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2019年おすすめ作

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カテゴリー「Brad Mehldau」の記事

2021年1月18日 (月)

Brad Mehldauが媒介となり,私がJoe Henryと出会ったアルバム。傑作。

_20210113 "Scar" Joe Henry(Mammoth)

私はシンガーとしてのJoe Henryのファンであり,プロデューサーとしてのJoe Henryのファンでもある。Joe Henry名義のアルバムには失望させられたことはないし,彼がプロデュースしたアルバムも,優れたものが多い(例外もあるが...)。私にとっては信頼できるミュージシャンの一人なのである。

そんな私がJoe Henryの音楽に初めて触れたのがこのアルバムなのだが,その契機となったのはこのアルバムにBrad Mehldauが参加していることにほかならない。今となってはJoe Henryのかなりのファンといってよい私ではあるが,彼の音楽に触れる機会を作ってくれたのはBrad Mehldauなのだ。

Brad MehldauがSSW系のアルバムにおいてどのような演奏をするかについては,大いに興味をそそられるところではあるが,本作のもう一つの大きなポイントがOrnette Colemanの参加である。全面参加ではないが,出てきた瞬間,おぉ~,Ornette!と叫んでしまいそうなサウンドである。どんな局面でも場をさらっていくOrnette Colemanという人の凄さを感じられるのも,このアルバムの魅力。

そして,このアルバム,プロデュースはJoe HenryとCraig Streetなのだ。このコンビで悪いものができるはずがないという鉄壁のプロデューサー陣という気がするが,OrnetteやBrad Mehldau以外のミュージシャンも凄い。そしてそうしたミュージシャンが自己主張は抑制しつつ,音楽づくりに貢献している姿は実に素晴らしい。

若干くぐもったような音場から出てくるJoe Henryのヴォイスを聞いて,これはBrad Mehldau抜きにしても買いだったなと思ったのが,もう20年前。それから幾星霜を経て,このアルバムも実は久しぶりに聞いたのだが,やっぱり共演者で一番強烈なのはOrnette。Lou Reedの"Raven"にしても,本作にしてもやはりOrnette Colemanの力は偉大だったと再確認させられる緊張感に満ちた傑作。最後に収められたタイトル・トラックの後,隠しトラックとしてOrnetteのアルトがむせぶのを聞き逃してはならない。喜んで星★★★★★。

Personnel: Joe Henry(vo, g, key, perc), Ornette Coleman(as), Brad Mehldau(p, org), Marc Ribot(g), Me’Shell Ndegéocello(b), David Pilch(b), Brian Blade(ds), Abe Laboriel, Jr.(ds), Bob Malach(reeds), Sandra Park(vln), Sharon Yamada(vln), Robert Rinehart(vla), Elizabeth Dyson(cello), Gene Moye(cello), Stacey Shames(harp), Eric Charleston(vib, perc), Steve Barber(arr)

2020年12月 7日 (月)

Brad Mehldauが客演したPerico Sambeatの”Friendship"。

_20201205 "Friendship" Perico Sambeat(ACT)

Brad Mehldauの追っかけとして,コンプリート・コレクターを目指す私である。しかし,以前にも書いたが,ブートも全部対応するとか,既発曲を収めたコンピレーションまで集める気はない。あくまでも参加した公式音源をオリジナルなかたちで全て集めたいと思っているだけである。現在のところ,ほぼ網羅していると思うが,あとはBrad Mehldauが高校時代のバンドで録音したEPがあるのだが,それは公式音源と言えば,公式音源なのだが,あまりにも稀少なのでほぼ入手は諦めている。たまにDiscogs等に出てくることがあるが,それに大枚はたく気はないってところである。

それはさておきである。Brad Mehldauの楽歴を追っていけば,Perico Sambeatという名前が結構重要であることは周知の事実である。Brad Mehldauの初リーダー作はWarner Brothersから95年に出た"Introducing Brad Mehldau"とすべきところではあろうが,事実上の初リーダー作は,ともにFresh Sound New Talentからリリースの,93年の5月にバルセロナで吹き込まれた”New York Barcelona Crossing"の2枚,もしくは93年10月に吹き込まれた"When I Fall in Love"ってことになる。リリース・タイミングで言えば94年に出た後者ってことになるのだが,レコーディングのタイミングからすれば,前者ということになり,そこにはPerico Sambeatが参加しているのである。

