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カテゴリー「ジャズ(2021年の記事)」の記事

2021年4月16日 (金)

これを聞くのは何年ぶり?Kenny Rankinのスタンダード・アルバム。

_20210412 "A Song for You" Kenny Rankin(Verve)

Kenny Rankinが亡くなったのは2009年のことであったが,2002年リリースの本作が彼の遺作になるのだろうか。いずれにしても,私がこのアルバムをプレイバックするのはいつ以来のことか全く記憶にない。10年以上経過している可能性も否定できないぐらい,実に久しぶりにこのアルバムを聞いた。

このアルバムはTommy LiPumaとAl Schmittという強力コンビによりプロデュースされているが,実に穏やかなスタンダード集となっている。基本となるクァルテットが伴奏をつけ,ゲスト,ストリングス,ホーンが加わるという編成は結構豪華なものであるが,演奏や歌唱は力んだ部分が微塵も感じられない落ち着いた作品であり,これは完全に大人のためのアルバムと言ってよいだろう。

このアルバムで面白いのは"Round Midnight"と思うが,こういう感じの歌いっぷりってのは今までになかったって思える。思わず「へぇ~」となってしまうような,いい意味での「軽さ」がこのアルバムの特性だと言ってしまってもよいだろう。こういう音楽がバーで小音量でかかっていれば,絶対に耳をそばだてるだろうと思えるような洒脱さと言い換えてもよいかもしれない。更にBeatlesの”I’ve Just Seen a Face"やLeon Russellの"A Song for You"がこうなるか!?って思わせるのも実に面白い。崩しの美学って感じか。

本作は比較的取り出しやすい場所に置いてあるにもかかわらず,ちっともプレイバックしていない私も困ったものだが,久しぶりに聞いて,このアルバムの心地よい魅力を感じたのであった。刺激は全然ないと言ってもよいが,もっと知られてよいし,もっと聞かれてもよいと思えるアルバム。星★★★★。

Personnel: Kenny Rankin(vo, g), David Spinozza(g), Leon Perndervis(key), Christian McBride(b), Lewis Nash(ds), with John Beasley(synth, arr), Roy Hargrove(tp), Chris Potter(ts), Russell Malone(g), Alan Broadbent(arr) with strings and horns

2021年4月14日 (水)

Iggy Popの参加が意外なDr. Lonnie Smithの新作が楽しい。

_20210411-2"Breathe" Dr. Lonnie Smith(Blue Note)

私がDr. Lonnie SmithのライブをBlue Note東京で観たのももう3年近く前のことであるが,リーダーよりのギターのJonathan Kreisbergへの注目度を更に高めたものと言ってもよかったが,自体は相応に楽しめるものだった。そんなDr. Lonnie Smithの新作がリリースされたのだが,こちらもJonatahn Kreisberg入りなので,それも大きな要素となっての購入となった。

前作"All in My Mind"もJazz Standardでのライブであったが,今回も8曲中6曲はJazz Standardでのライブ。そして,冒頭と最後の2曲がスタジオ録音であるが,何とその2曲におけるゲストがIggy Popである。Iggy Popは結構あっさり歌うというか,典型的なIggy Popの歌を期待して聞くとびっくりしてしまう感じの枯れたと言ってもよい歌いっぷりである。しかも,最後にやっているのはDonnovanの"Sunshine Superman"だしねぇ。また,それがDr. Lonnie Smithのトリオの演奏とフィットしているところに更にびっくりである。

そしてライブ音源の方にはトリオでの演奏が2曲に,トランペット,トロンボーン,テナー,バリトンの4管が加わった演奏が4 曲という構成になっているが,この4管入りの演奏が,スモール・バンド的なアンサンブルとソロ回しを聞かせてなかなか楽しい。オルガン・ジャズってこういう感じがいいねぇと思わせるものなのだ。こうした構成にはプロデューサーを務めるDon Wasの趣味が表れているようにも思えるが,ジャズ・ファンの心がわかっているねぇと言いたくなるような演奏である。

