2024年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
フォト

2022年のおすすめ作

無料ブログはココログ

カテゴリー「ライブ」の記事

2024年4月14日 (日)

Daniil Trifonov@紀尾井ホール参戦記。

Trifonov

いやはや凄いものを聴いてしまったってところか。Daniil Trifonovが"Decades"と題して,20世紀の音楽を10年に区切って,00年代から80年代までの曲を演奏するというプログラムは2018年にカーネギー・ホールで演奏して評判になったものである。今回はその再演ということになるが,演奏した曲目は18年と全く同様の以下のものであった。

  • ベルク:ピアノ・ソナタ op.1(1907-08年作曲)
  • プロコフィエフ:風刺(サルカズム)op.17(1914年作曲)
  • バルトーク:戸外にて(1926年作曲)
  • コープランド:ピアノ変奏曲(1930年作曲)
  • メシアン:「幼子イエスの注ぐ20の眼差し」から 幼子イエスの接吻(1944年作曲)
  • リゲティ:「ムジカ・リチェルカータ」から 第1、2、3、4番(1951-53年作曲)
  • シュトックハウゼン:ピアノ曲Ⅸ(1955年作曲)
  • J.アダムズ:中国の門(1977年作曲)
  • コリリャーノ:ファンタジア・オン・オスティナート(1985年作曲)

ほとんどが私にとっては聞いたこともないような曲が並んでいるが,冒頭のベルクからして強烈なテンションで迫ってくる。メシアンまでが第一部で約70分,リゲティからアンコールまでが50分ぐらいというプログラムで,やる方も聴く方も物凄い集中力を要するものだったと言えるが,見事に乗り切ったTrifonovであった。そしてなんとアンコールは「4分33秒」である。会場で"I Love You,Daniil!"と声を上げた外国人がおそらくタイム・キーパーだったのではないかと疑っている私だが,身じろぎもせずピアノの前に座るTrifonovを見ながらニヤニヤしていた私であった。

それにしても,超強力な打鍵もあれば,ミニマルな響きも交えるというこのプログラムは,ピアニストとしての技量もさることながら,相当疲労を強いるものであることは間違いないところで,まだ33歳という年齢ゆえに可能という気もする。デビュー当時の紅顔の美少年というイメージからは随分雰囲気が変わったが,それでもまだ33歳なのだ。

私はTrifonovのアルバムはデビュー作(?)のチャイコフスキーのP協しか持っていないから,別にファンでも何でもないのだが,今回このリサイタルに足を運んだのは,このプログラムゆえである。私が現代音楽のピアノ曲にはまって結構な時間が経ったが,生で聴いたことがなかったこともあり,告知を見た時,これは...ということでの参戦となったが,冒頭の表現に戻って凄いものを観てしまったと思った。こんな演奏した後,サイン会までやるっていうんだから,寿命縮まるで(爆)。マジでチャレンジャーだよなぁと思いつつ,こちらとしては心地よい疲労感を覚えながら,サイン会はパスして家路についたのであった。

ということで,紀尾井ホールではないが,2018年にCarnegie Hallでやった時の写真をアップしておこう。雰囲気はほとんど同じ。写真はNew York Timesから拝借したもの。

Live at 紀尾井ホール on April 12, 2024

Personnel: Daniil Trifonov(p)

Trifonov-at-carnegie_20240413061101

2024年3月14日 (木)

The Bad Plus@Blue Note東京参戦記。

Bad-plus-on-stage-at-bnt

これまで私はThe Bad Plusとはあまり縁がなかった。保有しているアルバムはJoshua Redmanとの共演盤ぐらいで,ほかのアルバムは真っ当に聞いたこともない。しかし,ドラムスのDavid Kingは先日取り上げたJulian Lageの"Speak to Me"にも参加していたし,オリジナル・メンバーだったEthan IversonのECMでのアルバムも聞いている。結局バンドとしてのThe Bad Plusの音源はほとんど触れていないだけなのだが...。

Bad-plus-at-blue-note_20240321093501そんな私がどうして今回のライブに行こうと思ったか?それはBlue Note会員のチャージが半額だったこと,そしてメンバー・チェンジでBen Monderがバンドに加わったことの二点ということになる。Ben Monderの特異なサウンドがライブでどのように展開されるのかには興味があったし,是非一度見たいと思っていたのだ。到着前は少々集客を心配していたが,客席は結構埋まっており,インバウンドの多さも目立っていた。

