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カテゴリー「新譜」の記事

2026年10月11日 (日)

Dave Hollandの未発表ライブ音源が早くもデリバリーされた。つくづく凄い人だ。

_20261010_0001 "Freedom Call" Dave Holland (Edition)

11月にAzizaを率いて久々の来日を果たすDave Hollandの未発表ライブ音源を集めた3枚組がリリースされ,私は英国から飛ばしたものが早くも到着した。送料はかかるが,Editionレーベルは発送が早くて好感度が高いが,今回もそうであった。

このボックス・セットは3種類のバンドの演奏を収めており,それぞれが"Unity","Synergism","Freedom"と題されている。ボックスのイメージが見つからないので,各々のディスクのジャケのイメージをアップしておくが,上から上記の順番である。

_20261010_0002 1枚目の"Unity"がセクステット,2枚目の"Synergism"がクインテット,そして3枚目の"Freedom"がPrismによる演奏を収めているが,まさにどのような編成でも素晴らしい演奏を展開することが実証されているようなボックスで,文句のつけようがない。こんな音源を惜しむことなく発表してくれたことは実にありがたいし,しかもすべてのディスクが70分越えの大盤振る舞いだ。そもそも各々のバンド・メンバーの素晴らしさを見れば,Dave Hollandというミュージシャンがどれほどリスペクトされているかの裏返しであるが,この演奏の質の高さ,スリリングな展開を聞けばジャズ・ファン興奮間違いなしである。

_20261010_0003 各々のディスクは聞きどころ満載ところだが,私にとってはDave Hollandはもちろんなのだが,やはりクインテットのクリポタことChris Potterと,PrismのKevin Eubanksの注目度が高い。クリポタについてはやはりテナーのソロが強烈で,聞いていて興奮してしまったし,Kevin EubanksについてはPrismのアルバムがリリースされた際に,そのギターのフレーズが素晴らしいと思ったのをライブでもきっちり引き継いでいる。また,ドラマーがEric Harland(disc 1/3)とNate Smith(disc 2)が分け合うという,現在これ以上望めないと言ってもよいドラムスである。悪いはずがないのだ。

まさに文句のつけようがない興奮必至のボックスとして星★★★★★。たまりまへん。

Recorded Live in 2008, 2010 and 2014

Personnel: Dave Holland(b), <disc 1>Antonio Hart(as), Alex Sipiagin(tp, fl-h), Robin Eubanks(tb), Mulgrew Miller(p) Eric Harland(ds), <disc 2> Chris Potter(ts, ss), Robin Eubanks(tb), Steve Nelson(vib, marimba), Nate Smith(ds), <disc 3>Kevin Eubanks(g), Criag Taborn(p, el-p), Eric Harland(ds)

本作へのリンクはこちら。

2026年10月 9日 (金)

JD Allenの濃い~新作はリズム隊のドローン的な響きにテナーが乗ると言えばいいか。

Sowt "SÖWT" JD Allen(Savant)

JD Allenがモロッコを訪問したことにインスパイアされて,作り上げたアルバムだそうだ。Web情報によれば,北アフリカ・モロッコを中心に伝わる精霊信仰(アニミズム)とイスラム神秘主義(スーフィズム)が融合した伝統的なトランス音楽であるグナワ音楽的なものの再現ということらしいから,なるほどと感じられる響きを持つ音楽である。「トランス音楽」とすれば,主題の通りドローン的な響きを持つことになる訳だ。そこにJD Allenのテナーがかぶさるこのサウンドは,かなり濃厚な響きと言ってよい。例えて言えば,一時期のBilly Harperにもつながる吹奏という気がする。

現代において,こうした一種暑苦しいとも思える音楽がどの程度受けるかは微妙にも思えるが,こういうかつてのスピリアル・ジャズの亜種と呼んでいいような響きを持つジャズを好むリスナーに受けるだろうし,ジャズとある種の民族音楽と言ってよいグナワ音楽を融合させた響きは刺激的で面白い。

JD Allenは多数のアルバムをリリースしているものの,リーダー作はこれまで"Victory!"1枚しか聞いていないはずで,Jeremy Peltのクインテットでの演奏を聞いていたぐらいだが,Jeremy Peltとの演奏は比較的コンベンショナルな感覚だったのに対し,リーダー作はより自由度が高い人だった。そんなJD Allenが更にこうした新しいチャレンジする姿勢は評価してよいように思う。ただ終盤の"Lil Lullaby"がそれまでのアルバムの流れから浮いているのが惜しい。星★★★★。

