2021年9月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

2019年おすすめ作

無料ブログはココログ

カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2021年9月11日 (土)

ガリレオ・シリーズの新作なんだけどねぇ...。これはいかんだろう。

Photo_20210906180601「透明な螺旋」東野圭吾(文藝春秋)

「沈黙のパレード」以来のガリレオ・シリーズの新作である。前作をこのブログで取り上げた際に,『東野圭吾のストーリーにはそこはかとなく「人情」が通奏低音のように流れている』と書いたが,この作品でもそれは同様だと思うのだが,ガリレオ・シリーズにしては,その「人情」が勝り過ぎたというのが実感である。そもそも,いくら頭脳明晰な主人公,ガリレオこと湯川学とは言え,その情報からだけで真相を明らかにできる訳ないだろうと思わせてしまうのがそもそもの難点である。ガリレオにはもう少しちゃんとした「ロジック」が必要なはずだが,どうにもそれが曖昧模糊としていて居心地が悪いのだ。

読み進めさせる技術については,今回も私はどんどんページをめくらされたので,そこは大したものだと思うのだが,これをガリレオ・シリーズと言ってよいのかというと,何だかなぁって気がしてしまうのだ。登場人物の関係性についてもどうなのよって思わせるし,これはガリレオ・シリーズとしては読者の期待を裏切る部分が大きかったと言わざるをえないだろう。そういうことを気にしなければ面白く読めるとも言えるのだが,やはりこれは微妙な出来であった。星★★★。本作に対して『今、明かされる「ガリレオの真実」 』というコピーは確信犯的な悪意に満ちているとしか言いようがなく,文藝春秋にはそういう点は反省してもらいたいし,東野圭吾には,次はちゃんと「ガリレオ」らしい作品を書いて欲しいものである。

2021年9月 8日 (水)

久しぶりに読んだ本は西川美和。

Photo_20210904162501 「スクリーンが待っている」西川美和(小学館)

前にも書いたことがあるが,今の住まいに引っ越してから,それまでと比べて通勤時間が圧倒的に短くなって以降,私の読書量は激減してしまった。それまでは結構長い通勤時間だったので,その時間を使って相応に読書していたのだが,今やほとんど本を読まなくなってしまったと言っても過言ではない。しかし,たまには本でも読むかということで,週末に読んだのがこの本であった。映画も見ながら,本も読むというのはなかなか久しぶりの経験であった。

私は映画監督としての西川美和を高く評価しているが,文筆家としても侮れないこともこのブログには書いてきたし,彼女の小説やエッセイも結構読んでいる方だ。本作は彼女の映画の最新作「すばらしき世界」の製作途上で記述されたエッセイを中心に,最後にはなかなか面白い短編小説が添えられている。

西川美和は「すばらしき世界」を除いてはオリジナル脚本にこだわってきただけに,イマジネーション豊かな文章を書くと思うが,エッセイも実に魅力的であった。映画製作の裏話として読むこともできれば,純粋にエッセイとして読むこともできるという感じで,楽しく読んだ私であった。やはりこの人有能である。星★★★★。

2021年4月20日 (火)

珍しくもあっという間に読み終えてしまった東野圭吾の新作。

Photo_20210417142401 「白鳥とコウモリ」東野圭吾(幻冬舎)

最近,本を読む機会もスピードも落ちまくっているが,先日,久しぶりにオフィスに行く機会があって,近隣の書店に行ったらこの本が並んでいた。私は東野圭吾の本はそこそこ読んでいると思うが,昨今の出版ペースは濫作ではないのかと思っていたので,今回の本は結構久しぶりの東野圭吾となった。最後に読んだのはガリレオ・シリーズの「沈黙のパレード」はずだから,多分それ以来だろう。

