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カテゴリー「映画」の記事

2026年10月14日 (水)

無茶苦茶面白かった「ウィンチェスター銃 ’73」。

Winchester_73 「ウィンチェスター銃 ’73(Winchester ’73)」(’50,米,UIP)

監督:Anthony Mann

出演:James Stewart, Shelley Winters, Dan Duryea, Stephen McNally, Millard Mitchell, John McIntire, Will Geer, Jay C. Crippen

西部劇における傑作と言われるのがこの映画である。善と悪が明快なストーリー,スピード感溢れるアクション,優れたカメラ・ワーク,そして記憶に残る脇役陣等,なぜ傑作と言われるのかがよくわかる作品であった。

ダッジ・シティでの射撃大会での賞品がタイトルとなったウィンチェスター M1873ライフルが様々な人の手に渡っていく過程で,数々のアクションが生まれていくのだが,その途中では先住民のボスの手にも渡るのだが,それを演じているのが若き日のRock Hudson,それと対峙する騎兵隊の中にはこれまた若き日のTony Curtisの姿もあるところに時代を感じる。それはさておきとして,ライフルによって生まれるストーリーは秀逸であった。

そもそも主役のJames Stewartが素晴らしいが,全編で相棒を演じるMillard Mitchellが超渋いのに加え,序盤でWyatt Earpを演じるWill Geer,怪しげな武器商人を演じるJohn McIntire,そして騎兵隊の軍曹を演じるJay C. Crippenも印象的なキャラクターとして登場して,Dan Duryea,Stephen McNallyの悪役陣とともに映画を盛り上げるのだ。

Shelley-winters そして先日取り上げた「狩人の夜」に続いてこの映画にもShelley Wintersが出ているが,当時の彼女は超絶的別嬪というより,親しみやすい,いい意味でのファニー・フェイス的な感じで人気があったんだろうと思う。私は「狩人の夜」の役柄より,こちらのShelley Wintersの方が好きである。私の年代でも,ついつい「ポセイドン・アドベンチャー」の太っちょのローゼン夫人の印象が強くなりがちなShelley Wintersであるが,昔の姿も貼り付けておこう。

映像では,先住民に追われる馬車の疾走シーンや,先住民との戦闘シーン,更にはJames StewartがStephen McNallyを追跡するシーンのスピード感が見事なのであった。監督のAnthony Mannの作品をこのブログで取り上げるのは初めてのはずだが,彼のフィルモグラフィを見れば,どんなストーリーでも撮れてしまうまさに職人。ここでも見事な職人芸を披露したということになろう。

西部劇にもいろいろあるが,面白さという意味ではこの映画は高く評価すべきものと思う。星★★★★★。

本作はDVDでも出ていたはずだが,昨今は単体での入手が難しそうなので,ストリーミングへのリンクはこちら。

2026年10月10日 (土)

「ディスクロージャー・デイ」:少々陳腐なストーリーとも言えるが,それなりに見られる映画であった。

Disclosure-day 「ディスクロージャー・デイ("Disclosure Day")」(’26,米,Universal)

監督:Steven Spielberg

出演:Emily Blunt, Josh O'Conner, Colin Firth, Eve Hewson, Colman Domingo, Wyatt Russell, Elizabeth Marvel

早いもので,Steven Spielbergも今年の12月で傘寿だそうだ。「激突!」が1971年だから,半世紀以上前と言うことを考えれば,あぁそうなのかと思ってしまうが,歳はとっても,撮る映画は変わらないねぇと思ってしまう。宇宙人の存在の隠蔽,更には宇宙人とのコミュニケーション等,Steven Spielbergが一貫して描いてきたテーマと言ってもよい。

