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カテゴリー「ジャズ(2021年の記事)」の記事

2021年12月30日 (木)

2021年の回顧:音楽編

2021-best-albums
いよいよ今年の回顧も最後の音楽編である。このブログにも何度か書いているように,私の新譜購入のペースは,以前に比べると随分落ちた。そんな中で印象に残った新譜音源(星★★★★☆以上)については,ブログ右側の「2021年のおすすめ作」にアップしているので,そこが回顧する上でも基本になる。

しかし,回顧するもへったくれもなく,今年のベスト作はこれになるだろうなぁと思っていたのが2作ある。それが児玉桃の”Hosokawa/Mozart”と菊地雅章の"Hanamichi: The Final Studio Recordings"であった。この2作ともにこのブログに記事をアップしたのは3月であったが,その段階でこれを越えるものはないと思っていた。児玉桃については2006年録音の音源ではあるが,細川俊夫の「月夜の蓮(”Lotus under the Moonlight”)」の演奏があまりにも素晴らしく,私は唸ってしまった。もちろん,モーツァルトのピアノ協奏曲23番もいいのだが,何と言っても「月夜の蓮」である。

そして,菊地雅章だ。これも2013年の録音ではあるが,この作品について記事を書いた時の「命を削って紡ぎだされるフレージング」という表現には,いささかの誇張もないと思っている。それぐらい痺れる音楽であったと言わざるをえない。私にとってはこの2枚の印象があまりにも強かった。

そのほかでは新録音では,ジャズ界の不老不死,Charles LloydのMarvelsとのアルバムはいつもながらの優れた出来であった。記事にも書いたが突出した部分はないとしても,このクォリティの高さは尋常ではない。メンバーの貢献度も高かった。また,私が高く評価し続けるMarcin Wasilewskiの"En Attendant"はこれまた痺れる出来であった。Joe Lovanoを迎えた前作,"Arctic Riff"も悪くなかったが,私としては多少の違和感もあった。やはりこの人たちはトリオが一番いいと思う。また,Dave Hollandも年齢を感じさせないカッコいい音楽を作り続けていて凄いなぁと思う。音楽性をアルバム毎に変えてくることも立派。本当に幅が広いし,もう一人の主役と言ってよいKevin Eubanksのギターもよかった。

そして,年末になって現れたRobert Plant/Alison Kraussの第2作は滋味溢れる出来に嬉しくなった。Bruno MarsとAnderson PaakのSilk Sonicはソウルの楽しさを完璧なまでに打ち出していて,これまたいいものを最後の最後に聞かせてもらった気がする。全然タイプは違うが,現代音楽ではMichael WendebergとNicolas Hodgesによるブーレーズのピアノ曲全集。私の嗜好にばっちりはまるこの音楽は,決して万人向けではないとしても,この手の音楽好きにはたまらない魅力があると思う。

発掘ものもいいものがあったが,発見という意味ではJohn Coltraneの「至上の愛」ライブははずせないところ。いかんせん音がもう少しよければ...というところはあったが,歴史的音源であることは間違いない。むしろ,私が音楽として楽しんでしまったのがCharles Mingusのカーネギー・ホールでのライブ。その日の演奏をきっちり収めたこともに加え,演奏が何よりも楽しい。Mingusに対する私の勝手な思い込みやイメージを覆したのが本作だったと言ってよい。そして,Joni Mitchellのアーカイブ・シリーズ第2弾が実に素晴らしく,もはや第3弾が楽しみな私である。アナログでリリースされた初期4枚のアルバムのボックスも実によいのだが,ディスクがきつきつで取り出しにくいのが玉に疵(笑)。

ということで,新譜の購入枚数は減ったものの,今年もそれなりに楽しめた1年であったと思う。

2021年12月25日 (土)

Alan Broadbent:実に趣味のよいトリオだ。

_20211223 "Personal Standards" The Alan Broadbent Trio(Concord)

Alan Broadbentの名前はIrene Kralの伴奏者として意識したのが最初だったと思う。その後,Charlie HadenとのQuartet Westでも知名度が上がっていたが,このアルバムはAlan Broadbentが全編オリジナル(1曲だけベースのPutter Smith作)を演奏したトリオ・アルバム。Alan BroadbentはPat Methenyの"From This Place"でも素晴らしいオーケストレーションを提供して,アレンジャーとしても凄いところを見せたが,本業たるピアニストとして97年にリリースしたのがこのアルバム。

