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カテゴリー「新譜」の記事

2025年1月26日 (日)

The Cure:ウェットでダークなブリティッシュ・ロックの典型。

The-cure"Songs of the Lost World" The Cure(Fiction)

昨年11月にリリースされたこのThe Cureのアルバムは,世間での評判もすこぶるよいので,ストリーミングで聞いて気に入ってしまったので,ボーナス・ディスク入り3枚組を海外から飛ばしたものがようやくデリバリーされた。

このブログにも何度も書いているが,私はロックに関しては完全にアメリカ指向で,ブリティッシュ・ロックはBeatlesやStones,あるいはRoxy Musicやプログレを例外としてあまり聞いていないと言ってもよい。もちろん,有名どころは聞いているつもりだとしても,フォローは全然足りていないというのが実態だ。実のところ,The Cureについてもほとんど聞いたことはないし,アルバムは一枚も保有していなかった。

ではこのThe Cureの16年ぶり(!)らしいこのアルバムがどうして私に訴求したのかと言えば,このアルバムに収められた音こそ,私がイメージするブリティッシュ・ロックらしいウェットかつダークな響きに溢れていたからだ。これが私を刺激するに十分な音楽だったと言ってよいし,歌詞もパーソナルな響きに満ちていて,(全部が全部ではないが)アメリカン・ロックが持つ「カラッとした明るさ」とは対極にあると言ってもよい。まさに深淵と呼びたくなるようなサウンドであった。

ボーナス・ディスクの2枚目はインスト・ヴァージョンなのだが,これまたこれだけでも十分楽しめてしまうという音の作りが,Robert Smithの歌のバックで構成されていたということを感じさせて,これも聞きものであった。まさにブリティッシュ・ロックの王道として評価したい。星★★★★★。昨年のリリースだが,まだ3か月も経過していないこともあり,新譜扱いとさせてもらおう。

Personnel: Robert Smith(vo, g, b, key), Simon Gallup(b), Jason Cooper(ds, perc), Roger O'Donnell(key), Reeves Gabrels(g)

本作(1枚もの)へのリンクはこちら

 

2024年12月27日 (金)

Arild Andersenのソロ作:ECMでしか成り立たないよなぁ。

Landloper "Landloper" Arild Andersen(ECM)

ECMというレーベルはベースやチェロのソロ・アルバムをリリースしてしまう稀有な存在と言ってよいが,それは総帥Manfred Eicherがベーシストだったという出自による部分もあるのかもしれない。今回はそのEicherはExecutive Producerとなっているので,これはArild Andersenの持ち込み音源なのかもしれない。

冒頭の"Peace Universal"こそ宅録ながら,それ以外はライブ音源で,Arild Andersenによる完全ソロだが,シークェンサーのようなエレクトロニクスも駆使しているので,相応に色彩感は確保されている。もはやジャズと言うよりアンビエントな世界であるが,想定以上の聞き易さもあって,これはなかなか楽しめるアルバムである。

アンビエントな響きと言いつつ,オリジナルに加えて,スタンダード"A Nightingale in Sang in Berkley Square"やOrnette Colemanの"Lonely Woman"をCharlie Hadenの"Song for Che"をメドレーでやったり,Albert Aylerの"Ghost"も別のメドレーの一部に組み込んだりと,幅広い選曲が面白い。また先述の冒頭に収められた"Peace Universal"はドラマーのBob Mosesのオリジナルのようだが,よくぞこんな曲を見つけてくるものだと感心してしまうほど,掴みはOKなのだ。

まぁ,このアルバムを聞いて面白いと思えるかどうかはそれぞれのリスナーの嗜好次第だが,私はこのサウンドは結構いいと思う。ECMならではの世界観としか言いようがないが,ついつい評価も甘くなり,星★★★★☆。

Recorded Live at Victoria National Jazzscene on June 18, 2020 and at Home

Personnel: Arild Andersen(b, electronics)

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2024年12月21日 (土)

McCoy TynerとJoe Hendersonの凄い発掘音源。マジで物凄い!

