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カテゴリー「ブルーズ」の記事

2022年5月 1日 (日)

ど渋!Taj MahalとRy Cooderのブルーズ・アルバム。これは実に嬉しい! #TajMahal #RyCooder

_20220428 "Get on Board" Taj Mahal & Ry Cooder(Nonesuch)

長年,私はRy Cooderの音楽に接してきたが,その幅広い音楽への目配りに感心する一方,なぜRy Cooderが好きだったのかと言えば,そのスライド・ギターの腕によるところが大きい。今やスライドと言えば,Derek Trucksって感じだが,Ry Cooderのスライドとはやや趣が異なると思う。例えばアコースティックでごつごつした感じの音を出すRy Cooderのスライドは,それはそれで一つのスタイルを確立していて,Derek Trucksと違った魅力がある。そのRy Cooderのスライドの魅力もこの新譜では強烈に表れているところが,私としては実に嬉しいのだ。

今回のアルバムのサブ・タイトルには"The Songs of Sonny Terry & Brownie McGhee"とある。不勉強にして,Sonny TerryとBrownie McGheeの音楽は私は聞いたことがない。彼らの音楽はピードモント・ブルーズというスタイルだそうだが,そもそもはギター・スタイルを言うらしい。こういう音楽に対するRy Cooderのギターやマンドリンのフィット感が半端ではないのに加え,Taj Mahalのハーモニカ,あるいはご両人のヴォーカルが超渋い。アメリカン・ロック好きの私としては,こういう音を出されるだけで全面的にOKなのだ。

しかもこの音楽にフィットした,意図的と思えるローファイなサウンドがまたいい感じなのである。Ry Cooderがライナーに書いている"We care enough to bring you the best. We're the old timers now."というセリフが象徴しているが,年齢を重ねたからこそできる音楽ってのもあるのだということを強く感じさせる素晴らしいブルーズ・アルバム。Taj Mahal,79歳,Ry Cooder,75歳。後期高齢者と言え,全然枯れてない。たまりまへん。当然星★★★★★だ。

Personnel: Taj Mahal(vo, hca, g, p), Ry Cooder(vo, g, mandolin, banjo), Joachim Cooder(ds, b), The Ton3s(vo)

2022年2月 5日 (土)

映画の感動が甦る「サマー・オブ・ソウル」のサントラ盤。

_20220202 ”Summer of Soul (...or, When the Revolution Could Not Be Televised): Original Motion Picture Soundtrack" Various Artists (Sony Legacy)

映画「サマー・オブ・ソウル(あるいは,革命がテレビ放映されなかった時)」は実に素晴らしい映画だった。映画を観た時も興奮気味に記事をアップした(記事はこちら)私だが,そのサントラ盤がリリースされると知っては,買わぬわけには行かぬ(きっぱり)。

このサントラ盤には約80分に渡って,映画に収められたおいしいところがかなり入っているのだが,どうせならデラックス・エディションとかで,映画に入っていた曲の全部入りで出して欲しいと思ってしまうのは私だけではないだろう。特にSly StoneとNina Simoneは映画のハイライトと言ってよかっただけに,ほかを削っても全部入れてもよかったと思ってしまう。映画の冒頭のStevie Wonderもないぞとか,Mahalia Jacksonの"Lord Search My Heart"もないぞとか,文句を言いだしたらきりがないのだが,それでもこれだけの音源を聞けることの幸福感の方が私にとっては大きい。まぁ,Mahalia Jacksonに関しては,Mavis Staplesも一緒の"Precious Lord, Take My Hand"があるだけでもよしとしなければならんのだが。

まぁ,古い音源なので,音としては大したことがないし,映像付きで観る方が感動は増すかもしれないが,何度も書いている通り,私は家では映像付きはあまり見ない方なので,こういうCD版の方が絶対何回も聞くと思っている。それで感動を新たにするって方が私には向いているのだ。

