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2026年7月31日 (金)

ストリーミングで流し聞きをしていたら流れてきた超メロウな”Dreams”。Dianne Reevesだったのか...。

Beatiful-life "Beautiful Life" Dianne Reeves(Concord)

主題の通りである。Robert Glasper関連の曲をプレイバックしていたら,聞こえてきたのはFleetwood Macの"Dreams"である。もともとメロウな曲であるが,それが更にメロウ度を増したアレンジで演奏されるのだ。歌っているのは誰だ?と調べてみるとDianne Reevesであった。

私がそもそもジャズ・ヴォーカルにそれほど関心が高くないので,その"Dreams"を収めた本作が2014年にリリースされたことも全く知らなかった訳だが,"Dreams"が魅力的に響いたので,アルバム全体をストリーミングで聞いてみた。

よくよく見てみると,Dianne Reevesも関与したオリジナルに加えて,カヴァー曲が半数を占め,これがなかなか魅力的な選曲に加え,ゲストも多彩ということで,これが結構楽しめてしまった。本作は純粋ジャズ・ヴォーカルと言うよりも,メロウなソウル路線も踏まえた演唱集であり,Robert Glasperの"Black Radio"や,本作のプロデューサーも務めたTerri Lyne Carringtonの"Mosaic Project"にも通じる部分があるところが,私でもOKな理由となった。何てたって冒頭はLeon Wareが書いた"I Want You"だもんなぁ。そのほかにもFleetwood Macやら,Bob Marleyやら,Ani Defranco等のカヴァー曲が並ぶのだ。

知らぬこととは言え,こういうコンテンポラリーな路線なら抵抗もある訳もなく,なかなか聞き応えのあるアルバムであり,私としても楽しんでしまったのであった。ちょっと"Tango"がほかの曲からすると浮いているのが惜しく,星★★★★。

Personnel: Dianne Reeves(vo), Gerald Clayton(p, key), George Duke(key), Robert Glasper(p, key), Cédric Hanriot(key), Shedrick Mitchell(org), Ray Angry(p), Peter Martin(p), Bobby Sparks(org, key), Marvin Sewell(g), Dwight Sills(g), Romero Lubambo(g), Carl Burnett(g), Leandro Pellegrino(g), Reginald Veal(b), Christian St. Louis(b), James Genus(b), Richard Bona(b), Esperanza Spalding(b, vo), Terrion Gully(ds), Terri Lyne Carrington(ds, perc, prog, vo), Munyungo Jackson(perc), Leonardo Osna(perc), Shiela E.(perc), Sean Jones(tp), Ingrid Jensen(tp), Tia Fuller(as), Tineke Postma(ss), Camille Thurman(fl), Grégoire Maret(hca), Gregory Porter(vo), Lalah Hathaway(vo), Raul Midón(vo), Nadia Washington(vo)

本作へのリンクはこちら。

2026年7月30日 (木)

Nicholas PaytonとButcher BrownがMilesとColtrane生誕100年を一気に祝う”A Supreme Blue”。

A-supreme-blue "A Supreme Blue" Nochlas Payton & Butcher Brown(Concord)

今年はMiles DavisとJohn Coltraneの生誕100年ということもあり,さまざまな企画のアルバムがリリースされているが,どちらも大偉人だけに,通常はどちらかのミュージシャンにトリビュートするってのが普通だ。しかし,その2人に同時にトリビュートするだけでなく,2人を代表するアルバムと言ってよい"Kind of Blue"と"A Love Supreme"を,オリジナル同様の曲順で全曲やってしまうということからついたタイトルが"A Supreme Blue"。

Butcher Brownというバンドについてはよく知らなかったが,ジャズ,ヒップホップ,R&B,ファンク等を混在させるという越境型のバンドらしい。そんなバンドがNicholas Paytonと組むとどうなるのかというところが,最初の関心だった訳だが,やっているのが上述のレパートリーというのは全くの驚きであった。そもそもNicholas Paytonも最新作"Triune"でRobert Glasperみたいな感じになっていた(そのアルバムに関する記事はこちら。)ので,どういうサウンドになるかは想像できるのだが,やっている曲が曲だけにそれをどう料理するのかの方が関心大になってしまう。

本作はストリーミングでも聞けるが,CDはリリースされておらず,アナログ2枚組だけのようだ。その1枚ずつに"Kind of Blue"と"A Love Supreme"を収めるというのもやり方としては徹底している。

出てくる音はなるほどそう来るかという感じだが,冒頭の"So What"ではNicholas Paytonがラッパを吹かないというところでも意表を突いてくるが,まぁこういうのもありだとは思う。更にここでは"So What"のあの印象的なベース・ラインが始まる前の,イントロ部分に相当のスポットを当てるというのも相当な変化球で,件のベース・ラインが登場するのは曲の後半なのだ。オリジナルには相応のリスペクトを払いつつも,彼らなりに翻案したという感じであるが,相当ユニーク。"Freddie Freeloader"はホーンのフレージングはコンベンショナルな感じを残しつつ,バックのリズムはファンクに寄せる感じってのも面白い。"Flamenco Sketches"のスペイン風味は"Sketches of Spain"からの影響も感じさせるもので,一番これがメロディアスだったように思う。

それに比べると,"A Love Supreme"の方はアダプテーションは比較的真っ当な感じの"Acknowledgement"で幕を開けるが,ここでのNicholas Paytonのラッパは"Syeeda's Song Flute"を引用しつつ,響きがMiles的なのが面白かった。続く"Resolution"や"Pursuance"も曲をコンテンポラリーに仕立てたって感じと言えばいいだろうか。最も異色に響くのがヴォコーダーを使ったと思しき最後の"Psalm"か。まるでメロウ・グルーブだ(笑)。

まぁ全編に渡ってこんな感じなのだが,こうして聞いてみると,自由度が高かったのは"Kind of Blue"の方で,"A Love Supreme"はある程度抑制感があったってところか。それをどう評価するかは人それぞれとして,現在における2大名盤の「再構築」としての面白い試みであることは間違いないが,こういうのを聞けば聞くほどオリジナルの素晴らしさが改めて感じられるという効果は間違いなくあるってところ。だが,チャレンジ精神に対し評価もついつい甘くなり,星★★★★。

YouTubeに"Resolution"の演奏の映像がアップされていたので,貼り付けておこう。

Nicholas Payton(tp, el-p, p, vo, kalimba), Corey Fonville(ds, perc), DJ Harrison(key, p, g, perc), Marcus 'Tennishu' Tenney(ts, tp, vo), MC Morgan Burrs(g, MPC), Andrew Randazzo(b, synth-b)

本作へのリンクはこちら。

2026年7月29日 (水)

Banksia Trioの新作:相変わらずのレベルの高さ。

Great-noon "The Great Noon" Banksia Trio (TSGW)

昨年秋にリリースされたライブ盤についてはもはや世界レベルだと思ったBanksia Trioの新作である。短いインターヴァルでのリリースには少々驚いたが,その創造性は留まるところを知らないってところだ。ライブ盤に関する記事にも「静謐にして美的な部分もありながら,どちらかと言えばフリー寄りのアプローチによる緊張感に満ちた演奏が多い。」と書いた私だが,本作でもその印象は変わらないが,相変わらずレベルの高い演奏を聞かせてくれる。やはりこのトリオ,レベルが高いのだ。

本作はリーダーの須川崇志がライナーでも書いているように,ライブやツアーを通じて磨き上げたもので,収められた曲におけるコンビネーションの熟成を図っていったというところだろう。出てくる音楽は緊張感をはらみながらも,印象的な演奏の連続というところはこれまでの作品同様だ。

