2020年3月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

2018年おすすめ作

無料ブログはココログ

カテゴリー「新譜」の記事

2020年3月26日 (木)

実にスリリングな出来のJonathan Kreisbergのライブ盤。

_20200323 ”Capturing Spirits - JKQ Live!" Jonathan Kreisberg(New from Now)

Jonathan Kreisbergは一昨年にDr. Dr. Lonnie Smithのバンドと,自身のバンドでのライブを見ているが,そのテクニックの確かさには驚かされたものである。だからと言って,彼のアルバムを追っかけている訳でもないのだが,それでも私の中では注目に値する人の一人であることは間違いない。そのJonathan Kreisbergの自己のクァルテットによるライブ盤がリリースされたのだが,ストリーミングで音を聞いていて,そのカッコよさに思わず媒体も発注してしまった私である。アルバムとしては昨年リリースされていたようだが,ここでは新譜扱いとさせて頂こう。

ここでは全7曲中,最後の"Body And Soul"を除く6曲がJonathan Kreisbergのオリジナルであるが,そのどれもがリーダーのテクニシャンぶりと相まって,私を興奮させたと言ってよい。とにかくうまいよねぇと思ってしまうが,ライブの場でも普通にプレイしているようで,なんなんだこれは?と思わせるようなフレージングを繰り出してくるのだ。私もギタリストの端くれ(とか言いながら,最近は全然弾いていない)であるが,ギタリスト的な観点で聞いても,これは実にいいのではないかと思わせるのである。

特に冒頭の"The Lift"からしてそうした感覚が強いが,Jonathan Kreisbergの書くオリジナルがいろいろな曲調を持っていて,作曲能力も侮れないと思わせる。だが,それよりもやはりこの人のフレージングこそがキモだと言いたい。やっぱりうまいわ。

バックのメンツで唯一馴染みの薄いのがピアノのMartin Bejeranoだが,この人もRoy HaynesやRussell Maloneとやってきたというキャリアが実証する通り,かなりの実力者と聞いた。こうした共演者の好演とも相まって,実にスリルに満ちたライブ・アルバムが生まれたと評価したい。そうした中で,最後に収められた"Body And Soul"が,何とも言えぬ歌心を感じさせてまたこれがよいのである。実力が十分に発揮されたというのはこういうことだろう。星★★★★☆。今後にますますの期待を掛けたくなるJonathan Kreisbergである。

Recorded Live at Jazz Schmiede, Dusseldorf, Germay on March 15, 2019

Personnel: Jonathan Kreisberg(g), Martin Bejerano(p), Matt Clohesy(b), Colin Stanahan(ds)

2020年3月25日 (水)

Charles Lloyd,やはりこの人は化け物だ。

Charles-lloyd-8 "8" Charles Lloyd(Blue Note)

昨年9月の来日時に私を落涙させたCharles LloydのKindred Spiritsであるが,彼らによるライブ・アルバムがCD+DVDのフォーマットでリリースされた。ここ数年のCharles Lloydは,優れたメンツを従えて,アルバムを出すたびに私はそのその年のベスト・アルバムの1枚に選んでいるような気がする。それほど気力も創造力も充実していると感じさせるが,この人が既に82歳だとは全く信じられない。主題の通り,まさに化け物である。

Kindred Spiritsというバンドにおけるポイントは,私はライブにおいてはGerald Claytonだったと思っているのだが,このアルバムではそのクレジットを記載漏れするというとんでもないミスをしている。写真も掲載されているし,"Appears Courtesy of ..."の記述もあるから,本当に単なるミスである。こういうのも珍しいと思うが,Blue Noteレーベルらしからぬミスではある。