そもそもConcordレーベルということで,趣味のよいアルバムになることは想定内であったが,これが実にリリカルなピアノを聞かせるナイスなアルバムなのだ。私がこのアルバムを購入する気になったのは,ドラマーがBill Evansトリオの最後のドラマーとなったJoe LaBarberaであったこともあったが,ジャケもまたいい感じなのがよかった。

そして出てくる音楽はこちらの期待通りの楚々としたピアノ・トリオである。ピアノ・タッチは美しく,曲もなかなか魅力的ということもあって,愛聴するというほどは聞いていないが,絶対売らない「一軍」アルバムとしての位置を確保している。全編を通して,スローでも,ミディアムでも,アップ・テンポでも実に心地よく時間が流れていく好アルバム。存在そのものがあまり知られていないかもしれないが,埋もれさせるには惜しい作品。最初に聞いた瞬間から私はこのアルバムが好きだと思ったが,今回改めて聞いても,やっぱりよかった。認知度向上のためにも星★★★★☆としよう。

ディスクそのものは,中古ではいくらでも手に入るので入手困難という訳ではないが,ご関心をお持ち頂けた方は,まずはストリーミングでどうぞ。

Recorded on October 7 & 8, 1996

Personnel: Alan Broadbent(p), Putter Smith(b), Joe LaBarbera(ds)

2021年12月24日 (金)

ホリデイ・シーズンに取り出したアルバム。

_20211222 "Jazz to the World" Various Artists(Blue Note)

最近はホリデイ・シーズンだからと言って,それにフィットする音楽をプレイバックする機会も随分減ったなぁと思う。それは娘が学業のため,家を離れているということもあるが,相応の年齢の夫婦二人では,別にそういう音楽を聞く理由も特にないってのが正直なところである。だが,在宅勤務が続く私は一人で仕事をしながら,音楽を聞く時間も結構あるので,久々に取り出したのがこのアルバムである。これをプレイバックするのは一体何年ぶりか?ってぐらい久しぶりである。

このアルバムが出たのは1995年のことであるから,既にこれも四半世紀以上経過しているのかと思うと愕然としてしまうが,いずれにしても,これはかなり豪華なメンツで構成されたコンピレーションだ。クレジットを見ていると実に面白いこともある。その最たる事例がMichael Franksの"Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!"だろう。Michael Franksがこれを歌うことには全然違和感はない。しかし,そのバックでピアノを弾いているのがCarla Bleyってのは異色な組合せと言わずに何と言うって感じである。ベースがSteve Swallowなのはわかるとしても,ギターがArtie Traumってどういう組み合わせやねん!と思ってしまった。しかもCarla Bleyの何ともまともなプレイぶり(笑)。

また,バンドとしてのホリデイ・アルバム"Snowbound"のあるFourplayが"It Came upon a Midnight Clear"をやっているのだが,"Snowbound"のギターがLarry Carltonなのに対し,こっちはLee Ritenourがやっているのが,私にとっては重要だ。Fourplayに似合うのはLarry CarltonよりLee Ritenourだというのが私の絶対の持論なので,これは実に嬉しいものであった。

このアルバムは"A Very Special Christmas"と同じ趣旨のジャズ/フュージョン版であるだけに,本家同様の豪華さを持っていることが特徴であるが,久々に聞いても,Chick Coreaはいるわ,Herbie Hancockはいるわ,John McLaughlinはいるわ,Diana Krallはいるわ,Brecker Brothersはいるわ,Steps Aheadはいるわ,Anita Bakerはいるわ,更にはDr. Johnまでいるわって感じで,こんなに揃っていたのか~なんて改めて思ってしまった。まぁ,ホリデイ・シーズンならではの企画アルバムだが,冒頭からしてHerb AlpertとJeff Lorberによる"Winter Wonderland"ってだけで掴みはOKであった。いや,マジで豪華ですわ。

2021年12月23日 (木)

Art Blakey & the Jazz Messengers初来日時の記録:悪いはずがない。

First-flight-to-tokyo "First Flight to Tokyo: The Lost 1961 Recordings" Art Blakey & the Jazz Messengers (Blue Note)

1961年のArt Blakey & the Jazz Messengersの演奏に関しては既に1月2日のサンケイホールの演奏がリリースされていたが,これは同年1月14日の日比谷公会堂での演奏。

