2021年9月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    

2019年おすすめ作

無料ブログはココログ

カテゴリー「Brad Mehldau」の記事

2021年8月20日 (金)

Brad Mehldau Trioの最新音源がブートで届く。

_20210819 ”Sweet And Lovely:Live at Jazz in Marciac Festival 2021" Brad Mehldau Trio(Bootleg)

昨今のブートレッグは実に音源のデリバリーが早いのが特徴になっていて,コロナ禍による音楽への渇望感を癒す効果というのは確実にあるなと思ってしまう。 この音源は去る7/27に行われたトリオによるライブの模様を収録したもの。元ネタはビデオ・ストリーミングではないかと思えるが,ついつい買ってしまった。だって,トリオの演奏は久しぶりだもんねぇ。この前にニースでのライブもブートが出ていたが,こちらは2枚組ということもあり,またブログのお知り合いである風呂井戸さんもご紹介されており,どうしようか迷っていたが,結局購入である。

コロナ禍でライブ活動が制約を受ける中,Brad Mehldauは欧州中心での活動をしていたが,先日はNYCのMezzrowにソロで出ていたので,ついにNYCに戻ったようである。これまでソロ中心の活動であったが,ようやくトリオでの活動が復活というのは喜ばしいが,またデルタ株の感染拡大により,ライブには影響も出てくるかもしれないのが懸念される。

それはさておき,このトリオは長年の活動をしているので,多少のインターバルがあろうが,そのコンビネーションには影響が出ていないことは明らかだ。しかし,この時の演奏では比較的コンベンショナルな感じの曲,演奏をしていることから,まだまだ助走期間という感じで取り組んだのかもしれないと感じる。Disc 2では"In the Still of the Night"や”Here’s That Rainy Day"のようなスタンダードも演奏しているが,これらの曲を演奏しているのは聞いた記憶がない。Disc 1の"Sweet And Lovely"にしても,Grant Stewart盤でやって以来,レコーディングはないはずだ。逆に言えば,最近のトリオでは珍しいレパートリーで臨んだということになる。まぁ,ニースでも同じような曲をやっているから,今回はそういう取り組みだったってことだろう。

どんな曲をやっても,やはりこの人たちは魅力的な演奏をするってのを改めて感じてしまったが,私が心配してしまうのは,次に彼らのライブを観られるのがいつになるかってことである。日本は今や感染拡大のピークみたいになっているため,2年ぐらいは無理なのではないかと思ってしまうが,その間はブートレッグや出るかわからない公式盤で我慢するしかなかろう。いずれにしても,多少の渇望感は癒せても,ライブに全然行けていないというフラストレーションが消えることはない。改めてライブに行ける日が来ることを祈るのみである。

尚,本盤と同時にBranford Marsalisの89年のVanguardでのライブ・ブート(4枚組!)も仕入れたのだが,それについての紹介は別の機会に譲るとして,これがまたマジでエグい(もちろんいい意味でである)ものであったことだけご報告しておく。

Recorded Live at Jazz Marciac on July 27, 2021

Personnel: Brad Mehldau(p), Larry Grenadier(b), Jeff Ballard(ds)

2021年6月16日 (水)

Brad Mehldauの新作なのだが,さすがにこれは困った。

Variations-on-a-melancholy-theme "Variations on a Melancholy Theme" Brad Mehldau / Orpheus Chamber Orchestra(Nonesuch)

Brad Mehldauの新作がリリースされた。今回はOrpheus Chamber Orchestraとの共演によるクラシック風味の強い変奏曲ということで,越境型ミュージシャンとしてのBrad Mehldauの面目躍如のようなアルバムと言ってもよいのだが,私にとっては微妙なものとなった。それは私がBrad Mehldauの大ファンだからと言っても変わらない。

そもそもこの演奏は最新録音ではないはずである。Brad MehldauがOrpheus Chamber Orchestraとこの曲を演奏したのは2012年あるいは13年の音楽シーズンであった。コロナ禍で演奏活動に制約が生じている中で,古い音源を引っ張り出してきたってことかもしれないが,それにしても,このオーケストレーションは中途半端って気がする。もともと,この曲はKirill Gersteinのピアノ・ソロのために書かれて,そこにOrpheus Chamber Orchestraからの委嘱によってオーケストレーションが付加されたもの。しかし,オーケストレーションとしては,正式にはまだリリースされていないが,Brad Mehldauが書いたピアノ協奏曲の方がまだ面白みがあったように思える。Brad Mehldauのピアノには文句はないのだが,オケとの共演によるシナジーが効いていると思えないのだ。