このアルバムにおいてはJulian Lageの活躍が目立っているが,それでもGerald Claytonの存在感が薄いということではなく,いい仕事をしている。"La Llorona"のピアノなんて,実にいいと思う。しかし,それ以上にCharles Lloyd御大の充実度が素晴らしい。メンツに恵まれているって話もあるが,全く音楽に「老い」というものを感じさせないのだ。音色はいつものCharles Lloydだが,このフレージング,まさに見事としか言いようがない。まぁ,このどう見ても購買意欲の高まらないジャケはどうなのよってのはさておき,この音楽の質を聞かされては何の文句も出ない。息子,あるいは孫と言ってよいような年代のバックのメンツから,精気を吸い取っているのではないかと思いたくもなるような演奏なのだ。まさに驚くべき老人である。

こんな演奏をされたら,星★★★★★以外つけようがないではないかと言いたくなるようなアルバムである。DVDは未見だが,そのうち見ようと思う。だが,音だけで満足できることは言うまでもない。

Recorded Live at the Lobero Theater on March 15, 2018

Personnel: Charles Lloyd(ts, fl), Julian Lage(g), Gerald Clayton(p), Reuben Rogers(ds)

2020年3月18日 (水)

こいつは驚いた!Ondřej Štveráčekの新作はエレクトリック・アルバム。

_20200317 "Space Project" Ondřej Štveráček(Stvery)

ジャズ界のおんどれ君ことOndřej Štveráčekの新譜である。昨年前半に2枚のアルバムをリリースして,いつもながらおんどれ君には甘いところを見せた私だったが,そのおんどれ君からの新作が届いたので,早速発注である。

今回は日本のセラーの取り扱いがあり,あっという間に届いたこのアルバムを聞いてびっくりである。全編がエレクトリック・アルバムなのだ。サックス奏者としての幅を広げるためにはこういう動きも出てくるかもしれないとは心のどこかでは思いつつ,このままずっとColtrane愛を貫くのかいう考えもあったので,これにはやはり驚いた。なるほど"Spece Project"な訳だ。だが,メンバーはいつも通りのレギュラーだが(苦笑)。

結果からすれば,これは想像以上にかなりカッコいい音になっている。冒頭はいきなり”What's Outside"のリメイクであるが,オリジナルの感覚はほとんど残ってない。特におんどれ君には悪いが,ここではおんどれ君以上にKlaudius KováčのHerbie Hancockライクなキーボードが効いているように思える。影響は相当強そうなフレージング連発であるが,このアルバムのトーンにはかなり強く影響を与えていることは間違いないだろう。これでつかみはOKである。

そしておんどれ君,アルバムを通してエフェクターを効かせたテナーとソプラノをブイブイ吹きまくっている。スローなテンポの曲でも,アドリブになると強烈なラインをぶちかまして,これが実に楽しい。どうせならEWIでも吹けばよかったのではないかと思ってしまう。これをおんどれ君のアルバムとして聞くか,何も先入観なしに聞くのでは随分印象が違うと思うが,それでもこのアルバムは結構楽しめるアルバムとなっている。

ドラムスのGene Jacksonも百戦錬磨というか,何でもござれって感じで,ここでのバッキングに何の違和感もないのは大したものである。

いずれにしても,つくづくおんどれ君には甘いと思うが,このアルバムも星★★★★☆としてしまおう。あぁ~びっくりした(笑)。

Personnel: Ondřej Štveráček(ts, ss,effects),Klaudius Kováč(p, synth), Tomáš Baroš(el-b), Gene Jackson(ds), Radek Nemejc(perc)

2020年2月24日 (月)

これは凄い。Pat Methenyによる壮大なる音楽絵巻,あるいは叙事詩。

_20200224 "From This Place" Pat Metheny(Nonesuch)

盟友Lyle Maysの訃報という衝撃的なニュースからまだ数週間というところで,ショックも冷めやらぬところではあるが,そこへPat Methenyの新作のリリースとは何と因果なことか。そして,リリースされた直後は現物が届いていなかったので,ストリーミングで聞いていたが,遅からずしてCDがデリバリーされた。

