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カテゴリー「Brad Mehldau」の記事

2022年4月19日 (火)

ようやく到着:Brad Mehldauの新作。やっぱりこれは問題作だよなぁ。 #BradMehldau

Jacobs-ladder-cover_20220418182601 "Jacob’s Ladder" Brad Mehldau(Nonesuch)

NonesuchにプレオーダーしていたBrad Mehldauの新作がようやくデリバリーされた。発送通知から1か月以上ってのは,いくら何でも掛かり過ぎとは思うが,まぁ仕方ない。ついてきたオマケは裏ジャケ写真にBrad Mehldauのサインが入ったものだが,これは「う~む」って感じだなぁ(苦笑)。

音源としては既にダウンロード音源では聞いていたのだが,これはやはり問題作と言ってよいだろうし,基本的なテーマとしては「プログレ」があるのに加え,そこに宗教が絡むというところが難しい。その「プログレ」も,ロック的な音よりも,高度な技術の積み上げと「コンセプチュアル」という方法論的なところが重視されていているって感じか。ひな形として選ばれているのはRush,Gentle Giant,そしてYesであるが,おぉ,これぞプログレって感じさせるのは2曲目"Herr Und Knecht"ぐらいのもので,全体的なサウンドとしては,プログレと言うにはロック的要素が希薄なのである。

そういう意味で,プログレを好んで聞くリスナーにとっても,Brad Mehldauのジャズ・ピアノを期待するリスナーの双方にとって???となってしまうのではないか。だが,Brad Mehldauというミュージシャンの出自を考えれば,これまでのレパートリーに含まれていたロック曲の多さは明らかであったし,Beatles,Neil Young,RadioheadからSoundgardenまで何でもありだったのだ。これまでのアルバムではプログレシッブ・ロック・バンドのカヴァーは"10 Years Solo Live"でPink Floydの"Hey You"をやったぐらい(確かBBCのプログラムでもやっていたな)しかないはずなので,一気にプログレ・カヴァーが爆発したって感じだと言ってもよい。そうした出自も理解した上で私はBrad Mehldauの追っかけをしているので,この路線には全く問題は感じない。

だが,そこで出てくる音が,上述の通りロック的にならないところは意図的なものとしても,私のような年代のリスナーは"Herr Und Knecht"みたいなのをもっとやってくれた方が嬉しいと思うのだ。そうは言っても,Brad Mehldauはロック・ミュージシャンではないし,全編そういう音楽を作る気もなかろう。これはBrad Mehldauによる「プログレのアダプテーション」であって,プログレそのものだと思ってはならないというところだろう。コンセプトはしっかりしているし,Chris Thileがヴォーカルを担当する"Tom Sawyer"もいい出来だと思う。私はこうしたBrad Mehldauのチャレンジを前向きに捉えるので,多少の贔屓目があることは否定しないが,私個人としてはアルバムとしての評価は決して悪いものではない。最高評価にはできないとしても,最後に出てくる"Starship Trooper"が昔のYesのファンとしてはあまりに嬉しく,オマケも込めて星★★★★☆。

でも評価は絶対分かれるし,好き嫌いも分かれるに違いない。やっぱり問題作だ(笑)。7月に来日する時のプログラムは,ソロ,"After Bach"路線,それとコンチェルトだもんなぁ。変幻自在にもほどがある(爆)。

Recorded between April 2020 and January 2021

Personnel: Brad Mehldau(p, el-p, key, synth, org, ds, perc, vo, etc.), Marc Giuliana(ds), Paul Power(b-ds), John Davis(prog, sampling), Joel Frahm(ss, ts), Joris Roelofs(b-cl), Lavinia Meijer(harp), Motomi Igarashi-de Jong(linore), Pedro Martins(vo, g), Chris Thile(vo, mandolin), Becca Stevens(vo), Luca van den Bossche(vo), Tinkerbell(vo), Tobias Bader(vo), Safia McKinney-Askeur(vo), Timothy Hill(vo), Damien Mehldau(vo), Fleurine(vo), Cécile McLorin Salvant(vo)

2022年4月16日 (土)

Brad Mehldauの新譜:いつになったらデリバリーされるのやら...