しかし,私としてもVariationとしての「変奏ぶり」については詳細に聞けていないところもあり,ちゃんとした評価はそれからでもいいのだが,何度か聞いてもあまり惹きつけられる要素が感じられていないのが残念である。まぁ,Brad Mehldauとて,こういう音楽は習作ってところもあるだろうし,時期的にも結構前だけに,こんなもんかなぁってことか。

最後の曲の後に拍手が入っているが,ライブ音源のデータも記述されていないし,実によくわからないつくりなのも不思議である。おそらくは2012年もしくは13年のシーズンに録音されていたものってところだろうが,敢えて今リリースする理由はあったのか...。

Personnel: Brad Mehldau(p) with Orpheus Chamber Orchestra

2021年6月 9日 (水)

久しぶりにブートレッグの話。またもBrad Mehldauである。

_20210607”Moers 2021" Brad Mehldau(Bootleg)

コロナ禍の影響により,ミュージシャンは音楽活動に制約を受けてきたし,我々リスナーもライブの場に立ち会う機会がなくなってしまった中で,最新の動向を押さえていくには,ネットかブートに頼るしかない。今日はブートレッグであるが,またもBrad Mehldauである。去る5/21のライブの模様が早くもブートで手に入るってのが凄いことだが,やっぱり聞きたいのである。

今回はドイツはメールスで開催されたフェスティバルの実況であるが,YouTubeには映像も上がっているはずなので,ソースはそれってことになろう。Radiohead,Beatles,Neil YoungにColtraneゆかりのナンバーなどをソロで演奏する模様が収められている。今回は名古屋から仕入れたものだが,映像を収めたDVDがオマケでついてきた。まぁ,私は音だけ聞ければいいのだが,オマケはオマケで嬉しい(笑)。

このご時世なので,トリオ演奏は難しいこともあり,ここのところ,ソロでの演奏が中心のBrad Mehldauだが,ここでも彼らしい演奏ぶりが楽しめる。私が入手したのは実際のライブから10日も経っていない頃だったはずなので,便利な世の中になったものだと思わざるをえない。

まぁ,ブートはブートなので,どうこう言うつもりはない。それでも,このブートで私が密かに期待したのはNeil Youngの"Don’t Let It Bring You Down"だったのだが,正直言ってこれは可もなく不可もなくって感じであった。むしろRadioheadの曲の方がいい感じだったと思う。

ワクチン接種が拡大し,日本も近い将来平常時に戻ることを期待しつつ,改めてのBrad Mehldauの来日を期待したいが,それまではこういうので我慢していくしかないのである。もうすぐオーケストラと共演したアルバムも出る予定のBrad Mehldauであるが,それまではこの音源や既発のCDを聞いて待つことにしたい。

Recorded Live at Festivalhalle, Moers, Germany on May 21, 2021

Personnel: Brad Mehldau(p)

2021年1月18日 (月)

Brad Mehldauが媒介となり,私がJoe Henryと出会ったアルバム。傑作。

_20210113 "Scar" Joe Henry(Mammoth)

私はシンガーとしてのJoe Henryのファンであり,プロデューサーとしてのJoe Henryのファンでもある。Joe Henry名義のアルバムには失望させられたことはないし,彼がプロデュースしたアルバムも,優れたものが多い(例外もあるが...)。私にとっては信頼できるミュージシャンの一人なのである。

そんな私がJoe Henryの音楽に初めて触れたのがこのアルバムなのだが,その契機となったのはこのアルバムにBrad Mehldauが参加していることにほかならない。今となってはJoe Henryのかなりのファンといってよい私ではあるが,彼の音楽に触れる機会を作ってくれたのはBrad Mehldauなのだ。

Brad MehldauがSSW系のアルバムにおいてどのような演奏をするかについては,大いに興味をそそられるところではあるが,本作のもう一つの大きなポイントがOrnette Colemanの参加である。全面参加ではないが,出てきた瞬間,おぉ~,Ornette!と叫んでしまいそうなサウンドである。どんな局面でも場をさらっていくOrnette Colemanという人の凄さを感じられるのも,このアルバムの魅力。

