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カテゴリー「ジャズ(2022年の記事)」の記事

2022年12月30日 (金)

2022年の回顧:音楽編(その2:ジャズ)

2022-albums2_20221225113201

いよいよ今年の回顧も最後である。いつものようにジャズ編で締めくくろう。

実のところ,今年最大の衝撃はAlbert Aylerの"Revelations"だとずっと思っていた。新譜ではないものをここに選出することは望ましいことではないかもしれないが,正直言って,今年これを上回るものは私の中には存在しない。私は遅れてきたAlbert Aylerの聴き手ではあるが,これを聴かずして,私は今年のジャズを総括できないのである。このアルバムについての記事を書いた時,私は「発掘盤大賞」なんて書いているが,発掘盤どころか,私が今年聞いた中で最も強烈かつ記憶に残る音源であった。

純粋な新譜の中で,私が最も感銘を受けたのがWolfert Brederodeの"Ruins and Remains"であった。作曲と即興が交錯するこのボーダレスな音楽こそ,まさにECMの真骨頂と言うべきものであり,Manfred Eicherの美学が如実に表れた傑作と思った。何度聞いても素晴らしい音楽である。

そして,その年のベスト盤を考えるとき,毎年のように出てくるのがCharles Lloydであるが,今年も同じであった。今回,3つの異なる編成での3枚のアルバムを合わせ技としてベスト盤とするというは,いささか反則気味でもあるが,振り返ってみればやはりこれは避けて通れなかった。

Enrico RavaとFred Herschのデュオは,リリースが発表された段階から,誰しもが期待するアルバムだったと思うが,見事に期待に応えてくれた作品であり,何とかこのデュオで来日してくれないかと思わせる逸品であった。

DOMi & JD BECKの"NOT TiGHT"のジャケットには,私のような還暦過ぎのオヤジは思わずのけぞるが,この若い二人が生み出す音楽のフレッシュさ,それによってもたらされる驚き,そして何よりも心地よいグルーブ感を評価したい。まさに新世代のジャズ。

最後も発掘盤となるが,坂田明と森山威男の 「ミトコンドリア」である。よくぞこんな音源を発掘してくれたと言いたくなるような,爽快なフリー・ジャズである。記事にも書いたのだが,「坂田明らしいフレージングを煽る森山威男のドラムスによるパルスに興奮しない奴はもぐり」だ(きっぱり)。

ということで,今年もいろいろな音楽に接してきたが,ストリーミングの広がりもあり,ソフトの購入枚数は本当に減ったというのが実感ではあるが,そうした中でもお知り合いの皆さんからの情報も活用しつつ,これからも優れた音楽に接していきたいと思った年の瀬である。

2022年12月26日 (月)

George Bensonの20世紀の活動を振り返る好アンソロジー。

_20221221_20221223085101 "Anthology" George Benson(Warner/Rhino)

主題の通り,George Bensonの20世紀の活動を俯瞰したアンソロジーである。このコンピレーションがリリースされたのが丁度2000年のことであったが,その後も現役として活動を継続する中で,George Bensonのポピュラリティのピークは70年代後半から90年代半ばぐらいではなかったか。それを考えれば,このコンピレーションにはGeorge Bensonの最盛期の演奏が含まれているということになる。

2枚組CDの1枚目には,ヴォーカル重視前のジャズ・ギタリストとしてのGeorge Bensonの演奏も聞かれるが,2枚目のリーダー作である"It’s Uptown"から既に"A Foggy Day"を歌っているから,歌手志向の気配はキャリアの初期からあったってことである。まぁ,弾けて歌えるのだから,それはそれでいいと思うが,徐々にどっちが本業かわからなくなってきたという感じがしないでもない。

CD1枚目の後半は"Breezin'"でブレイクしてからの"In Flight",そして"Weekend in L.A."から5曲は,やはり私の世代には懐かしいものだが,この辺からはクロスオーバー/フュージョン化が著しくなったってところだろう。例えばCTI時代の"White Rabbit"とかもフュージョン化の兆しは示しているが,まだまだジャズ的なところは感じる。Herbie HancockのエレピのソロとかいかにもCTI的でカッコいいしねぇ。