結論からすれば,The Bad Plusというバンドは,コンベンショナルなジャズ・コンボの形式を取りながら,通底するのはロック的な感覚だということを感じさせたライブであった。オリジナル・メンバーのReid Andersonのベース然り,David Kingのドラムス然りである。そこに切り込むBen Monderのギターはエフェクターも駆使して,かなりプログレッシブな響きを生み出していた。私はBen Monderを至近距離で見ていたのだが,ピッキングと指弾きでのアルペジオを組み合わせて生み出すサウンドは実に魅力的であった。逆にBen Monderのギター・アンプに近過ぎて,Chris Speedのテナーの音が聞き取りづらいという難点はあったが,Ben Monderを観たい私としてはまぁいいやって感じであった。

会場ではサイン会はなかったと思うが,終演後,ギターを片付けにステージに戻ってきたBen Monderに声を掛けて,持参したCDにサインをしてもらったのだが,彼も55 Barの閉店を残念がっていたのはご同慶の至り。Ben Monderとの会話もはずみ,後味もよくBlue Noteを後にした私であった。

当日のセットリストはBlue Noteのサイトによれば下記の通りのようだ。最上部の写真もBlue Noteから拝借。

1. EVERYWHERE YOU TURN
2. FRENCH HORNS
3. NOT EVEN CLOSE TO FAR OFF
4. CASA BEN
5. SICK FIRE
6. GRID OCEAN
7. YOU WON’T SEE ME BEFORE I COME BACK
8. LI PO
EC. CUPCAKES Ⅱ

Live at Blue Note東京 on March 12, 2024, 2ndセット

Personnel: Reid Anderson(b), David King(ds), Ben Monder(g), Chris Speed(ts)

Ben-monder-hydra

2024年3月 2日 (土)

Wolfert Brederode@晴れたら空に豆まいて参戦記。

Wolfert-brederodes-piano

Wolfert Brederodeの"Ruins and Remains"は素晴らしいアルバムであった。同作を私は2022年のベスト作の一枚に選んでいるぐらい評価している(記事はこちら)が,そのWolfert Brederodeが来日するということで,代官山の晴れたら空に豆まいて(何とも不思議な店名だ...)に行ってきた。前日のBanksia Trioからの連チャンとなったが,2月はこれで5本目のライブというなかなかないハイペースである。

私がWolfert Brederodeのライブに参戦するのはこれで2回目になる。前回は約7年前の武蔵野スイングホールにおけるトリオ公演だったが,今回はピアノ・ソロ。先週にはJoost Lijbaartとのデュオ公演も行っているが,私はスケジュールが合わず,今回のソロに行くこととなった。私は最前列でかぶりつきで見ていたので,正確にはわからないが,箱の半分ぐらいの入りだったのではないか。

今回のライブは本人も語っていたが,完全即興で臨んだ演奏が約60分,その後,アンコール的に"American Folk Song"と言っていたが,曲名は失念したショート・ピースを1曲というプログラムであった。完全即興は相応の集中力を要すると考えられるから,この程度の演奏時間が限界という気がするが,徹底して美的で静謐な音楽を展開していた。時としてもう少しダイナミズムを加えてもいいかなと思わせる瞬間もあったのも事実だが,生音でこれだけの美音を聞かせてもらえばこちらの満足度も高いというものだ。ピアノの音が天井にす~っと吸い込まれていくような感覚は,以前カザルス・ホールでFred Herschを聞いて以来だったかもしれない。音楽と同時にピアノの響きを堪能した一夜であった。

Live at 晴れたら空に豆まいて on February 29, 2024

Personnel: Wolfert Brederode(p)

2024年3月 1日 (金)

Banksia Trio@公園通りクラシックス参戦記

Banksia-trio_20240301084701

須川崇志率いるBanksia Trioが2日間のクラブ・デイトということで,その2日目に渋谷の公園通りクラシックスに行ってきた。私にとっては初ヴェニューである。山手教会の地下というユニークな場所,かつ入口は駐車場のスロープを降りて行ったところにあるというロケーションは実に不思議(笑)。キャパは最大120人前後と思われるが,立ち見も出る盛況ぶりであった。彼らを観るのは一昨年末の武蔵野市民会館小ホールでのライブ以来となるが,その間に3枚目のアルバム,"Masks"をリリースし,それもいい出来だっただけに,今回も期待のライブであった。

