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カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2025年12月30日 (火)

年末年始休みにクロゼットに埋もれた本を読む。

Photo_20251224181801 「鍵の掛かった男」有栖川有栖(幻冬舎文庫)

買ったきり,クロゼットの肥やしと化している本なんていくらでもあるのだが,今回の休みは特にやることもないので,こうした本を救出(笑)するかってことで取り出したのがこの本。

お馴染み火村英生と有栖川有栖(アリス)のコンビが活躍するシリーズなのだが,この本が結構長い。あとがきまで含めると700ページ越えという長編であったが,そこは有栖川有栖,ちゃんと読ませる。これは本格推理というより,地道な情報収集から大団円を迎えるというものなので,いつもの火村シリーズとはちょっと趣を異にし,一種,警察小説的と言ってもいいかもしれない。そして本来の主役たる火村英生が活躍を始めるのは中盤過ぎで,それまではアリスの足を使った情報収集が中心に描かれる。

大阪の中之島が舞台ということもあり,中之島ってそんな感じだったかなぁなんて思いながら読んでいたが,私が関西在住していた頃とは中之島も大きく変貌したことは承知していても,何とも懐かしい地名が出てくると思いながら読み進めたのであった。

ストーリーを語るのは野暮なので控えるが,まぁ少々この筋運びには少々無理があると思わせる部分がない訳ではない。それでもちゃんと読ませるところは有栖川有栖の実力発揮ってところだろう。そして最後は泣かせてくれるしねぇ。

ということで,休みをゆったり過ごすには丁度よい読み物だったと思う。星★★★★。さて,次は何を救出するかねぇ。と言いつつ,新しい本も買っているので,まずはそっちから片付けるべきだろうなぁ。

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2025年12月16日 (火)

「このミス」とかのランキングは信用していないが,これはなかなかの出来と思えた「失われた貌」。

Photo_20251213111901 「失われた貌」櫻田智也(新潮社)

私は以前は「このミステリーがすごい!」とかのランキングにつられて本を買っていたこともあるが,どうも自分の趣味とは全く合わないと思わされる経験が続いて,もはやこの手のランキングは信用しないことにしていたのだが,先日本屋に立ち寄ったついでに別の小説とこの本を入手してきたもの。単なる気まぐれである(笑)。それを出張の道すがら+αで読了した。

「このミス」とかで評価されている本のどこが私の趣味に合わなかったかと言えば,無理などんでん返しを仕掛けるギミックみたいなところがあって,「それだけ?」と思わされるようなものをつかまされたと感じたからだが,今年高く評価されているこの本は,いろいろ伏線は張っているものの,純粋な警察小説としても読めるところがよかったと思う。

ストーリーとしてはなかなかよく出来ているとは思えるし,相応に読みごたえもあったが,伏線回収に腐心した感じもある。だが,つまらないギミックを弄した訳ではないので,この本は私としてはまだ真っ当と感じた。脇役で出てくるバーのマスターがいい味を出していると思えるのもよかった。星★★★★。

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2025年11月17日 (月)

出張中に見た映画と読んでいた本の話。

Movies-2025_11

今回の出張のように長いフライトだと,ついつい映画を見てしまう私だが,往路は到着後あまり時間を置かずに仕事があるということで,控えめに成田~アブダビ間で2本,復路は時差ボケのピークということもあり,あまり見るつもりはなかったのだが,結局ワルシャワ~アブダビ間で2本,アブダビ~成田間で2本の都合4本,往復で6本だから,以前出張が多かった時とあまり変わらなかったというのが実態(笑)。今回見たのが次の6本。「パピヨン」,「スーパーマン」,「バレリーナ」,「サンダーボルツ*」,「裸の銃(ガン)を持つ男 」,「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」。