4管入りの曲においては,私の目当てと言ってよいJonathan Kreisbergの出番は控えめで,"Pilgrimage"を除けば伴奏に徹している感が強いが,トリオ演奏においてその分スポットライトを当てるってところか。そして,そこで聞かせるJonathan Kreisbergのフレージングにはやっぱり痺れる。まぁ,本作ではJonathan,Jonathanと言わずに,リーダーのオルガン・プレイを楽しむのが筋として,これは聞いていてかなり楽しいアルバムであり,この気持ちよくゆるめのグルーブに満ちた演奏をライブの場で観たら,絶対身体が揺れてしまっていただろうって演奏である。そういうところも評価して,ちょっと甘いと思いつつ,星★★★★☆。そして,前作に続いて1曲に客演するAlicia Olatujaの歌のうまさは相変わらず。彼女がCotton ClubにBilly Childsと来た時も実にうまいと思ったが,その感覚は不変。このゴスペル的感覚がたまらん。

それにしても,ここでのライブ演奏が収録されたNYCのJazz Standardの閉店は惜しいと思わせる。Dr. Lonnie SmithがライナーにJazz Standardへの謝辞を掲げているのもよくわかる。今やお店は閉店したが,配信ライブを行っているJazz Standardなので,いつの日か復活してくれるのではないかと考えたいが,そもそも私が次にNYCを訪れるチャンスはいつ来るのかってところなのが辛いところ。

Personnel: Dr. Lonnie Smith(org), Jonathan Kreisberg(g),Johnathan Blake(ds), Iggy Pop(vo), Alicia Olatuja(vo), Sean Jones(tp), Robin Eubanks(tb), John Ellis(ts), Jason Marshall(bs), Richard Bravo(perc)

2021年4月11日 (日)

才人,Vijay Iyerの新作がまたまた素晴らしい。

_20210410-2 "Uneasy" Vijay Iyer(ECM)

ACTレーベル時代から優れた作品をリリースしていたVijay Iyerだが,ECMに移籍してからの作品群はどれも文句のつけようのないものばかりで,私としても極めて高い評価を続けてきた。とにかく,どのような作品を取っても,失望させられることがないというのは実に見事。しかも弦楽クァルテットとの共演だろうが,Wadada Leo Smithとのデュオだろうが,Craig Tabornとのデュオだろうが,クォリティを維持しているのが凄いのだ。

そのVijay Iyerにとって,"Break Stuff"以来の久しぶりのピアノ・トリオによるアルバムであるが,長年のトリオからメンツを変えての第1作となる本作がこれまた素晴らしい出来である。基本的にVijay Iyerのオリジナルが中心であるが,そこに"Night And Day"が何の違和感もなく入り込んでくる。今は亡きGeri Allenの”Drummer’s Song"もミニマルな導入部から,反復フレーズは継続しながらも徐々に熱を帯びる展開も実に魅力的。とにかくどこを切っても実にレベルが高いのだ。

昨今のレコーディングにしては,ミキシング・レベルが抑制気味のような気がするが,音のバランスは取れていると思うので,気にすることはない。これが意図的なものかどうかはわからないが,このピアノ・トリオを聞くにはこれぐらいがいいのではないかと感じる。特にLinda May Han Ohのベースの音はベースってのはこういう感じで鳴るのが丁度いいと思わせるものだ。やたらに低音を強調しなくても,魅力的に響くベース音である。

相変わらずというか,このトリオの演奏はちょっとECMっぽくないようにも感じられるが,決してコンベンショナルなピアノ・トリオではなく,あくまでも現代のピアノ・トリオではある。しかし,以前にも書いたように,Manfred Eicherがこういう音楽をプロデュースしているのは,Vijay Iyerへの信頼の裏返しということになるのではないか。そして,その信頼を裏切ることのないVijay Iyer,さすがである。

まぁちょっとTyshawn Soreyは叩き過ぎって気がしないでもないが,実に優れたピアノ・トリオ・アルバムであることは間違いない。今回も実にいい作品であり,Vijay Iyer,本当に信頼に値するミュージシャンである。星★★★★☆。

Recorded in December, 2019

Personnel: Vijay Iyer(p), Linda May Han Oh(b), Tyshawn Sorey(ds)

2021年4月 9日 (金)

もはや懐メロ?Neil Larsenの”Jungle Fever”。

_20210408 "Jungle Fever" Neil Larsen(A&M)