Personnel: JD Allen(ts), Leo Montana(p), Hamza Souissi(b), Ruy Adrián López-Nussa(ds), ​Yazid Alaoui(guembri, vo)

本作へのリンクはこちら。

2026年10月 8日 (木)

Meshell Ndegeocelloの新作が最高だ。もはや完全にプロデューサーの世界。

_20261006_0001 "Synonym" Meshell Ndegeocello(Blue Note)

Meshell Ndegeocelloの新作が届いた。この人のアルバムには多少の好みはあれども,はずれのないアルバムを届ける能力にはいつも感嘆させられる。そのMeshell Ndegeocelloの新作は2018年の"Ventriloquism"に続くカヴァー・アルバム。今回は多彩なゲストを迎えつつやっているカヴァー曲の選曲の広さが物凄い。このアルバムで取り上げている曲とオリジナルで演じた人は次のようになっている(はず)。

  1. I Knew You Were Waiting (for Me): Aretha Franklin & George Michael
  2. Don't You Want Me: Human League
  3. Don't Stop the Music: Yarbrough and Peoples
  4. Islands in the Stream: Kenny Rogers & Dolly Parton
  5. It Ain't Me Babe: Bob Dylan
  6. Always on Time: Ja Rule
  7. Be Real Black for Me: Donny Hathaway & Roberta Flack
  8. Don't Look Any Further: Dennis Edwards & Siedah Garrett
  9. The Closer I Get to You: Roberta Flack & Donny Hathaway
  10. Golden Ring: George Jones & Tammy Wynette
  11. I Got You Babe: Sonny & Cher
  12. Here We Come (Here He Comes): Brian Eno
  13. Guilty: Barbra Streisand & Barry Gibb
  14. Hunger Strike: Temple of the Dog
  15. With God on Our Side: Bob Dylan

Bob DylanとDonny Hathaway/Robert Flackのデュオが2曲ずつというのが目立つが,それ以外はソウル,カントリー,ポップ,ロック,グランジ,ラップまで何でもござれだ。そうした中で,今回のアルバムが"Ventriloquism"と随分と趣が違うのは,リード・ヴォーカルはほぼゲストに任せて,Meshell Ndegeocello自身もリードを取りつつも,どちらかと言えばバッキング・ヴォーカル的な歌唱とベースの演奏に徹している感じということだ。つまりやっている曲は違っても,Robert Glasperの"Black Radio"的だと思えばいいだろう。即ち,主題の通り,プロデューサー的な役割が大きいのだが,ちゃんと演奏も自身でコントロールし,ちゃんとMeshell Ndegeocelloのアルバムにしているって感じだ。そしてこれだけ多様な曲を演奏しつつ,維持されるサウンドの一貫性,適材適所のゲストというところにプロデューサーとしての力量も見事に発揮って感じだ。

ゲストには知っている名前もあれば,知らない名前もあるが,冒頭の"I Knew You Were Waiting (for Me)"のゲストのCynthia Erivoの参加は驚きだ。この人は映画「ウィキッド」シリーズ2作に出ていた人である。そんな人まで呼んでくるセンスが凄い。懐かしやDavid Gamsonとのコラボレーション復活も嬉しいところだが,不勉強にして知らない名前の人たちも,このアルバムを聞いて,どういう人なのか調べたくなること,及びオリジナルも聞いて比較してみたくなること必定だ。

そんな効果ももたらすこの新作は,どの曲を聞いても新鮮に響き,過去の名曲を再構築して,現代におけるソウル・ミュージックに仕立てた作品として高く評価したい傑作。星★★★★★。クレジットに各曲のBPMが書いてあるのもユニーク。Meshell Ndegeocello,才人と言うしかない。今年のベスト作入り確実だ。

Personnel: Meshel Ndegeocello(vo, b), David Gamson(prog, key, g), Chris Bruce(g, b), Oliver Leiber(g), Ella Feingold(g), Wendy Melvoin(g), Doyle Bramhall II(vo), Bela Fleck(banjo), Jake Sherman(p, el-p, org, vib), Jebin Bruni(key, synth, p, bell), Benny Bock(synth, el-p), Larry Goldings(el-p, synth, key, org), Alan Hampton(b), Gabe Noel(b, cello, hca), Abe Rounds(ds, perc, g, b, vo), Deantoni Parks(ds, prog),  Josh Johnson(horn), Levon Henry(horn), Elena Pinderhughes(fl), with Cynthia Ervo(vo),  Cat Power(vo), Nick Hakim(vo), Robert Glasper(p, vocoder, vo), Chaka Kahn(vo), Madison Cunningham(vo, p, g), Laura Lee(vo, b), Emily King(vo), Lizz Wright(vo), Liana La Havas(vo, g), Destin Conrad(vo), Moses Sumney(vo), Brandi Carlile(vo), Anohni(vo), Evann McIntosh(vo), Ink(vo), Willow(vo, ds), Bill Callahan(vo, g), Chris Thile(vo, mandolin), Nayanna Holly(back-vo), Hanna Benn(back-vo)