Forcesofnature"Forces of Nature: Live at Slugs'" McCoy Tyner / Joe Henderson (Blue Note)

なかなかデリバリーされないでイライラしていたのだが,届いたのは国内盤で,リリース日のデリバリーだったので文句は言えない。私としては輸入盤でOKだったのだが,まぁいいや。

そんな状態だったので,音源は公開された段階からストリーミングで聞いていたのだが,これはけだし強烈な発掘音源だ。演奏にも参加しているJack DeJohetteが個人的に所有していた音源を世に出したもので,ジャケ裏には"DeJohnette Legacy Series"なんて書いてあるから,ほかにも音源があるってことか?いかんせん60年近く前の音源であるから,音質的には少々厳しい部分があるのは仕方がないが,十分に聞けるレベルではある。

そんな音質的な瑕疵はものともせず,ここに収められたエネルギーが凄い。まさに「熱い!」ジャズである。こんな演奏が定常的演奏されていたという当時のジャズ・シーンについつい思いを馳せてしまうが,冒頭の"In ’n Out"からして,ぶちかましモード炸裂なのだ。Blue Noteのスタジオ録音でのオリジナルだって熱い演奏だったが,それを越える強烈さで迫ってくるのはライブゆえの興奮ってところか。この演奏に興奮しなければジャズ・ファンじゃねぇよ!と思わず言いたくなるような激演である。

同じような感覚はDisc 2の最初の"Taking Off"でも感じられるが,全編に渡って繰り広げられる演奏が実に素晴らしい。私が聞いたJoe Hendersonの演奏の中でも最も激しいものの一つと思えるし,若き日のJack DeJohnetteが強烈なドラミングを聞かせるのも大きな聞きものと言える。 とにもかくにも,よくぞこんな演奏が残っていたものだと思わざるをえない。本年屈指の発掘音源の一つと評価したい。もちろんこれならば星★★★★★だ。

Recorded Live at Slugs’ Saloon in 1966

Personnel: Joe Henderson(ts), McCoy Tyner(p), Henry Grimes(b), Jack DeJohnette(ds)

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2024年12月19日 (木)

久々にショップを訪れて見つけた新譜:Carl Allenの"Tippin'"

_20241218_0001 "Tippin'" Carl Allen(Cellar Records)

先日,ちょっとした時間があって立ち寄ったショップで見かけて,即購入を決定したアルバム。何てたってリーダーCarl Allenを支えるのはクリポタことChris PotterにChrisitian McBrideである。これはどう考えても気になるメンツだ。本来のリリース時期は来年初頭のようだが,あるところにはあるのである(笑)。

まぁクリポタのピアノレス・トリオでの演奏はJohn Patitucci,Brian Bladeとの"Live in Italy"もあったし,そちらのトリオでの新作は来年にリリースを控えているから,そっちも楽しみな訳だが,こちらのメンツも相当期待できると思っての購入であった。Carl Allenのライナーによれば,Renee RosnessのアルバムでCarl AllenとChristian McBrideがバックを務めた際のサックス・プレイヤーがクリポタで,その時にSonny RollinsのVanguardライブの如きピアノレス・トリオでの演奏を思いついたとのことである。

"Parker's Mood"で始まるこのアルバムはオリジナルに交えて,スタンダードやジャズマン・オリジナルを演奏していて,こうしたセッティングでのクリポタの吹きっぷりがどうなるのかというところに期待してしまったのだが,どんなシチュエーションでもちゃんと個性を打ち出すクリポタの実力は十分に感じられて,相当に楽しめるアルバムだと言ってよい。テナー,ソプラノ,バスクラを持ち替えて,コンベンショナルなセッティングでの吹奏を聞かせるクリポタは実に魅力的だし,このフレージングはたまらん...。

そして何よりも気になるのがJohn Coltraneゆかりの"The Inchworm"と"They Say It’s Wonderful"をクリポタがどう吹くかというところであったが,"The Inchworm"はさすがにColtraneに比べると軽いかなぁと感じさせるのはソプラノ・サックスのミキシングのせいもあるかもしれない。"They Say It’s Wonderful"の方はテナーでじっくりかつストレートにという感じだが,ColtraneはJohnny Hartmanとのアルバムでの演奏だったから,ちょいと比較が難しい。クリポタもColtraneヴァージョンがあるだけにやりにくい部分もあったのではないかとも思えるが,こちらの印象の方がいいのはテナーだからって気もする。