Perico Sambeatとはその後もFresh Sound New Talentに"Ademuz"というアルバムを残しているし,Chris Cheekとのアルバムも2枚あるので,Brad Mehldauのキャリアにおいて,Fresh Sound New Talentは結構重要なレーベルということになるが,本日は2003年にACTからリリースされた本作である。タイトル通り,彼らの友情の賜物としてレコーディングされたようなアルバムと言ってよい。1曲を除いてPerico Sambeatのオリジナルで構成される本作であるが,曲の質も高く,演奏も実によくできていて,レベルの高さを実証している。Kurt Rosenwinkelも3曲で客演するなど,この参加ミュージシャンからすれば,納得の出来という気もするが,アルバムとしての雰囲気が実にいいのだ。唯一のスタンダード,"Crazy She Calls Me"のバラッド表現なんて,ジャズ喫茶でかかっていたら,アルバムを確認したくなること必定のような演奏である。

まぁ,もう少し演奏をコンパクトにしてもよかったかなと思える曲もあるのだが,私としては久しぶりに聞いて,改めて評価したくなってしまったアルバム。星★★★★☆。

Recorded in February, 2003

Personnel: Perico Sambeat(as, ss), Brad Mehldau(p), Kurt Rosenwinkel(g), Ben Street(b), Jeff Ballard(ds) 

2020年10月17日 (土)

Brad Mehldauファンなら絶対見逃せないブートレッグ登場。

_20201016”Live in Paris 2020: Brad Mehldau Jour the Beatles" Brad Mehldau (Bootleg)

これは強烈なブートの登場である。コロナ禍が発生してから,Brad Mehldauはオランダに滞在していたはずで,"Suite: April 2020"も現地で録音されたものであった。その後もBrad Mehldauは欧州に滞在していたのかもしれないが,そのBrad Mehldauが今年9月にパリで演奏した時の模様を収めたブートレッグがリリースされた。

このブートが注目に値するのは,タイトルを見て頂けばお分かりになるように,Beatlesの曲を中心に演奏したってことである。以前からBrad MehldauはBeatlesナンバーを吹き込んでいるし,ロック畑のミュージシャンの曲を結構演奏してきているから,ライブにおいてもこういう企画があること自体は不思議ではない。しかし,こうしてブートとは言え,ここでの演奏を聞けることには大きな感慨を覚える。

ここではBeatlesナンバーに加えて,Paul McCartneyの”Maybe I'm Amazed”,更にはZombies,Beach Boys,David Bowieまでやってしまうのだからこれはたまらん。そしてアンコールは"New York State of Mind"から始まる5曲の大盤振る舞いである。パリの聴衆の熱狂ぶりがわかるが,それもまぁ当然かなと思える演奏。正直言って演奏自体にそれほどの驚きはないのだが,それでもこれは実によい。特にアンコールの味わいと言ったら半端ではない。

面白いことに,この日の音源は宇田川町の迷宮ではDVDとして売られているが,私は映像よりも音に浸りたいので,CDでリリースした名古屋から取り寄せたものである。宇田川は前日のオーディエンス録音とプロショットのDVDの3枚組,名古屋はおそらくその映像をソースとするCD2枚組としてリリースし,先着50名で初日のオーディエンス録音の2枚組をつけるというかたちで競争を仕掛けている。ブート業界も競争が激しいのだ(笑)。

いずれにしても,この音源は私としては告知を見た瞬間から避けて通れないと思って,即発注したものだが,その甲斐あっていいものを聞かせてもらったと思っている。さぁ,初日のオーディエンス録音もさっさと聞かねば。私がパリの聴衆に嫉妬したことは言うまでもない。

Recorded at Philharmonie de Paris on September 20, 2020

Personnel: Brad Mehdau(p)

2020年8月 1日 (土)

ようやくデリバリーされたJoshua Redman Quartetのリユニオン・アルバムなのだが...。

Roundagain "RoundAgain" Redman Mehldau McBride Blade(Nonesuch)