今回改めて音源として聴いてみて,やっぱりSlyとNina Simoneがいいのは当たり前として,実に面白かったのがHerbie Mannのバックで,完全にぶっ飛んでいるSonny Sharrockのギターであった。この突き抜け感には改めて驚かされた私である。

本作はライブ音源ってこともあって,収められた演奏には粗いものもあるが,それでもこれを聴けるということだけで,感謝したくなるというのが正直なところである。映画を観ていても,観ていなくても楽しめること間違いなし。素晴らしい。星★★★★★以外ありえない。でもやっぱりSlyの"Higher"は入れて欲しかったなぁ...。尚,ストリーミング版ではMax RoachとAbbey Lincolnの"Africa"が追加で聞けるので,念のため。

Personnel: The Chambers Brothers, B.B. King, The 5th Dimension, David Ruffin, The Edwin Hawkins Singers, The Staple Singers, Mahalia Jackson, Mavis Staples, Gladys Knight & the Pips, Mongo Santamaria, Ray Barretto, Herbie Mann, Sly & the Family Stone, Nina Simone

2022年1月22日 (土)

Paul Butterfield’s Better Days: このメンツ,このグルーブ,たまりまへ~ん。

_20220121 "Live at Winterland Ballroom" Paul Butterfield Better Days(Bearsville)

私はPaul Butterfield自身のアルバムにはあまり縁がなかったが,彼が参加したアルバムには大いにはまってきた。"The Last Waltz"然り,Levon Helm & the RCO Allstars然りである。とにかく,彼のハープは確実に場の雰囲気を一変させる力を持っていると思っている。アメリカン・ロック好きの私への訴求力は相当なものがあった。そんなPaul Butterfieldではあるが,今や彼自身名義のアルバムで私が保有しているのは本作と,"Better Days"だけのはずだ。以前はほかにも保有していたはずだが,今はもう手許にはない。だが,このアルバムを久々に聞いて興奮してしまったことは告白しておかねばなるまい。

だってこのメンツである。リーダーを支えるのがGeoff Muldaur,Amos Garrett,Ronnie Barronらとあっては,もはや音が想像可能であるし,クォリティは確保されたようなものである。まぁ,ライブ・アルバムだけに曲ごとのクォリティにばらつきはあると思う。しかし,全編を通して聞くと,これぞ私にとってのアメリカン・ロックの一つの典型と言いたくなってしまうのだ。

このブログにも何度も書いてきたが,私は昔からブリティッシュよりもアメリカン・ロックに惹かれてきた訳だが,その根幹を成しているのが,所謂ウッドストック系列の音である。彼らこそそうしたサウンドを支えてきたメンツなのだから,私がこういうアルバムに興奮するのは当たり前なのだ(きっぱり)。そして,彼らから生み出されるグルーブは私が若い頃から痺れてきた音そのものと言ってもよいぐらいだ。本作を聴いていても,例えば"Please Send Me Someone to Love"におけるAmos Garrettのギター・ソロを聞いて,身をよじってしまった私であった。

ここでは"Small Town Talk"もやっているが,Bobby Charlesの飄々とした感覚には及ばないとしても,同じBobby Charlesの"He’s Got All the Whisky"は,これはありだと思わせる。何ともエレピがいい感じだし,14分を越える長尺の中で,若干の冗長感はあるものの,私が好きな音がこれでもかと展開されているのだ。たまらん。また,演じられるブルーズの数々はやはり素晴らしい。Paul Butterfieldにはブルーズが似合うのである。

ということで,相応の瑕疵がない訳ではないが,これはやはり私のツボにはまる音楽である。星★★★★☆。

Recorded Live at Winterland Ballroom on February 23, 1973

Personnel: Paul Butterfield(vo, hca, key), Ronnie Barron(vo, org, p), Amos Garrett(vo, g), Geoffrey Muldaur(vo, g, key), Christpher Parker(ds),Billy Rich(b)