一方で,私にとってBanksia Trioの評価が確立されていることもあって,以前のアルバムに感じられたような驚きはやや薄れたかなという気がしないでもない。彼らをもってすれば,このレベルのアルバムは作れるだろうとさえ思わせてしまうところがあるのも事実。そして,これまでなら,アルバムにはセンスの良さを感じさせるカヴァー曲が含まれていたのに対し,本作は須川のオリジナルが8曲,石若駿のオリジナルが1曲,3者によるフリー・インプロヴィゼーションが2曲という構成になっていることも多少影響したかもしれない。彼らにフィットしたカヴァー曲を演奏するというところは継続してもよかったように思う。

レベルは無茶苦茶高いが,そうした感覚もあって今回は星★★★★☆としよう。それでもこの評価になるところがBanksia Trioに対する私の信頼度の高さの裏返しである。

Recorded in April 2025

Personnel: 須川崇志(b),林正樹(p),石若駿(ds)

本作へのリンクはこちら。

 

2026年7月28日 (火)

追悼,東野圭吾。

Photo_20260727170201 本来は別の記事をアップするつもりだったのだが,東野圭吾の訃報に接して方針変更である。大腸がんだったそうだ。68歳というのは若過ぎる死である。

私は何だかんだと言って東野圭吾に関する記事をこのブログにもアップしてきたが,正直濫作気味の中で,作品には出来不出来があると感じていた。なので新作が出れば何でも買うという感じではなかったが,ガリレオや加賀恭一郎シリーズは例外的に買い続けていた。間もなくガリレオ・シリーズの新作「永遠の記憶」の発売と映画化された「白鳥とコウモリ」の公開を控える中での訃報には驚きを隠せない。

全部読んでいる訳ではないので異論もあろうが,私が読んだ東野圭吾の作品で評価しているのは「容疑者Xの献身」,「新参者」,そして「白鳥とコウモリ」あたり。それ以外の作品もストーリーテリングの上手さは認めつつも,やや性急な展開を示す感があるというのが正直な感想であった。しかし,文句を言いつつも読んでいるのだから,相応の魅力を持った作家だったと思っている。

エンタテインメントという観点で「読ませる作家」を一人失ったのは誠に残念だ。

R.I.P.

2026年7月27日 (月)

Amazon Primeで見た「ミシシッピー・バーニング」:人種差別の行きつく先。

Mississippi-burning 「ミシシッピー・バーニング("Mississippi Burning")」(’88,米,Orion)

監督:Alan Parker

出演:Gene Hackman, Willem Defoe, Frances McDormand, Brad Dourif, Gailard Sartain

この映画を初めて見たが,実に重苦しい映画である。米国南部における苛烈な人種差別が無茶苦茶な事件を生むというものだが,それが実話ベースというのだから恐ろしい。実際の事件にインスパイアされてはいるが,登場人物の名前は映画用に変えられているので,フィクションの部分も多いが,事件の背後にあった差別意識と,ほぼカルトと言ってよいKKKがいたことを告発する映画となっている。そんな映画であるから,実に重苦しい雰囲気の中でストーリーが展開される。

この映画が撮られたのはもう40年近く前だが,今の米国内の分断ぶりを考えると,決して過去の話で済まされない気がして,暗澹たる気分になるところもあった。

ここではGene Hackmanがたたき上げ,Willem Defoeがエリート捜査官という役回りはわかりやすい構図で,Gene Hackmanの方が適役だと思えた。そして,名女優Frances McDormandのキャリアの比較的初期の出演作というのも今回知ったが,本作でもオスカーの助演女優賞候補になっていて,後のキャリアの前兆となるような演技ぶりであった。

いずれにしても,米国人にとっては触れて欲しくない過去のような事件を描いた映画だが,私のようなリベラルな人間はこういう映画はついつい評価したくなってしまう。よからぬ過去も振り返ることにはそれなりの意義があると思わせてくれる映画。殺伐としたところもあるので,気楽に見られる映画ではないが,見るに値する映画だと思う。星★★★★☆。

甚だ余談ながら,Mississippiを映画のタイトルのようにミシシッピーと最後を伸ばすのには違和感があって,私としてはミシシッピの方が語感としては馴染む。

本作のDVDへのリンクはこちら。

2026年7月26日 (日)

映画版「黒牢城」を見た。私には微妙だった。

Photo_20260716181701 「黒牢城」(’26,松竹)

監督:黒沢清

出演:本木雅弘,菅田将暉,吉高由里子,オダギリジョー,青木崇高

この作品の原作を読んだ時,「この小説を読んでいて,これを映画化する場合,脚色が難しそうだ」と書いたが,映像化具合を確かめるために,少し前になるが,休日にこの映画を見に行った。ストーリーとしては端折った部分はあるものの,かなり忠実に脚色していると思うが,チャンバラ含めたアクション・シーンが豊富な訳ではない時代ミステリーなので,映像作品としては少々難しい部分があったと思う。

アクション・シーンや合戦シーンが全くない訳でもないのだが,特に合戦部分の演出がリアリティやダイナミズムに欠ける部分はあったし,私は吉高由里子は明らかなミスキャストだと思えた。私は吉高由里子は好きなのだが,ここでの彼女のセリフ回しを聞いていると,そもそも声が彼女が演じる千代保のキャラに合っていないと思えるのだ。しかも登場人物の多さもあるのだが,少々説明不足な部分もあって,原作を読まずに映画だけ見ている方は誰が誰だかわからないのではないかと思えた。例えばユースケサンタマリア演じる秋岡は剣客という設定だが,その説明的な部分がないため,秋岡って誰だっけ?みたいになってしまうのだ。

まぁ原作はなかなかよく出来た小説ではあったが,映像にすると少々私には退屈な映画と思えた。荒木村重を演じる本木雅弘の滑舌が悪く聞こえたのは意図的なものなのかともずっと思っていたが,私の耳が悪いだけ?いずれにしても甘めの星★★☆で十分だろう。まぁ,この映画の前後に見て,既に記事をアップした「急に具合が悪くなる」と「ヌーヴェルヴァーグ」と比較するといかにこの映画がいけていないかははっきりしてしまうのであった。

2026年7月25日 (土)

DownBeat国際批評家投票3冠のMary Halvorsonとラッパ部門1位のAmbrose Akinmusireのデュオ作。

Slomo-neon-luminate-hoverings "Slo-Mo Neon Luminate Hoverings" Ambrose Akinmusire / Mary Halvorson (Nonesuch)

先頃発表されたDownBeat誌の国際批評家投票でも高く評価されている2人によるデュオ作。主題の通り,ラッパのAmbrose AkinmusireはダントツでTrumpeter of the Yearに選出され,かたやMary HalvorsonはArtist of the Year,Group of the Year,そしてGuitarist of the Yearの3冠である。業界内での評価が無茶苦茶高い2人だけに,そのデュオ作がどうなるのかは興味深く,ストリーミングで聞いた。

若干のフリー風味もありながら,基本的にはクールな音場が形成されており,エフェクターも使いながら,激しさよりも静謐で,一部ではアンビエントさすら感じさせるトーンが支配的なのは少々意外な気もしたが,彼ららしい創造性は感じさせるってところだと思う。決して聞き易いサウンドとは思わないが,現在の旬のプレイヤーの作品として聞いておいて損はないアルバム。星★★★★。おそらくは批評家筋からは無茶苦茶高く評価されるんだろうなぁ。

8月には自身のグループでの来日を控えたMary Halvorsonがライブでどんな演奏を聞かせるのかが楽しみになってきた。但し,彼女の演奏がBlue Note東京というヴェニューにぴったりかと言えば...であるが(苦笑)。

本作へのリンクはこちら。

2026年7月24日 (金)

Thomas Dolby:懐かしいねぇ。

Thomas-dolby "The Flat Earth" Thomas Dolby(Capitol)

これを聞くのは何十年ぶりか。ロックではアメリカ指向が明確な私はブリティッシュ,それもシンセ・ポップ系の音楽はあまり聞いていない。しかし,これは以前アナログで保有していたことがあるが,どうして買う気になったかは全く記憶の彼方だ。しかし,ストリーミングでこういう懐かしい音源が気楽に聞けるのだからいい時代である。