CD2ではブラック・コンテンポラリー化した歌唱が多くなるが,Count Basie Bandとのストレートな演奏も聞かせて,ギタリストとしての腕も全然衰えていた訳ではないところを聞かせる。こっちも歌は歌でこれまた懐かしいものも多いので,総じて満足のいくコンピレーションだと思う。星★★★★。Personnelはコンピレーションにつき省略。

2022年12月24日 (土)

今年最後のライブを締めくくったBanksia Trioの見事な演奏@武蔵野市民文化会館

Photo_20221223091401

まだまだ沈静化とは言わないが,コロナ禍もだいぶ落ち着いてきて,ライブ通いも徐々に復活してきた私であるが,今年のライブの締めくくりとして行ったのが,武蔵野市民文化会館小ホールにおける須川崇志率いるBanksia Trioのライブである。相変わらず(自分も含めて)高齢者比率の高いこのヴェニューであるが,8分の入りってところか。私は市民ではないので,一般の入場料であるが,それでも2,800円でこのトリオを聞けるのはありがたい。

彼らのこれまでの2枚のアルバムは,北欧系にも通じる日本のピアノ・トリオとは思えない響きを持っていて,素晴らしい美的な緊張感を醸し出していた。彼らの2ndアルバムを聞いた時,ライブはどうなってしまうのか?なんて書いているが,ライブでもそうした感覚を変わりなく生み出すところが凄い。

こうした音楽をやっているだけに,さぞや深刻,あるいは自己陶酔的な顔でやっているのかと思っていたら,リーダー須川崇志はさておき,ピアノの林正樹のにこやかな表情にはある意味驚いてしまった。やっている音楽と表情の落差が大きいのだ(笑)。

出てくる音はまさに美的で,極めて細かいニュアンスを生み出してしまうだけでなく,3者のヴィヴィッドな反応ぶりが素晴らしい。1曲目に演奏していたのは"I Should Care"だと言っていたと思うが,原曲を「破壊」するのではなく,「解体」して「再構築」するという感じか。そういう意味では普通の,あるいはコンベンショナルなピアノ・トリオでは決してない訳だが,このレベルの高さは半端ではない。

このトリオ,3者が全て素晴らしい実力者であるが,私はドラムスの石若駿のプレイぶりにびっくりしてしまった。スティック,ブラシ,マレットのどの使いっぷりも実に的を得たものであり,こういうドラマーがバックにいれば,演奏も楽しかろうと思ってしまった。そして林正樹のピアノのフレージングは見事だし,リーダー須川崇志のベースも実にうまく,ずっと唸りっぱなしの私であった。

休憩をはさんで約2時間,彼らの演奏を堪能した私であった。須川崇志がMCで3rdアルバムをレコーディング済みと言っていたので,おそらくは来年のリリースを首を長くして待ちたいと思わせるに十分な演奏ぶりであった。Banksia Trio,恐るべし。

Live at 武蔵野市民文化会館小ホール on December 22, 2022

Personnel: 須川崇志(b, perc),林正樹(p),石若駿(ds, perc)

2022年12月23日 (金)

ジャズ・ヴォーカルはあまり聞かない私だが,今日はJune Christy。

_20221219 "June’s Got Rhythm" June Christy(Capitol)

毎度毎度同じようなことを書いている気もするが,私はジャズ・ヴォーカルをあまり聞かない。端的に言えば,趣味の問題であるが,全然保有していない訳でもないというのは,このブログにも書いてきた。

先日,風呂に入りながら,後藤雅洋の「一生モノのジャズ・ヴォーカル名盤500」を読んでいたら,このアルバムのことが書かれていて,そう言えば,これは持っていたなぁということで,取り出してきたもの。June Christyについては以前"Somothin’ Cool"について記事をアップしたことがあるが,そこには「改めて,June Christyの魅力に気づかされた」なんて図々しことを書いている。まぁ,ジャズ・ヴォーカルに関しては「食わず嫌い」な部分もあることは否定できないので,たまにはこういう気まぐれも重要なのである(笑)。

このアルバムは,ウエスト・コーストの錚々たるミュージシャンをバックに,June Christyが小粋に歌ったアルバムで,これがなかなか楽しい。スウィンギーな曲とバラッドのバランスもよいのだが,必ずしもよく知られている訳ではなさそうな曲も選曲しているセンスが良いと思う。例えば,冒頭の"Rock Me to Sleep"はBenny Carterの曲らしいが,それがGershwinナンバーの"They Can’t Take That Away from Me"と同居していながら,きっちりどっちも楽しめてしまうところがいいと思う。

