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カテゴリー「ジャズ(2020年の記事)」の記事

2020年11月15日 (日)

久々に聞いた”Barry Harris in Spain”。渋いねぇ。

_20200903 ”Barry Harris in Spain" Barry Harris(Nuba)

ベテラン,Barry Harrisは現在も存命で,12月には91歳になるそうである。そんなBarry Harrisが還暦の頃吹き込んだのが本作である。実はこのアルバムも聞くのはかなり久しぶりって気がするが,このアルバムを聞いていて,ピアノのエコーの掛かり具合が結構いいのかなぁなんて感じていた私である。穏やかな感じなのだ。

音はさておき,全7曲中,5曲をBarry Harrisのオリジナルが占めるが,この人の書く曲がなかなかに魅力的。そして演奏は冒頭の”Sweat Pea"からして渋い。Barry Harrisはバッパーとして捉えられていると思うが,いかにもバップ的になるのは3曲目の”Line of Fire"になってからであり,それまでは実に落ち着いたトーンでありながら,魅力的なフレーズを聞かせる。こういうアルバムを聞いていると,ついつい酒の量も増えるって感じである。この"Line of Fire"がいかにもBud Powell的なのがBarry Harrisの出自をうかがわせるが,まさにバップの世界である。

そうした中で,私はスタンダードのうちの1曲である”Strike up the Band"って曲があまり好きではないのだ。別に悪い曲だというつもりはないのだが,これはJudy GarlandとMickey Rooneyの元気な歌にフィットするものであって,私はジャズ的な響きを持つメロディだと思えない。結構この曲を演奏しているアルバムはあるものの,いつもなんでこの曲を入れるんだと思ってしまうのだ(爆)。しかし,ここでの演奏は不思議と許せる。これはやはりBarry Harrisの落ち着いたピアノのトーンゆえってところで,正直これはいいと思えた。この曲はこういう風に弾けばいいのねって感じと言っては言い過ぎ化もしれないが,本当にそう思ったのだから仕方がない。

ということで,バックの面々も好演で,これは悪くない。まぁ,ジャズっぽいゴリゴリ感はないので,そこが評価の分かれ目って気もするが,私はリピートに耐えうる佳作と評価したい。星★★★★。

Recorded on December 5, 1991

Personnel: Barry Harris(p), Chuck Israeks(b), Leroy Williams(ds)

2020年11月14日 (土)

Chuck Mangione:売れたよねぇ(笑)。

_20201107-2 "Greatest Hits" Chuck Mangione(A&M)

Chuck Mangione,懐かしい名前である。非常に長いキャリアを持つChuck Mangioneであるが,かつてはJazz Messengersにも在籍していたというのには笑ってしまうが,当時出したアルバム"Buttercorn Lady"のピアノはKeith Jarrettだったというのだから,これまたおかしい。私は"Buttercorn Lady"は聞いたことはないはずだが,ストリーミングで聞いてみるのも一興だろう。

そうは言いながら,Chuck Mangioneのキャリアで最も輝いていたのはA&M時代,そしてこのベスト盤に収められている曲がリリースされた75年から81年ということになるが,その中でもやはり"Feels So Good"の大ヒットが大きかった。シングルもアルバムもチャート・アクションはよかったから,この曲がChuck Mangione最大のヒットであることに異論をはさむ余地はない。売れたシングルは大幅に短縮編集されているが,ここに収められたアルバム・ヴァージョンは9分35秒もあり,プレイヤーのソロも収められていて,私はこっちの方がはるかに好きである。それに次ぐのがほぼ"Feels So Good"の路線を踏襲しながら,やや哀愁度を高めた”Give It All You Got"ってところか。

このベスト盤を聞いていると,Chuck Mangioneの音楽は実に聞きやすいものであり,それなりに人気が出るのも理解できる訳だが,その一方で,これはジャズってよりも映画音楽的な響きもあるなぁって感じである。実際,映画「キャノンボール」のテーマ曲もあるしねぇ。そして聞いていて,私は心地よい眠りに落ちたことは書いておかねばなるまい。まぁそういう音楽として楽しめばいいのであって,この人の音楽には小難しいことを言っても仕方がないってところだろう。

