFJazz CollectiveはクリポタことChris Potterのリーダーシップもよい上に,メンバーのソロのレベルも上々だった。そしてKlaus Mäkelä+パリ管が聞かせた躍動感は実に素晴らしく,本当にワクワクしてしまったのであった。いろいろな意味で最も楽しんだのはKlaus Mäkelä+パリ管だったかもしれない。ということで,代表するライブとして彼らのコンサートの模様の写真を貼り付けておこう。

そのほかにもCamila Mezaもよかったし,Lars Janssonもよかった。Arooj Aftabは面白かったし,Stingも楽しかった。そして急遽お誘い頂いて参戦した上原ひろみのエンタテインメント性溢れる演奏も忘れられない。ということで,今年も充実したライブ通いだったと思う。来年の一発目はLee RiternourのGentle Thoughtsリユニオンだが,Anthony Jackson追悼も込めた素晴らしい演奏を期待したい。

2025年12月 3日 (水)

らじる★らじるで聞き逃したDutoit/N響のオール・ラヴェルを振り返る。

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海外出張の日程と重なり泣く泣く聞き逃したDutoit/N響のオール・ラヴェル・プロをNHKのネットラジオ,らじる★らじるで聞いた。生で聞くのとは全く異なるはずだとは思いつつ,こうして聞き逃した演奏に触れられただけでもよしとせねばなるまい。

冒頭の「亡き王女のためのパヴァーヌ」こそ馴らし運転って感じがしない訳でもなかったが,「クープランの墓」からして相当な出来だと感じさせ,「ダフニスとクロエ」への期待値を高める演奏ぶりであったと思う。

そして「ダフクロ」だが,これを生で聞いていたら興奮必定,音響が炸裂した際には,現場にいれば血沸き肉躍ると感じたこと間違いなしの激演であり,間違いなく凄かったであろうと確信しうるライブであった。エンディングに向けての二期会合唱団の歌いっぷりも素晴らしく,いやはや強烈なクライマックスであった。

仕事上の都合とは言え,改めてこの演奏を聞き逃し,見逃したことを痛切に悔やんだ私である。今後のTV放送を待つだけでなく,こうなったらDutoitが振った「惑星」も聞けるうちに聞くことにしよう。

2025年11月23日 (日)

Raphael Payare / Emanuel Ax / N響@サントリーホール参戦記

Payare-with-nhk-symphony-orchestra

ここのところ,仕事の都合でクラシックのコンサートを立て続けに2回聞き逃した私であったが,ようやく久々のオケを聞くべくサントリーホールに行ってきた。今回はヴェネズエラ出身のRafael Payareが「英雄の生涯」をメインに振り,Emanuel AxがモーツァルトのP協25番のソロイストというプログラム。

Ax-at-suntory-hall 私はRafael Payareを聞くのは初めてだったが,「英雄の生涯」におけるエネルギッシュな振りっぷりは,まだ40代半ばだからできるという感じのものだった。冒頭の「マンフレッド序曲」は無難な出だしというところだろうが,続くモーツァルトがなかなかよかった。とか何とか言いながら,第2楽章では心地よさゆえに少々眠りに落ちた私だったのだが,Emanuel Axのタッチはソフトな感じで,美しい響きを聞かせていたと思う。ひょこひょこ歩く姿は爺さんそのものだが,紡ぎ出されるピアノの音は実によかった。ソロイスト・アンコールとして弾いたシューベルトの「セレナーデ」もナイスなアンコール・ピースだったと思う。

それでもって「英雄の生涯」だが,私がクラシックのオーケストラの生を聞く場合は,リヒャルト・シュトラウスを選ぶ回数が結構多いなぁと思ってしまうが,まぁそれは大編成のオケの音を聞きたいからだろうなぁと思っている。今回の演奏自体も決して悪いとは思わないし,コンマスの長原幸太のソロもいい響きだったと思った。しかし,なぜか今回の演奏に高揚感をおぼえなかったのは,私に先週のきつい海外渡航の疲れが残っていたのか,はたまた演奏前に酒を飲み過ぎていたのかは不明だが,オケの響きに血沸き肉躍るという感覚をおぼえなかったのも事実なのだ。