そして,このアルバム,プロデュースはJoe HenryとCraig Streetなのだ。このコンビで悪いものができるはずがないという鉄壁のプロデューサー陣という気がするが,OrnetteやBrad Mehldau以外のミュージシャンも凄い。そしてそうしたミュージシャンが自己主張は抑制しつつ,音楽づくりに貢献している姿は実に素晴らしい。

若干くぐもったような音場から出てくるJoe Henryのヴォイスを聞いて,これはBrad Mehldau抜きにしても買いだったなと思ったのが,もう20年前。それから幾星霜を経て,このアルバムも実は久しぶりに聞いたのだが,やっぱり共演者で一番強烈なのはOrnette。Lou Reedの"Raven"にしても,本作にしてもやはりOrnette Colemanの力は偉大だったと再確認させられる緊張感に満ちた傑作。最後に収められたタイトル・トラックの後,隠しトラックとしてOrnetteのアルトがむせぶのを聞き逃してはならない。喜んで星★★★★★。

Personnel: Joe Henry(vo, g, key, perc), Ornette Coleman(as), Brad Mehldau(p, org), Marc Ribot(g), Me’Shell Ndegéocello(b), David Pilch(b), Brian Blade(ds), Abe Laboriel, Jr.(ds), Bob Malach(reeds), Sandra Park(vln), Sharon Yamada(vln), Robert Rinehart(vla), Elizabeth Dyson(cello), Gene Moye(cello), Stacey Shames(harp), Eric Charleston(vib, perc), Steve Barber(arr)

2020年12月 7日 (月)

Brad Mehldauが客演したPerico Sambeatの”Friendship"。

_20201205 "Friendship" Perico Sambeat(ACT)

Brad Mehldauの追っかけとして,コンプリート・コレクターを目指す私である。しかし,以前にも書いたが,ブートも全部対応するとか,既発曲を収めたコンピレーションまで集める気はない。あくまでも参加した公式音源をオリジナルなかたちで全て集めたいと思っているだけである。現在のところ,ほぼ網羅していると思うが,あとはBrad Mehldauが高校時代のバンドで録音したEPがあるのだが,それは公式音源と言えば,公式音源なのだが,あまりにも稀少なのでほぼ入手は諦めている。たまにDiscogs等に出てくることがあるが,それに大枚はたく気はないってところである。

それはさておきである。Brad Mehldauの楽歴を追っていけば,Perico Sambeatという名前が結構重要であることは周知の事実である。Brad Mehldauの初リーダー作はWarner Brothersから95年に出た"Introducing Brad Mehldau"とすべきところではあろうが,事実上の初リーダー作は,ともにFresh Sound New Talentからリリースの,93年の5月にバルセロナで吹き込まれた”New York Barcelona Crossing"の2枚,もしくは93年10月に吹き込まれた"When I Fall in Love"ってことになる。リリース・タイミングで言えば94年に出た後者ってことになるのだが,レコーディングのタイミングからすれば,前者ということになり,そこにはPerico Sambeatが参加しているのである。

Perico Sambeatとはその後もFresh Sound New Talentに"Ademuz"というアルバムを残しているし,Chris Cheekとのアルバムも2枚あるので,Brad Mehldauのキャリアにおいて,Fresh Sound New Talentは結構重要なレーベルということになるが,本日は2003年にACTからリリースされた本作である。タイトル通り,彼らの友情の賜物としてレコーディングされたようなアルバムと言ってよい。1曲を除いてPerico Sambeatのオリジナルで構成される本作であるが,曲の質も高く,演奏も実によくできていて,レベルの高さを実証している。Kurt Rosenwinkelも3曲で客演するなど,この参加ミュージシャンからすれば,納得の出来という気もするが,アルバムとしての雰囲気が実にいいのだ。唯一のスタンダード,"Crazy She Calls Me"のバラッド表現なんて,ジャズ喫茶でかかっていたら,アルバムを確認したくなること必定のような演奏である。

まぁ,もう少し演奏をコンパクトにしてもよかったかなと思える曲もあるのだが,私としては久しぶりに聞いて,改めて評価したくなってしまったアルバム。星★★★★☆。

Recorded in February, 2003

Personnel: Perico Sambeat(as, ss), Brad Mehldau(p), Kurt Rosenwinkel(g), Ben Street(b), Jeff Ballard(ds) 

2020年10月17日 (土)

