東野圭吾の「架空犯」読了。
正直言って昨今の東野圭吾は濫作だ。次から次へと新作が出るが,私としては結構東野圭吾の本は読んでいても,全部読むなんてことはやってられないので,当然取捨選択をすることになるが,本作は結構面白いと思えた「白鳥とコウモリ」のシリーズ作なので読むことにした。
犯罪の発生と,それに続く地道な捜査を描くシークエンスは悪くないと思う。相変わらずページをめくらせるのは上手い東野圭吾だと思わせるのだが,最終局面に向かうプロットには少々無理があるように思えるのは残念だ。詳しくはネタバレになるので書かないが,さすがにそれはないだろうというストーリーには,それまでの本書への好意的な感覚を失わせかねないものだ。一言で言えば「なんじゃ,そりゃ?」なのだ。
「白鳥とコウモリ」について書いた記事にも私は「結末に向けてはやや性急感,悪く言えば取ってつけた感があったように思えるのも事実である。」なんて書いているが,それに近い感覚を本作にも覚えたということは言っておかねばならないだろう。面白く読ませてもらったことは事実だが,結末への展開には疑問もあり,星★★★☆。世の中そんなにうまく行かんだろうと思っていたというのが正直なところ。
それにしても,昨今のAmazonのレビュワーのネタバレのさせ方には問題があるように思える。本作についても,ストーリーの根幹に触れるようなレビューが掲載されているのはさすがにまずいと思える。ネタバレがある場合,米国の映画サイト,IMDbのレビュー欄には"Spoler Alert"という表示が出てくるし,国内の映画サイトにも「ネタバレ」表示がされるが,Amazonはネタバレを含むレビューに関してあまりに無頓着に過ぎる。平気でネタバレを書く方も書く方だと思うが,少なくとも映画や書籍のレビューに関するAmazonの姿勢は批判されて然るべきものと思う。
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