まぁそれは演奏者側の責任と言うよりも,私の横にNHKのカメラがあって,少々落ち着かなかったということもあるかもしれないが,聴衆の盛り上がりもそれほどではなかったのは,聴衆の高い年齢層ゆえか,あるいは同日に横浜でベルリン・フィルの演奏があって,そっちにその筋(笑)の客が流れていたか?とうがった見方をしてしまった。

正直なところ,私にとっては可もなく不可もなくってところの演奏だったように思う。結局Axのピアノが一番よかったってことになるのかもしれない。

尚,写真はネットから拝借。

Live at サントリーホール on November 20, 2025

Personnel: Raphael Payare(cond), Emanuel Ax(p), NHK交響楽団

2025年9月13日 (土)

またもイタリア文化会館でのライブを聞く。今回はヴァイオリンのリサイタル。

Francesco-dorazio毎度お馴染みイタリア文化会館の無料ライブである。今回はFrancesco D'Orazioなるヴァイオリニストのリサイタル。一部でもう一人のヴァイオリン,毛利文香が加わり二重奏となるが,基本はヴァイオリン独奏。

イタリア文化会館の応募の仕組みが変わったことは前回の同地訪問の時の記事にも書いたが,以前は常にフルハウスだったのが,ここ2回は完全フルハウスになっていないのは,この仕組みに追随できない高齢者が多いのか?なんて勘繰ってしまうが,まぁそれはそれでよかろう。

プログラムはバロック期の作曲家,タルティーニにバッハが古典,それ以外が細川俊夫とベリオという現代音楽の組合せはユニークだと思う。バッハは「シャコンヌ」だしねぇ。私が興味津々だったのが細川俊夫の「ヴァイオリン独奏のためのUTA」だったのだが,これは細川が今回の主役であるFrancesco D'Orazioに献呈したものらしい。会場には細川俊夫本人も来ていたようだが,そこはかとなく雅楽のような響きさえ感じさせる部分もある曲調が,現代音楽にはまってしまった私には面白かった。

毛利文香はベリオの「2つのヴァイオリンのためのデュエット集」での登場だったが,これが短い曲の組曲みたいな感じで,これまたユニークだった。まぁプログラムの中で一番受けていたのは「シャコンヌ」なのは致し方がないところだとは思うが,こういうチャレンジングなプログラムで演奏してしまう,かつそれをただで聞けるというチャンスはそうあるものではない。イタリアの文化に対するサポートぶりがまたも嬉しく感じたのであった。開演前には1時間の演奏の予定というアナウンスがあったが,アンコール3曲含めてトータル約80分のプログラムは非常に面白かった。ただ,「シャコンヌ」は世の多数の名演と比べると...ってところではあったが。

そして言っておきたいのが,ここの聴衆にはちょっと癖の強い人が多いということだろう。私の横の人は完全熟睡モードなのは,この手の音楽に興味がなければ仕方がないとして,私の前の人はちょっとしたノイズにもとにかくヴィヴィッドに反応する神経過敏気味の方ってことで,前の人の反応ぶりが気になって仕方がなかった私である。前回は落ち着きのないガキンチョ,今回は神経過敏の大人ってことで,まぁしょうがないな,ただだから(爆)。

いずれにしても,ここのライブのシリーズはなかなか聞けないプログラムも多いので,これからも注目していくつもりだ。

Live at イタリア文化会館 on September 11, 2025

Personnel: Francesco D'Orazio(vln),毛利文香(vln)

2025年7月29日 (火)

聞くのはいつ以来かも全く記憶にないベートーヴェンの弦四。

_20250726_0001 "Beethoven: String Quartets Op.18 Nos. 1 & 2" Alban Berg Quartet (EMI)

