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カテゴリー「ライブ」の記事

2026年1月17日 (土)

Boone's Farm@ビルボード・ライブ東京参戦記。前日のBlue Noteのリベンジにはなったな(笑)。

Boonesfarm

Boone's Farmって言ったって,何じゃそれは?になるのだが,Steve LukatherとMichael Landauという2ギターのバンドと聞いては,これは気になる。しかもリズムはTim LefebvreにKeith Carlockという超強力なコンビである。この4人に比べるとキーボードのJeff Babkoが地味に感じるが,BabkoだってSimon Phillipsと双頭アルバムを残している人であるから,バンドとしてはどうやってもおぉっとなるメンツなのだ。昨日のGentle Thoughts Reunionに続いて痛い出費となったが,これも仕方ない。

彼らの東京公演もGentle Thoughts同様,3日間全セットがフルハウスという人気ぶりだが,Blue Noteと違って,私はBillboard Liveというヴェニューではいつも1ドリンク付きで比較的割安のカジュアル・シートで観ることにしていて,今回もいつも通りカジュアル・シートでの参戦となった。ヴェニューに何を求めるかにもよるが,私にとっては音楽を聞く分には全然問題ないのだ。

そしてライブはオーディエンスが期待する感じのソリッドな演奏が続いて,そうそう,こういうのが聞きたかったって欲望を満たしてくれるものだったと思う。昔はMichael LandauはSteve Lukatherのクローンのようなプレイぶりも示していたが,今や完全に違うスタイルのギタリストになったというのを実感できたのも嬉しい。Steve LukatherはあくまでもSteve Lukatherとしてのプレイぶりに対し,Michael Landauは以前のソリッド感からは変化したのはJames TaylorやらSteve Gaddのバンドでのプレイが多かったこともあったかもしれないが,確実に個性の違いが出ていたと思えた。

ステージでは懐かしやMichael Landauの初リーダー作"Tales from the Bulge"から"I'm Buzzed"をやったり,Miles Davisの"Tutu"やらJeff Beckの"The Pump"をやったりと,私のような高齢者には嬉しくなるような曲もプレイし,まぁセッション向きだよなと思えるものの,演奏自体は実に満足度が高いライブだった。

今回の主役はギタリスト2人であることは間違いない事実だが,ちゃんとバンド・メンバーにもソロ・スペースを与えていたのは大いに結構であるが,Tim Lefebvreはバッキングは間違いないが,ソロは...の部分があったし,それが中だるみ感を生んだのは否定しない。しかしJeff Babkoはバックアップに徹する感じながら,ソロは結構いけていたし,Keith Carlockのドラムスは相変わらずの歌心を感じさせるもので,やっぱ凄いわと思っていたのであった。

今回のライブは確実にロックが底流にあるもので,そのサウンドに身を委ねていればOKみたいなところがあったが,前日のBlue Note東京でのLee Riternourご一行への不満は払拭してもらえたと思っている。あ~楽しかった,と思えるライブであった。

しかし,甚だ余談だが,Steve Lukatherが玉置浩二みたいなブロンド系白髪(?)になっていたり,Michael Landauがスキンヘッドになっているのは驚いた。私が前日にライブの開演前に一杯やっていたBlue Noteのバーに彼らが入ってきても気づかない訳だ。

Live at Billboard Live東京 on January 15, 2026,2ndセット

Personnel: Steve Lukather(g,(g, vo), Michael Landau(g, vo), Jeff Babko(key, vo), Tim Lafabvre(b), Keith Carlock(ds)

2026年1月16日 (金)

Gentle Thoughts Reunion@Blue Note東京参戦記。はっきり言って最悪のPAであった。

Gentle-thoughts-at-bnt 今年最初のライブに参戦すべく,Blue Note東京に出掛けてきた。

Lee Ritenourほかによる"Gentle Thoughts"は懐かしいアルバムだ。ダイレクト・カッティングによる音のよさを売りにしていたが,私にとっては"Captain Fingers"で聞かれた超絶ユニゾンに興奮させられたのももはや50年近く前のことである。そんな彼らが,Lee Ritenour,Patrice Rushen,そしてHarvey Masonというオリジナルのメンバー3人を揃えてリユニオンするということで,懐かしさもあってBlue Note東京に向かったのであった。今回は4日間の公演だが,全セットがフルハウスという人気ぶり。同じように懐かしむ人々が多いってことか。