Brad Mehldauの新作"Jacob’s Ladder"については,「現在空輸中」と以前書いた。ダウンロード音源は聞けるものの,ちゃんと記事を書くのは現物が届いてからということで考えているのだが,発送通知をNonesuchから受け取って既に1か月が経過したのに,まだ来ない。プレオーダーでついてくるオマケ欲しさに発注したのに,プレオーダーの意味がないってところ。世の中,サプライチェーンも混乱しているとは言え,この時間の掛かり方は異常。そもそも米国内の手続きに無茶苦茶時間が掛かっているのはなんでやねん?と言いたくなる。まぁ,待つしかないのだが,Nonesuchからは国際便は8週間程度掛かることがあると言ってきたが,こんなに待たせるのだったら送料下げて欲しいもんだよなぁ。

2022年3月19日 (土)

Brad Mehldauの新作,"Jacob’s Ladder"がリリース。現物は現在空輸中...。 #BradMehldau

Jacobs-ladder-cover_20220319072101 "Jacob’s Ladder" Brad Mehldau(Nonesuch)

Brad Mehldauの新作のリリース日を迎えて,既にストリーミングでも公開されている。私はオマケ欲しさに現物を米国から飛ばしているので,現物はまだ手許にないが,Nonesuchからダウンロード音源が届いているので,まずは聞ける範囲で聞くことにしよう。既に一部の音源は公開されていたが,今回のテーマは「プログレ」である。

まだ全部聞けてはいないが,私がのけぞったのが2曲目,"Herr und Knecht"である。まさにプログレ,現代に蘇ったEmerson, Lake & Palmerみたいな音ではないか。Brad Mehldauはロックの曲をカヴァーもしているし,越境型の共演もこなすので,自身の音楽体験にロックがあることは間違いない。そして,ここではRush,Gentle Giant,そして私は聞いたことのないPeripheryをカヴァーしつつ,プログレに対するオマージュを徹底して発露したって感じである。最後の"Heaven"には美的なピアノ・フレーズに続いて,Yesの"Starship Trooper"から"Life Seeker"まで登場するのにはまじでビックリした。

コンヴェンショナルなBrad Mehldauを好むリスナーにとっては,こういう音楽は反感を呼び起こすかもしれない問題作と言ってよいが,もともとがBrad Mehldauはジャズ・フィールドに留まらないプレイヤーなのだと私は思っている。詳しくは現物が届いてから改めて書くが,ここまで徹底してやってくれれば文句も出ない。

2022年3月11日 (金)

これもBrad Mehldau参加音源入りの珍しいライブ・コンピレーション。Charles Lloydとの"Lady Day"収録。 #BradMehldau

_20220310 "The Best of Summer Nights at MOCA" Various Artists(MOCA)

先日もライブ・コンピレーションの"Ludwigsburger Jazz Tage"を取り上げたが,これもBrad Mehldauの参加音源が入っている。これも保有していることに安心しきって,ちっとも聞いちゃいないということで,久々に取り出してみた。

MOCAとはLAにある近代美術館,Museum of Contemporary Artである。そのMOCAにおいて1998年に開催された屋外無料コンサートの模様を収めたもので,あまりよく知らないミュージシャンの音源も含まれているが,私のねらいは主題の通り,Charles Lloydと共演したBrad Mehldau音源にあった。ここでやっているのは,ECMからリリースされた"Water Is Wide"でもやった"Lady Day"である。この14分弱の演奏が実に魅力的で,私のようなBrad Mehldauコレクターでなくても,これ1曲のためだけに保有している意義があるとさえ言いたくなる。

"Lady Day"のリズムはJeffrey LittletonとBilly Higginsなのだが,この二人,最後に入っているBarry Harrisの伴奏もしているから,ここでのCharles Lloyd Quartetは特別編成なのかもしれない。しかし,Billy Higginsは”Water Is Wide"でも叩いているから,この辺りの判断は難しいところだが,それでも演奏がいいのだから,そんなことはまぁどうでもいいっちゃどうでもいい。

いずれにしても,こういうイベントが美術館で無料で開催されるってことが,実に素晴らしいことである。尚,このCDの収録曲は次の通り。

  1. "Born Again" Barbara Morrison
  2. "The Night Has a Thousand Eyes" Billy Higgins(ピアノはCedar Walton,テナーはHarold Land)
  3. "My Ship" Sandra Booker
  4. "African Queen" Bobby Matos
  5. "Moontrain" Joe Bonner & Michael White
  6. ”I've Seen Fire & I've Seen Rain" Ernie Andrews
  7. "Lady Day" Charles Lloyd
  8. "Un Poco Loco" Barry Harris 

2022年3月 5日 (土)

Brad Mehldau参加音源入りの珍しいライブ・コンピレーション。よくよく見ると,結構豪華なメンツであった(爆)。 #BradMehldau

_20220303 "Ludwigsburger Jazz Tage" Various Artists(Chaos)

Brad Mehldauの音源を集めている私であるが,一旦入手してしまうと,保有していることに満足(安心)してしまって,全然聞いていないとかいうことがよくある。これなんかその最たる事例みたいなものである。

