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カテゴリー「現代音楽」の記事

2022年5月 2日 (月)

ピアノ以外の現代音楽もってことで,今日はKremerによるWeinbergの無伴奏ヴァイオリン・ソロ。

_20220428-2 "Mieczysław Weinberg: Sonata for Vilolin Solo" Gidon Kremer(ECM New Series)

私は現代音楽と言えば,ほぼピアノ独奏のものを好んで聴いているのはこのブログの読者にはバレバレだと思うが,たまには違うのもってことで,今日は無伴奏ヴァイオリンである。無伴奏ヴァイオリンと言えば,私の場合,バッハかバルトークに決まっているってところだが,このMieczysław Weinbergという人は全く聞いたことがない。しかし,近年,この人の音楽をGidon Kremerが取り上げることが多いのはなんでやねん?という興味もあって聞いてみた。

結論から言えば,60~70年代に書かれた曲にしては,いかにも現代音楽みたいな小難しいところはなく,まぁバルトークを聞いているような雰囲気で接することができるって感じではないか。と言いつつ,最近,私もバルトークの無伴奏なんて久しく全然聞いていないから,印象でしか言えないのだが,現代性は感じさせつつもリスナーを拒絶する感じはない。なので,鑑賞音楽としても成立すれば,小音量で流していれば,アンビエントにもなりうる感じと言っては怒られるかもしれないが,そういう感覚なのだ。でも優しい曲ではないのは確かだ(きっぱり)。

このアルバムには3曲の無伴奏ソナタが収録されているが,これを聞いて,バッハよりも久しく聞いていないバルトークの無伴奏ソナタを聴きたくなったというのも事実で,音楽を聴くという視点からは,いずれにしても結構いい影響を与えてくれたと思う。

Gidon Kremerは近年,このMieczysław Weinbergの音楽にご執心のようであるが,75歳記念盤で出してくるところにも相応のこだわりがあるってことだろうし,演奏には相当の集中力を要しながら,敢えて出してくるところが凄いねぇと思ってしまう。そうした点も評価して星★★★★☆。

正直言ってしまえば,本作については音楽として評価できるほどちゃんと聞き込めていないが,私も現代音楽として聞くのはピアノだけでなく,もう少し幅を広げてもいいかなと思ってしまうところに,Manfred Eicherの術中にまんまとはまっている自分を感じざるをえない。いずれにしても,このアルバムも然りであるが,Eicherのセレクションは特殊にもかかわらず,どうしてはまってしまうのか?と言いたくなってしまった。

でもまずは父も好きだったバルトークを聞き直すことにしよう(笑)。

Recorded in July, 2013 and December, 2019

Personnel: Gidon Kremer(vln)

2022年4月17日 (日)

またも高橋アキのピアノにはまる:”Piano Transfiguration”    #高橋アキ

_20220416"Piano Transfiguration" 高橋アキ(カメラータ・トウキョウ)

私は現代音楽のピアノ曲にかなりはまっていると言ってもよいが,その中でもPeter Serkinと高橋アキは別格の位置づけにある。大概,この二人が演奏する現代音楽のピアノ曲は私に訴求するところが大きいのだが,今回も例外ではなかった。購入したのは数か月前だが,記事のアップができていなかったのをようやくという感じである。このアルバムは高橋アキが献呈されたり,初演したりという縁のある作曲家の作品が揃っているが,まさに現代音楽における高橋アキという人のポジションを感じさせるものと言ってよい。

ディスク1冒頭の尹伊桑の"Interludium A"は「ザ・現代音楽」とでも表現したくなるようなダイナミズムを感じさせる曲だが,こういうのをライブ・レコーディングしてしまうというのが凄い。このアルバムにはもう1曲ライブ音源が入っていて,そちらはMorton Feldmanのその名も"Piano"である。ある意味,ダイナミズムとミニマリズムという「対極」にあるような2曲を同じ演奏会でやってしまうのも素晴らしいが,それをライブ・レコーディングしてしまうというのは,技術に加えて,集中力と自信がなければ成り立たないものだと思える。そのこと自体に私は感動すらおぼえてしまうのだ。凄い人である。

そのほかの4曲はライブではないが,それらも私の現代音楽のピアノ好きを十分に満足させてくれる逸品。だが,私としてはライブで録られた2曲ゆえにこのアルバムを更に高く評価したい。まじでたまりませんなぁ。星★★★★★。

Recorded at 豊洲シビックセンターホール(Live)on October 17, 2017 and at 三重県総合文化センター on February 14, 2018