Steven Spielbergの頭には宇宙人の実在という信念があるから,こういう映画が出てくるのもわからないではないし,更にそこにアクション・シークェンスを交えて描くから,2時間半近い尺もそう気にはならなかった。しかし,この映画のテーマである「ディスクロージャー」の部分の必然性とそこに至る展開については,シナリオの弱さが指摘されても仕方がない。そもそもあのデバイスは何なんだ?と言わざるをえないが,細かく言うとネタバレになるので,ここでやめておく。

だが,Steven Spielbergの演出については大きな破綻はないと思えるし,撮りたい映画を撮ったという印象が強く,最も印象的なのはエンディングだったかもかもしれない。Emily Bluntの最後のセリフについては複数の解釈が可能だと思えるが,そこに想像をめぐらせばよいという感じか。私は放送局のシークェンスや人々の反応については,ありきたりという感覚はあったが,それを救ったのがエンディングだったかもしれない。

まぁ,娯楽作として評価はできるので,甘いの承知で星★★★★とするが,最高とは言わずとも,それなりの見応えはあると言っておこう。

2026年10月 7日 (水)

Robert Mitchum演じるHarryの極悪非道ぶりが際立つ「狩人の夜」。

Night-of-the-hunter 「狩人の夜("The Night of the Hunter")」(’55,米,United Artists)

監督:Charles Laughton

出演:Robert Mitchum, Shelley Winters, Lilian Gish, James Gleason, Peter Graves, Evelyn Varden, Don Beddoe, Billy Chapin, Sally Jane Bruce

名優Charles Laughtonの唯一の監督作である。当時は興行的には失敗したが,後に評価の機運が高まった作品だそうだ。

既にこの当時にはスターと言ってよかったRobert Mitchumが主題の通り,とんでもない極悪非道ぶりを演じる映画である。映画冒頭からうさん臭さを出して,いかにも詐欺師的な口の上手さで人をだますところなんて,普通なら怪しいと思えよと言いたくなるところだが,まぁそれはさておきである。

次のシークェンスで殺人と銀行強盗で1万ドルを持ち逃げしてきた男を演じるのが,後の「スパイ大作戦」のフェルプス君ことPeter Gravesである。Peter Gravesが息子のジョンに現金の隠し場所を告げ,Robert Mitchum演じるHarryがそれをつけねらうというのが映画の中心。

Peter Gravesが死刑判決で出番が亡くなった後,その未亡人となったShelly WintersにRobert Mitchumが近づき,すぐに結婚というのは時代の成せるわざかって気もするが,結局は金目当てで,Shelly WintersはRobert Mitchumに洗脳された挙句,殺されてしまうというのもかなり無茶苦茶なストーリーだ。

Lilian-gish そして金のありかを知る子供のジョンとパールはボートで間一髪逃げ出し難を逃れるのだが,Robert Mitchumは馬に乗ってそれを追いかけるというのもこれまた凄い設定である。子供二人は結局Lilian Gish演じるクーパー夫人に助けられ,そして守られるというストーリーになっていくのだが,最後までRobert Mitchumの嫌らしさ炸裂である。よくぞこの役を引き受けたってところだが,その一方でLilian Gishが宗教観に満ちた強い女性を演じるところが素晴らしい。胡散臭いRobert Mitchumとの対比が実に見事なのだ。この映画製作時,Lilian Gishは還暦を過ぎていたが,若い頃の美貌を知って頂くためにポートレートを貼り付けておく。還暦を過ぎていても,かつての美貌の残り香を感じさせた。

結末については往時の映画ゆえ,推して知るべしの部分もあるが,敢えて書かないでおこう。いずれにしても,この映画はRobert MitchumとLilian Gishに尽きると言ってよいだろう。それに比べればShelley Wintersは熱演ながら,中盤で殺されてしまうので,印象が弱くなってしまい,女優としては完全にLilian Gishに場をさらわれたってところだろう。

シナリオには無理がある部分があるのは承知で星★★★★☆。

本作のDVDへのリンクはこちら。ストリーミングへのリンクはこちら。

2026年10月 4日 (日)

