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カテゴリー「現代音楽」の記事

2022年12月29日 (木)

2022年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外)

2022-albums1

今年の回顧,音楽編の第1回である。私の場合,全方位ではありながら,結構偏った音楽の聞き方をしているが,そうした中で私が感銘を受けたアルバムを挙げておこう。今回はジャズ以外の音楽からのチョイス。昨今は購入する前にストリーミングで大体はチェックできるから,無駄遣いは減ってはいると思うが,そうした中でも最も印象に残ったアルバムということになる。

今年,私が一聴した瞬間から素晴らしいと思っていたのがAoife O’Donovanの"Age of Apathy"であった。Joe Henryがプロデュースした本作は,まさに私にとっての「どストライク」であった。そもそもJoe Henryへの信頼度が基本的に高い私であるが,やはりこのプロデュース力は素晴らしいと思えたし,それに応えたAoife O’Donovanも見事であった。当ブログで本作を取り上げた際に私は「清新な音」と書いているが,リモートで制作されたとは思えない素晴らしいアルバムだったと思う。

そして,アメリカン・ロック好きの私としては,こういう音を出されるだけで全面的にOKだと思えてしまったのが,Taj Mahal とRy Cooderの"Get on Board"であった。これぞ渋さの極致,歳を取っても枯れることない彼らの音楽に触れて,還暦過ぎのオヤジである私ももっと頑張れるのではないかと思ってしまったのである。

アメリカン・ロック好きにとって,もう一枚忘れられないのがBonnie Raittの"Just Like That..."であった。ほぼ固定メンツのバンド・スタイルでレコーディングしてしまうところも現役感に満ちているが,こちらの想像をはるかに上回る出来のよさだったのには驚かされた。正直,これをストリーミングで済ませようとしていた自分を恥じたアルバム。それぐらい素晴らしいのだ。

そして最後は,Larry KleinがプロデュースしたLeonard Cohenトリビュート作である"Here It Is: A Tribute to Leonard Cohen"である。これぞ見事なプロダクションと言わざるをえない逸品であり,多様なミュージシャンを招きつつ,一本筋が通った優れたトリビュート作品となっていた。Larry Klein,さすがである。これはジャズ編に入れる価値もあるが,歌手の多様性を重視してこちらに入れた。

ほかにもあれはどうした,これはどうしたというものもあるが,私の中ではこれらのアルバムへのシンパシーが非常に強いということにしておこう。付け加えるとすれば,Steve Reichの2作品,そしてECM New Seriesでの現代音楽(+α)作品も大いに楽しんだ私であった。

そして今年残念だったのがChristine McVieの突然の訃報。彼女のソロ・キャリアからのリメイクも施したベスト盤である"Songbird: A Solo Collection"を聞いて,改めて追悼したいと思う。

Christine-mcvie-songbird

2022年11月18日 (金)

当たり前の話だが,ReichはどうやってもReichであったというアルバム(笑)。

_20221117 "Steve Reich: Runner / Music for Ensemble and Orchestra" Susanna Mälkki / Los Angeles Philharmonic (Nonesuch)

Steve Reichの音楽は今年"Reich/Richter"がリリースされて,それも素晴らしい出来だと思ったが,またも新作がNonesuchからリリースされた。こちらも100%Reichらしさに溢れていて,Reichの音楽が好きな人間にとってはたまらない作品と言ってよい。

このアルバムには表題の通り,2曲が収められているが,先に初演されたのが"Runner"で,"Music for Ensemble and Orchestra"は編成を拡大したそのヴァリエーションと捉えることも可能だと思えるほど,曲のコンセプトは非常に似通っている,というかほぼ同じである。♩=100で,曲名も16分音符~8分音符~4分音符~8分音符~16分音符と全く同じであり,並びも全く一緒なのだから,そう考えてよいだろう。

収録時間は2曲で35分強と短いものだが,あっという間に時間が経過していき,何度でもリピートしてしまうのが,これまたReichのReichたる所以である。

こういう音楽に評価は不要って気もするが,ついつい星も甘くなり今回も星★★★★★。

Recorded on November 1-4, 2018 and on November 6-7

Personnel: Susanna Mälkki(cond),Los Angeles Philharmonic

2022年11月 8日 (火)

こんなアルバムはECM New Seriesでしか作れないと思ってしまう”L’Aurore”。

_20221106 "L’Aurore" Carolin Widmann(ECM New Series)

Carolin Widmannはドイツのヴァイオリニストで,現代音楽を得意とするらしい人らしい。このアルバムはCarolin Widmannのソロ・ヴァイオリンによる作品なのだが,現代音楽だけならさておき,ここでの選曲ってECM New Series以外ありえないだろうと言いたくなるようなものなのだ。