本来リユニオンと言うのであれば,ホーンのErnie Watts,亡くなったベースのAnthony Jackson,そしてパーカッションのSteve Formanが揃ってこそではあるのだが,Ernie WattsとSteve Formanは最近の消息が伝わっていないので,仕方がないところか。そしてベースはAnthony Jacksonに代わって,昨今Lee Retenourとの共演が多いMelvin Davisなのは妥当なチョイスってところだろう。

Lee Ritenourにしろ,Patrice Rushenにしろ,Harvey Masonにしろ各々が自分のバンドで来日してしまうメンツだけに,ギャラが高くなるのも仕方ないが,昨今のブルーノートのチャージは高騰している上に,アリーナは¥2,200の追加料金が必要というのは困ったものだ。しかし,懐かしさに負けた私は速攻で予約し,ステージ前ほぼかぶりつきの参戦となった。

それはいいのだが,演奏が始まって,私は異常なLee Ritenourのギターの音量に驚かされた。ギターの音で身体に振動が伝わるぐらいのレベルで,ハードロックか?と言いたくなってしまった。今までBlue Note東京でLee Ritenourのライブは何度か 見ているが,これほどまでギターの音量が上がっていた経験はない。音割れしているとさえ感じるようでは,繊細なニュアンスなんて伝わらないと一瞬にして思った私である。ベースとドラムスはある程度聞き取れるものの,Patrice Rushenのピアノ,キーボードが極めて聞き取りづらいレベルであり,バランスの悪さに最初から辟易としてしまった。中盤以降は多少はましになったとはいえ,それでも全編を通じてギターのボリュームが過剰であったことは否めない。

音の悪さに加え,Gentle Thoughtsのリユニオンと言うならば,往時のレパートリーをやって然るべきだと思うが,ほとんどLee Ritenourのアルバムからの選曲であり,例外は最後に演奏した"Captain Fingers"だけってのはどうなのよ?と思っていた私である。もちろん,上述の通り,アルバムに収められた"Captain Fingers"に興奮した人間にとっては,嬉しい選曲ではあったものの,今回の演奏が全くいけていなかったことはLee Ritenour本人も自覚していたはずだ。とにかく指が動いていないし,キメこそが重要なユニゾンも乱れるようでは何をかいわんやだ。大変な難曲であることは承知していても,Lee Ritenourというギタリストは演奏を完璧にこなすことが当然と思っていただけに,今回の体たらくは長年のファンである私にとっても衝撃であった。ごまかしっぷりが許せないと思ったのは私だけか?

Patrice RushenもHarvey Masonは真っ当にプレイしていたし,Melvin Davisは7弦ベースを中心に安定したバックアップぶりであっただけに,Lee Ritenourのギターの音が私にとっては大いに不満であった。演奏の質はさておき,音が耐えられないレベルであり,こんな演奏にスタンディング・オベーションを送る気には一切なれなかったと言っておく。Blue Note東京ではPAに泣かされることは何度かあったが,Lee Ritenourだけに今回の失望感は大きい。新年最初のライブがこれとは縁起が悪い(きっぱり)。

Live at Blue Note東京 on January 14, 2026,2ndセット

Personnel: Lee Ritenour(g), Patrice Rushen(key), Harvey Mason(ds), Melvin Davis(b)

2025年12月23日 (火)

2025年の回顧:ライブ編

Photo_20251220153501

年の瀬も押し迫ってきたので,今年の回顧を始めようと思う。最初は年内の予定が終了したライブからである。今年行ったライブだが,計31本。大体月あたり2.5本ってことになる。昨年も31本だったから全く同じペースであった。

今年はがっくり来るようなライブはほとんどなく,基本的には満足のいく演奏を聞かせてもらったと思うが,その中でも印象に残っているのが,Brad Mehldau~Christian McBride~Marcus Gilmore@紀尾井ホール,Brian Blade & the Fellowship Band@Cotton Club,SFJazz Collective@Blue Note東京,そしてKlaus Mäkelä+パリ管@サントリーホール。一方,参考までにではあるが,一番つまらなかったのがJames Mason@Blue Note東京であることは間違いない(きっぱり)。