またまた見ましたマカロニ・ウェスタン:「真昼の用心棒」はまぁそうなるわねという感じ。

Photo_20260823123101「真昼の用心棒 ("Le colt cantarono la morte e fu... tempo di massacro")」(’66,伊)

監督:Lucio Fulci

出演:Franco Nero, George Hilton, Giuseppe Addobbati, Nino Castelnuovo, Rina Franchetti

私も好きだねぇと思いつつ,またもマカロニ・ウェスタンである。マカロニ・ウェスタンと言えば「~の用心棒」ってタイトルにすればいいと当時の配給会社は思っていたようだが,この映画に関しては用心棒の要素は全くないと言ってよい。 まぁ葬儀屋を演じるTchang Yuが「用心棒」における棺桶屋に近いものがあるとは言っても,それだけである。

金塊探しをしていたFranco Nero演じるTomが知り合い(?)のCarradineから呼び出され,ララミーの町へ戻ってみると,ララミーの町はScott一家に牛耳られていて,そのScott一家に対するFranco Neroによる復讐劇のようなもの。そこに加勢するのが兄のGeorge Hilton演じるJeffreyなのだが,劇中ほとんどテキーラで飲んだくれているJeffreyがいきなり後半に活躍を見せるのを見ていると,「あぶさん」か!と言いたくなるような変貌ぶりを示すのが笑える。

ストーリーはまぁマカロニ・ウエスタンっぽいシンプルなもので,えぐいところはえぐい。そんな中で,悪役Scott Jr.を演じるNino Castelnuovoが超憎々しい。無表情にサディスティックな感じで鞭をふるう姿を見ていると,とても「シェルブールの雨傘」にも出ていたとは思えぬ演技ぶりで,悪役もこのレベルまで徹底すると潔いって感じか。

一方,Franco NeroとGeorge Hiltonの善玉二人はほとんどピンチもなく銃撃戦を乗り切るってのはさすがにないんじゃないの?という気もするが,その前にFranco Neroは鞭でいたぶられているからそれでよしってところだろう(笑)。まぁ暇つぶしには丁度よい尺でよかったっていう感じの標準作。星★★★。

本作のDVDへリンクはこちら。

2026年9月30日 (水)

「タイムリミット25時」:さすがにこのストーリーには無理があるかなぁ。タイトルにも疑問が。

Deadline-at-dawn 「タイムリミット25時("Deadline at Dawn")」(’46,米,RKO)

監督:Harold Clurman

出演:Susan Hayward, Paul Lucas, Bill Williams, Joseph Calleia, Osa Massen

川本三郎の「サスペンス映画ここにあり」にも取り上げられているこの映画は,William Irishによる原作を脚色したもので,大体午後11時から午前6時の7時間が描かれている。原題の通り,タイムリミットは「夜明け」なので,映画のストーリーに照らせば午前6時である。だから邦題の「25時」というのは明らかにおかしいというところから指摘しておかねばなるまい。

それはさておきである。このストーリーはかなり無茶苦茶だ。殺人現場に入り込んで,冷蔵庫は開けるは,手紙は持ち出すわでは現場に指紋がどっさり残ってしまうではないかと思えるし,当てずっぽうで犯人捜しをしたとしても,それが当たるとは限らないという瑕疵はたっぷりである。

しかし,序盤の悪女Ednaを盲目の元旦那のSleepyが訪れるシーンから,サスペンスはある程度盛り上げを図るし,さまざまな登場人物が交錯して,誰が犯人なのかというミステリー仕立てはある程度楽しめる。最後には大どんでん返しが待っているが,なるほどそういうことかと思わせるところで納得である。

いずれにしても,この映画はいたいけなBill Williams演じる気弱な水兵,AlexにほだされるJuneを演じたSusan Haywardがいい感じだ。そしてなんていい人と映画の中でもSusan Haywardに言わしめるタクシー・ドライバー,Gusを演じるPaul Lucasが本当にいい人に思えてしまう。ただ,正直なところ,世の中こんな人いるかねぇなんて思ってしまうのも事実。