本作はBlue Noteレーベルからのリリースであるが,装丁がResonanceレーベルのようだなぁと思ったら,プロデューサーはResonanceのZev Feldmanではないか。ってことは今やBlue Noteの社長となったDon WasがZev Feldmanを立ててのことと思わざるをえないが,Webの情報によれば,Feldmanは外部レーベルでの仕事もOKってことになっているようだ。なので,ライナー・ノートもResonance並みにしっかり作ってあって,日本からは湯川れい子,そしてナベサダも寄稿している。それだけでもへぇ~となってしまった私である。

まぁ,演奏に関して言えば,フロントはLee MorganとWayne Shorterを揃えた強力なメンツが揃ったライブであるから,悪いはずがない。しかも初来日に際して,彼らが日本で受けた大歓迎ぶりは今なお逸話として残っているし,ライナーにもBlakeyが感動のあまり涙したと書いてあるぐらいだから,演奏もBlakeyの感動を反映して,実に真摯なものであり,一切の手抜きがない。どこから聞いても,あの頃のJazz Messengersの音って感じで,60年前の記録を今にして楽しむことができることは実に素晴らしいことである。

選曲に関しては,なんで”Now’s the Time"を2回やっているのか?なんて疑問もあるものの,やはりこれは貴重な記録であり,私としては大いに楽しんだ。音源の古さもあるので,ちょいと甘いかなと思いつつ星★★★★☆。

Recorded Live at 日比谷公会堂 on January 14, 1961

Personnel: Art Blakey(ds), Lee Morgan(tp), Wayne Shorter(ts), Bobby Timmons(p), Jymie Merritt(b)

2021年12月22日 (水)

Johnathan Blake:やはりこの人ただ者ではない。

_20211221"Homeward Bound" Johnathan Blake(Blue Note)

Johnathan Blakeの名前を初めて意識したのは,彼がTom Harrellのバンドにいた頃だと思うが,そのJohnathan BlakeがSunnysideレーベルから"The Eleventh Hour"をリリースした時には,その才能に心底驚かされたものである。あまりにびっくりして,2012年のベスト作の1枚にも選んでいる。

その後のアルバムもよかったJohnathan Blakeの新作は何とBlue Noteレーベルからである。私は当初,このアルバムをストリーミングで聞いていたのだが,そのコンテンポラリーな感覚が非常に良かったのでCD購入に至った次第。Blue Noteからのリリースゆえってところもあるだろうが,同レーベルの期待の若手,Immanuel WilkinsとJoel Rossの参加も注目されたこのアルバム,実にレベルの高い音楽となっている。

これはリーダーが優秀なのはもちろん,Blue Noteレーベルがタレントの発掘もきっちりやっていることの証左だ。まぁ,アメリカにはこれぐらいの才能はゴロゴロしているってところなのかもしれないが,こういう感じにはついつい惹かれてしまう。David VirellesのRhodesやMoogの使い方も適切で,これが今の,あるいは現在進行形の真っ当な筋の,あるいはコンベンショナル系から発展したジャズなのかなと思ってしまう。

こういう音楽には生で接して,その本質に触れてみたいと思うので,コロナ禍が落ち着いたら,是非この編成で来日して欲しいと思わせる音楽。突出したところがあるとは言えないかもしれないが,実に平均点が高く,センスがよいので,ついつい評価も甘くなり星★★★★☆。私の年代には絶対響くJoe Jacksonの"Steppin’ Out"とかをやっちゃうのもいいねぇ(笑)。

Personnel: Johnathan Blake(ds, perc), Immanuel Wilkins(as), Joel Ross(vib), David Virelles(p, rhodes, moog), Dezron Douglas(b)

2021年12月17日 (金)

全然聞けていなかったChick Coreaの"Piano Improvisation Vol.2"。

Chick-corea-piano-improvisation2 "Piano Improvisation Vol.2" Chick Corea(ECM)

私はこのVol.1はアナログでも長年保有してきたが,Vol.2についてはECMがChick Coreaのピアノ・ソロを3枚組ボックスにしてリリースした時に初めて入手したのであった。そのボックスがリリースされて10年以上経過するはずだが,このVol.2についてはプレイバックした記憶がない。保有していることに満足してしまっている最たる事例だが,遅ればせながらこのアルバムを聞いて,なんでこれを放置していたのかと後悔してしまった。

Vol.1の出来のよさや,当時のChick Coreaの創造力を考えれば,いいに決まっているのだが,これが実によかった。Wayne Shorterの"Masqualero"の中間部のフリーな展開とかには驚いてしまうものの,いかにもChick Coreaらしい,基本的にはリリシズムに溢れるピアノ・ソロなのだが,そこに時折現れるフリー風味が当時のChick Coreaの音楽性ってところかもしれない。"Departure from Planet Earth"なんて,もはや完全フリーな世界だしなぁ。そこにまたミニマルな雰囲気も醸し出すところが実に面白いのだ。