Mehldau~McBride~Gilmoreは実力者によるトリオによるオーセンティックなジャズ演奏の醍醐味を感じさせたし,Brian Bladeはゴスペルに根差した音楽性をリアル体験できたことの喜びが大きかった。SFJazz CollectiveはクリポタことChris Potterのリーダーシップもよい上に,メンバーのソロのレベルも上々だった。そしてKlaus Mäkelä+パリ管が聞かせた躍動感は実に素晴らしく,本当にワクワクしてしまったのであった。いろいろな意味で最も楽しんだのはKlaus Mäkelä+パリ管だったかもしれない。ということで,代表するライブとして彼らのコンサートの模様の写真を貼り付けておこう。

そのほかにもCamila Mezaもよかったし,Lars Janssonもよかった。Arooj Aftabは面白かったし,Stingも楽しかった。そして急遽お誘い頂いて参戦した上原ひろみのエンタテインメント性溢れる演奏も忘れられない。ということで,今年も充実したライブ通いだったと思う。来年の一発目はLee RiternourのGentle Thoughtsリユニオンだが,Anthony Jackson追悼も込めた素晴らしい演奏を期待したい。

2025年12月20日 (土)

今年最後のライブは森山威男~山下洋輔デュオ@Blue Note東京。

Photo_20251218075201

年内での一旦の活動休止と休養を宣言している山下洋輔であるが,現在,非常に活発なライブを行っていて,年内は目一杯スケジュールされているようにも思わせる。しかし,山下洋輔も83歳という年齢を考えれば,無理はできないという判断もあっての活動休止だろうが,その割にこのところの働きっぷりはやり過ぎという気がしないでもない。一方の森山威男も80歳を過ぎている。そんなこんなで,この機会を逃すと,次に山下洋輔,あるいは森山威男とのデュオを観る機会があるかどうかもわからないということで,Blue Note東京へと足を運んだ。

Stage-at-bnt_mosaic

これが私にとっての本年最後のライブとなるだけに,どういう演奏をするかにも関心はあったが,やはりこの二人らしい演奏への期待値は高かったのだ。到着すると,どうもいつもと聴衆の感じが違うように感じられたのはこの二人だからかもしれない。また,ステージのセッティングも今までに見たことがないようなもので,座席もアリーナの隅っこの席をあてがわれていた私にとっては,むしろ見晴らしのいい席だったと思えたのであった(写真は聴衆のプライバシーを保護するため,顔が写っている場合はモザイクをかけてある)。

At-bntjpg 演奏は"But Not for Me"(だったと思うが,"Bye Bye Blackbird"だったかも...)から穏やかにスタート。山下洋輔のピアノには枯れた味わいすら感じさせたが,その一方で森山威男はスティックで結構派手に叩いていた。しかし,彼らに求めたいのは2曲目にやった"Clay"のようなトーンだと思ったし,聴衆もそっちへの期待が大きいのは"Chiasma"をやった時の反応を見ても明らかだろう。山下洋輔は休養を宣言しているだけに,ピアノの打鍵は少々力感が薄れたようにも感じられるものの,相変わらずの洋輔的フレージングをかましていた。一方の森山威男は叩くわ,叩くわって感じで,特にシンバルの強打が印象的で,強烈なパルスを生み出し,ほんまに傘寿か?と思っていた私である。しかし,トークになると洋輔は軽妙かつ明快なのに対し,森山の滑舌の悪さが顕著で,全く対照的なのもの彼ららしいと思ったのであった。

トークでは昔話に花が咲くって感じだった彼らだが,演奏に関しては,年齢を超越したものであり,山下洋輔は休養すれば復帰できるだろうと思わせたのであった。いずれにしても,これが最後とならないことを期待したい。

Live at Blue Note東京 on December 18, 2025,2ndセット

Personnel: 山下洋輔(p),森山威男(ds)

2025年12月 7日 (日)

