Joel Rossの新作はその名も"Gospel Music"。だが,典型的ゴスペルではない。
"Gospel Music" Joel Ross (Blue Note)
ジャズ・ヴァイブ界において,尖った方はPatricia Brennanってことになるだろうが,昨今のコンベンショナル側の代表格と言ってよいのがJoel Rossだろう。まだ30そこそこなのだが,成熟した響きを聞かせるのは大したものだ。Blue Noteでも期待値が高いようで,リーダー作のみならず,同レーベル所属のホープを集めたOut Of/Intoへの参加を含めて,活発な活動を展開させている。
そんなJoel Rossの新作をストリーミングで聞いたのだが,タイトルこそ"Gospel Music"となっているが,出てくる音は我々が想像するようなゴスペル・ミュージックではなく,あくまでも聖書を素材としたコンテンポラリーなジャズであった。各々の曲にJoel Rossがどういう意図を込めたかについてはライナーを読む必要があるようだが,私はストリーミングで聞いたものなので,そこまでは把握することはできない。しかし,ここで展開される音楽には激しさや派手派手しさはないものの,宗教観を背景としたがゆえの落ち着きに満ちた音楽とアンサンブルの妙を聞かせる。
アルバムのコアとなっているのはJoel Rossのバンドである"Good Vibes"であるが,そこに適材適所のゲストを迎えての演奏となっている。後半に向けてはヴォーカルの登場が多くなって前半よりは若干ながらゴスペル的ムードも増していくが,構成としては,聖書を題材としながらも,Joel Ross自身の音楽性に根差した組曲として聞くべきと思わせる音楽だと感じる。いずれにしても,本作は78分に及ぶ大作であるが,なかなかよく出来たアルバムだと思えた。リーダーにしても,メンバーにしても大した才能である。少々地味かなと思いつつ,星★★★★☆としよう。
不勉強にして,本作に参加しているメンバーはそれほど知名度が高いとは思えないが,ゲスト含めてそれぞれが好演。その中でベースのKanoa Mendenhallは昨年2月にCotton ClubでのJuzz Pulse参加時のライブを観る機会があって,その時も注目に値する人だと思ったが,こうしたレコーディングに参加することからしても,米国においても注目されていることの証だと思えた。そして,ここでも非常にいい音のベースを聞かせるのは立派だ。
Personnel: Joel Ross(vib, celesta, glockenspiel), Josh Johnson(as), Maria Grand(ts), Jeremy Corren(p), Kanoa Mendenhall(b), Jeremy Dutton(ds), Ekep Nkwelle(vo), Laura Bibbs(vo, tp, fl-h), Andy Louis(vo, g), Brandee Younger(harp), Austin White(electronics)
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