東野圭吾の出版ペースを見ていると,よくもまぁこれだけストーリーラインが浮かぶものだと感心するのだが,正直手が伸びなくなっていたのも事実である。しかし,今回の新作は足掛け4年に渡る雑誌への断続的な連載を経て,それを長編としてまとめたものであるから,時間を掛けてストーリーの構想は練っていたのだろうと想像される。私もそうした東野圭吾の術中にはまり,週末にあっという間に読み終えてしまった。そうさせる筆力は大したものだと思う。日頃,私が家庭内で本を読んでいる姿など見たことがないであろう家人さえ,そんな私の姿を怪訝に思っていたのではないかというぐらいの感じで読み進めていたのには我ながら驚いている。

特に前半から中盤にかけての展開は実に面白く,次への展開を楽しみにさせるものだったと思うが,結末に向けてはやや性急感,悪く言えば取ってつけた感があったように思えるのも事実である。しかし,ストーリーに破綻はないので,実に面白く読めたということは認めなければならないだろう。そういうところも評価して星★★★★☆としよう。私の中ではよく出来た感では「新参者」の方が上だが,これはこれでベストセラー街道一直線というのは納得できる。

読み終えて,この話を映画にするなら,どういうキャスティングがいいかかなぁなんて思ってしまった私である。

2021年3月 8日 (月)

出張の道すがらに読むには丁度よかった姫川玲子シリーズ。

Photo_20210306163001「オムニバス」誉田哲也(光文社)

このブログで取り上げたことはないが,姫川玲子を主人公とするシリーズは,ついつい買ってしまう私である。今回は7編からなる短編集で,こういう本は出張の移動中に読んでしまえるというもので,その気楽さが丁度よい。

まぁ,短編集なので,いつものようなエグい感じはないし,あっさりしたストーリーと言えばその通りだが,主人公,姫川玲子の発するつぶやきが結構笑える感覚あって,地方出張の移動時間で読み終えてしまった。やっぱりこのキャラクターと姫川玲子を取り巻く登場人物の造形は面白いと思う。姫川玲子の直感が当たり過ぎだろうってのは感じつつ,星★★★☆ぐらいとしておこう。

読んでいて,姫川玲子を演じた竹内結子は亡くなってしまったが,2代目には誰がいいのかなぁなんて思っていた。

2021年2月 9日 (火)

最近立て続けに入手した音楽関係書の話。

Books

最近,立て続けに音楽関係の本を入手。まぁ,Patti Smithの「Mトレイン」は音楽書と言うよりも,ちゃんとした文学と言ってもよいので,Patti Smith教信者の私としては,襟を正して読むしかない(きっぱり)。

それとJoni Mitchellのアルバム・ガイド,そして一部で話題の「50年後のアルバート・アイラー」。この3冊の中で一番気楽に読めるのはJoni Mitchellのアルバム・ガイドなので,風呂で読み進めているところ(笑)。一番難儀なのは一部のフォントが小さいアイラー本。500ページ超の大冊というのも風呂で読むには厳しいねぇ(爆)。

2020年9月23日 (水)

Patti Smithの詩を味わうための一冊。

Patti-smith-complete "Patti Smith Complete 1975-2006" Patti Smith(Harper Perennial)

こんな本があったとは...。私は遅れてきたPatti Smith教の信者であるが,彼女のアルバムは結構保有していたとしても,その歌詞を完全に把握している訳ではない。先日取り上げた"The Coral Sea”もテキストなしでは厳しいが,彼女の歌う歌はしっかり詞のレベルまで把握したいと思う,そんな私の欲求を満たす書物がこれである。

Patti Smithのアルバムのブックレットにはちゃんと歌詞が掲載されているから,それを見ればいいって話もあるが,こうやってちゃんとまとまっていることが重要なのだ。真剣に詞に対峙したいと思わせる数少ないミュージシャンとして,この本は私にとっては実に貴重。遅れてきた信者だけにその存在に気がつくのが遅すぎるわってところだが,今更でもいいのである。実に奥深いPatti Smithの世界に浸るのはこれからでも遅くない。私にとってはそれほどの人なのである。星★★★★★以外ありえない。