また,先述の通り,バックを固めるミュージシャンのソロも魅力的。気楽に聞き流すもよし,傾聴するもよしって感じの佳作。星★★★★。

Recorded in June and July, 1958

Personnel: June Christy(vo), Ed Reddy(tp), Frank Rosolino(tb), Bud Shank(as, fl), Bob Cooper(ts, oboe), Red Callender(tuba), Russ Freeman(p, celeste), Laurindo Almeida(g), Monty Budwig(b), Shelly Mann(ds), Mel Lewis(ds)

2022年12月22日 (木)

この静謐さがたまらない:Ketil BjørnstadとDavid Darlingのデュオ第2作

_20221217-4 "Epigraphs" Ketil Bjørnstad / David Darling(ECM)

David Darlingが亡くなったのは2021年初頭のことであった。David Darlingの音楽はニューエイジとも取れる響きを持っているが,そのDavid DarlingがKetil Bjørnstadと組んだデュオ作"The River"については私は「実に静謐にして美しい。ささくれ立った心さえ落ち着かせるであろう音楽である。」なんて書いている(記事はこちら)。"The River"でもKetil BjørnstadはByrd,Gibbonsにインスパイアされていると言っていたが,このアルバムでは二人のオリジナルに加え,そのByrd,Gibbonsの曲や,これまたルネッサンス期の作曲家,DufayやGregor Aichingerの曲もやっている。

それでもって,この音楽を聞いていても,私が抱く感想は「実に静謐にして美しい。ささくれ立った心さえ落ち着かせるであろう音楽である。」でしかないのだから,私のボキャブラリーも実に限定的なものだと言いたくなる。しかし,そう思わざるをえない響きなのだ。

正直,ここまで行くと,これはもはやジャズではないでしょうと言いたくもなるが,ジャンルを超越するのがECMレーベルのECMたる所以であり,そもそも総帥Manfred Eicherにはジャンルなんて関係ないだろうと思いたくなるような,美的音源。こういうのがバーとかで流れていると,環境として気持ちよくなって酒量が増えること必定という意味では,これは良質なアンビエント・ミュージックだと言いたい。好きなんだよなぁ,こういうの。星★★★★☆。

Recorded in September, 1998

Personnel: Ketil Bjørnstad(p), David Darling(cello)

2022年12月18日 (日)

山下洋輔の「ピアニストを聴け!」ボックスから:"Invitation”

_20221217-2 "Invitation: Yosuke in the Gallery" 山下洋輔(Frasco)

Frascoレーベルの山下洋輔のアルバムを集成したボックス「ピアニストを聴け!」がリリースされたのが1998年のことなので,もやは四半世紀近く経過しているが,それだけの時間が過しながら,ちゃんと聞いていないアルバムもある。このアルバムもプレイバックの回数は決して多かったとは言えないが,久々に聴いてみた。

このアルバムにはライナーがついていないが,裏面にある当時のマネージャー,岩神六平のコメントによれば,当時の山下洋輔は,新たなレコーディング場所を探す過程で,フジTVギャラリーに行きついたようだ。その折,そこで画家,谷川晃一の個展が開催されていたということらしい。個展の会場にピアノを持ち込んでの録音なので,"Yosuke in the Gallery"という副題がついているって訳だ。アルバム・カヴァーは当然のことながら谷川晃一作である。

本作はピアノ・ソロだが,いつものような破壊的な音が繰り出されるというよりも,実に味わい深い演奏が展開されていると言うべきアルバムで,選曲も山下洋輔の"On the Road"と,中村誠一の「木喰」以外はよく知られたスタンダード,ジャズマン・オリジナルで固められている。当時の山下洋輔トリオのドシャメシャ感は快感をもたらすものだと思うが,こういう演奏を聞くと,山下洋輔はコンベンショナルな世界においても,実に優れた実力を示すことを実証したアルバムである。

いつもの山下洋輔を期待すると,この意外なまでの「まともさ」(笑)には面食らう人も出てきそうだが,これは実にいいアルバムだったと改めて思った次第。星★★★★★。これがボックス・セット以外ではCD化されていないというのは,何とも不思議である。中古でアナログを見つけたら即買いしても後悔はしないと断言してしまおう。

Recorded Live at フジTVギャラリー on February 22, 1979

Personnel: 山下洋輔(p) 

2022年12月13日 (火)

ジャズは気合いだ!(笑)と思わせる森山威男クァルテットのライブ。熱い!