本作へのリンクはこちら。

2026年10月 6日 (火)

先日のライブを受けて購入したToninho Hortaの新譜はアメリカン・スタンダード集だが...。

"Standards & Stories" Toninho Horta(Minas)

_20261004_0001_20261005071201 先日のToninho Hortaのソロ・ライブに関しては既にレポート済みだが,それは素晴らしいギターの技であった。それにン感銘を受けて購入を決めたのがこの新作であった。ただ,これが聞いてびっくりである。ライブがシンプリシティの極致だとすれば,こちらはコーラスやオーケストレーションまで施されて,ある意味真逆の世界である。聞いていて思い出したのがAntonio Carlos Jobimの"Terra Brasillis"。私にはオーバー・プロデュース,更には出来の悪いイージー・リスニングにすら聞こえてしまった。

聞いていて最も困ったのがコーラスやらバッキング・ヴォーカルやらである。Toninho HortaのヴォーカルはJobim同様ヘタウマの世界であるが,そこにあまりに仰々しいコーラスをつければどうなるかなんて火を見るよりも明らかだ。

録音は2018年~2026年に渡ってNYCで行われたものに,ブラジルでのレコーディングをオーヴァーダビングしたもののようで,ジャケにはNY Works Vol1と書いてあるから,続編も出てくるということなのかもしれない。しかし,私が聞きたかったのはToninho Hortaのギターの響きとそれに乗った彼の歌であって,こんな路線なら私にはもはや無用の長物だ。音源がストリーミングされていないので,試聴しないで買った私が悪いのだが,先日のライブのよき記憶と印象を台無しにされた思いだ。

この趣味の悪さは完全にプロデュースを務めたSandro Albertの責任であり,私は絶対にこれは評価しない(きっぱり)。せめて本作の中では,先日のライブでも披露した"My One And Only Love"ぐらいのレベルになぜ留めておけなかったのかと言いたい。これを聞くぐらいなら先日のライブの印象を再現可能な"Solo Au Vivo"を聞く。仰々しいアレンジメントとあほらしいコーラス隊ゆえに星をつける気にもならないのは全く残念。

二度と聞く気がしないと言ってはToninho Hortaに失礼だが,正直なところアルバムとしてはその程度のものだ。

2026年10月 5日 (月)

アルバムを聞いて,彼らのライブへの期待値が異常に高まるMessthetics & James Brandon Lewis。

"Deface the Currency" The Messthetics And James Brandon Lewis _20260927_0001 (Impulse!)

James Brandon LewisはDownBeat誌の国際批評家投票で,テナー・サックス部門第1位に推されたプレイヤーである。前回の自身のバンドでのライブを見逃しただけに,次に来るときは必ずと思っていたのだが,27年1月にMesstheticsと来日することが告知され,速攻で予約を入れたのであった。

このバンドがどういう音楽をやるのかもよくわかっていなかったので,まずストリーミングで聞いたのだが,これがジャズとグランジの合体という感じで,何とも強烈な印象を与えてくれた。決してフリーではなく,メロディ・ラインは維持される中で,激しい音楽が展開されるという感じだ。もちろんJames Brandon Lewisは時折フリーキーなフレーズを発するとしてもだ。

バンドを構成するMesstheticsのリズム隊は元々Fugaziというバンドのリズム隊だったらしい。そもそもこのFugaziはNirvanaのKurt Cobainがファンだったという逸話も残っているから,相当のヴェテランである。リズム隊2人は既に還暦を過ぎているのだが,このアルバムから発せられる熱量は年齢なんて全く感じられない。

そうしたサウンドを聞けば,ライブの場でどのような演奏が展開されるのかが大いに楽しみになる訳だ。正直言って,彼らの音楽がCotton ClubやBlue Noteのようなこじゃれたヴェニューにフィットしているとは思わないのだが,そんなこと関係なしにぶちかましてくれるだろうという期待値も高まるアルバムである。これは実に爽快な騒々しさである。今年の2月のリリースなので,時間は経過しているが,新譜扱いとし,ライブへの期待も込めて星★★★★★としてしまおう。ディスクやストリーミングでもこれだけ興奮しているんだから,ライブでは悶絶必至?(笑)