ストリーミングで聞いている時から,このアルバムのキモはオーケストレーションだなぁと思っていた私である。もちろん,Pat Metheny以下,バンドのメンバーの演奏も実に素晴らしいのだが,それを増幅させたのが,私はGil Goldstein,Alan Broadbentによるオーケストレーションであったと思えたのだ。ただでさえ優れた演奏には余計なオーケストレーションは不要だという考え方もあるだろう。だが,これこそ音楽の魅力をさらに増す効果を持つ,実に見事な仕事っぷりである。

私はPat Methenyが現行のバンドを結成した時に,実はどうなるのかなぁとも思っていたのだが,ライブを聞いた限り今のメンツは機能しそうだと思ってはいたものの,このアルバムを聞いていると,ツアーを重ねて,コンビネーションは確実に深化したと思える。その前のUnity Groupも実に優れたバンドだったが,それと比べても勝るとも劣らないレベルに達しているのには正直言って驚いた。そして,Gwilym Simcockが聞かせるピアノ・フレーズの鋭さが実に素晴らしい。もともと有能だとは思っていたが,完全に一皮むけた感じというところだろう。

それにしても,おそらくは相当の予算を掛けて録音されているアルバムであり,バンド・サウンドだけで完結させてもよかったところに,ゲストとオーケストラを加えて,実にカラフルに仕立てているのにもまいった。Unity Groupのアルバムも優れていたが,私は本作をそれを軽く越えてしまったと思えるのだ。おそらく,それに貢献したのが共同プロデュースを務めたSteve Rodbyであろうことは想像に難くない。Lyle Maysは不在だとしても,やはりPMGのメンバーが揃うと何かが起こるのだなぁとしみじみと感じてしまった。

2月の段階で言うのは時期尚早ではあるが,今年度ベスト作に確実に入ってくるであろう傑作。これはマジで凄い。星★★★★★。尚,ライナーにはオーケストラのメンバーも記載されているが,ここでは省略。でもSteve Kujalaみたいな懐かしい名前も入っていたことは書いておこう。

Personnel: Pat Metheny(g, key), Gwilym Simcock(p), Linda May Han Oh(b, vo), Antonio Sanchez(ds) with Meshell Ndegeocello(vo), Gregoire Maret(hca), Luis Conte(perc) and the Hollywood Studio Symphony Orchestra, Joel McNeely(cond)

2020年2月21日 (金)

突如登場したBryan Ferryの1974年のライブ・アルバム。

Bryan-ferry-live "Live at the Royal Albert Hall 1974" Bryan Ferry(BMG)

このアルバムのリリースが告知された時は驚いた。なぜ今頃になって1974年のライブ音源がリリースされるのか?と思っていた私である。しかし,昨年見たBryan Ferryのライブは実にスタイリッシュであったし,楽しめるものだったこともあり,そもそもBryan Ferryのアルバムを結構買っている私としては,今回も購入である。

いきなり"Symapathy for the Devil"で幕を開けるが,当たり前のことだが,Bryan Ferryの声が若々しい。ただ,ここで歌っている曲はロックンロールやらポップス系の曲が多いため,Bryan Ferryの声がどうも私には濃厚に過ぎるような気がしてしまう。ここに収められた曲,例えば"Baby I Don't Care"や"Don't Worry Baby",更には"Smoke Gets in Your Eyes"を歌うには強烈なクセを感じてしまうのだ。まぁ,このツアーはBryan Ferryにとって初のソロ・ツアーってこともあって,やりたいこともあったのだろうと思うのだが,どうも私がBryan Ferryに求める音とはちょっと違う気がする。

そういう感覚は,ここでバックを務めているメンバーにはPhil Manzaneraもいれば,Eddie JobsonやらJohn Wettonもいるし,更にはPaul Thompsonもいるのだから,違うサウンドも出せたのではないかと思ってしまう。Roxy Musicとは違うんだぜという感覚を打ち出したかったのだろうが,それを聞き手がどう受け止めるかってところだろう。ライブの場ではBryan Ferryもバンド・メンバーもブラック・タイで演奏していたようだから,そういうショーだったというのはわかる。でもやっぱり私が求めているBryan Ferryの音ではなかった。