Personnel: 高橋アキ(p)

2022年3月27日 (日)

プレイヤーには集中力を強いるであろうMorton Feldmanの音楽。 #MortonFeldman #Kronos Quartet #高橋アキ

_20220326 "Morton Feldman: Piano and String Quartet" Kronos Quartet with 高橋アキ(Nonesuch)

以前,このブログにMorton Feldmanの"For Benita Marcus"を取り上げたことがあって,主題として「これぞミニマルの極北って感じ。」なんて書いている(記事はこちら)。そこにも書いた通り,「音数も決して多くないのだが,延々とピアノ・ピアニシモのような音量で,淡々とピアノが演奏される」音楽は,演奏するのも大変だろうと思わせるに十分な集中力を要するものと感じた。

このアルバムはタイトル通り,ピアノと弦楽クァルテットで演じられるものであるが,ミニマリズムと言う観点では"For Benita Marcus"同様のものであり,弱音での演奏が約80分に渡って行われるものだが,1人でも大変そうな音楽を5人で演奏するのだから,並大抵な集中力では演奏できないものと言えるのではないか。一方聴く側にとっては,これはもはやアンビエントに同化するものであり,集中して聴くもよしだが,どちらかと言えば気がついたら流れているって感じの方がフィットしそうである。もし,これをライブの会場で聞いていたら,聴衆にも集中力を求めるというものであり,おそらく私には耐えられないだろうという感じである。

聴き方は人それぞれであってよいと思うが,考えようによってはこれほど厳しい音楽もないとさえ感じることもありかもしれない。何事も突き詰めると凄い世界が待っていることの証である。こういう音楽に点をつけること自体無意味とさえ思いたくなる。私にとってはアンビエント・ミュージックとして流しっぱなしにするというのが,この音楽との一番の相対し方。

いずれにしても,私にとっては高橋アキとKronos Quartetの共演ということが,このアルバムを購入した理由であることは間違いないが,こんな音楽やっちゃうなんて,全く凄い人たちである。

Recorded in November 1991

Personnel: Kronos Quartet<David Harrington(vln), John Sherba(vln), Hank Dutt(vla), Joan Jeanrenaud(cello)>, 高橋アキ(p)

2022年3月20日 (日)

「高橋アキの世界」のCD版を入手。 #高橋アキ

_20220319 「高橋アキの世界(”Piano Space”)」高橋アキ(EMI)

以前,このアルバムをアナログで入手した際にも記事にした私である(記事はこちら)が,現在の私の自室の再生環境ではやはりCDの方が便利,あるいは手軽ってことは否定できないので,チャンスがあれば,2009年に出たCD版も欲しいなぁと思っていた。しかし,ものがものだけ(換言すれば,好き者しか欲しがらない)に,結構中古でも値段が高かった。そこへこのCD版がまぁ納得できる(と言っても定価よりはかなり高い)価格で出ていたので,入手した私である。

音源はまたゆっくりと聞くチャンスがあるとして,こういうのが家人からすれば無駄遣いってことになるのだろうが,まぁいいのである。この超弩級のアルバムが手軽に再生できるようになったことを素直に喜びたい。

そう言えば,高橋アキについては「ピアノ・トランスフィギュレーション」もまだ記事をアップしていなかったなぁ。まずはそっちをちゃんと聞かねば(笑)。

2021年12月30日 (木)

2021年の回顧:音楽編

2021-best-albums
いよいよ今年の回顧も最後の音楽編である。このブログにも何度か書いているように,私の新譜購入のペースは,以前に比べると随分落ちた。そんな中で印象に残った新譜音源(星★★★★☆以上)については,ブログ右側の「2021年のおすすめ作」にアップしているので,そこが回顧する上でも基本になる。

しかし,回顧するもへったくれもなく,今年のベスト作はこれになるだろうなぁと思っていたのが2作ある。それが児玉桃の”Hosokawa/Mozart”と菊地雅章の"Hanamichi: The Final Studio Recordings"であった。この2作ともにこのブログに記事をアップしたのは3月であったが,その段階でこれを越えるものはないと思っていた。児玉桃については2006年録音の音源ではあるが,細川俊夫の「月夜の蓮(”Lotus under the Moonlight”)」の演奏があまりにも素晴らしく,私は唸ってしまった。もちろん,モーツァルトのピアノ協奏曲23番もいいのだが,何と言っても「月夜の蓮」である。

