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カテゴリー「ポップス」の記事

2025年6月 9日 (月)

久しぶりに10CCを聞く。今回は"Bloody Tourists"。

_20250607_0001 "Bloody Tourists" 10CC(Mercury)

久しぶりに10CCのアルバムを取り出した。今回は78年の本作である。10CCは今もなおライブを行う現役バンドではあるが,人気という点ではこの辺りまでだったのではないかと思う。本作は冒頭の"Dreadrock Holliday"で,いきなりレゲエのリズムが聞こえてきた時にはびっくりしたのも今となっては懐かしい。

10CCのいいところはその優れたポップ・センスだったと思うし,10年前にビルボード・ライブ東京でのライブに接した時もそれは健在だと思った。私がティーン・エイジャーだった頃は本当にFMでよく流れていたし,今でも歌える曲はある。だが,このアルバム辺りになると,目立つヒット曲は"Dreadrock Holliday"ぐらいしかなくなるし,その他の収録曲も悪くはないとしても,過去のアルバムに比べると印象が薄いものになってしまっている。何と言ってもこれの前作がヒット曲満載のライブ盤だったから尚更そういう感じがしてしまうのだ。

このアルバムには"Tokyo"というEric Stewartの曲が収められているが,日本でのポピュラリティを受けてのところもあろうが,それでも「着物」だ,「芸者」だと歌われると何だかなぁと思ってしまう。まぁそれでもそれなりの曲も含まれているのでそこそこ楽しめることは楽しめるのだが,全体を通しての評価は星★★★ってところ。

Personnel: Eric Stewart(vo, g, p, el-p, synth, perc), Graham Gouldman(vo, b, g, zither, perc), Rick Fenn(g, b, synth, org, sax, perc, vo), Paul Burgess(ds, perc, vib, vo), Stewart Tosh(ds, perc, tb, vo), Duncan MacKay(p, el-p, synth, vln, perc) 

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2025年4月14日 (月)

Wilson姉妹に父も一部加わっての"The Wilsons"。

_20250410_0001"The Wilsons" (Mercury)

Wilson Phillipsとしてヒットを飛ばした後,一旦Chynna Phillipsが抜けて,残ったCarneyとWendyのWilson姉妹でリリースしたアルバム。ライナーのクレジットには彼女たちはWilson Sistersと書いてあるが,タイトルがThe Wilsonsとなっているのは,父であるBrian Wilsonの関与を踏まえたものだろう。Brian Wilsonが参加しているのは全12曲中4曲だけだが,姉妹とともにエグゼクティブ・プロデューサーとなっているので,一家での対応ということでThe Wilsonsってところか。

冒頭の父も参加した"Monday without You"からしてBeach Boysかっ!って感じのサウンドが微笑ましい。彼女たちのポップ・センスはWilson Phillipsのそれと大きな変化はないと思うのだが,アルバムを聞いていて感じるのが,特にCliff Magnessがプロデュースした曲に顕著なように,曲によって彼女たちにはやや過剰なバッキングが目立つってところだろうか。私の感覚で言えばオーバー・プロデュース,オーバー・アレンジメント気味なのだ。ミキシングも彼女たちにはやや低音過剰のファットな感覚があるのも気になる。彼女たちの魅力的な声を活かす方策はほかにもあったように思えるところがこのアルバムの惜しいところ。まぁ複数のプロデューサーが絡んでいるので,仕方がない部分もあるが,そこはエグゼクティブ・プロデューサーである彼女たち本人,そして父たるBrian Wilsonがもう少しコントロールしてもよかったように思える。

_20250410_0002_20250414175601 まぁ,そうしたところはWilson Phillipsのイメージと異なるものを打ち出したいという意図もあったのかもしれないが,必ずしも成功していないように思う。私もそうだが,別にWilson Phillipsの路線から大きく変わることを期待していない。そうしたところが少々残念。いい曲もあるんだけどね。星★★★。まぁそれでも裏ジャケに写る3人の姿は微笑ましい限りだが。

参加ミュージシャン多数なので,詳しいPersonnelは省略。1曲だけだがSteve Rodbyの名前を見つけたりしてへぇ~となってしまった。

Personnel: Carney Wilson(vo), Wendy Wilson(vo), Brian Wilson(p, vo) and Many Others

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2025年4月 8日 (火)

Deacon Blueの新譜が出た!

