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2026年1月23日 (金)

Benny CarterのConcordレーベルでのスイング・セッション:ねらいはEd Bickertなのだが(笑)。

A_gentleman_and_his_music "A Gentleman and His Music" Benny Carter(Concord)

私は結構なEd Bickertのファンだと思っていて,リーダー作はそこそこ保有しているし,特にワンホーンのアルバムでバックを務めたアルバムを中心にリーダー作以外も見つけたら買うようにしている。まぁ何でもってことではなく,ストリーミングで聞けないものや価格的に無茶苦茶でないという条件は付くが。このアルバムも再生上のノイズは気にならないが,盤質はイマイチながら,¥1,000しない価格の中古だから入手したもの。

Benny Carterと言えば,77年に来日した時に吹き込んだ"Live And Well in Japan"が結構好きだったこともあるが,本作入手の動機はあくまでもEd Bickertであった。本作は3管編成のセプテットなので,Ed Bickertの出番はそれほどではないとしても,ソロにしろ,バッキングにしろ,いかにもEd Bickertらしい演奏を聞かせていて,私はそれで満足だ。

アルバムとしてはレーベル・オーナーであるCarl E. Jefferesonの趣味を反映したいかにもConcordレーベルらしいスイング・セッションだが,刺激を求める音楽ではなく,リラックスして聞けばいいというアルバムであって,そういうもんだと思って聞けばよいのだ。レコーディング当時,Benny Carterは78歳であるが,90歳近くまで演奏していただけあってまだまだ矍鑠としたものだ。

テナーがScott Hamiltonというのはわかるとして,メンツで珍しいのはJoe Wilderだろうか。当時のConcordでラッパと言えばWarren Vachéがよく吹いていたが,まぁJoe WilderもConcordとは無縁という訳ではなかったようだが。そう言えば"Wilder 'n' Wilder"って持っていたなぁ。そっちも久しぶりに聞くか(笑)。

いずれにしても,全く破綻なしで気楽に楽しめるアルバムであった。星★★★★。

Recorded in August 1985

Personnel: Benny Carter(as), Joe Wilder(tp, fl-h), Scott Hamilton(ts), Gene Harris(p), Ed Bickert(g), John Clayton(b), Jimmie Smith(ds)

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2026年1月22日 (木)

Stephen Bishopのベスト盤を久しぶりにプレイバック。

_20260105_0001 "On And On: The Hits of Stephen Bishop"(MCA)

昨年引退アルバム"Thimk"をリリースしたStephen Bishopのキャリアにおけるベスト盤は何枚か存在するようだが,これは94年にリリースされたものだが,選曲にはStephen Bishop本人も関わっているから,納得のチョイスということになるだろうが,全18曲中,1stの"Careless"と2ndの"Bish"からそれぞれ6曲,4曲と半数以上を占めているのは我々にとっても納得できるし,本人が一番わかっているってことだろう。そのほかは"Red Cab to Manhattan"から1曲,"Bowling in Paris"から1曲に加えて映画にまつわる曲が6曲というチョイスである。

私にとってもStephen Bishopと言えば1stか2ndとなるので,このアルバムを聞いていても馴染み深い曲が多い中で,映画に関する曲では「ミスター・アーサー("Arthur")」からの"Only Love"がそうだったのかぁって感じである。この映画で言えば,オスカーで歌曲賞を獲ったChristopher Crossが歌った"Arthur's Theme (Best That You Can Do)"の方が圧倒的に有名だが,この曲もStephen BishopとBurt Bacharach,Carol Bayer Sagerの共作だったのねぇ。

そのほかにも「ホワイトナイツ/白夜("White Nights")」でPhil CollinsとMarilyn Martinが歌ってヒットした"Separate Lives"を本人がアコースティックで歌っている。この「ホワイトナイツ/白夜」にしてもオスカーの歌曲賞はLionel Richieが歌った"Say You, Say Me"が獲ってしまって,どうにも運のない人だと思ってしまう。

まぁそれでもやっぱりいい曲が多いと思うし,大いに楽しめるベスト盤であった。そうした中でどうしても"Animal House"は浮いているのは仕方がないが,やっぱりいいソングライターであり,歌い手であったと思わせるに十分。

ベスト盤だが,クレジットもすべて書かれているところにStephen Bishopの几帳面さが出ているようにも思うが,ここでは多数のため省略。

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2026年1月21日 (水)

年末年始に見た映画(8):結構間延びした感じの「OK牧場の決斗」

Ok-corral「OK牧場の決斗("Gunfight at the O.K. Corral")」(’57,米,Paramaount)

監督:John Sturges

出演:Burt Lancaster, Kirk Douglas, Rhonda Flemming, Jo Van Fleet, John Ireland

今回の年末年始に見た映画もこれが最後。8本が多いのか少ないのかはよくわからないが,久しぶりにこの映画をDVDで見直したもの。

何度も映像化されているトゥームストーンにおける銃撃戦を描いた映画。まぁこれに関しては決定的な「荒野の決闘」という名画があるだけに,比較すること自体野暮と言ってもよいのだが,本作に関してはこれほど間延びした展開であったかと思ってしまった。

まぁBurt LancasterとKirk Douglasという二大スターの共演をいうことで見せようとしたというのはわかるとしても,このストーリーに2時間強の尺が必要だったかと言えば否だ。ある意味牧歌的とさえ思える展開の遅さには辟易としてしまったというのが正直なところ。Burt Lancaster演じるWyatt ArpとRhonda Flemming演じるLauraの恋愛模様のこの映画における必要性なんて全然感じないし,いくら映画だからと言って二人の恋愛の唐突感は度を越している。それに比べれば,Kirk Douglas演じるDoc HollidayとJo Van Fleet演じるKateのついて離れてまたくっついてみたいな感じはまだまし。しかし,この間延びした展開は偏にシナリオの問題だと思うし,監督のJohn Sturgesの限界ってところか。

