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カテゴリー「映画」の記事

2022年5月14日 (土)

GW中にストリーミングで観た映画(4):「Vフォー・ヴェンデッタ」

V-for-vendetta 「Vフォー・ヴェンデッタ("V for Vendetta")」(’05,米/英/独,Warner Brothers) 

監督:James McTeigue

出演:Hugo Weaving, Natalie Portman, Stephen Rea, Stephen Fry, John Hurt, Tim Piggot-Smith

GW中にストリーミングで観た映画もこれが最後である。この映画,私は以前見たことがあるように思っていたのだが,Natalie Portmanの短髪だけの印象だけがあって,ほかのストーリーとかは全く記憶になく,どうもそれは勘違いだったようだ。原作はDC Comicsなので,話は荒唐無稽になることは必定なのだが,この映画のポイントは「マトリックス」シリーズのWachowski兄弟(今は姉妹になっている)がシナリオを書いていることだろう。

しかし,私はこの映画を観ていて,今回思ったのはJohn Hurtが演じる独裁者Adam Sutlerが,現在のウラジミール・プーチンに重なって思えてしまったことだろうか。ウクライナの戦乱においても化学兵器の使用が懸念されるが,この映画の主人公,Vは生体実験の犠牲者のようなもので,その壮大な復讐劇がこの映画のテーマとなっているが,そういうストーリーの背景を観ていると,どうしても現在のウクライナ情勢とオーバーラップしてしまうという部分があった。

そういう部分を除けば,上述の通り,壮大な復讐劇であるが,そんなことありえないだろうってところが,さすが原作がDC Comicsってところではある。とにかく主人公Vが強過ぎってところもあるし,アナーキズム礼賛みたいな部分は問題視されるところだろう。また,シナリオには穴も多々あるのは仕方ない。よくよく考えれば,相当陰惨なストーリーではあるが,それをそこそこ面白く見せたというのは評価してもよいと思う。そうした評価は,やはり今のウクライナ情勢との重なりが大きかったかなと思いつつ,半星オマケで星★★★★としよう。

2022年5月10日 (火)

GW中にストリーミングで観た映画(3):「プレステージ」

Prestige 「プレステージ("The Prestige")」(’06,米/英,Touchstone/Warner Brothers)

監督:Christopher Nolan

出演:Hugh Jackman,Christian Bale,Michael Cain,Scarlett Johansson,Rebecca Hall, David Bowie,Andy Serkis

GW中にストリーミングで観た3本目はこれまたChristopher Nolanの映画であるが,これも観るのも初めて。二人のマジシャンの異常なまでのライバル心が生む大どんでん返しストーリーと言うべきか。相変わらず,Christopher Nolanらしい時間軸を交差させながら描かれるストーリーであるが,謎は仕込んであるとは言え,この前に観た「メメント」よりはわかり易い。それでも普通の映画に比べれば,「あれは何だったのか」と思わせるシーンが出てくるところが,やはりChristopher Nolanの映画だと思わせる。

「バットマン・ビギンズ」に続いてのChristian Bale,Michael Cainの登板だが,そこにHugh JackmanやScarlett Johanssonが加わり,それだけ見ればバットマン対X-Men対アべンジャーズのようなキャスティングであるが,ここは19世紀後半を舞台にしたコスチューム・プレイのようなものなので,派手なアクション映画ではない。むしろ,マジック(今で言えばイリュージョンか)にややSFチックなストーリーを加えたところが実にユニークな映画である。そして,そのSFチックな設定に重要な役割を果たす役で出てくるのがDavid Bowieなのには,びっくりしてしまった。

ストーリーを語れば,その瞬間ネタバレ必至という恐ろしいシナリオであるが,そういう驚きも感じながら本作も実に面白く観てしまった。結局のところ,私はChristopher Nolanの映画が好きなんだってことを改めて感じさせる一作。さすがにこのシナリオはやり過ぎではないのかと思わせる部分もあるのも事実だが,それでもついつい許してしまうのだ。星も甘くなり星★★★★☆。

2022年5月 8日 (日)

GW中にストリーミングで観た映画(2):「メメント」

Memento_20220501145101 「メメント ("Memento")」(’00,米)

監督:Christopher Nolan

出演:Guy Pearce, Carrie-Anne Moss, Joe Pantoliano, Mark Boon Junior, Stephen Tobolowsky, Harriet Sansom Harris