_20250331_0001"The Great Western Road" Deacon Blue (Cooking Vinyl)

私が贔屓にするスコットランドのバンド,Deacon Blueである。過去,何度か年末のベスト作にも選んだことがあるバンドだが,日本では全然メジャーにならない気がする。スコットランドでは本作もリリース後,チャート1位になっているし,UKチャートでも3位だから,現地ではメジャーにもかかわらずだ。しかし,私にとっては所謂「推し」である。リーダーRicky Rossのポップなセンスはいつ聞いても満足感を与えてくれる。

そうは言いつつ,前作"Riding on the Time of Love"は記事にもしていない。これには少々訳があって,更にその前作となる"City of Love"が私としては今一つ評価が高まらないアルバムだったのだが,"Riding on the Time of Love"はコロナ禍を踏まえたその姉妹編みたいなところがあったからである。もちろん決して悪いアルバムを出す人たちではないが,私としてはそれほど評価できなかったのは"City of Love"同様だったので,記事化を見送ったのであった。

では約4年ぶりの新作となった本作はどうだったかと言えば,いかにもDeacon Blueらしいポップさがあって,嬉しくなってしまう。冒頭のタイトル・トラックからして,Ricky Rossは私より年長とは思えない瑞々しい声を聞かせるが,こうしたバラッド的な曲調では,やや歌いっぷりに怪しいところが出てきたように感じられるのは加齢ゆえか。しかし,紡ぎ出されるメロディ・ラインはRicky Rossの真骨頂と言えるものだろう。そしてシングル・カットされた"Late '88"を聞けば,ポップな曲調もあって,このロックとポップスのはざまを行く感じにはDeacon Blueかくあるべしと思ってしまう。

そうは言っても私がこれまで極めて高く評価してきたアルバム2010年代の3作,"The Hipsters","A New House","Believers"には及ばないという気もする。もちろん,上述の通り,Ricky Rossのポップ・センスは健在なので,これとて決して悪いとは思わないので,皆さんにもっと注目して頂くために甘いの承知で星★★★★☆としよう。

Personnel: Ricky Ross(vo, p, el-p), Lorraine McIntosh(vo, perc), James Prime(p, org, key, vo), Dougie Vipond(ds, perc, vo), Gregor Philp(g, key, vo), Lewis Gordon(b, vo) with strings and horns

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2025年4月 5日 (土)

確かにPaul McCartney的に響くEmitt Rhodes。

_20250403_0001 "Emitt Rhodes" (Dunhill)

「ひとりBeatles」だの,Paul McCartneyよりPaul McCartneyっぽいだの,パワー・ポップの先駆者だのと言われたEmitt Rhodesのアルバムを久しぶりに聞いた。全ての楽器を自身でこなしている中,ベースとピアノの響きは確かにPaul McCartneyを想起させるに十分だ。このアルバムをリリースした頃はまだ20歳そこそこというところだろうから,まさに早熟のアーチストであった。それに先立ってMerry-Go-Roundのアルバムをリリースしたのは17歳の頃なのだから,実に恐ろしい。

一般的に私が好むSSWのアルバムはもっと渋いものが多いが,ポップさに満ちたこれはこれでよいと思える。Wikipediaによれば,当時は組合の取り決めで,宅録は認められていなかったらしく,ジャケには宅録とは書けないというルールがあったらしい。まぁそんなことは当時の事情としても,このセンスというのは大したものだ。しかし,その後レコード会社ともめて,そのキャリアが絶たれてしまったのは今にしての思えば惜しいことであった。73年に"Farewell to Paradise"をリリースしてから,次の"Rainbow Ends"まで43年を要したということもあれば,その間にもアルバムを出そうとしたものの,様々な不運に見舞われて実現しなかったというのは,つくづくついていない人だったと言わざるをえない。

だからと言ってこのアルバムの価値が下がるものではないし,このポップなセンスをリリースから半世紀以上経過した今日に楽しむと言うのも一興である。星★★★★☆。

Personnel: Emitt Rhodes(vo, all instruments)

本作へのリンクはこちら

2025年3月25日 (火)

Susanna Hoffsの未発表音源をようやくゲット。

_20250321_0001 "The Lost Record"(Baroque Folk)

本作は昨年の後半にリリースされたものの,品薄が続いていて,LPで注文していてもちっとも入荷しないところに,某ショップでCD入荷の告知があったので,ちょっと高いと思いつつ,Susanna Hoffs姐さんのアルバムとあってはついつい購入してしまう私であった。