私にとってはThomas Dolbyはプロデューサーとしての意味合いの方が強い。それはPrefab Sproutのアルバムだったり,Joni Mitchellの"Dog Eat Dog"ゆえってところもある。後者はJoni Mitchellとはそのプロダクション・ワークの精密さゆえにもめたなんて話もあったようだが,確かに毛色が違うのは事実だ。一方,Prefab Sproutとは相性ばっちりだったなぁなんて思う訳だ。

このアルバムはアナログであればB面最後に収められた"Hyperactive"がそこそこ売れたって記憶があるが,中身についてはほとんど記憶から飛んでいた。だが,改めて聞いてみるとなかなかの佳曲が揃っていたのだなぁなんて思ってしまった。A面の結構渋いとも言いたくなるような流れもよいし,B面冒頭の"White City"のビートに転じる展開もカッコよいが,基本的には落ち着いた印象を与えるのがシンセ・ポップとしては異色って気がする。

しかし,これを買った当時の私は,ジャズか更に渋いSSW系のアルバムにはまっていたから,私の当時のコレクションの中でも異色だったと言える。それでもこれは今聞いてもなかなかいいアルバムだったと昔を懐かしむのであった。今やボートラ満載の40周年記念盤とかが出ているが,私が聞いたのはオリジナルの7曲のみだが,それでも十分満足した。

Personnel: Thomas Dolby(vo, p, key, prog), Matthew Seligman(b), Kevin Armstrong(g, tp, vo), Clif Brigden(perc, computer-ds), Adele Bertei(vo), Lesley Fairbairn(vo), Bruce Woolley(vo), Matthew Salt(tin, thunder sheet), Peter Thoms(tb), Justin Hildreth(ds), Robyn Hitchcock(vo), Louise Ulfstedt(vo)

本作へのリンクはこちら。

2026年7月23日 (木)

渡辺香津美の”Live at Iridium”を聞いた。

Live-at-iridium "Live at Iridium" 渡辺香津美 (EWE)

渡辺香津美が脳幹出血で倒れたのが約2年半前のこととなるが,既に古希を過ぎていることもあり,復帰は容易ではないと思われる。我々としては快癒を祈りながら音源を聞くことしかできない。ということで,今回ストリーミングで聞いたのが本作である。

本作が収録されたIridiumはBroadwayの51丁目というミッドタウンのど真ん中みたいな場所にあるが,オーセンティックなジャズよりも,フュージョンやロック系の出演者が多いヴェニューである。私がNYCに在住していた頃はまだこの店はなかったので,私がこの店を訪れる機会があるのは出張時に限られ,そのためここには数回しか行ったことはないが,昨今はライブの回数も減少気味で,いつまで続くかが心配な今日この頃である。

それはさておき,本作は渡辺香津美が2011年に同店に出演した時のライブの模様である。アルバムの前半は有名ジャズ・オリジナルで固め,"Cry Me a River"をはさんで,後半は渡辺香津美のオリジナルというプログラムとなっている。私としては出来は前半の方がよいと思えたのは,終盤の渡辺香津美のオリジナル3曲である「遠州つばめ返し」,"Manhattan Flu Dance"と"Unicorn"は,特に後者2曲がトリオでの演奏へのフィット感に欠ける上,少々冗長に響いてしまう部分があるからだ。それはそれだけ"To Chi Ka"での演奏のインパクトが強かったことの裏返しとも言える。

もちろんテクニシャン揃いなので,演奏はそこそこ楽しめるとしても,これを聞くなら別のアルバムをチョイスするというのが正直なところ。甘めの星★★★☆ぐらいでよかろう。

Recorded Live at Iridium on October 15-16, 2011

Personnel: 渡辺香津美(g), Janek Gwizdala(b), Obed Calvalre(ds)

本作へのリンクはこちら。

2026年7月22日 (水)

Fathers:このゆるいグルーブがたまりまへんな。

Fathers "Fathers" (Blue Note)

Fathersなんてバンド名を聞いて,何じゃそりゃ?と思うのが筋だ(笑)。このバンドはNate Smith,Kiefer,CARRTOONSというメンツにプロデューサーのKenneth Blumeを加えたユニットなのだが,先の3人は昨年2月に来日し多彩に私もBillboard Liveでのライブを見ている。その時は急造ユニットかと思っていたら,レコーディングもしたんだねぇってことで,ストリーミングでこのアルバムを聞いた。

プロデューサーのKenneth Blumeという人はKenny Beatsという名前でも知られているらしいが,これまでこの人がプロデュースしたアルバムはヒップホップ系が中心らしいので,私のレーダー圏外であり,全く知らない人である。なので私としてはバンドとしてのトリオ中心にしか書きようがないが,これがゆるいグルーブ感に満ちた音楽で,心地よいことは間違いない。ライブの記事を書いた時も強烈なグルーブ感と書いているが,やはりこの人たちはグルーブ,それも本作ではどちらかと言えばゆるいグルーブを生み出していて,こういう音楽は身を任せるには丁度よいって感じだ。

本作を聞いていて面白いと思ったのは,クリポタことChris PotterとのUnderground等ではNate Smithがハードにも叩けるのは明らかなのだが,ここではよりソフトな感覚のグルーブを生み出しているということだ。結局何でもできる有能なドラマーだということを改めて感じさせる。全8曲で30分にも満たない演奏だが,このEP的感覚もなかなか捨てがたいと思わせる演奏であった。

Kieferのキーボードにしろ,CARRTOONSのベースにしろ,はずすことのないグルーブ感は刺激的とは言わないが,いい具合に時間が流れていくって感じだ。星★★★★。次作があるとすれば,もう少しハードな線でやってもいいかもしれない。それにしてもこういうアルバムがBlue Noteレーベルから出るってのも時代だねぇ。

Personnel: Nate Smith(ds), Kiefer(key), CARRTOONS(b), Kenneth Blume(prod) with Nicole McCabe(sax), Genevieve Artadi(vo), Paul Castelluzzo(g), Yasmeen Al-Mazeedi(strings)

本作へのリンクはこちら。

2026年7月21日 (火)

FIFA World Cup 2026:最終決戦。殴り合いのような3位決定戦とスペイン完勝の決勝戦を振り返る。

Torres-goal

4年に一度の祝祭,FIFA World Cupも大詰め。両チームのモチベーション維持が心配された3位決定戦は想定外の点の取り合いになった。開始3分のイングランド,Riceの先制ゴールから,前半で4-0というスコアを誰が想像しただろうか。普通ならここで意気消沈となるフランスが,後半になって息を吹き返し,Mbappeの2ゴール目で4-3まで追い上げた時にはイングランド推しの私が思わずフランスの同点を祈っていた。しかし87分のSakaのPKで5-3となって万事休すと思われたが,AT6分のDembeleのゴールで5-4と追い上げたものの,AT8分のBellinghamの個人技炸裂のゴールで6-4で終戦となった。フランスにとって痛かったのはOliseが決定機を2回逃したことだろうが,激戦の疲れを考えれば責めることもできまい。しかし故岡野俊一郎であれば,「三菱ダイヤモンド・サッカー」でよく聞いた「決定的でしたね...。」というフレーズを発していたに違いない逸機であった。

そもそも3位決定戦というのは決勝に進めなかった2チームの対戦だけに,削り合いのようなファウルは少なく,フェアな状態が保たれる中でのこの殴り合いのように点を取り合う試合は,朝から見る者を興奮させたと言える。オフェンスの決定力の高さを見せつけられた感があるが,それにしても実に面白い試合を見せてもらった。勝利を目指して戦いきったこの2チームの健闘を称えたい。

そこから一夜明けての決勝戦である。批判を恐れずに書くが,私はあまりにもMessiに依存度の高いアルゼンチンのサッカーは好かん(きっぱり)。Messiがアルゼンチンのエースであり,優れた選手であることは言うまでもないことだが,試合後にMessiを胴上げとかしてしまうアルゼンチンのプレイヤーのメンタリティがどうしても好きになれないのだ。だから決勝戦は鉄壁のディフェンスでMessiを抑え込むことを期待して,スペイン推しで臨んだのであった。