上原ひろみのHiromi’s Sonicwonder@東京国際フォーラム参戦記

Sonicwonder-live

突然のお知り合いのお誘いにより上原ひろみのライブに行ってきた。このバンドのライブをCotton Clubで観た(その時の記事はこちら)のがもう2年前かぁって感じだが,今回の東京国際フォーラム公演は2夜連続でソールド・アウトという人気ぶり。直前の北京公演は日中関係の悪化を受けてキャンセルになったようだが,日本公演は結構な数が組まれていて,その人気ぶりは相変わらず凄まじい。今回のライブ前に未聴だったバンドとしての第2作"Out There"をストリーミングで予習しての参戦である。アルバム冒頭の"XYZ"から激しいグルーブで,これをライブでやったらどうなってしまうんだろうと思わせる音で,Hadrien Feraudのベースが強烈に煽る。今回もHadrien Feraudは注目だと思った。

Sonicwonder_20251207070601会場に到着すると,何と7列目中央というナイスなポジション。客層は意外(?)に高齢層が多い。上原ひろみのやっている音楽からすれば,もう少し年齢層が低いと想像していたが,彼女もデビューして23年目であるから,当時からのファンも歳を重ねた結果ということかもしれない。だとしても,ファンが離れないというのは大したものだと思う。

Photo_20251207072801 この日のスターは上原ひろみである。ライブは冒頭から笑いたくなるような強烈なグルーブを展開し,1曲当たりの演奏時間も長くなる中で,20分の休憩を挟んで,アンコール含め約2時間強のステージを見ていると,体力あるわぁ~と思ってしまった上原ひろみである。まさに彼女のプレイぶりは一種の「芸風」とさえ言いたくなるようなもので,まさに「弾き倒し」であった。全くやっている音楽は違うが,聞いていて(見ていて)一種の爽快感を与えるのは私にとっては山下洋輔と同じだと思いながら見ていた。期待のHadrien FeraudはPAのせいか,少々音がバンドに埋没する感じがあったものの,テクニシャンぶりを発揮して,見ているこっちは相変わらず凄いねぇと思いつつも,演奏中はあくまでも上原ひろみに視線が集中するようになっているのだ。これがスターってものだろう。

活動を重ねてバンドとしてもこなれて,前回は疑問を感じたGene Coyも今回は違和感なくバンドを煽っていたし,ラッパのAdam O'Farrillはエフェクターを使いながらも,ソロイストとしても場を与えられているのにちゃんと応える吹きっぷりであった。前回同様,この人の本質はコンベンショナルなプレイだとは思いつつ,ちゃんとこのバンドの音楽にフィットさせるのは大したものだ。

いずれにしても,バンドとしては聴衆を満足させる術を知っていると感じさせるものであり,エンタテインメントとして楽しめる演奏であったと言える。2枚のアルバムからの曲を演奏した後の,アンコールの1曲目として上原ひろみがソロで弾いたBeatlesの"Blackbird"。この曲はBrad Mehldauもよく弾くのでついつい比較したくなってしまったが,冒頭のメロディ・ラインの弾き方こそBrad Mehldauに近い部分があったが,演奏が進むにつれてピアニストとしての個性の違いも出てきて面白かった。

今回のライブに接して,上原ひろみがなぜ人気があるのかということを,2年前のCotton Clubでの演奏以上に理解した私であった。お誘い頂いたMさんにはこの場を借りて感謝したい。ありがとうございました!

Live at 東京国際フォーラム ホールA on December 5, 2025

Personnel: 上原ひろみ(p, key, synth), Adam O'Farrill(tp), Hadrien Feraud(b), Gene Coye(ds)

2025年11月28日 (金)

Colin Vallon Trio@Baroom参戦記

Colin-vallon-at-baroom

ECMからアルバムをリリースしているColin Vallonが来日するということで,Nik Bärtsch’s Roninのライブを観に行った南青山のBaroomを再訪することとなった。今回のトリオはこれまでずっとレギュラーで演奏している面々。私は正直言って,Colin Vallonのアルバムに辛口な評価をしてきただけに,何でライブに?って話もあるのだが,アルバムとライブに違いがあるのかというところにも関心があったがゆえの参戦である。