私がSusanna Hoffsにはまってしまったのは,Matthew Sweetとの"Under the Cover"シリーズの影響が大きかったが,彼女のソロ・アルバムや復活Baglesのアルバムも購入しているとは言え,相当遅れてきたファンではある。しかし,Susanna Hoffsのキュートな声はいまだに魅力的であり,私より年長者とは思えない瑞々しさだと思っている。だが,彼女のアルバムは媒体ではなかなか購入が難しいところがあるのは本作も同様であった。

本作は99年にガレージで録音されたらしいが,25年間未発表だったものを四半世紀を経てリリースされたから,その名も"The Lost Record"な訳だ。音もまさに宅録感に溢れたものだが,アコースティックな響きも交えつつ,Susanna Hoffsのキュートな声はいつも通りで,それだけでOKって感じなのはファンの弱みだ。パーソネルの情報も何もないので,詳しいことはわからないが,2曲目の"Grateful"はミキシングにJim Keltnerの名前があるのが意外。9曲目はGo-Go'sのCharlotte Caffey,Jane Wiedlinと共作というのも面白い組み合わせであった。

まぁこういうアルバムはファンが密かに聞いていればいいやって感じで,人に勧めるものでもないかなと思いつつ,好きなものは仕方ないのだ。星★★★★。

媒体の入手は難しいかもしれないが,本作のCDへのリンクはこちら。ストリーミング(リンクはこちら)ならいくらでも聞けるので念のため。

2025年2月20日 (木)

久しぶりに聞いたPedro Aznarのアルバム。2枚目がカヴァー集だったってすっかり忘れていた。

Quebrado "Quebrado" Pedro Aznar (Tabriz)

Pedro Aznarと言えばPat Metheny Groupってことになるが,このブログでは彼のライブ盤やDavid Lebonとのデュオ作を取り上げたことがあり,PMGに留まらず気になる人ではある。

そのPedro Aznarが2008年にリリースした2枚組なのだが,Disk 1がオリジナル,Disk 2カヴァー曲集という構成ゆえに「割れ物("Quebrado")」と名付けたのはしゃれだったのか?(笑) それはさておきである。このアルバムも久しぶり過ぎて,そうした構成になっていたこともすっかり失念していた私である。

それにしても魅力的な声だ。オリジナル曲も相応に魅力的だが,カヴァー曲では更にそのよさが更に炙り出されるって気がする。よく知られた英語圏の曲で言えば"Fragile"(Sting),"Jealous Guy"(John Lenon),"Time of No Reply"(NIck Drake), "Isn’t It a Pity?"(George Harrison),"Angie"(Rolling Stones),"Junk"(Paul McCartney),そして"Love"(John Lennon)なんて歌われたらそれこそたまったもんではない。はっきり言ってしまえば,Pedro Aznarには申し訳ないが,Disk 2ばかり聞きたくなってしまうのが人情ってものだ。

このアルバムでもマルチ・ミュージシャンぶりを発揮するPedro Aznarであるが,ここでは歌い手としてのPedro Aznarの魅力を感じればいいだろう。上述のような有名曲では,オリジナルへのリスペクトを感じさせるような演奏だが,"Fragile"では本人が弾くエレクトリック・ベースが効いている。こういうのに比べるとDisk 1のオリジナル曲集が負けるのは仕方ないな。★★★★。

Personnel: Pedro Aznar(vo, b, g, p), Andres Beeuwsaert(p, el-p, org, key), Federico Dannemann(g), Andres Vilanova(ds, perc), Julian Semprini(ds), Pepi Taveira(ds), Facundo Guevara(perc), Ramiro Gallo(vln), Patricio Villarejo(cello)

本作へのリンクはこちら

2025年1月31日 (金)

笠井紀美子の"TOKYO SPECIAL":昨今ならシティ・ポップって言われるのか...。

_20250128_0001 "TOKYO SPECIAL" 笠井紀美子(CBS Sony)

私が保有している笠井紀美子の2枚のうちの1枚。もう1枚はHerbie Hancockと作った"Butterfly"だが,この違いの大きさに戸惑うと言ってもよいかもしれない。

このアルバムを廉価盤で確か中古で購入したのは,冒頭の「バイブレーション」が印象に残っていたから。何かのCMに使われていたと記憶していたが,今回よくよく見たら山下達郎が書いた曲だったのねぇ。基本的にはこのアルバムの書き下ろし曲は少なくて,多くがカヴァー曲だってのも知らなかった。そこに安井かずみが詞を乗せた訳だが,元々が英語詞で書かれていた曲に日本語詞を乗せているところもあって,どうも違和感がある曲があるのも事実。特に矢野顕子が元々リンダ・キャリエールに書いた"Laid Back Mad or Mellow”に日本語詞を当てた「待ってて」が特に居心地が悪い。