映画としては上述の通り,全く大したことのない出来だが,後に「スター・トレック」でドクター・マッコイを演じるDeForest Kelleyやら,若き日のLee Van CleefやらDennis Hopperが出ていることに改めて気がつき,へぇ~と思っていた私であった。しかし出来に関しては娯楽映画なんてこんなものだと思いつつ,星★★☆で十分と思う。

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2026年1月20日 (火)

追悼,Ralph Towner。

Ralph-towner

Ralph Townerが亡くなった。2023年にリリースした"At First Light"でも,衰えることのない音楽を聞かせていただけに,突然の訃報はショックだ。しかし,考えてみればRalph Townerも既に85歳だったという年齢を踏まえれば,いつかこういう時が来ることは覚悟はしておかなければならなかった。

私が初めて買ったRalph Townerのレコードが"Solo Concert"だったが,そこで聞かれたクラシック・ギターと12弦ギターの素晴らしい響きに魅せられ,私はそれ以来のRalph Townerのファンとなった。このブログを開設したのが2007年1月だったが,その2日目の記事にこの"Solo Concert"をアップしていることからしても,私がいかにこのレコードを愛していたかの表れだ。プレイバックにはもっぱらCDを使うこのアルバムも,ドイツ盤のアナログは決して手放すことはない。

その後,ECMのアルバムを中心に参加作も含め,数多くのRalph Townerの音源を集めたが,必ずしも傑作揃いとは言わずとも,失望させられることはなかった。このブログを開設後に出たECMの新譜はどれも素晴らしいと思ったが,中でもPaolo Fresuとのデュオ,"Chiaroscuro"が今でも印象深い。

私がRalph Townerのライブ演奏に接したのは,NYCのBottom LineにおけるOregon Trioとお台場にあったTribute to the Love Generationにおけるソロのたった2回だったのは返す返すも残念だ。そもそも海外出張時を除いて,私がライブ通いを再開したのが2009年以降のことであるから,それも仕方がないことではあるのだが,2019年の最後の来日となった高崎でのライブを日程の関係で見逃したのは本当に残念なことであった。それでもOregon Trioの時はピアノを聞けたのも懐かしいが,この人はギターだけでなく,ピアノも非常に上手い人だったことは改めて強調しておかねばならない。

さまざまなアルバムを通じて,私の音楽的な嗜好を明確にし,生活に潤いを与えてくれた人として,Ralph Townerには感謝しても感謝しきれない。世界はまた素晴らしいミュージシャンを失った。

R.I.P.

Ralph-towner-12strings

2026年1月19日 (月)

MojoでYesのアルバムのランキングが掲載されていたので,聞いてみたアルバムだったが...。

Mirror-to-the-sky "Mirror to the Sky" Yes(InsideOut)

Mojoという雑誌はクラシック・ロックが嗜好の中心となるリスナーを対象とした記事が多く,名バンドのアルバムをランキングするというのはよくある企画で,Web上ではMojo Listに掲載されている。ちょっと前の記事になるが,Yesのアルバムをランキングするというのが昨年の11月に掲載されていて,往年のYesファンとしてはどうなっているのかということで見てみた。

ネット上でランキングされているのはトップ10だけだが,当然のことながら70年代のアルバムがほとんどだ。1位が「危機」というチョイスには反論の余地はない。3rdアルバムが2位とは少々意外な気もしたが,曲のクォリティがいいからねぇ。むしろ私としては「海洋地形学」が「究極」より上というのは納得がいかん。それはさておき,70年代以外で選ばれているのは7位の"90125"と10位の本作だけである。

正直言って現在のYesには全く興味を持てない私なので,このアルバムも聞いたこともなかったし,聞いてみようという気にもなっていなかった。しかし,トップ10に叙されるということには何らかの意味があるだろうということでストリーミングで聞いてみた。まぁ曲に関してはそこそこのレベルだとは思うし,過去の作品を回顧する「昔の名前で出ています」的ライブ盤に比べれば現役感は増しているとは思うのだが,往年の彼らの音楽を知る私の感覚では,ここでの響きはどうにもゆるい上に軽い。

彼らの年齢を考えれば,もはや締め上げられるようなスリルを期待するのは無理だと思うが,私はここでの演奏よりも,もはや後期高齢者であるJon AndersonがThe Band Geeksと作ったスタジオ・アルバムやライブ盤の方がずっと楽しめたというのが正直なところだ。

そもそもこのアルバム,2枚組でリリースされているが,トータルでも63分程度なのだから,CD1枚に収まるはずのところを敢えて2枚組にするところに商魂が見え隠れするところも感じが悪いのだ。ということで私にとってはこれが一般的に評価の低い"Tormato"や"Drama"より更に上?と言いたくなってしまったというのが実感。星★★★。

Personnel: Jon Davison(vo, g), Steve Howe(g, mandolin, autoharp, vo), Geoff Downes(org, p, key, synth), Billy Sherwood(b, vo), Jay Schellen(ds, perc)

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2026年1月18日 (日)

年末年始に見た映画(7):「わが命つきるとも」。高潔さと信仰について深く考えさせられてしまった。

Photo_20251231085801 「わが命つきるとも("A Man for All Seasons")」('66,英,Columbia)

監督:Fred Zinnemann

出演:Paul Scofield, Wendy Hillar, Robert Shaw, Leo McKern, Susanna York, Nigel Davenport, Orson Welles, John Hurt

Netflixというメディアにおいて往年の名画を見る機会はあまりない(と言うよりあまりストリーミングされていない)が,珍しくも66年のオスカー主要部門を獲ったこの映画が見られるのを発見し,初めて見ることができた。無茶苦茶真面目に撮られたコスチューム・プレイである。

シナリオを書いたのが「アラビアのロレンス」や「ドクトル・ジバゴ」等のDavid Lean作品も書いたRobert Boltなので,重厚なのは端から想定できる。そもそもこれはRobert Boltが書いた戯曲を脚色したものだから尚更だが,派手さはなくても,ドラマとしては一流の出来というところである。