Colin-vallon-trio_20251127083801 これまで未聴だった彼らのECMでの最新作である"Samares"を聞きながら現地に向かった私だったが,そもそもこのアルバムからして,今までのアルバムより印象がずっとよかったので,ライブへの期待値も高まったのであった。

そしてライブの場では,Colin Vallonはピアノに細工を施し,プリペアド・ピアノのようにしたり,ピアノの弦を弓弾きするような荒業(笑)まで交え,Jimmy Pageかっ!と思いながら,現代音楽とジャズが交錯する感覚を打ち出していたのが面白かった。また,ドラムスのJulian Sartoriusはスティック何種類持ってるんだ?と思うほど,太さの違うスティックを使い分けるだけでなく,ブラシ代わりに手帚みたいなものまで使うという相当な変態な演奏ぶりで,後ろから見ていた私はついつい内心笑ってしまっていたのであった。ベースもPatrice Moretはアルコも使いながら,アブストラクトな一面を見せていて,この3人の指向は同じ方向を向いていたと思えばいいだろう。

結論からすれば,私にとってはこれまで聞いたアルバムよりライブの方が面白いと思えたのも事実で,それに加えて抒情的な響きも魅力的に響く"Samares"を聞けば,この人に対する評価を改めなければならないと思ったのであった。やはり予断はいかんと思うが,ライブの場で見直せたのはいい機会となった。とか何とか言いながら,一瞬睡魔に襲われてしまったのは飲み過ぎだったな(爆)。

尚,余談ながら会場にはスイス大使館関係者と思しき,こうしたヴェニューでは滅多に見かけそうもない人々も結構な人数で来場していた。

Live at Baroom on November 26, 2025

Personnel: Colin Vallon(p), Patrice Moret(b), Julian Sartorius(ds)

2025年11月23日 (日)

Raphael Payare / Emanuel Ax / N響@サントリーホール参戦記

Payare-with-nhk-symphony-orchestra

ここのところ,仕事の都合でクラシックのコンサートを立て続けに2回聞き逃した私であったが,ようやく久々のオケを聞くべくサントリーホールに行ってきた。今回はヴェネズエラ出身のRafael Payareが「英雄の生涯」をメインに振り,Emanuel AxがモーツァルトのP協25番のソロイストというプログラム。

Ax-at-suntory-hall 私はRafael Payareを聞くのは初めてだったが,「英雄の生涯」におけるエネルギッシュな振りっぷりは,まだ40代半ばだからできるという感じのものだった。冒頭の「マンフレッド序曲」は無難な出だしというところだろうが,続くモーツァルトがなかなかよかった。とか何とか言いながら,第2楽章では心地よさゆえに少々眠りに落ちた私だったのだが,Emanuel Axのタッチはソフトな感じで,美しい響きを聞かせていたと思う。ひょこひょこ歩く姿は爺さんそのものだが,紡ぎ出されるピアノの音は実によかった。ソロイスト・アンコールとして弾いたシューベルトの「セレナーデ」もナイスなアンコール・ピースだったと思う。

それでもって「英雄の生涯」だが,私がクラシックのオーケストラの生を聞く場合は,リヒャルト・シュトラウスを選ぶ回数が結構多いなぁと思ってしまうが,まぁそれは大編成のオケの音を聞きたいからだろうなぁと思っている。今回の演奏自体も決して悪いとは思わないし,コンマスの長原幸太のソロもいい響きだったと思った。しかし,なぜか今回の演奏に高揚感をおぼえなかったのは,私に先週のきつい海外渡航の疲れが残っていたのか,はたまた演奏前に酒を飲み過ぎていたのかは不明だが,オケの響きに血沸き肉躍るという感覚をおぼえなかったのも事実なのだ。

まぁそれは演奏者側の責任と言うよりも,私の横にNHKのカメラがあって,少々落ち着かなかったということもあるかもしれないが,聴衆の盛り上がりもそれほどではなかったのは,聴衆の高い年齢層ゆえか,あるいは同日に横浜でベルリン・フィルの演奏があって,そっちにその筋(笑)の客が流れていたか?とうがった見方をしてしまった。