このベスト盤は結構な佳曲揃いであることを評価して星★★★★。個別のアルバムに手を出す気はないが,これは持っていても損はないと思っている。

2020年11月13日 (金)

Jackie McLeanがなんだかんだ言って好きなのだ。

_20201011-2"Demon's Dance" Jackie McLean(Blue Note)

いきなり唐突ではあるが,このアルバムが結構不幸だと思うのは,何かと言えばLPで言えばB面1曲目の"Sweet Love of Mine"のことばかりが取り上げられて,アルバム単位で話題になることが少ないことではないか。そうは言ってもこのジャケじゃ文句も言えないのは事実である(きっぱり)。

私は前にも書いたことがあるが,Jackie McLeanの音楽を聞いていると,そのちょっとフラット気味の音色に違和感をおぼえることが多々あるものの,全部が全部という訳ではないということは本作を聞いてもわかる。本作のトーンには日頃感じる違和感はないし,モーダルながらいかにも60年代後半って感じの演奏には嬉しくなるだけである。いかにも新主流派である。確かにWoody Shawが書いた"Sweet Love of Mine"は昭和歌謡みたいな感覚を覚えさせるいい曲である。だが,このアルバムの魅力をその1曲だけに帰結させていいのかと言われれば,それは違うだろうと言いたくなる。

アルバムを通して聞いてみれば,冒頭から,おぉっ,これはいいよねぇと思わせる快演揃いである。こういうのは我が家のしょぼいオーディオで聞くより,ジャズ喫茶で相応の音量で聞くべき音楽だと思える。小音量で聞いてもいい音楽もあると言えども,ヴォリュームを上げて聞いた方がいいに決まっている音楽は絶対あるのである。これなんか,家人のいぬ間にノブを右に回したいタイプの音楽だ(爆)。

そしてWoody Shawである。このアルバムが吹き込まれた頃はまだ20代前半だったはずのWoody Shawであるが,若き才能を炸裂させているのは先日取り上げたBarney Wilenと通じるところがある。若い人は,どんなに若くても凄いのである。ラッパで言えば,Clifford Brown然り,Lee Morgan然り,そしてRoy Hargrove然りである。そうした中ではWoody Shawは陽の当たり方が足りなかったなと思う,遅れてきたWoody Shawファンの私であるが,もっと早く彼の魅力を認識すべきだったと思っても,その時には彼は世を去っていた...。

いずれにしても,このアルバムは実にいいと思うし,もう少しプレイバックする頻度を上げねばと思ってしまった。星★★★★☆。

Recorded on December 22, 1967

Personnel: Jackie McLean(as), Woody Shaw(tp), LaMont Johnson(p), Scotty Holt(b), Jack DeJohnette(ds)

2020年11月12日 (木)

Dennis Chambersの"Outbreak"。これも久々だ。

_20201105-2 "Outbreak" Dennis Chambers (ESC)

Dennis Chambersってのは実に優れたドラマーで,リーダー・アルバムも何枚か出しているが,私はこの人はリーダーとしてよりも,バックからバンドを煽り,ドライブさせる方がいいのではないかと思える。そういう意味ではリーダー作より,誰かのバックで弾いている方がいいと思うことが多いMichael Landauと同じ印象を与える。

そんな中で,私がこの人のリーダー作で一番いいと思っているのは,初リーダー作である"Getting Even"なのだが,あれも久しく聞いていないので,その感触にはあまり自信がない(爆)。しかし,以前,このブログでも"Planet Earth"を辛辣に評価した(記事はこちら)ように「何でもあり」か感が出てしまうのは本作も同様。私から言わせれば,オーヴァー・プロデュースなのである。

ここでもいろいろな演奏が収められているが,もう少し一本筋を通した方がいいのではないかってのが正直なところである。私にとっては,Dennis Chambersは猛爆ドラマーとして叩いてくれればいいのである。だからこのアルバムでもジョンスコとやった2曲(ベースはなんとGary Willisである)は実にいいと思うし,Michael Breckerとのタイトル・トラックもいい(これもベースはGary Willisだ)。ホーン・セクションが入る分厚いアレンジよりも,少人数での演奏の方が魅力的に思えるのだ。