_20221212 "Flush Up" 森山威男(テイチク)

山下洋輔トリオを脱退した森山威男が,自分のグループでレコーディングしたライブ音源である。このアルバムが録音された1977年と言えば,クロスオーバー/フュージョンの全盛期である。そんな時期に,日本においてはこれほど熱いジャズが演奏されていたということに,感動すら覚えてしまう。

森山威男はいまだに現役でドラムスを叩いているが,山下トリオでの演奏の時から,そのパワーは全く変わることがないと言ってよい。しかし,本作は山下トリオ脱退後の暫しの沈黙を破っての演奏だけに,気合の入り方が違うって感じである。冒頭のタイトル・トラックは板橋文夫のオリジナルであるが,"Impressions"を焼き直せばこうなるという曲だし,2曲目は"Softly"であるから,いくらでも熱くしようと思えば熱くできるってところだろう。そして3曲目の"Yellow Bear"まで,クァルテットの熱量は全く落ちることがない。

逆に言えば,一本調子だと言われればその通りかもしれないが,このアルバムはその熱量を感じ,音を浴びることの方が圧倒的に重要だと思わせる。だから,このアルバムは音量を上げて聞かなければならないことは言うまでもない。

実に素晴らしく,森山威男の凄さを感じさせるに十分のアルバム。メンバーの実力も十分で日本ジャズのレベルの高さが実証されている。これでもう少し音がよければと思うが,それも時代であると考えよう。星★★★★☆。それにしても凄いわ。

Recorded Live at 新宿Pit Inn on March 1 & 2,1977

Personnel: 森山威男(ds), 高橋知己(ts, ss), 板橋文夫(p), 望月英明(b)

2022年12月12日 (月)

富樫雅彦の”Bura・Bura”:いいメンツにして,なかなかいいアルバムである。

_20221210-2 "Bura・Bura" 富樫雅彦(VideoArts)

これは富樫雅彦の1986年に行われた音楽生活30周年記念のライブの模様を収めたものだが,それに相応しいメンツが揃っていると言ってよいだろう。だって,Steve LacyにDon Cherry,更にはDave Hollandである。これは結構凄いことだ。

このブログに富樫雅彦は何度か登場しているが,基本的に富樫の音楽は聞き手にとってはハードルが結構高いというのが実感である。このブログに直近で記事にした富樫のアルバムは"Speed And Space"だが,正調フリー・ジャズと言ってよい作品だったが,刺激に富んだ傑作だったと思う。しかし,富樫のアルバムは思索的な部分も多分にある場合が多く,そういう音楽には私も頭を抱えてしまうこともあるのだ。特にパーカッション・ソロとかは厳しいよねぇ(苦笑)。

しかし,このアルバムはメンツにも恵まれてというところもあるが,フリー・ジャズの範疇には入っても,ジャズ的な表現が十分に感じられるので,実はそれほどハードルは高くないと感じる。確かに万人向けの音楽とは言えないし,メンツだけ見れば,ついつい「構えてしまう」ところはあるものの,音楽的な響きにはそんなに抵抗感はないだろう。

まぁ,ここでの音楽は激しさというよりも,「間」を重視している部分もあると思えるので,その辺りで好き嫌いは分かれる部分もあるかもしれない。それでもやはりこのメンツならではの音に浸ればよいというのが実感だ。この演奏をライブで聞いていたらどうだったかなぁ(当時の私ならば,やはり???だったかも...)なんてことを考えるのもありなので,そうした気分で今から36年前に思いを馳せるのも一興だろう。星★★★★。

それにしても,このアルバム,中古市場でとんでもない値段がついているなぁ...。

Recorded Live at 郵便貯金会館 on May 14, 1986

Personnel: 富樫雅彦(perc), Steve Lacy(ss),Don Cherry(tp, p, vo), Dave Holland(b)

2022年12月10日 (土)

Joachim Kühnのトリオのアルバムではやっぱりこれが一番好きだなぁ。

_20221209 "Live: Théâtre de la Ville, Paris, 1989" Joachim Kühn / Daniel Humair / J.-F. Jenny-Clark (CMP)