正直なところ,私にとっては可もなく不可もなくってところの演奏だったように思う。結局Axのピアノが一番よかったってことになるのかもしれない。

尚,写真はネットから拝借。

Live at サントリーホール on November 20, 2025

Personnel: Raphael Payare(cond), Emanuel Ax(p), NHK交響楽団

2025年10月30日 (木)

Arooj Aftab@Billboard Live東京参戦記。

Arooj-aftab-at-billboard-live-2

私が昨年,一昨年とアルバムをその年のベスト作の一枚に選んだArooj Aftabの来日とあっては行かねばならんということで,先日のSonny Landrethに続いてBillboard Liveに行ってきた。Arooj Aftabについては,そのアルバムのクォリティは間違いないものの,日本におけるポピュラリティという観点では少々心配して会場に向かった。今回も私は当然のようにカジュアル・シートでの参戦であったが,音楽を聞くだけならカジュアルで十分なのだ。Blue NoteやらCotton Clubでは良席ねらいでそそくさと予約を入れる私だが,Billboard Liveではカジュアル・シートは一般予約開始時に対応しても,よほどのことがない限り,ほぼ真ん中の席は取れてしまうところもよい。今回もカジュアル・シートは客入りは少ないが,テーブル付きの席はSonny Landrethの時よりは入っているってところか。

このバンド,バックのベースは全編アコースティック・ベースであったり,メンバーに相応のソロ・スペースを与えるところはジャズ的な感覚も持ちつつ,ロック,ワールド・ミュージックを見事に融合した感じなのが面白かった。まさにこれが本当のフュージョンだ。バンドはトリオながら非常にタイトなバッキングぶりで応えていたが,何よりも魅力なのはArooj Aftab自身の声そのものだ。一方,ステージ上でほとんどサングラスをはずさなかったり,ステージ上の最小限とでも言うべき動きや一部自虐的とも思えるMCを見聞きしていると,相当シャイな人なのではないかと感じさせる部分もあって,エンタテインメント性とは一線を画する感じと言えばいいだろうか。換言すればギミック不要で音楽だけで勝負するという感覚だろう。

いずれにしても,極めてユニークな音楽と言ってもよいものであり,ある意味これまで聞いたことがないタイプとも言えて,非常に面白いと思えたライブであった。尚,上の写真はBillboard LiveのFBページから拝借。

Live at Billboard Live東京 on October 28, 2025, 2ndセット

Personnel: Arooj Aftab(vo), Gyan Riley(g), Zwelakhe Duma Bell le Pere(b), Engin Gunaydin(ds)

Arooj-aftab-at-billboard-live-3

2025年10月22日 (水)

Sonny Landreth@Billboard Live東京参戦記

Sonny-landreth-at-blt

私はSonny Landrethというギタリストを昔から買っている。特に人のバックでこの人が聞かせるギターは実に魅力的だ。逆に言えば,リーダー作はイマイチ感があることも否定はしないが,音楽界における究極のバイプレイヤーと言ってもよいかもしれない。

Sonny-landreth-at-blt-on-stage そんなSonny Landrethがソロで来日するとあっては,どうしてもその技が見てみたいということで,Billboard Live東京に駆けつけた私である。会場に到着すると,どう見ても聴衆が少ない。アリーナはそこそこいるようだが,2階以上の客席は空席が目立つ。いつもなら音楽好きが集まるカジュアル・シートも今回ばかりは3割も埋まっていないって感じなのだ。しかし,Sonny Landrethはそんなことも一切関係ないプレイぶりで,これって実にもったいないと思わせるような演奏を聞かせた約80分であった。

まず何が凄いかって,Sonny Landrethがスライドで繰り出す技の数々である。思わず「技のデパートじゃん...」と独り言ちてしまった私であったが,こうやって弾いているのかぁなんて,最上階のカジュアル・シートからビデオをズームしながら見ていた私である(今回は開演前に撮影OKのアナウンスがあった)。そして,ギター1本(使用したのはストラト2本だが...)の弾き語りにもかかわらず,これほどロックを感じさせてくれるとは...と思っていた私である。今年74歳になったとは思えないプレイぶり,歌いっぷりには驚かされるとともに,所作も若々しいのだ。

