"Live at Budokan" Quincy Jones(A&M)
実に懐かしいアルバムである。私は以前,このアルバムを保有していたのだが,いつの間にやら売ってしまったものの,その後本作が廃盤状態となるや,また聞きたくなるというアホなパターンを繰り返してしまった。それでもCDはとんでもない値段がついているので,比較的入手しやすいLPでの中古盤をゲットしたのである。入手したのは見本盤だけに,売るときは買い叩かれるだろうが,私が生きている間はよほどのことがない限り売ることはないからまぁいいや(爆)。
そしてデリバリーされたLPをプレイバックしていて,実に中身をよく覚えていることに我ながら感心してしまったのであった。ここに刻まれている音をほとんど記憶していたと言っても過言ではないから,売ってしまう前は相当聞き込んでいたってことになる。今の時代であれば,完全版とかをリリースしてもいいのではないかと思えるような演奏が収めれらていてうれしくなってしまうが,オーディエンスの拍手なんかには結構編集された感じがあるのもご愛敬って感じだろうか。
以前LPを保有していた時から,豪華なメンツだよなぁと思っていたのだが,やっぱりこれはかなりのイベントであったということを感じさせる。Toots Thielemansがここにいるということ自体が凄いことであるし,リズムはLouis JohnsonにJohn Robinsonだもんなぁ。どうせならこのライブの場にいたかったというのが今となっては夢のまた夢であるが,私は大学に入ったばかりの1981年だし,おそらくチケットの入手を試みた記憶もないから,入学前にチケットは発売されていたのではないかと思う。まぁ,私がその頃Quincy Jonesの音楽に興味を示していたかと言えば,それも疑問なのだが...。でもこれは観ておきたかったと思わせるものである。
LPのA面で言えば,やはり"Just Once"である。James Ingramはほぼオリジナル同様の歌唱を聞かせて,実にうまいと思わせるし,つくづくいい曲である。桑田佳祐が嘉門雄三という変名で歌った時に知ったこの曲であるが,James Ingramのためにあるような曲だというのを痛切に感じさせる。それに続くのが”Razzamatazz"だが,ここでのPatti Austinの歌唱も素晴らしい。アルバムとしてはB面に盛り上がりを持って行こうとしているが,私はA面のこの2曲の歌に痺れていたことを思い出してしまった。
B面は”Stuff Like That"から”Bluesette",そして「愛のコリーダ」という鉄板の流れであるが,まだこの頃はToots Thielemansが口笛とギターのユニゾンをやっている。その"Bluesette"では,こんな難しいフレーズを口笛でやらなくても...と思わせるようなところもあるし,口笛がフラット気味なのは武道館という音場ゆえかと思わせるところもあるが,それはそれとしてもやはり味わいがあったなぁと思わせる。
いずれにしても,廃盤にしておくのはもったいないと思わせる音源であるが,廃盤なのは権利関係の難しさなのかもしれない。しかし,久しぶりに聞いてもこれはなかなか強烈なライブ盤であった。何だかんだ言ってこういうのが好きなんだなぁと再認識した次第。反省も込めて星★★★★★。それにしても豪華なメンツなのは,もはやバブルの萌芽だったのかもなぁ。もしNHKに映像が残っているのであれば,是非再放送して欲しいものである。山口百恵やキャンディーズもいいが,こういうのもやってくれるといいのだが。
それにしても,アルバムの最後にPatti Austinらしき声で,「さよなら,どうもありがとう」と言っているのが聞こえるのだが,完璧な日本語の発音,イントネーションだったって感じていたのを改めて思い出してしまったが,実にそれが印象に残っていた。Quincy Jonesの「パーティしましょうか」とか言っているのが適当な日本語の発音であるのと大違い(爆)。
Recorded Live at 日本武道館 on July 9, 1981
Personnel: Quincy Jones(key, cond), Greg Phillinganes(key, synth, vo), Rod Temperton(key, synth, vo), Carlos Rios(g, vo), Jea(n "Toots" Thielemans(hca, g, whistle), Louis Johnson(b, vo), Ollie E. Brown(perc), James Ingram(vo), Patti Austin(vo), Peggy Jones(vo), Vivian Cherry(vo), Jana Tyler(vo), 原信夫とシャープス&フラッツ and Others
最近のコメント