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カテゴリー「ジャズ(2023年の記事)」の記事

2023年12月30日 (土)

2023年の回顧:音楽編(その2:ジャズ)

2023-cds_3

今年の音楽を回顧する2回目はジャズ編である。振り返ってみれば,今年のジャズの新譜はやや小粒な感じがして,決定的な1枚というのを選ぶのが難しい気がする。そんな中で印象に残っているのが上掲のアルバム。

ライブの場においても,現代最強のサックス奏者であることを実証したChris Potterであるが,さまざまなフォーマットでの演奏をする中で,今回のクァルテットでのライブ音源"Got the Keys to the Kingdom"は,テナー一本で通しているところが実に素晴らしいと思った。本作に留まらずJohn Patitucciとの"Live in Italy"もよかったので,来年リリースされるBrad Mehldauらを迎えた新作を首を長くして待ちたい。

Ralph Townerの"At First Light"は,リスナーが求めるRalph Townerの音が詰まった演奏で,もはやOne & Onlyの世界と言ってよい。来年には84歳となるRalph Townerであるが,このアルバムを聞く限りは衰えたと感じさせるところは皆無。まだまだ元気に演奏を続けて欲しい。

Brian Blade Fellowship Bandの"Kings Highway"も,まさに彼ららしい演奏で,期待を全く裏切らない出来であった。ほぼ固定メンツで演奏を続ける強みのようなものを感じさせるに十分。

BlankFor.msの"Refract"は果たしてジャズのカテゴリーに入れていいのか悩むところだが,アンビエント的な響きでは同じように感じる"Life in Exile"を昨日選んでいて,若干の違いを出すためにこちらに挙げることにした。これはJason Moranの貢献度も高く,フリーとアンビエントの融合のような実にユニークな音楽であることを評価したい。

ということで,通常ならば,ここにBrad Mehldauのアルバムが入ってきそうなものだが,"Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays the Beatles"は既にブートレッグで演奏を聞いていたこともあったし,それよりも何よりも紀尾井ホールでのライブの印象が強く,アルバムとして選ぶことを躊躇したことは書いておかねばなるまい。

Evenings-at-the-village-gate_20231228110501 昨日も特別賞なるかたちでBob Dylanを挙げたので,こちらではJohn Coltraneの"Evenings at the Village Gate"を挙げておこう。決して音はよくないが,流れ出る音楽には興奮させられた。まさに鮮烈とはこのことだろう。

ということで,こうして記事にしてみると,それぞれのアルバムによさはあるものの,ジャズ以外で選んだMeshell Ndegeocello盤のように決定的な思いを抱かせるものはなかったかなぁって気がする。来年やいかにと思いつつ,今年の回顧としたい。

2023年12月26日 (火)

Chico Freemanの"Kings of Mali"のアナログをゲットした。

King-of-mali "Kings of Mali" Chico Freeman (India Navigation)

私は70年代後半から80年代前半のChico Freemanのアルバムを結構高く評価している。特にIndia Navigationレーベルに残した作品はどれも優れていると思っているが,India Navigation盤はCDで購入する中,残っていたのがこのアルバムである。本作はCD化されていない模様で,アナログ盤でしか入手の手立てがないのだが,ネットで探していてもなかなかいい状態のものに出会うことはない中,某ショップで状態の良い中古が出品されたという情報が入り,財布には痛かったが入手したものが到着した。私にとっては,自費で購入したホリデイ・ギフトのようなものだ(苦笑)。

メンツによるところもあると思うが,まさにChico Freemanらしい,フリーっぽさも持ちながら,基本的に伝統の中に留まりつつ,スピリチュアルな感覚も響かせていて,嬉しくなってしまったのであった。それはInida Navigationというレーベルのカラーともフィットしたものというところであるが,やはりこの時期のChico Freemanは光っていたと思わせるに十分なアルバムであった。この手のサウンド好きにはたまらないし,入手できただけの嬉しさも含めて星★★★★★(笑)。だからと言って,万人にお勧めするものでもないというのも事実なので,念のため。