いやはや懐かしいアルバムである。と言っても,私はこのアルバムをリアルタイムで聞いた訳ではなく,後付けで聞いたものだが,それでも何とも言えない「懐メロ」感があるのだ。思うにこのアルバム,結構はやったと思うのだが,リリースされた頃はまだ私はこの辺まではカヴァーできていない頃である。フュージョンで聞いていたのはナベサダとかLee Ritenourの"Gentle Thoughts"あたりどまり。だが,このアルバム,今聞いてもおそらく本国より日本で受けたはずだと思ってしまう。

なぜか。ここで奏でられるメロディ・ラインがマイナー・キーのものが多く,おそらくは日本人の琴線をくすぐるからだ。フュージョンもいろいろあるが,このメロディ・ラインには何とも言えない魅力を感じるリスナーが多かったであろうことは想像に難くない。本作に収められている"Wind Song"は私はGeorge Bensonの「メローなロスの週末」(笑)で聞いたのが最初だったのだが,こっちがオリジナルだったのねぇって知ったのは随分後になってからである。フュージョンと言えば,明るくカラっとした感じってのが「定説」みたいなところに,このマイナー・キーがある意味異質ながらも,日本人には魅力的に響いたのではないかと思えるのだ。しかも"Last Tango in Paris"なんてやっているし,そこでソロを取るのはMichael Breckerだしと,これはおそらく当時のリスナーには訴求力が高かったのではないかと想像させるに十分である。

今となっては40年以上前の音源であるから,当然時代を感じさせるが,今聞いても結構魅力的に響くのは,アルバム全体に溢れるマイナー調ゆえの哀愁感ってところではないかと思ってしまった。久しぶりに聞いたのだが,ついついはまってしまった私である。星★★★★。

Personell: Neil Larsen(p, key, org), Buzz Feiton(g), Willie Weeks(b), Andy Newmark(ds), Ralph McDonald(perc), Michael Brecker(ts), Larry Williams(as, a-fl), Jerry Hey(tp, fl-h)

2021年4月 8日 (木)

Crusadersのこのコンピレーションはよく出来ている。

_20210405-6"Groove Crusade" Crusaders(MCA)

私はCrusadersのファンってほどではないので,保有しているアルバムも限定的である。そんな中,結構気に入っているのがこのコンピレーション盤なのだ。

タイトルにある通り,このコンピレーションのテーマはグルーブなのだ。そして,ここで醸し出されるグルーブが何とも心地よい。実によく出来ていると思わせるのだが,その理由はこのアルバムをコンパイルし,曲順を決めたのがStewart Levineだということだろう。Stewart Levineは長きに渡ってCrusadersのプロデュースを手掛けてきただけあって,彼らの魅力なり,リスナーが彼らに何を求めるかなりをちゃんと理解していたと思わざるをえない。だからこそ,全編に渡ってCrusadersらしいグルーブが楽しめて,この一貫性が重要なのだと感じさせてくれるのだ。

このある意味ゆるいグルーブに身を任せることの心地よさゆえに,私はこのコンピレーションを手放すことができないのだろうと思う。こういうのからCrusadersに入ると,彼らの音楽の魅力を的確に理解することができると思う。実によく出来たコンピレーションとして,これまでCrusadersの音楽に触れたことがない人には丁度いいアルバムだし,Crusadersのファンにだってこの曲順は訴求力大だろう。これを聞いていると2枚組のベスト盤が冗長に聞こえてしまう,と言っては言い過ぎか。

2021年4月 5日 (月)

豪華なメンツが揃ったGary Burtonの落ち着いた「ほぼ」スタンダード集。

_20210331"Departure" Gary Burton(Concord)

このアルバムがリリースされたは1997年のはずだが,当時としてもかなり豪華なメンツが揃っていたと思わせる作品である。当時,この中で一番マイナーだったのがFred Herschであろうというのが信じがたいが,それほどのメンツである。

ではあるが,このアルバムは豪華なメンツが丁々発止の演奏を繰り広げる訳ではなく,実に落ち着いた演奏が展開されるほぼスタンダード集である。そもそもGary Burtonのスタンダード集ってのが珍しいと思うが,バックのメンツも楚々とした演奏で,Gary Burtonに応えている。

