2023年の回顧:音楽編(その2:ジャズ)
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今年の音楽を回顧する2回目はジャズ編である。振り返ってみれば,今年のジャズの新譜はやや小粒な感じがして,決定的な1枚というのを選ぶのが難しい気がする。そんな中で印象に残っているのが上掲のアルバム。
ライブの場においても,現代最強のサックス奏者であることを実証したChris Potterであるが,さまざまなフォーマットでの演奏をする中で,今回のクァルテットでのライブ音源"Got the Keys to the Kingdom"は,テナー一本で通しているところが実に素晴らしいと思った。本作に留まらずJohn Patitucciとの"Live in Italy"もよかったので,来年リリースされるBrad Mehldauらを迎えた新作を首を長くして待ちたい。
Ralph Townerの"At First Light"は,リスナーが求めるRalph Townerの音が詰まった演奏で,もはやOne & Onlyの世界と言ってよい。来年には84歳となるRalph Townerであるが,このアルバムを聞く限りは衰えたと感じさせるところは皆無。まだまだ元気に演奏を続けて欲しい。
Brian Blade Fellowship Bandの"Kings Highway"も,まさに彼ららしい演奏で,期待を全く裏切らない出来であった。ほぼ固定メンツで演奏を続ける強みのようなものを感じさせるに十分。
BlankFor.msの"Refract"は果たしてジャズのカテゴリーに入れていいのか悩むところだが,アンビエント的な響きでは同じように感じる"Life in Exile"を昨日選んでいて,若干の違いを出すためにこちらに挙げることにした。これはJason Moranの貢献度も高く,フリーとアンビエントの融合のような実にユニークな音楽であることを評価したい。
ということで,通常ならば,ここにBrad Mehldauのアルバムが入ってきそうなものだが,"Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays the Beatles"は既にブートレッグで演奏を聞いていたこともあったし,それよりも何よりも紀尾井ホールでのライブの印象が強く,アルバムとして選ぶことを躊躇したことは書いておかねばなるまい。
昨日も特別賞なるかたちでBob Dylanを挙げたので,こちらではJohn Coltraneの"Evenings at the Village Gate"を挙げておこう。決して音はよくないが,流れ出る音楽には興奮させられた。まさに鮮烈とはこのことだろう。
ということで,こうして記事にしてみると,それぞれのアルバムによさはあるものの,ジャズ以外で選んだMeshell Ndegeocello盤のように決定的な思いを抱かせるものはなかったかなぁって気がする。来年やいかにと思いつつ,今年の回顧としたい。
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