Kings-of-mali-back-cover_20231225095401 それにしても,私が入手した中古盤はシュリンク・ラップされた状態のものなのだが,なぜか裏ジャケ本体(シュリンクにではない)にChico FreemanとCecil McBeeらしきサインが入っている。これをどう解釈すればいいのかわからないが,付加価値ということにしておこう。このシュリンクをはがしてしまうと,「書き込みあり」となる訳だが,シュリンクされた状態なら,元からそうなっていたということで,買い叩かれることもない。しかし,右下には"2300 RSI ph"(?)という謎の書き込みもあり,これは一体何なのかという謎は深まるが,まぁいいや。

Personnel: Chico Freeman(ts, ss, fl, a-fl, african bailophone), Jay Hogaard(vib, african bailophone), Anthony Davis(p), Cecil McBee(b), Famoudou Don Moye(ds, perc, african bailophone, gong, whistle)

2023年12月23日 (土)

久々にMosaic SelectのLiebman~Beirach音源からQuestを聞く。

Mosaic-select-liebman-beirach_20231220134801 "Mosaic Select 12: David Liebman and Richie Beirach"(Mosaic)

このボックスを取り出すのも久しぶりだ。最近はリリースのペースもスロー・ダウンしているMosaicレーベルであるが,以前はかなりの数のアルバム群をリリースしていた。その中のSelectシリーズは明確な編集ポリシーを持ちつつ,比較的地味なミュージシャンのアルバムもリリースしていた。私が保有しているのはこのボックスと,"Pendulum"ボックスのみであるが,どっちもDave LiebmanとRichie Beirach関係ということになる。

このボックスがリリースされたのももはや20年近く前のことになるが,3枚のCDにLookout Farm,二人のデュオ,そしてQuestの音源を収めるというナイスなボックスなのだ。今日はそのうち,Disc 3のQuestを取り上げよう。全5曲のうち,前半2曲が88年ドイツ,後半3曲が91年東京での録音となっている。

メンツは長年固定されたお馴染みのクァルテットだが,相変わらずテンションが高い。後半3曲がレコーディングされた91年の東京と言えば,バブルも末期だったはずだが,そこでの聴衆にこの演奏がどのように受け入れられたかは実に興味深い。その頃,私はNYC在住中で,同じような時期に彼らを見たのはNYCのVisionesのことであったが,その時を思い出させるものがある音源だ。私は経済的には決して楽な状態ではなく(そのせいで自炊が増え,料理が苦にならなくなったが...),バブルに浮かれていた訳ではないから日本の聴衆の反応が興味深いのだ。

いずれにしても,このテンションの高さは,かなりのハイブラウさで迫ってくるから,ヴェニューがどこだったかはわからないが,Pit Innならさておき,こじゃれたクラブでの開催だったとしたら,間違いなくデートには不向きだったはずだ(爆)。

詳しく比較した訳ではないが,おそらくここに収められた音源は,後に"Quest Live 1988 + 1991"にトータル5時間近いダウンロード音源としてリリースされたものの一部と同じと思われる。それにより希少性は下がったかもしれないが,こういうものが媒体として出ていたということは改めて素晴らしいことだったと思わざるをえない。

Personnel: Dave Liebman(ss), Richie Beirach(p), Ron McClure(b), Billy Hart(ds)

2023年12月19日 (火)

ネットを徘徊していて見つけたNiels Lan Dokyほかによる"Modern Standards"。

Modern-standards "Modern Standards" Bill Evans / Niels Lan Doky / Darryl Jones / Harvey Mason

ネットを見ていたら,興味深いメンツによるアルバムを発見したので,早速ストリーミングで聞いてみた。"Modern Standards"というのはロック/ポップス畑の曲をアダプテーションするというのが主で,そこにメンバーのオリジナルが加わるというもの。まぁ企画としてはHerbie Hancockがかつてやった"New Standard"と同様ってことになる。そんな企画ならスルーしてもよいのだが,ベースがDarryl Jonesってことで,コンテンポラリー度が高まりそうだという期待もあった。

2022年に欧州で行われたこのツアーの仕掛人はNiels Lan Dokyのようだが,ドラムスにHarvey Masonを選んだのはやや意外な気もする。Harvey Masonは何でも叩ける人なので,演奏は心配ないが,このメンツならもう少しパワフルなドラマーを選ぶというオプションもあったはずだ。そうは言ってもHarvey Masonは無難に叩いているが。