いずれにしても,こういうのがアルバムとの「縁」なんだろうなぁと思ってしまうが,これまで聞くチャンスはいくらでもあったのに,それに気づかずに時間を過ごしてしまったことを今更ながら反省してしまった私である。取り敢えず買っておいて,後から聞けばいいやなんて思っているアルバムはこれに限った話ではないので,ちゃんとプレイバックの機会を見つけなければと思ってしまう。本作についてはVol.1と"Children’s Song"で聞いた気になっていたってところだと思うが,1971年当時の才気溢れるピアノ・ソロは今聞いても全然古びたところを感じさせないのは立派。

Chick Coreaは惜しくも今年の2月に亡くなったが,彼の残した音楽はまさにレガシーだったと思わされた一枚。放置したことへの反省も込めて星★★★★★としよう。改めてChick Coreaのご冥福を祈りたい。

Recorded in 1971

Personnel: Chick Corea(p)

2021年12月14日 (火)

Steve Colemanとラップは合うねぇ。

_20211211-3 "The Way of Cipher" Steve Coleman and Metrics(BMG France)

Steve Colemanは今でも現役でやっているが,私が一番熱心に聞いていたのは90年代前半までだったと思う。Arista/Novusから出るアルバムに段々マンネリ感を覚えるようになって私としては急速に関心を失っていったというのが正直なところである。

ところが,本作を含むパリでのライブの3部作が95年にリリースされた時には,やればできるんじゃんなんて思っていた(その時のFive Elementsの演奏に関する記事はこちら)のだが,結局のところ,Steve Colemanの魅力はスタジオ録音では捉えきれない部分もあったのかなと思う。

それでもって,このアルバムはFive Elenmentsとラップの融合って感じのアルバムなのだが,これまた実にカッコいいのだ。M-Baseコンセプトに合致したヘヴィーなビートと,3人のラッパーによるラップが実にフィットしていると思えるのだ。別にラップに対して何の思い入れもない私のような人間でさえそう感じるのだから,このカッコよさはある程度普遍的なものと言ってもよいと思う。

結局,私がSteve Colemanに求めていたのはここに聞かれるようなトンガリ感と,M-Base的なビートだったのかなぁと改めてこのアルバムを聴いて思った私である。この音楽を楽しむためには相応のヴォリュームが必要であり,できれば現場を再現するような爆音で鳴らしたいところ。いいねぇ。星★★★★☆。同じラップを交えた音楽としてはBill EvansのPushのライブ盤も結構好きな私だが,随分趣が違うなぁと思った。明らかにSteve Colemanのサウンドの方がヘヴィーだが,Bill Evansの軽い感じも捨てがたい。Bill Evansのアルバムもまだ記事にしていないので,そのうち取り上げることにしよう。

Recorded Live at the Hot Brass Club on March 26 & 28, 1995

Personnel: Steve Coleman(as), Ralph Aless(tp), Andy Milne(p, key), Reggie Washington(b), Gene Lake(ds), Josh Jones(perc), Kaila(dance), Kokayi(rap), Sub-Zero(rap), Black Indian(rap)

2021年12月13日 (月)

久しぶりに取り出したBrad Mehldau参加の珍盤。

Warner-jams

"Warner Jams: A Tribute to Jazz Masters" Various Artists(Warner Brothers)

このアルバムは,このブログを始めて3日目に記事にしている(笑。記事はこちら)。だが,ここに収められた音源を聞くのはそれ以来かもしれない(爆)。ソフトの保有枚数が増えれば,各々のプレイバック頻度が下がること自体は不可避だとしても,ブログを始めてもはや15年近くになるというのに,ほとんどプレイバックしていないというのもひどいものだと思わざるをえない。

このアルバムはジャズマンをデザインした切手のフォリオのオマケとしてついてくるものというのが実に珍しい訳だが,私がこれを入手した頃は,世の中で出回ることはあまりなかった。まぁ,切手のコレクターはそれをコレクションする訳で,手放す訳ないしねぇってところだろうが,それでもDiscogsでは今や簡単に入ってしまうのだからいい時代である。私はeBayで結構安く手に入れたが,Discogsは送料込みにするとそこそこの値段って感じか。まぁ,メンツとか見ると欲しくなる人もいるだろうねぇ。