まぁ小難しいことを言わず,楽しんでいればいいというレベルの映画であった。星★★★。尚,冒頭のニュース・スタンドでBill Willamsと話している兄ちゃんはJack Palanceに見えて仕方がなかったのだが,IMDbではWilliam Challeeという人らしい。他人の空似だったのかなぁ...。

本作のストリーミングへのリンクはこちら。

2026年9月28日 (月)

約70年前の日本が舞台の「東京暗黒街・竹の家」を見た。

House-of-bamboo「東京暗黒街・竹の家("House of Bamboo")」(’55,米,Fox)

監督:Samuel Fuller

出演:Robert Ryan, Robert Stack, 山口淑子, Cameron Mitchell, Brad Dexter, 早川雪洲, DeForest Kelley

噂には聞いていたが,このSamuel Fullerが撮った映画を初めて見た。「情無用の街」のリメイクということも今回知った。「情無用の街」での悪役のRichard Widmarkが本作ではRobert Ryan,善玉のMark StevensがRobert Stackという位置づけで,舞台を日本に置き換えている。

この映画,当時の日本の世相がかなり捉えられているのはいいのだが,どうせなら日本人の役者を使えばいいものを,ロケーションはさておき,スタジオでの撮影は本国で行われているから,日本語のセリフ回しがおかしいところの違和感はどうしても拭えない。それにどう見ても山口淑子の着物姿も明らかに変なので,彼女はそうした点についてはちゃんと発言すべきだったと思う。そして山口淑子の身長が相当低いせいか,顔が大きくて,6頭身ぐらいに見えて仕方がなかった(笑)。まぁどんちゃん騒ぎのシーンとかも変だろうとケチをつけだしたらきりがないのだが,結局は日本のイメージはフジヤマ,ゲイシャの時代だった訳だから仕方あるまい。映画のストーリーとはあまり関係もなく鎌倉の大仏とかが出てくるのも笑える。

そうした中で,この映画の実質的な主役は後にTVドラマ「アンタッチャブル」でお馴染みのRobert Stackだが,この映画のポスターはRobert Ryanのイメージっぽいのはどうなのやらって感じだし,その背後の山口淑子のイラストは銭湯から逃げだすシーンのイメージだが,どう見ても身体のバランスを盛っている(笑)。

だが,この映画はラストの銃撃戦(かつての浅草の松屋の屋上らしい)がクライマックスってことになるが,これも日本の警察があんなに拳銃をぶっ放していたら大変だろうと言いたくなるもの。ということで,これはどちらかと言えば「ここが変だよ」と突っ込みを入れながら見ていればいい映画と言える。「荒野の七人」に出るBrad Dexterや「スタートレック」でお馴染みのDeForest Kelleyが出ていたりというところはあるものの,珍品としか言いようがないので,星はつけないでおこう。

本作のDVD へのリンクはこちら。

2026年9月23日 (水)

「続・荒野の七人」:最低最悪の続編と言っても過言ではない。

Return-of-the-seven 「続・荒野の七人("Return of the Seven")」(’66,米/西,United Artists)

監督:Burt Kennedy

出演:Yul Brynner, Robert Fuller, Julian Mateos, Warren Oates, Claude Akins, Fernado Rey, Elisa Montes, Jordan Christopher

「荒野の七人」の続編をストリーミングで見たのだが,これがひどい出来であった。前作からのキャストを引き継いだのはYul Brynner演じるChrisのみであるが,前作にも登場したVin,Chico,そしてPetraというキャラクターは引き継いでいるものの,役者陣が小粒化してしまっているのがまず痛い。また,前作のキャストとキャラクターとの連続性が保たれていないから,なんでそうなるのかというところを初見の人は理解しづらいというのも難点である。