本国でリリースされていながら,ちっともデリバリーされなかった本作がようやく到着である。コロナ禍の影響がないとは言わないが,それにしても時間が掛かり過ぎで,イライラさせられた。最近のAmazonは新譜がまともにデリバリーされたことがないのはどういう了見かと文句も言いたくなる。

それはさておき,このメンツが集結するのは94年に"MoodSwing"をリリースして以来なので,四半世紀以上ぶりということになるが,当時の若手が,今や現代のジャズ界を支える面々となってのリユニオンである。期待するなって方が無理である。そういう意味では,今年一番の話題作,注目作と言ってもいいぐらいの作品だろう。よって,私としてもCDがデリバリーされる前からストリーミングで期待しながら聞いていたことは言うまでもない。

既にストリーミングで聞いていた時から音の具合はわかっていたのだが,やはり媒体で聞いてみないとわからない部分もあるだろうということで,記事にすることは控えてきた私である。ようやくアルバムを我が家のオーディオで,家人がいないことをいいことに「相応の音量」で聞き直した訳だが,期待値が大き過ぎたかなとついつい思ってしまったというのが正直なところである。

聞いた感じで言えば,ストリーミングで聞いていた時よりは,音の粒立ちが違うこともあって印象はやや好転したのだが,聞き進むにつれて,ストリーミングで聞いていた時にも思っていた感覚が甦ってきたのである。はっきり言ってしまえば高揚感がないのだ。このメンツであれば,オーディエンスをワクワクさせるような演奏を展開できると思うが,最大の難点は曲があまり面白くないことではないか。アドリブ・パートはいいとして,どうも没入できない。贔屓の引き倒しと言われそうだが,私がいいと思えたのは結局Brad Mehldauの2曲なのだ。

演奏のレベルの高さはケチのつけようがないところなのだが,特にJoshua Redmanのオリジナルがイマイチだなぁという感覚に囚われ続けてしまう私である。更に言わせてもらえば,リズム・セクションに比べて,Joshua Redmanの吹奏も音色も魅力的に響かないのである。94年にはリーダーであったJoshua Redmanが今や一番つまらないと思わせるというのが象徴的な気もするが,私にとってはもう少しやれたのではなかったのかと思ってしまうのだ。今や,各々がリーダーとして活躍しているから,Joshua Redman Quartetではなく,4人の連名表記となっているのも仕方ないと思わせるというところか。こういう表記を見ると,私なんかはAnderson Bruford Wakeman Howeを思い出してしまうねぇ(笑)。

はっきり言ってしまえば,このメンツならこれぐらいできて当たり前。オーディエンスは我がままだから,更なる高みを求めるのだが,彼らに期待する高みに達していないのが残念なのだ。これではJames Farmの方がずっとよかったと思えてしまったのが残念である。今回に関しては,いくら私がBrad Mehldauの追っかけだからと言って,何でもかんでももろ手を挙げて最高と言うつもりはないってことだ。Brad Mehldauの演奏については特に文句はないとしても星★★★☆が精一杯。はぁ~。

Recorded on September 10-12, 2019

Personnel: Joshua Redman(ts, ss), Brad Mehldau(p), Christian McBride(b), Brian Blade(ds)

 

2020年7月11日 (土)

ブートで聞いたBrad Mehldauのピアノ・コンチェルトやいかに...。

Brad-mehldau-piano-concerto

今回,ブート屋に久しぶりに注文したのはBrad Mehdauのピアノ協奏曲が聞きたかったからである。Brad Mehldauは"After Bach"は言うに及ばず,Renée FlemingやAnne Sofie von Otterと歌曲のアルバムも作っているし,アルバム化はされていないが,テノール歌手,Ian Bostridgeとツアーも行っており,クラシック寄りの活動もこなしている。そんな越境型の活動をするBrad Mehldauゆえ,彼がピアノ協奏曲を書くと聞いてもそんなに驚きはなかったし,そのうちやるだろうぐらいに思っていた。

_20200710

この曲を演奏するために,来日する予定もあるようには聞いている。しかし,現在の新型コロナウイルス禍が収まらない限り,ライブでの来日は難しそうなので,果たしてどうなるのかというところだが,でもやっぱりどういう感じなのかは聞いてみたい。ブログのお知り合いの風呂井戸さんが,この演奏を収めたブートレッグを取り上げられて,その欲求が猛烈に増してしまった私である。ということで,昨日紹介したクリポタのブートとともに発注したのだが,ほかにも発注したものがあるものの,それはまた後日ということで,今日はそのBrad Mehldauのブートレッグである。