__20240229083501 そして行われた演奏は静謐さ,美的なるもの,ダイナミズム,フリーなイディオム等の様々な演奏様式において,どれもが極めて高いレベルを実現していて,このトリオの実力を改めて実証したものであった。菊地雅章の"Drizzling Rain"から始まり,アンコールのWayne Shorter作"Lady Day"まで,約100分のプログラムは弛緩するところ全くなしの演奏で誠に見事であった。

当日のプログラムは正確さには少々自信はない(曲順も若干曖昧)が,次のようなものであったはず。私にとって特に印象的だったのが,Ornette Colemanの"When Will the Blues Leave"で,ここで聞かれた,ややコンベンショナルながら強烈なブルーズ感覚をこのトリオで聞けるとは思わなかった。とにかくトリオの全員が何でもできてしまう人たちなのだ。

改めて彼らが現在の日本において屈指のピアノ・トリオであることを確信した一夜となった。上の写真はご同行頂いた先輩から拝借。右は同地でのショットにモザイクを掛けたもの。モザイクを掛けているのでこれではよくわからないが,二人とも演奏への満足度が表れた表情になっている。

  1. Drizzling Rain(菊地雅章)
  2. First Dance(市野元彦)
  3. Untitled(新曲,須川崇志)
  4. 曲名失念(石若駿作曲のバラッド)
  5. Masks(須川崇志)
  6. When Will the Blues Leave(Ornette Coleman)
  7. Doppo Movimento(林正樹)
  8. Algospeak Suite(新曲, 須川崇志)

    (Ec.)Lady Day(Wayne Shorter)

Live at 公園通りクラシックス on February 28,2024

Personnel: 須川崇志(b),林正樹(p),石若駿(ds)

2024年2月23日 (金)

Boz Scaggs@東京ドームシティホール参戦記。

Boz-scaggs-live

Boz Scaggsも今年の6月で80歳になるそうだ。今回は5年ぶりの来日だが,次はあるのか...と考えると行かざるを得ないのが長年のファンの務めである(笑)。それにしても,世間には同じことを考えている人が多いのか,東京公演が追加公演含めて3日間ともソールド・アウトというのは凄いことだ。Boz Scaggsの神通力は衰えずってところか。ということで,私も"Hits!"を聞きながら現地に向かったのであった。いずれにしても,私にとっては約10年ぶりのBoz Scaggsのライブであったが,会場は高齢者の集まりのノリ(爆)って気もする年齢層の高さ。

演奏はアルバム"Some Change"から"Sierra"で渋くスタートし,前半はゆったりとした感覚でムーディーと言ってもよい雰囲気で進んだ。この辺りがBoz Scaggsの年齢相応?と思わせる部分もあったのだが,全編を通して新旧のレパートリーを取り混ぜ,ブルーズも炸裂させながら歌うBoz Scaggsの声の若々しいことよ。キーは幾分下がったのは仕方がないところだが,ファルセットも含めてちゃんと声が出ているのは,まさに日頃からのヴォイス・トレーニングの賜物だろうと言いたくなるような歌いっぷりであった。

聴衆に受けるのが"Silk Degrees"や"Middle Man"からの曲であることは仕方なかろうが,現在のBoz Scaggsのよりブルーズ指向を強めた歌と演奏も十分楽しめるものであった。Boz Scaggsはギターを何本か変えながら演奏していたが,やはりこの人,ギターの腕は相変わらず達者なものだ。この日弾いたのも,アコースティック,セミアコ,ストラト・タイプ,レスポール・タイプ,そしてSGタイプの5種類だったと思うが,ソロもちゃんと行けているところが素晴らしい。

そして,本編で約90分歌い続け,更にアンコールで4曲歌うというその体力に感心し続けた還暦過ぎの私であった。そうは言っても,"We’re All Alone"は2013年に渋谷で観た時も厳しいと思ったが,人気曲ゆえに外せないとしても,やっぱり今のBoz Scaggsにはこの曲は厳しかった気がする。"Harbor Lights"で聞かせた歌唱の真っ当さに比べるとやはり粗が目立つ気がした。

