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カテゴリー「新譜」の記事

2022年5月16日 (月)

これも無駄遣いと言えば無駄遣い:Patti SmithのRecord Store Dayに出たベスト盤。 #PattiSmith

Patti-smith-curated-by-rsd "Curated by Record Store Day" Patti Smith(Arista)

恒例となったイベント,今年のRecord Store Day(RSD)においてリリースされたPatti Smithのベスト盤(アナログ2枚組)である。私はPatti Smith教の信者として,彼女の公式アルバムはベスト盤"Land"を含めて全て保有しているのだから,敢えてこのアルバムを買わなくたって,ここに収められた音楽は聞ける。つまり,普通の人から言わせれば,無駄遣いってことになる。

ではなぜ私がこのアルバムを購入に至ったかと言えば,それは偏にこのジャケットにある。場末のレコード・ショップらしきところで,Patti Smith様が抱えているのは"A Love Supreme"ではないか。くぅ~,これほど雰囲気のある写真があるか!ってことで,このジャケット欲しさにアルバムを買っているのだから,アホと言われれば返す言葉はない。しかし,いいのだ。ファンとはそういうものだ。私はファンというレベルを越えた信者なのだから,これが本当のお布施のようなものである(爆)。

収録された21曲はどれもが馴染みのあるものだが,なぜ"Cureted by Record Store Day"と題されているかと言えば,選曲したのがRSDの共同創設者,Michael Kurtzだから。偏にRSDへのPatti Smithの賛同の意思が感じられるアルバム。ここに収められた曲を聴いて改めて痺れてしまった私であった。

2022年5月 2日 (月)

ピアノ以外の現代音楽もってことで,今日はKremerによるWeinbergの無伴奏ヴァイオリン・ソロ。

_20220428-2 "Mieczysław Weinberg: Sonata for Vilolin Solo" Gidon Kremer(ECM New Series)

私は現代音楽と言えば,ほぼピアノ独奏のものを好んで聴いているのはこのブログの読者にはバレバレだと思うが,たまには違うのもってことで,今日は無伴奏ヴァイオリンである。無伴奏ヴァイオリンと言えば,私の場合,バッハかバルトークに決まっているってところだが,このMieczysław Weinbergという人は全く聞いたことがない。しかし,近年,この人の音楽をGidon Kremerが取り上げることが多いのはなんでやねん?という興味もあって聞いてみた。

結論から言えば,60~70年代に書かれた曲にしては,いかにも現代音楽みたいな小難しいところはなく,まぁバルトークを聞いているような雰囲気で接することができるって感じではないか。と言いつつ,最近,私もバルトークの無伴奏なんて久しく全然聞いていないから,印象でしか言えないのだが,現代性は感じさせつつもリスナーを拒絶する感じはない。なので,鑑賞音楽としても成立すれば,小音量で流していれば,アンビエントにもなりうる感じと言っては怒られるかもしれないが,そういう感覚なのだ。でも優しい曲ではないのは確かだ(きっぱり)。

このアルバムには3曲の無伴奏ソナタが収録されているが,これを聞いて,バッハよりも久しく聞いていないバルトークの無伴奏ソナタを聴きたくなったというのも事実で,音楽を聴くという視点からは,いずれにしても結構いい影響を与えてくれたと思う。

Gidon Kremerは近年,このMieczysław Weinbergの音楽にご執心のようであるが,75歳記念盤で出してくるところにも相応のこだわりがあるってことだろうし,演奏には相当の集中力を要しながら,敢えて出してくるところが凄いねぇと思ってしまう。そうした点も評価して星★★★★☆。

正直言ってしまえば,本作については音楽として評価できるほどちゃんと聞き込めていないが,私も現代音楽として聞くのはピアノだけでなく,もう少し幅を広げてもいいかなと思ってしまうところに,Manfred Eicherの術中にまんまとはまっている自分を感じざるをえない。いずれにしても,このアルバムも然りであるが,Eicherのセレクションは特殊にもかかわらず,どうしてはまってしまうのか?と言いたくなってしまった。

でもまずは父も好きだったバルトークを聞き直すことにしよう(笑)。

Recorded in July, 2013 and December, 2019

Personnel: Gidon Kremer(vln)

2022年5月 1日 (日)

ど渋!Taj MahalとRy Cooderのブルーズ・アルバム。これは実に嬉しい! #TajMahal #RyCooder

_20220428 "Get on Board" Taj Mahal & Ry Cooder(Nonesuch)