このブログに所謂室内楽が登場することは極めて稀で,過去を振り返っても同じくAlban Berg Quartetによるバルトークの弦四を取り上げただけだと思う。まぁ保有するCDも少ないので当たり前と言えば当たり前なのだが,今日は気まぐれでベートーヴェンの弦四である。

今や全集がCD7枚組で¥2,000かそこいらの値段で買えてしまうというところに隔世の感があるが,ジャケ写真をご覧頂けばお分かり頂けるとおり,私が保有しているのは分売されたものなので,CDの数も10枚だ。多分これらを買ったのは私がNYCに在住している頃だったと思うが,その時の購入価格との違いは今にして思えば無茶苦茶大きい。

私のクラシック音楽における嗜好がピアノ音楽やオーケストラ音楽の方が強いため,これらのアルバムもそれ以来大した回数をプレイバックしている訳ではないが,それでも世評は当時から確実に確立されている演奏だったと思う。改めて聞いて,こういうのを放置してはいかんと反省するとともに,たまには弦四もいいねぇと思ってしまった。もちろん元々の曲,演奏のよさがあってのことだが,実に素晴らしい。こうなったら全部聞き直さねば(笑)。

Recorded in 1980 and 1981

Personnel: Alban Berg Quartet <Günter Pichler(vln), Gerhard Schulz(vln), Hatto Beyerle(vla), Valentin Erben(cello)>

2025年7月21日 (月)

高橋悠治がサティを再録していたことを今更知る。

Photo_20250719173301 「エリック・サティ:新・ピアノ作品集」高橋悠治(日本コロムビア)

高橋悠治がサティのアルバムを出したのが1970年代のことで,ある意味,サティの定番と言ってもよい地位を確立しているから,私もその3枚は保有している。いやいやサティと言えばAldo Ciccoliniだろう,あるいは高橋アキはどうした?という声もある中で,私はサティにそれほどの思い入れがないので,まぁ高橋悠治のサティで十分だと思っている。

そんな私なので,高橋悠治が2017年にサティを再録音していたというのは全く認識していなかった。録音時には傘寿に近づく年齢となっていた高橋悠治だが,今回は「ジムノペディ」,「グノシエンヌ」,「サラバンド」,「ノクチュルヌ」,そしてボートラ扱いの「ジュ・トゥ・ヴ」というプログラムである。「サラバンド」は先の3枚のアルバムには収録されていないものの,ある意味鉄板のプログラムを演奏したのは意外と言えば意外ながら,前者4つのプログラム間に「1886年の3つの歌」の高橋悠治によるピアノ編曲版を挟むというところに意外性を打ち出しており,そしてその3曲に全くの違和感がないこと自体が素晴らしいと思った。

これも私はストリーミングで聞いたのだが,これならフィジカル媒体を買ってもいいとも思えるような出来だと思った。そうは言っても購入したところで,プレイバック頻度が上がる訳ではないから,ここは我慢だろうな(苦笑)。いずれにしても,この時の高橋悠治は全く枯れていないと思わせるに十分な演奏集であった。自分の無知を恥じて星★★★★★としよう。

このレコーディングの背景については,水牛のWebサイトに掲載された服部玲治の記事を読むと面白い(記事のアーカイブはこちら)。ご関心のある方はどうぞ。

Recorded at 五反田文化センター 音楽ホール on June 20 & 21,2017

Personnel:高橋悠治(p)

本作へのリンクはこちら

2025年7月 8日 (火)

越境型Brad Mehldauのブートレッグ登場。正直言って期待値は高くない(笑)のだが聞かずにはおれん。

_20250707_0001 "Brad Mehldau and Rundfunk Sinfonieorchester Berlin 2025" (Bootleg)

ジャズの枠に留まらない活動をするBrad Mehldauであるが,正直言って彼が書いたピアノ・コンチェルトはブートレッグで聞いても,ライブで聞いても失敗作だったと思っている。何でもかんでもうまく行く訳ではないということではあるが,そんなBrad Mehldauがまたもクラシックとの融合を図るライブを,今年6月にベルリンで行った際の放送音源がブートレッグとしてリリースされたので早速聞いている。

