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2019年おすすめ作

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カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2021年3月 8日 (月)

出張の道すがらに読むには丁度よかった姫川玲子シリーズ。

Photo_20210306163001「オムニバス」誉田哲也(光文社)

このブログで取り上げたことはないが,姫川玲子を主人公とするシリーズは,ついつい買ってしまう私である。今回は7編からなる短編集で,こういう本は出張の移動中に読んでしまえるというもので,その気楽さが丁度よい。

まぁ,短編集なので,いつものようなエグい感じはないし,あっさりしたストーリーと言えばその通りだが,主人公,姫川玲子の発するつぶやきが結構笑える感覚あって,地方出張の移動時間で読み終えてしまった。やっぱりこのキャラクターと姫川玲子を取り巻く登場人物の造形は面白いと思う。姫川玲子の直感が当たり過ぎだろうってのは感じつつ,星★★★☆ぐらいとしておこう。

読んでいて,姫川玲子を演じた竹内結子は亡くなってしまったが,2代目には誰がいいのかなぁなんて思っていた。

2021年2月 9日 (火)

最近立て続けに入手した音楽関係書の話。

Books

最近,立て続けに音楽関係の本を入手。まぁ,Patti Smithの「Mトレイン」は音楽書と言うよりも,ちゃんとした文学と言ってもよいので,Patti Smith教信者の私としては,襟を正して読むしかない(きっぱり)。

それとJoni Mitchellのアルバム・ガイド,そして一部で話題の「50年後のアルバート・アイラー」。この3冊の中で一番気楽に読めるのはJoni Mitchellのアルバム・ガイドなので,風呂で読み進めているところ(笑)。一番難儀なのは一部のフォントが小さいアイラー本。500ページ超の大冊というのも風呂で読むには厳しいねぇ(爆)。

2020年9月23日 (水)

Patti Smithの詩を味わうための一冊。

Patti-smith-complete "Patti Smith Complete 1975-2006" Patti Smith(Harper Perennial)

こんな本があったとは...。私は遅れてきたPatti Smith教の信者であるが,彼女のアルバムは結構保有していたとしても,その歌詞を完全に把握している訳ではない。先日取り上げた"The Coral Sea”もテキストなしでは厳しいが,彼女の歌う歌はしっかり詞のレベルまで把握したいと思う,そんな私の欲求を満たす書物がこれである。

Patti Smithのアルバムのブックレットにはちゃんと歌詞が掲載されているから,それを見ればいいって話もあるが,こうやってちゃんとまとまっていることが重要なのだ。真剣に詞に対峙したいと思わせる数少ないミュージシャンとして,この本は私にとっては実に貴重。遅れてきた信者だけにその存在に気がつくのが遅すぎるわってところだが,今更でもいいのである。実に奥深いPatti Smithの世界に浸るのはこれからでも遅くない。私にとってはそれほどの人なのである。星★★★★★以外ありえない。

2020年3月31日 (火)

「蜜蜂と遠雷」の原作を読了。実に面白かった。

Book 「蜜蜂と遠雷」 恩田陸(幻冬舎)

先日の米国出張の際に,機内エンタテインメントで見た本作の映画化版がなかなか面白く,猛烈に原作が読みたくなったということは既にこのブログに書いた(記事はこちら)。なかなかの大冊ではあったが,あっという間に読み終えてしまった。エンタテインメントとしてよく出来ているのはもちろんだが,クラシックの世界を描いたというところが画期的という気がする。本作には賛否両論があることも承知しているが,私としてはクラシックの世界を描いたという点で,評価が上がってしまったことは言うまでもない。

ある意味,クラシックのピアニストってのは大変だよなぁと漠然と思っていたところを,コンクールという舞台を通じてその葛藤とかを描いたところが実に面白かったし,曲の解釈にドラマ性を加えてしまうところも,そこまで言う?という感覚もありつつも,実にユニークだと思っていた私である。

いずれにしても,恩田陸が音楽を描く様は,実にビビッドであり,各々の曲に対する感覚も首肯できる部分があり,この人の「耳のよさ」というのも感じられる作品であった。今更ながらこの本を読んで,大いに楽しませてもらった。ということで,星★★★★★としてしまおう。直木賞,本屋大賞の二冠にもなるほどとなった私であった。これで改めて映画を見直すと,別の感慨も生まれるかもしれないなぁ。

文庫版は上下巻にわかれているが,上巻を読めば,下巻に進まざるを得なくなることは必定と言っておこう。

2019年12月 4日 (水)

「ECM catalog 増補改訂版」:資料としては価値を認めるが,改訂ならちゃんと改訂すべきだ。

Ecm「ECM catalog 増補改訂版/50th Anniversary」稲岡邦彌 編著(東京キララ社)