時間の流れを映像の中で描く技術に冴えを見せるChristopher Nolanであるが,私にとって初見となった2000年の本作から,もはやChristopher Nolanらしさ炸裂って感じである。この映画は基本的に逆時系列でストーリーが展開されるので,Christopher Nolanのほかの作品同様,一回観ただけでその本質を理解するのは難しいと思える。「インセプション」然り,「インターステラー」然り,「テネット」然りである。比較的わかり易い「ダンケルク」だって,時間軸の描き方はかなり複雑だった。そうした要素が既にこの段階で出ていたってことに今更のように気がつく私である。

そして,結局は現実はどうだったのよ?って考えてしまうところもChristopher Nolanらしいと思いつつ,誰が善で,誰が悪なのかも戸惑わせるシナリオ自体もかなり強烈としか言いようがない。Guy Pearce演じるLeonardが記憶が短時間しか持たないことにより,ストーリーが複雑化する中で,結局こいつってかなりひどい奴だったんだなぁなんて思わせる仕掛けもあって,リアリティの世界はどこにあるのかが謎になってしまうというかなり難しい映画である。

なので,ほかのChristopher Nolanの映画同様,もう1回観てみようと思わせるに十分な作品で,ある意味ビジネスとしては非常に上手いってことになるのだが,正直言って,1回観ただけでは「えっ?えっ?えっ?」って感じになること必定の映画。でもこれはエンタテインメント性もありながら,なかなかユニークな映画として評価すべき映画であり,好きな人はどっぷりはまり,そうでもない人は1回で諦めるという感じの作品と言ってよいだろうが,私は前者だな。星★★★★☆。結局のところ,Christopher Nolanはこの当時からChristopher Nolanであったという当たり前の結論になってしまうのだが,いずれにしてもこれは強烈な映画であった。もう1回観ようっと(笑)。ってことで,Christopher Nolanの術中にはまる私である。

2022年5月 6日 (金)

GW中にストリーミングで観た映画(1):「ザ・シークレット・サービス」

In-the-line-of-fire「ザ・シークレット・サービス("In the Line of Fire")」('93,米,Columbia)

監督:Wolfgang Petersen

出演:Clint Eastwood, John Malkovich, Rene Russo, Dylan McDermott, Gary Coyle

思い起こせば,去年のGWはコロナ禍のせいもあって,家で映画を見まくっていた私である。昨年の記事を見てみると,何と18本も家で映画を観ている。それに比べれば,今年はワクチン接種も3回したし,コロナ禍も去年ほどではなかろうということで,ゴルフばっかりしているって感じだったのだが,それでも毎日ゴルフって訳ではないので,何本か映画も観た。その一本目がこの映画である。実はこの映画は初見であった。30年近く前の映画ではあるが,老境に差し掛かりつつある役柄とは言え,Clint Eastwood自らアクションに取り組んでいる(と言っても,それほどド派手なアクションではない)。

詳しく書くとネタバレになってしまうので控えるが,この映画はJFK暗殺を防げなかった過去を持つシークレット・サービス役のClint Eastwoodが,新たな大統領暗殺計画に立ち向かうというもの。この映画,シナリオ的にはちょっと厳しいところもあるものの,相応に見られる映画になったのは偏に悪役,John Malkovichゆえである。悪役の造形がよくできていると,こちらの思い入れにも影響する部分はあるだろうし,ここでのJohn Malkovichのえげつなさが際立っている。こういう狂気すら感じさせる癖のある役を演じさせるとまじではまっている。所謂性格俳優ってやつだなと思ってしまった。

シナリオとして難があるのは,John Malkovichの行動がいくら何でもそこまでできる?みたいなところある点だと思うが,警備をしながら走って息が上がるのをClint Eastwoodが演じるのが,時代の流れを感じさせる。まぁ,この段階でEastwoodは既に還暦を過ぎているんだから,当然と言えば当然の描き方なのだが,それでもまだまだ「しゅっとした感じ」(笑)は保っていて,カッコよさは不変であった。

まぁ,このストーリーなら,もう少し尺を短くできそうなものだが,そこそこ面白く観られたからよしとしよう。ちょい甘めの星★★★★ってところ。

2022年4月30日 (土)

Joaquin Phoenixの演技の振れ幅におののく「カモン カモン」

Cmon-cmon 「カモン カモン ("C'mon C'mon")」('21,米,A24)