結果的に言えばスペインの完勝であった。前後半をアルゼンチンの攻撃をシュート・ゼロに抑え込み,Fernandezの退場で数的優位を築いた段階でスペインの勝利は予想できた。ボールの保持率でも圧倒したスペインが敗れるとすれば,PK戦に持ち込まれることだったろうが,延長後半1分のTorresのゴールでようやく先制して,勝利を手繰り寄せたのであった。そもそもアルゼンチンが一人退場したと言っても,Messiはほとんどディフェンスをしないから,スペインは更に分厚い攻撃ができるはずで,先制ゴールで勝負は決まったと言ってもよい。

しかし,終了間際の連続CKのピンチにはひやひやしたのも事実であり,不利なアルゼンチンも死力を尽くしたってところだが,試合後の悪態は醜悪そのものだったことは誰しもが思うところだろう。

いずれにしても,この決勝戦はまさに私が戦前に期待したスペインの鉄壁のディフェンスの勝利であった。今回のスペインの強さは準決勝のフランス戦でも明らかだったが,決勝でもその強さを発揮したことが素晴らしい。どうもメディアの中継もアルゼンチン寄りみたいな感じがあった中で,私はスペインの強さをもっと強調すべきだと思えた。ということで,おめでとう,スペイン代表!と声高に叫びたい。

4年に一度の祝祭において,プレイヤーはワールド・クラスの技を見せてくれた一方,アルゼンチンの決勝戦後の醜態同様,FIFA,特に会長のInfantinoが様々な批判を呼んだのは困ったものだ。せっかくの舞台に水を差したFIFA,そしてInfantinoの責任は重い。最悪の会長は即時弾劾すべきだと思うのは私だけではないはずだ。決勝戦には下らないハーフタイム・ショーなど不要で,サッカーだけを楽しめればいいのに,つくづく余計なことをするもんだ。

2030年のWorld Cupはもう少しまともなガバナンスのもとで運営すべきだと言っておく。

Rice-goal

2026年7月20日 (月)

休日に見た映画:「ヌーヴェルヴァーグ」。映画愛に溢れる映画であった。

Nouvelle-vague「ヌーヴェルヴァーグ("Nouvelle Vague")」(’25,米/仏)

監督:Richard Linklater

出演:Guillaume Malbeck, Zoey Deutch, Aubry Dullin, Adrien Rouyard, Jodie Ruth-Forest

Richard Linklaterが監督と聞けば,あの傑作,「6才のボクが、大人になるまで。」が思い起こされる。あれは私の中では同じ年にオスカーを撮った「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」をはるかに凌駕する映画だったという評価をしているが,そのRichard Linklaterが今度はフランス映画界の新しい波(ヌーヴェルヴァーグ)にオマージュしたとあっては絶対見たいと思った作品だ。

そして描かれるのがJean-Luc Godardの映画「勝手にしやがれ」の撮影背景なのだが,「勝手にしやがれ」はそのうち見ようと思ってBlu-rayは買ってありつつ,実は私はGodardの映画は見たことがない。むしろこの映画にも出てくるFrançois Truffautは結構見ているのだが,Godardには縁がなかったと言えばその通りなのだ。だが,この映画を見れば,「勝手にしやがれ」を見たくなること必定。Godardは賛否両論あるようだが,この映画はどちらかと言うとその即興的な映画作りを肯定的に描いていて,往時の映画作りを振り返る意味でも,「勝手にしやがれ」を見たくさせるという意味においても,映画愛に溢れた映画であった。

私はこういう映画には100%肯定的だが,それを増幅させたのが役者陣のなりきりぶり。それが実に嬉しくなってしまう映画であった。アメリカ人が撮ったとは思えぬフランス映画的エスプリさえ感じさせるところに,Richard Linklaterの才能を強く感じたのであった。素晴らしい。星★★★★★。先日見た「急に具合が悪くなる」と言い,いい映画を続けて見られたことの至福。

2026年7月19日 (日)

休日に見た映画:「急に具合が悪くなる」は傑作だ。

Photo_20260717182901 「急に具合が悪くなる」(’26,日/仏/独/ベルギー)

監督:濱口竜介

出演:Virginie Efira,岡本多緒,長塚京三,黒崎煌代,Jean-Charles Clichet,Marie Bunel

「ドライブ・マイ・カー」,「悪は存在しない」と印象深い作品を連発する濱口竜介監督の作品である。今年のカンヌで主演の2人が主演女優賞を獲ったことも記憶に新しいこの映画を見に行った。3時間16分という尺にビビりつつの鑑賞となったが,終わってみれば時間の経過を忘れさせる素晴らしい作品であった。

派手な描写もない,まさにドラマだけで見せるこの映画は,実に見事に翻案したシナリオが素晴らしいこともあって,鑑賞後に心地よい印象を残す映画であった。映像として印象的だったのは京都の片田舎の丘の上での夜明けのシーンであったが,時々刻々と変化していく空の色の移ろいが見事であった。そしてこの映画に通奏低音のように流れる「共鳴」や「再生」のメッセージも素晴らしく,とにかく後味がよいのだ。

メッセージ性も明確であり,ドラマとして優れていることもあり,私としてはこれまで見た濱口竜介監督の作品の中でも本作が抜群の出来と思った。日仏の役者陣も見事なものであり,これには諸手を挙げて星★★★★★と評価したい。誰にでも勧めたくなる傑作。

2026年7月18日 (土)

今年もこの日がやってきたってことで,John Coltraneである。

_20260714_0001 "Crescent" John Coltrane (Impulse!)

毎年のように同じ主題になっているが,7/17はJohn Coltraneの命日であり,私が年齢を重ねる日である。私もついに65歳の年金受給年齢になってしまったので,もはや「中年」ではない。ブログのタイトルも変えようと思いつつ,踏ん切りがつかず,ずるずると同じタイトルを続けているが,そろそろ真剣に考えないとなぁってところである。

それはさておき,今回は"Crescent"である。"Live at Birdland"と"A Love Supreme"の間に挟まれたこのアルバムだが,このアルバムを好きな人は結構多いのではないかと思える。激しさよりも音楽としての深みを感じさせるような演奏,曲群を収めたこのアルバムは,激しいJohn Coltraneはなぁ...というリスナーも間違いなく黙らせるだけの魅力に溢れていると言いたい。何度でもリピートしたくなるこのアルバムを聞いて,自身の真の高齢者入り(笑)を祝うことにしよう。まじでいいですわぁ。

Recorded on April 27 and June 1, 1964

Personnel: John Coltrane(ts), McCoy Tyner(p), Jimmy Garrison(b), Elvin Jones(ds)

本作へのリンクはこちら。

2026年7月17日 (金)

FIFA World Cup2026:イングランド~アルゼンチン戦を振り返る。

Englandargentina

FIFA World Cup2026もいよいよ終盤だ。今日は準決勝の2試合目を振り返ることにしよう。前にも書いたが,私は長年のイングランド推しの人間である。60年も優勝から遠のいていることもあって,今回も当然イングランド勝利を願っての観戦となった。

結果はがっかりである。Gordonのゴールで先制したイングランドだったが,守りに入ってフォーメーションを変更したところをアルゼンチンにつかれ,後半のハイドレーション・ブレイク後は防戦一方になってしまい,結局はATの決勝ゴールを食らって逆転負けを喫した。先制されたアルゼンチンが,まずは同点をねらって攻勢に出ることは明らかな中で,イングランドは守りを固めたにしては,あまりに自由にアルゼンチンにボールを保持させ過ぎた。