ただこのアルバム,後半にはちょっとどうなのかと思わせるようなプロデュースぶりが気になる部分があることも事実だ。8曲目のKenny Barron作の"Song for Abdullah"には,ピアニストJohn Leeを招いての演奏となっているが,美しい演奏ではあるものの,敢えてこの曲を入れる必要が本当にあったのかと感じさせる。またこのメンツでPat Methenyの"James"って選曲はほかの曲とテイストが違い過ぎて,どうなのよと思わざるをえない。確かにUnity Bandのライブでもやっていたとは言え,ここでのフィット感は???だ。また,最後のミュージカル"Bye Bye Birdie"からの"Put on a Happy Face"もこの重量級トリオには軽過ぎる選曲ではないか。前半と後半の選曲によるムードの落差があると感じるのだ。

そうした点も考慮して星★★★★ってところ。私としてはもう少し激しくやる部分があってもいいように思うが,クリポタのフレージングは傾聴に値すると思う。それがファンの弱みってところだな。

Recorded on January 13, 2024

Personnel: Carl Allen(ds), Chris Potter(ts, ss, b-cl), Christian McBride(b)

2024年12月18日 (水)

ようやく到着:Ben Monderの3枚組超大作"Planetarium"。

Planetarium"Planetarium" Ben Monder(Sunnyside)

ストリーミングでは結構早くから公開されていたこのアルバムの現物がようやくデリバリーされた。Ben Monderは現在Bad Plusのメンバーとしても活躍中であり,今年来日も果たしたが,バンドへのフィット感を維持しているのは立派だと思った。しかし,ソロ・アルバムとは少々趣が違うとも思いつつ,変態的アルペジオを聞かせるなど,やはりこの人は面白いと思わせた。

そんなBen MonderのソロはなんとCD3枚組の超大作である。しかし,派手派手しいところもなく,あくまでもいつものBen Monder的なサウンドと言ってもよいが,自身のギターの多重録音も交えつつ,ヴォイス,あるいはリズムとの共演が展開される。これがもはやアンビエントと言ってもよい趣もあれば,プログレと言ってもよいサウンドもあって,まさにBen Monderの音楽となっている。全15曲,3時間近い演奏時間というのはさすがに普通のリスナーには厳しいかもしれないが,Ben Monderのサウンドスケープにはまったことがある私のような人間にとっては,おぉっ,やっぱりBen Monderだ!と言いたくなってしまうような音の連続で嬉しくなってしまうのだ。ただ,普通の人にはこれの何がおもろいねん?と言われても仕方がないのも事実だが...。

しかし,ここで聞かれるBen Monderらしいアルペジオやフレージングの連続は,もはやOne and Onlyだろう。以前はBill Frisell的と感じる部分もあったが,ここまでくれば,これは完全にBen Monderの世界だ。約3年を掛けて作り上げたこのアルバムのボリュームには圧倒されるが,ずっと聞いていても心地よい。また,バックのヴォイスの面々の声がBen Monderの音楽にマッチして,実にいい感じだ。本作がリリースされたことだけでも価値があるということで,星★★★★☆としよう。

Recorded between December 2020 and December 2023

Personnel: Ben Monder(g), Theo Bleckmann(vo), Charlotte Mundy(vo), Emily Hurst(vo), Theo Sable(vo), Chris Tordini(b), Ted Poor(ds), Joseph Branciforte(ds), 武石聡(ds)

本作のストリーミングへのリンクはこちら

2024年12月16日 (月)

これも現物未着のためストリーミングで聞いたThomas Strønenの"Relations"。自由度高っ!(笑)

Relations"Relations" Thomas Strønen (ECM)

これも発注のタイミングで,リリースされたものの現物が届かないので,ストリーミングで聞いている。このジャケを見ると魅力的なメンツが並んでいるので,バンド形態での演奏と思ったら,基本的にはリーダーThomas Strønenのソロ及び参加したメンツとのデュオ・アルバムである。

いきなりThomas Strønenのソロ・チューンでスタートし,おぉっ,これは何か雰囲気が違うと思わせるのだが,各々のメンバーと繰り広げられる演奏は主題の通り極めて自由度が高い。破壊的なフリー・ジャズという感じではないが,書かれた音楽ではなく,スポンテイニアスなインプロヴィゼーションと言ってよいものばかりだ。1曲当たりの収録時間は短く,最長でも冒頭の"Confronting Silence"の4分4秒だし,全体でも35分程度だ。まぁこういう即興的な演奏はこれぐらいが丁度いいと思わせるが,これがいかにもECM的でなかなか面白い。「高野山」なんて曲もあるしねぇ。

ECMのサイトによれば,Thomas Strønenがアルバム"Bayou"のレコーディングを早めに終了させたことで生まれたスタジオの空き時間に,総帥Manfred Eicherがソロ・パーカッションでの演奏を示唆したのが契機で,そこから数年かけて出来上がったのがこのアルバムということらしい。