舞台はヘンリー8世の時代で宗教改革が背景として描かれるが,主人公は「ユートピア」を書いたトーマス・モアである。トーマス・モアのガリガリのカトリック信仰がヘンリー8世との対立を生むというところだが,私がこの映画を見た後,ヘンリー8世について調べたくなったのには理由がある。私がプログレの世界に足を突っ込んだのはRick Wakemanの「ヘンリー8世の6人の妻」というアルバムからだが,ここで描かれているのは曲名にもなっている「アラゴンのキャサリン」と「アン・ブーリン」の時代だったのねぇ。この対立がアラゴンのキャサリンとの離婚問題に端を発していることを改めて理解したのであった。

それはさておき,この映画は戯曲が原作であるから,いかにもストーリー展開も舞台劇的な感じがするが,トーマス・モアを演じるPaul Scofieldの演技はオスカーの主演男優賞に値する名演であった。Paul Scofieldに対して,その他の男性の登場人物が俗物に見えてしまうのは,トーマス・モアの頑固なまでの高潔さと信仰の強さゆえというところであろう。そうした雰囲気を作り出した役者陣と監督のFred Zinnemannの手腕も大したものだと思った。

こういう映画は現代ではなかなか受け入れられるのが難しくなってしまっているかもしれないが,こういう格調高い往時の映画を再評価する機運が高まってもよさそうに感じるのは私だけではないだろう。そしてこの映画にこの邦題をつけるセンスも素晴らしいよなぁ。そうした点も含めて星★★★★★である。相当地味だけどね(笑)。

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2026年1月17日 (土)

Boone's Farm@ビルボード・ライブ東京参戦記。前日のBlue Noteのリベンジにはなったな(笑)。

Boonesfarm

Boone's Farmって言ったって,何じゃそれは?になるのだが,Steve LukatherとMichael Landauという2ギターのバンドと聞いては,これは気になる。しかもリズムはTim LefebvreにKeith Carlockという超強力なコンビである。この4人に比べるとキーボードのJeff Babkoが地味に感じるが,BabkoだってSimon Phillipsと双頭アルバムを残している人であるから,バンドとしてはどうやってもおぉっとなるメンツなのだ。昨日のGentle Thoughts Reunionに続いて痛い出費となったが,これも仕方ない。

彼らの東京公演もGentle Thoughts同様,3日間全セットがフルハウスという人気ぶりだが,Blue Noteと違って,私はBillboard Liveというヴェニューではいつも1ドリンク付きで比較的割安のカジュアル・シートで観ることにしていて,今回もいつも通りカジュアル・シートでの参戦となった。ヴェニューに何を求めるかにもよるが,私にとっては音楽を聞く分には全然問題ないのだ。

そしてライブはオーディエンスが期待する感じのソリッドな演奏が続いて,そうそう,こういうのが聞きたかったって欲望を満たしてくれるものだったと思う。昔はMichael LandauはSteve Lukatherのクローンのようなプレイぶりも示していたが,今や完全に違うスタイルのギタリストになったというのを実感できたのも嬉しい。Steve LukatherはあくまでもSteve Lukatherとしてのプレイぶりに対し,Michael Landauは以前のソリッド感からは変化したのはJames TaylorやらSteve Gaddのバンドでのプレイが多かったこともあったかもしれないが,確実に個性の違いが出ていたと思えた。

ステージでは懐かしやMichael Landauの初リーダー作"Tales from the Bulge"から"I'm Buzzed"をやったり,Miles Davisの"Tutu"やらJeff Beckの"The Pump"をやったりと,私のような高齢者には嬉しくなるような曲もプレイし,まぁセッション向きだよなと思えるものの,演奏自体は実に満足度が高いライブだった。

今回の主役はギタリスト2人であることは間違いない事実だが,ちゃんとバンド・メンバーにもソロ・スペースを与えていたのは大いに結構であるが,Tim Lefebvreはバッキングは間違いないが,ソロは...の部分があったし,それが中だるみ感を生んだのは否定しない。しかしJeff Babkoはバックアップに徹する感じながら,ソロは結構いけていたし,Keith Carlockのドラムスは相変わらずの歌心を感じさせるもので,やっぱ凄いわと思っていたのであった。

今回のライブは確実にロックが底流にあるもので,そのサウンドに身を委ねていればOKみたいなところがあったが,前日のBlue Note東京でのLee Riternourご一行への不満は払拭してもらえたと思っている。あ~楽しかった,と思えるライブであった。

しかし,甚だ余談だが,Steve Lukatherが玉置浩二みたいなブロンド系白髪(?)になっていたり,Michael Landauがスキンヘッドになっているのは驚いた。私が前日にライブの開演前に一杯やっていたBlue Noteのバーに彼らが入ってきても気づかない訳だ。

Live at Billboard Live東京 on January 15, 2026,2ndセット

Personnel: Steve Lukather(g,(g, vo), Michael Landau(g, vo), Jeff Babko(key, vo), Tim Lafabvre(b), Keith Carlock(ds)

2026年1月16日 (金)

Gentle Thoughts Reunion@Blue Note東京参戦記。はっきり言って最悪のPAであった。

Gentle-thoughts-at-bnt 今年最初のライブに参戦すべく,Blue Note東京に出掛けてきた。

Lee Ritenourほかによる"Gentle Thoughts"は懐かしいアルバムだ。ダイレクト・カッティングによる音のよさを売りにしていたが,私にとっては"Captain Fingers"で聞かれた超絶ユニゾンに興奮させられたのももはや50年近く前のことである。そんな彼らが,Lee Ritenour,Patrice Rushen,そしてHarvey Masonというオリジナルのメンバー3人を揃えてリユニオンするということで,懐かしさもあってBlue Note東京に向かったのであった。今回は4日間の公演だが,全セットがフルハウスという人気ぶり。同じように懐かしむ人々が多いってことか。

本来リユニオンと言うのであれば,ホーンのErnie Watts,亡くなったベースのAnthony Jackson,そしてパーカッションのSteve Formanが揃ってこそではあるのだが,Ernie WattsとSteve Formanは最近の消息が伝わっていないので,仕方がないところか。そしてベースはAnthony Jacksonに代わって,昨今Lee Retenourとの共演が多いMelvin Davisなのは妥当なチョイスってところだろう。