監督:Mike Mills

出演:Joaquin Phoenix,Gaby Hoffmann,Woody Norman,Scoot McNairy

Joaquin Phoenixと言えば,オスカーも受賞した「ジョーカー」での演技が鮮烈であった。「ジョーカー」では狂気の沙汰を演じ切って,実に強烈な印象を残した訳だが,「ジョーカー」の次にこういう作品を選ぶところが,役者としての自負心を感じさせるものであった。そして観ているこっちはその振れ幅に驚いてしまう訳である。

白黒映画ってのがそもそも渋いが,この映画には白黒が似つかわしいと思わせるような映画である。そして,この映画を観ていて,私が感じたのは子育ての大変さってことだった。今や私の娘はまだ学生ながら,成人したこともあって,過去の自分にも似たようなことがあったなぁなんてことを感じていたのである。この映画の子役,Woody Normanが演じるJesseのようなこまっしゃくれたというか,センシティブな子供だったらどうなっていただろうなんて,ついつい自己投影してしまったのであった。その一方で,Joaquin Phoenixの妹を演じるGaby Hoffmannの身勝手ぶりにも辟易とするところに,家族の難しさってのを感じてしまうのである。その辺がリアルに迫ってきてしまう映画と言ってもよい。

劇中でJoaquin Phoenixがいろいろな子供たちにインタビューするシーンが出てくるが,その台詞回しには,脚本も担当したMike Millsの心情が反映されていると思うが,大人びた発言の連続である。彼らが本当に台詞のように感じているならば,将来は明るいと思うが,世の中そんなにうまくは行かないとも思ってしまう。

だが,ある意味淡々と話が進む中で,伯父と甥という関係性の中で,共感のようなものが芽生えていく様を見ていると,子供もいろいろだよなぁなんて,改めて感じてしまった私であった。つまり,観ている私の共感も醸成してしまうというなかなか面白い映画であった。この映画が日本でヒットするとは思えないが,観に行ってよかったと思える映画であった。星★★★★☆。

2022年4月25日 (月)

「インファナル・アフェア」:もう香港ではこんな映画は作れないのか...。

Infernal-affairs 「インファナル・アフェア ("Infernal Affairs")」('02,香港)

監督:Andrew Lau, Alan Mak

出演:Andy Lau, Tony Leung, Anthony Wong, Eric Tsang, Kelly Chen, Sammi Cheng

後にMartin Scorseseによって「ディパーテッド」としてリメイクされ,オスカーまで獲ってしまったという映画のオリジナルを久しぶりにDVDで観た。私がこのシリーズを観たのは,全て機内エンタテインメントだったと思うが,改めて観てみて,これが実によく出来たもので,ハリウッドがリメイクしたくなるのもよくわかるって感じであった。

だいたい100分強でストーリーがスピーディに展開するってのがいいし,弛緩する隙を与えないって感じである。かつ,おそらく最初から3部作作ることを念頭にシナリオが書かれていたと思われるところも,作品としての企画力は大したものだと思う。

しかし,この映画のような香港ノワールというジャンルは香港の中国化によって,表現には制約を科せられることもあって,もはや風前の灯と言ってもよいかもしれないし,「香港映画」そのものが存在し得なくなるような気がしてならない。昨今,私が知らないだけかもしれないが,香港映画についてあまり聞こえてこないのは,コロナ禍のせいもあるだろうが,映画人が香港を出て行ってしまうということも十分考えられるだろう。

この面白い映画を観ながら,そんなことを思っていた私であった。星★★★★☆。残り2作もそのうち見ることにしよう。

2022年4月23日 (土)

「未知との遭遇」をちゃんと観たのは初めてかもなぁ...。

Photo_20220417202301「未知との遭遇("Close Encounters of the Third Kind")」('77,米/英,Columbia)

監督:Stephen Spielberg

出演:Richard Dreyfus, François Truffaut, Teri Garr, Melinda Dillon, Cary Guffey

これも先日,家人が出掛けている間に観た映画。

私が一番映画を観ていたのは中学生の頃で,高校生になってオーディオ・セットを手に入れてからは映画より音楽が主になってしまったことは以前にも書いたことがあると思う。なので,この映画は丁度私が音楽に軸足を移した頃で,当時の大ヒット映画でありながら,ちゃんと観た記憶がない。大昔にレンタル・ビデオで見たかもしれないが,それも記憶の彼方である。そもそも「E.T.」だって見たことがないんだから何をかいわんやである。