長年,私はRy Cooderの音楽に接してきたが,その幅広い音楽への目配りに感心する一方,なぜRy Cooderが好きだったのかと言えば,そのスライド・ギターの腕によるところが大きい。今やスライドと言えば,Derek Trucksって感じだが,Ry Cooderのスライドとはやや趣が異なると思う。例えばアコースティックでごつごつした感じの音を出すRy Cooderのスライドは,それはそれで一つのスタイルを確立していて,Derek Trucksと違った魅力がある。そのRy Cooderのスライドの魅力もこの新譜では強烈に表れているところが,私としては実に嬉しいのだ。

今回のアルバムのサブ・タイトルには"The Songs of Sonny Terry & Brownie McGhee"とある。不勉強にして,Sonny TerryとBrownie McGheeの音楽は私は聞いたことがない。彼らの音楽はピードモント・ブルーズというスタイルだそうだが,そもそもはギター・スタイルを言うらしい。こういう音楽に対するRy Cooderのギターやマンドリンのフィット感が半端ではないのに加え,Taj Mahalのハーモニカ,あるいはご両人のヴォーカルが超渋い。アメリカン・ロック好きの私としては,こういう音を出されるだけで全面的にOKなのだ。

しかもこの音楽にフィットした,意図的と思えるローファイなサウンドがまたいい感じなのである。Ry Cooderがライナーに書いている"We care enough to bring you the best. We're the old timers now."というセリフが象徴しているが,年齢を重ねたからこそできる音楽ってのもあるのだということを強く感じさせる素晴らしいブルーズ・アルバム。Taj Mahal,79歳,Ry Cooder,75歳。後期高齢者と言え,全然枯れてない。たまりまへん。当然星★★★★★だ。

Personnel: Taj Mahal(vo, hca, g, p), Ry Cooder(vo, g, mandolin, banjo), Joachim Cooder(ds, b), The Ton3s(vo)

2022年4月27日 (水)

Tord Gustavsenの新譜:内省的な響きが思索へ誘う。 #TordGustavsen

_20220425 "Opening" Tord Gustavsen(ECM)

待望のTord Gustavsenの新作の登場である。前作"The Other Side"が2018年だったので,4年近くの時間が経過している。私はこれまでTord Gustavsenの音楽を基本的に高く評価してきた。辛めの評価をしたのは"Restored Returned"ぐらいで,その内省的で美しい響きにはまいってしまうというのが常なのだ。そんなTord Gustavsenの新作も,私の想像そのままの響きが届けられたと言ってもよい。

これまでのアルバムからはベーシストが交代しているが,Steinar Raknesが一部で響かせるアルコの響きやエレクトロニクスの活用が,見事にTord Gustavsenの音楽と相乗効果を生み出すという感じである。いつもながらのことではあるが,これだけ内省的な響きを出されれば,聞いている方は思索ための時間を取ることが可能になりそうだとさえ思ってしまう。世の中が騒々しい中で,こうした時間を与えてくれるこういう音楽は貴重だ。10曲目の"Ritual"のみ,ほかと違ったアブストラクトな感覚を持つものとなっているが,これはこれでありだと思えるものの,やっぱり浮いている。

前作をレビューした時にも書いたのだが,私はTord Gustavsenの音楽を聞いていると,宗教的なところを感じてしまうが,ほぼ全編を通じて,静謐な中に静かな祈りでも捧げたくなるような音楽なのだ。こういう音楽をライブで聞いたらどうなってしまうんだろうと思ってしまうが,部屋で聞いていたら,久しぶりに膝を抱えたくなってしまった(笑)。ちょっと甘いと思いつつ,星★★★★☆。

Personnel: Tord Gustavsen(p, electronics), Steinar Raknes(b, electronics), Jarle Vespestad(ds)

2022年4月26日 (火)

Matt Slocumの新作:水彩画のようなタッチと言うべきか。穏やかな気分にさせてくれる。 #MattSlocum

_20220424"With Love and Sadness" Matt Slocum(Sunnyside)

Matt Slocumの前作,"Sanctuary"はなかなかよく出来たピアノ・トリオによるアルバムであった(記事はこちら)。前作のピアノは最近新作をリリースしたGerald Claytonだったが,本作ではTaylor Eigstiに代わり,Walter Smith IIIがテナーで加わるという布陣である。ベースは引き続きLarry Grenadierであるから,これはなかなか期待できるメンツである。