ここで選ばれている"Modern Standards"はNirvana,Seal,Soundgarden,Patti Smithに加えて,Miles Davisの"Jean Pierre"である。正直言ってしまえば,Patti Smithの"Dancing Barefoot"を除けば,ジャズ界でも取り上げられてきた曲がほとんどで,Nirvanaの"Smells Like Teen Spirit"とSoundgardenの"Black Hole Sun"はBrad Mehldauもカヴァーしている。だからそこに彼らなりにどういう新味を出すかがこのアルバムのポイントだろう。

出だしのBill Evansオリジナルの"Dixie Hop"はなかなかいいねぇと思わせるし,実力者の集まりなので,演奏自体に破綻はないが,"Modern Standards"と呼ぶ曲の演奏が想定内というところは少々残念。Niels Lan Dokyがエレピを弾く瞬間が私には魅力的に響いたが,Darryl Jonesがスラッピングをしないというのも何だかなぁという気がする。最後の"Jean Pierre"も全然いけていないしねぇ...。私はこのメンツならもう少し激しいグルーブで演奏できるはずだと思うが,おとなしめに感じるのは彼らも相応に歳を取ったということか。ロックをカヴァーするならそれなりのやり方があってもよかったと思う。ライブの場なら別の感慨もあろうし,演奏そのものは別に悪いとは思わないが,星★★★が精一杯ってところ。

尚,本作はアナログ2枚組はリリースされているが,CDでの発売はないようだ。まぁ,ストリーミングで十分だが。

Recorded Liive at the Leverkusener Jazztage in Germany on November 11, 2022

Personnel: Niels Lan Doky(p, el-p), Bill Evans(ts, ss), Darryl Jones(b), Harvey Mason(ds)

アルバムのダウンロード・リンクはこちら

2023年12月17日 (日)

Tony Williamsの「白鳥の歌」とでも言うべき"Young at Heart"。

_20231214_0002 "Young at Heart" Tony Williams (Sony)

早いもので,Tony Williamsがこの世を去ってから既に四半世紀以上の時が経過している。51歳での死はあまりにも早く,生き急いだ感があるようにも思えるが,ティーンエイジャーの時にMiles Davis Quintetでシーンに登場し,まさに神童と言うべき才能を最初から示していた。一時はLifetimeでロック・テイストの演奏もしながら,晩年は自身のクインテットで優れたアルバムを連発していたのも懐かしい。

そんなTony Williamsの最後のリーダー・アルバムがこれで,自身の名義では最初にして最後のピアノ・トリオ・アルバムである。Tony Williamsのピアノ・トリオでの演奏と言えば,Great Jazz Trioもあれば,Herbie Hancockとのトリオもあるから,珍しいという訳ではないが,このアルバムのレコーディングから半年ぐらいで亡くなってしまうことを考えれば,実に感慨深いアルバムである。

このアルバムは当時のクインテットのリズム・セクションによるものだが,このアルバムを聞いていて思うのは,日頃のTony Williamsのような叩きっぷりではないということだ。Tony Williamsのドラムスはパワフルなもので,通常であれば,あぁ,Tony Williamsだと思わせるのだが,ここはミキシングのせいもあるかもしれないが,結構抑制的に叩いているように聞こえる。それが悪いというのではなく,このトリオ演奏には実にフィットしているように感じさせて,それこそ成熟というものを感じさせる演奏とは言えないか。顕著にTony Williamsっぽいなぁと思わせるのは"This Here"だと思えるが,それ以外は楚々としたバッキングを行っているように聞こえる。

だが,Tony Williamsがこの当時,病魔に冒されていたということではないようなので,これはそういうプロダクションなのだということになるだろうが,結果的にはこれが所謂"Swan Song"のようになってしまった。だが,こういうアルバムでキャリアを締めくくるというのは,ある意味出来過ぎという気がしないでもないとしても,このアルバムは実に味わい深いものだ。その一方で亡くなる直前にはBill LaswellやPharoah Sandersと"Arc of the Testimony"のようなアルバムもレコーディングしていたようだから,一体どっちが本音だったの?と言いたくなる。そっちはそっちで改めてストリーミングで聞こうと思うが,このアルバムから感じられる滋味は素晴らしいものだと思う。星★★★★☆。このアルバムが東京でレコーディングされたことを我々は喜ぶべきだ。