オフェンシブな選手を入れてくるアルゼンチンであるから,ディフェンスは弱くなるはずなのだが,終盤のイングランドはカウンターのチャンスも皆無と言ってよく,完全にペースを握られてしまった。そもそも同点になった段階でアルゼンチンは勢いづくのも当然で,逆転を図るモチベーションも高まるのに対し,逆に追いつかれたイングランドは心理的に不利な状況に陥るというのもよくある話だ。85分に同点ゴール,AT2分に逆転ゴールというのも時間が悪過ぎた。

この試合を見ていて,「守りに入った段階で負け」ということを改めて痛感させられた訳だが,イングランドも連戦の疲れもある中,ノルウェー戦で輝いたBellinghamがセミファイナルではほとんど機能しなかったのも痛かった。アルゼンチンのディフェンスが頑張ったとも言えるが,Kaneにしても見せ場が少ないのでは,攻撃力としては厳しいところがあったことも否めない。Pickfordのナイス・セーブやSpenceのナイス・タックル等いいところもあっただけに,今回の敗戦はイングランドの完全な作戦負けだ。

それにしても,決勝点をアシストしたMessiのセンタリングは利き足でない右足からである。凄いコントロール力には脱帽だ。だが,決勝ではスペインの強固なディフェンスにはさすがのMessiも苦労すると思われる。決勝も楽しみに待ちたい。

2026年7月16日 (木)

FIFA World Cup2026:フランス~スペイン戦を振り返る。

Spain-goal

最強と思われたフランスがこれほどの完敗を喫すると誰が想像したであろうか。これまで圧倒的な攻撃力で勝ち上がってきたフランスのオフェンスを,スペインの素早いプレスで完封したというところだ。まさにフランスとしてはなす術なしというところで,これほどフランスが抑え込まれるとは,私としても完全に想定外であった。セカンド・ボールもほとんどスペインに取られていたというところだが,それほどスペインのDF陣の支配力は強かった試合であった。まさに組織力が個の力を上回ることを見せつけられた感じだ。

一点目のPKはハードラックな部分もあったと思うが,Porroの2点目は,ペナルティ・エリア外で選手が倒れたことで一瞬集中力が切れたフランスの隙をついたゴールだったと思う。確かにこの試合ではMbappeもDembelleもキックの精度に精彩を欠いたこともあったが,スペインは想像以上に強かったというのが実感。あるいはフランスのスペインに対する苦手意識というのもあったのかもと思った準決勝第1戦であった。

2026年7月15日 (水)

短いインターヴァルでリリースされたRolling Stonesの新作。

_20260713_0001 "Foreign Tongues" The Rolling Stones(Polydor)

前作"Hackney Diamonds"が18年ぶりのオリジナル・アルバムだったのに対し,今度は3年弱という短いインターヴァルでリリースされたStonesの新作を聞いた。私は前作を聞いた時,「Charlie Wattsの生前のドラムスを2曲収め,そのうちの1曲である"Live by the Sword"にはBill Wymanまで参加しているし,迎えたゲストも豪華とあっては,私はMick JaggerとKeith Richardsが本作をラスト・アルバムとして世に問うつもりだったのではないかと思ってしまった。」なんて書いているが,全くの杞憂であったことがはっきりした。

冒頭の"Rough And Twisted"からして強烈なロックである。しかもラウドさを感じさせるミキシングがロック感を増幅させる。Mick Jaggerにしろ,Keith Richardsにしろ,もはや傘寿を過ぎた高齢者のやる音楽とは思えん,というのが正直なところだ。それはこの1曲だけでなく,アルバム全編を通じてそうなのだから本当に驚いてしまう。"Never Wanna Lose You"とかをライブでやったら盛り上がること必定だな。

ここには前作"Hackney Diamonds"のレコーディングの際の残りテイクも含まれているようだが,おそらくそちらではMatt Cliffordが担っていたところを,今回はSteve Winwoodが担うという豪華な布陣も素晴らしい。

そして一番びっくりしたのが故Charlie Wattsのドラムスを収めた"Hit Me in the Head"。Charlie Wattsのドラムスはどちらかと言えば軽く響く印象があったのだが,このハードなドラミングを聞いて,Charlie Wattsとは思わなかったというのが正直なところである。ミキシングの効果もあるだろうが,それはそれはハードなドラミングを聞かせていて,改めてCharlie Wattsを見直してしまったのであった。

ということで,ちょっと甘いかなぁと思いつつ,私は前作にも星★★★★★を付けた以上,それを勝るとも劣らないと言ってよい本作には,またも星★★★★★とせざるをえない。いやはや凄いわ。このように仕立てたAndrew Wattsのプロデュースの貢献度大。但し,このジャケは...って感じだが(笑)。

Personnel: Mick Jagger(vo, g, perc, hca), Keith Richards(g, vo, b, p), Ronnie Wood(g, b, vo), Charlie Watts(ds), Darryl Jones(b), Steve Jordan(ds), Andrew Watt(vo, b, g, key, perc), Matt Clifford(p, el-p, key, org, synth), Steve Winwood(p, el-p, org), Benmont Tench(org), Ben Waters(p), Robert Smith(g, synth, vo), Paul McCartney(b), Chad Smith(b-ds), Bruno Mars(cowbell), James King(ts, as, bs), Ron Blake(tp, fl-h), Naarai(vo), Porcha Clay(vo)

本作へのリンクはこちら。

2026年7月14日 (火)

村上春樹の新作「夏帆」を読了。

Photo_20260713071901 「夏帆 The Tale of KAHO」村上春樹(新潮社)

「街とその不確かな壁」以来3年ぶりとなる村上春樹の新作である。私は昔から村上春樹のファンであるが,発売日深夜に書店店頭で騒ぐ熱狂的「ハルキスト」とは異なる。出れば必ず読むが,一刻も早くとまでは思っていない。そういうスタンスで,今回も新作をゲットし,この度読了である。

まぁいつもながらの村上春樹であり,二重構造の寓話的なストーリーテリングは相変わらずで,今回もそうした村上春樹節を大いに楽しんだことは間違いない。今回もシュールと言えばシュールだが,話の展開は前作よりはわかりやすいというところだろう。新小岩の叔父の人物造形は結構笑えるし...。

「新潮」への連載により発表済みの4作の短中編を合体して,一本の長編に仕立てるというのは村上春樹には珍しいパターンだが,話の展開に破綻はない。改題,改稿も施しているので,それなりにいじっている部分はあるかもしれないが,話の展開に齟齬はなかった。若干「守護天使」については唐突感があるようにも思えたが,まぁ目をつぶれるレベルと言えばいいだろう。それがファンの弱みってところだな。

傑作という感じではないが,大病を患ったらしい村上春樹のリハビリテーション的一作と思ってもよいかもしれない。それでも十分に楽しんだ私であった。星★★★★☆。

本作へのリンクはこちら。

2026年7月13日 (月)

FIFA World Cup 2026:イングランド~ノルウェー戦を振り返る。

Bellingham-goal

サッカー強国が残って,ますます面白くなってきたFIFA World Cupである。Trump/Infantinoの「不祥事」と言いたくなるような暴挙で,少々ケチが付いてしまったのは残念だが,図々しくもBalogunをベルギー戦に先発させたアメリカ代表チームの敗退を喜んだ人間の方が多いだろうと皮肉も言いたくなる。

そんな中で,準々決勝のイングランド対ノルウェー戦は屈指のアタッカーを抱える2チームの対決として,激戦必至と思われる試合であり,そもそも昔からイングランド推しの私にとっては最注目の試合だったと言ってよい。日本時間の朝6時キックオフという無理のない時間帯だったので,キックオフ前から準備万端で観戦した私である。

前半のハイドレーション・ブレイク前は,イングランドが圧倒的にボール支配しながら,中央を固めるノルウェーのDFにイングランドも手こずって,しょうもないパス回しが多い上に,サイド攻撃も右のウイング,Maduekeがほとんど機能しておらず,左サイド攻撃に偏り過ぎていたことは否めない。ハイドレーション・ブレイク後は一転ノルウェーの時間帯となり,前半36分にSchjelderupのシュートはポストではねてゴールとなり,ノルウェーが先制。しかし前半ATのBellinghamのまさしく流れるような動きからの見事な得点で追いついたのは,イングランドにとってはいい時間帯で追いつけたと思う。