それぞれに感想はあるが,「パピヨン」は後にリメイクもされているが,73年に製作されたこの映画を見たのは初めてであった。当時,Steve McQueenとDustin Hoffmanの共演が大きな話題になった記憶があるが,正直言ってしまえば,なぜこの映画を評価する人が多いのか全く理解できない,私にとっては冗長な映画であった。6本の中での最低作は「裸の銃(ガン)を持つ男 」。彼我の笑いのセンスの違いもあるとしてもギャグはすべっているし,あまりのくだらなさに辟易としていた。途中でやめるというオプションもあったが,そのうち改善するのではないかと期待した私がバカだった(爆)。Liam Neesonには出る映画はもう少し選べよと言いたくなるような駄作で時間潰しにもならんと思えた。

一方で意外に面白いと思えたのが「サンダーボルツ*」。私はMarvelの映画に思い入れはないが,エンタテインメントとしてどうかという観点で,私が想定したよりは面白かったってところだ。まぁ話に無理はあるのだが,最後はやり過ぎ感があった「アベンジャーズ」シリーズよりはいいんじゃないかと思えた。そのほかの3本は私がどうこう言うまでもないだろうが,「バレリーナ」は劇中でいったい何人死んでいるんだと数えたくなると思ってしまった(苦笑)。

Photo_20251116073401

因みに往路ではもう少し映画を見ていてもよさそうだが,ワルシャワ~アブダビ間は到着後の仕事に備え,休息に重きを置いていたこともあり,映画を見る代わりに読んでいた本が川本三郎の「サスペンス映画 ここにあり」(平凡社)であった。私が昨今Amazon Primeで見る往時の白黒映画をチョイスする際に参考にしているのが川本三郎と逢坂剛の対談本「さらば愛しきサスペンス映画」なのだが,「サスペンス映画 ここにあり」はサスペンス映画55本についての更に細かい論評ということで,450ページを越える大冊ながら,結構なページ数を読み進めてしまった。この本,2015年発行にもかかわらず,もはや入手が難しく,私はネットでプレミア付きの値段で購入したものだが,入手の甲斐もあったってものだ。しかし探すところを探せば定価で買えた...。いずれにしても今後の白黒映画鑑賞の手引きになること必定(笑)。

ということで,明日からはまた音楽関係の記事に移行することにしよう。

2025年7月 2日 (水)

あっという間に読了した「国宝」原作。

__20250630150601 「国宝」吉田修一(朝日出版社)

映画「国宝」の出来が素晴らしかったので,原作はどうだったかということで,多分買ったまま読んでいなかったと思ったこの原作だが,探索しても見つからない。ってことは買っていなかったのか,あるいはまだどこかに埋もれているのかもわからなかったので,文庫版を購入することにして,読み始めたらあっという間に読み終えてしまった。原作も大変よく出来ていたと今更ながら思わされる。

よくよくこの原作と映画を比較すると,映画版にはかなりの脚色が入っていることがわかる。映画の方がやはり劇的な要素を加味していて,特に吉沢亮演じる三代目が一旦ドサ回りをするシークェンスは原作にはない。映画を観た時に書いた「転落と復活」という筋書きは映画のために準備されたものであって,原作では一旦新派に転じるという設定だし,娘との関係性も全く異なる。確かに登場する女性たちの小説での存在感は映画よりは強いものではあるし,原作ではより重要な役割を果たす徳治,辻村,弁天等のキャラクターも描かれていない部分もある。

だからと言って映画のシナリオが出来が悪いかと言えばそんなことはなく,原作の持つエッセンスや挿話は上手く使いながら,端折るところは端折って歌舞伎へのフォーカス度を強めて,よくあのシナリオに仕立てたものだと思える。シナリオを書いた奥寺佐渡子にとってはストーリーの取捨選択は大変だったろうが,映画は別物として見ても楽しめるし,この原作も映画とは別物として読んでも楽しめてしまうところが素晴らしい。

映画が星★★★★★なら,この原作も星★★★★★だと言いたくなるし,原作を読んだら,もう一回映画を見に行きたくなってしまうこと必定。映画もヒットしているようだが,それも頷ける話である。

 

2025年2月11日 (火)

ECM New Seriesの"A Compendium"がデリバリーされた。

A-compendium"A Compendium" (ECM New Series)