そして,菊地雅章だ。これも2013年の録音ではあるが,この作品について記事を書いた時の「命を削って紡ぎだされるフレージング」という表現には,いささかの誇張もないと思っている。それぐらい痺れる音楽であったと言わざるをえない。私にとってはこの2枚の印象があまりにも強かった。

そのほかでは新録音では,ジャズ界の不老不死,Charles LloydのMarvelsとのアルバムはいつもながらの優れた出来であった。記事にも書いたが突出した部分はないとしても,このクォリティの高さは尋常ではない。メンバーの貢献度も高かった。また,私が高く評価し続けるMarcin Wasilewskiの"En Attendant"はこれまた痺れる出来であった。Joe Lovanoを迎えた前作,"Arctic Riff"も悪くなかったが,私としては多少の違和感もあった。やはりこの人たちはトリオが一番いいと思う。また,Dave Hollandも年齢を感じさせないカッコいい音楽を作り続けていて凄いなぁと思う。音楽性をアルバム毎に変えてくることも立派。本当に幅が広いし,もう一人の主役と言ってよいKevin Eubanksのギターもよかった。

そして,年末になって現れたRobert Plant/Alison Kraussの第2作は滋味溢れる出来に嬉しくなった。Bruno MarsとAnderson PaakのSilk Sonicはソウルの楽しさを完璧なまでに打ち出していて,これまたいいものを最後の最後に聞かせてもらった気がする。全然タイプは違うが,現代音楽ではMichael WendebergとNicolas Hodgesによるブーレーズのピアノ曲全集。私の嗜好にばっちりはまるこの音楽は,決して万人向けではないとしても,この手の音楽好きにはたまらない魅力があると思う。

発掘ものもいいものがあったが,発見という意味ではJohn Coltraneの「至上の愛」ライブははずせないところ。いかんせん音がもう少しよければ...というところはあったが,歴史的音源であることは間違いない。むしろ,私が音楽として楽しんでしまったのがCharles Mingusのカーネギー・ホールでのライブ。その日の演奏をきっちり収めたこともに加え,演奏が何よりも楽しい。Mingusに対する私の勝手な思い込みやイメージを覆したのが本作だったと言ってよい。そして,Joni Mitchellのアーカイブ・シリーズ第2弾が実に素晴らしく,もはや第3弾が楽しみな私である。アナログでリリースされた初期4枚のアルバムのボックスも実によいのだが,ディスクがきつきつで取り出しにくいのが玉に疵(笑)。

ということで,新譜の購入枚数は減ったものの,今年もそれなりに楽しめた1年であったと思う。

2021年11月 9日 (火)

現代音楽的なミニマル度も示す田中鮎美のECMリーダー作。

_20211108"Subaqueous Silence" 田中鮎美トリオ(ECM)

ECMからリーダー作をリリースした日本人ミュージシャンは菊地雅章,児玉桃,福盛進也,そして旦那のSchiffとデュオ作を持つ塩川悠子だと思うが,そこに加わったのが田中鮎美である。この人,Thomas Strønenのアルバムにも参加しているのは認識していたが,私はそちらは未聴。今回はリーダー作ということもあり,購入と相成った。

そもそもECMに相応しい"Subaqueous Silence(水中の静寂)"なんてタイトルを持つこのアルバムであるが,冒頭の"Ruins"からして,実にミニマルな響きであり,ジャズ的な熱狂とは全く無縁の世界。私はこの曲を聴いていて,能を想起していたのだが,「間」を重視するところは,先日記事をアップした高橋アキのJohn Cage集にも通じるところがある。つまり,かなり現代音楽的な響きと言ってもよい。バックもリズムを刻む訳ではないし,ややフリーな展開も交えるものの,基本的には実に冷え冷えとした感覚を持つアルバムである。まぁ,"Subaqueous"なのだから,温かみとは無縁という気もするが,これはもはやジャズの概念だけで捉えることは難しい音楽と言ってもよい。

私としてはこういう音楽に対する耐性があると思っているが,一般的なリスナーには結構ハードルが高いと思える。しかし,34分程度という収録時間もあって,あっという間に聞き終えてしまうようなアルバムなので,そう抵抗感もなく時は過ぎていくかもしれない。現在,田中鮎美はノルウェー在住であるが,ノルウェーという場所もあって生まれた音楽と言うこともできるように思う。そんな響きに身を委ねていればよいというところだろう。星★★★★。このトリオ,生で聞いたらどういう感覚を生むのか興味あるなぁ。