Lee Ritenourにしろ,Patrice Rushenにしろ,Harvey Masonにしろ各々が自分のバンドで来日してしまうメンツだけに,ギャラが高くなるのも仕方ないが,昨今のブルーノートのチャージは高騰している上に,アリーナは¥2,200の追加料金が必要というのは困ったものだ。しかし,懐かしさに負けた私は速攻で予約し,ステージ前ほぼかぶりつきの参戦となった。

それはいいのだが,演奏が始まって,私は異常なLee Ritenourのギターの音量に驚かされた。ギターの音で身体に振動が伝わるぐらいのレベルで,ハードロックか?と言いたくなってしまった。今までBlue Note東京でLee Ritenourのライブは何度か 見ているが,これほどまでギターの音量が上がっていた経験はない。音割れしているとさえ感じるようでは,繊細なニュアンスなんて伝わらないと一瞬にして思った私である。ベースとドラムスはある程度聞き取れるものの,Patrice Rushenのピアノ,キーボードが極めて聞き取りづらいレベルであり,バランスの悪さに最初から辟易としてしまった。中盤以降は多少はましになったとはいえ,それでも全編を通じてギターのボリュームが過剰であったことは否めない。

音の悪さに加え,Gentle Thoughtsのリユニオンと言うならば,往時のレパートリーをやって然るべきだと思うが,ほとんどLee Ritenourのアルバムからの選曲であり,例外は最後に演奏した"Captain Fingers"だけってのはどうなのよ?と思っていた私である。もちろん,上述の通り,アルバムに収められた"Captain Fingers"に興奮した人間にとっては,嬉しい選曲ではあったものの,今回の演奏が全くいけていなかったことはLee Ritenour本人も自覚していたはずだ。とにかく指が動いていないし,キメこそが重要なユニゾンも乱れるようでは何をかいわんやだ。大変な難曲であることは承知していても,Lee Ritenourというギタリストは演奏を完璧にこなすことが当然と思っていただけに,今回の体たらくは長年のファンである私にとっても衝撃であった。ごまかしっぷりが許せないと思ったのは私だけか?

Patrice RushenもHarvey Masonは真っ当にプレイしていたし,Melvin Davisは7弦ベースを中心に安定したバックアップぶりであっただけに,Lee Ritenourのギターの音が私にとっては大いに不満であった。演奏の質はさておき,音が耐えられないレベルであり,こんな演奏にスタンディング・オベーションを送る気には一切なれなかったと言っておく。Blue Note東京ではPAに泣かされることは何度かあったが,Lee Ritenourだけに今回の失望感は大きい。新年最初のライブがこれとは縁起が悪い(きっぱり)。

Live at Blue Note東京 on January 14, 2026,2ndセット

Personnel: Lee Ritenour(g), Patrice Rushen(key), Harvey Mason(ds), Melvin Davis(b)

2026年1月15日 (木)

懐かしや,Dire Straitsのベスト盤。

_20251229_0001 "Money for Nothing" Dire Straits(Warner Brothers)

このベスト盤がリリースされたのが1988年。既に40年近く経過しているが,何とも懐かしい感じがする。私がこのベスト盤を購入したのはNYC在住時だったように記憶するが,当時MTVが流行っていて,このアルバムのタイトルともなったMark KnopflerとStingが共作した"Money for Nothing"もリリースから暫く経った90年代初頭においてもMTVでもしょっちゅう見たように思う。

私が彼らの1stアルバムについてこのブログで記事化した時も,英国から彼らのようなバンドが出てきたことへの驚きを記した。そうした思いは改めてこのベスト盤を聞いても変わらないが,パンク・ロックにどうしても馴染めなかった私にとっては一種突然変異のように現れたDire Straitsは,私にとって全く違和感のない音楽で嬉しくなったのであった。

私は彼らのアルバムは1stとライブ盤"On the Night",そしてこのベスト盤の3枚しか保有していないが,イメージとしてはやはり1stの印象が強く,このアルバムに収められたシングル・オンリーだったはずの"Twisting by the Pool"のような正調ロックンロールのような曲はどうもなぁって感じがしてしまう。まぁそれでも彼らのレパートリーから満遍なく曲を収録していて,私はライブ盤なしでも,1stとこのベスト盤だけで十分と感じている,まぁその程度のリスナーである。

Dire Straitsも活動を完全に停止してから30年以上経っているし,Mark Knopflerも再結成には全く関心がないようだから,今後の復活の可能性は薄い。よって,往時の彼らの音楽を楽しむしかない訳だが,その場合,このベスト盤が一番コンパクトでいいと思っている。現代のリスナーが彼らの音楽に一体どのように反応するのか興味深いところではあるが,微妙だろうなぁ(笑)。

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2026年1月14日 (水)

年末年始に見た映画(6):「ジョン・ウィック」シリーズの1作目は初めて見たような...。

John-wick-movie 「ジョン・ウィック("John Wick")」(’14,米,Summit)

監督:Chad Stahelski

出演:Keanu Reeves, Michael Nyqvist, Alfie Allen, William Dafoe, Ian McShane, Lance Reddick

白黒映画ばかり見ていても,ってところでちょいと趣向を変えて見たもの。この映画,見たことがあるような,ないようなって感じなのだが,まだ海外出張が多かった頃に機内エンタテインメントで見ようとしたことがあるかもしれない。確かに冒頭の20~30分には既視感があったが,その後はそうでもないので途中でやめたと思われる。それを気まぐれで改めて見たもの。

このシリーズ,4本撮られていて,スピンオフの「バレリーナ」を入れれば5本あるが,私は3本目と「バレリーナ」は飛行機の機内エンタテインメントで見ている。そのどちらについても,ノンストップ・アクションだ,一体映画で何人死んでいるんだとか書いた記憶があるが,この第1作からして全く同じトーンである。