それでも,日頃からレギュラーで演奏しているバック・バンドとのコンビネーションもよく,バンド自体も非常に引き締まった演奏で応えていた。昔であったらバッキング・ヴォーカルに女性シンガーを入れることが多かったBoz Scaggsだが,ドラムスのTeddy CampbellとパーカッションのBranlie Mejiasがその役割をきっちりこなしていたのにも感心してしまった。少々ギターのMike Millerの音がでか過ぎると感じる一方,Boz Scaggs自身のギター・ソロのボリュームが低かった気もするが,PAのバランスとしては大きな瑕疵はなく,全体的に満足のいくライブであった。私の目はついついベースのWillie Weeksに向けられることも多かったが,やはりこの人の安定度は素晴らしいと思えた。

当日のセットリストは下記で間違いないと思う。

  1. Sierra
  2. Miss Riddle
  3. Last Tango on 16th Street
  4. Jojo
  5. The Feeling Is Gone
  6. Slow Dancer
  7. Rock and Stick
  8. Thanks to You
  9. It’s Over
  10. Harbor Lights
  11. Look What You Have Done to Me
  12. Radiator 110
  13. Loan Me a Dime
  14. Lido Shuffle

Ec.1

  1. What Can I Say
  2. Lowdown
  3. We’re All Alone

Ec.2

  1. Breakdown Dead Ahead

尚,当日は写真撮影NGだったので,上の写真は昨年のライブの模様をWebで拝借したもの。下の写真はウドーのサイトにアップされていた2/19の公演時の写真。当日の雰囲気もこれとほぼ変わらないものであった。

Live at 東京ドームシティホール on Feburuary 21, 2024

Personnel: Boz Scaggs(vo, g), Mike Miller(g), Michael Logan(key, vo), Eric Crystal(ts, ss, key, melodica, g), Willie Weeks(b),  Teddy Campbell(ds, vo), Branlie Mejias(perc, vo)


Boz-scaggs-live_udo1_20240222085701

2024年2月15日 (木)

Meshell Ndegeocello@Billboard Live東京参戦記。

Meshell-ndegeocello-at-billboard-live

Meshell Ndegeocelloが,先日のグラミーでBest Alternative Jazz Albumを受賞したばかりというタイミングで来日を果たしたので,Billboard Live東京に出かけてきた。私はMeshell Ndegeocelloの最新作,"The Omnichord Real Book"を昨年のベスト作の一枚に選んでいることもあり,私はチケット発売のタイミングで購入して,このヴェニューではいつものカジュアル・シートで演奏を聞いてきた。純粋に音楽を聴くだけなら,ワンドリンクの付いたカジュアル・シートで十分なのだ。いずれにしても客席はカジュアル・シートを含めてソールド・アウトの聴衆で埋まっていた。

結論から言えば,実に素晴らしいライブで,ヘヴィーなファンク,ソフトなソウルを交えながら,非常に質の高い演奏を聞かせてくれた。そもそもこのバンド,"The Omnichord Real Book"の主要レコーディング・メンバーでもあり,演奏能力の高さに加え,コンビネーションは熟成され,演奏の引き締まり具合は最高レベルと言ってもよかった。

私が近年ライブ・ハウスで聞いた演奏の中でも屈指のものと思えるものであり,ここまでの演奏を聞かせてくれれば大満足である。昨日,Brittany Howardの新作を褒めたばかりだが,このMeshell Ndegeocelloの演奏を聞いてしまえば,まだまだ格が違うとさえ思ってしまった私である。こんなライブを観てしまっては,ライブに求めるレベルが無茶苦茶上がってしまったではないか。そういう意味では罪作りなライブであった(笑)。もはや今年のベスト・ライブはこれだろうと思わざるをえない最高のパフォーマンスに感謝したい。

Live at Billboard Livet東京 on February 13, 2024, 2ndセット

Personnel:Meshell Ndegeocello(vo, b, key), Justin Hicks(vo, perc), Jebin Bruni(key), Chris Bruce(g), Abe Rounds(ds, perc, vo), Kyle Miles(b)

2024年2月 4日 (日)

Stern~Brecker Night@Virtuoso Akasaka参戦記。

Sternbrecker-night_20240203102501

今年3本目のライブはVirtuoso AkasakaにおけるStern+Brecker Nightであった。当たり前だが,もちろん本人ではない。同地でMike Stern Nighってのがあったのが2022年6月のことだったが,その時同様のなりきりぶりを楽しみに店に駆けつけた。