Personnel: Anthony Pirog(g), Brendan Canty(ds), James Brandon Lewis(ts), Joe Lally(b)

本作へのリンクはこちら。

2026年10月 2日 (金)

私の推しの一人,Lizz Wrightの新作。相変わらずいいねぇ。

Lizz-wright-nearness "Nearness" Lizz Wright & Kenny Banks, Sr.(Candid)

私はデビュー以来,Lizz Wrightの推しである。この人の声は先日亡くなったCassandra Wilsonほどではないが,適度なディープさを持っていて,ジャズとゴスペル・フィーリングを融合させたその音楽は実に魅力的に響く。出したアルバムもことごとく出来のよいものであり,常にこの人の動きはウォッチしている。

そんなLizz Wrightの"Shadow"に続く新作は約2年という短いインターヴァルで届けけられたが,今回はKenny Banks, Sr.とのデュオ作である。Kenny Banks, Sr.という人については初聞きだと思ったら,Lizz Wrightのアルバムにはほぼ参加しているアトランタ・ベースのピアニストであった。この人は教会の音楽監督もやっているとのことなので,ゴスペル・フィーリングを持つLizz Wrightとの長年の付き合いもあり,相性は相当よいのだろうと想像させる。

ここでも"Nearness of You"や"All the Things You Are"等のジャズ・フィールドのスタンダードも歌っているが,半数以上はゴスペル曲であり,Lizz Wrightの音楽的ルーツに即した選曲と言える。そしてLizz Wrightの歌の上手さはここでも健在だし,Kenny Banks, Sr.の伴奏も適切。"All the Things You Are"で使っているのがクレジットに書かれたフェルト・ピアノだと思うが,この音色選びが何とも曲にフィットしている。

まぁ全体的にゴスペル色が強いので,ジャズ・ヴォーカルとして聞くと不満をおぼえるリスナーもいるだろうが,Lizz Wrightを元来純粋ジャズ・ヴォーカリストと捉えること自体に無理がある。こういう歌手だと認識して聞くと,これが何とも渋くも心に響く音楽である。昨日取り上げたGretchen Parlatoもジャズ・ヴォーカルの範疇を越えていたと思うが,Lizz Wrightも範疇は超越しつつ,全く違うアプローチなのが面白いのだ。

こんな歌を聞かされては,私のLizz Wright推しは永遠に続くとしか言いようがない。やや曲調にばらつきがあって,私としてはゴスペル・タッチ強めの曲の方に惹かれるところはあるのも事実だが,甘いの承知で星★★★★★としてしまおう。私の気持ちは下記の"Soon I Will Be Done"の映像を見てもらえばおわかり頂けよう。

Lizz Wrightが来日して時のライブを見てからもう11年の時が経過しているが,また来日して欲しいものだ。

Personnel: Lizz Wright(vo), Kenny Banks, Sr.(p, org)

 

2026年10月 1日 (木)

このメロウなサウンドこそGretchen Parlatoの魅力。2月の来日が本当に楽しみだ。

_20260926_0001 "The Wise Ones" Gretchen Parlato(Edition)

私が初めてGretchen Parlatoのアルバムを聞いたのは2011年の"The Lost And Found"だったのだが,そのコンテンポラリーな感覚が,コンベンショナルなジャズ・ヴォーカルとは異なっていた。日頃,あまりジャズ・ヴォーカルを聞かない私にもフィットするそのサウンドは記憶に残るものだった。それ以来,彼女のアルバムは結構買っているし,2023年にはライブも観に行った。

そんなGretchen Parlatoの新作であるが,前作"Lean in"は私が苦手とするLionel Louekeとのデュオということもあり,完全にスルーしたが,その前の"Flor"のよかった。今回はメンツを見て,まずはストリーミングで聞いて,そのメロウなサウンドが素晴らしかったので,現物も購入と相成った。

ここでGretchen Parlatoと共同プロデュースをしているAlan Hamptonは,本人自身SSWとしてアルバムをリリースしていて,私はそっちも支持してきたので,そのポイントも高いのだ。それに加えて"The Lost And Found"でプロデュースにも関わったRobert Glasperとの再会,あるいはゲストとしてMeshell Ndegeocello,更にはMoonchildのAmber NavranやMax Brykの参加等,私に訴求するポイントだらけなのだ。