ECM New Seriesからリリースされたアルバムを紹介する,その名も「概要」と題された本がデリバリーされた。まさにECM New Seriesのアルバム群を概観するには最適な書籍と言ってもよい。本の体裁としてはデザイン系に重きを置いたと思われる"Sleeves of Desire"や"Windfall Light"に近いのだが,よりカタログ的な色彩が強い。

前半は作曲家別,後半はプレイヤー別にアルバム群が整理されているが,アルファベット順で並んでいる訳ではないので,この並びにはManfred Eicherの思い入れが働いているのかもしれない。まぁ,作曲家のトップがArvo Pärtなのは,ECM New Seriesの始まりがArvo Pärtの"Tabula Rasa"だったから,理解はできるのだが,ちょいとわかりにくいと言えばわかりにくい。まぁ巻末にインデックスが付いているからよしとしよう。

しかし,単なるカタログにしてはデザインにしろ,紙質にしろにECMらしいこだわりが出ていると言うべきか。一種の美術書としての楽しみ方もあるかもしれないなと思わせるのがECMのECMたる所以。

ECM関係の書籍としては"ECM - A Cultural Archaeology"や"Horizons Touched - The Music of ECM"も保有している私だが,単なる蔵書化しており,デザイン系の書籍はさておき,これらをいつ読むんだ?って思ってしまった(爆)。それにしてもどれもこれも随分値段が上がっているなぁ。状態良好で保存せねば(笑)。

2024年12月20日 (金)

東野圭吾の「架空犯」読了。

Photo_20241219092301 「架空犯」東野圭吾(幻冬舎)

正直言って昨今の東野圭吾は濫作だ。次から次へと新作が出るが,私としては結構東野圭吾の本は読んでいても,全部読むなんてことはやってられないので,当然取捨選択をすることになるが,本作は結構面白いと思えた「白鳥とコウモリ」のシリーズ作なので読むことにした。

犯罪の発生と,それに続く地道な捜査を描くシークエンスは悪くないと思う。相変わらずページをめくらせるのは上手い東野圭吾だと思わせるのだが,最終局面に向かうプロットには少々無理があるように思えるのは残念だ。詳しくはネタバレになるので書かないが,さすがにそれはないだろうというストーリーには,それまでの本書への好意的な感覚を失わせかねないものだ。一言で言えば「なんじゃ,そりゃ?」なのだ。

「白鳥とコウモリ」について書いた記事にも私は「結末に向けてはやや性急感,悪く言えば取ってつけた感があったように思えるのも事実である。」なんて書いているが,それに近い感覚を本作にも覚えたということは言っておかねばならないだろう。面白く読ませてもらったことは事実だが,結末への展開には疑問もあり,星★★★☆。世の中そんなにうまく行かんだろうと思っていたというのが正直なところ。

それにしても,昨今のAmazonのレビュワーのネタバレのさせ方には問題があるように思える。本作についても,ストーリーの根幹に触れるようなレビューが掲載されているのはさすがにまずいと思える。ネタバレがある場合,米国の映画サイト,IMDbのレビュー欄には"Spoler Alert"という表示が出てくるし,国内の映画サイトにも「ネタバレ」表示がされるが,Amazonはネタバレを含むレビューに関してあまりに無頓着に過ぎる。平気でネタバレを書く方も書く方だと思うが,少なくとも映画や書籍のレビューに関するAmazonの姿勢は批判されて然るべきものと思う。

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2024年11月 7日 (木)

久しぶりに本の話。有栖川有栖の「日本扇の謎」をようやく読了。

Photo_20241103142301 「日本扇の謎」有栖川有栖(講談社)

有栖川有栖の職業作家生活も30周年を迎え,エラリー・クイーンの国名シリーズに倣ったシリーズも同じく30周年となったのを記念して(?),その第11作に選ばれたのが日本である。私は有栖川有栖の国名シリーズはほとんど未読だと思うが,このブログで本作と同じ火村英生シリーズの「捜査線上の夕映え」を取り上げて以来の登場である。

