The Cure:ウェットでダークなブリティッシュ・ロックの典型。
"Songs of the Lost World" The Cure(Fiction)
昨年11月にリリースされたこのThe Cureのアルバムは,世間での評判もすこぶるよいので,ストリーミングで聞いて気に入ってしまったので,ボーナス・ディスク入り3枚組を海外から飛ばしたものがようやくデリバリーされた。
このブログにも何度も書いているが,私はロックに関しては完全にアメリカ指向で,ブリティッシュ・ロックはBeatlesやStones,あるいはRoxy Musicやプログレを例外としてあまり聞いていないと言ってもよい。もちろん,有名どころは聞いているつもりだとしても,フォローは全然足りていないというのが実態だ。実のところ,The Cureについてもほとんど聞いたことはないし,アルバムは一枚も保有していなかった。
ではこのThe Cureの16年ぶり(!)らしいこのアルバムがどうして私に訴求したのかと言えば,このアルバムに収められた音こそ,私がイメージするブリティッシュ・ロックらしいウェットかつダークな響きに溢れていたからだ。これが私を刺激するに十分な音楽だったと言ってよいし,歌詞もパーソナルな響きに満ちていて,(全部が全部ではないが)アメリカン・ロックが持つ「カラッとした明るさ」とは対極にあると言ってもよい。まさに深淵と呼びたくなるようなサウンドであった。
ボーナス・ディスクの2枚目はインスト・ヴァージョンなのだが,これまたこれだけでも十分楽しめてしまうという音の作りが,Robert Smithの歌のバックで構成されていたということを感じさせて,これも聞きものであった。まさにブリティッシュ・ロックの王道として評価したい。星★★★★★。昨年のリリースだが,まだ3か月も経過していないこともあり,新譜扱いとさせてもらおう。
Personnel: Robert Smith(vo, g, b, key), Simon Gallup(b), Jason Cooper(ds, perc), Roger O'Donnell(key), Reeves Gabrels(g)
本作(1枚もの)へのリンクはこちら。
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