これは本家"Warner Jams"の残りテイクかと思いきや,よくよく見るとクレジットにはVillage Vanguardでの録音って書いてあるから,ライブでのショーケース音源なのか?って疑問も湧くが,聴衆の拍手は入っていない。4曲だけとは言え,Brad Mehldauが参加している以上,私としてはどうしても入手しなければならなかったもの。Brad Mehldauがフィーチャーされるのは実にブルージーな"Goodbye Pork Pie Hat"だしねぇ。しかし,入手したのはいいものの,15年近くラックに寝かせたままってのもどうなのよ?と反省してしまった。切手含めた中身は上記のような感じ。まぁ繰り返しになるが,そこそこの珍盤ってことで。

2021年12月12日 (日)

Barry Harrisが亡くなったそうだ。

Barry-harris-2

Barry Harrisが亡くなったそうである。ジャズ界におけるまた新たなCovid-19の犠牲者であるが,91歳という高齢だっただけに,感染してしまったのは痛かった。

亡くなる直前まで,オンラインでのワークショップを続けていたとのことなので,近年は教育者としての側面が強くなっていたが,長期に渡る演奏歴を誇る大ヴェテランであった。最初に私が買ったBarry Harrisのアルバムは"Plays Tad Dameron"だったと思うが,もはや手許には残っていない。今,残っているのは数枚であるが,その中から今日は追悼する意味で,Riversideの"Preminado"を聞きながらこれを書いている。

Barry Harrisについてはこのブログで取り上げたリーダー作は"In Spain"だけってのが,私の中でのBarry Harrisの位置づけを示しているとも言えるが,一番聞いたのはSonny Stittのバックで弾いている"Tune Up!"かもしれない(それすらこのブログで記事にはしていないが...)。リーダーともども典型的なバッパーだった二人の共演は実に楽しく,Stittのアルバムとしてもプレイバック比率が高い。

古き佳き,と言ってはいけないが,ジャズの伝統に根差したピアノを聞かせる渋い人だったと思う。

R.I.P.

2021年12月11日 (土)

今更ながらの”Bass Desires”。懐かしいねぇ。

_20211210 "Bass Desires" Marc Johnson(ECM)

私はこのブログにMarc Johnsonのアルバムを何度か取り上げてきたが,そこではことあるごとに"Bass Desires"がどうのこうのという書き方をしてきたように思う。それだけMarc Johnsonと言えばこのアルバムみたいになっていることは間違いない。本作がリリースされたのが1986年なので,私は最初からCDを購入したと思うが,もうそれから実に長い時間が経過した。それでもこのアルバムの持つカッコよさってのは不変だ。

今回,久しぶりにラックから取り出してみたら,随分ジャケが黄ばんでしまったなぁと気づいた私である。まぁ経年劣化ってのもあるかもしれないが,保存状態が悪かった訳ではないはずなのだが...。本作はあまりに好きだったので,米国に渡る際にも日本から持って行ったはずで,ジャケにはMarc Johnsonのサインが入っている。私の記憶が確かならば,サインをもらったのはMarc JohnsonがJohn Scofield Quartet(Joe Lovano入りの頃)でSweet Basilに出た時のはずだ。そう言えばあの時,ジョンアバが聞きに来ていた。私はジョンアバがMarc Johnsonと話しているところに図々しく割り込んだはずだ(爆)。

それはさておきである。ECMらしくないと言えばECMらしくないアルバムである。しかし,このメンツの妙と言うか,全員がリーダーを張れる4人がバンドとして演奏をしているのだ。残念ながら彼らのライブに触れる機会はなかったが,まだこの4人は存命なので,万一再編されるようなことがあれば絶対観たいバンドである。冒頭の"Samurai Hee-Haw"からリスナーは心を捉えられること必定,そして2曲目はColtraneの「至上の愛」から"Resolution"が来て,更に興奮度が上がるのだ。

そしてジョンスコとビルフリという個性の塊みたいな2ギターというのも,好き者には超魅力的。そしてそれを煽るPeter Erskineも素晴らしければ,バンドとしてまとめたMarc Johnsonのリーダーとしての資質を強く感じさせられたことが今でも記憶に残っている。実に懐かしくもいまだに魅力的な傑作と思う。個人的な好みも含めて星★★★★★。

Recorded in May 1985

Personnel: Marc Johnson(b), Bill Frisell(g, g-synth), John Scofield(g), Peter Erskine(ds)

 

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