今回のコンサートはベルリン放送交響楽団と"Mehldau Meets Bach"と題するものである。Disc 2の前半は私の評価が低いピアノ・コンチェルトなので,ここはそれ以外のプログラムに注目したい。Disc 1はバッハの「平均律(ストラビンスキー編曲)」,「音楽の捧げもの(ウェーベルン編曲)」,「フーガの技法(指揮のClark Rundell編曲)」からベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」の「サンクトゥス」へと続くプログラム。Brad Mehldauのピアノのタッチも美しく,ここでのオケとピアノの融合具合は決して悪くないと思う。自作のピアノ・コンチェルトをやるより,私にとってはこういう感じのアダプテーションの方が馴染みがいい感じがしてしまうと言っては言い過ぎか。

Disc 2でピアノ・コンチェルトに続いて演奏しているのが,ブートのクレジットでは"Glodberg Variations"となっているのだが,これは記譜されたバッハの音楽ではなく,ゴルトベルクにインスパイアされた即興(変奏曲)というところであろう。それに続くのが"Things Behind the Sun"と"Waltz for J.B."で,この3曲はアンコール・ピースって感じだと思う。この辺りの演奏は本来のBrad Mehldauの真骨頂ゆえ,はずれはないところだ。

そして当日メインで演奏されたであろうピアノ・コンチェルトであるが,プログラム上は"Dedicated to Herbie Hancock"となっている。これまでこの曲に関して,Herbie Hancockの名前が出てきたことはなかったはずだが,なぜここに来て突然Herbie Hancockに捧げられたのかは全くの謎である。曲はこれまで演奏されてきたものと同じであり,Herbie Hancockを連想させるものでもないだけに,これはどうも解せないと思うのは私だけではないだろう。まぁ演奏としては以前よりはこなれてきた印象はあるが,曲そのものが盛り上がりに欠ける部分は否定できないので,評価が爆上がりするということはないな。

まぁこういう演奏も聞いておく必要があるというのが,私のBrad Mehldauという人への評価であり,ファン心理であるから,これはこれで不満はないと言っておこう。

Recorded Live at the Haus des Rundfunks, Berlin on June 14, 2025

Personnel: Brad Mehldau(p),Clark Rundell(cond),Rundfunk Sinfonieorchester Berlin

2025年6月21日 (土)

Klaus Mäkelä+パリ管@サントリー・ホールを振り返る。

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既にお知らせの通り,若き俊英,Klaus Mäkeläが振るパリ管を聞きに,サントリー・ホールに行ってきた。サンサーンス「オルガン付き」に,ベルリオーズ「幻想」という濃い~プログラムであるから期待も膨らむ。振り返ってみれば,海外のオケを聞くのは2022年のボストン響以来なので,およそ2年半ぶりのことになる。チケット代も高騰しているから,国内オケはさておき,海外オケの演奏会にはそうは行けないというのも事実だし,ほかのジャンルのライブにも通っているので,まぁ仕方ないのである。

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今回は2階のステージ横の席からということで,Mäkeläの表情がよく見える席であったが,上の写真は前日のミューザ川崎での模様ながら,まさにこのような表情で,特に「オルガン付き」では譜めくりをしながらも楽しそうに振る姿が印象的であった。この表情を見るだけでも演奏の成功は保証されたようなものであった。

「オルガン付き」にしても「幻想」にしてもフランス音楽の中でも,最も派手めの選曲ということになると思うが,聴衆の期待を裏切らない強烈な躍動感を感じさせる演奏で,私は心中「お~,いぇい」と思っていたのであった(笑)。ことに私がひとかたならぬ思い入れのある「幻想」については,先日ストリーミングで聞いたアルバムでの演奏をはるかに越えるダイナミズムには,まじでワクワクしてしまった。