これはドイツのルートヴィヒスブルクで開催されたジャズ・フェスティバルでの,90年代前半のライブ音源を集めたコンピレーションで,1曲目にJoshua Redman Quartetに参加したBrad Mehldauの演奏が収められていることから入手したアルバム。上述の通り,保有していることでOKみたいになってしまって,一体誰の演奏が入っていたかも覚えていない。しかし,今回,久々に取り出してみて,おぉっ,こんなメンツだったのかとちょっと驚くような面々であった。

1曲目のJoshua Redman Quartetは昨年,リユニオン・アルバムを出した強力クァルテットであることは認識していたが,アルバム全体は次のような構成となっていた。

  1. Joshua Redman Quartet: "Blues on Monday"(November 14, 1993)
  2. Chick Corea Solo: "Thelonius Monk Medley (Round Midnight / Trinkle Trinkle)"(November 15, 1990)
  3. Oregon: "June Bug"(November 27, 1990)
  4. Kenny Werner Trio: "There Will Never Be Another You"(November 3, 1991)
  5. Kenny Werner’s Uncovered Heart: "Sticky Wicket"(March 14, 1992)
  6. Steps Ahead: "From Light to Light"(November 14, 1993)
  7. Joe Lovano’s Universal Language: "Luna Park"(November 13, 1993)

Kenny Wernerの名前が2曲に見えるが,更に7のJoe Lovanoのバンドにも参加しているのが目立つ。5の"Sticky Wicket"にはRandy Breckerが参加していて,実にナイスなソロを聞かせるているところなどは実にポイントが高い。3のOregonはパーカッションはTrilok Gurtuが務めている時のものだが,私は日頃よりRalph Townerファンとか言っておきながら,この演奏を完全に失念していたのは恥(苦笑)。Steps AheadはサックスがAlex Foster,ドラムスがBilly Kilsonという編成なのも珍しい。

このCD,Paul McCandlessをRalph McCandlessと書いてみたり,Eddie GomezをAndy Gomezと書いてみたりと,かなりデザインやクレジットはいい加減なのだが(苦笑),それでもこのように手持ちの音源をちゃんと見返してみると新たな発見があるという典型例。参加者多数なので,Personnelは省略するが,好き者の皆さんの心はくすぐるかもなぁ(笑)。

2022年2月26日 (土)

またブートですか?と言われそうだが,今回はBrad Mehldauの2008年の記録。 #BradMehldau

_20220225 "Salzburg 2008" Brad Mehldau Trio(Bootleg)

昨今,このブログにブートレッグを取り上げる機会が増えていて,またですか?と言われてしまいそうだが,今回はBrad Mehldauのトリオによる2008年の演奏を収めた音源である。

このブログにも書いてきたが,私はBrad Mehldauの音源のコンプリート・コレクションを目指している。と言っても,それは公式音源に限った話で,例えば各国の媒体を全部揃えるとか,ブートまで全部カバーするとかいうものではない。よって,コレクターとしては結構「やわ」な訳だが,それでもなかなかコンプリートってのは難しいものだと思っている。まぁ,それでもBrad Mehldauが高校生の時に吹き込んだ演奏以外は多分揃っているはずだ。ブートレッグについては,注目に値するもの,音がいいもの,演奏がいいものなどは拾うようにしているが,このブートについては音と演奏がよいと思って購入したものである。

タイトル通り,ザルツブルグでの演奏を収めたものだが,私にとってザルツブルグと言えば,「サウンド・オブ・ミュージック」である。よく似合わないとは言われるのだが,私が人生においてもっとも繰り返し見た映画は「サウンド・オブ・ミュージック」であり,最も好きな映画の一本なのだ。だから,死ぬまでにザルツブルグは絶対訪れたいと思っているし,ロケ地を回るツアーにだって行きたいぐらいなのだ。

このブートは実に音がよくて,公式音源と比べても遜色がないものだが ,それに加えて,ザルツブルグでの演奏ということもあってか,「サウンド・オブ・ミュージック」から"Something Good"を演奏しているのが珍しい。この曲はAnne Sofie von Otterとの"Love Songs"でやっているが,あのアルバムはあまり聞かない私なので,すっかり失念していたが,トリオでの演奏は残っていないはずだから,そこに注目してしまうのだ。もともとが美しいバラッドであるが,それを更にテンポを落とした感じで美的にやっている。私としてはおぉ~と唸ってしまったのであった。