冒頭はストラヴィンスキーがアレンジしたバッハの「平均律」第1巻10番であるが,これが実に穏やかな出だしである。まぁこれはピアノ協奏曲へのプレリュードみたいな感じだと思えばいいだろう。それでもってメインのピアノ協奏曲はどうかというと,ここでも演奏が実に穏やかに推移するという感じがする。ちょっと聞いた感じ,まず私が連想したのがMichael Nymanの音楽であったが,聞いていくとガーシュウィン的なところもそこはかとなく感じられないでもない。あるいは聞き進めていくと,ドビュッシー的と言ってもよいかもしれないと思っていた私である。

はっきり言ってしまうと,クラシックのピアノ協奏曲というよりも,私には映画音楽的,あるいはそれが言い過ぎならばオーケストラを伴ったピアノ音楽という感じなのだ。それはここでの音楽が劇的な展開を示さないというところに起因すると思うのだが,私としてはコンチェルトとするならば,楽章ごとにもう少しメリハリをつけてもよかったかなと思う。そうした観点で,決して悪い出来とは思わないのだが,だからと言って,こりゃあ凄いやとは言えないところがある。私としては,これからのBrad Mehldauの活動の上での習作という気がするが,注目を浴びる中,本人にとっても結構プレッシャーのかかる仕事ではなかったかと思える。生で聞けば,また別の感慨もあると思うが,ブートを聞く限りは私としては上述のような感覚であった。

ライブではほかの曲もやったようだから,どうせなら完全版で出せばいいだろうとも思うのだが,放送されたのがこれだけだったってことなのかもしれないな。まぁ聞けたからいいんだけど。

尚,トップの写真はロンドンのバービカンでコンチェルトを初演した時の写真をネットから拝借したもの。

Recorded Live in Hannover on January 31, 2020

Personnel: Brad Mehldau(p), Clark Rundell(cond), ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団

2020年7月 6日 (月)

Brad Mehldauのベネフィット・アルバムが届いた。

Suite-april-2020-front "Suite: April 2020" Brad Mehldau(Nonesuch)

このアルバムについてはその意図については既に記事にした(記事はこちら)ので詳しくは書かないが,そのアルバムが先日届いた。ストリーミングでは既に聞いていたものの,改めてLPで聞くと,新たな感慨が生まれるものである。

ここに収められた音楽はコロナウイルス禍による厳しい現実を表すと言うよりも,癒しのための音楽である。ジャケットにもあるように"lullaby" is for everyone who might find it hard to sleep now.というのがそれを如実に示し,組曲に続いて演じられる"Don't Let It Bring You Down"や"New York State of Mind",そして”Look for the Silver Lining"はBrad Mehldauの現在の心象を反映したものだろう。

Suite-april-2020-innerこういう音楽はその制作意図を含めて評価すべきであることは言うまでもなく,前にも書いた通り,私はその心意気を買う。当然星★★★★★である。この1,000枚限定のベネフィット盤は逸早くリリースされたが,通常盤は9月にリリースされるようである。そして,CDの国内盤にはボートラ収録の告知がなされているが,それが事実ならばBrad Mehldauのコンプリートを目指す私としてはそっちも買わねば...(爆)。

因みに私のところに届いたアルバムに振られたシリアル・ナンバーは#214であった。そしてBrad Mehldauのサインは中のスリーブに施されていた。

Recorded on April 23 & 24, 2020

Personnel: Brad Mehldau(p)

2020年6月20日 (土)

突如現れたBrad Mehldauのベネフィット・アルバム。

Suite-april-2020

"Suite: April 2020" Brad Mehldau(Nonesuch)

コロナウイルス禍に影響を受けるミュージシャンは多いが,そうしたミュージシャンを支援するためにJazz Foundation of America(JFA)が立ち上げた基金,COVID-19 Musician's Emergency Fundのためのベネフィットを目的に,Brad Mehldauが新しいアルバムを突如リリースした。