それでもって,この映画をNetflixで観た訳だが,Spielbergらしいファンタジーだよねぇって思ってしまう。宇宙人の捉え方は性善説と性悪説にわかれるところだが,これはもう完全に前者である。そのこと自体には私としても全然問題はないと思うのだが,この映画の問題点は,間延びしたシナリオだと思ってしまう。Richard DreyfusたちがDevils Towerを目指すシークエンスは明らかに冗長だし,説明不足の部分もあるので,尺はもう少し短くできたと思う。

そうした観点では,この映画は決定的な傑作とは思えないのだが,気持ちよく観られる映画であることは間違いない。私にとってはRichard Dreyfusの妻を演じるTeri Garrとか懐かしい限りだが,当時の彼女はファニー・フェイス的あるいはコメディエンヌ的な役が多かったなぁなんて改めて思ってしまった。懐かしの「警部マクロード」(笑)。ってことで,この映画自体は,Douglas Trumbllの特撮が見事なことも併せて星★★★★ぐらいでいいだろう。

2022年4月20日 (水)

Amazon Primeで観た「サンダカン八番娼館 望郷」:田中絹代が凄い!

Photo_20220417195801 「サンダカン八番娼館 望郷」(’74,東宝)

監督:熊井啓

出演:栗原小巻,田中絹代,高橋洋子,田中健,水の江瀧子

先日,1974年のキネ旬ベストテンの第1位に輝いた本作をAmazon Primeで観た。この1年近く,BSで再放送されていた「黄金の日日」を見て,栗原小巻にはまってしまったというのがこの映画を観た一番の理由ではあるが,非常に評価の高いこの映画が公開された頃は中学一年ではさすがに見に行くこともなかったので,改めてということで鑑賞したもの。それでもタイトルだけは妙に記憶に残っていた作品だが,結論から言えば,田中絹代が凄い。

栗原小巻はまだ20代後半ぐらいでその美貌の素晴らしいことは言うまでもないが,この映画は栗原小巻の美貌だけで終わる映画ではない。一番凄いのは田中絹代だとしても,その若い頃を演じた高橋洋子も素晴らしい演技で,彼女たちの演技があってこそ,この映画は一級品になったと言いたい。それに比べると当時の田中健の大根役者ぶりが微笑ましいぐらいであるが,まずは田中絹代である。

老境に達しつつ,悲しい過去を抱えながら,凛としたところを見せる田中絹代の演技だけ見ているだけでもこの映画は価値があると言いたくなる。ある意味飄々としているという感覚もあるのだが,ラスト近くの栗原小巻との別れのシーンには単純に涙した私である。まじでうまい。高橋洋子の造形はややステレオタイプかなって気がしないでもないが,それでも田中絹代と高橋洋子の前では,栗原小巻は主役でありながら,完全に食われてしまっていると感じられるほど,この二人のインパクトが強い。

物語としてはかなり陰鬱なところがあるので,観て爽快になる映画ではない。むしろ見ていて辛くなる瞬間の方が多い。しかし,過去の歴史を振り返り,そういうこともあったのだということを噛みしめながら観るべき映画である。そしてとにかく田中絹代,そして高橋洋子があまりにも素晴らしいということは強調しておきたい。加えて,水の江瀧子の私のイメージを覆すここでの演技も見事であった。星★★★★☆。

2022年4月 4日 (月)

オスカーで脚本賞を獲った「ベルファスト」を観た。これは実にいい映画であった。 #Belfast #ベルファスト

Belfast「ベルファスト("Belfast")」('21,英)

監督:Kenneth Branaugh

出演:Jude Hill, Catriona Balfe, Jamie Dornan, Ciarán Hinds, Judi Dench

今年のオスカーで脚本賞を獲得したのがこの映画である。常々思っていることだが,脚本のよく出来た映画は面白い。それは近年で言えば「ブラック・クランズマン」然り,「プロミシング・ヤング・ウーマン」然り。だったらこの「ベルファスト」も面白いに違いないという思いがあった。但し,この映画を撮ったKenneth Branaughは「ナイル殺人事件」がいけていなかったというところもあったが,多分こっちは大丈夫だろうってことで観に行ったもの。結果は吉である。