Brad Mehldauファンなら絶対見逃せないブートレッグ登場。

_20201016”Live in Paris 2020: Brad Mehldau Jour the Beatles" Brad Mehldau (Bootleg)

これは強烈なブートの登場である。コロナ禍が発生してから,Brad Mehldauはオランダに滞在していたはずで,"Suite: April 2020"も現地で録音されたものであった。その後もBrad Mehldauは欧州に滞在していたのかもしれないが,そのBrad Mehldauが今年9月にパリで演奏した時の模様を収めたブートレッグがリリースされた。

このブートが注目に値するのは,タイトルを見て頂けばお分かりになるように,Beatlesの曲を中心に演奏したってことである。以前からBrad MehldauはBeatlesナンバーを吹き込んでいるし,ロック畑のミュージシャンの曲を結構演奏してきているから,ライブにおいてもこういう企画があること自体は不思議ではない。しかし,こうしてブートとは言え,ここでの演奏を聞けることには大きな感慨を覚える。

ここではBeatlesナンバーに加えて,Paul McCartneyの”Maybe I'm Amazed”,更にはZombies,Beach Boys,David Bowieまでやってしまうのだからこれはたまらん。そしてアンコールは"New York State of Mind"から始まる5曲の大盤振る舞いである。パリの聴衆の熱狂ぶりがわかるが,それもまぁ当然かなと思える演奏。正直言って演奏自体にそれほどの驚きはないのだが,それでもこれは実によい。特にアンコールの味わいと言ったら半端ではない。

面白いことに,この日の音源は宇田川町の迷宮ではDVDとして売られているが,私は映像よりも音に浸りたいので,CDでリリースした名古屋から取り寄せたものである。宇田川は前日のオーディエンス録音とプロショットのDVDの3枚組,名古屋はおそらくその映像をソースとするCD2枚組としてリリースし,先着50名で初日のオーディエンス録音の2枚組をつけるというかたちで競争を仕掛けている。ブート業界も競争が激しいのだ(笑)。

いずれにしても,この音源は私としては告知を見た瞬間から避けて通れないと思って,即発注したものだが,その甲斐あっていいものを聞かせてもらったと思っている。さぁ,初日のオーディエンス録音もさっさと聞かねば。私がパリの聴衆に嫉妬したことは言うまでもない。

Recorded at Philharmonie de Paris on September 20, 2020

Personnel: Brad Mehdau(p)

2020年8月 1日 (土)

ようやくデリバリーされたJoshua Redman Quartetのリユニオン・アルバムなのだが...。

Roundagain "RoundAgain" Redman Mehldau McBride Blade(Nonesuch)

本国でリリースされていながら,ちっともデリバリーされなかった本作がようやく到着である。コロナ禍の影響がないとは言わないが,それにしても時間が掛かり過ぎで,イライラさせられた。最近のAmazonは新譜がまともにデリバリーされたことがないのはどういう了見かと文句も言いたくなる。

それはさておき,このメンツが集結するのは94年に"MoodSwing"をリリースして以来なので,四半世紀以上ぶりということになるが,当時の若手が,今や現代のジャズ界を支える面々となってのリユニオンである。期待するなって方が無理である。そういう意味では,今年一番の話題作,注目作と言ってもいいぐらいの作品だろう。よって,私としてもCDがデリバリーされる前からストリーミングで期待しながら聞いていたことは言うまでもない。

既にストリーミングで聞いていた時から音の具合はわかっていたのだが,やはり媒体で聞いてみないとわからない部分もあるだろうということで,記事にすることは控えてきた私である。ようやくアルバムを我が家のオーディオで,家人がいないことをいいことに「相応の音量」で聞き直した訳だが,期待値が大き過ぎたかなとついつい思ってしまったというのが正直なところである。

聞いた感じで言えば,ストリーミングで聞いていた時よりは,音の粒立ちが違うこともあって印象はやや好転したのだが,聞き進むにつれて,ストリーミングで聞いていた時にも思っていた感覚が甦ってきたのである。はっきり言ってしまえば高揚感がないのだ。このメンツであれば,オーディエンスをワクワクさせるような演奏を展開できると思うが,最大の難点は曲があまり面白くないことではないか。アドリブ・パートはいいとして,どうも没入できない。贔屓の引き倒しと言われそうだが,私がいいと思えたのは結局Brad Mehldauの2曲なのだ。