監督のChad Stahelskiはスタント出身らしく,そういうシーン満載であるが,私みたいな年齢層の人間にとっては,ここまでやる必要あるのかねぇって感じで,もはや映画にも出てくるシューティング・ゲームのノリのようにさえ感じる部分がある。まぁこういう映画にいちいち文句をつける方が野暮って気もするし,時間潰しにはいいと思えるが,私にとってはそれ以上でもそれ以下でもないってところ。

この映画は100分程度の尺だからいいが,第4作は170分近い長尺となっていて,そこまでの尺では疲れること必定なので,見たいと絶対思わないし,この程度だってお腹いっぱいなんであった。星★★★。

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2026年1月13日 (火)

滅多に聞かない渡辺香津美とミッキー吉野のセッション・アルバム。タイトル・トラック前半はカッコいいんだけどねぇ...。

_20251226_0001 "Kaleidoscope" 渡辺香津美/ミッキー吉野(Denon)

ストリーミングでランダム・プレイをしていたら,このアルバムのタイトル・トラックがプレイバックされて,おぉっ,出だしがカッコいいねぇということで,そう言えばこのアルバムも保有していたことを思い出し,久しぶりにCDをトレイに乗せたのであった。

このアルバム,保有はしていることはちゃんと記憶はしていても,プレイバックされることはほとんどない。なんでなんだろうということを今回聞き直して感じたことを書いておこう。それにしても多数のミュージシャンが集まったものだと思う。土屋昌己やら,ジョージ紫,更にはゴダイゴの面々まで集結しているのだから,何をかいわんやってところだ。しかし,結局のところはセッション・アルバムなので,多くを望んではいけないということはわかる。しかし,LPで言えばA面に収められた3曲,即ち"Maiden Voyage","World Is a Ghetto",更には"As"というありがちな選曲がよくなかったとしか言えない。演奏には大きな破綻はないが,まぁこんな感じだよねぇとしか思えないのだ。加えて私には酒井俊の声がどうもフィットしないところも痛い。

一方,LPならB面に収められたタイトル・トラックは冒頭のイントロから,ベースとキーボードのユニゾンにドラムスが加わってきた瞬間からのカッコよさが半端ではない。まぁ曲はBrand Xみたいだと言ってしまえばその通りなのだが,フュージョンを更にヘヴィにしたような感覚が私への訴求力が高かった。そして大きな違いはこのトラックだけインストだったということだろう。私からすれば,このセッションにはヴォーカルは必要なかったと思えるのだ。音楽的な嗜好の違いもあるとは思えるが,とにかくここでの渡辺香津美のギター・ソロには悶絶必至であり,こっちの演奏の方が私には楽しめた。

結局このアルバムのプレイバックの機会が少なかったのはCDだと前半3曲すら聞き通せず,タイトル・トラックに到達しなかったということではなかったかと感じた次第。まぁこの曲とて,3部構成みたいにになっていて,前半と中盤以降では興奮度に違いがあって,私は前半の方が圧倒的に好きだが,いずれにしても私にとってはタイトル・トラックが一番よかったと感じたのであった。まぁミュージシャンの実力はよくわかるのだが,アルバム全体で見れば星★★★ってところだろう。これを聞くならKylynを聞く方がはるかにましだ。

加えて本作の吉村浩二のライナーのしょうもなさ,中身のなさには閉口したということを付け加えておく。

Recorded on February 26, 1978

Personnel: 渡辺香津美(g),ミッキー吉野(p, synth),竹田和夫(g),土屋昌己(g),井上憲一(g),ジョージ紫(org),ジョン山崎(el-p, key),松本博(p, el-p),岡沢茂(b),スティーブ・フォックス(b, vo),村上 ’ポンタ’ 秀一(ds),トミー・スナイダー(ds, vo),横山達治(perc),向井滋春(tb),土岐英史(as, ss),植松隆夫(ts),酒井俊(vo),カルメン・マキ(vo)

本作へのリンクはこちら

2026年1月12日 (月)

年末年始に見た映画(5):英国製フィルムノワール「どろ沼」。このタイトルは...って感じだが。

The-long-memory 「どろ沼 ("The Long Memory")」(’53,英)

監督:Robert Hamer

出演:John Mills, John McCallum, Elizabeth Sellars, Eve Burgh, Geoffrey Keen

端的に言えば無実の罪で投獄されていたJohn Mills演じるPhillip Davidsonが、釈放を機に自分を陥れた人々を探し出して,報復しようとするのだが...って映画。当時のタワー・ブリッジ界隈の風景も出てくるが,こんなところがロンドン近郊にあるのかと思わせるような荒涼とした風景も見られるところに時代を感じさせる。

本来のヒロインであるはずのElizabeth Sellarsがファム・ファタールで,脇であるはずのEve Burghが善人という位置づけも面白いが,本作でははめられた男を演じるJohn Millsの笑わない演技が一番というところ。また,前半では嫌な感じの刑事役を演じるJohn McCallumがどんどん真っ当な正義漢に転じていくのは不思議な感じもするが,なかなか面白い映画であった。

この映画,おそらく日本未公開だったと思われるが,私としては拾いものって感じであった。古い映画なので,一部画面が暗い部分があるが,見る分にはそれほど問題はない。こんな映画があるんだねぇってことも含めて半星オマケで星★★★★。

因みに「どろ沼」ってタイトルはストーリーとは関係なく,この映画のロケーションが行われた場所がどろ沼みたいな場所だったってこと。誰が付けたのこのタイトル?ってところか。単体でのDVDはないはずで,廉価盤のDVDボックスの一部でリリースされていると思われるが,まぁこれはストリーミングで見られれば十分って感じか。

本作のストリーミングへのリンクはこちら

2026年1月11日 (日)

Live under the Skyでの演奏を思い出させる"Procession"。

Procession"Procession" Weather Report(Columbia)

実は私はこのアルバムを購入したことはないのだが,ストリーミングで何度も聞いていて,ここに収められた演奏は結構好きだ。その理由は私がWeather Reportのライブを唯一目撃した1983年のLive under the Skyの演奏を髣髴とさせるからだが,そのライブ演奏を収めたブートを記事にした時も"Procession"はよく出来たアルバムだと書いている。