それにしても,リーダー,矢堀孝一のギターは現在のMike SternよりMike Sternらしくて思わず笑ってしまうレベルだったし,サックスの札幌在住のBjörn Arköは,前回同様相変わらずのうまさであった。Björn Arköは昨年のCotton ClubでのSwedish All Starsでも聴いたが,いかようにでも吹けてしまうのには感心してしまったのであった。NYCの55 Barが閉店してしまった今,あの店で聴けたような感じの音楽が聴けるのはVirtuoso Akasakaだよなぁなんてライブを観ながら思っていた私である。

当日のライブの模様を貼り付けておこう。本人以上に本人っぽい演奏をご堪能あれ。日本のJeff Andrewsこと横田健斗のベース,大槻カルタ英宣のタイトなドラミングも注目。もう一本のサックスは早稲田留学中のイケメン・テナー,Erik Nelson。夜な夜なセッションに出没しているらしいが,若いのに大したもんだ。

Live at Virtuoso Akasaka on February 2, 2024

Personnel: 矢堀孝一(g), Björn Arkö(ts, EWI), 横田健斗(b), 大槻カルタ英宣(ds), Erik Nelson(ts)

2024年1月18日 (木)

読響定期でサントリーホールに行ってきた。

Suntory-hall-20240116 今年2回目のライブはクラシック。私の場合,クラシックのライブに行くのは,大規模オケの作品,ピアノ・リサイタル,ヴァイオリン・リサイタルのいずれかという偏った機会になるが,今回はオーケストラ。サントリー・ホールでのSebastian Weigleが振る読響定期であった。ねらいはリヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」。私はこの曲自体に触れたのは,冒頭部分が「2001年宇宙の旅」で使われていたのが最初だったが,全曲を聞いたのはその随分後になってから。正直言って, 曲自体は大したことはないと思っているが,オケの響きを生で聞くと感覚も変わるかもとも思っていた。

かつ,この日のプログラムは「リエンツィ」序曲に始まり,Daniel Lozakovitjをソリストに迎えたベートーヴェンのヴァイオリン・コンチェルトというなかなか濃いプログラムであったのも,チケットを購入した理由であった。私みたいな人も多いのか,会場はほぼフルハウス。

「リエンツィ」はオケの手慣らしって感じの演奏で軽く始まった。古い話になるが,私が初めて「リエンツィ」に接したのはKen Russellの映画「リストマニア」のサントラをRick Wakemanが担当していて,そこにちらっと「リエンツィ」のメロディが出てくるところからだが,それ以降も序曲以外は聞いたことはない(爆)。それはさておき,オケも聴衆も準備運動みたいなものだ。

次に演じられたのがベートーヴェンだが,Daniel Lozakovitjは弱冠22歳とは思えない達者な演奏で,カデンツァも堂々たる弾きっぷりだったと思うが,いかんせんこの曲は私には長い。曲として嫌いだという訳でもないし,今回の演奏にも大して不満はないのだが,生で聞いていても,第1楽章の長さが必要なのかと感じていた。この曲をコンサート・プログラムに織り込むのもなかなか大変だよなぁなんて思っていた次第。Daniel Lozakovitjのソリスト・アンコールで弾いたバッハは,そうした私の中でのベートーヴェンに対する冗長感を癒す効果があったと言っては言い過ぎか。

そして,「ツァラトゥストラ」だが,オケのダイナミズムを感じるにはいい曲であった。あらゆる楽器の聞かせどころを持っている曲だとは思うが,私は実はこの曲は弦の美しさが勝負どころではないのかと思っている。日本のオケは弦はかなり優秀でも,管にパワー不足な部分があるところは否めないが,そういう意味ではこの日の弦の響きはよかったと思うし,管もやらかした部分はありつつも善戦していたので,そこそこ楽しめる演奏であった。しかし,この曲,やはり冒頭部の印象が強過ぎるということもあって,何度聞いてもそのほかのメロディ・ラインが頭に入ってこないのが難点だなぁなんて思っていた。自分自身極めて邪道とも言うべき聞き方をしていたようにも思うが,生のオケの響きを楽しみに行っているからいいのだと開き直っておこう。