2021年9月15日 (水)

感涙。これまた凄い音楽映画:「サマー・オブ・ソウル」

Summer-of-soul 「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)<Summer of Soul (...Or, When The Revolution Could Not Be Televised) >」(’21,米,Searchlight)

監督:Ahmir "Questlove" Thompson

出演:Sly Stone, Mahalia Jackson, The Staple Singers, Nina Simone, Gradys Knight, Stevie Wonder,The 5th Dimension

先日,「プロミシング・ヤング・ウーマン」と梯子して観たのがこの映画であった。これが凄い。

今年はライブに行っていないせいもあって,音楽映画を結構観ていて,「アメイジング・グレイス」,「アメリカン・ユートピア」もよかった。どれも当たりという中で,この映画も実に素晴らしいものってのは,音楽への渇望感を埋めるという意味で実に貴重な作品であった。

1969年,ほぼウッドストックと同じようなタイミングで開催されていたHarlem Cultural Festivalは,ソウルに留まらず,ブルーズ,ゴスペル,ジャズもカバーしていたという素晴らしいイベントであった訳だが,その記録映像が残っていたということだけでも素晴らしい。そしてここに収められた演奏の数々を見て,興奮しなければ嘘だろうと言いたくなってしまうようなものばかりだ。

冒頭からしてStevie Wonderの素晴らしいドラミングに度肝を抜かれるが,そこから出てくるキラ星のごときミュージシャンを見て,私はひたすら感動していた。その中でも特に,Mahalia JacksonがMavis Staplesと歌う"Take My Hand, Precious Lord"のシーンでは感動のあまり落涙した。これを見て感動しない人とは私は友人になれないと思うほどの素晴らしさであるが,それだけではない。

興奮度という意味ではSly Stoneに勝るものはないし,メッセージ性という意味での感動という点ではNina Simoneも素晴らしい。それだけに留まらず,ここに登場するどのミュージシャンもとにかく凄いのだ。ジャズ界からはMax RoachやAbbey Lincolnまで出てくるしねぇ。

この映画が公開されたことを,BLM運動と結びつけて考えることもできようが,難しいことを考えなくても,黒人たちの作り出す音楽の素晴らしさを堪能すればよいと思って私はこの映画を観ていた。とにかくこの作品を世に出したQuestloveに感謝したくなった私である。この映像には星★★★★★しかない。この映画も全音楽ファン必見だと言っておこう。最高だ。

2019年4月13日 (土)

これぞ本物のブルーズと思わせるAlberta Hunter。

Alberta-hunter "Amtrak Blues" Alberta Hunter(Columbia)

部屋の片づけをして,アナログ・ディスクが再生できる環境を整えてからは,もっぱら手持ちのLPを聞いている私である。このアルバムはリリースされてから久しくしてから,中古盤でゲットしたものだが,これが実に素晴らしいブルーズ・アルバムである。このアルバムを吹き込んだ頃は83歳とか84歳ぐらいのはずだが,年齢を感じさせない歌唱とはこれのことである。もちろん,年相応の枯れた味わいも出しているのは言うまでもないが,聞けば聞くほどいいアルバムである。

ある意味,このレコードを聞いていると,時間がゆったり流れていくような感覚さえ覚えるが,そうした感じを生み出すのも,この人のキャリアの成せるわざ,あるいは余裕から来るってところか。聞いていて思うのは,これぞ本当のブルーズだってことだが,聞けば聞くほど味が出る。とにかくこれは持っててよかったと思えるブルーズ・アルバム。喜んで星★★★★★としよう。本物ってのはこういうものだ。

Personnel: Alberta Hunter(vo), Gerald Cook(p), Aaron Bell(b), Jackie Williams(ds), Billy Butler(g), Vic Dickenson(tb), Doc Cheatham(tp),Frank Wess(ts, fl), Norris Turney(ts, cl)

2018年12月29日 (土)

2018年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外)

