”Unlimited Miles”@Blue Note東京参戦記

今年はMiles Davis生誕100周年ということで,Milesゆかりの音楽が演奏される機会が多い年になることは想定されることだが,そこに現れたのがUnlimited Milesという名前のバンドであった。メンツは派手なのか地味なのかよくわからんという感じだが,おそらくはJohn Beasleyを番頭としたバンド。そのライブを見るべくBlue Note東京に行ってきた。このバンド,急造バンドであることには間違いないのだが,来日前にはNYCのBirdlandでもライブを行っていて,それなりにこなれてからの来日となっているので,そこそこ期待できるはずだと思っていた。おそらくこのバンドのメンバーで日本で一番メジャーなのはKurt Rosenwinkelだろうから,彼目当ての聴衆も多いのかななんて想像しながら現場に向かった。今回はほぼステージ中央,最前列のまさにかぶりつきの席である。
メンバーがステージに登場する段階から嫌な予感がしたのだが,私の横の卓の客が最初から騒がしい。John Beasleyが今日はライブ・レコーディングだと言っていたからまた調子に乗ったのかもしれないが,「バカの一つ覚え」としか言いようのないしょうもない奇声を上げ続ける連中には辟易としながら演奏を聞いていた。ライブには相応の「ノリ」も必要だが,調子に乗り過ぎの過度な騒ぎっぷりは迷惑でしかない。
そんな思いを抱えながら演奏への集中を心掛けた私だが,Miles Davisのレパートリーをやるからと言って,そのままオリジナルの演奏をなぞることはしなかったこのバンドである。冒頭の"Seven Steps Heaven"から手を加えて変拍子化させて一気に盛り上げたのを皮切りに,"Ah Leu Cha"と"Milestones"のハイブリッド,これまた"So What"と"Flamenco Sketches","All Blues"をマージしたような演奏,更にはタイムマシーンと言いながら40年代,60年代,80年代の曲をメドレーで演じた"Moon Dreams"~"Sanctuary"~"Fat Time",そして""Paraphernalia"を演じて,アンコールでやったのは"Splatch"だったか?いずれにしても当夜のプログラムは相応に満足度の高い演奏であった。
演奏には少々粗いところがない訳ではなかったが,各人のソロも上々で,ラッパのSean JonesはMilesゆかりということもあって,プレッシャーもあっただろうが,オープンでもミュートでも朗々としたフレージングを聞かせたのは立派。John Beaselyはバンマスとしての役割重視なので,ソロは若干控えめ感がある中,Mark Turnerもコクのあるソロを聞かせる一方,ドラムスのTerreon Gullyはちょっと叩き過ぎの感はあった。そうした中で私が最も惹きつけられたのがBen Williams。とにかく上手い。エレクトリック・ベースはスラッピングする訳でもないのだが,ベースはああいう風に弾きたいと思わされてしまったのであった。
おっと,忘れてはいけないKurt Rosenwinkel。このバンドにギターが必要なのかという思いもあったが,"Fat Time"で聞かせたソロだけでもOKという感じであった。この"Fat Time"という曲,"The Man with the Horn"の冒頭のMike Sternのギターの印象が強いし,アルバムにおけるダークな曲の感じが,後のライブで演じられるものと全然印象が違うところがあってつかみどころがないのだが,ここでのKurt Rosenwinkelの長いソロはこのライブにおける彼の演奏の中では間違いなく白眉と言ってよいものだった。
ということで,ステージ上にあったセットリストを極力編集して貼り付けておくが,それでも読みにくいことこの上ない(笑)。そう言えば"Madness"もやったような気がするが,アンコールは"Pinnochio"とあるものの,"Pinnochio"でなかったことは間違いない。尚,John Beasleyによれば,ライブ盤は来年2月にMack Avenueレーベルから出るそうだ。どういうことになるのかを期待して待ちたい。尚,トップの写真はBlue Note東京のWebサイトから拝借。
Live at Blue Note東京 on April 21, 2026
Personnel: John Beasley(p, key), Sean Jones(tp), Mark Turner(ts, ss), Kurt Rosenwinkel(g), Ben Williams(b), Terreon Gully(ds)
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