演奏のレベルの高さはケチのつけようがないところなのだが,特にJoshua Redmanのオリジナルがイマイチだなぁという感覚に囚われ続けてしまう私である。更に言わせてもらえば,リズム・セクションに比べて,Joshua Redmanの吹奏も音色も魅力的に響かないのである。94年にはリーダーであったJoshua Redmanが今や一番つまらないと思わせるというのが象徴的な気もするが,私にとってはもう少しやれたのではなかったのかと思ってしまうのだ。今や,各々がリーダーとして活躍しているから,Joshua Redman Quartetではなく,4人の連名表記となっているのも仕方ないと思わせるというところか。こういう表記を見ると,私なんかはAnderson Bruford Wakeman Howeを思い出してしまうねぇ(笑)。

はっきり言ってしまえば,このメンツならこれぐらいできて当たり前。オーディエンスは我がままだから,更なる高みを求めるのだが,彼らに期待する高みに達していないのが残念なのだ。これではJames Farmの方がずっとよかったと思えてしまったのが残念である。今回に関しては,いくら私がBrad Mehldauの追っかけだからと言って,何でもかんでももろ手を挙げて最高と言うつもりはないってことだ。Brad Mehldauの演奏については特に文句はないとしても星★★★☆が精一杯。はぁ~。

Recorded on September 10-12, 2019

Personnel: Joshua Redman(ts, ss), Brad Mehldau(p), Christian McBride(b), Brian Blade(ds)

 

2020年7月11日 (土)

ブートで聞いたBrad Mehldauのピアノ・コンチェルトやいかに...。

Brad-mehldau-piano-concerto

今回,ブート屋に久しぶりに注文したのはBrad Mehdauのピアノ協奏曲が聞きたかったからである。Brad Mehldauは"After Bach"は言うに及ばず,Renée FlemingやAnne Sofie von Otterと歌曲のアルバムも作っているし,アルバム化はされていないが,テノール歌手,Ian Bostridgeとツアーも行っており,クラシック寄りの活動もこなしている。そんな越境型の活動をするBrad Mehldauゆえ,彼がピアノ協奏曲を書くと聞いてもそんなに驚きはなかったし,そのうちやるだろうぐらいに思っていた。

_20200710

この曲を演奏するために,来日する予定もあるようには聞いている。しかし,現在の新型コロナウイルス禍が収まらない限り,ライブでの来日は難しそうなので,果たしてどうなるのかというところだが,でもやっぱりどういう感じなのかは聞いてみたい。ブログのお知り合いの風呂井戸さんが,この演奏を収めたブートレッグを取り上げられて,その欲求が猛烈に増してしまった私である。ということで,昨日紹介したクリポタのブートとともに発注したのだが,ほかにも発注したものがあるものの,それはまた後日ということで,今日はそのBrad Mehldauのブートレッグである。

冒頭はストラヴィンスキーがアレンジしたバッハの「平均律」第1巻10番であるが,これが実に穏やかな出だしである。まぁこれはピアノ協奏曲へのプレリュードみたいな感じだと思えばいいだろう。それでもってメインのピアノ協奏曲はどうかというと,ここでも演奏が実に穏やかに推移するという感じがする。ちょっと聞いた感じ,まず私が連想したのがMichael Nymanの音楽であったが,聞いていくとガーシュウィン的なところもそこはかとなく感じられないでもない。あるいは聞き進めていくと,ドビュッシー的と言ってもよいかもしれないと思っていた私である。

はっきり言ってしまうと,クラシックのピアノ協奏曲というよりも,私には映画音楽的,あるいはそれが言い過ぎならばオーケストラを伴ったピアノ音楽という感じなのだ。それはここでの音楽が劇的な展開を示さないというところに起因すると思うのだが,私としてはコンチェルトとするならば,楽章ごとにもう少しメリハリをつけてもよかったかなと思う。そうした観点で,決して悪い出来とは思わないのだが,だからと言って,こりゃあ凄いやとは言えないところがある。私としては,これからのBrad Mehldauの活動の上での習作という気がするが,注目を浴びる中,本人にとっても結構プレッシャーのかかる仕事ではなかったかと思える。生で聞けば,また別の感慨もあると思うが,ブートを聞く限りは私としては上述のような感覚であった。