2018_albums_1

今年を回顧する記事の3回目はジャズ以外の音楽にしよう。昨今はよほどのことがないと,新譜を買う場合でも,ストリーミングで試聴して購入するのが常となっているので,以前に比べると,購入枚数は劇的に減っているし,以前なら中古で買ったであろうアルバムも,そんなに回数も聞かないことを考えると,そっちもストリーミングで済ませるようになってしまった。

そんなことなので,先日発売されたミュージック・マガジン誌において,今年のベスト・アルバムに選ばれているような作品もほとんど聞けていないような状態で,何が回顧やねん?と言われればその通りである。そんな中で,今年聞いてよかったなぁと思う作品は次のようなものであった。

<ロック/ポップス>Tracy Thorn:"Record"

<ソウル>Bettye Lavette:"Things Have Changed"

<ブルーズ>Buddy Guy:"Blues Is Live & Well"

<ブラジル>Maria Rita: "Amor E Musica"

そのほかにもNeil YoungやRy Cooder,Ray Lamontagneもよかったが,聞いた時の私への訴求度が高かったのは上記の4枚だろうか。その中でも最も驚かされたのがBuddy Guy。録音時に80歳を越えていたとは思えないエネルギーには心底ぶっ飛んだ。また,Bettye Lavetteはカヴァー・アルバムが非常に素晴らしいのは前からわかっていたのだが,今回のBob Dylan集も痺れる出来であった。しかし,印象の強さという点で,今年の私にとってのナンバー1アルバムはBuddy Guyである。しかし,買いそびれているアルバムもあってMe'Shell Ndegéocelloのカヴァー・アルバムもいいなぁと思いつつ,ついついタイミングを逃してしまった。これを機に買うことにするか,あるいはストリーミングで済ませるか悩ましい。

そして,今年は新譜ばかりではないが,現代音楽のピアノをよく聞いた年であった。特にECMから出たものが中心であったが,心を落ち着かせる効果のある,ある意味私にとってのヒーリング・ミュージックのような役割を果たしていたと言っていこう。

Joni_mitchell_isle_of_wight最後に映像に関して言えば,何はなくともJoni Mitchellのワイト島ライブ。いろいろと議論を呼んだこの時の演奏であるが,凛としたJoniの姿を見られただけで感動してしまった私である。Joni Mitchellと言えば,今年生誕75周年のトリビュート・コンサートが開催されたが,若々しいJoniの姿,声にはやはりファンでよかったと思ってしまう。Joniと言えば,Norman Seeffとのフォト・セッションの写真集を発注済みなのだが,まだ到着していない。そちらは今年中に来るか,越年するかわからないが,そちらも楽しみに待つことにしよう。

2018年8月29日 (水)

凄い老人としか言いようがないBuddy Guyの新作

"The Blues Is Alive and Well" Buddy Guy(Silvertone)

_20180826_4冒頭の"A Few Good Years"を聞いただけで私はぶっ飛んだ。何なんだ,これは。1936年7月30日生まれであるから,既に82歳である。録音時でも81歳とは到底思えぬパワー,ヴォーカル,そしてギター・プレイに圧倒された。凄い。凄過ぎる。まさにアルバム・タイトル通りと言うべきだろうが,とにかくこれは驚きである。

本作はJeff Beck,Keith Richards,そしてMick Jaggar(但し,ハーモニカでの参加)をゲストに迎えているが,そんなことは関係なしに強烈なブルーズ魂を聞かせるBuddy Guy,一体何を食って生きているのかと思わざるをえない。もちろん,Buddy Guy本人の健康状態があってのアルバムであるが,それを支えるのがプロデューサー,ドラマーを兼ねて,そして多くの曲を提供しているTom Hambridgeである。この人がこのアルバムで果たした役割は相当大きいはずだ。そこにBuddy Guyの衰えることのないエネルギーが加わってできたこのアルバムって,まさに信じがたいレベルと言ってよい。