そもそも第一部の「オルガン付き」から尋常ならざる盛り上がりっぷりで,こんなにやっちゃって第二部は大丈夫なのかとさえ思ってしまったが,上述の通り,全編楽しそうに振るMäkeläを見ていると,「若いっていいねぇ」なんて年寄臭いことを思っていた私であった。オルガニストは,パイプ・オルガンのところに鎮座するのかと思ったら,ステージ上にオルガンらしきものがあり,そこで弾いていたのだが,聞いているとそれが後方のパイプ・オルガンと連動していて,へぇ~と思ってしまった。どのように連動させているのかは全く謎だったが,これもテクノロジーの進化か。

そして「幻想」である。私が感心したのは,私があまり面白いと思っていない3楽章でさえ聞かせる演奏だったことで,全編を通じてオーケストラを鳴らせるMäkeläの技術は大したものだと思っていた。弦も管もパーカッションも鳴らしまくりであったが,オケのメンバーを見ていて,前半はほぼ出番のない金管部隊が手持ち無沙汰のようにしていたのがおかしかったが,4楽章以降にそれまでのうっ憤を晴らすようにさえ思える吹きっぷりで応えていた。それにしても,パリ管の木管の上手いのには正直驚いてしまった。特にリード・ファゴットの演奏ぶりは横から見ているだけでも楽しかった。5楽章の「鐘」はステージの袖で叩いているのが私の席からはよく見えたのも面白かった。そして指揮台上で前後左右への動きも活発なMäkeläの指揮ぶりは,若い指揮者というのはこういうものかと思わせつつ,この人は年齢を超越した技を持っていると思えた。

そして昨今の演奏会には珍しく,アンコールは2曲。ラヴェル「クープランの墓:リゴドン」とビゼー「カルメン前奏曲」で締めたが,とにかく本チャンの2曲の印象があまりにも強烈だった。そして聴衆の熱狂ぶりも尋常ならざるものがあり,これだけ聴衆を興奮させる指揮者もなかなかいないという思いを強くした。チケット完売の理由もよくわかる。財布には痛かったが,行ってよかったと思えるまさに血沸き肉躍る激演。パリ管のメンバーが終演後ハグしあっているところにも,彼ら自身の満足感も感じられた後味もよい演奏であった。

Live at サントリー・ホール on June 19, 2025

Personnel: Klaus Mäkelä(cond),パリ管弦楽団

2025年6月17日 (火)

Gustav Leonhardtの「ゴルトベルク」を久しぶりに聞いてみる。

Leonhardt-goldberg "Bach: Goldberg Variations" Gustav Leonhardt (Teldec)

私は学生の頃から古楽のアルバムを結構買っていたが,多くはCDに置き換わっており,今やアナログで残っているのはSeonから出たヘンデルの「木管ソナタ」,Pro Cantione Antiquaのルネサンス・ポリフォニーの6枚組,そしてGardinerが振ったヘンデルの「ヘラクレス」ぐらいのものだ。しかし,ヘンデルの木管ソナタも今やSeonの85枚組ボックスにも入っているから,持っている必要があるのか?と言われれば疑問だし,ほかの2組も久しく聞いていない。今でもSeonのボックスは手軽に取り出せる場所に鎮座しているので,たまに思い出したように聞いているが,その程度の聞き方になってしまった。まぁいろんなジャンルの音楽を手広く聞いているのだから仕方がないのだが,それでも気まぐれというのはたまに起こるのが常だ(笑)。

ということで,今日はGustav Leonhardtによる「ゴルトベルク」である。気まぐれと言っても,今回の気まぐれには契機があって,ブログのお知り合いのmonakaさんがこのアルバムをご紹介されていたことが影響しているから,正確には気まぐれではないか...。

私が以前保有していたのはHarmonia Mundi盤だったはずだが,実は以前はその演奏にはピンと来ていなかった記憶がある。音のせいなのか,Leohardtのテンポの取り方のせいかはもはや記憶が定かではないのだが,当時はピアノ盤の方が私にはフィットしていると感じていたのかもしれない。と言うより当時のGould新盤のインパクトの方が強過ぎたってところか。Leonhardtの演奏はSeonの「フランス組曲」なんてそれこそいいねぇと思っていたから,やっぱりGouldのせいか?(笑)。それでもって,今回はHarmonia Mundi盤の前に,LeonhardtがTeldecに吹き込んだ60年代の演奏をストリーミングで聞いた。