_20251021_0001 サイン会があるのはわかっていたのだが,値段がバカ高いと思いつつ,Sonny Landrethのサインをゲットするとともに,話す機会なんてもうあるかどうかわからないから,無駄遣いと思いつつ,今のところ最新のスタジオ盤である"Blacktop Run"をゲットしてきたのであった。財布の紐も緩むぐらいの満足感の高いライブであったことの証だ。Sonny Landrethが素晴らしいギタリストであることはこれまでも理解していたつもりだが,生で観てその思いがますます強くなってしまった。同じスライドということで,ついついDerek Trucksと比較していた私だが,フレージングはさておき,スライドの技の多彩さはSonny Landrethに軍配が上がるかなぁなんて漠然と思っていた。

演奏の模様の映像の一部を貼り付けておくが,ご覧になれば私の思いもご理解頂けると思う。是非画面を拡大して見て頂きたい。尚,一番上の写真はBillboard LiveのFBから拝借したもの。

Live at Billboard Live東京 on October 20, 2025

Personnel: Sonny Landreth(vo, g)

2025年10月 9日 (木)

Brian Blade & the Fellowship Band@Cotton Club参戦記

Brian-blade 私はBrian Blade & the Fellowship Bandの公式アルバムは全て保有している。アメリカーナな響きも醸し出す彼らのサウンドは私の趣味に完璧に合致しているのだが,そんな彼らのライブを観る機会にはこれまで恵まれていなかったので,念願かなってというところである。Brian BladeやJon Cowherdのライブは見たことはあっても,やはりFellowshipを観るというのが重要なのだ。このバンドはギターとベースを除けば基本同じメンツでやっているはずだが,今回はギターなしの編成である。それでも全セットがソールド・アウトという人気ぶりで,やはりこのバンドに対する期待値が高いということが如実に感じられたもので,私もいそいそと現地に向かったのであった。

Brian-blade-at-cotton-club

そして始まったライブは決してコンベンショナルなジャズではない。言ってみればアメリカーナな部分にゴスペルを加えたという感じなのだが,私が強く感じたのが教会音楽的なところで,おそらくは彼らの演奏の根底には教会の存在があるはずだと確信させられる演奏であったと言ってよい。特にJon Cowherdが1曲で演奏したオルガンは,まさに小学校にでも置かれていたようなものだったのだが,アメリカの街中の教会で演奏されているような音楽の感覚を思わせるものであって,私の感覚は決して間違ってはいないはずだ。だから彼らの演奏はテーマを吹いてアドリブを回すという演奏ではないのだ。そしてその演奏中のBrian Bladeの幸せそうな笑顔を見れば,音楽を演奏する喜びが感じられるものであって,見ている方もそれだけでうれしくなるような演奏だと言ってもよいものだった。

逆に言えば,丁々発止とか,聞いていて燃えるというような演奏ではない。しかし,Brian Bladeが叩き出すビートは熱狂を呼ぶものとは違うものの,これほどドラムスが上手い人がこの世の中にいるのかと感じさせるほどの技の数々であった。スティックだろうが,ブラシだろうが,マレットだろうが,ドラムスってのはこう叩くんだぜっていう感じで,私は「技のデパート」だなんて独り言ちていたのであった。

昨今,少なくとも私が行ったライブにおいては必ずしも客入りがいいとは言えないコットンクラブだが,彼らが出演する4日間が全てソールド・アウトというのも今回の演奏を聞けば納得できるはずだ。アメリカという国は歴史は浅かろうが,こうした演奏を聞かされては深みのある音楽はありえるし,この感覚には我々はかなわないやと感じさせる演奏であった。今回はギターなしのクインテットだったが,ギターが入っていればよりカラフルになっただろうと思ったのは事実としても,ギターなしでも十分に素晴らしい演奏を聞かせたのであった。まさに見事なものだ。感動した!

Live at Cotton Club on October 8, 2025, 2ndセット

Personnel: Brian Blade(ds), Melvin Butler(ts,ss), Myron Walden(as,b-cl), Jon Cowherd(p, org), Roland Guerin(b)

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