一般的にはジャコパスとPeter Erskineが抜けて,Victor BaileyとOmar Hakimに代わったことを評価しない人が多いようだが,私は上記のライブにおけるこのリズム隊のタイトなリズムに痺れた記憶が鮮明なので,このアルバムも評価したくなってしまう訳だ。その時のライブもこのアルバムからの曲が非常に多く演奏されたから印象が強いのも当然なのだ。

正直言ってしまうと,ライブでの演奏は本作に収められた演奏よりも更にダイナミズムに溢れたものだったと思うが,それでもここでの演奏は決して悪くない。私がこのメンツの公式アルバムで保有しているのは"Domino Theory"だけ(それが見つからないのだが,どこかにあるだろう)だが,私としては本作の方が出来は良いと思う。

このアルバムについてはマントラことManhattan Transferの"Where the Moon Goes"への参加が話題になったのも懐かしいが,フィーチャーと言うほど彼らの個性が発揮されている感じではなく,あくまでもサウンドの一部としての機能と考える方がいいように思う。まぁいずれにしても,私としてはライブを想起させるアルバムとしての懐かしさもあるので,星★★★★。逆にライブでやっていないラスト2曲である"The Well"と"Molasses Run"の印象が薄いのはいかにライブがよかったかの裏返しだと思う。

Personnel: Joe Zawinul(key), Wayne Shorter(ts, ss), Victor Bailey(b), Omar Hakim(ds, g, vo), José Rossy(perc), Mahattan Transfrer(vo)

本作へのリンクはこちら

2026年1月10日 (土)

年末年始に見た映画(4):小品ながら面白い「脅迫者」。

The-enforcer 「脅迫者 ("The Enforcer")」(’51,米,United States Pictures/Warner Brothers)

監督:Britaigne Windust

出演:Humphrey Bogart, Zero Mostel, Ted de Corsia, Everett Sloane, Roy Roberts

なかなか複雑なシナリオを持ったフィルム・ノワール。地方検事補を演じるボギーがカッコいいねぇ。Hamphrey Bogart が犯罪の黒幕を告発するための証言者が前半で死んでしまうのだが,複雑なシナリオとはそこからの重層的な回想シーンを交えたストーリー展開で,結末までのサスペンスが継続するところがなかなかよく出来ている。まぁそうしたサスペンスもありがちではあるが,それでもいいのである。

監督のBritaigne Windustは舞台出身の人のようだが,この映画の撮影中病気になって,クレジットはされていないが,実際のところRaoul Walshがかなりの部分を撮ったということらしい。そうしたアクシデントはありながら,派手さはない小品ではあるがしっかり撮られていた。Hamphrey Bogartのキャリアの中では決してメジャーな作品ではないが,もはや大スターであった1950年代になってもこういう映画にも出ていたというのが,作品を選ぶ審美眼が見て取れて,改めて感心してしまった。

ストーリーやキャラクター設定には突っ込みどころもあるが,私は評価したいと思えた佳品であった。星★★★★。

本作のDVDへのリンクはこちら。ストリーミングへのリンクはこちら

2026年1月 9日 (金)

Bill Evansの生前のリリース作はあまり取り上げていない中で,今日は"Alone"。

_20251227_0001 "Alone" Bill Evans(Verve)

主題の通り,長年ブログを運営していても,Bill Evansの生前にリリースされたアルバムを当ブログで紹介したのは少数だ。おそらくは"You Must Believe in Spring","Affinity",そして"Undercurrent"ぐらいのものだろう。それは今更私が往年のアルバムに言説を弄する必要もなかろうという思いもあったからで,このブログでは発掘音源の紹介が中心だった。

そんな私でも,記事化でもしないと,Bill Evansのアルバムをちゃんと聞き直す機会はそんなにないのではないかとも考え,今回取り上げるのがBill Evansにとっての初のソロ・アルバムとなったこの"Alone"である。なんでRiversideとかのアルバムではないのかと言われれば,そこが私の天邪鬼たるところだ(笑)。

私が保有しているのはオリジナルに未発表テイク等7曲を加えた拡大版(ストリーミングでもこのヴァージョンが聞ける)であるが,そうしたテイクの意義は認めつつも,聞き通すにはオリジナルの5曲ぐらいが丁度よいという気もする。このアルバムを改めて聞いて,ソロでも紛うことなきBill Evansのタッチが聞かれ,Bill EvansはどうやってもBill Evansであったという当たり前の話しかできなくなる。

このアルバムではJoe Zawinulの"Mignight Mood"やミュージカル「晴れた日に永遠が見える」から,その主題曲"On a Clear Day (You Can See Forever)"等もやっているが,ここでのレパートリーはBill Evansとしてはほぼ本作以外では聞けない曲らしいという希少性もある。"Midnight Mood"なんて,後のWeather Reportの曲と同じ作者なのか?と思わせるような曲だ。しかし,私としては"A Time for Love"とか"Never Let Me Go"のような選曲により痺れてしまうというのが正直なところだが,いずれにしても改めてBill Evansのよさを感じるに十分なアルバムであった。星★★★★☆。

また別の機会にBill Evansのアルバムを聞いて温故知新と行きますかね。

Recorded in September and October, 1968

Personnel: Bill Evans(p)

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2026年1月 8日 (木)

年末年始に見た映画(3):「その女を殺せ」は短いながらもよく出来た映画であった。

The-narrow-margin 「その女を殺せ ("The Narrow Margin")」('52,米,RKO)

監督:Richard Fleischer

出演:Charles McGraw, Marie Windsor, Jacqueline White, Paul Maxey, David Clarke, Peter Brocco, Peter Virgo

70分そこそこという尺からして,二本立てのメインではない方のBピクチャーとして製作されたと思われる映画だが,これが実に面白かった。あまりの出来の悪さに辟易としたNetflixの「第10号客室の女」の後に見たのが本作だったのだが,いい口直しになった(笑)。

