2020年の音楽を回顧する。

年の瀬も押し詰まってきたので,今年の音楽を回顧することにしたい。このブログにおいても,例年はジャズとそれ以外の音楽に分けて回顧をしてきたが,ストリーミングの一般化に伴い,CDの購入枚数は従来以上に減った気がするし,コロナの影響もあって,ミュージシャンの活動にも制約が生じていたから,例年のようにはいかないというのも仕方ない気がする。通常であれば,ブラジル音楽も取り上げるところだが,今年はブラジル音楽のCDは1枚も買っていないし,ソウル・ミュージックもほぼ購入していない。このブログで取り上げた新譜も30枚そこそこって感じなので,回顧もへったくれもないだろうってぐらいしか,新しい音楽に接していない。そして,ブログにアップしていないアルバムもあるし...。
しかし,そうした中で,やはり印象に残る音楽はちゃんと記録として,そして記憶として残しておかなければならないということで選ぶことにしたい。なので,今年はジャンルに関わりなく,私の中でのベスト盤を挙げるということにしたい。
正直言って,今年は圧倒的に傑出したアルバムはなかったという気がする中で,今でも強く印象に残っているのが須川崇志Banksia Trioによる"Time Remembered"ではないかと思う。まさに緊感感の持続する美学を体現したアルバムとして,このアルバムは高く評価しなければならないと思っていたし,このようなアルバムから日本から生まれたことが実に誇らしい。
そして,オーケストレーションの凄まじさという観点で,Pat Methenyの"From This Place"を外すことはできない,バンドとしての実力はわかっているとしても,それを増幅させたのはオーケストレーションだというのが,このアルバムである。Pat Methenyが大人のおもちゃのようなオーケストリオンを使った演奏は全く評価していない私であるが,このリアルなオーケストレーションは全く文句なしである。壮大かつエキサイティングな音楽とはこれのことである。
発掘という観点ではPaul Desmondのトロント音源集成ボックス以外には考えられない。もともと,この時の演奏を偏愛すると言ってよい私であるが,その時の音源が全部リリースされてしまったのだ。これぞ私の一生の宝と言ってもよいボックスであり,一番入手出来て嬉しかったのはこれである。
ジャズ以外で今年最高のアルバムはLaura Marlingの"Song for Our Daughter"と言いたい。いまやJoni Mitchellが引退状態の中,Joni Mitchellが持っていた音楽性を現代に展開できるのはLaura Marlingだと信じたくなるような傑作。プロデューサーのEthan Johnsの仕事とも相まって,実に素晴らしいアルバムであった。
そして,驚きの新作はDan Pennによる26年ぶりのスタジオ録音,"Living on Mercy"である。老境に達しつつある私にとっては実に味わい深いアルバムであった。Dan Pennと並んで絶対忘れてはならないのがBob Dylanの"Rough and Rowdy Ways"であろう。ジャズを除くアメリカ系音楽としてはこれ以外ないだろうというぐらいの決定的な存在感の2枚であった。
いつもだったら,こういうセレクションにはECMのアルバムが入っているだろうし,Brad Mehldau関係のアルバムも入っているはずなのだが,今年はそうはいかなかった。ECMで言えば,Marcin Wasilewskiのアルバム,Brad MehldauならJoshua Redmanとのアルバムがあったが,私はどっちも心底高くは評価できなかったっていうのが正直なところである。逆に言えば,私も何でもかんでも彼らのアルバムを評価するわけではないってことをご理解願えればよいだろう。はっきり言ってしまえば,彼らにとってはあれは決して成功作だとは思えない。Marcin Wasilewskiに関して言えば,推薦盤扱いにはしたものの,Joe Lovanoとの相性は決して最高とは思えなかったし,Brad Mehldauについて言えば,Joshua Redmanとのリユニオンに対する期待値が高過ぎた。
特に後者については,私の中では絶対あんなもんじゃないっていう気持ちが強かったっていうのが正直なところである。今回のリユニオンは,オリジナルの時代を越えられていないのは明らかで,あの4人が今,集結することによるケミストリーを生み出せなかったことに,私は失望したと改めて言っておきたい。
まぁ,Brad Mehldauの肩を持つとすれば,ソロで演じた"Suite: April 2020"はベネフィット・アルバムとしての意義に満ちた実に美しいアルバムで,相応の評価はするべきだということは付け加えておきたい。後に通常盤としてもリリースされたが,私は1,000枚限定のサイン入り当初盤LPを購入することにこそ,私個人としての意義を見出している。
そのほかにも,あれはどうした,これはどうした?みたいなのもあるのだが,印象深いものということでの選択となった。









































































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