ECMの40周年を記念して本作のオリジナルが発売されたのが2010年7月のことであった。それから約10年を経て,ECMも今年50周年を迎え増補改訂版が発売された。ページ数も940となり,更に分厚い書籍となった。それだけECMがレーベルとして歴史を重ね,更に数多くのアルバムをリリースしてきたことを思えば,実に感慨深いものがある。そして,アルバムをJAPOも含めてカヴァーしているということで,資料性には全く文句はない。

しかし,増補はいいとしても,改訂と言うならば,40周年記念版からの変化については,ちゃんと改めるべきではなかったか。例えば,私がたまたま目にしたところで言えば,ジョンアバとRalph Townerの"Five Years Later"は,Touchstoneシリーズとして後にCDとしてリリースされたにもかかわらず,前回同様「廃盤/未CD化」と表現されているのはどういうことか。せっかく改訂版を謳うならば,ちゃんと前回の記述も一度見直すべきだったというのが本来の「改訂」であろう。その辺りに私は画竜点睛を欠くと言いたくなってしまうのだ。ライター自身に依頼できないのであれば,編著者としての稲岡邦彌が責任を持って加筆なり,修正なり,コメントを加えるなりをするというのが筋だろう。

もちろん,ECMレーベルのファンはこの本を眺めながら,次に何を購入すべきかと考える楽しみを与えてくれるものであることは間違いないのだが,私はこれでは本質的な「改訂」と言えないという思いが強い。ついでにこの本にもう一つ文句を言っておくと,帯には「今世紀最後の完全カタログ」とあるが,なぜ「今世紀最後」と言えるのか?まだ21世紀は80年以上あるし,ECMの歴史はこれからも脈々と続いていくはずだが,もう改訂は絶対しないということであれば,それはそれでよかろう。だが,日本にせよ,ほかの国にせよ同様の書籍が発売される可能性が残っている中での,この「今世紀最後の完全カタログ」という過剰な表現には,強烈な違和感をおぼえると言っておこう。

この労作をまとめ上げた稲岡邦彌からすれば,私の言い分などイチャモンと思われても仕方がないところではあるが,こういうところを看過したのは,正直言って出版社の担当者の責任が大きい。そうした点で評価を下げて,初版より半星減らして星★★★。なんかやっぱり納得いかないんだよなぁ。

2019年11月13日 (水)

Joni Mitchellの幻の書籍の再リリース版,ついに到着。実に素晴らしい!

Morning-glory-on-the-vine-cover

”Morning Glory on the Vine: Early Songs and Drawings" Joni Mitchell

かねてから告知されていた,Joni Mitchellがかつて友人にギフトとして100部限定で制作した書籍がようやくデリバリーされた。1971年に手書きの歌詞に,彼女の絵画を添えたこの本の現物は,まず世の中に出ることはないだろうが,Joni Mitchellの生誕75周年を記念して,こうして誰にでも手に入るようになったのは実に喜ばしい。

私はJoni Mitchellの絵画展のカタログや,Norman Seeffが撮った彼女の写真集,彼女の全曲楽譜集も保有しているが,私にとってはかけがえのない書籍がもう1冊加わったというところである。彼女の書く絵画のヴィヴィッドな色遣いを見ているだけで,本当にく~っとなってしまった私である。これぞちょっと気は早いが,私にとっては今年最高のホリデイ・ギフトと言ってよい。

どうせなら彼女のサイン入りの本を買えばよかったかなぁなんて思っているが,さすがにそこまでは手が出なかった。しかし,そのうちやっぱり欲しくなるかもなぁ...。いずれにしても,Joni Mitchellファンは必携の書籍である。素晴らしい。星★★★★★以外ありえない。

Morning-glory-on-the-vine-2

2019年9月 7日 (土)

百舌シリーズ完結か~。それにしても長く続いたシリーズであった。

Photo_20190906233701 「百舌落とし」 逢坂剛(集英社)

1986年に「百舌の叫ぶ夜」が出版されて以来,30有余年。ほぼ私の社会人生活とも同期が取られる長きに渡って出版されてきた「百舌」シリーズの完結編である。思えば,私は逢坂剛の本は,「カディスの赤い星」を皮切りに,この百舌シリーズのみならず,イベリア・シリーズ,禿鷹シリーズ,岡坂神策シリーズ等,結構な数を読んできた。まぁ,結局のところ,逢坂剛のストーリーテリングのファンだったと言ってよいだろう。そうした中で,この「百舌」シリーズもテレビ・ドラマ化されたり,映画化されたりしたが,映画は機内エンタテインメントで見て,酷評した私だが,書物の方は,いいものもそうでもないものもありながら,ずっと読ませ続けてくれる作品だったと思う。

その「百舌」シリーズの完結編であるが,先日ここにアップした「ノースライト」に比べると,あっという間に読み終えてしまったのには結構驚いてしまった。ページをめくらせる力はまだまだ健在と思わせるが,ストーリーにはちょっと無理がある気もした。シリーズ完結というからには,まぁこういう結末かなぁと思っていた通りの展開ではあったが,非常に面白く読むことができたのは,やっぱり好きだからだろうなぁ。