私がほぼスタンダードと書いたのは例外はChick Coreaの"Japanese Waltz"と,TVシリーズ"Frasier"の主題歌である”Tossed Salads And Scrambled Eggs"ゆえだが,前者は再編したAkoustic Bandのライブでもやっているのだが,初出が何だったのかよくわからない。このアルバムがレコーディングされた96年の段階で取り上げているので,その頃には既に認知されていたということか。後者は米国のTV番組だから,我々にあまり馴染みがないのもある意味当然である。

それ以外のスタンダード(あるいはジャズマン・オリジナル)も,ある程度は知られているものの,超有名な曲は少ないと言ってもよいのだが,その辺りがGary Burtonのセンスってところだと思う。最後のHorace Silverの"Ecaroh"とか言われても,何だっけ?って反応になってしまうし,Ellington/Strayhornの"Depk"は「極東組曲」からというチョイスは渋いのか,ひねっているのかって感じだろう。

だが,演奏はどれもがリラックスした感覚に富んだものであり,穏やかに時間が流れていく。刺激には乏しいし,このメンツならではの感じもあまり出ていないのだが,ソロのレベルは高く,相応のくつろぎ感を生み出していて,気楽に聞くには丁度いいわって感じである。ジョンスコも変態フレーズは抑制し,結構普通に弾いているのも微笑ましい。ちょいと甘めの星★★★★ってところ。

Recorded on September 20-22, 1996

Personnel: Gary Burton(vib), John Scofield(g), Fred Hersch(p), John Patitucci(b), Peter Erskine(ds)

2021年4月 3日 (土)

Nik Bärtschの新作はピアノ・ソロ:ファンク度は低いが,ミニマル感覚は強まる。

_20210327 "Entendre" Nik Bärtsch(ECM)

Nik Bärtschの音楽というのはファンクとミニマリズムをうまく融合させた音楽で,RoninやMobileでやっている音楽は私の嗜好に見事にはまっていると言ってよい。なので,Nik Bärtschの新譜がリリースされれば,無条件に購入している。今回もECMからリリースされたNik Bärtschの新作はピアノ・ソロである。

Nik BärtschにはECMと契約する前にリリースした"Hishiryo"というピアノ・ソロがあるのだが,ファンク度を重視するバンド名義のアルバムは買っていても,ソロについては購入しておらず,本作がピアノ・ソロに触れる初めての機会となった。ピアノ・ソロだとどういう感じなのかってのがやはり注目点となる。

それで以て今回のアルバムを聞いてみたのだが,やはりピアノ・ソロなので,ファンク度は抑制されるのだが,Nik Bärtschらしいミニマルな感覚は十分出ているし,随所にスリリングな感覚も感じさせるアルバムとなっている。彼のアルバムに収録された曲のタイトルは名は"Modul"に番号を付したものなのだが,本作には最後に"Déjà-Vu, Vienna"というタイトルが付いた曲が入っているのが珍しい。

その"Déjà-Vu, Vienna"はスローに展開されるミニマルな曲で,若干のメロディ・ラインも顔を出すが,”Modul XX"と言っても通じてしまうだろうと突っ込みたくなるのも事実。だが,全編を通じて,これが気持ちいいのである。

このミニマルな感覚,聞く人によっては何がいいのかさっぱりわからんという世界かもしれないが,こういうのがいいと思ってしまう私のような人間にとっては非常に心地よい時間が過ぎていく。決して難解ではないし,素直に身を委ねればいいという感じだろう。今回のアルバムも実に気持ちよく聞けてしまった。このグルーブ,特殊だとは思うのだが,好きだなぁ。星★★★★☆。

Recorded in September 2020

Personnel: Nik Bärtsch(p)

2021年4月 1日 (木)

これも久々。Marcus Miller~Michel Petruccianiらの"Dreyfus Night”の発掘ライブ盤 。

_20210320-3 "Dreyfus Night in Paris" Marcus Miller~Michel Petrucciani(Dreyfus)

これもクロゼットから引っ張り出してきたものである。このアルバムはリリースは2003年だが,レコーディングされたのは1994年に遡る。Michel Petruccianiが99年に亡くなっているので,その過去音源をリリースするという企画と考えていいだろう。90年代はMarcus MillerもDreyfus所属となっていたので,レーベルの人気者を共演させるというのはわかりやすい企画である。そこに加わるBiréli LagrèneもDreyfusからアルバムを出していたから,"Dreyfus Night"ってのはまぁその通りである。