そして,本作でも前作同様,趣味のよい音楽を聞かせてくれるが,これは決して「熱い」ジャズではない。私が受けた感覚は主題のように,水彩画とでも言いたくなるような淡さを感じさせるタッチと言えばいいだろうか。一言で言えば穏やかな音楽なのである。だが,その背後にあるテーマは結構深いものであり,差別を含めたネガティブな社会的な問題からの解放や変化という観点で,収められた7曲の組曲の中でマイナー・キーからメジャー・キーへ転換していくというものだ。それでも,最後の"America Revisited"はPat Methenyの"This Is Not America"にインスパイアされたものとある。"This Is Not America"がハリケーン・カトリーナによる被害に対する音楽的回答であったというMatt Slocumの理解に対して,その後のアメリカは進化したかどうかについては疑問を提示しているから,楽観的な視点で書かれてはいないということになるが...。だが,そうした背景を理解しなくても,純粋に音楽だけでも楽しめるものだと思える。ただ,Matt Slocumの心象を含み置けば,音楽に対する感覚も異なって来るとは思う。

更にMatt Slocumが本作でこだわったのはアナログによる制作であったとライナーにはある。そうした意味では本来はアナログLPでA面からB面への流れで聞いて欲しいというところなのだろう。

いずれにしても,Matt Slocum自体の日本における知名度はまだまだってところだろうが,本作にしろ,前作にしろ,更に注目されてよいアルバムであり,Matt Slocumは作曲能力も含めてなかなかの才人と思う。そうした意味も含めて,星★★★★☆としよう。

Recorded on June 30, 2021

Personnel: Matt Slocum(ds), Walter Smith III(ts), Taylor Eigsti(p, el-p), Larry Grenadier(b)

2022年4月24日 (日)

超爽快!坂田明と森山威男のデュオが発掘された。

_20220419 「ミトコンドリア」坂田明&森山威男(Trost)

私がフリー・ジャズに求めるものは「ぐうぁ~」(笑)という音の塊によって生み出される爽快感と言ってもよい。私にとってフリー・ジャズは深刻ぶって聞く音楽ではない。小難しいことを考えるのでなく,身体を揺らすように煽って欲しいのだ。山下洋輔トリオの演奏なんてのはその筆頭みたいなところがあるが,その山下トリオをかつて支えた坂田明と森山威男の86年のデュオ・ライブ音源が突如発掘されて,なぜかオーストリアのTrostレーベルからリリースされた。しかもミキシングをやっているのはJim O'Rourkeってなんでやねん?

それはさておき,この二人がデュオをやれば,大体どういう音になるかは想像できるのだが,結果は予想通り。笑ってしまうのは,こういう音楽を教会でやってしまうってことだが,これが強烈である。坂田明らしいフレージングを煽る森山威男のドラムスによるパルスに興奮しない奴はもぐりだと言いたくなる。冒頭の坂田明のクラリネット・ソロからして期待が高まるが,全編を通して,こういうのをやってくれ!というこちらの期待に応える音を出し続ける二人である。

しかも,ディスク1の最後では懐かしの"Ghosts"をやっているし,「モントルー・アフターグロウ」同様,「赤とんぼ」を引用する坂田明であり,ディスク2冒頭では「キアズマ」もやってしまうというサービスぶりである。「ダンス」の途中では「チュニジアの夜」は引用するわ,坂田の裏で森山は叩きまくるわで,まさにこれこそ爽快感満点のフリー・ジャズである。

よくぞこんな音源を発掘してくれたと言いたくなるアルバム。星★★★★★としてしまおう。たまりまへん。

Recorded Live at 柏教会 on May 24, 1986

Personnel: 坂田明(as, cl), 森山威男(ds)

2022年4月19日 (火)

ようやく到着:Brad Mehldauの新作。やっぱりこれは問題作だよなぁ。 #BradMehldau

Jacobs-ladder-cover_20220418182601 "Jacob’s Ladder" Brad Mehldau(Nonesuch)

NonesuchにプレオーダーしていたBrad Mehldauの新作がようやくデリバリーされた。発送通知から1か月以上ってのは,いくら何でも掛かり過ぎとは思うが,まぁ仕方ない。ついてきたオマケは裏ジャケ写真にBrad Mehldauのサインが入ったものだが,これは「う~む」って感じだなぁ(苦笑)。