2020年3月31日 (火)

「蜜蜂と遠雷」の原作を読了。実に面白かった。

Book 「蜜蜂と遠雷」 恩田陸(幻冬舎)

先日の米国出張の際に,機内エンタテインメントで見た本作の映画化版がなかなか面白く,猛烈に原作が読みたくなったということは既にこのブログに書いた(記事はこちら)。なかなかの大冊ではあったが,あっという間に読み終えてしまった。エンタテインメントとしてよく出来ているのはもちろんだが,クラシックの世界を描いたというところが画期的という気がする。本作には賛否両論があることも承知しているが,私としてはクラシックの世界を描いたという点で,評価が上がってしまったことは言うまでもない。

ある意味,クラシックのピアニストってのは大変だよなぁと漠然と思っていたところを,コンクールという舞台を通じてその葛藤とかを描いたところが実に面白かったし,曲の解釈にドラマ性を加えてしまうところも,そこまで言う?という感覚もありつつも,実にユニークだと思っていた私である。

いずれにしても,恩田陸が音楽を描く様は,実にビビッドであり,各々の曲に対する感覚も首肯できる部分があり,この人の「耳のよさ」というのも感じられる作品であった。今更ながらこの本を読んで,大いに楽しませてもらった。ということで,星★★★★★としてしまおう。直木賞,本屋大賞の二冠にもなるほどとなった私であった。これで改めて映画を見直すと,別の感慨も生まれるかもしれないなぁ。

文庫版は上下巻にわかれているが,上巻を読めば,下巻に進まざるを得なくなることは必定と言っておこう。

2019年12月 4日 (水)

「ECM catalog 増補改訂版」:資料としては価値を認めるが,改訂ならちゃんと改訂すべきだ。

Ecm「ECM catalog 増補改訂版/50th Anniversary」稲岡邦彌 編著(東京キララ社)

ECMの40周年を記念して本作のオリジナルが発売されたのが2010年7月のことであった。それから約10年を経て,ECMも今年50周年を迎え増補改訂版が発売された。ページ数も940となり,更に分厚い書籍となった。それだけECMがレーベルとして歴史を重ね,更に数多くのアルバムをリリースしてきたことを思えば,実に感慨深いものがある。そして,アルバムをJAPOも含めてカヴァーしているということで,資料性には全く文句はない。

しかし,増補はいいとしても,改訂と言うならば,40周年記念版からの変化については,ちゃんと改めるべきではなかったか。例えば,私がたまたま目にしたところで言えば,ジョンアバとRalph Townerの"Five Years Later"は,Touchstoneシリーズとして後にCDとしてリリースされたにもかかわらず,前回同様「廃盤/未CD化」と表現されているのはどういうことか。せっかく改訂版を謳うならば,ちゃんと前回の記述も一度見直すべきだったというのが本来の「改訂」であろう。その辺りに私は画竜点睛を欠くと言いたくなってしまうのだ。ライター自身に依頼できないのであれば,編著者としての稲岡邦彌が責任を持って加筆なり,修正なり,コメントを加えるなりをするというのが筋だろう。

もちろん,ECMレーベルのファンはこの本を眺めながら,次に何を購入すべきかと考える楽しみを与えてくれるものであることは間違いないのだが,私はこれでは本質的な「改訂」と言えないという思いが強い。ついでにこの本にもう一つ文句を言っておくと,帯には「今世紀最後の完全カタログ」とあるが,なぜ「今世紀最後」と言えるのか?まだ21世紀は80年以上あるし,ECMの歴史はこれからも脈々と続いていくはずだが,もう改訂は絶対しないということであれば,それはそれでよかろう。だが,日本にせよ,ほかの国にせよ同様の書籍が発売される可能性が残っている中での,この「今世紀最後の完全カタログ」という過剰な表現には,強烈な違和感をおぼえると言っておこう。

この労作をまとめ上げた稲岡邦彌からすれば,私の言い分などイチャモンと思われても仕方がないところではあるが,こういうところを看過したのは,正直言って出版社の担当者の責任が大きい。そうした点で評価を下げて,初版より半星減らして星★★★。なんかやっぱり納得いかないんだよなぁ。

2019年11月13日 (水)

Joni Mitchellの幻の書籍の再リリース版,ついに到着。実に素晴らしい!