Brad Mehldauは家族ともどもオランダに滞在していたらしいが,アムステルダムで録音したこのアルバムにはタイトル通りの組曲と,Neil Youngの"Don't Let It Bring You Down",Billy Joelの"New York State of Mind",そしてスタンダード"Look for the Silver Lining"が収められている。この組曲についてBrad Mehldauは,”A musical snapshot of life [at the time] in the world in which we've all found ourselves",そして "I've tried to portray on the piano some experiences and feelings that are both new and common to many of us." と述べているが,まさしくコロナウイルス禍がもたらした環境下での心象風景と言ったところだろう。

まずは1,000枚限定のサイン入りLPとしてリリースされたが,音源はストリーミングでも聞くことができる。また,追ってCDでのリリースも予定されているはずである。限定LPは送料込みで$110と決して安価ではないが,送料を除く$100は全額JFAに寄付されるとのことであるから,これは基金への貢献するためにも,速攻で発注した私であった。実はその直後にブログを1週間休むこととなった原因に直面することになるのだが...。

お聞き頂けばわかる通り,いかにもBrad Mehldauらしい美しいピアノである。音楽的な評価というより,私はこの心意気を買いたい。このアルバムはBrad Mehldauだけでなく,ジャケットのデザイナー,オランダのレコード・プレス企業,そして発送担当企業も,全て無償で対応しているという,本当のベネフィット・アルバムである。そうした観点でも当然星★★★★★であるが,このアルバムに関しては星の数など関係ないと思って頂けばよいだろう。ご関心のある方は下記のURLへどうぞ。

https://store.nonesuch.com/artists/brad-mehldau/suite-april-2020-limited-edition-180g-signed-lp-mp3-bundle.html

NonesuchのサイトにはBrad Mehldauのコメント付きの映像もアップされているので,それも貼り付けておこう。それにしても,彼の英語は実にわかりやすい。

2020年6月 8日 (月)

コレクターはつらいよ (26):Nonesuchの企画アルバムで2曲演奏するBrad Mehldau。

I-still-play ”I / Still / Play" Various Artists(Nonesuch)

これは長年,Nonesuchレーベルの社長を務めたBob Hurwitzの業績へのトリビュートのために,11人の作曲家が作曲したピアノ曲を収めた企画アルバムである。John Adams,Steve Reich,Philip Glass,Laurie Anderson,更にはPat Metheny,Brad Mehldau,そしてRandy Newman等,よく知られた人もいれば,Louis Andriesson,Donnacha Dennehy, Nico Muhlyのようなそうでもない人(私が知らないだけ?) の作品を収めたものだが,弾いているピアニストは4人。11曲中7曲は自身も1曲提供したTimo Andresが弾き,残りの4曲のうち,Brad Mehldauが2曲,Jeremy Denkが1曲,そしてRandy Newmanが1曲という構成である。

私がこのアルバムを購入したのは偏にBrad Mehldauゆえであるが,このアルバムは,現代音楽的なアプローチのアルバムであり,ジャズ・ピアニストとしてのBrad Mehldauを期待すべきものではない。まぁ,私は現代音楽のピアノ曲もかなり好きな方なので,こういうアルバムはBrad Mehldauが参加していなくても買ったかもしれない。やっぱり買ってないか...(苦笑)。

比較的短い曲が多くて,最長はPat Methenyが作曲し,Brad Mehldauが演奏した”42 Years"で6分36秒,最後のRandy Newmanの"Recessional"なんて1分に満たないし,2分台の曲も5曲あるから,まぁ小曲集の趣である。そうした中で,Brad Mehldauの弾く2曲だが,Timo Andresとは明らかにタッチが違うとわかるのが面白い。ここで演奏されているほかの曲をBrad Mehldauが弾いたら,また別の感覚が生まれたかもしれないと思いつつ,様々な曲想を楽しめるという点で面白かった。

曲としては,Philip Glassが書いた"Evening Song No.2"が実に美しいと思ったが,ほかの曲についても聞きどころが多数あると思えた。Pat Methenyの”42 Years"は序盤はややアブストラクトな響きを醸し出しながら,いかにもPat Metheny的なメロディ・ラインに移行していくところが面白かった。

まぁ,企画アルバムだし,現代音楽的なところもあり,万人には勧めにくいのも事実なのだが,これはこれでありだと思えた。だが,一般的な感覚からすれば,やはり「コレクターはつらいよ」と言いたくなるような作品であることも事実。私としてはこの作品を支持したいが,一点だけ言っておくべきことがあるとすれば,最後のRandy Newmanは必要だったのかということである。ほかの曲とのトーンが違い過ぎて,バランスを崩しているような感じるのは私だけだろうか?