メンツにはJorge Rossyも含まれているが,ここではJorge Rossyはピアノをプレイしている。Jorge Rossyはドラムスだけでなく,ヴァイブやピアノのプレイも多くなっているが,"Nonduality"をはじめとして,静謐で現代音楽的な響きを聞かせて,何でもできるねぇと思わせる。

アルバム全体を貫くのは現代音楽にも通じるクールな音空間であり,即興性を重視した演奏はおそらくはリスナーの好みは大きく分かれるはずだ。Craig Tabornはまぁわかるとしても,日頃のクリポタの演奏とは一線を画するところがあるが,私は結構楽しんだクチだ。正直言ってしまえば何度も,あるいは頻繁にプレイバックしようという感じの音楽ではないのだが,私にとっては好物に近い音楽と言ってよいだろう。こういう想定外のアルバムが出てくるところがいかにもECMである。ちょいと甘いと思いつつ,星★★★★☆としてしまおう。尚,Sinikka Langelandが弾いているカンテレというのはフィンランドの民族楽器だそうだ。へぇ~。

Recorded between 2018 and 2023

Personnel: Thomas Strønen(ds, perc), Chris Potter(ts, ss), Craig Taborn(p), Jorge Rossy(p), Sinikka Langeland(kantele, vo)

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2024年12月15日 (日)

現物はまだ届いていないが,M.T.B.の30年ぶりの新譜。

Solid-jackson "Solid Jackson" M.T.B. (Criss Cross)

昨今のネット・ショップにおける輸入盤の流通状態は必ずしも良好とは言えず,発注のタイミングを間違えるとデリバリーが非常に遅くなることがある。本作も某ショップで発注していたのだが,いつまで経っても入荷しないので,別のショップに切り替えたものの,今度は入荷待ちになって,年内にデリバリーされるかは怪しい状態になっている。なので,通常は現物が届いてからレビューするのだが,今回はストリーミングで本作を聞いた。

M.T.B.と称するユニットはBrad Mehldau,Mark Turner,Peter Bernsteinの頭文字を取ったものだが,第1作も同じCriss Crossからリリースしていて,それが1994年のことであるから,30年ぶりのレコーディングということになる。Brad MehldauはことあるごとにPeter Bernsteinとの共演は続けてきたし,Mark Turnerのアルバムにも"Yam Yam"と"In This World"に参加しているから,相応に縁の深い人たちのユニットと言ってもよい。前作が出た94年の段階ではBrad Mehldauのメジャーでの初リーダー作である"Introducing Brad Mehldau"もリリースされていない時期であるから,まだまだ駆け出しと言ってもよかった時代だ。それが30年を経て,Brad Mehldauはジャズ・ピアノ界を代表するミュージシャンの一人となったが,若い頃からの付き合いは大事にしているってところだろう。

前作も久しく聞いていないが,前作からの変更はドラマーがLeon ParkerからビルスチュことBill Stewartに代わっているが,やっている音楽そのものはコンベンショナルなジャズである。メンバーのオリジナルに,ジャズマン・オリジナルを交えるという構成は前作同様だ。面白いのは前作でも"Limbo"を取り上げたWayne Shorterの"Angola"をやっていることだが,この曲,お蔵入りしていた"The Soothsayer"からのチョイスというのが渋い。ついでに言えば,それに続いて演奏されるHank Mobleyの"Soft Impression"も発掘音源"Straight No Filter"からだし,もう1曲もHarold Landの"Ode to Angela"っていう選曲にはどれだけこの人たち勉強熱心なのか?とさえ思いたくなってしまう。

Brad Mehldauは客演モードになると,個性の発露を少々抑える感覚があるが,この共同リーダー作と言ってよい本作でもそんな印象だ。三者がバランスよく演奏をしている感じなので,Brad Mehldauのソロは相応にレベルは高いが,いかにもBrad Mehldauだと思わせるのは本人のオリジナル"Maury's Grey Wig"だろう。

まぁこれだけの真っ当なメンツを揃えたアルバムなので全く破綻はないが,痺れるってほどではないのは惜しい気もする。だが,旧友が集まって作り上げた同窓会的なアルバムだと思えば腹も立たないってところか。星★★★★。

Recorded on November 25 & 26, 2023

Personnel: Brad Mehldau(p), Mark Turner(ts), Peter Bernstein(g), Larry Grenadier(b), Bill Stewart(ds)