そもそも冒頭のHidegard von Bingenは中世ヨーロッパ最大の賢女と言われているらしい宗教家であり,神秘家であり,そして作曲家らしい。ここに収められた"Spiritus sanctus vivificans vita"も元々は聖歌として作られたもののはずで,そのメロディ・ラインをヴァイオリンで奏でたものと思われる。そして間に近現代の作曲家(全然知らない)の曲をはさんで,最後を締めるのがバッハの無伴奏パルティータ2番なのだ。こんなプログラムって,ヴァイオリンのソロ・リサイタルならないとは言えないかもしれないが,アルバムとして残してしまうのが,ECM New SeriesのECM New Seriesたる所以である。

ECM New Seriesっていうのは古典と近現代音楽をマージするというのが実に得意だと思うが,これはおそらくManfred Eicherの指向によるものと思える。そして,こういう異質の音楽の同居が実に新鮮な感覚を生むということを,私はこのレーベルのピアノ音楽でも経験している。Alexei Lubimov然り,Anna Gourari然りである。そして,それは楽器が変わって,ヴァイオリンでも全く同じであった。結局,こういうのが私の嗜好にもマッチするってことだが,Manfred Eicherの術中にまんまとはまっているだけなのかもしれない。この記事を書くにあたって,過去の記事を振り返ってみると,Alexei Lubimovにそろ,Anna Gourariにしろ,ほとんど同じようなことを書いているのは,私の表現能力の限界だが,同じ感覚を与えるということこそが,Manfred Eicherの狙いだと思ってしまう。

しかし,バッハはさておき,こういうアルバムでないとおそらく接することのなかったであろう音楽を聞くことができたのは,偏にECM New Seriesというレーベル・パワーだったということなる。だからこそ,ECM New Seriesのアルバムは侮れないし,ちゃんとフォローしないといかんのである。私の場合は器楽曲専門みたいな感じだとしても,そこで何度もはまっているのも事実なのだ。

このアルバムも,傾聴するもよし,聞き流すもよしのオプションを与えてくれるアルバムだと思う。星★★★★☆。

Recorded in July, 2021

Personnel: Carolin Widmann(vln)

2022年10月15日 (土)

Hilary Hahnの新作をストリーミングで聞いた。ドボルザークのヴァイオリン協奏曲って初めて聞いたかもなぁ。 #HilaryHahn

Hilary-hahn "Eclipse" Hilary Hahn(Deutsche Grammophon)

私の父は若い頃,ヴァイオリンを弾いていたこともあって,結構な数のヴァイオリンのレコードを保有していた。父が亡くなって,その一部は私が受け継いだが,その影響もあって,クラシックのCDの数はそんなに多くはないものの,意外とヴァイオリンのアルバムは持っているって感じか。

Hilary Hahnについては,父の生前には意識していなかったと思われる。私が保有しているのは,父の遺品ではなく自分で買ったのが一枚だけである。チャイコのヴァイオリン協奏曲に,ヒグドンのコンチェルトをカップリングしたものだったが,そのCDを聞いて,古典と現代,両方できてしまうところが実に魅力的に響いたと感じた。

今回の新作はドボルザークとサラサーテに,アルゼンチンのヒナステラって人のコンチェルトを組み合わせるという,なかなかないプログラム。後者2曲はライブ録音って,へぇ~ってところである。私のクラシックの聞き方は相当偏っているので,ドボルザークのヴァイオリン協奏曲ってのは初めて聞いたと思うが,これって結構盛り上がる曲なのねぇ,ってストリーミングを聞きながら感じていた私であった。ドボルザークのコンチェルトと言えばチェロだろうって気がするが,ライブで聞いたら結構これは盛り上がるんじゃないのって感じの曲調であった。

そもそもカップリングされたサラサーテの,ビゼーの「カルメン」のメロディをアダプテーションした「カルメン幻想曲」だって聞いたことはなかったし,ヒナステラなんて名前すら知らない(爆)が,ピアソラはヒナステラの弟子だったらしいって知って,またまたへぇ~である。だが,このアルバムを聞き通すと,それなりのプログラム性,あるいはHilary Hahnの技を感じさせる構成だと思ってしまった。「カルメン幻想曲」なんてエキゾチックな感じが出ているしねぇ。

こういうアルバムは購入するというところまではいかないとしても,ストリーミングで聞けてよかったって思える作品であった。日頃,この手のアルバムを聞いていないので,たまに聞くといいねぇと思ってしまうっていうのも事実である。まぁ,ストリーミングはストリーミングなので,星はつけないが,結構楽しんでしまったことは間違いない。