Morning-glory-on-the-vine-cover

”Morning Glory on the Vine: Early Songs and Drawings" Joni Mitchell

かねてから告知されていた,Joni Mitchellがかつて友人にギフトとして100部限定で制作した書籍がようやくデリバリーされた。1971年に手書きの歌詞に,彼女の絵画を添えたこの本の現物は,まず世の中に出ることはないだろうが,Joni Mitchellの生誕75周年を記念して,こうして誰にでも手に入るようになったのは実に喜ばしい。

私はJoni Mitchellの絵画展のカタログや,Norman Seeffが撮った彼女の写真集,彼女の全曲楽譜集も保有しているが,私にとってはかけがえのない書籍がもう1冊加わったというところである。彼女の書く絵画のヴィヴィッドな色遣いを見ているだけで,本当にく~っとなってしまった私である。これぞちょっと気は早いが,私にとっては今年最高のホリデイ・ギフトと言ってよい。

どうせなら彼女のサイン入りの本を買えばよかったかなぁなんて思っているが,さすがにそこまでは手が出なかった。しかし,そのうちやっぱり欲しくなるかもなぁ...。いずれにしても,Joni Mitchellファンは必携の書籍である。素晴らしい。星★★★★★以外ありえない。

Morning-glory-on-the-vine-2

2019年9月 7日 (土)

百舌シリーズ完結か~。それにしても長く続いたシリーズであった。

Photo_20190906233701 「百舌落とし」 逢坂剛(集英社)

1986年に「百舌の叫ぶ夜」が出版されて以来,30有余年。ほぼ私の社会人生活とも同期が取られる長きに渡って出版されてきた「百舌」シリーズの完結編である。思えば,私は逢坂剛の本は,「カディスの赤い星」を皮切りに,この百舌シリーズのみならず,イベリア・シリーズ,禿鷹シリーズ,岡坂神策シリーズ等,結構な数を読んできた。まぁ,結局のところ,逢坂剛のストーリーテリングのファンだったと言ってよいだろう。そうした中で,この「百舌」シリーズもテレビ・ドラマ化されたり,映画化されたりしたが,映画は機内エンタテインメントで見て,酷評した私だが,書物の方は,いいものもそうでもないものもありながら,ずっと読ませ続けてくれる作品だったと思う。

その「百舌」シリーズの完結編であるが,先日ここにアップした「ノースライト」に比べると,あっという間に読み終えてしまったのには結構驚いてしまった。ページをめくらせる力はまだまだ健在と思わせるが,ストーリーにはちょっと無理がある気もした。シリーズ完結というからには,まぁこういう結末かなぁと思っていた通りの展開ではあったが,非常に面白く読むことができたのは,やっぱり好きだからだろうなぁ。

長年のシリーズにおいて,登場人物の造形が変わることはないので,今回もお馴染みのキャラクターが,お馴染みの感じで登場して,ストーリーが展開されるが,前作との間隔が長くなり過ぎたり,シリーズ前半のストーリーの記憶が薄れているため,なんでそうなるの?みたいな部分がない訳でもない。しかし,そうは言っても,映画的な感覚を持っていて,読んでいて面白いシリーズだったなぁと改めて思った次第。まぁ,今回の作品は完結を記念して甘いと思いつつ星★★★★としてしまおう。いやいや,それにしてもお疲れさまでした。

より以前の記事一覧

Amazon検索ツール