Recorded on September 24 & 25, 1996

Personnel: Tony Williams(ds), Mulgrew Miller(p), Ira Coleman(b)

本作へのリンクはこちら

2023年12月14日 (木)

2023年の回顧:ライブ編

今年はもうライブに行く予定がないので,ちょっと早いが今年の回顧をライブから始めたいと思う。今年は結局ジャズ,ロック,クラシック等でトータル23本のライブに参戦した。コロナウイルスの5類への移行により,海外ミュージシャンの来日も以前のようになってきて,私のライブ通いも増えてきたということだ。2022年は9本しか行っていないから,大幅増というか,従来のペースに戻ったというだけだが...。

そうした中で,今年最高のライブは何だったかと言えば,2月のBrad Mehldauの紀尾井ホールのピアノ・ソロだった。その後,ピアノ協奏曲も聞きに東京オペラシティにも行ったが,あれを失敗作だと思っている私ゆえ,このソロのポイントは無茶苦茶高いのだ。私がBrad Mehldauの追っかけということもあるが,現代最強のピアノの一人だということを見事に実証したライブであった。

ジャズ系で記憶に残るのはクリポタ入りのSF Jazz Collective。1st,2ndでレパートリーを完全に変えるプログラムには燃えに燃えさせてもらった。そしてつい先日観た挟間美帆のm_unitも想定以上によかった。そのほかではLars Jansson,Domi & JD Beckも記憶に残る。

クラシックは4本。そのうち3本がオーケストラでそれなりに楽しんだが,一番よかったのはCharles Dutoitが新日本フィルを振った「幻想交響曲」。私が「幻想」を偏愛していることもあるが,この演奏は生でオケを聞く至福を改めて感じさせてくれたと言ってよい。仕事の関係でFabio LuisiがN響を振る「幻想」を聞けなかったのは惜しかったが,Dutoitの演奏の満足度が高かったからそれでよしとしよう。

ロックはTedeschi Trucks Bandしか行っていないが,つまらないテナー・サックス・ソロに辟易とした以外はいいライブだったと思う。"Beck’s Bolero"で燃えなきゃ嘘だよな(笑)。

そのほかにもいろいろなライブに行ったが,特に不満を感じることもなく,生の音楽を楽しんだ私である。因みに番外編として,21年ぶりに来日したJewelのBlue Note東京でのライブ時の写真に私がばっちり写り込んでいるので,「しゃれ」でアップしておこう。私のことを知っている人には簡単に見つかっちゃうだろうなぁ(笑)。

Jewel-at-blue-note-tokyo

2023年12月13日 (水)

デンマークの叙情派ピアニスト,Søren Bebeの新作が本国より到着。

_20231211_0001"Here Now" Søren Bebe Trio (From Out Here Music)

ブログのお知り合いの世界でも昨今注目されているのがSøren Bebeである。いかにも北欧的な叙情的な響きを持つそのピアノは,この手の音を好む日本のリスナーには確実に受けるはずだと思う。

そもそも私がこの人を知ったのは今年になってからのことである。既にこのブログでも記事にしたが,Facebookでアルバム"Echoes"を送料だけで販売というのにつられて,購入したのがその"Echoes"と"Hope"の2枚であった(記事はこちら)。更にその後,それ以前にリリースされたアルバムも3枚入手しているから,私も相当はまってしまったということになるだろう。その新作がリリースされたということで,本国から飛ばしたものが到着した。

早速プレイバックしてみると,悪く言ってしまえば,どれを聞いても同じように聞こえるのだが,そう言っては身も蓋もない。だが,良い意味でもワンパターンには中毒性があることは,私が全然音楽のタイプは違うが,Mike Sternが好きなのと重なる部分がある。