何だかんだ言って,ヴァイオリン好きは父の影響なんだろうなぁ。

Recorded on April 22-27 and June 17 & 18, 2021

Personnel: Hilary Hahn(vln),Andrés Orozco-Estrada(cond), Frankfurt Radio Symphony Orchestra

2022年10月10日 (月)

「鳥のカタログ」:凄い曲だなぁ...。

Photo_20221009211901 「メシアン:鳥のカタログ」児玉桃(Octavia)

児玉桃はECMからリリースした3作がどれも素晴らしく,古典,現代音楽の双方に通じたピアニストであることは明白であり,3作全てを高く評価してきた私である。こうなったらECM以外のアルバムも聞かねばということで入手したのがこの「鳥のカタログ」である。我ながら,またハードルの高い音楽を選んでしまったものである(笑)。

メシアンのピアノ曲と言えば,私はPeter Serkinの「アーメンの幻影」や「幼児イエスに注ぐ20のまなざし」ぐらいしか聞いていない(前者は高橋悠治とのデュオ)が,はっきり言ってどちらも難しいよなぁっていうのが正直なところである。当たり前だが,決して気楽には聞けない。ある程度の覚悟を以て聞く必要があるのだ。そしてこの「鳥のカタログ」に至っては,演奏時間が3時間近いという大曲なのだ。普通はビビる(きっぱり)。

児玉桃はECMの第1作において,既に「鳥のカタログ」番外編のような「ニワムシクイ」を演奏しているが,そこでも素晴らしいパフォーマンスを聞かせていたから,「鳥のカタログ」だってきっといいに違いないという確信はあった。その確信自体は結果的に決して間違ってはいなかったが,それにしてもこれは演奏者にも聴き手にも集中力を求める音楽だというのが実感だ。鳥をテーマにした曲と言っても,素材となる鳥のことを知らないのだから,私としては演奏に身を委ねるしかない訳だが,いかにも「現代音楽」的な響きが連続していて,こういう音楽に耐性がない人には,まじで厳しい音楽だろうなぁと思う。

とは言いつつ,私はこういう音楽ですら聞き流してしまうタイプのリスナーなので,プレイバックしていて明らかな不快感を催さなければ,大概の音楽はOKとなってしまうのだ。そんな私でも,これはある程度集中して聞かないと無理だと思ってしまう音楽なのだから,通常私が好んで聴いている「現代音楽」のピアノとも質が異なると言ってもよいかもしれない。

とにかく,これは凄い曲だっていう感想しか成り立たないが,それを弾き切る児玉桃も凄いよねぇ。私がこの音楽のすべてを理解できているとは思わないが,音源としてリリースすることだけで星★★★★★にしたくなるような曲であり演奏。お見事でした(笑)。

Recorded on February 24-26 and April 16-18, 2009

Personnel: 児玉桃(p)

2022年9月28日 (水)

Barre Phillips:「最後のソロ・アルバム」は「最後のアルバム」じゃなかったのねぇ(苦笑)。 #BarrePhillips

_20220924-3 "Face à Face" Barre Phillips / György Kurtág, Jr.(ECM)

Barre Phillipsがアルバム,"End to End"をリリースした時,「最後のソロ・アルバム」としてECMに自らオファーしたとライナーには書かれていた。即ち,年齢を考えれば,それはBarre Phillipsにとっての「最後のアルバム」だと思っていた私の早とちりっていうのが,本作で明らかになった。

"End to End"が制作に至る経緯がなかなか感動的だっただけ(詳しくはこちら)に,おいおい,まだ出るのかと思ったのも事実なのだが,今回,ECM New Seriesに自らのピアノ演奏でのアルバムも持つGyörgy Kurtágの息子との共演とあってはかなり気になる。しかし,絶対ハードルは高いはずだと思いつつ(笑),今回購入したものの一枚がこれである。

一聴して,これはやっぱりハードルが高い(きっぱり)。もはや現代音楽と言っても通じる感覚であるが,こういう音楽に耐性を身に着けてしまった私には,これがまた実に興味深く響くのだ。本作はBarre Phillipsのベースに,György Kurtág, Jr.のライブ・エレクトロニクスが加わるというものだが,ライナーはまたまたSteve Lakeが書いているし,やっぱりECMにおけるBarre Phillipsのポジションは特別なのかもしれない。