後半は両軍にあまり目立った動きはなかったが,ノルウェーの得点と思われたシーンが,VARで直前のHaakandのプッシングがファウルとなり,取り消しというのは少々ノルウェーには可哀想な判定だった。イングランド推しの私としては助かったというところだが,ちょっとあれは行き過ぎではないかとも思えたのも事実。そのほかにもイングランドにとっては危ないシーンもあったものの,後半はスコアレスで同店のまま延長に突入し,延長前半3分に上の写真のBellinghamの2点目のゴールが決勝点となった訳だが,それを生んだのはその前のRogersによる強烈なミドルであり,GKがはじいたボールに反応したBellinghamの即応性と相まって生まれたものというところで,2人で取った得点と言ってもよいだろう。

今回,注目のアタッカー,KaneとHaalandはほとんど見せ場はなかったように思えるのは,両チームのDFが頑張ったということにもなるが,Haalandについては,相手に日頃からプレミア・リーグで対戦しているプレイヤーが多かったというのも不利に働いたように思える。一方のKaneはトラップ・ミスなどもあり,精彩を欠いたというのが実感であった。イングランドの2点目かと思わせたゴールは明らかなオフサイドだったしねぇ...。

まぁ,それでもめでたくイングランドは準決勝に進出した訳だが,私としてはイングランドのスピード感の欠如が非常に気になる試合で,オフェンスに圧倒的なスピード・スターというのがいないように感じられてならなかった。サイド・チェンジの際のロング・パスの精度は本当に大したものだったとは言え,拮抗した試合では,時にスピーディーなドリブルで局面を変えるということも必要だと思うのだが,そうしたプレイぶりはこの試合では見られなかったように思う。準決勝は予想通りアルゼンチンとの対戦になったが,もう少しスピード感を示さないと次戦は厳しいと思っていた私である。

ただでさえフォークランド紛争以降,因縁の対決,あるいは様々な遺恨を残す両国であるから,激闘どころか死闘確実であるが,準決勝も全力でイングランドの応援をすることにしよう。まぁそれでも削り合いのようなことは避けて,フェアに戦って欲しいものだ。

2026年7月12日 (日)

渡辺貞夫 Brazilian Lounge@Blue Note東京参戦記。

At-bnt記事をアップするのが遅れたが,ライブのご報告である。前日に手術を受けて,一泊入院後退院したばかりというのに,ライブに出掛けるというアホな私である。今回はナベサダがブラジル音楽にフォーカスしたライブということで,きっと気持ちよい音楽がきけるはずだということで予約してあったので,行かない訳にはいかないのだ(笑)。そうは言いつつ,行きの表参道から会場のBlue Note東京の道すがらでは,間欠性跛行が出て痛々しい歩行スタイルで現地に到着したのであった。

会場のアリーナ前列は追っ掛けあるいは親衛隊のような人々が集まっていて,ナベサダの人気ぶりを表していると思ったが,それよりも何よりもナベサダの矍鑠としたプレイぶりには驚いた。既に93歳とは思えない吹きっぷりに,この人の強靭な生命力を感じたのであった。

当夜は"A Felicidade"でスタートだったと思うが,オリジナルとJobimの曲を交えた演奏では,ほぼ全曲でナベサダが譜面を見ながら吹いていたのが意外ではあった。しかし,繰り出されるフレージングを聞いていると,譜面に書いてあるんじゃないかとうがった見方さえしたくなるような,いかにもナベサダって感じのフレーズの連発であった。

正直言って私はナベサダの作曲能力,特にフュージョン系の曲についてはあまり評価していないのだが,今回のようにブラジル系の曲ならば結構いいではないかと思いながら聞いていた。Elis Reginaに捧げて書いた"Elis"なんていい曲である。改めてそブラジル・フレイヴァーのアルバムも聞いてみてもいいように思えたのであった。

バックの面々はリーダーを立てながらのしっかりした演奏ぶりであったが,中でもドラムスの竹村一哲がよかったと思う。少々残念だったのは三嶋大輝のベースの増幅された音で,あれはもう少しベースらしい音でないとブラジルの土着感を損なっているように思えた。

そうは言いつつ,トータルでは93歳の超高齢者であるナベサダから元気をもらったと言ってよい退院直後の私であった。

Live at Blue Note東京 on July 8, 2026, 2ndセット

Personnel: 渡辺貞夫(as), 小野塚晃(p), マルセロ木村(g), 三嶋大輝(b), 竹村一哲(ds)

2026年7月11日 (土)

Amazon Primeで何十年かぶりに見た「黒い絨毯」。

Naked-jungle 「黒い絨毯("The Naked Jungle")」(’54,米,Paramount)

監督:Byron Huskin

出演:Eleanor Parker, Charlton Heston, Abraham Sofaer, William Conrad

先日,Charlton Hestonが出た「大地震」について記事をアップしたが,今回もCharlton Hestonの映画である。私が若い頃はClint Eastwoodが最も好きだったが,Eastwoodを知る前は,見た映画の本数としてはCharlton Hestonの映画が多かった。「十戒」然り,「ベン・ハー」然り,「猿の惑星」然りということもあり,結構ファンだったなぁなんてことを思い出していた。

この映画は56年の「十戒」に先立つ54年の映画で,クレジット上もEleanor Parkerの方が上になっているが,実質的な主演はCharlton Hestonの映画だ。主題の通り,この映画もTV放送されたものを見て以来,何十年かぶりで見たのだが,「蟻」の話だというのは覚えていても,細かい部分はあまり覚えていなかったというのが実情だ。

Eleanor-parker 今回,見直してみて,主演はEleanor Parkerだったのかということに目が行ってしまったというのが正直なところなのだが,Eleanor Parkerと言えばついつい「サウンド・オブ・ミュージック」の男爵夫人の印象ばかりが強くなってしまう。私の人生で見た回数が最も多いのが「サウンド・オブ・ミュージック」だと言っても,「似合わねぇ~」と言われるのがオチだが,好きなものは好きだからしょうがない。

「サウンド・オブ・ミュージック」での男爵夫人はどちらかと言えば嫌われ役だったのだが,この映画におけるEleanor Parkerは気が強いところも見せながら,その美貌に参ってしまった私であった。その美貌は後年になっても変わらないとしても,この頃の別嬪度が素晴らしいのだ。映画のストーリーより,Eleanor Parkerの綺麗さに見とれていたというのが正直なところ。右の写真はこの映画のものではないが,思わずくぅ~っとなる別嬪さんである。

それはさておき,この映画は「宇宙戦争」も撮ったByron Huskinが監督を務めているが,これは一種の自然災害ものと言ってもよい。蟻の大群(Marabunta)の破壊力が大げさに描かれているが,正直言って怖さはない。現代であればCGでもっとエグい表現になるかもなぁと思いつつ,ラスト・シーン近くの爆破シーンとかは結構よくできていた。それなりに見応えはあって,当時としてはまぁまぁよくできた娯楽作ってところであった。ということで,少々甘いの承知で星★★★☆。

いずれにしてもCharlton Heston演じるChristopherの粗野具合などは笑える部分があるが,こういう役を経て後の大役を得たのだなぁということこそ今となっては感慨深い。

本作のDVDへのリンクはこちら。

2026年7月10日 (金)

中年音楽狂の手術日記(笑)。

ここ数ヶ月,腰部脊柱管狭窄症による間欠性跛行がひどいのでリハビリを受けていたのだが,痛い部位が1か月ほど前から変化し,MRIで撮影したところ,明らかな椎間板ヘルニアを併発していることがわかった。間欠性跛行とは,ちょっと歩くと足が痛くなったり痺れたりで,歩行を続けることが困難になってしまうのだが,そもそもの通院のきっかけは混んだ電車に乗ってたった3駅の移動で立っていると,足が痺れて一歩も足が前に出なくなり,プラットフォームで大転倒した経験からだった。その検査結果が腰部脊柱管狭窄症だったのだが,それが椎間板ヘルニアにより具合がずっと悪くなってしまったのであった。