とにかく最近は老眼がきつくなったこともあり,読書に取り組む時間がめっきり減ってしまっているが,たまに思い出したように書籍に関する記事も書いているって感じだ。しかし,読了するのに時間がかかり過ぎなのは何とも情けない限りだ。まぁ本作は二段組だけにページ数に比して時間が仕方ないのだが...。

ストーリーの構成はなかなかよく出来ていると思うが,さすがにそれは...って感じの設定が含まれていると言えなくもない。ちゃんとタイトル通り「扇」は重要な要素として使われているので,そこには文句はない。しかし,一気にストーリーが展開しだすまでにはかなりのページ数を要するところには,少々回りくどさを感じたのも事実であった。そのため,私は中盤までの読書のスピードと後半のスピードには大きな違いがあった。

まぁそれでも安定の火村英生シリーズなので,エンタテインメントとしてはちゃんと読ませると思う。多少甘いかなと思いつつ星★★★★としよう。結局,何だかんだ言いながら火村英生のシリーズが結構好きということだな(笑)。

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2024年4月20日 (土)

レココレの「フュージョン・ベスト100」に思う。

Photo_20240419090601

レコード・コレクターズ誌の2024年5月号に「フュージョン・ベスト100 洋楽編」と題してランキングが掲載されている。執筆陣20名が69年から89年という時間軸においてランダムに選択した30枚をベースにランキングが設定されているので,この100枚というのが本当に「ベスト」なのかというと実は疑問を感じてしまう部分がある。例えばShakatakの"Night Birds"が9位ってのは私からすればありえない評価だ。別にShakatakが悪いという訳ではなく,これがトップ10に位置づけられるアルバムか?ということなのだ。Herbie Hancockも"Mr. Hands"が入っていて,"Flood"じゃないってどういうこと?ってのもある。レココレらしいと言えばレココレと思ってしまうのが,Azymuthが4枚も選ばれていることや,Egberto Gismontiも入っていることか。私はEgberto Gismontiは一度たりともフュージョンだと思ったことはないからこの辺りにも違和感がある。このランキングを参考にアルバムを購入する人もいるだろうから,フュージョンと言い切るのはどうかなと思うチョイスも含まれているのは事実だ。

だったら,自分だったら何を選ぶか考えてみればいいじゃないかということで,試しに私も30枚を選んでみた。69年から89年という縛りさえなければ,絶対入れたいJukkis Uotila Bandのライブ(90年なのだ...)等が入れられないのは残念だが, 私だったらこんな感じかなぁってところで選んでみた。基本,1ミュージシャン1アルバムとしたが,複数選んでいいのなら入れたであろうアルバムが抜けているのは少々残念なので,これも捨てがたいってのも追記しておく。正直1位から30位までランク付けするのは難しいので,かなり適当って気もするが,思い入れも含めてのものと思ってもらえばいいだろう。まぁかなり当たり前のチョイスになってしまった気もするが,ご参考ってことで。Jeff BeckとBrand Xはもっと上でもいいのだが,「フュージョン」ということを考えてちょっと遠慮がちにトップ10から意図的に外した。あれがないぞっ!,こんなのおかしいだろうっ!という声も聞こえてきそうだが,まぁリスナーとしての私の趣味の反映と思って頂ければ。

  1. Miles Davis: Bitches Brew (or Jack Johnson)
  2. Pat Metheny Group: Travels (or Still Life(Talking))
  3. Herbie Hancock: Flood (or Thrust)
  4. David Sanborn: Straight to the Heart
  5. Chick Corea: Return to Forever (or Friends)
  6. Dave Grusin: One of a Kind (or Mountain Dance)
  7. Arista All Stars: Blue Montreux
  8. Bob James & David Sanborn: Double Vision
  9. Weather Report: Black Market (or Heavy Weather)
  10. Jaco Pastorius: Word of Mouth (or Jaco Pastorius)
  11. Jeff Beck: Blow by Blow (or Wired)
  12. Brand X: Livestock (or Unauthodox Behavior)
  13. Mike Stern: Upside Downside
  14. John Scofield: Blue Matter (or Still Warm)
  15. Al Di Meola: Elegant Gypsy
  16. Lee Ritenour: Gentle Thoughts
  17. Brecker Brothers: Heavy Metal Be Bop
  18. Quincy Jones: Sounds...and Stuff Like That! (or The Dude)
  19. Stuff: Stuff (or More Stuff)
  20. John McLaughlin: Inner Mounting Flame (or Birds of Fire)
  21. Larry Carlton: Larry Carlton
  22. Joe Sample: Rainbow Seeker
  23. George Benson: Weekend in L.A. (or Breezin')
  24. Billy Cobham: Spectrum
  25. Crusaders: Scratch
  26. Pat Martino: Joyous Lake
  27. Steve Khan: Eyewitness (or Modern Times)
  28. Grover Washington Jr.: Mr. Magic (or Winelight)
  29. Yellowjackets: Four Corners
  30. Deodato: Prelude (or Deodato 2)