世の中の優秀なドラマーは作曲能力にも優れているが,デニチェンの場合はそうではない。だからこそアルバムはプロデューサーに依存してしまう部分が出てくる訳だが,魅力を活かそうとし過ぎるから,オーヴァー・プロデュースになってしまうのは致し方がない部分もあるだろう。しかし,私はタイコ叩きとしてのデニチェンの魅力を追求するならば,シンプルな演奏で十分だと思えるのだ。

そういう訳で,このアルバムもいいと思えるものと,イマイチだと思える部分が混在している作品で,実にもったいないと思ってしまった。星★★★。まぁ,それでも10分を超えるタイトル・トラックを聞いて燃えなければモグリと言われても仕方ないが(笑)。

Recorded in February and April, 2002

Personnel: Dennis Chambers(ds), Michale Brecker(ts), Bob Malach(ts, bass-sax), Randy Brecker(tp), John Scofield(g), Jon Herrington(g), Jim Beard(p, el-p, synth, org), Dean Brown(g, b), Nick Moroch(g), Will Lee(b), Gary Willis(b), Rodney "Skeet”Curtis(b), Matthew Garrison(b), Art Tuncboyaciyan(perc), Jim Hynes(tp), Jim Hynes(tp), Michael Davis(tb), Aaron Heick(as)

2020年11月11日 (水)

なんだか凄いメンツが揃っていたBilly HartのGramavision盤。

_20201107 "Oshmare" Billy Hart (Gramavision)

クロゼットを漁っていたら出てきたのがこのアルバムである(笑)。保有していたのは記憶していたし,メンツも結構豪華だったはずだという記憶はあったのだが,ここまでとは...って感じのメンツではないか。

私は,何だかんだと言って,Billy Hartが参加したアルバムは結構保有しているはずである。長年活動するQuestのアルバムなんかその最たるものであるし,そのほかにもありとあらゆるミュージシャンと共演しているのは,信頼の厚さの表れではないかと思える。

共演者としてだけでなく,今でもECMからリーダー作をリリースし続けるBilly Hartであるが,これはGramavisionレーベルということもあり,随分と感じが違う。メンツからも想像できる通り,かなりコンテンポラリーな響きの演奏である。だからと言って,決して先鋭的ではない,比較的な中庸な路線と言ってもよいが,どうやったらこういうメンツになるのかという不思議さを持ったものであることは間違いない。

サウンドを面白くしているのは,Bill Frisellであり,Didier Lockwoodではないかという感じだが,その一方で強力なホーン2人は思ったほどでもない。その辺はちょっともったいないという気がしないでもないが,どちらかと言えば,ソロイストと言うよりも,アンサンブルで聞かせるアルバムのような気がする。それこそいろいろなタイプの曲が揃っていて,捉えどころがないと言えばその通りだが,私としてはなかなか面白く聞けたアルバムであるが,星★★★☆ってところが妥当だと思う。

しかし,私は全然認識していなかったのだが,こんなものまで廉価盤で出ていたんだねぇ。日本ってやっぱり凄いわ(笑)。

Personnel: Jabali Billy Hart(ds), Steven Coleman(as), Brandford Marsalis(ts), Kevin Eubanks (g), Bill Frisell(g), Mark Grey(key), Kenny Kirkland(key), Dave Holland(b), Manolo Badrena(perc), Didier Lockwood(vln)

2020年11月10日 (火)

現物はこれからだが,Fred Herschの新作を聞いた。

Songs-from-home "Songs from Home" Fred Hersch(Palmetto)

近年,活動を活発にしているFred Herschであるが,このコロナ禍の中でも,ストリーミングでライブ演奏を聞かせたりして,厳しい状況の中でも音楽活動を継続している。本作はそんなFred Herschがタイトル通り「自宅(別宅らしいが...)で録音」したアルバムのようである。現物はまだ来ていないので,公開されているストリーミング音源で早速このアルバムを聞いてみた。