ということで,内視鏡手術なら日帰りも可能ということで,念のため一泊入院で手術を受けることにしたのだが,手術を受けたからと言って,完全に治る保証はない中,点滴を経て手術に臨んだのだが,途中からは麻酔が効いていて,熟睡モードで何も記憶にない。目が覚めたら終わっていたという感じだ。入院中ベッドで寝ていると,確かに今まで痛かった部位の痛みはほぼ解消していたが,何かの拍子で軽いぎっくり腰のような状態になってしまったのは困ったもんだ。

正直言って,まだどれぐらいよくなるのかは経過を見てみないとわからないというところなのだが,退院当日夜には間欠性跛行が出たのは不安材料だ。もちろんまだ痛みはあるし,リハビリも必要だと思うが,暫くは様子見ってことで。

と言いつつ,退院した当日にライブに出掛けているんだから,誰も同情はしてくれないのは承知している(爆)。

2026年7月 9日 (木)

Simon Phillips Protocol 6 at Blue Note東京参戦記。

Protocol-6-at-blue-note

手術入院のため,記事のアップが遅れてしまったが,先日,Blue Note東京で行われたSimon Phillpsのバンド,Protocolのライブに参戦してきた。

Simon-phillips-drums-set-july-2026Simon Phillipsは新作を出すたびに来日しているが,今回も先日リリースされた"Protocol 6"を受けての来日である。登場するなりカンペを見ながら日本語で挨拶し,新作全曲を演奏すると宣言してライブはスタートした。私はSimon Phillipsのドラムス・セットのほぼ真正面に座っていたので,ダブル・バスドラから繰り出される響きを全身に浴びながら聞いていた(ドラムスの写真は終演後,私の席から撮影したもの)。

今回,Jacob Scesneyに代わってメンバーとして加わったのがPhillip Whackだが,時にColtraneライクなフレーズをぶちかましていたのが印象的だったが,何よりも私を感心させたのがギターのAlex Sillであった。流れるようなフレージングを見ていて,テクニックもあれば,歌心もあるねぇなんて感じながら見ていて,その著しい成長ぶりに嬉しくなってしまったのであった。

まぁ,彼らのやっている音楽は典型的ハード・フュージョンであり,基本的な線は変わらないなりの安心感はあるのだが,今回の彼らのライブはアルバムよりもずっと魅力的に響いたというのが実感だ。恒例のようにライブ終了後にはサイン会があったので,彼らともちょっと話をしてきたが,やはりこういう音楽に私は弱いよねぇなんて思っていたのであった。次も来ればまた行くな(笑)。トップの写真はBlue Note東京のWebサイトから拝借。

Live at Blue Note東京 on July 6, 2026, 2ndセット

Personnel: Simon Phillips(ds), Ernest Tibbs(b), Otmaro Ruiz(key), Alex Sill(g), Phillip Whack(sax)

2026年7月 8日 (水)

訳あって通常の記事のアップはお休みです。

本日はストック記事。7/7に椎間板ヘルニアの手術を受けて,術後病院に一泊となるため,記事をアップすることができないので,今日はそのご報告のみ。さて,術後の完全復活なるか?

ご報告は改めて。

2026年7月 7日 (火)

Simon Phillips Protocol 6@Blue Note東京:今日は戦利品のみ。

_20260706_0001 訳あってライブに関する記事を詳しく書いている余裕がないので,今日は戦利品のみ。ライブ後のサイン会はSimon Phillipsはいつもやってくれるが,今回もベースのErnest Tibbsだけは出てこなかったなぁ。いずれにしても,今日は私がSimon Phillipsのドラムス・セットの前に座っていたこともあり,完全にバスドラの響きを身体で感じた一夜であった。あぁ~楽しかった。

2026年7月 6日 (月)

Amazon Primeで「大地震」を見た。公開以来だから半世紀以上ぶりだ。

Earthquake 「大地震 ("Earthquake")」(’74,米,Universal)

監督:Mark Robson

出演:Charlton Heston, Ava Gardner, George Kennedy, Lorne Greene, Geneviève Bujold, Richard Roundtree

この映画,公開された1974年の暮れか,翌年の正月ぐらいに梅田のOS劇場で見たはずだ。センサラウンド・システムで地震場面の音響を生み出すというのが売り文句だった。当時の関西では地震はほとんど経験がなかったが,自分が3.11を経験し,両親は阪神淡路で被災し,それ以外でも数多くの人が地震で被災していることを考えると,こういう映画は今では微妙,あるいは不謹慎だと思えてしまっても仕方がないところがある。

しかし,当時は「タワーリング・インフェルノ」や本作のようなパニック映画が結構もてはやされた時代だったのだ。だが,改めてこの映画を見ると,ストーリーは結構陳腐だったと思える。夫婦役のCharlton HestonとAva Gardnerは映画の冒頭からもめている設定だが,そもそも既に相当とうが立った(失礼!)Ava Gardnerが,実年齢では10歳も離れていないLorne Greeneと親子役というところに無理があり過ぎて,違和感しかなかったのだ。

まぁ現在ならCGで映像を作るところを,セットや合成,あるいはミニチュアで対応するところには微笑ましさを感じさせるが,脚本には「ゴッドファーザー」の原作も書いたMario Puzoが関わっている割にはストーリーは大したことがない。役者としては,いつもこの人は得な役が多いと思わせるGeorge Kennedyがここでも一番の儲け役ながら,Walter Matuschanskayaskyという訳のわからない変名で酔っぱらいを演じるWalter Matthawが一番面白かった。Richard Roundtreeは「黒いジャガー」の時のような鋭さがなくなっていたのは残念だったが。

ってことで,映画としては星★★★で十分だな。

本作のBlu-rayへのリンクはこちら。Blu-rayのパッケージにAva Gardnerの姿がないのがご愛嬌。

2026年7月 5日 (日)

すっかり記事にするのを失念していたCamila Mezaの”Portal”。これこそ彼女のあるべき姿。

_20260702_0001 "Portal" Camila Meza (Ground Up)

昨日,Camila Mezaが参加した"Greetings from Florida: Postcards from Paradise"を取り上げたが,よくよく自分の記事を振り返ってみると,このアルバムに関して記事化していないことに気づいた。

このアルバムを入手したのは彼女がBlue Note東京に出演した時だから,もう1年以上前になるが,その時にはライブ後のサイン会で彼女にサインしてもらったことを嬉々として記事にしている。しかし,このアルバムを記事にしていなかったとは...と感じてしまった。

なぜそう思うかと言えば,ちゃんと記事化していれば,私はこのアルバムを昨年のベスト作の1枚に選んでいたのではないかと思えるほどいいアルバムだからだ。ということは,入手だけしてちゃんと聞いていなかった可能性が高いのだが,このアルバムに収められた音楽には,私がCamila Mezaに求めるような要素が詰まっていて嬉しくなってしまう。

このアルバムのプロデュースにShai Maestroが絡んで,演奏もしていることは意外と感じたが,よくよく考えると“Traces”でも共演していたのであった。

いずれにしても本作は曲よし,歌よし,演奏よしの素晴らしいアルバムである。やはりCamila Mezaは素敵なミュージシャンだと改めて感じさせてもらった。記事化を失念した反省も込めて星★★★★★。

尚,本作がフィジカルでリリースされたのは日本だけのようだが,実にいい作品だ。心地よく時間が流れるそういう作品だ。

Personnel: Camila Meza(vo, g), Shai Maestro(key, synth, prog), Ofri Nehemiya(ds, perc), Margaret Davis(harp), Caleb Vangelder(ds-machine, prog), Faumelisa Manquepillan(spoken words), Gretchen Parlato(vo), Becca Stevens(vo), Gadi Lehavi(p)