それはさておき,基本的に当時のコルゲン・バンドをバックに歌う笠井紀美子の歌は,ポップでありながらジャズ的なセンスが微妙に残っていると言っても,ポップさの方が勝っていて,これが笠井紀美子にフィットしていたかと言うとそこは疑問だ。そうした中でフュージョン・ライクなノリを示すタイトル・トラックが一番の聞きものって気がする。ヒノテルのソロもカッコいいこの曲を書いた森士郎って,中村照夫のライジング・サンにいたなんてことも今更知る私であった。

本作をリリースしたのが本人の意思だったかどうかはわからないが,私は圧倒的に"Butterfly"の方を支持してしまうタイプだ。それはこのアルバムと"Butterfly"のプレイバック回数の違いを考えなくても明らか。むしろ鈴木宏昌のアレンジによるバッキングの方に耳が行ってしまうのであった。笠井紀美子が何でも歌えてしまうことは評価しつつも星★★★が精一杯。

面白かったのは「バイブレーション」のサビの歌いっぷりが矢野顕子みたいだったことだ。キャリア的には笠井紀美子の方が先輩だろうから,矢野顕子が影響されているのかとも感じたが,矢野顕子のことだから多分そんなことはあるまい。

Personnel: 笠井紀美子(vo), 鈴木宏昌(key), 松木恒秀(g),岡沢章(b),市原康(ds),山口真文(ts,ss),穴井忠臣(perc),日野皓正(tp),鈴木勲(b),村岡建(ts,ss),羽鳥幸次(tp, fl-h),数原晋(tp),新井英治(tb),福井恵子(harp),大野忠昭グループ(strings),伊集加代子(vo),尾形道子(vo),和田夏代子(vo)

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2025年1月25日 (土)

今年最初のライブはCatpack@Blue Note東京。

Catpack-at-bnt

今年最初のライブとなったのがCatpackであった。このバンド,Moonchlidにも参加するAmber Navranの新プロジェクトである。私はMoonchildのメロウ・グルーブがかなり好きなのだが,ライブに参戦する機会を逃していたこともあって,今回の来日情報を入手して,即参戦を決意したのであった。

Catpack-at-blue-note_20250319161701 アルバムは出したと言っても,ミニ・アルバムのEPみたいなものであり,メンツ的にも客入りはどうなんだろうと正直なところ思っていたが,行ってみれば,ほとんどフルハウスではないか。こんな人気があったのかと思いつつ,Amber Navranがライブの途中で「日本大好き~」と日本語で叫びたくなるのも納得できるノリのよさを聴衆も示していた。

このバンドはAmber Navranの新プロジェクトと言うよりも,メンバーの三者が対等な関係性のもとに演奏をしていたように感じるライブであったが,コントロール役を担っていたのは間違いなく数々のキーボードを操ったJacob Mannだったはずである。

そこにAmber NavranとPhil Beaudreauのヴォーカルと楽器が加わるのだが,Amber Navranのウイスパー・ヴォイスはここでも期待通りながら,私が感心したのがPhil Beaudreauの歌のうまさであった。しかもこの人,声が魅力的だし,トランペットの技量も大したものであった。ギターの音はあまりよく聞こえなかったのだが,それがPAのせいなのか,私の難聴のせいなのかはわからない。しかしラッパの音はミュートでもオープンであっても魅力的な音を出していた。Amber Navranは歌う以外はフルートに徹していたと思うが,シンセ・ベースにはちょこっと触った程度のように見えた。この人のフルートも技量は十分というところで,多才な人たちだと思った次第だ。

_20250124_0001

Moonchildに比べると,メロウ度は低く,よりビートが効いていたのは,サポート・メンバーであるEfajemue Etoroma, Jr.のタイトなドラミングゆえというところもあるかもしれないが,Jacob Mannのキーボード・ワークがより強いグルーブ感を打ち出していたからだと思えた。プログラムはミニ・アルバムの内容を拡大したかたちというところで,アンコール含めて約75分の演奏は十分に楽しめた。