マフィアに関する重要な情報を握る,殺されたボスの夫人を列車で護送する刑事と,夫人をつけ狙う組織が,シカゴ発LA行きの列車内でバトル(と言っても派手ではない)を繰り広げるストーリー。途中にいろいろな仕掛けとある意味でのどんでん返しがあって,かつテンポよく話が進んでいき,私は大いに楽しんでしまった。

後に「ミクロの決死圏」や「トラ・トラ・トラ」も撮る職人監督Richard Fleischerの佳作として記憶されるべき映画で,この面白さ故,後にGene Hackman主演で「カナディアン・エクスプレス」としてリメイクされることになるのも納得。こういう短い尺で小気味よく話が進む映画は本当に見ていて楽しいと思ってしまった。低予算でも面白い映画は作れるという証左。星★★★★。この映画は当時未公開だったらしいが,こうしてストリーミングで見られるってのも時代のおかげだ。

主演のCharles McGrawという人は,この映画ではタフガイぶりが印象的だが私の記憶にはなかった。しかし,調べてみると「鳥」とかにも出てるんだねぇ。今度チェックしてみよう。

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2026年1月 7日 (水)

久しぶりに聞いた"Jack Wilson Quartet Featuring Roy Ayers"。

Jack-wilson-quartet_20251226161901"Jack Wilson Quartet Featuring Roy Ayers" (Atlantic)

このアルバムをアナログでどうして買ったのかは記憶が定かではないが,多分,村上春樹がJack Wilsonのファンだと知って,どういう音楽なのかと興味があってのことだと思う。まぁJack WilsonについてはBlue Noteの"Easterly Winds"の方が圧倒的に知られていると思うし,私も随分前に記事にしているが,あちらがいかにもBlue Noteらしいサウンドだったのに比べると,このJack Wilsonの初リーダー作は随分趣が違うってところか。本作はピアノ・トリオにRoy Ayersのヴァイブを加えたクァルテット編成なので,サウンドに違いはあって当たり前だが。ジャズ・ファンクの世界で知られるRoy Ayersの初期の演奏というのも興味深いところではあるが,それだけでこのアルバムを買ったとは思えない。

それはさておきである。久しぶりにこのアルバムを聞いたのだが,実にわかりやすいというか,軽快なアルバムである。大した回数を聞いた訳ではないから,記憶にないのも当然と言えば当然なのだが,初リーダー作の気負いのようなものが全く感じられないというところで,なかなか楽しめるアルバムであった。特に面白いのがB面2曲目(ラストに収められた"Nirvana & Dana"。軽快なワルツからバラッド,更には対位法的展開に転じる一種の組曲的な作りだが,この変化で多様性を表現したってところかもしれない。

いずれにして,滅多に聞かないアルバムとなっているが,たまにはこういう気楽に聞けるのも取り出さないといかんと改めて反省。そうした反省も込めて星★★★★としよう。

Recorded on February  6, 1963

Personnel: Jack Wilson(p), Roy Ayers(vib), Al McKibbon(b), Nick Martinis(ds)

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2026年1月 6日 (火)

年末年始に見た映画(2):「第10客室の女」。こりゃあかん...。

「第10客室の女 The-woman-in-cabin-10 ("The Woman in Cabin 10")」(’25,英/米,Netflix)

監督:Simon Stone

出演:Keira Knightley, Guy Pearce, David Ajala, Gitte Witt, Art Malik

白黒映画ばかり見ていて,最近の作品を見ていないなぁということで,気まぐれでNetflixで見たのがこの映画だったのだが,これが完全に失敗。

まぁ大体そういうことだろうという先が読める話に,全然盛り上がらないサスペンス,終盤に向かっての無理な展開とご都合主義のシナリオと,これはいかん...という感想しか出てこない駄作であった。90分程度という尺ですら時間の経過が長く感じるところからして,ダメな映画の典型。尺を短くしたがゆえに出てくる人物像も不明確なままというのは仕方ない部分があるとは言え,やはりこのシナリオでは厳しい。

人間心理も描き切れていない部分も大いに不満で星★★で十分。まぁこれも勉強だ(爆)。もっと審美眼を磨かねば。往年の白黒映画の方がずっとおもろいわ!

2026年1月 5日 (月)

今年最初の新譜はEnrico Pieranunzi。あの"Live in Paris"と同じメンツで悪いはずなし。

Enrico-pieranunzi-a-sunday-in-paris "A Sunday in Paris: Live at the Sunside" Enrico Pieranunzi(Bonsaï

ストリーミングで音楽を聞いていたら,このアルバムの情報に遭遇。よくよく見れば,私が愛してやまない"Live in Paris"と同じメンツではないか。その割に記事にしていないが,Pieranunzi来日時にサインをもらっているぐらい好きなのだ。場所は"Live in Paris"がLe Duc Des Lombardsでの実況だったのに対し,今回はその近所にあるSunsideでのレコーディングである。

詳しいデータは不明だが,リリース元のBonsaï Musicのインスタには"a live recording from many years ago"と書いてあり,最新のレコーディングでないことは間違いない。更に調べてみると,YouTubeに上がっていた情報によれば,どうも2006年の音源らしいが,Hein Van de GeynとAndré Ceccarelliを擁するトリオによる演奏が悪いはずがないという確信をもって聞いたら,これが最高であった。

Pieranunziのオリジナルにスタンダードやジャズマン・オリジナルを加えた演奏は,決して美的なだけに留まらないハード・ドライビングなところもあって,このトリオの演奏の質の高さと相性の良さを示している。ちょっと"Nefertiti"の演奏は固いかなぁって気がしないでもないが,問題にするほどのものではない。ここでの演奏は"Plays the Music of Wayne Shorter"に似た感じで,まぁこの曲はオリジナルのMiles Davisの演奏がアドリブなしで演じられたものだったから,そのイメージが残っていると受け入れが難しいというところもあるからねぇ...。"'Round Midnight"をやや早めのテンポでハード目にやるのも珍しいが,この辺りも好き嫌いはわかれるかもしれない。