本作へのリンクはこちら。

2026年7月 4日 (土)

Camila Meza参加のフロリダの理想と現実を描くコンセプト・アルバム。

Scott-lee "Greetings form Florida: Postcards from Paradise" Scott Lee(Sunnyside)

私の「推し」の一人と言ってよいCamila Mezaが参加していると知ってストリーミングで聞いた上で,ゲットしたアルバム。正直言ってストリーミングで聞いて買うかどうか迷ったのだが,抱き合わせでのディスカウントをねらっての購入となった。まぁ無駄遣いと言えば無駄遣いだ。

リーダーとなっているScott Leeはフロリダ出身の作曲家らしいが,初めて聞く名前である。このアルバムはフロリダから想像されるイメージと現実のギャップを描くというところが根底にあるので,主題の通りのコンセプト・アルバムだ。元々はフロリダ大学からの委嘱で書かれた作品で,楽器編成も含めてかなりユニークなアルバムと言ってもよいが,テーマがテーマだけに軽い気持ちでは聞けない。

そもそも曲もかなり癖が強いと言ってよいものなので,Camila Mezaが歌っているとは言っても,彼女のリーダー作やRyan KeberleとのCatharsisとは雰囲気はかなり違う。ということでCamila Meza参加と言っても,よほどの彼女のファンでなければほかの方にはお勧めしにくいというのが実感だ。もちろん,彼女の歌はいつもながらの魅力的なものだし,ギターもその腕をきっちり聞かせる場面もある。弾き語りで演じられる"The Loss of the Blues"がその最たる事例だ。ただ,そもそもがアンサンブルを前提とした曲群なので,そういう作品だと思って聞く必要がある。星★★★☆。

Recorded on November 13-14,2025

Personnel: Scott Lee(composer), Camila Meza(vo, g), Kristen Stoner(fl), Seok Hee Jang(cl), Tania Moldovan(vln), Emily Austin Smith(cello), Evan Mitchell(p), Danielle Moreau(perc)

現物が出てこないので本作のストリーミングへのリンクはこちら。

2026年7月 3日 (金)

Amazon Primeで「真田丸」を見終える。

Photo_20260629182201 娘からは大河ドラマと相撲を見るようになったら年寄りの証拠だと揶揄されつつ,確かに還暦過ぎてからその傾向が強いと思う私である。私が欠かさず大河ドラマを見るようになったのはここ数年で,「麒麟がくる」以降のことだと思う。「どうする家康」ですら何だかなぁと思いつつ,全部見ている。その裏で「独眼竜正宗」の再放送にはまり,今度はAmazon Primeで「真田丸」を見出したら止まらなくなってしまった。

暇を見つけては見るようにして,全50話完走である。私も好きだねぇと思いつつ,やはり役者陣の充実は大河ドラマらしいと思ったのであった。各々のキャラクターの描き方には難癖をつけようと思えばつけられるドラマだったが,やはり戦国時代を描くのが王道だよなぁと思いながら見ていた。

今度はNetflixで「軍師官兵衛」が見られるようになったから,今度はそっちも見ることにしよう。なんて言っているのが年取った証拠だと娘にまた言われること必定(笑)。

2026年7月 2日 (木)

滋味溢れるとでも言うべきSteve Swallowの新作。

Steve-swallow "Winter Songs" Steve Swallow (ECM)

伴侶のCarla Bleyがこの世を去ったのが2023年のことであったが,その死から約1年を経過した頃に吹き込まれたアルバムがリリースされた。曲名は"One"から"Nine"の数字のみという単純なものであるが,これが主題の通り,実に滋味溢れたアルバムである。An ECM Productionとあるので,本作には総帥Manfred Eicherは絡んでおらず,Steve Swallowが持ち込んだものであろう。

バンドのメンバーにはこれまでSteve Swallowとの付き合いも多いミュージシャンの名前が並んでいるが,本来ならCarla Bleyがいたであろう場所を今回はGil Goldsteinが担っている。冒頭からブルーズ・フィーリングさえ感じさせるこのアルバムは通常のECM的なサウンドとは異なると言ってもよい。

そもそもこれから真夏に向かおうというこの時期に"Winter Songs"と題して,涼ませようってところかとすら思えてしまうような演奏である。換言すれば「熱くなる」ことはなく,淡々としていると言ってもよいのだが,Steve Swallowの書く曲のよさもあり,これが実によい感じなのだ。

各々のメンバーのソロによる貢献度も高く,Steve Swallowの曲の魅力を増幅させるというところだ。フロントには2管が据えられていつつも,アンサンブルも内省的な響きすら感じさせ,基本的にクールなサウンドはまさに"Winter Songs"と呼ぶに相応しいという気がしてくる。ジャズに何を求めるかにもよるが,ハードさや熱っぽさはなくとも魅力的な演奏になることを実証した,私には完全OKなアルバムであった。確かに刺激は少ないが,まさに大人の音楽と呼びたくなる作品。星★★★★☆。

Steve Swallowは今年で86歳になるが,老いてますます盛んと言いたい。成熟とはこういうものだ。

Recorded in September, 2024

Personnel: Steve Swallow(b), Mike Rodriguez(tp), Chris Cheek(ts), Steve Cardenas(g), Gil Goldstein(p), Adam Nussbaum(ds)

本作へのリンクはこちら。

2026年7月 1日 (水)

FIFA World Cup,日本~ブラジル戦を振り返る。

Photo_20260630090901
ベスト16をかけたノックアウト・ステージの初戦の相手がブラジルとは,何とも組合せのくじ運がよくないよなぁと感じた人は多いだろうし,私もその一人だ。だが,この山を乗り越えなければ次はない訳だから,必勝を祈願しながら深夜の中継を観戦した。

まさに惜敗と言ってよいだろう。後半アディショナル・タイムの,延長戦への突入もにらんで最も集中しなければならない時間帯での失点による敗戦はもったいないの一言だ。延長に持ち込んでいたらどうなっていたかはわからなかっただけに本当に惜しい。

佐野海舟が抜け出してのミドルで先制した時は今回はいける(かも...)と思えた試合であった。ディフェンス陣もブラジルに決定的なチャンスを与えていなかった。少なくとも前半は...。しかし後半,ブラジルが戦術を変えてVinícius Júniorが左サイドで自由度高く,自分で行くこともあれば,パスの出し手としても動くようになってからは,飛び交うクロスに対応するのに精一杯の防戦一方の戦いになってしまったことは否めない。

王国ブラジルに善戦はしたとは言え,パスのスピード,トラップの精度等,明らかにブラジルに勝てていない部分があったのも事実だ。パスのスピードが足りないから,プレスをかけてくるブラジルにボールを奪取されたことも多過ぎたように感じるし,パス・コースも読まれていたように感じられた。そしてあれだけ防戦に追われては,イマジネーションに溢れた攻撃は難しかったと思う。

しかし,以前であれば「どうせ勝てないだろう」と諦めていたであろう存在のブラジルに対して,今や「勝てるかもしれない」,あるいは「十分勝機はある」というレベルまで上がったことを実証した今回の日本代表である。今回の敗戦に一番悔しい思いをしているのは日本代表の面々だろうが,これを糧として4年後に向けて前を向いて欲しい。強豪と言われるドイツもオランダもベスト32で敗退したが,それがWorld Cupってものだし,敗退は恥ずかしいことでは決してない。

いずれにしても日本代表は下を向く必要はなく,今回の結果には胸を張るべきだ。私としてはつくづく惜しかったが,いいものを見せてもらったというのが実感だし,思いを同じくする日本国民も多いはずだ。だからこそ次こそはベスト8&Beyondだ!!

ここまでの戦いに対して日本代表に心から敬意を表しつつ,今後は推しのチーム(私はイングランド一択)を応援しながら,世界レベルの戦いを楽しむモードに転換することにしよう。

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