この映画の背景ではアイルランドにおけるプロテスタントとカトリックの争いが描かれているが,宗教というのは一歩間違えると馬鹿げた諍いを生むという最たる事例である。現代は分断の時代と言われるが,そうした現代において分断を描くことにもKenneth Branaughは意義を見出したとさえ思える。そんな背景の中で,この映画はKenneth Branaughの自伝的な映画というかたちで捉えられているが,そこに描かれているのが主人公の少年Buddyの「映画好き」という一面。こういう生い立ちの中で,Kenneth Branaughのような役者が生まれたのねぇということを感じさせるものであった。

そして,この映画,ストーリーの部分は白黒なのだが,そこに織り込まれる映画のシーンを含む「パート・カラー」の使い方がうまいのだ。白黒映画だと思って見ているこっちの思い込みを冒頭から裏切ってくれるが,全編を通じて,一部カラーで映し出されるシーンがよりヴィヴィッドに見える効果があったのも実にうまいと思った。

更にVan Morrisonが担当した音楽も魅力的。私は実はVan Morrisonはあまり得意ではないのだが,映画の中で使われたほかのミュージシャンの曲や,Van Morrisonの歌唱も実に効果的であった。

ということで,この映画は脚本もよくできているのは事実だが,そのほかの映画の構成要素の合わせ技もあって,実にいい映画と言ってよいと思える。星★★★★☆。

2022年3月29日 (火)

今年のオスカーはほぼ予想通りの結果となったが,見事にばらけたって感じ。 #Oscars2022

今年のオスカーが発表となったが,ほぼ下馬評通りの結果となり,驚きはほとんどないものになったが,特定の作品が独り勝ちということなく,見事にばらけたというのが正直な感想である。因みに最多受賞は「Dune / デューン 砂の惑星」の撮影,編集,音響等の6冠だが,見事に主要なところははずしているのが,いかにもオスカーらしい...。注目の作品賞は,直前になって急速に作品賞候補として有力と言われることが多くなった「コーダ あいのうた」がその勢い通り受賞となった。もともと有力と言われていた助演男優賞のTroy Kotsurはさておき,この作品が脚色賞まで獲ってしまったのはちょっとした驚きであった。

この映画,フランス映画「エール!("La Famille Bélier")」のリメイクであるが,設定やストーリーラインは「エール!」とほぼ同じのようである。それを脚色と言ってよいのかというと,少々疑問が残る。これなら「ドライブ・マイ・カー」が村上春樹の複数の短編を翻案したことの見事さの方が「脚色」としては上ではないのかついつい言いたくなる。「コーダ あいのうた」はこのブログにも書いた通り(記事はこちら),いい映画であり,私も好きな映画だが,脚色としてのオリジナリティってそんなにあるのかなぁって感じてしまうのも事実である。逆にカンヌが「ドライブ・マイ・カー」に脚本賞を送ったことは優れた審美眼の裏返しのようにも思えてくる。そうは言っても「エール!」を見たわけではないので,今度ストリーミングで観てみることにしよう。

そのほかは未見のものもあるので,何とも言えない部分はあるが,相当評価の高かった「パワー・オブ・ザ・ドッグ」がJane Campionの監督賞のみに留まったのはNetflix制作ゆえの部分があるように思える。そのほかにノミネートされたNetflix系の作品も黙殺されているのも,そういう感覚を強くさせるが,そもそも「ドント・ルック・アップ」もそこそこ面白い映画だが,それほどのものか?って感じもあったのは事実。

一方,「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」が長編ドキュメンタリー賞を受賞したのは素晴らしいし,何よりも「ドライブ・マイ・カー」の国際長編映画賞の受賞は予想通りとは言え,快挙であった。

私は脚本の面白い映画は確実に面白いと思っているので,次に観に行くなら,今回脚本賞を獲った「ベルファスト」だな。

尚,今年一番サプライズはWill SmithによるChris Rockビンタ事件ってことになるのだろう。詳細はよくわからないが,Chris RockのジョークにWill Smithがキレたってことらしい。理由はあるとしても,業界のベテランが場をわきまえないと出入り禁止になっちゃうよなぁ,ってところで,Will Smithは主演男優賞は獲ったものの,オスカー・イベントに汚点を残したと言われても仕方ない。

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