音源としては既にダウンロード音源では聞いていたのだが,これはやはり問題作と言ってよいだろうし,基本的なテーマとしては「プログレ」があるのに加え,そこに宗教が絡むというところが難しい。その「プログレ」も,ロック的な音よりも,高度な技術の積み上げと「コンセプチュアル」という方法論的なところが重視されていているって感じか。ひな形として選ばれているのはRush,Gentle Giant,そしてYesであるが,おぉ,これぞプログレって感じさせるのは2曲目"Herr Und Knecht"ぐらいのもので,全体的なサウンドとしては,プログレと言うにはロック的要素が希薄なのである。

そういう意味で,プログレを好んで聞くリスナーにとっても,Brad Mehldauのジャズ・ピアノを期待するリスナーの双方にとって???となってしまうのではないか。だが,Brad Mehldauというミュージシャンの出自を考えれば,これまでのレパートリーに含まれていたロック曲の多さは明らかであったし,Beatles,Neil Young,RadioheadからSoundgardenまで何でもありだったのだ。これまでのアルバムではプログレシッブ・ロック・バンドのカヴァーは"10 Years Solo Live"でPink Floydの"Hey You"をやったぐらい(確かBBCのプログラムでもやっていたな)しかないはずなので,一気にプログレ・カヴァーが爆発したって感じだと言ってもよい。そうした出自も理解した上で私はBrad Mehldauの追っかけをしているので,この路線には全く問題は感じない。

だが,そこで出てくる音が,上述の通りロック的にならないところは意図的なものとしても,私のような年代のリスナーは"Herr Und Knecht"みたいなのをもっとやってくれた方が嬉しいと思うのだ。そうは言っても,Brad Mehldauはロック・ミュージシャンではないし,全編そういう音楽を作る気もなかろう。これはBrad Mehldauによる「プログレのアダプテーション」であって,プログレそのものだと思ってはならないというところだろう。コンセプトはしっかりしているし,Chris Thileがヴォーカルを担当する"Tom Sawyer"もいい出来だと思う。私はこうしたBrad Mehldauのチャレンジを前向きに捉えるので,多少の贔屓目があることは否定しないが,私個人としてはアルバムとしての評価は決して悪いものではない。最高評価にはできないとしても,最後に出てくる"Starship Trooper"が昔のYesのファンとしてはあまりに嬉しく,オマケも込めて星★★★★☆。

でも評価は絶対分かれるし,好き嫌いも分かれるに違いない。やっぱり問題作だ(笑)。7月に来日する時のプログラムは,ソロ,"After Bach"路線,それとコンチェルトだもんなぁ。変幻自在にもほどがある(爆)。

Recorded between April 2020 and January 2021

Personnel: Brad Mehldau(p, el-p, key, synth, org, ds, perc, vo, etc.), Marc Giuliana(ds), Paul Power(b-ds), John Davis(prog, sampling), Joel Frahm(ss, ts), Joris Roelofs(b-cl), Lavinia Meijer(harp), Motomi Igarashi-de Jong(linore), Pedro Martins(vo, g), Chris Thile(vo, mandolin), Becca Stevens(vo), Luca van den Bossche(vo), Tinkerbell(vo), Tobias Bader(vo), Safia McKinney-Askeur(vo), Timothy Hill(vo), Damien Mehldau(vo), Fleurine(vo), Cécile McLorin Salvant(vo)

2022年4月13日 (水)

Gerald Claytonの新作をストリーミングで聞いて思うこと。 #GeraldClayton

Gerald-clayton_20220409165201 "Bells on Sand" Gerald Clayton(Blue Note)

昨今CDの購入枚数が減っているのは,ストリーミングで大概の音源は聞けてしまうからだが,本作も購入まではいかずとも,Charles Lloydが1曲のみとは言え,参加していることもあって,ストリーミングで聞いた。

ここで展開される基本的に静謐で美しいピアノ・タッチで展開される音楽は,Brad Mehldauを想起させる部分があったと言ってもよいかもしれない。それはそれで楽しめるのだが,聞いた瞬間からこのアルバムのハイライトは9曲目に収められたCharles Lloydとのデュオ,"Peace Invocation"だと確信した私である。