そして,本作も若干毛色の違う曲も交えてはいるものの,美的で静謐で叙情的な響きはこれまでのアルバム同様である。例えば9曲目の"Summer"なんかはフォーク的な響きを持っていて,へぇ~と思わせる。それでも全編を通して聞けば,最近はあまり使わくなったフレーズであるが,「膝を抱えて聞きたくなる音楽」と言ってもよい。この響きに静かに身を任せていれば,世の中の大概の憂さは忘れることができるのではないかと思えてしまう。心の平安をもたらすヒーリング効果さえ期待できるピアノ・トリオ。今回はドラマーがノルウェイのKnut Finsrudを迎えているが,ドラマーが変わったことの影響は全くない。今回もこちらの期待には応える作品と思う。ちょっと甘いかもしれないが,星★★★★☆としよう。

Recorded on April 17 & 18,2023

Personnel: Søren Bebe(p), Kasper Tagel(b), Knut Finsrud(ds)

アルバムのダウンロード・リンクはこちら

2023年12月10日 (日)

コレクターはつらいよ(29):"Signs LIVE!"に未発表曲が入ってアナログでリリース。

Signs-live "Signs LIVE!" Peter Bernstein (Smoke Sessions)

およそ半年ぶりにこのシリーズである。今回取り上げる"Signs LIVE!"は既に2枚組CDとしてリリースされている(記事 はこちら)のだが,それの5枚組(!)アナログ・ボックス版が出るという情報をゲットした。5枚組?と思ったのだが,5枚組とあれば,未発表音源があるのではないかと思ったら,案の定あった,あった(笑)。Bandcampのサイトに2曲の未発表音源を含むという記載があるではないか。500セット限定ということもあり,速攻発注した私であった。

それが何かは明らかにはなっていなかったが,デリバリーされた5枚組の最後の面の2曲,"My Ideal"と"Dragonfly"がその未発表音源である。後者はCDにも入っていたが,こちらは別テイク。Brad Mehldauのコンプリートを目指す以上,たった2曲のためだけでも,高かろうが,なんだろうが入手せざるを得ないというのはマジでつらい。特に今回は値段がアルバムが$125,送料が$60ということで,財布には実に厳しいものだったが,これも仕方がないと諦めた私である。

因みにCD版のクレジットではレコーディングは2015年1月4日となっていたが,このアナログ・ヴァージョンでは1月3日,4日の両日となっているので,"Dragonfly"の別テイクは少なくとも1月3日の録音ということになる。それを考えれば,3日がレコーディングに向けてのリハーサル的な意味もあって,4日がレコーディング本番だったと考えるのが妥当だが,演奏のクォリティに差はない。

改めてアナログでこの時の演奏を楽しむことにしよう。

Recorded Live at Jazz at Lincoln Center on January 3 and 4, 2015

Personnel: Peter Bernstein(g), Brad Mehldau(p), Christian McBride(b), Gregory Hutchinson(ds)

2023年12月 9日 (土)

挟間美帆 m_unit@Blue Note東京参戦記。

Miho-hazama-at-blue-note

私はBlue Note東京のJam Session会員になっているのだが,この会員制度,先行予約ができるほか,ライブに7回行くと,2か月有効の招待券が発行されるというオマケがある。今回,1月初旬まで使える招待券をゲットして,さてどうするかと見たところ,あまり食指が動く演目がない中で,そう言えば挟間美帆って聞いたことないなぁということで,チョイスしたが本ライブであった。通常2ndを好む私には珍しく,諸事情あって1stの参戦となったが,実に素晴らしいライブであった。

そもそもm_unitというバンドが13ピースというラージ・アンサンブルということすらわかっていなかったという無知ぶりであったが,最新作"Beyond Orbit"をストリーミングで聞いてライブに臨んだ。13ピースだから当たり前だが,写真の通り,ステージ上は大混雑(笑)って感じである。私は弦楽クァルテット前のステージに向かって左側で聞いていたのだが,このバンドから生まれるコンテンポラリーな演奏を聞きながら,こんなことになっていたのか...と今更のように感じてしまったのであった。

高齢者ゆえの記憶力の減退により,自信はないが当日演奏したのは次のようなレパートリーだったはず。過去のアルバムからもチョイスしたもので,挟間美帆の仕事に触れるにはよい機会となったと思う。