私はFred Herschのソロ・ピアノを聞いていると,素晴らしい美学を感じる訳だが,今回もFred Herschの魅力は十分に捉えられていると思う。冒頭の"Wouldn't It Be Loverly?"は"My Fair Lady"からの曲だが,元歌は軽くバウンスするような感覚の曲であるが,ここから静謐なタッチで,Fred Herschらしい美しさが感じられて,これで掴みはOKである。これに続いて,Jimmy Webbが書いて,Glen Campbellが歌った"Wichita Lineman"ってのがジャズ界では珍しい選曲だと思うが,これがまた泣かせる。もともと,素晴らしい曲であるが,このメロディ・ラインを実に楚々とした感覚で演奏していて,見事なインタープリテーションだと言ってよい。

正直言ってしまうと,ラストに収められた”When I'm Sixty Four"はほかの曲と並べると異色感が高まってしまうようなところもあり,Joni Mitchellの”All I Want"や,Duke Ellingtonの"Solitude"等に比べると印象が薄い(あるいは,最後がこの曲で適切だったのかって)気もするのだが,Fred Herschの心象風景としての選曲だったということと解釈しよう。

総体的には,いつも通りのFred Herschという感じで,改めてこの人のピアノには魅力的であり,ヒーリング効果があるなぁなんて思ってしまったが,やはりいいものはいいのだということで星★★★★☆。

Recorded in August, 2020

Personnel: Fred Hersch(p)

2020年11月 9日 (月)

Art Pepperの山形でのライブ盤を聞くのは何年振りか?

Not-a-through-street "Not a Through Street" Art Pepper(Toy's Factory)

このCDがリリースされたのは30年前,丁度私がNYCに渡った後ぐらいのことで,友人に頼んで送って現地に送ってもらった記憶がある。当時はAmazonみたいなサービスはなかったのだ(笑)。

Art Pepperについては薬物更生施設,シナノンに入る前がいいか,娑婆に出てきてからがいいかには議論があるが,まぁどちらにもそれなりの良さがあると思っている。私がArt Pepperのアルバムで一番好きなのは"Modern Art"だが,Vanguardのライブ盤も好きなのでやっぱり両方好きなのだ。

そんなArt Pepperの後期のアルバムは結構な数が出ているが,これも1978年に録音されていた音源が1990年に発掘されたものである。このアルバム,結構クロゼットの奥深くに格納されていて,聞くのは実に久しぶり。つくづく最近こういう表現が多いが,こうしてあまり聞かない(聞けない)音源を聞けるのも,在宅勤務による時間の自由度によるところが大きい。

それはさておき,後期のArt Pepperはモーダルなアプローチを交えているのが,昔のファンには気にいらないようであるが,本作においても,"Besame Mucho"をやっていながら,"A Love Supreme"のリズム・パターンと交錯させ,”A Love Supreme"のフレージングも使ってしまうという反則みたいな技も使っているのには久々に聞いた私は驚いてしまった。

ここではバラッドでもアップ・テンポでも結構痺れる演奏をしているところに,当時のArt Pepperの好調ぶりがうかがえる。 ”Summer Knows"なんてマジでいいねぇと思わせるバラッド表現も聞かせるし,こういうのは酒を飲みながら聞くのが一番である。バックのトリオも好演で,日ごろ,私がイモだと思っているCarl Burnetteもここではあまり出しゃばらずに,比較的真っ当なドラミングなのは助かる。見直したのがMilcho Levievのピアノである。ここでの演奏ぶりはかなりいいと思える。そのMilcho Levievも昨年亡くなったようで,時の流れを感じさせる。先述の通り,アルバムのリリースから30年,録音からは42年も経過しているのだからそれは当たり前であるが,こういうアルバムを聞いて,ありし日のArt Pepperを偲ぶってのも結構よかった。星★★★★。

Recorded Live at YBC TV Hall on March 14, 1978

Personnel: Art Pepper(as), Milcho Leviev(p), Bob Magnusson(b), Carl Burnette(ds)