なので,まずはストリーミングで聞いた時には,強烈に違和感があり,CDで聞いて多少は印象は改善したとしても,これは違うのだ。私が求めてしまうのはスタイリッシュ,あるいはもっとロックなサウンドであったということで,ちょっと残念なアルバムとなってしまった。星★★★。ストリーミングで確認する前に発注してしまった私のミスだな。これなら絶対"Viva! Roxy Music"の方が楽しめると言っておこう。

Recorded Live at the Royal Albert Hall on December 19, 1974

Personnel: Bryan Ferry(vo), John Porter(g), Phil Manzanera(g), Paul Thompson(ds), Vicki Brown(vo), Doreen Chanter(vo), Helen Chappell(vo), Jobson(p, vln), John Wetton(b), Paul Thompson(ds), Vicki Brown(vo), Doreen Chanter(vo), Helen Chappell(vo), Paul Thompson(ds), Vicki Brown(vo), Doreen Chanter(vo), Helen Chappell(vo), Peter Robinson(key), Mike Moran(key), Morris Pert(perc), Chris Mercer(ts), Jeff Daley(as), Ronnie Ross(bs), Paul Cosh(tp), Martin Drover(tp), Malcom Griffith(tb), Geoff Perkins(tb), Martyn Ford(orchestra direction)

2020年2月19日 (水)

Carla Bley,Andy Sheppard,Steve SwallowのトリオによるECM第3作。

Life-goes-on "Life Goes on" Carla Bley / Andy Sheppard / Steve Swallow(ECM)

このトリオによるECMレーベル第3作がリリースされた。彼らの初レコーディングは95年の"Songs with Legs"に遡るので,今年で結成25年という節目になるらしい。私は"Songs with Legs"は未聴であるが,ECMでの第1作”Trios",そして第2作"Andando di Tiempo"については絶賛を惜しまなかった。その2枚は2013年と2016年の年間ベスト盤の一枚にも選んでいるから,どれほど評価しているかはお判り頂けるだろう。そうした彼らの新作である。期待しない訳にはいかない。

このアルバムには次のように書かれている。”Carla was hit by a bucket of shit and the band played on. She opened the door and was hit by some more and the band played on. Could this be the ending or just the biginning of life without music or fun?" これをどう解釈するかはなかなか難しいところであるが,皮肉な感覚に満ちているのは間違いないところである。それがどう音楽に反映するのか?

今回のアルバムは3つの組局から構成されているが,冒頭のタイトル・トラックはいきなりのブルーズにびっくりする。それに続く"Life Goes On"組曲に含まれた曲を聞いていて,私は前作に感じたような「深み」は感じなかったのだが,むしろ,音楽を通じたポジティブな感覚をおぼえていた。

しかし,2つ目の組曲"Bearutiful Telephone"はダークな響きで始まる。この曲はECMのサイトによれば,Donald Trumpがホワイト・ハウスに足を踏み入れた時に,“These are the most beautiful phones I’ve ever used in my life"と言ったとか言わないとかいう逸話への皮肉としか思えない。まさに何言ってやがるみたいなCarla Bleyの心証を反映したものと言いたくなってしまう。

3つ目の組曲"Copycat"の意味するところは不明であるが,”After You"~”Follow the Leader"~"Copycat"というタイトルには別な皮肉を感じてしまうのはうがち過ぎだろうか。いずれにしても,ここでは比較的中庸な表現が用いられているって感じである。

トータルで考えると,やはり"Andando di Tiempo"に感じた音楽的な深さは薄れたが,それでも非常に三者によるレベル高い会話を聞かせてくれるという点では評価したいし,彼らにしか出せない音だと思う。Carla Bleyも80歳を過ぎても,まだまだいけるところを実証したアルバム。半星オマケしてちょいと甘めの星★★★★☆ということにしよう。

Recorded in May, 2019

Personnel: Carla Bley(p), Andy Sheppard(ts, ss), Steve Swallow(b)