本作へのリンクはこちら

2024年12月10日 (火)

年末になってまたも届けられたRobert Glasperの"Apple Music Sessions(EP)"。

Apple-music-sessions "Apple Music Sessions(EP)" Robert Glasper(Loma Vista Recordings)

これまでもApple Music限定の音源をリリースしているRobert Glasperが12月に入ってリリースしたのがこの4曲のEP音源。Electric Lady Studioで収録されたライブ音源であるが,今回は映像付き。

今年リリースしてきた6月の"Let Go",9月の"Code Derivation",そして10月の"Keys to the City Volume One"はそれぞれ趣の異なるものであり,まさに変幻自在という感じであったが,今回は4人のミュージシャンによる無観客ライブである。そこで展開される音楽はまさにメロウ・グルーブであった。

正直なところ,強面のRobert Glasperからこのような音が繰り出されること自体にアンマッチな感覚はあるが,Robert Glasperがこれまで公開してきた音源を考えれば,こういうのも想定内になってしまうというところがこの人の凄いところだ。まさに尽きることのない創造力ってところ。まずは貼り付けた映像を見てもらえばわかるだろう。Robert Glasperが歌まで歌ってしまう"Never Too Late"の映像を貼り付けておこう。いやはや凄い人である。

Personnel: Robert Glasper(key, vo), Burniss Travis(b), Justin Tyson(ds), DJ Jahi Sundance(turntable)

2024年12月 2日 (月)

Deacon Blueの新譜は来年3月リリース。

The_great_western_road 私はこのブログでも何度もDeacon Blueのアルバムを取り上げてきて,大概の場合,非常に高く評価してきた。相当好きなバンドと言ってもよい。2020年にリリースされた"City of Love"はイマイチだったという評価だが,基本的には裏切られることのないバンドであり,Ricky Rossの優れたポップ・センスは私の琴線を刺激してやまない。だが,2021年に出た"Riding on the Tide of Love"は記事にすらしていないのだから,私もいい加減なものだが,まぁあれは"City of Love"の続編的な意味合いがあったってことにしておこう。

そんな彼らの新作"The Great Western Road"が来年3月にリリースとのことで,早速事前予約してしまった私である。まだまだリリースは先だが,優れた出来を期待して,首を長くして待ちたい。

2024年11月28日 (木)

Nik Bärtsch’s Roninの新譜が自身のレーベルから登場!

_20241126_0001 "Spin" Nik Bärtsch’s Ronin (Ronin Rhythm Records)

これまで暫くECMからのリリースが続いていたNik Bärtsch’s Roninの新作が,本人のレーベルであるRonin Rhythm Recordsから11/29にリリース予定だったのだが,スイスから飛ばした媒体が早くも到着したので早速聞いている。今回のアルバムは今年来日したメンバーでの演奏で,ベースのJeremias Kellerが加わってからの初レコーディングということになるようだ。

一聴して,ファンク度がこれまで以上に高いと思わされるのは,これまでよりもミニマル度が抑制気味の演奏そのものもあれば,エンジニアリングの違いもあると思う。やはりECMにはECMならではの音場があるが,今回のアルバムでは明らかに音圧がECMの諸作よりも高く,スタジオ録音ながらライブ感もより強いと感じさせるのだ。日頃のライブでの感覚は,おそらくこちらのサウンドの方が近いのではないかと想像する。まさに来日公演時の感覚が蘇るってところだ。

演奏は相変わらずのNik Bärtsch’s Roninであるが,やはりこの人たちの音楽は私の嗜好にばっちり合致してしまうなぁと改めて感じてしまう。身を委ねる感覚と言えばいいと思うが,彼らの演奏に自身の身体が勝手に反応するってところなのだ。ついつい身体が揺れてしまうと思って頂ければよいだろう。リスナーによってはこれの何がいいのだという人もいるだろうが,はまると抜けられない麻薬的感覚ってところだ。

今回,私はスイスから飛ばしたので,随分とコストが掛かってしまった。ショップに入ってくるのを待っていてもよかったが,好きなものはやはり早く聞きたいのだ。ということで,今回も期待を裏切られることなく,甘いの承知で星★★★★★としてしまおう。

Recorded in September 2023

Personnel: Nik Bärtsch(p, key), Sha(as, b-cl), Kaspar Rast(ds), Jeremias Keller(b)

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