2020年11月 8日 (日)

Dexter Gordonのワンホーンを楽しむ。

_20201103"Manhattan Symphonie" Dexter Gordon (Columbia)

昔のこのブログの記事を振り返ってみると,私がこのアルバムも入ったDexter Gordonのボックス・セットを購入したのは8年以上前のことになる。それから時間は大いに経過しているにもかかわらず,私はこのアルバムを全然プレイバックしていなかったことに気づいてしまった。

実を言えば,「一軍」(笑)のCDを収納している棚がきつきつになってしまったので,一部のCDを「一軍半」に格下げするべく,棚を整理していたのだが,そのついでにこのボックスを取り出してみた。よくよく見てみると,このアルバムがワンホーンだったってことさえ認識していなかったのだから,反省して聞いてみるかってことになった訳である。

Columbiaレーベル時代のDexter Gordonは長らくの滞欧からの復帰ということで,大いに持ち上げられていたものだと思う。私が生まれて初めて購入したスウィング・ジャーナルの表紙は確かDexter GordonとWoody Shawだったはずで,後に廃業に至る同誌からすれば考えられないような人選だったと言ってもよいが,それだけ話題になっていたということなのかもしれない。だが,その当時の私は,当たり前だがそんなことは知る由もない。

それはさておきである。Dexter Gordonの帰米後の活動においては,Woody Shawが聞きものの一つと言ってもよかったはずだが,そこをワンホーンでやってしまうということは,当然Dexter Gordonのショーケース的な演奏になるってことと想定される。もちろん,ここでは主役としてちゃんと吹いているDexter Gordonだが,バンドのメンツにソロのスペースもちゃんと与えているのは,収録時間の長さ故の部分もあろう。だが,ピアノのGeorge Cablesは実にいい仕事をしていると思わせる。フレージングに華があると思わせるのだ。

Dexter Gordon自身の演奏自体も悪くないと思うのだが,録音のせいなのか,Dexter Gordonのテナーがのっぺりした感じを与える。だが,ボリュームを上げるとそういう感覚は薄れるから,このアルバムはある程度ボリュームを上げて聞かないと,魅力が捉えにくくなるように思える。その一方で,例えば"Body & Soul"なんてこのアレンジメントが最適とは思えないような感じで,この辺りも評価を下げる要因になってしまう。策を弄さなくともちゃんと吹けるはずなのだが...。

そんなこともあって,私としては本作よりも,以前取り上げたカフェ・モンマルトルでのライブ盤の方がずっといいと思えてしまったというのが正直なところである。星★★★☆。やっぱりこのアルバムは,小音量で魅力を感じさせられない録音で損をしている気がするなぁ。

Recorded on May 1-4,1978

Personnel: Dexter Gordon(ts), George Cables(p), Rufus Reid(b), Eddie Gladden(ds)

2020年11月 6日 (金)

Larry Youngを久しぶりに聞く。

_20201105 "Into Somethin'" Larry Young (Blue Note)

このブログにおいて,Larry Youngのリーダー作を取り上げるのは今回が初めてである。だったら"Unity"でいいんじゃない?って感じだが,そこは天邪鬼な私である(笑)。

本作はLarry YoungのBlue Noteレーベルでの第1作となるもので,なかなかいいメンツが揃っている。異色なのはSam Riversだろうが,この頃はBlue NoteがSam Riversを売り出そうとしている時期に重なるから,期待の中堅(録音時は不惑を過ぎている)ってところだったのだろう。かたやLarry Youngは20代半ばってところで,若手である。まぁ,Blue Noteのオルガンって言えば,Jimmy Smithってことになるのだが,Larry YoungはJimmy Smithとは違う個性を打ち出している気がする。私の感覚ではJimmy Smithの方がアーシーでソウルフルな感じがするのに対し,Larry Youngはよりモダンな感覚が強いって気がする。そういう違いも出そうってところだったのかもしれない。