この曲に限らず,Brad Mehldau Trioの安定して高レベルの音楽が収められていて,実に嬉しくなるブートなのだ。冒頭の"Dream Sketch"から掴みはOK,終曲の"It Might As Well Be Spring"はテンポを上げての盛り上がりを見せて,とにかくライブとしての構成も見事なものである。こういうブートならいつでも歓迎ってところ。私が保有しているそんなに多くないブートの中でも,この演奏はかなりいい方のた部類と言ってよいと思う。

Recorded Live at University Salzburg on October 31, 2008

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

2022年1月30日 (日)

注目のBrad Mehldau新譜情報:”Jacob’s Ladder"は3/18リリース予定。

Jacobs-ladder-cover NonesuchレーベルやBrad MehldauのWebサイトに,Brad Mehldauの新譜,"Jocob’s Ladder"に関する情報がアップされている。プログレにインスパイアされた音楽を通じて,神と聖典を反映した新曲を演じると書かれている。1曲公開されている"maybe as his skies are wide"からして,おぉ,これは一筋縄ではいかないという感じであるが,メンツからすると,"Finding Gabriel"のような路線に近いものになるのかもしれない。こういうところが一部のアンチを生む理由のようにも思えるが,知性を兼ね備えながらも,留まるところを知らない多様性がいいのである(きっぱり)。

"Jacob’s Ladder"というと,私がNYCに渡っていた頃に公開された同名の映画があったが,元来は聖書由来の「ヤコブが夢見た天につながる梯子」である。やっぱり一筋縄ではいかない(笑)。

いずれにしても3月18日のリリースを心待ちにしたい。"maybe as his skies are wide"のオフィシャル・ビデオもアップされているので,貼り付けておこう(音源もBrad Mehldauのサイト等で聞ける)。これを見ると,ジャケもBrad Mehldauのデザインってことのようだな。

2022年1月 8日 (土)

Brad MehldauのVanguard音源:これにはまだダウンロード制限があるのか?

Brad-mehldau-trio-the-complete-friday-ni "Live: The Complete Friday Night Sets" Brad Mehldau Trio(Nonesuch)

この音源については2009年に既に記事にしている。これは"Brad Mehldau Trio Live"の元となったVillage Vanguardでのライブ音源のうち,2006年10月13日の金曜日の3セット分の演奏を丸ごと収めたものである。”Brad Mehldau Trio Live"が10/11から10/15の演奏からピックアップした音源から構成されているのに対し,本デジタル・アルバムは10/13のみの演奏というのが大きな違いである。Brad Mehldauがセット毎にどういう演奏をしているのかが聞けるのが実にありがたいセットなのだ。

そんな音源であるが,今はどうかわからないのだが,これがリリースされた当時はダウンロードが米国内からに限るという縛りがあって,なかなか入手できなかった。しかし,2009年10月から11月に掛けての世界一周出張の道すがら,米国滞在中にすかさずダウンロードしたのであった。

これだけインターネットが発達した世界においては,今やダウンロードを米国内からに絞るなんてことは機会損失にしかならないはずであるから,Nonesuchとしても今はどこからでもダウンロードできるようにしていると信じたい。いずれにしても,Brad Mehldauの追っかけとしてはどうしても入手しなければならなかった音源である。そして今聞いても実に素晴らしい音源であり,この頃から完成されたトリオであったことがわかる。評価としては稀少性も含めて星★★★★★しかない。この音源,Nonesuchストア・エクスクルーシブなので,ストリーミングでも聞くことはできないのだが,機会があれば,是非聞いてみて頂きたい音源である。

ここからは余談。今にして思えば,このアルバムをダウンロードした時の出張はワルシャワ~ロンドン~NYC~ボストンというかなりきつい出張だったのだが,ロンドンやNYCでは丁度ハロウィーンの時期に重なり,酔った兄ちゃん,姉ちゃんが街中に沢山いたなぁなんて懐かしむのも私の加齢の証左。ついでに言えば,出張中にはNYCマラソンも開催され(私は週末はバテバテだったのでマラソンそのものは見た記憶がない...) ,土産にド派手なNYCマラソンのロゴ入りウインドブレイカーを買ったのも懐かしい(今でも着ている)。

ライブもロンドンでJanek Gwizdala's Research Featuring Wayne Krantz, Gwilym Simcock and Gary Husband,NYCでPat Martino,そしてTom Harrellを観ているのだから,今よりは若いだけにタフだったねぇ。ロンドンのライブなんて,後にPat Methenyと共演するGwilym Simcockが入っていたのも懐かしい(当時は全然知らなかった)。ベースのJanek Gwizdalaも渡辺香津美やPeter Erskineとの共演でその名を再認識するのは後年になってからだが,Krantz目当てに行った割に,今にして思えば凄いメンツであった。こういうことを書いていると,本当に仕事なのか,遊びなのかわからないねぇ(爆)。