2020年2月11日 (火)

実に素晴らしい須川崇志Banksia Trio。

_20200211 "Time Remembered" 須川崇志Banksia Trio(Days of Delight)

ブログのお知り合いの皆さんが次々と取り上げられていて,非常に気になっていたアルバム。それを聞いてみて皆さんがこのアルバムを好意的に捉える意味がわかった。実によくできた作品であり,レベルが高いのだ。

Bill Evansの"Time Remembered"から始まるが,Bill Evans的な響きではなく,ECMで聞かれるような北欧系の響きすら感じられるオープニングである。それに続くメンバーによるオリジナルも,美的なるものと,清冽な緊張感が同居する非常に魅力的なトリオの演奏であることに,私は日頃の不勉強を恥じることとなった。これなら世界のどこに出ていっても勝負できると言っては大げさかもしれないが,彼らのレベルの高さにはまさに瞠目させられた。

例えば,林正樹のオリジナル"Nigella"のようなスロー・チューンを,ここで聞かれるような表現に仕立てるところに,私は彼らに欧州的な響きを感じてしまう。それはリーダー須川のオリジナル"Banksia"でも同様である。その辺りに私は強く魅かれてしまうのだろう。これはまさに「ずっぽしはまった」感が強いアルバムであり,日本からこうしたアルバムが生まれたことを喜びたい。

こういう感覚,以前にも覚えたことがあるが,今回の購入に至る経緯もそうだし,感心の仕方も,須川崇志も参加した本田珠也のIctus Trioに感じたものと同質だと思えた。Ictus Trio同様の評価とすべく,喜んで星★★★★★を謹呈しよう。緊張感に満ちた美学が継続する43分間である。

Recorded on July 31, 2019

Personnel: 須川崇志(b),林正樹(p),石若駿(ds)

2020年2月 9日 (日)

Ben Watt,およそ4年ぶりのアルバム。

_20200208-2 "Storm Damage" Ben Watt(Unmade Road)

この新作を携えての4月の来日も決まっているBen Wattの新作である。早いもので,前作から4年も経っているのかと思ってしまった。月日の経つのがつくづく早くなった...。

Ben Wattの前作,"Fever Dream"はポップな感覚もあり,実に好きなアルバムであったが,本作は前々作の"Hendra"の内省的な響きが戻っているような気がする。Ben Wattの声がかなりリアルな響きで録られているということもあるが,そうした感覚をより強くさせるのは全編でアコースティック・ベースが使われているところによるような気がする。それも含めて,サウンドがどちらかと言えば,よりアコースティックな方向へシフトしていると思えるのだ。

最初にストリーミングで聞いた時には,そうしたサウンドの変化に若干戸惑いをおぼえたのだが,CDが届いて,何度か聞いていると,違和感はなくなってくる。それでもここに流れる音楽にはそこはかとない「暗さ」を感じるのも事実である。もちろん,Ben Wattはこれまでだってチャラチャラした音楽はやっていないが,ここには聞きようによっては,これまで以上に負の感情の発露のようなものが強まっているように思えるところが,評価は別にして,好き嫌いの違いにつながるかもしれない。

私としては"Fever Dreams"が非常によかったと思えただけに,サウンド的にはあの路線を継続してもよかったと思えるが,これはこれでBen Wattの側面として聞くべきアルバムと言える。私が本質的にこの音楽を理解するには,もう少し歌詞を読み込む必要がありそうだが,そうしたいと思わせてくれるアルバムだと思う。星★★★★☆。

Personnel: Ben Watt(vo, p, el-p, g, synth, synth-prog), Rex Horan(b, viola), Evan Jenkins(ds, perc), Alan Sparhawk(g, vo), Ewan Pearson(vocoder), Jennifer Valone(vo)

2020年1月26日 (日)

やっぱりWayne Krantzの真骨頂はライブにありだと思わせた新作CD。

Write-out-your-head

"Write Out Your Head" Wayne Krantz(自主制作盤)