  1. Abeam
  2. Journey to Journey
  3. Under the Same Moon
  4. Exoplanet Suite:Planet 9
  5. Time River
  6. EC: From Life Comes Beauty

演奏を聞いていて思ったのは,ストリングスの使い方がうまいということで,「伴奏」あるいは「添え物」としてでなく,見事なまでにバンドの一部として機能しているところに感心してしまった。こうしたところに挟間美帆の作編曲家としての才能を強く感じるとともに,彼女のステージ・マナーは非常に好感度が高く,そういう点でもファンは増えるだろうと思ってしまった。

挟間美帆も言っていた通り,バンドのドライブ感を高めるのにドラムスの伊吹文裕の貢献度は高かったと思えたが,これをNate Smithが叩いたら,どんなことになるかなぁなんて感じていた。いずれにしても,ほかのメンバーとの付き合いも長いようで,アンサンブルもしっかりしていたし,実にいいものを聞かせてもらった。そして,これまで挟間美帆の仕事を聞いてこなかった自分を恥じたのであった。

記事のアップ後,Blue NoteのWebにステージの模様の写真がアップされていたので貼り付けておこう。

Personnel: 挾間美帆(cond), 土井徳浩(as, ss), 庵原良司(ts, ss, cl), 竹村直哉(bs, b-cl), 真砂陽地(tp, fl-h), 上里友二(fr-h), マレー飛鳥(vln), 沖増菜摘(vln), 吉田篤貴(vla), 島津由美(cello), 香取良彦(vib), 佐藤浩一(p), 須川崇志(b), 伊吹文裕(ds)

Miho-hazama-at-blue-note-tokyo

2023年12月 8日 (金)

"Gittin' to Know Y'All":正調フリー・ジャズゆえになかなかハードル高し。

_20231206_0001 "Gittin' to Know Y'All" Various Artists (MPS)

バーデン・バーデンで開催されたフリー・ジャズ・ミーティングに集った4つのグループによる演奏を集めたオムニバス・アルバム。フリー・ジャズ・ミーティングの名に偽りなく,正調フリー・ジャズばかりが収められているが,最大の聞きものは最も長大なタイトル・トラックだろう。Art Ensemble of Chicagoのメンツと欧州フリー・ジャズ・プレイヤーの合体による演奏はいかにもという響きを持つものだが,Globe Unityを想起させる部分もあった。と言いつつ,Globe Unityのアルバムも久しく聞いていないから単にイメージってことになるかもしれないが...(苦笑)。

それに加えて入っているのがKarin Krog入りのTerje Rypdalグループ,更にKarin Krogの一人多重録音(!),そしてWillem BreukerとJohn Surmanのバスクラ・デュオ(!!)という濃い~面々とあっては,こういう音楽に耐性のないリスナーにとっては相当厳しいだろうと思わざるをえない。まぁ私としてはこれぐらいなら全然問題なしというところではあるものの,プレイバック頻度は極めて低いのも事実。それでもクォリティは維持されており,往時のフリー・ジャズ・シーンはこんな感じだったのねぇという歴史的な資料として星★★★★。

Recorded on December 12-14, 1969

Personnel: The Baden-Baden Free Jazz Orchestra Concucted by Lestrer Bowie<Lester Bowie(tp), Hugh Steinmetz(tp), Hugh Steinmetz(tp), Kenny Wheeler(tp), Albert Mangelsdorf(tb), Eja Thelin(tb), Joseph Jerman(ss), Roscoe Mitchell(as), Alan Skidmore(ts), Heintz Sauer(ts), Gerd Dudek(ts), Bernt Rosengren(ts), John Surman(bs), Willem Breuker(b-cl), Terje Rypdal(g), Dave Burrell(p), Leo Cuypers(prepared-p), Barre Phillips(b), Palle Danielsson(b), Steve McCall(ds), Tony Oxley(ds), Claude Delcloo(ds)>, Terje Rypdal Group<Terje Rypdal(g), Joseph Jerman(fl), Bernt Rosengren(fl, oboe), Karin Krog(vo), Barre Phillips(b), Palle Danielsson(b), Steve McCall(ds), Claude Willem Breuker-John Surman Duo<Willem Breuker(b-cl), John Surman(b-cl)>

本作へのリンクはこちら。 

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