だが,この映画の最大の欠点はつまらないストーリーにしてしまったシナリオ。そもそもどうして7人が集まるのかという動機がはっきりしないし,敵の大群に対抗する数少ない善玉が前半では全く怪我もしないというのもありえないだろう。Yul Brynnerも明らかにやる気がなさそうな演技っぷりで,「ビジネス」として出演したとしか思えない駄作。Claude AkinsとWarren Oatesの二人の方がよっぽどまとも。また,こんなところにFernando Reyを使うのがもったいないとしか言いようがない。この後,Chris役をGeorge Kennedy,Lee Van Creefに代えて更に続編が作られたというのも信じられない。全くの時間の無駄だったしか言いようがなく,星★で十分だ。

本作のDVDへのリンクはこちら。

2026年9月20日 (日)

「黄金」をストリーミングで見た。これぞ傑作。ひげ面のHumphrey Bogartもいいが,Walter Hustonが圧倒的。

Photo_20260816154101 「黄金("Treasures of Sierra Madre")」(’48,米,Warner Brothers)

監督:John Huston

出演:Humphrey Bogart, Walter Huston, Tim Holt, Bruce Benett

この映画を初めて見たが,これは傑作と呼ぶに相応しい作品であった。黄金の採掘により,その魔力により生まれる歪んだ欲望,疑心暗鬼に陥る嫌らしい人間性とその因果応報を見事に描ききったって感じである。

ひげ面のHumphrey Boartも珍しいが,こういう悪役っぽい役もちゃんとこなしてしまうのがBogieのBogieたる所以だ。とにかくここでのBogieのろくでなし度が素晴らしいが,ここでの演技や風貌を見ていると,三船敏郎に似たところを感じていた私である。この映画はBogieとWalter Huston,そしてTim Holtの三人で金の採掘を行うという設定において主役となる訳だが,Bogieよりも老獪なHowardを演じるWalter Hustonの演技が素晴らしく,本作でオスカーの助演男優賞を獲るのも当然という気がする。

この映画は監督,脚色のJohn Hustonに両部門でオスカーが授けられたのも頷けてしまう作品であった。更に小ネタになるが,John Hustonはこの映画の冒頭でBogie演じるDobbsに3回無心される「白いスーツの男」で映画にも登場しているのも面白い。更に宝くじを売る少年を演じているのは後に「冷血」やTVシリーズ「刑事バレッタ」に出るRobert Blakeであった。もはやこうなるとへぇ~の世界である。

いずれにしても誰がどう見てもこの映画は傑作であり,手放しで褒めたくなる映画であった。人生の後半になってしまったが,遅ればせながらでもこの映画が見られたことを素直に感謝したい。星★★★★★。

本作のDVDへのリンクはこちら。ストリーミングへのリンクはこちら。

2026年9月15日 (火)

「オデュッセイア」をIMAXで見に行った。まさに壮大そのもの。

The-odyssay「オデュッセイア("The Odyssay")」

監督:Christopher Nolan

出演:Matt Damon, Tom Holland, Anne Hathaway, Robert Pattinson, Charlise Theron, Zendaya, John Leguizamo, Travis Scott

Christopher Nolanのこれまでの仕事を最大評価する私だが,休日の朝一で家人を誘って見に行ったもの。ホメロスの古代叙事詩「オデュッセイア」を原作として製作されたこの映画は,Christopher Nolan得意の時間軸の移動を含めながらの壮大な映画であった。ホメロスの「オデュッセイア」自体については全く予備知識もないまま見ることになったが,マルウェア「トロイの木馬」の名前がここから来ていたことすら知らなかったのだから,知識への好奇心というものが私に欠けていたことを思い知らされる結果となった。

それはさておき,全編IMAXで撮られたことの意義を感じさせる映像の数々である。まさに見事なものであった。ドラマティックな演出,壮大なスケールをリアリティをもって再現した撮影,特撮技術,そして充実のオールスターの俳優陣であった。