このアルバムを聞くのも実に久しぶりで,滅多にプレイバックされない(爆)のだが,そこは在宅勤務の強みというか,今まで聞くチャンスが少なかったアルバムを聞くチャンスが増えているのである。音楽があると仕事もはかどるしねぇ(笑)。そして,このアルバム,実に聞いていて心地よいスウィング感に満ちている。こういうのは絶対に仕事の邪魔にはならないのである。まぁ,耳がそばだってしまって,集中力が下がるという懸念はあるものの,物書きとかスライドを作っている背後にこういうのがプレイバックされていると,キーボード操作が進む~って感じなのだ。

こういうのを聞いていると,Blue Noteレーベルの音楽には,もちろん出来不出来はあるものの,普遍的な魅力があるんだろうなぁって今更ながら思ってしまう。Elvin Jonesなんて,John Coltrrane Quartet活動の最盛期みたいな時期であるが,ちゃんとここはここでBlue Noteあるいはこのアルバムのトーンに合わせてやっているのだから大したものだと感じざるをえない。

ということで,このアルバムで仕事がはかどった私であった。星★★★★。

Recorded on November 12, 1964

Personnel: Larry Young(org), Sam Rivers(ts),Grant Green(g), Elvin Jones(ds)

2020年11月 3日 (火)

Keith Jarrettの新譜がリリース。今はこれを買ってKeithをサポートするって感じだ。

Budapest-concert "Budapest Concert" Keith Jarrett(ECM)

Keith Jarrettが脳卒中により左半身に影響が出て,少なくとも左手はピアノを弾ける状態にないという報道は実にショッキングであった。New York Timesのインタビューに本人が答えてのことであるから,実際に今後の復帰は困難ということになってしまうのだろう。しかし,慢性疲労症候群を克服し,見事に復活したKeith Jarrettのことである。演奏活動は無理だとしても,その快復を祈らざるを得ない。

そんなKeith Jarrettの病状を知ってのことかどうかはわからないが,ECMからまたもライブ盤がリリースされた。今回は昨年リリースされたミュンヘンでのライブのほぼ2週間前の演奏である。これだけの短いインターバルでの演奏をリリースすることはECMでも珍しいことだろうし,ジャケもペーパー・スリーブになっている。こういうのはKenny Wheelerが亡くなった時に,彼の遺作"Songs for Quintet"が同じようにペーパー・スリーブでリリースされたのとかぶってしまい,ついつい深読みしたくなってしまう。そして,今回もアルバムに振られた番号はキリ番である。Keith JarrettはECMにとって特別な存在なのだと思わざるをえないが,レーベルへの貢献度を考えれば当然であろう。

それはさておき,ここでの音楽である。近年のKeith Jarrettはアブストラクト度が増し,特にコンサート前半ではかなり現代音楽的な響きを聞かせながら,後半においては美的なメロディを交えた演奏を展開するという「パターン」が出来上がっていたが,本作もほぼ同様の流れで演奏は構成されている。ただ,ディスク1のアブストラクト度はミュンヘン盤より控えめな感じがして,聞きやすさとしてはこちらの方が上だと思える。

そしてディスク2に入ると,想定通りずっと聞きやすい演奏が展開される。美的なメロディあり,ブルーズ・フィーリングありと,これは悪く言えば予定調和であり,驚きはない。私は正直言って,Keith Jarrettのソロ・ピアノのアルバムが今後出ても買うかどうか迷うなぁと思っていたのも事実なのだが,今回ばかりは例外としてもよいと思った。それはKeith Jarrettの闘病をサポートするための「印税」,言い換えれば微々たる額の寄付だと思えばいいからだが,私にそう思わせるミュージシャンはそれほど多くはいない。

私たちがKeith Jarrettの生演奏に触れる機会はもうないのかもしれないが,彼が残した業績は見事なものとして人々の記憶に残っていくはずである。今回の演奏もそう思わせるに十分。ただ,Keith Jarrettの病状を踏まえたセンティメントが,このアルバムをより高く評価させてしまうって感じがする。星★★★★☆。それでもリスナーが求めるのはCD2の音の方だろうな(きっぱり)。

Recorded Live at Bela Bartok Concert Hall, Budapest on July 2, 2016

Personnel: Keith Jarrett(p)

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