Catpack-and-i-mosaic 演奏後にはサイン会をやっていたものだから,ついつい気分の良さも加わって,ミニ・アルバムも購入し,サインをゲットしたが,彼らの写真撮影にも気楽に応じるところにはこの人たちのファンを大切にする姿勢が感じられて,非常に好感が持てるものであった。メンバー3人ともちらっと話したのだが,Amber Navranによれば,Moonchildの新作に取り掛かっているらしいから,そちらも楽しみにしておこう。ということで,当日の戦利品と彼らとの写真(いつも通りモザイク付き)もアップしておこう。見て頂けばわかるが,笑顔が素敵な面々であった。

Live at Blue Note東京 on January 23, 2025 2ndセット

Personnel: Amber Navran(vo, fl, synth b), Jacob Mann(key), Phil Beaudreau(tp, g, vo), Efajemue Etoroma, Jr.(ds)

トップの写真はBlue Noteのサイトから拝借。

2025年1月23日 (木)

これも久しぶりに聞いたAmericaのベスト盤。

_20250121_0001 "The Complete Greatest Hits" America(Warner Brothers/Rhino)

久しぶりにこのアルバムを聞いた。私はAmericaというバンドに思い入れはないのでベスト盤で十分なのだが,私が彼らの音楽に惹かれた契機は"Ventura Highway"だったように思う。あるいは"Sister Golden Hair"だったか。いや,やっぱり"Ventura Highway"だ。子供心にこの曲のメロディ・ラインが魅力的だったのだ。このベスト盤を買ったのも"Ventura Highway"が聞きたかったからと言っても過言ではない。

それでもって改めて聞いてみると,端からわかっていることではあるが,曲にしてもコーラス・ワークにしても,明らかにCSN&Y的であった。ただ,Americaの場合はより西海岸的な軽快さと言うか,爽やかさが強い感じがあって,そちらのサウンド指向がより明確であるから,おそらくはこの調子では飽きられるのも早かったのではないかと思える。デビュー・シングルとアルバムが売れて,2枚目もそこそこ売れたものの,3枚目が大して売れずってのも納得なのだ。

4枚目のアルバムでGeorge Martinをプロデューサーに迎えて起死回生を図り,5枚目の"Hearts"所収の”Sister Golden Hair"で盛り返したものの,その辺りまでがAmericaというバンドの人気が維持されていたことになるだろう。それが82年になって,いきなり"You Can Do Magic"がヒットしてカムバックみたいな感じになるのだが,この頃になると完全にAOR化したって感じだろう。これは長年のファンに響いたってより,新たなファン層を開拓したってことになるだろうが,その後はアルバム・ジャケも完全AORじゃんって感じになっていくのも面白い。

まぁ本作はベスト・アルバムだから,それなりの曲が揃っているとは言え,クォリティにはばらつきがあると感じさせるのが否定できない。それでも一時代を築いたバンドの軌跡を手軽に知るには丁度いいって感じだろう。星★★★☆。

Personnel: America<Gerry Buckley(vo, key, g, b, hca), Dewey Bunnel(vo, g), Dan Peek(vo, g, b, key, hca)>

本作へのリンクはこちら

2025年1月 6日 (月)

ブラックホーク99選に選ばれている日本人の作品を改めて聞く。

99

私をSSWやアメリカン・ロックの世界に誘うガイドとなったのが「ブラックホークの99選」だったということは,何度もこのブログに書いてきたが,その99選に選ばれた日本人の作品4枚については一切触れたことがない。荒井由実の「ひこうき雲」はさておき,選出されているあがた森魚も岡林信康も雪村いづみも,それらのアルバムは聞いたこともなかったからだ。しかしストリーミングで聞けるものは聞けばいいが,岡林信康の「金色のライオン」だけはストリーミングで聞けないということもあり,何を血迷ったか(笑),これらのアルバムをまとめて購入したのであった。

これらのアルバムにはあがた森魚と岡林信康が松本隆プロデュース,荒井由実と雪村いづみがキャラメル・ママが伴奏という共通点があることを今更ながら知った私であった。結局のところははっぴいえんど関係者の関与ってことになる。それぞれのアルバムにはそれぞれの面白さがあるとは思うのだが,私としては私が抱いているブラックホークの99選の,特にアメリカ系のアルバム群とはどうもテイストの違いを感じてしまって,少々戸惑ったというのが正直なところだ。これが当時のブラックホークの客にどう捉えられていたのかは非常に興味深いが,「ひこうき雲」以外の3枚で,私が一番面白いと思ったのはあがた森魚の「噫無常」かもしれないな。

しかし,改めてこれらのアルバムを聞いていると,やはり私の音楽に関するアメリカ指向の強さを改めて感じたというのが正直なところ。これもまぁ勉強だ(笑)。

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