どこから聞いても真正ブルーズであり,ロック魂すら感じさせる強烈なアルバム。今年屈指の興奮度を以て聞いた私であった。文句なし。星★★★★★以外なし。素晴らしい。

Personnel: Buddy Guy(vo, g), Tom Hambridge(ds, loop, vo), Rob McNelley(g), Kevin McKendree(p, org), Willie Weeks(b), Tommy McDonald(b), Keith Richards(g), Jeff Beck(g), James Bay(g, vo), Mick Jaggar(hca), Emil Justian(hca), Charles Rose(tb), Steve Herrman(tp), Doug Moffett(ts), Jim Hoke(bs), Regina McCary(vo), Ann McCary(vo), Rachel Hambridge(vo)

2018年6月18日 (月)

Eric Claptonのブルーズ・アルバムならもっといいものができるような...。

"From the Cradle" Eric Clapton (Warner Brothers)

_20180617誰もEric Claptonのブルーズに対する愛情は否定しないだろうし,素晴らしいブルーズ演奏を残していることも認識しているだろう。だが,この1994年にリリースされたこのブルーズ・アルバムはどうもあまり面白くない。

私にとって,このCDがトレイに乗る回数が少ないのは,冒頭の"Blues Before Sunrise" から聞かれる力みまくったClaptonのヴォーカルに行き過ぎ感をおぼえるからだと言っても過言ではない。イントロのスライド・ギターなんてそれこそぶちかまし的で,期待をさせるところが大きいにもかかわらずである。

そして,このアルバムを通じて,Claptonのギターを聞いている限りは,結構かっこいいねぇと思わせるのだが,ヴォーカルを含めた全体の演奏を聞いていると,強く感じる「一丁上がり」的なところが私をさめさせるのである。かなり激しいギター・ソロを聞かせても,私としては一向に高揚感が盛り上がってこない。そして,こういうアルバムに求められるであろう「渋さ」が感じられないところには違和感がぬぐえない私である。ギター・ソロは聞くべきところがあるが,全体では星★★☆ぐらいにしか評価できない。やはりここでのClaptonには力みを感じるというのが正直なところ。これがインスト・アルバムだったらもう少し印象が違っていたかもなぁ。

Personnel: Eric Clapton(vo, g), Dave Bronze(b), Jim Keltner(ds),Andy Fairweather Low(g), Jerry Portnoy(hca), Chris Stainton(key), Roddy Lorimer(tp), Simon Clarke(bs), Tim Sanders(ts), Richie Hayward(perc)

2018年5月 6日 (日)

才能のかたまりだったPaul Butterfield Better Days。

"Better Days" Paul Butterfield Better Days (Bearsville)

_20180503_2私はPaul Butterfieldの音楽を真っ当に聞いてきたという感じではない。しかし,様々な演奏に登場しては,強い印象を残すPaul Butterfieldという人に対する評価は揺らぐものではない。"The Last Waltz"然り,"Levon Helm & the RCO All Stars"然りである。そういう意味では私の嗜好と非常にマッチしたミュージシャンだとも言えるのだが,彼のアルバムは大して保有していない。大昔にLPに"Put It in Your Ear"を買ったはずだが,その頃にはまだ彼の魅力に気づくほど,私は音楽に対して経験値が深くなかったと言うべきか。

だが,今改めてこのアルバムを聞いてみると,やはり素晴らしいミュージシャンであることが明らかになるが,Butterfieldのみならず,ここに参加しているミュージシャンの才能が凄い。ウッドストックを代表するようなミュージシャンの集合体としてのこのBetter Daysというバンド,強烈である。アメリカン・ロックってのはこうあって欲しいとさえ言いたくなるような私好みの音である。Geoff Muldaur,Amos Garrett,Ronnie Barronたちと作り上げる音楽が悪いはずはないのだが...。