Recorded Live at the Village Vanguard on October 13, 2006

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

2022年1月 5日 (水)

私が評価できないBrad Mehldauのアルバム。

_20211231"Anything Goes" Brad Mehldau(Warner Brothers)

このブログを定期的にご覧頂いている方であれば,私がBrad Mehldauの相当のファンであることはご承知だと思う。ピアニストとしてのBrad Mehldauの魅力に痺れて,公式音源のコンプリートを目指す(+注目すべき音源はブートも仕入れる)ような私であるから,Brad Mehldauの音楽についてはほぼ好意的に評価しているというのが事実である。しかし,そんな私でもこれは駄目だなと思える例外的な音源もあるのだ。それがこの"Anything Goes"である(ほかにも評価していないものもあるが,またそれは別途...)。

私がBrad Mehldauに痺れるのは,曲の美しさを活かしながらも,独自のピアノ・スタイルを打ち出すところにあるのだが,このアルバムが気に入らないのは,明らかに策に溺れたという感覚を与える演奏が存在するということだ。冒頭の"Get Happy"然り,終盤の"Smile"然りである。何度聞いても,ちっともいいと思えない演奏というのはこういうものだろうと思わざるをえない。それは久々にこのアルバムを取り出して聞いてみても変わらないのだ。

もちろん,全部が悪いと言っているのではない。ラストの”I've Grown Accustomed with Her Face"等は相応に魅力的に響く(と言っても,もっとよく出来たはずだとも思っている)し,このアルバムではPaul Simon作の"Still Crazy after All These Years"を選曲したことは非常に重要だと思う。しかし,そうした要素をもってしてもネガティブに評価せざるをえないような演奏を入れてしまったのが,私としてはどうしても解せないし,納得がいかないのだ。

今にして思えば,本作がJorge Rossyとの最終作となった訳だが,それは「策を弄し過ぎた」ことによるトリオとしての煮詰まり感のようなものを,Jorge Rossyに与えたのではないかとさえ勘繰ってしまうのだ。私にとっては,何度聞いても好きになれない鬼門のようなアルバムと言ってよいが,Brad Mehldauとて,傑作ばかりを産んでいる訳ではないということを証明している。星★★★。

しかしながら,こういうアルバムを聞いたとしても,Brad Mehldauが私にとっての最重要ピアニストであることには何の変りもない(きっぱり)。本作は失敗作だとしても,次の東京でのソロ・ライブのようなアルバムを出して,ちゃんとリカバリーするところが大事なのだ。

Recorded on October 8 & 9, 2002

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jorge Rossy(ds)

2021年12月13日 (月)

久しぶりに取り出したBrad Mehldau参加の珍盤。

Warner-jams

"Warner Jams: A Tribute to Jazz Masters" Various Artists(Warner Brothers)

このアルバムは,このブログを始めて3日目に記事にしている(笑。記事はこちら)。だが,ここに収められた音源を聞くのはそれ以来かもしれない(爆)。ソフトの保有枚数が増えれば,各々のプレイバック頻度が下がること自体は不可避だとしても,ブログを始めてもはや15年近くになるというのに,ほとんどプレイバックしていないというのもひどいものだと思わざるをえない。

このアルバムはジャズマンをデザインした切手のフォリオのオマケとしてついてくるものというのが実に珍しい訳だが,私がこれを入手した頃は,世の中で出回ることはあまりなかった。まぁ,切手のコレクターはそれをコレクションする訳で,手放す訳ないしねぇってところだろうが,それでもDiscogsでは今や簡単に入ってしまうのだからいい時代である。私はeBayで結構安く手に入れたが,Discogsは送料込みにするとそこそこの値段って感じか。まぁ,メンツとか見ると欲しくなる人もいるだろうねぇ。

これは本家"Warner Jams"の残りテイクかと思いきや,よくよく見るとクレジットにはVillage Vanguardでの録音って書いてあるから,ライブでのショーケース音源なのか?って疑問も湧くが,聴衆の拍手は入っていない。4曲だけとは言え,Brad Mehldauが参加している以上,私としてはどうしても入手しなければならなかったもの。Brad Mehldauがフィーチャーされるのは実にブルージーな"Goodbye Pork Pie Hat"だしねぇ。しかし,入手したのはいいものの,15年近くラックに寝かせたままってのもどうなのよ?と反省してしまった。切手含めた中身は上記のような感じ。まぁ繰り返しになるが,そこそこの珍盤ってことで。

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