ここでの演奏があまりに素晴らしいので,私がGerald Claytonに期待したいのはCharles Lloydとのデュオ・アルバムを制作することである。それぐらい鮮烈な印象を残す演奏であった。この演奏がYouTubeにアップされていて,これを聞いてもらえば,私の言いたいことはわかってもらえると思う。

さすがにこの1曲だけで購入には至らないが,その他の演奏も優れているので,これは買ってもいいかなと思える一作。でもやっぱりCharles Lloydだ(きっぱり)。

2022年4月12日 (火)

Simon Phillipsの新作到着。相変わらずのカッコよさ。 #SimonPhillips

_20220411 "Protocol V" Simon Phillips(Phantom)

国内盤はとっくに出ていたものの,輸入盤のデリバリーが遅れていたSimon Phillipsの新譜がようやく届いた。既にストリーミングでは聞いていたので,そのカッコよさは認識していたが,確実に現物が欲しくなるような出来であった。昨今,輸入盤の入荷に時間が掛かるのは,グローバルでのロジスティクスに問題があるからだろうが,それにしても時間が掛かり過ぎである。Brad Mehldauの新譜だってまだ来ないしねぇ...。

それはさておきである。Simon Phillipsのバンド,Protocolのアルバムも第5作となった。Protocolの第1作はワンマン・レコーディングだったはずので,バンド形式としては4作目ということになるが,前作と本作の間にアナログのライブ盤が出ているので,あまり何作目ってのは意味がないって話も...。今回は編成を変えたバンドでの初作ということになるが,彼らのライブは既に私は2019年にBlue Note東京で聞いている(その時の記事はこちら)。あれももう3年近く前になってしまった。

その時から,聴衆を興奮させる演奏を繰り広げるグループであったが,本作でもSimon Phillipsらしいタイトな演奏の連続には嬉しくなってしまう。まさにProtocolかくあるべしなのだ。メンバー・チェンジしようがしまいが,Protocolの音楽ってのは不変の魅力があると思えてしまう。逆に言えば,どれを聞いても同じに聞こえるって話もあるが,ファンにとってはそれでいいのだ。予定調和が必要な時もある(きっぱり)。ハード・フュージョンかくあるべし。

常々,Simon Phillipsの音楽には「タイト」という形容詞が似つかわしいと思っている私だが,本作もいつもながらなタイトなノリに大いに乗せられてしまった私である。ついつい評価も甘くなるのはいつものことだが,今回も星★★★★☆。

しかし,私は入手できたからいいようなものの,相変わらず輸入盤の流通はよろしくないのは何とかならんのかねぇ。強烈な円安で輸入盤の値段も上がり気味だしなぁ。困ったものである。

Personnel: Simon Phillips(ds), Jacob Scesney(ts, as), Alex Sill(g), Otmaro Ruiz(key), Ernest Tibbs(b)

2022年3月19日 (土)

Brad Mehldauの新作,"Jacob’s Ladder"がリリース。現物は現在空輸中...。 #BradMehldau

Jacobs-ladder-cover_20220319072101 "Jacob’s Ladder" Brad Mehldau(Nonesuch)

Brad Mehldauの新作のリリース日を迎えて,既にストリーミングでも公開されている。私はオマケ欲しさに現物を米国から飛ばしているので,現物はまだ手許にないが,Nonesuchからダウンロード音源が届いているので,まずは聞ける範囲で聞くことにしよう。既に一部の音源は公開されていたが,今回のテーマは「プログレ」である。

まだ全部聞けてはいないが,私がのけぞったのが2曲目,"Herr und Knecht"である。まさにプログレ,現代に蘇ったEmerson, Lake & Palmerみたいな音ではないか。Brad Mehldauはロックの曲をカヴァーもしているし,越境型の共演もこなすので,自身の音楽体験にロックがあることは間違いない。そして,ここではRush,Gentle Giant,そして私は聞いたことのないPeripheryをカヴァーしつつ,プログレに対するオマージュを徹底して発露したって感じである。最後の"Heaven"には美的なピアノ・フレーズに続いて,Yesの"Starship Trooper"から"Life Seeker"まで登場するのにはまじでビックリした。

コンヴェンショナルなBrad Mehldauを好むリスナーにとっては,こういう音楽は反感を呼び起こすかもしれない問題作と言ってよいが,もともとがBrad Mehldauはジャズ・フィールドに留まらないプレイヤーなのだと私は思っている。詳しくは現物が届いてから改めて書くが,ここまで徹底してやってくれれば文句も出ない。

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