2曲目のMeshell Ndegeocelloの野太いベース音には少々びっくりするが,全面的にメロウなサウンドが支配していて,これは聞いていて気持ちよいことこの上ない。これこそ本質的なGretchen Parlatoの魅力だと再認識した私である。特にRobert GlasperとGerald Claytonのエレピのサウンドの貢献度大だ。

来年2月にはここには参加していないTaylor Eigstiに,Alan Hamton,そして旦那のMark Giulianaという強力なメンツで来日が予定されていて,このアルバムを聞いて,それが猛烈に楽しみになってきた。そうした楽しみを増幅させるに十分なアルバムとして星★★★★★。記事の分類としてはジャズにカテゴライズしたが,ジャズの概念だけでは捉えきれない魅力炸裂だ。

これだけのクォリティのアルバムをわずか2日で仕立てるとはまさに驚き。尚,国内盤はボートラが1曲追加(この曲だけ録音が先)されているが,エンジニアも違うし,結構雰囲気が異なるのは仕方ないところだろう。

Recorded on November 17 & 21, June 18(Bonus Track), 2025

Personnel: Gretchen Parlato(vo), Alan Hampton(b, g, p, vo), Robert Glasper(p, el-p), Gerald Clayton(p, el-p, celeste, org), Mark Giuliana(ds, perc), Meshell Ndegeocello(b, vo), Amber Navran(vo, woodwinds, synth), Becca Stevens(vo, kora), Jacob Mann(synth), Josh Mease(g), Max Bryk(synth), Marley Giuliana(vo), Lauren Desberg(clap), John Clayton(b)

本作へのリンクはこちら。

2026年9月26日 (土)

Bootsy CollinsとBucketheadがコラボするとなればこうなるよなと思いつつ,想像以上の騒がしさ。

Metal-health"Metal Health" Bootsy Collins & Buckethead(Bootzilla)

主題の通りだ。"Metal Health"と言えば,普通はQuiet Riotだが,これはBootsy CollinsとBucketheadのコラボレーション作。7月にリリースされていたらしいこのアルバムをストリーミングで聞いた。まぁこうなるとはわかっていても,こちらの想像を越える騒々しい音楽が1時間以上続くと,さすがに高齢者にはきついところもあるが,これが快感になると思えた時代が懐かしい...(遠い目)。

そうは言いながら,このファンクとメタルとロックが混じったような音楽は,ある意味爽快感のあるフリー・ジャズと同じように感じられると思う。自然に身体が動くというところだ。このアルバムはBootsy Collinsがギター以外の部分を担っているようだが,そこに多才なゲストを迎えている。ベースが本業のBootsy CollinsがVictor WootenやBilly Sheehan,更にはMetalicaのRobert Trujilloのような強力なベーシストをゲストに迎えているのが面白い。ゲストにはSamuel L. Jacksonが含まれており,"Afflictions"でラップを披露していて,もはや何でもありだ。しかし,このラップが結構まともなのだ。

それにしても,Bootsy Collins,今や74歳とは思えぬ元気さで,こういうのを聞くと高齢者かくあるべしなんて思ってしまう激しさである。もはや音楽的にどうこうと言うよりも,これはこのヘヴィなサウンドを単純に楽しめばいいという感じだ。それにしてもよくやるわ。星★★★★。

Personnel: Bootsy Collins(b, vo, synth, prog), Buckethead(g), Jeniffer Batten(g), Eric Gales(g), Manou Gallo(b), Victor Wooten(b), Billy Sheehan(b), Robert Trujillo(b), Tobotius(key, turntable, DJ), Ouiwey Collins(vo), Nate Alien8(vo), Barbie T(vo), Samuel L. Jackson(rap)

フィジカルが見当たらないので,本作へのストリーミングへのリンクはこちら。

2026年9月25日 (金)

今,ECMに求めうる理想の音と言ってもよい田中鮎美のトリオ作。

_20260924_0001 "Windflower" 田中鮎美(ECM)

昨今は以前ほどECMレーベルのアルバムを追うということも減ってきているが,気になるアルバムはチェックするようにはしている。このアルバムもそうした対象となったものであるが,これが実に素晴らしい作品であった。ECMから想起されるクールで静謐なサウンドそのものが体現されていて,長年のECMレーベルのファンとしては嬉しくなってしまったのであった。