この3人によるアルバムを結構買い集めるようになった契機となったアルバム。多分,これは私がNYCにいた頃に購入したはずであるが,この硬派な響きが非常に魅力的に感じられたのも懐かしい。ややフリーっぽくなったりする瞬間もあり,基本は硬派なのだが,"Clever Feelings"のような曲はリリシズムも感じられて,単なるゴリゴリ硬派って感じではないところも実に魅力的なのだ。唯一のスタンダード,"Yesterdays"だって見事なものだ。

私が特にはまってしまったのは2曲目"Last Tango in Paris"だったのだが,全編を通じて硬軟バランスよく,クォリティの高い演奏を聞かされてしまっては,追い掛けてくなるのも当然と言うべきトリオであった。

スリリングな展開といい,三者の一体感と言い,私としてはケチのつけようがない演奏。これでもう少し音がよければって感じだが,演奏としては星★★★★★。

Recorded Live at Théâtre De La Ville, Paris, on November 27, 1989

Personnel: Joachim Kühn(p), Daniel Humair(ds), J.-F. Jenny-Clark(b)

2022年12月 8日 (木)

Brad Mehldauの新譜はもはやオフィシャル・ブートレッグ?(笑)

Your_mother_should_know"Your Mother Should Know: Brad Mehldau Plays the Beatles" Brad Mehldau(Nonesuch)

Nonesuchレーベルから告知が出ているが,Brad Mehldauの新作が延期された来日に合わせるように,来年の2月10日にリリース予定となっている。タイトルは文字通り,Brad MehldauによるBeatles曲集である(1曲だけDavid Bowieが"Hunky Dory"で発表した"Life on Mars?"が最後に入っているが...)。これまでもBrad MehldauはBeatlesの曲を演奏することはあったから,このアルバム自体は予想がつかなかった訳ではないので,これはこれで喜ぶべきだ。

だが,Nonesuchからの告知を見ると,このアルバムは2020年9月にPhilharmonie de Parisで録音とある。この時,9月19日と20日の2日間に渡ってBrad Mehldauは同地で演奏している。しかもその時の様子は既にブートレッグで聞くことができるのだ(それに関する記事はこちら)。既にレコーディングから1か月も経たないうちに私はこの時の演奏を聞いていた訳だが,私が聞いているのは1日目がオーディエンス録音,2日目がサウンドボード。私は見ていないが,2日目の模様はプロショットのDVDとしてブートも売られているはずだ。

そうなるとこれはもはやオフィシャル・ブートレッグの趣である。当然,公式盤であるから音は更によくなっているものと思うので,私としては買うことは言うまでもないのだが,若干の何だかなぁ~って感覚は避けられないところ。因みに私が保有する2日目のサウンドボード版のブートは,この公式盤以上の曲が収録されている。ご参考ではあるが,次のような曲目である。ご覧頂ければわかる通り,Beatles,David Bowieに加え,Paul McCartneyのソロ,Zombies,Beach Boys,Billy Joelにジャズ・スタンダードと,この時の演奏が相当にポップ畑を意識した音源であることは間違いない。

Disc  1:

  1. I Am the Walrus
  2. Your Mother Should Know
  3. I Saw Her Standing There
  4. For No One
  5. Baby’s in Black
  6. She Said She Said
  7. Here There And Everywhere
  8. If I Needed Someone
  9. Maxwell's Silver Hammer

Disc 2:

  1. Goleden Slumber
  2. Mabe I'm Amazed
  3. A Rose for Emily
  4. God Only Knows
  5. Life on Mars?
  6. New York State of Mind
  7. Strike up the Band
  8. Smoke Gets in Your Eyes
  9. Blackbird
  10. The Nearness of You

1日目にはDisc 2の7,8,10曲目に代わって,"And I Love Her","Come Rain or Come Shine","Brownie Speaks","Pannonica"を演奏している。

私はこの音源を既に聞いてしまっているので,内容は保証できるのだが,どうせならスタジオで再録して欲しかったなぁってのも正直なところ。しかし,公式盤コンプリートを目指す立場としては買わない訳にはいかないのだが(苦笑)。どういう音になっているかは2月のリリースを待つことにしよう。

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