Recorded in June 2019

Personnel: 田中鮎美(p),Christian Meaas Svendsen(b),Per Oddvar Johansen(ds)

2021年11月 2日 (火)

高橋アキによるJohn Cageの音楽。このミニマルな感覚がたまらん。

_20211101 "Perilous Night" 高橋アキ(カメラータトウキョウ)

私は現代音楽のピアノがかなり好きだと言っていいと思うが,私にとっての精神安定剤みたいなところがあると言ってもよい。ノイジーなフリー・ジャズだって好きなのとは対極みたいな感じだが,「間」に惹かれるってところかもしれない。現代音楽と言ってもいろいろあるが,大体私が好んで聞くのはミニマルな音数を絞った感じの音楽である。

そして,日本のピアニストで現代音楽を弾かせたら,やっぱりこの人ははずせないと思わせるのが高橋アキである。その高橋アキがJohn Cageのピアノ音楽を弾くとなれば,これはいいに決まっている(きっぱり)。そして,全17曲中13曲はプリペアード・ピアノによるものであり,最後に収められた1969年の作品,"Cheap Imitation"以外は1940年代の曲で占められている。

やはり注目はプリペアード・ピアノの音ということになるが,そもそもJohn Cageはプリペアード・ピアノの「発明者」であるから,ここに収められた曲を聴けば,プリペアード・ピアノの何たるかは理解できるということになる。基本的にはピアノをパーカッシブに響かせるための小道具を施したって感じだが,その個性的な響きが面白い。ここでは驚いたことに名器,ベーゼンドルファーをプリペアード・ピアノに使っているのだ。普通のピアニストからすれば,何ちゅうことするねん!?って感じだろうが,それをやってしまう高橋アキも凄いねぇ。後半4曲のプリパレーションを外したベーゼンドルファーとの違いを体感するのも楽しい。

そうしたサウンド面はさておき,私にとってはここで聞かれる「間」が何とも心地よい。やっぱりこういうのが好きなのだ。星★★★★★。

Recorded on January 10 & 11,2007

Personnel: 高橋アキ(prepared-p,p)

2021年9月17日 (金)

私の好物と言ってよい定冠詞付きの現代音楽,ブーレーズのピアノ曲全集。

Boulez "Pierre Boulez: Constellation-Miroir" Michael Wendeberg / Nicolas Hodges(Bastille Musique)

私が現代音楽のピアノ曲が結構好きなことは,おそらくこのブログの読者の皆さんにはバレていると思うが,そうした私の趣味嗜好に合致するアルバムの登場である。

私にとってはPierre Boulezは指揮者としての位置づけの方が強く,彼の作曲した音楽にはほぼ接することなく過ごしてきたと言ってもよい。だが,彼の指揮する音楽にはなるほど,そういうこともあるよなと感じさせるような理知的な解釈が感じられて実に面白いと思うことも多かった。最も印象深かったのはロンドン響とやったベルリオーズの「幻想」だったかもしれない。「断頭台への行進」のテンポの設定って,まさに解釈としてはこれが正しいのではないかと思っていた。

それはさておきである。このアルバムはそのBoulezのピアノ曲をすべて録音したアルバムということらしい。そこには主題の通り,"The 現代音楽"と言ってよい響きがディスク2枚に渡って収められている。私が現代音楽のピアノ曲を聴く場合,何が好みかと言えば,そこに示される「間」なのだが,ある意味フリー・ジャズの時として苛烈な音列と対極にあるような,この「間」こそが私にとって快感なのだ。そして,このアルバムもそれがたまらないのだ。

世界発録音を含む二手と四手のピアノ曲の集成として,それはそれとして価値があると思えるが,私としてはそれよりもこの響きに身を委ねていることが重要ということで,実に邪な聞き方と言われても仕方ない。それでもこの清冽な響きこそが,私が現代音楽のピアノに求めるものである。リリースされたことの重要性も含めて星★★★★★としよう。

それにしても,本作をリリースしたBastille Musiqueというレーベル,パッケージングには相当のこだわりを持っているようだが,ボックスの体裁は昔のブートレッグのようでもある。しかし,箱を開けると結構凝った作りって感じなのはユニークだと思った。これもレーベルとしてのこだわりなのかもしれないが,ここまでやらなくてもって思うのも事実。まぁ,でも音楽がよければそれでいいのだが,私としてはECMライクな方がいいなぁ(笑)。

Recorded between 2018 & 2020

Personnel: Michael Wendeberg(p), Nicholas Hodges(p)

2021年4月 6日 (火)