もはやECMから日本人プレイヤーのアルバムが出ても驚くことはないとしても,田中鮎美は本人のアルバムや本作にも参加しているThomas Strønenなどが残っていて,いかにもECM的な響きを生み出してきていたとは思う。リーダー作の"Subaqueous Silence"ではミニマルな響きさえ感じさせたが,このアルバムにもミニマルな部分はない訳ではないが,よりピアノのサウンドがより明確に感じられるように思う。そしてこういうアルバムにはフィット感が強いThomas Morganのベースもよろしく,"Subaqueous Silence"でも感じられた冷え冷えとした感覚は,クールさの強いタイプのECMレーベルの作品の典型みたいなものだ。だからこそ,私はここでのサウンドには惹かれてしまうのだ。完全に私のツボにずっぽしはまってしまったというところだ。

ただ,そうは言ってもこういうサウンドだけに,万人向けの音源とは言えない部分があるのも事実。しかし,私にとってはここ暫くで聞いたECMのアルバムの中でも最も評価したくなるアルバム。星★★★★★。

Recorded in May, 2025

Personnel: 田中鮎美(p),Thomas Morgan(b),Thomas Strønen(ds) 

本作へのリンクはこちら。

 

 

2026年9月21日 (月)

John Coltrane Centennialの年における最大の話題作かもしれないBranford MarsalisとDianne Reevesによるトリビュート・アルバム。

_20260919_0001 "Dedicated to You" Branford Marsalis Quartet & Dianne Reeves(Blue Note)

昨今,フィジカルの媒体を購入する機会がすこぶる減少した私だが,買うとしても大概はストリーミングで試聴してからというのが通常のパターンだ。しかし,事前にこれは必ず買うと決める場合もあって,このアルバムなどはその最たる事例だ。

今年はMiles DavisとJohn Coltraneの生誕100年が重なって,両者に対する様々なトリビュートが行われているが,アルバム単位で最も注目に値すると思われたのが本作である。私はジャズ・ヴォーカルをあまり聞かないとしても,Branford MarsalisがDianne Reevesと組んで,"John Coltrane & Johnny Hartman"のレパートリーを再演するとなれば気にならない訳がない。

Branford Marsalisが現在のJoey CalderazzoとEric Revisを含むクァルテットを編成して四半世紀以上の年月が経過したが,ドラムスがJeff ’Tain’ WattsからJustin Falknerに代わっただけで,ほぼ不変のメンツを維持しているから,もはや鉄壁のコンビネーションであることに疑いはない。彼らがどのようにColtraneの世界に挑むかということになるが,まぁ既に「至上の愛」に取り組んだこともあるから,その成果を踏まえれば悪かろうはずはないが,バラッド表現ではどうかというところが注目点になろう。

そしてこれが実に渋い。特にDianne Reevesを迎えた6曲は"John Coltrane & Johnny Hartman"へのリスペクトに満ちたものであり,これらが枯れた味わいを示す一方,Dianne Reevesが抜けるクァルテット演奏とのメリハリがついていて,このバランスがナイスだと思う。因みに私が購入したのはCDだが,最後の3曲はボーナス・トラックとなっているのはなぜなのかは謎だ。アナログLPは2枚組でこの3曲も含まれているから何を以てボートラ?ってのはさておき,そのうち2曲は"Ballads"から"Say It"と"Nancy",そして最後はピアノレスで"Big Nick"だ。たまりませんなぁ。

Dianne Reevesが歌う曲では上述の通り,Branford Marsalisも枯れた味わいを示すが,"Central Park West"をJoey Calderazzoとのデュオでやってしまうというのも渋過ぎである。彼ももう66歳なのだから,年齢相応の演奏ということもできるが,テナーの音はJohn Coltraneとは全然違うとは言え,違った魅力が生み出したという感じだ。

"Nancy"なんかはムーディに流れ過ぎだとか,このアルバムに対しては純粋John Coltraneファンでなくともいろいろ言いたいこともあるだろう。先達としてのJohn Coltraneが偉大過ぎて,面々にはプレッシャーの掛かる部分もあったのではないかと推察するが,ハードルはクリアしたという感じで,この意気やよしという点も含めて星★★★★☆。小難しいことは考えずに楽しめばいいと思う。いずれにしても聞きものはDianne Reevesが入った6曲の方だな。

Recorded on August 25-29, 2025

Personnel: Branford Marsalis(ts, ss), Dianne Reeves(vo), Joey Calderazzo(p), Eric Revis(b), Justin Falkner(ds)

本作へのリンクはこちら。

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