そしてこの映画を見ていると,古代叙事詩「オデュッセイア」が後の映画にも影響を与えたことがわかる。顕著だと思ったのが,アイアイエ島の魔女キルケに肉を食らう兵士が豚に姿を変えられてしまうのは,「千と千尋の神隠し」の両親の姿そのものではないかと思ってしまったし,この映画には出てこないが,パイアケースの王女の名前はナウシカ―だ。そのほかにもTVゲームへの影響も大だったなんてことに今更気づいた高齢者の私であった。

いずれにしても,この映画のスケールの大きさは大変素晴らしく,Christopher Nolanという監督の仕事への信頼度がますます高まった一作。こういう映画を撮っていれば,役者の方がChristopher Nolanの映画に出たがるだろうと思わせるに十分な映画的な興奮に満ちた傑作。星★★★★★。

私は前から3列目でずっと見上げるような姿勢で見ていたのだが,IMAXのスクリーンのでかさを感じるには,この映画は前の方の席で見た方がいいと感じ,もう少し後ろの席を取るつもりが前の方しか空いていなかったのは逆に幸いだったと思った私である。

2026年9月13日 (日)

「ブラボー砦の脱出」:これが矢が飛んでくるシーンかぁと思いながら見ていた。

Escape-from-fort-bravo 「ブラボー砦の脱出("Escape from Fort Bravo"」(’53,米,MGM)

監督:John Sturges

出演:William Holden, Eleanor Parker, John Forsythe, William Demarest, William Campbell

主題の通りである。この映画については逢坂剛と川本三郎の趣味趣味対談本「大いなる西部劇」に書いてあったことで知ったもので,そこには「矢が飛んでくる」シーンに関する記述があったはずだ。この映画をストリーミングで見ながら,あぁ,これがそうだったのかと思っていた次第だ。

John Sturgesは「OK牧場の決闘」や「荒野の七人」をはじめ,ウェスタンを何本も撮っているが,このジャンルでの初作がこれだったようだ。南北戦争時の北軍側がWilliam Holden,捕虜となっている南軍側がJohn Forsytheで,脱出を試みるのがJohn Forsytheでそれを追うのがWilliam Holdenってことになるのだが,その追跡行の中での先住民族メスカレロ族による襲撃と戦いのシーンが目玉なのだが,そこで出てくるのが先述の矢で襲われるシーンであった。この映画は3Dになる予定もあったようだが,まさにこのシーンのための3Dだと思わせる演出であったし,3Dなら恐怖を感じただろうというところだ。

しかしこの映画,そこに至るまでのストーリーがやや冗長で,尺はもっと短くてもいいように思える。William Holden演じるRoperとEleanor Parker演じるCarlaのロマンスみたいなシーンがもう少し手短ならと思ってしまう。最近私が見る映画にはよくEleanor Parkerが出てくることで,当時の人気ぶりとその別嬪度はわかるのだが,彼女が出てきてからのストーリーに無駄が多いのだ。また,脱出する南軍捕虜がなんでその4人?というところもあって,シナリオの弱さは感じるというのが正直なところだ。

まぁ最後の展開もちょっとありきたりな感じがしてしまうが,昔の映画だからねぇ,ってことでよしとしておこう。星★★★。

因みにこの映画はAnsco Colorという方式で撮られているが,このAnsco Colorというのはテクニカラーに代わるカラーシステムとして採用されていたものらしく,MGMがよく使っていたようだが,その後広まったって話は聞いてないなぁ。

ここまで書いておきながら,私がこの映画のDVDを購入していたことが判明。そんなことはすっかり失念していたのだが,場所の確保のために,DVDをケースから外して,ディスク格納用のファイルに収納してしまっていることが失敗要因。老後の楽しみとしてDVDやBlu-rayを買い集めていても,ちっとも見ていないという証拠。まさにアホですな。

本作のDVDへのリンクはこちら。

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