本作のSteve Lakeのライナーにも,ソロ作は"End to End"で最後としても,これは「コラボレーション」としての取り組みだって書いてある。今年の10月で米寿を迎えるBarre Phillips,まだまだやる気満々ってところか。だが,2020年9月から2021年9月までの1年を掛けて完成させたこのアルバムは,普通のリスナーにとっては「何のこっちゃ?」って感じのアルバムだろう。メロディ・ラインも,リズム・フィギュアもほとんど感じられないのだから,こんなものは音楽と認められないという人もいるはずだ。

まぁ,確かに「鑑賞音楽」としては結構辛いよなぁってのは私も感じるところなのだが,Barre Phillipsの本音はさておき,聴く方はこれはアンビエント・ミュージックとして捉えた方がいいかもしれない。何となくプレイバックしていて,これに耳をそばだてるかというと,それも微妙であり,何となく流れているという感覚の方が,私としてはわかり易い気がする。むしろ,こういうアルバムをリリースしてしまうところが,ECMというレーベルの真骨頂であり,こんなことができるレーベルはそうはない。出しただけでも凄いよねって感覚をお判り頂ける方だけが聞けばいいでしょう。私としては星★★★★ぐらいだが,さて,普通の人はどう捉えるか(笑)。

Recorded between September 2020 and September 2021

Personnel: Barre Phillips(b), György Kurtág, Jr.(electronics)

2022年7月14日 (木)

高橋アキの演奏で,Peter Garlandを初めて聴く。 #高橋アキ

_20220712-2 "Peter Garland: The Birthday Party" 高橋アキ(New World Records)

高橋アキの現代音楽のアルバムには,ついつい手が出てしまう私である。これもネットで見つけて発注してみるか~ってことで購入したものだが,Peter Garlandという作曲家についてはこれまで全く未経験であった。

ネットで調べてみると,ポスト・ミニマルの作曲家ということになっている。ポスト・ミニマルってのは「反復的なスタイルのなかに多様な要素や伝統的な語法を持ち込んだ」ものってことになるらしいが,このアルバムを聞いていて思ったのは,所謂現代音楽らしいクールな響き,あるいは一種の冷たさというよりも,暖かみすら感じさせるメロディ・ラインを持っているものであった。例えばMorton Feldmanなんて,ミニマルの極北みたいに感じてしまう私だが,タイプが全然違うのだ。

実のところ,私が現代音楽のピアノ音楽に求める響きは冷たさ,あるいは独特の間合いの方なので,ちょっとイメージが違うんだよなぁってのが正直なところである。

まぁ,いろいろな音楽を聴いて,自分に合う音楽をチョイスしていけばいいので,こういうことはままあることだが,今回は「へぇ~」って感じが強かった。あくまでもイメージの問題って気もするが,高橋アキのアルバムの中では,プレイバックの回数が増えそうにはなさそうだ(苦笑)。嫌いじゃないけどね。星★★★★。

Recorded between June 29 and July 1, 2016

Personnel: 高橋アキ(p)

2022年6月17日 (金)

実にReichらしい響きに満ちた新作:”Reich/Richter” #SteveReich

Reichrichter”Steve Reich: Reich/Richter" Ensemble Intercontemporain / George Jackson(Nonesuch)

Steve Reichが2019年に書いた,Gerhard RichterとCorinna Belzによる映像作品"Moving Pictures"とともに演奏されるための曲だそうだ。即ち,映像は視覚に訴え,Reichの音楽は聴覚に訴えることで,鑑賞者の感覚を刺激するということだろうが,音楽を聴いているだけでも十分に満足できる。

この音楽を聴いていて,いかにもSteve Reich的な響きが続いて,それこそ初めて"Music for 18 Musicians"を聴いた時のような感覚を想起させるところが実に心地よい。そして,これがライブ・レコーディングだっていうのが信じがたいのだが,それをきっちりこなしてしまうEnsemble Intercontemporainの素晴らしさってところだろう。

とにかく,Steve Reichの音楽が好きならば,間違いなく気に入るであろう作品であり,今年の10月で86歳になろうとしているSteve Reichがまだまだ現役で行けることを実証した作品としか言いようがない。ジャケットはGerhard Richterの2021年の作品だが,こちらも今年90歳ということで,年齢はこういう風に重ねたいと思ってしまうねぇ。星★★★★★。

偶然とも言うべきだろうが,現在,東京国立近代美術館でGerhard Richterの展覧会が開催中である。これを聴きながら,作品鑑賞ってのもよさそうだな。行こうっと(笑)。

Recorded Live at Philharmonie Paris-Cite de la musique, Grand salle Pierre Boulez on March 7, 2020