そして,これが実に耳に心地よいのだ。ストリーミングで聞いてもこれは音がよかったのではないかと思えるような演奏であった。改めてチェンバロで聞く「ゴルトベルク」の魅力を再認識した私であったが,こういうのが契機になって,また手持ちのCDやアナログを聞き返す機会になるのだから,気まぐれ(及びお知り合いの紹介)も大事だってことで。

Recorded in April, 1964

Personnel: Gustav Leonhardt(cembalo)

本作へのリンクはこちら

2025年6月 8日 (日)

来日目前:Klaus Mäkelä+パリ管の「幻想」をストリーミングで聞く。

Symphonie-fantastique "Berlioz: Symphonie Fantastique / Ravel: La Valse" Klaus Mäkelä / Orchestre de Paris(Decca)

来日を目前に控えたKlaus Mäkelä(クラウス・マケラ)+パリ管であるが,私もサントリーホールにおけるコンサートに行くことになっている。何てたってプログラムがサン・サーンス「オルガン付き」とベルリオーズ「幻想」なのだ。そもそも私の「幻想」好きは筋金入りと言ってもよいが,まだ30歳にも満たないにもかかわらず,今年だけでパリ管とコンセルトヘボウで来日するKlaus Mäkeläがどのように「幻想」を振るのかということに興味は集中してしまう。ということで,予習も兼ねてストリーミングで公開されたばかりの「幻想」と「ラ・ヴァルス」のカップリングを聞いた。

「幻想」は冒頭の第1楽章から随分とゆったりとしたテンポで入るなぁというのが第一印象。そして徐々にダイナミズムを増すというのはこの曲の特性と言ってもよいが,ここで高揚感を盛り上げる必要があるので,そこは問題なくクリア。それにしても録音のせいもあるかもしれないが,弦の分離が明確に感じる。そして私が「幻想」で最も好きな第2楽章だが,ここではコルネットなし版。私が好きな「幻想」の演奏はほぼコルネット入りと決まっているのだが,ここはパリ管の「幻想」と言えばCharles Munchということで,Munchに倣ったと解釈しよう。弦の鳴らせ方がここでも明確かつ明瞭に聞こえるところが,この人の特徴か。ここでのワルツの振りっぷりはなかなかよかった。

私の中ではいくら好きな曲でも,牧歌的にも響く次なる第3楽章はやや冗長に感じられる「中だるみ」楽章(笑)なのだが,そういう楽章でもそれなりには聞かせる演奏だと思えるのは立派。そして第4楽章,「断頭台への行進」はオーケストラのダイナミズムが最も顕著に表れる部分だが,弦のみならず,管もよく鳴っていると感じられた。まぁこの楽章の繰り返しが必要かどうかは議論のあるところだと思うが,盛り上がるからよしとしよう。そして終楽章は私が「幻想」に感じる魅力が凝縮されていると言ってもよい。この何とも劇的な感覚をうまく引き出した演奏だと思えた。これをライブで聞けば確実に燃える(きっぱり)。

全体的に見ればよく出来た演奏だが,これが私の中で最高の「幻想」となるかと言えば,必ずしもそうではないかもしれない。しかし,それでも東京でのライブへの期待値は高まった。サントリーホールでは是非とも私を燃えさせて欲しいものだ。

私にとってはオマケと言ってもよいので,ここでは「ラ・ヴァルス」については多くを語らないが,ここでも弦の響きが美しく,中盤~後半の管の響きもよかった。

Klaus Mäkeläは2027年からコンセルトヘボウの首席のみならず,シカゴの音楽監督にも就任予定って凄いことだなぁと思うが,それだけ期待の集まる指揮者ってことなのは明らかで,ライブではどのように「幻想」を振るのかを楽しみに待ちたい。

Recorded in September and December, 2024

Personnel: Klaus Mäkelä(cond),Orchestre de Paris

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