2024年4月 6日 (土)

「デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界」:さすがにこれはやり過ぎではないか...。

Dsm「デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界」村上春樹(文藝春秋)

David Stone Martinと言っても,普通の人々にとっては誰それ?にしかならないだろうが,ClefやNorgran,Verveといったジャズ・レーベルのアルバム・デザインを担ったデザイナーである。これらのレーベルでのDavid Stone Martinの活動は1950年代が中心と随分昔のことになるので,もはやクラシックな世界と言ってもよい。このDavid Stone Martinのデザインのファンは結構多いが,村上春樹もその一人ということで,この書籍に至ったということになろう。これは私がECMのスリーブ・デザインに惹かれるのと同じようなものなので,デザインの観点から語るという行為自体には特に異論はない。

だが,音楽関係の書籍として見ると,取り上げられているミュージシャンが,Charlie ParkerやStan Getzを除けば,必ずしも私の嗜好にフィットした人たちばかりではないし,音楽についての記述も決して細かいものではないところには不満が残る。そもそもデザインが音楽のクォリティと比例しないことは村上春樹の記述からも明らかなところに,この書籍の無理矢理感を覚えるのだ。結局私にとってはどっちつかずな感じがしてしまうし,「ふぅ~ん」ぐらいの反応しか示せなかったというのが実感。星★★★。

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2024年1月 3日 (水)

年末年始に読んだ姫川玲子シリーズ最新作。新たなキャラ登場でシリーズも安泰?(笑)但し私としては文句ありだが。

Photo_20231231164301 「マリスアングル」誉田哲也(光文社)

なんだかんだと言って姫川玲子シリーズを読んでいる私である。昨年暮れに久々のこの長編新作が出て,読み始めてはいたものの,ちょっと時間が経ってしまったので,改めて年末年始で音楽を聴きながら読んだのであった。

ストーリーとしてはなるほどと思わせる部分もあるが,今回の作品におけるポイントは,新たなるキャラクターとして登場する魚住久江巡査部長だろう。明らかに姫川玲子と異なる造形で,今後,この二人の対比でストーリーを創造できそうだと思ってしまう。そうした部分も含めて今回も小説として面白く読めたのは否定しない。

だが,私が気になったのは誉田哲也の明らかな右翼的な言説であった。私がリベラルだからということもあるだろうが,あまりにも露骨なある意味「ネトウヨ」もどきとでも言いたくなるシチュエーション設定や思想的な表現は,姫川玲子シリーズがいくら好きでも,さすがに行き過ぎだと感じさせる部分があった。エンタテインメントにこうしたイデオロギー的なところが入り込んできてもろくなことはないと言っておこう。

誉田哲也がどのような思想に与しようと彼の勝手だし,私はどうこう言う資格はないが,エンタテイメント小説というメディアを使って,自分の考える方向に読者を誘導しようとするのには同調できない。それこそこの小説のタイトルの言うところの「悪意に満ちたアングル」を自分でやっているということではないのか。はっきり言って,ストーリーテリングはよりニュートラルな視点で創作してこそ,私は価値が高まると思う。ストーリーには大して文句はないが,そうした批判も含めて星★★★。

姫川玲子シリーズのストーリーが次も同じように展開されるのだったら,その次はない(きっぱり)。

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