Live at サントリー・ホール on January 16, 2024

Personnel: Sebastian Weigle(cond), Daniel Lozakovitj(vln), 読売日本交響楽団

2024年1月13日 (土)

今年のライブ初参戦は赤坂Virtuosoにおけるジャム・セッション。

Virtuoso-live

今年のライブ初参戦となったのは,最強のサラリーマン・サックス奏者,八木敬之くんも参加する赤坂Virtuosoにおけるジャム・セッションであった。一応ホスト・バンドとしてのピアノ・トリオはいるものの,メンツは入れ替わり立ち替わりって感じで,全部で何人が演奏したかは私も最後は酔っぱらっていて記憶に定かではない。演奏した曲はまぁジャム・セッション向きって曲も多かったが,最後の最後に私からの"Chromazone"をやってくれい!というリクエストに応えてくれた店主,矢堀孝一や八木くんに感謝(笑)。

ホスト・トリオは皆若い割に実力は十分だと思えたが,その中でも私が注目してしまったのが上の写真(リハーサル中)にも写っているベースの小西佑果。小柄で眼鏡姿もキュートな彼女の姿からは想像できないベースの音とフレージング。いやいや知らぬことだったとは言え,日本の若手ミュージシャンも大したものだ。これで歌ってくれれば,日本のEsperanza Spaldingになれるなんて思ってしまった。しかも今はアコースティック・ベース専業らしいというのもいいねぇ。彼女のWebサイトに音源があったので,貼り付けておこう。ここでのベース音を聞いてもらえば私の感覚も理解してもらえるのではないか。

今年のライブ生活はこうして幕を開けたが,次は読響の定期だ。

出演者全体はわからないが,ホスト・バンド+2のPersonnelを挙げておこう。

Live at 赤坂Virtuoso on January 11, 2024

Personnel: 豊秀彩華(key), 小西佑果(b), 多田涼馬(ds), 矢堀孝一(g), 八木敬之(ts) 

2023年12月14日 (木)

2023年の回顧:ライブ編

今年はもうライブに行く予定がないので,ちょっと早いが今年の回顧をライブから始めたいと思う。今年は結局ジャズ,ロック,クラシック等でトータル23本のライブに参戦した。コロナウイルスの5類への移行により,海外ミュージシャンの来日も以前のようになってきて,私のライブ通いも増えてきたということだ。2022年は9本しか行っていないから,大幅増というか,従来のペースに戻ったというだけだが...。

そうした中で,今年最高のライブは何だったかと言えば,2月のBrad Mehldauの紀尾井ホールのピアノ・ソロだった。その後,ピアノ協奏曲も聞きに東京オペラシティにも行ったが,あれを失敗作だと思っている私ゆえ,このソロのポイントは無茶苦茶高いのだ。私がBrad Mehldauの追っかけということもあるが,現代最強のピアノの一人だということを見事に実証したライブであった。

ジャズ系で記憶に残るのはクリポタ入りのSF Jazz Collective。1st,2ndでレパートリーを完全に変えるプログラムには燃えに燃えさせてもらった。そしてつい先日観た挟間美帆のm_unitも想定以上によかった。そのほかではLars Jansson,Domi & JD Beckも記憶に残る。

クラシックは4本。そのうち3本がオーケストラでそれなりに楽しんだが,一番よかったのはCharles Dutoitが新日本フィルを振った「幻想交響曲」。私が「幻想」を偏愛していることもあるが,この演奏は生でオケを聞く至福を改めて感じさせてくれたと言ってよい。仕事の関係でFabio LuisiがN響を振る「幻想」を聞けなかったのは惜しかったが,Dutoitの演奏の満足度が高かったからそれでよしとしよう。

ロックはTedeschi Trucks Bandしか行っていないが,つまらないテナー・サックス・ソロに辟易とした以外はいいライブだったと思う。"Beck’s Bolero"で燃えなきゃ嘘だよな(笑)。

そのほかにもいろいろなライブに行ったが,特に不満を感じることもなく,生の音楽を楽しんだ私である。因みに番外編として,21年ぶりに来日したJewelのBlue Note東京でのライブ時の写真に私がばっちり写り込んでいるので,「しゃれ」でアップしておこう。私のことを知っている人には簡単に見つかっちゃうだろうなぁ(笑)。

Jewel-at-blue-note-tokyo

より以前の記事一覧