本作はブルーズとアメリカン・ロックの最も好ましいかたちでの融合のような感覚さえ与える。とにかく,私はジャズ以外でもいろいろな音楽を好んでいるが,そうした中でこうしたアメリカン・ロックは私の音楽人生を構成する重要な要素の一つなのだ。改めてこの音楽を聞いて,私はこの手の音楽が好きでたまらないということを再認識してしまった。そして,アメリカン・ロックには渋いヴォーカルが必要だということも強く感じさせてくれた一枚である。

そして今回,本作を聞いてみてGeoff Muldaurのスライドが渋いってことに今更ながら気づいた私である。ついついギターとしてはAmos Garrettに注目しがちなのだが,ここでのMuldaurのスライド,そしてアコギは相当なものである。いや~,ええですわ。星★★★★★。

Personnel: Paul Butterfield(vo, hca, el-p), Geoff Muldaur(vo, g, p, el-p, vib), Amos Garrett(g, b, vo), Ronnie Barron(vo, p, el-p, org), Billy Rich(b), Christopher Parker(ds), Howard John, on(bs), Dave Sanborn(as), J.D. Parran(ts), Stan Shafran(tp), Gary Brocks(tb), Bobby Charles(vo), Dennis Whitted(vo), Maria Muldaur(vo)

2017年11月 1日 (水)

これも久しぶりに聞いたなぁ:Muddy Watersの"Woodstock Album"

"Woodstock Album" Muddy Waters(Chess)

_20171029_4またも久々に聞いたアルバムについて書いてみよう。家人には常々,死ぬまでに一回も聞かないCDなんていくらでもあるでしょ,なんて指摘を受けているのだが,それも言われっぱなしでは悔しいので,たまにはこういうアルバムを突然取り出してくることも必要な訳だ(苦笑)。

それはさておき,Muddy Watersについては,私は"Best of Muddy Waters"を聞いていればいいと思っている程度のリスナーだが,それ以外でMuddy Watersに接したのは何と言っても"The Last Waltz"における歌唱ということになる。しかし,よくよく考えれば,なんであの場にMuddy Watersが出てくるのかってのはよくわからない部分もある訳だが,The Bandのメンバーとの交流は"The Last Waltz"の前年のこのアルバムにもあったことからの縁ということになろう。

私は,アメリカン・ロック,特にウッドストック系列のシンガー・ソングライターも好きなので,ウッドストックと聞いただけで,ついつい反応してしまう。このアルバムを買ったのは随分前になるが,実は大した回数はプレイバックした記憶がない。Muddy Watersを聞くなら,前述のアルバムを聞いていればいいし,シンガー・ソングライターのアルバムはそれはそれで聞いていればいいからで,こういうセッション・アルバムに大した魅力を感じなかったからと言ってもいいかもしれない。

久しぶりに聞いてみても,やっぱりセッション・アルバムだよなぁって感覚には変わりはないが,Paul Butterfieldの活躍ぶりには驚かされた。もちろん,Levon Helmはリズムを支えているし,Garth Hudsonの出番も多いが,Butterfieldが助演者としては一番目立っている感じであった。もちろん,それはいい意味でだが,やはりこういうブルージーな演奏には,Butterfieldの演奏は威力を発揮するなぁって感じである。

いずれにしても,本作はMuddy Watersというブルーズの巨人と,ウッドストック系ミュージシャンの邂逅を捉えたドキュメントとして楽しめばいいってことには間違いないが,結局はそれ以上のものではないとは思える。私にとっては,これを聞くなら,Levon Helm & RCO All Starsの方がいいと思ってしまうというのが本音である。ということで,星★★★☆としておこう。

Recorded on February 6 & 7, 1975

Personnel: Muddy Waters(vo, g), Pinetop Perkins(p, vo), Paul Butterfield(hca), Bob Margolin(g), Garth Hudson(org, accor, sax), Levon Helm(ds, b), Fred Carter(b, g), Howard Johnson(sax)

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