ライブではほかの曲もやったようだから,どうせなら完全版で出せばいいだろうとも思うのだが,放送されたのがこれだけだったってことなのかもしれないな。まぁ聞けたからいいんだけど。

尚,トップの写真はロンドンのバービカンでコンチェルトを初演した時の写真をネットから拝借したもの。

Recorded Live in Hannover on January 31, 2020

Personnel: Brad Mehldau(p), Clark Rundell(cond), ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団

2020年7月 6日 (月)

Brad Mehldauのベネフィット・アルバムが届いた。

Suite-april-2020-front "Suite: April 2020" Brad Mehldau(Nonesuch)

このアルバムについてはその意図については既に記事にした(記事はこちら)ので詳しくは書かないが,そのアルバムが先日届いた。ストリーミングでは既に聞いていたものの,改めてLPで聞くと,新たな感慨が生まれるものである。

ここに収められた音楽はコロナウイルス禍による厳しい現実を表すと言うよりも,癒しのための音楽である。ジャケットにもあるように"lullaby" is for everyone who might find it hard to sleep now.というのがそれを如実に示し,組曲に続いて演じられる"Don't Let It Bring You Down"や"New York State of Mind",そして”Look for the Silver Lining"はBrad Mehldauの現在の心象を反映したものだろう。

Suite-april-2020-innerこういう音楽はその制作意図を含めて評価すべきであることは言うまでもなく,前にも書いた通り,私はその心意気を買う。当然星★★★★★である。この1,000枚限定のベネフィット盤は逸早くリリースされたが,通常盤は9月にリリースされるようである。そして,CDの国内盤にはボートラ収録の告知がなされているが,それが事実ならばBrad Mehldauのコンプリートを目指す私としてはそっちも買わねば...(爆)。

因みに私のところに届いたアルバムに振られたシリアル・ナンバーは#214であった。そしてBrad Mehldauのサインは中のスリーブに施されていた。

Recorded on April 23 & 24, 2020

Personnel: Brad Mehldau(p)

2020年6月20日 (土)

突如現れたBrad Mehldauのベネフィット・アルバム。

Suite-april-2020

"Suite: April 2020" Brad Mehldau(Nonesuch)

コロナウイルス禍に影響を受けるミュージシャンは多いが,そうしたミュージシャンを支援するためにJazz Foundation of America(JFA)が立ち上げた基金,COVID-19 Musician's Emergency Fundのためのベネフィットを目的に,Brad Mehldauが新しいアルバムを突如リリースした。

Brad Mehldauは家族ともどもオランダに滞在していたらしいが,アムステルダムで録音したこのアルバムにはタイトル通りの組曲と,Neil Youngの"Don't Let It Bring You Down",Billy Joelの"New York State of Mind",そしてスタンダード"Look for the Silver Lining"が収められている。この組曲についてBrad Mehldauは,”A musical snapshot of life [at the time] in the world in which we've all found ourselves",そして "I've tried to portray on the piano some experiences and feelings that are both new and common to many of us." と述べているが,まさしくコロナウイルス禍がもたらした環境下での心象風景と言ったところだろう。

まずは1,000枚限定のサイン入りLPとしてリリースされたが,音源はストリーミングでも聞くことができる。また,追ってCDでのリリースも予定されているはずである。限定LPは送料込みで$110と決して安価ではないが,送料を除く$100は全額JFAに寄付されるとのことであるから,これは基金への貢献するためにも,速攻で発注した私であった。実はその直後にブログを1週間休むこととなった原因に直面することになるのだが...。

お聞き頂けばわかる通り,いかにもBrad Mehldauらしい美しいピアノである。音楽的な評価というより,私はこの心意気を買いたい。このアルバムはBrad Mehldauだけでなく,ジャケットのデザイナー,オランダのレコード・プレス企業,そして発送担当企業も,全て無償で対応しているという,本当のベネフィット・アルバムである。そうした観点でも当然星★★★★★であるが,このアルバムに関しては星の数など関係ないと思って頂けばよいだろう。ご関心のある方は下記のURLへどうぞ。

https://store.nonesuch.com/artists/brad-mehldau/suite-april-2020-limited-edition-180g-signed-lp-mp3-bundle.html

NonesuchのサイトにはBrad Mehldauのコメント付きの映像もアップされているので,それも貼り付けておこう。それにしても,彼の英語は実にわかりやすい。

より以前の記事一覧

Amazon検索ツール