今,ECMに求めうる理想の音と言ってもよい田中鮎美のトリオ作。
昨今は以前ほどECMレーベルのアルバムを追うということも減ってきているが,気になるアルバムはチェックするようにはしている。このアルバムもそうした対象となったものであるが,これが実に素晴らしい作品であった。ECMから想起されるクールで静謐なサウンドそのものが体現されていて,長年のECMレーベルのファンとしては嬉しくなってしまったのであった。
もはやECMから日本人プレイヤーのアルバムが出ても驚くことはないとしても,田中鮎美は本人のアルバムや本作にも参加しているThomas Strønenなどが残っていて,いかにもECM的な響きを生み出してきていたとは思う。リーダー作の"Subaqueous Silence"ではミニマルな響きさえ感じさせたが,このアルバムにもミニマルな部分はない訳ではないが,よりピアノのサウンドがより明確に感じられるように思う。そしてこういうアルバムにはフィット感が強いThomas Morganのベースもよろしく,"Subaqueous Silence"でも感じられた冷え冷えとした感覚は,クールさの強いタイプのECMレーベルの作品の典型みたいなものだ。だからこそ,私はここでのサウンドには惹かれてしまうのだ。完全に私のツボにずっぽしはまってしまったというところだ。
ただ,そうは言ってもこういうサウンドだけに,万人向けの音源とは言えない部分があるのも事実。しかし,私にとってはここ暫くで聞いたECMのアルバムの中でも最も評価したくなるアルバム。星★★★★★。
Recorded in May, 2025
Personnel: 田中鮎美(p),Thomas Morgan(b),Thomas Strønen(ds)
本作へのリンクはこちら。
« ポップなFleetwood Macもいいのだが,Bob Welch~Chrisitine McVieの時代は今でも魅力的。 | トップページ | Bootsy CollinsとBucketheadがコラボするとなればこうなるよなと思いつつ,想像以上の騒がしさ。 »
「ECM」カテゴリの記事
- 今,ECMに求めうる理想の音と言ってもよい田中鮎美のトリオ作。(2026.09.25)
- 滋味溢れるとでも言うべきSteve Swallowの新作。(2026.07.02)
- 現物はこれからだが,ストリーミングで聞いたMick GoodrickとFred Herschのデュオ。この発掘は素晴らしい。(2026.06.23)
- Joe LovanoとJulian Lageの双頭作と呼びたい"Parmount Quartet"。(2026.06.02)
- Egberto Gismonti & Daniel Murray@渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール参戦記。(2026.05.28)
「新譜」カテゴリの記事
- Dave Hollandの未発表ライブ音源が早くもデリバリーされた。つくづく凄い人だ。(2026.10.11)
- Meshell Ndegeocelloの新作が最高だ。もはや完全にプロデューサーの世界。(2026.10.08)
- JD Allenの濃い~新作はリズム隊のドローン的な響きにテナーが乗ると言えばいいか。(2026.10.09)
- 先日のライブを受けて購入したToninho Hortaの新譜はアメリカン・スタンダード集だが...。(2026.10.06)
- アルバムを聞いて,彼らのライブへの期待値が異常に高まるMessthetics & James Brandon Lewis。(2026.10.05)
「ジャズ(2026年の記事)」カテゴリの記事
- 椎名豊 Inspired Swing Special Quartet Featuring Max Ionata@赤坂B-flat参戦記。(2026.10.15)
- Art Farmerの東京ライブを人生初聞き(笑)。これがCTIから出る不思議。(2026.10.13)
- 今だ現役,ナベサダの旧譜を聞く。(2026.10.12)
- Dave Hollandの未発表ライブ音源が早くもデリバリーされた。つくづく凄い人だ。(2026.10.11)
コメント
« ポップなFleetwood Macもいいのだが,Bob Welch~Chrisitine McVieの時代は今でも魅力的。 | トップページ | Bootsy CollinsとBucketheadがコラボするとなればこうなるよなと思いつつ,想像以上の騒がしさ。 »














































































こんにちは。
このアルバム、最初はストリーミングで聴いていて、次にCDをクレジットを見ながら聴いていたのですが、ほとんどの曲が3人のクレジット(たぶんフリー・インプロヴィゼーション)になっているのに驚きました。テーマと進行ぐらいはきっちりと作曲されていたのかと思ってました。
メンバーもいいし、ここでのトーマス・モーガンは結構好きな演奏をしてくれています。本当に素晴らしいですね。
当方のブログアドレスは下記の通りです。
https://kudo-jazz.blog.jp/archives/14744641.html
投稿: 910 | 2026年9月26日 (土) 12時49分
910さん,こんにちは。リンクありがとうございます。
>ほとんどの曲が3人のクレジット(たぶんフリー・インプロヴィゼーション)になっているのに驚きました。テーマと進行ぐらいはきっちりと作曲されていたのかと思ってました。
多分完全インプロヴィゼーションではないとは思いますが,それにしてはよく出来ていますね。
>メンバーもいいし、ここでのトーマス・モーガンは結構好きな演奏をしてくれています。本当に素晴らしいですね。
はい。Thomas Morganは本当にこの手の音源で確実にいい仕事をしますね。ライブの場でちらっと話したことがありますが,凄く物静かな感じの青年って感じでしたが,大したものです。
投稿: 中年音楽狂 | 2026年9月26日 (土) 14時02分