その一方で,こういう企画は,一発セッションということになるので,そこでシナジーを生み出せるかはやってみないとわからないってところである。本作は"Tutu"で幕を開けるが,いきなりKenny Garrettがしくじっていてまず笑ってしまう。この辺にはリハーサルぐらいもうちょっとしろよと言いたくなってしまう。各人のソロはさておき,この演奏はアンサンブルにもかなり破綻が感じられて,出鼻をくじかれる。急造バンドの悲しさってところか。

2曲目は懐かしや"The King Is Gone"である。私はこの曲が収められた”The Sun Don’t Lie"も保有していたはずだが,どこに行ったか全く不明。もしかしたら売ったか?って感じである。"The King Is Gone"はMarcus Millerは最初バスクラを吹き,その後,ベース・ソロに移行するのだが,このベース・ソロはいい感じだし,その後に出てくるMichel Petruccianiのピアノ・ソロも魅力的。そうは言っても,5人のメンバーのソロ回しだけに終始するという言い方も可能で,この曲にはアンサンブルもへったくれもない。

そうした中では最後に収められたPetruccianiのオリジナル,”Looking Up"が一番まともとも言えるが,この曲にしても,このメンツが集まってやっているという意義が見出しにくいのは同様である。こういう感覚が重なるがゆえに,私はこのアルバムを評価することができず,クロゼットにしまい込んだって感じがする。繰り返しになるが,各人のソロはそれなりに聞きどころもあるが,演奏としてはお祭り感以外感じられない安直なつくりの凡作。ついでに言っておくと,Marcus Millerのスラッピングに合わせるかのような,高音が強調され過ぎな感じのミキシングも聞いていて疲れる。星★★★で十分だろう。ってことで,このアルバムはクロゼットへお戻り頂くこととしよう(笑)。

Recorded Live at Palais de Sportd Paris on July 7, 1994

Personnel: Michel Petrucciani(p), Marcus Miller(b, b-cl), kenny Garrett(as, ss), Biréli Lagrène(g), Lenny White(ds)

2021年3月31日 (水)

Charles Lloyd, 今年で83歳とは思えない衰え知らず。

_20210328 "Tone Poem" Charles Lloyd(Blue Note)

アルバムを出しても,ライブを聞いても,ここのところのCharles Lloydの活動には目を見張らされるものがある。凄い老人だと思ったり,感動させられたりと,80歳を過ぎても全く裏切られることのない活動ぶりは,やはり化け物レベルだと言ってもよいと思う。

そのCharles Lloydの新作はMarvels名義である。Marvelsの第1作である"I Long to See You",Lucinda Williamsを迎えた"Vanished Gardens"も素晴らしかったが,そのMarvelsとしての第3作とあっては,期待するなって方が無理な話である。そして,今回も裏切られることはなかった。

実をいうと,CDがデリバリーされるまでの間はストリーミングで聞いていたのだが,その時は実はピンと来ていない部分があった。しかし,ちゃんと媒体で聞くと,感覚が違うのがはっきりした。やはり音楽に対峙する姿勢の違いは大きいと思う訳だが,ちゃんと聞いてみれば,何の違和感もない。アメリカーナ的なサウンドをゆったりと奏でるCharles Lloydの昨今の音楽はここでも強く感じられる。

Marvelsの音楽はやはりその編成に特性が表れると感じさせるが,今回もBill FrisellのギターとGreg Leiszのスチールが効いている。いきなり冒頭の2曲はOrnette Coleman,そのほかにもLeonard CohenやらGabor Szaboやらと面白い選曲であるが,中でもBola de Nieveの"Ay Amor"のたゆたうような「ゆったり感」は彼らにしか出せないのではないかと思える。日本でもやった”Monk’s Mood"もやっているが,こういう音楽には強烈な魅力を感じる私である。

はっきり言ってしまえば,突出した感覚は何もない。しかし,それでも深く音楽に没入させる魅力があるのだ。特にアルバムの後半にはまいってしまった。とにかく凄い人,いややっぱり化け物だと思わざるをえない作品を生み出すエネルギーの源は何なのか。不老不死という言葉はCharles Lloydのためにあるのか...。という訳で,今回も星★★★★★とせざるをえまい。