先日のWayne Krantzのライブの印象も冷めやらぬ中,リリースされたばかりの新譜を聞いた。今回の新譜にはKeith Carlockに加えて,クリポタことChris Potterも全面参加ということで,期待が高まる中でのリスニングとなったのだが,ライブとだいぶ印象が違う。その要因は,このアルバムではKrantzがギターに加えて,Rhodesも弾いているのだが,むしろギターの音が控えめになっている感じがするからのように思える。なので,ビシビシとギターを炸裂させたライブの印象よりも,はるかにルースな印象を与えている。これまでのWayne Krantzのアルバムとも雰囲気が違うとも言えるし,こうした路線をどう評価するかだろう。

正直言っていしまうと,私はせっかくクリポタも入っているのだから,もっと激しく,ブイブイやって欲しかったというところだ。スピード感,あるいは疾走感があってもよかったように思う。まぁそうは言っても,Wayne Krantzも還暦を過ぎているから,多少の変化はあるのだろうが,ライブとのギャップにはやはり戸惑うというのが正直なところである。

もちろん,相応にカッコいい曲もあるからちゃんと楽しめることは楽しめるのだが,Wayne Krantzがライブで放出するエネルギーをスタジオに持ち込むことの難しさもあるのかなぁなんて思ってしまった。それでもKrantz本人に加えて,Keith CarlockとTim Lefebvreのサインももらってきて,ご満悦の私なのだが...(笑)。それにも免じて(?)星★★★★。それにしても,8曲31分ってのはやっぱり短いなぁ。

Personnel: Wayne Krantz(g, rhodes), Chris Potter(ts), Keith Carlock(ds), Orlando Le Fleming(b), Pino Palladino(b), Will Lee(b), Tim Lefevbre(b), Gabriela Anders(vo, perc) 

2020年1月20日 (月)

Peter Brötzmannの咆哮。たまりまへん。

_20200118-2"Fifty Years After" Brötzmann / Schlippenbach / Bennink(Trost)

昨日,坂田明のアルバムを取り上げたところで,今日はPeter Brötzmannである。私はBrötzmannの咆哮を聞いているだけで,身体がむずむずしてくるところがあるのだが,その興奮をピークに持っていたのが,佐藤允彦,森山威男との"Yatagarasu"で,あれこそ興奮の極致と言った感じで,フリーの快感を徹底的に味合わせてくれたものであった。そして今回は楽器編成は同じであるが,Alexander von SchlippenbachとHan Benninkとのトリオという,これまた強烈なパワー・トリオである。

本作はアルバム"Machine Gun"のレコーディングから50年という節目で録音されたものらしいが,録音時Peter Brötzmannは77歳,Schlippenbachが80歳,そしてHan Benninkが76歳って一体どういうこと?とさえ言いたくなるような老人たちが繰り広げる音楽の激しさに身をよじってしまう。とにかく,こうした音楽を繰り広げる彼らの体力には脱帽としか言いようがないぐらいの激しさなのだ。

このアルバムも坂田明同様に,家人がいるところでのプレイバックは厳しいものであるが,Peter Brötzmannたちの生み出すフリーには精神を解放してくれる効果すら私は感じてしまうのだ。まぁ,このアルバム,決して音がいいとは言えないレベルだが,クリアな音質よりも,この人たちの音楽にはこれぐらいのくぐもった感じが丁度いいのかなぁなんてさえ思ってしまう。私としては"Yatagarasu"のより破壊的なパワーの方が上だと思うが,それでもこの3老人の激しい音楽に敬意を表し,星★★★★☆としよう。リリースされたのは昨年だが,まだ3か月ぐらいしか経っていないので,併せて新譜扱いとさせて頂く。

Recorded Live at the Lila Eule Bremen on May 26, 2018

Personnel: Peter Brötzmann(ts, cl, tarogato), Alexander von Schlippenbach(p), Han Bennink(ds)

より以前の記事一覧

Amazon検索ツール

2019年おすすめ作