長年のシリーズにおいて,登場人物の造形が変わることはないので,今回もお馴染みのキャラクターが,お馴染みの感じで登場して,ストーリーが展開されるが,前作との間隔が長くなり過ぎたり,シリーズ前半のストーリーの記憶が薄れているため,なんでそうなるの?みたいな部分がない訳でもない。しかし,そうは言っても,映画的な感覚を持っていて,読んでいて面白いシリーズだったなぁと改めて思った次第。まぁ,今回の作品は完結を記念して甘いと思いつつ星★★★★としてしまおう。いやいや,それにしてもお疲れさまでした。

2019年8月25日 (日)

横山秀夫の本にしては読了に時間が掛かってしまった「ノースライト」

Photo_20190822170501 「ノースライト」 横山秀夫(新潮社)

横山秀夫の本は大概の場合面白い。「クライマーズ・ハイ」然り,「64」然りなのだが,この本については,読了に無茶苦茶時間が掛かってしまった。一言で言えば,サスペンスが盛り上がらないというか,ストーリーの回り道の多い前半のリズムが私には合わなくて,全然ページをめくる手が進まなかったというのが実態なのだ。後半になってやや持ち直すのだが,全体を通して言うと,私が期待した横山秀夫の作品とは異なるものだったとしか言いようがない。

横山秀夫の本ならば,これよりずっと優れた作品があるというのが実感であり,ブルーノ・タウトにこだわり過ぎたっていうのが正直なところ。結末もちょっとねぇ...ってことで星★★★が精一杯。

2019年8月15日 (木)

久しぶりに本を読んだ:「むらさきのスカートの女」

Photo_20190812121101 「むらさきのスカートの女」今村夏子(朝日新聞出版)

現在の住まいに引っ越してからというもの,通勤環境の変化もあって,昨今はあまり本を読まなくなってしまった私であるが,久しぶりに読んだのがこれである。第161回の芥川賞を受賞した作品として,結構注目された作品だろう。

なかなか面白いストーリーだと思うのだが,シュールな展開と言ってもいいかもしれない。「むらさきのスカートの女」をストーカーのように追う一人称の「私」の感情にストーリー中の変化はない一方,「むらさきのスカートの女」の生活パターンの変化により,誰がまともで,誰がまともでないのかがわからなくなるというところに面白さがあると言ってもよい。そういう意味で,私は全然作風は違うが,一体誰が一番の善人なのかと考えさせられた吉田修一の「悪人」をちょっと思い出したりしていた。

淡々とストーリーが展開する前半から,激しくストーリーが動く後半と,展開はよく考えられているように思える。そうした意味ではエンタテインメント性を持った純文学と言ってもよいかもしれない。だからと言って,今村夏子の既出の作品まで読みたいという気持ちにまではさせてもらっていないが,読む人によって,いろいろな解釈ができてしまうところが面白いところである。いずれにしても,この一人称で語るような人間とは絶対お近づきになりたくないが(笑)。そういうかたちでも感情移入させるところがうまいんだろうなぁ。星★★★★。

2019年4月 2日 (火)

くすっと笑える一方,しんみりもさせてくれる「続 横道世之介」。

Photo_14 「続 横道世之介」吉田修一(中央公論新社)

久しぶりの本のネタである。本作に関しては,前作での展開を知る人間にとっては,まさかの続編の登場であった。本編の「横道世之介」は私も好きな本で,2010年のベストにも選んでしまったぐらいだ。吉田修一という作家は面白くて,実にシリアスな本を書くかと思えば,「横道世之介」のような本も書いてしまうところがユニークである。あまりに「悪人」や「さよなら渓谷」等とのトーンの違いは,本当に同じ作家かと思わせる(記事はこちら)。

今回も前作のトーンは引き継ぎながら,本の中にも出てくる「善良」なるキャラクターとしての横道世之介の姿が淡々と描かれるが,くすりと笑わせてくれる一方,本の後半なんて,私はカフェで読みながら実はしんみりとしてしまっていた。これは時節柄というか,私個人の現在の心象を反映してしまったかなと思えるところもあるが,それでもこれは面白い本であった。

この本の魅力は出てくる登場人物が全て善良に思えるという,性善説に則ったようなところにあって,自分で言うのもなんだが,強面の割にお人好しな私の性格に訴求してきてしまうのである。過去と現在が交錯する描き方となっているが,ここでは経緯が描き切れていない部分があるのも事実であるが,そこは読者の想像力で補えってことと解釈しておこう。

実に爽やかな読後感を与えてくれるこういう書物は,殺伐とした現代にとって実に貴重なものだと言いたい。大いに楽しんだ私である。星★★★★☆。好きだなぁ,こういう本。って前作にも同じような感想を書いているが,やっぱり好きなのだ(笑)。

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