Personnel: Charles Lloyd(ts, a-fl), Bill Frisell(g), Greg Leisz(Steel-g), Reuben Rogers(b), Eric Harland(ds)

2021年3月27日 (土)

Bob JamesのFBに引っ張られて,今日は"Heads"。

_20210321 "Heads" Bob James(Tappan Zee/Columbia)

先日,FBを見ていたら,Bob Jamesが本作から"Night Crawler"について投稿していたので,懐かしさもあって,このアルバムをプレイバックした。このアルバムが出た頃,私はBob JamesよりもDave Grusinの方が好きで,あまりBob Jamesに関心を持っていたとは言えない。その後,"Double Vision"やらFourplayを通じて,Bob Jamesへの評価も上がったが,アルバム単位で言うと"One of a Kind"と"Mountain Dance"ゆえにDave Grusinの方が好きなのは変わらない。そうは言っても,なんだかんだでBob Jamesのアルバムも結構保有しているのだ。このアルバムはCTIから離れて,自分のレーベルであるTappan Zeeを立ち上げて,Bob Jamesも気合を入れて作ったであろうアルバムと思うが,1977年リリースだからもう45年近く前の作品。

Bob Jamesのアルバムはこれが何枚目のアルバムかわかるようなジャケット・デザインになっているが,CTI時代はさておき,Tappan Zeeを立ち上げてからのアルバム・ジャケットは洒落が効いてくる。このアルバムは昔の5セント硬貨がジャケを飾っている。次作の6作目は"Touchdown",7作目は"Lucky Seven",8作目はアルファベット8文字目の"H"とわかりやすいのだ。9作目"Sign of the Times"はその関係性がよくわからないが,10作目"Hands Down"は両手のシェイプで,11作目"Foxie"はジャケを見れば"XI"を意図しているのがわかる。まぁ,それは多分"12"で打ち止めにしたってことだろうが,面白いセンスだと思っていた。

それはさておき,このアルバムを初めて聞いた時はBoz Scaggsの"We're All Alone"のアレンジになんじゃこれは?と思ったのが第一印象であり,「う~む」となってしまったBoz Scaggsファンの私であった。Peter Framptonの”I’m in You"はありだと思えたが,やっぱり"We're All Alone"のイメージがあまりよくなかったのは事実。まぁ,それも時の流れとともに,そうした印象は改善していったが,ちょいとに賑やか過ぎるのは事実である。

そしてこのアルバムを契機となった"Night Crawler"だが,いかにも70年代のフュージョンって感じがいいと思うが,ホーン・セクションはもう少し控えめでもよかった気がする。最後に収められた"One Loving Night"はパーセルの曲のアダプテーションらしいが,Bob Jamesはこの前からクラシック曲を取り入れていたが,この辺のセンスも私にとっては,先述の"One of a Kind"においてグラナドスを見事にアレンジしたDave Grusinの勝ちになってしまうのだ。

ということで,ちょっと辛口になってしまったが,それでも当時を思い出す懐かしのサウンドってことで,それなりには楽しめると思っている。ちょいと甘めの星★★★☆ってところ。

Personnel: Bob James(p, el-p, key, synth), David Sanborn(as), Grover Washington, Jr.(ts, ss), Eric Gale(g), Steve Khan(g), Jeff Layton(g), Jeff Mironov(g), Mike Mainieri(vib), Gary King(b), Will Lee(b), Alphonso Johnson(b), Andy Newmark(ds), Steve Gadd(ds), Alan Schwartzberg(ds), Ralph McDonald(perc), Randy Brecker(tp, fl-h), Marvin Stamm(tp, fl-h), Jon Faddis(tp, fl-h), John Frosk(tp, fl-h), Lew Soloff(tp, fl-h), Peter Gordon(fr-h), Jim Buffington(fr-h), Brooks Tillotson(fr-h), Dave  Taylor(tb), Wayne Andre(tb), Tom Mitchell(tb), Phil Bodner(b-cl, a-fl, oboe, as), Michael Brecker(ts, ss), Gerry Niewood(as,  ts, a-fl), George Marge(eng-h, fl. bs, oboe, sopranino recorder), Eddie Daniels(ts, cl, fl) with Strings 

Bob-james-112

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