Personnel: George Jackson(cond), Ensemble Intercontemporain(performance)

2022年5月 2日 (月)

ピアノ以外の現代音楽もってことで,今日はKremerによるWeinbergの無伴奏ヴァイオリン・ソロ。

_20220428-2 "Mieczysław Weinberg: Sonata for Vilolin Solo" Gidon Kremer(ECM New Series)

私は現代音楽と言えば,ほぼピアノ独奏のものを好んで聴いているのはこのブログの読者にはバレバレだと思うが,たまには違うのもってことで,今日は無伴奏ヴァイオリンである。無伴奏ヴァイオリンと言えば,私の場合,バッハかバルトークに決まっているってところだが,このMieczysław Weinbergという人は全く聞いたことがない。しかし,近年,この人の音楽をGidon Kremerが取り上げることが多いのはなんでやねん?という興味もあって聞いてみた。

結論から言えば,60~70年代に書かれた曲にしては,いかにも現代音楽みたいな小難しいところはなく,まぁバルトークを聞いているような雰囲気で接することができるって感じではないか。と言いつつ,最近,私もバルトークの無伴奏なんて久しく全然聞いていないから,印象でしか言えないのだが,現代性は感じさせつつもリスナーを拒絶する感じはない。なので,鑑賞音楽としても成立すれば,小音量で流していれば,アンビエントにもなりうる感じと言っては怒られるかもしれないが,そういう感覚なのだ。でも優しい曲ではないのは確かだ(きっぱり)。

このアルバムには3曲の無伴奏ソナタが収録されているが,これを聞いて,バッハよりも久しく聞いていないバルトークの無伴奏ソナタを聴きたくなったというのも事実で,音楽を聴くという視点からは,いずれにしても結構いい影響を与えてくれたと思う。

Gidon Kremerは近年,このMieczysław Weinbergの音楽にご執心のようであるが,75歳記念盤で出してくるところにも相応のこだわりがあるってことだろうし,演奏には相当の集中力を要しながら,敢えて出してくるところが凄いねぇと思ってしまう。そうした点も評価して星★★★★☆。

正直言ってしまえば,本作については音楽として評価できるほどちゃんと聞き込めていないが,私も現代音楽として聞くのはピアノだけでなく,もう少し幅を広げてもいいかなと思ってしまうところに,Manfred Eicherの術中にまんまとはまっている自分を感じざるをえない。いずれにしても,このアルバムも然りであるが,Eicherのセレクションは特殊にもかかわらず,どうしてはまってしまうのか?と言いたくなってしまった。

でもまずは父も好きだったバルトークを聞き直すことにしよう(笑)。

Recorded in July, 2013 and December, 2019

Personnel: Gidon Kremer(vln)

2022年4月17日 (日)

またも高橋アキのピアノにはまる:”Piano Transfiguration”    #高橋アキ

_20220416"Piano Transfiguration" 高橋アキ(カメラータ・トウキョウ)

私は現代音楽のピアノ曲にかなりはまっていると言ってもよいが,その中でもPeter Serkinと高橋アキは別格の位置づけにある。大概,この二人が演奏する現代音楽のピアノ曲は私に訴求するところが大きいのだが,今回も例外ではなかった。購入したのは数か月前だが,記事のアップができていなかったのをようやくという感じである。このアルバムは高橋アキが献呈されたり,初演したりという縁のある作曲家の作品が揃っているが,まさに現代音楽における高橋アキという人のポジションを感じさせるものと言ってよい。

ディスク1冒頭の尹伊桑の"Interludium A"は「ザ・現代音楽」とでも表現したくなるようなダイナミズムを感じさせる曲だが,こういうのをライブ・レコーディングしてしまうというのが凄い。このアルバムにはもう1曲ライブ音源が入っていて,そちらはMorton Feldmanのその名も"Piano"である。ある意味,ダイナミズムとミニマリズムという「対極」にあるような2曲を同じ演奏会でやってしまうのも素晴らしいが,それをライブ・レコーディングしてしまうというのは,技術に加えて,集中力と自信がなければ成り立たないものだと思える。そのこと自体に私は感動すらおぼえてしまうのだ。凄い人である。

そのほかの4曲はライブではないが,それらも私の現代音楽のピアノ好きを十分に満足させてくれる逸品。だが,私としてはライブで録られた2曲ゆえにこのアルバムを更に高く評価したい。まじでたまりませんなぁ。星★★★★★。

Recorded at 豊洲シビックセンターホール(Live)on October 17, 2017 and at 三重県総合文化センター on February 14, 2018

Personnel: 高橋アキ(p)

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