これはもの凄い!「高橋アキの世界」。

Piano-space 「高橋アキの世界(”Piano Space”)」高橋アキ(EMI)

前々からこのブログにも書いているが,私は現代音楽のピアノ曲がかなり好きである。アブストラクトな音場に身を委ねると心地よいというのが一番の要因だが,それって変態だって言われても抗弁できないとは思う。しかし,好きなものは好きなのだ。

そうは言いながら,Peter Serkinは例外にして,ほぼECM New Seriesが私のそうした音楽の鑑賞の中心になってしまっていて,それ以外のフォローは決して十分とは言えない。そんな中で,たまたまオークション・サイトで見つけたこの3枚組のアルバムは,「おぉっ,これは...」と思わせるに十分なプログラムである。最初の2枚は日本人作曲家,3枚目が海外の作曲家というくくりになっているのだが,まさに「The 現代音楽」である。これは買わずにおれん,聞かずにおれんということで,オークションでゲットしたのだが,見本盤であることはさておき,今から50年近く前の古いレコードなので,ボックスも傷んでいた(死ぬまで売る気はないので,自分で補修した...)が,それでもレコードはほとんどプレイバックされた形跡がない綺麗なもので,全然文句なしである。こういうのは聞ければいいのである。

そして,私が期待した通りの「The 現代音楽」が全編にわたって展開されるという全くもって素晴らしいレコードである。2009年にはタワー・レコードでCD復刻されたようだが,そんなことには全然気づかずであった私が悪い,というかその頃はそこまで現代音楽にはまっていなかったとも言える訳で,今から考えれば買っておけばよかったと思わざるをえない。

しかし,今回,アナログで入手して,これは一枚,一枚ひっくり返しながら聞くという楽しみがあるなぁと思っていた私である。まじでこれははまる。いや,最高である。ここでの高橋アキのピアノの響きを聞いていれば,すぐにその世界に没入できる。クリアにして見事な粒立ちのピアノの音を聞いているだけで至福の時間が過ごせる。これはまさに私のツボにはまった音楽であり,サウンドであった。「明晰」とはこういうことなのかと思いたくなる。星★★★★★。最高である。大げさに言えば人生の宝ともなるな。

Recorded in 1972 and 1973

Personnel: 高橋アキ(p, el-p), 祖堅方正(tp)

2021年3月29日 (月)

雨降りには武満のピアノ曲よ。

_20210321-2 「高橋アキ Plays 武満」高橋アキ(EMI)

私は現代音楽のピアノ曲が結構好きなのだが,そんな私の嗜好を決定づけたのが今は亡きPeter Serkinであったと言ってもよい。Serkinが武満を弾いたアルバムは私のフェイバリットの一枚と言ってもよく,このブログでも記事にした(記事はこちら)。そこにも書いているのだが,武満徹のピアノ音楽を聞いていると「石庭で雨音を聞いているような感覚」を覚えてしまうのだ。もちろん,「雨の樹素描」という曲が含まれていることもそう感じさせる一因かもしれないが,武満のピアノ曲は気分を落ち着かせたい時に実にフィットする音楽なのだ。それでもって,先日の雨が降る日に聞いた一枚がこれ。

決してわかりやすい音楽だとは思わないし,世の中に存在する武満徹のピアノ曲集のアルバムは限定的なものに留まると言ってよい。そんな中で,Peter Serkinとともに私が保有しているのがこの高橋アキ盤である。このアルバムも極めて世評の高いものであるから,武満のピアノ曲を聞くならば,この2枚を保有していれば,まぁよかろうということになると思う。小川典子はどうした?藤井一興はどうした?と言われるかもしれないが,私にとってはそこまで追いかけていられない。

現代音楽に対する造詣の深い高橋アキが武満を弾くのだから,これはまぁ間違いのない世界と言ってもよいのだが,Peter Serkin盤と同様の感覚を与えてくれて,実によい。武満のピアノ曲を聞いていて,私は絶妙な「間」を感じてしまうのだが,この感覚が精神衛生上効果的だと思っている。最後に「こどものためのピアノ小品」と「ゴールデン・スランバー」を並べて,エピローグ的にアブストラクトな感覚からの抜け出す道筋を示す構成もよく出来ていると思ってしまうのだ。やっぱりこれは好きだなぁ。星★★★★★。

もちろん,万人向けの音楽だとは思わないが,好きになってしまうと,こういう音楽からは離れられないのだ。

Recorded in May, 2000

Personnel: 高橋アキ(p)

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