Personnel: Timo Andres(p), Brad Mehldau(p), Jeremy Denk(p), Randy Newman(p)

2020年5月27日 (水)

追悼,Jimmy Cobb

Jimmy-cobb

Jimmy Cobbが亡くなった。Jimmy Cobbと言えば,いの一番に"Kind of Blue"となってしまうとは思うが,その後のMiles Davisのアルバムや,Wes Montgomeryとの共演盤等,記憶に残る人であった。ついこの間もWesとの"Smokin' at the Half Note"や,Sarah Vaughanの"Live in Japan",更には酷評はしたものの,Nat Adderleyの"Work Song Live at Sweet Basil"を立て続けに聞いていたのは単なる偶然か。

今年91歳になり,Roy Haynesに次ぐ高齢現役ドラマーとして活躍していただけに,この訃報は急だったが,歴史的なレコーディングだけでなく,まだNew Schoolの学生だった(かつJimmy Cobbの教え子だったらしい)Brad Mehldauを,Jimmy Cobb's Mobのメンバーとして迎え入れ活動したということだけでも私にとっては ポイントが高い。Jimmy Cobbはその後,2014年に"Original Mob"というアルバムで,久々にBrad Mehldauとの共演を果たすが,今回の訃報を受けて,Brad MehldauもFacebookに追悼のコメント(”The joy he has given me as a listener for decades and playing with him a short while, is a treasure I hold in my heart.”)を寄せている。

正直言って派手さはないのだが,Jimmy Cobbの持っていた堅実さと,的確にして適切なスイング感ってのは実は貴重だったのだと思える。

R.I.P.

2020年2月23日 (日)

久しぶりに聞いたFleurineとBrad Mehldauのほぼデュオ・アルバム。

_20200222 "Close Enough for Love" Fleurine(EmArcy)

FleurineはBrad Mehldauの奥方ということで,彼女のアルバムにはBrad Mehldauが何曲か客演するパターンが続いているが,彼女の第2作である本作には全面参加して,3曲でストリングスが加わるほかは,ほぼデュエットで演じているという点で,このアルバムはやはり重要な位置づけにあると思っている。しかし,そんなアルバムも聞くのは結構久しぶりで,こんな曲もやっていたっけ?なんて思うのだから,いい加減なものである。

全10曲中,4曲はオリジナルだが,冒頭から"The Logical Song"である。そう,あのSupertrampのヒット曲である。彼らの"Breakfast in America"がバカ売れしたのは1979年のことだったが,そのリード・シングルがこの曲であった。その頃高校生だった私にとっては何とも懐かしい選曲である。そのほかにもJimi Hendrixno"Up from the Skies"もやっているが,Pat Methenyの"Betters Days Ahead"にFleurineが歌詞をつけて歌っているのも面白い。どんな曲をやっても,ここでのBrad Mehldauのピアノはリリカルで,ついついピアノの方に耳が行ってしまうのは仕方ないところである。感覚的に言えば,"Elegiac Cycle"に通じるような響きと言えばいいだろうか。

だからと言って,Fleurineの歌は無視できない。ここでは楚々とした歌い方で,クセのなさが心地よいのだ。その後のFleurineのアルバムもBrad Mehldauコレクターとして買い続けている私だが,やはりこのアルバがほかのアルバムよりも魅力的に響くのは,Brad Mehldauのピアノはもちろん,選曲とFleurineの歌いっぷりによるところも大きい。久しぶりに聞いて,思っていたよりも面白く,優れたアルバムであった。星★★★★☆。それにしても,Brad Mehldauのストリングスのアレンジも結構いけている。何をやっても大したものである。

Recorded on June 24 & 25, 1999

Personnel: Fruerine (vo), Brad Mehldau(p),Marrianne Csizmadia(vln), Ori Kam(vla), Noah Hoffeld(cello)

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