その辺りの評価にもよるかもしれないが,私個人としては本作が媒体が出たら購入確実だ。Enrico Pieranunziファンも納得のライブ・アルバムであることは間違いないと言ってしまおう。今のところ,媒体リリースの情報が見つかっていないので,まずはストリーミングで楽しんでおくとして,Enrico Pieranunziのアルバムとしては"Hindsight: Live at La Seine Musicale"以来久々の新作聞きとなったが,やっぱりいいねぇ。新年早々縁起がいいわいってことで星★★★★☆。

Personnel: Enrico Pieranunzi(p), Hein Van de Geyn(b), André Ceccarelli(ds)

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2026年1月 4日 (日)

年末年始に見た映画(1):「バルカン超特急」。

Lady-vanishes「バルカン超特急("The Lady Vanishes")」(’38,英)

監督:Alfred Hitchcock

出演:Margaret Lockwood, Michael Redgrave, Paul Lucas, Dame May Whitty, Naunton Wayne, Basil Radford

年末年始はのんびりストリーミング三昧ということで,まず休暇の一本目に見たのがAlfred Hitchcock英国時代の「バルカン超特急」。私はこの映画を見た気になっていたが,ものの本で得た知識だけで見た気になっていたのではないかと思えてしまった。しかし,かつて見たことがあったとしても新鮮な気持ちで見られた。

列車というクローズドな環境の中で,老齢の女性が忽然と姿を消すというストーリーは,後にリメイクもされれば,ほかの映画のモチーフにも使われることとなった映画。シナリオは「絶壁の彼方に」でも実際に存在しない国を舞台として描いたSidney Giliat。更にGiliatが脚本を書いた「ミュンヘンへの夜行列車」で再登場させるクリケット好きのコンビであるBasil RadfordとNaunton Wayneがここでも狂言回し的な役割を演じるなど,複数の映画の共通項が感じられるが,この映画がその端緒となったものと想像する。

ややコメディ・タッチも交えながら,サスペンスを高めるところはちゃんと高めるのがAlfred Hitchcokらしいセンスだと思わせるが,CDなんてない時代だから,結構ミニチュアを多用していて,かなり作り込んであるところが凄いなぁなんて感心していた私であった。ちょっとストーリーに無理がある部分はあるものの,これは相当よく出来た映画で,この映画のヒットがHitchcock米国進出の足掛かりになったそうだから,なるほどなぁと思っていた。星★★★★。

Margaret-lockwood この映画で主役を演じたMargaret Lockwoodは正統派の美人だとは思うのだが,ネットで検索される彼女のポートレートを見ていると結構きついイメージのものが多いように感じる。しかし,この映画の特に後半で感じさせるキュートさも示したと感じさせる写真を貼り付けておこう。笑うと可愛いんだけどねぇ。きりっとした写真が多くてチョイスに困った私であった。

Margaret-lockwood_imdbしかし,この映画でHitchcockが撮ったMargaret Lockwoodの方が更にいいとも感じられるので,この映画のワンシーンからのイメージも一枚貼り付けてしまおう。

本作のDVDへのリンクはこちら。ストリーミングへのリンクはこちら

2026年1月 3日 (土)

"Young Django":こういうのは聞いていて楽しいねぇ。

Young-django "Young Django" Stéphane Grappelli (MPS)

このブログで本作と同じコンセプトで吹き込まれたライブ盤,"Live 1992"を取り上げたことがあるが,その源流となったのが本作であることはその記事にも書いた。ギタリスト2人を迎えたクァルテットで,Django ReinhardtとStéphane Grappelliの共作オリジナルを中心に,Philip CatherineとLarry Coryellのオリジナルがそれぞれ1曲ずつ加わるという構成。

私が保有しているのは廉価盤なので,オリジナルがリリースされたタイミングで購入した訳ではないが,このアルバムは結構好きだったなぁと今でも思う。私が購入した理由はLarry Coryellに惹かれたものと思うが,実にLarry Coryellらしくない(笑)演奏っぷりであり,全くCoryellのイメージと異なるのだが,出てくるのはやはり当時使っていたOvationの音だなぁと思わせるのも懐かしい。

だが,このアルバムを私が好むのは,何ともゆったりした気分にしてくれることが一番の理由だと言ってもよい。だからこそ新年のまったりした気分にはぴったりくるのだ。ゴリゴリのジャズとは真逆の世界と言ってもよい。こういう演奏を聞いていると,心が豊かになるなんてことは若い頃は強くは感じていなかったが,年齢を重ねると,こういう演奏のよさがより身に染みてくるのだ。それでも結構若い頃からこういうのも好んでいた私は相当年寄りくさかったってことになるかもしれんが(爆)。

ただ,このアルバムにも若干の瑕疵があるとすれば,Philip CatherineとLarry Coryellのオリジナルのフィット感がイマイチなことだ。Coryellの書いた"Blues for Django and Stephane"では賑々しいブルーズで,Stéphane Grappelliの達者なピアノが聞けるというオマケもあるからまだいいようなものの,Philip Catherineの書いた"Gallerie St. Hubert"は全然面白くない。これはリーダーとしてのStéphane Grappelliがギタリスト2人に華を持たせた結果ということだと思うが,DjangoとGrappelliのオリジナルの領域には全然達していないと思わせるのは惜しい。ということで好きなアルバムだが,星★★★★ってところだろうな。

Recorded on January 19-21, 1979

Personnel: Stéphane Grappelli(vln, p), Phiip Catherine(g), Larry Coryell(g), Niels-Henning Ørsted Pedersen(b)

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2026年1月 2日 (金)

新年最初の音楽は気楽に聞けるCharlie Byrdのライブ盤。

_20251225_0001 "Brazilville: Recorded Live at Charlie's" Charlie Byrd Trio with Bud Shank(Concord Picante)

新年早々に聞くには何がいいかなぁなんて思いつつ取り出したのがこのライブ盤。ブラジルに根差した音楽,あるいはスタンダードをブラジル・フレイヴァーでCharlie ByrdのトリオとBud Shankが軽快に演じるアルバムとなっていて,気楽に聞くにはなかなかいいアルバムであった。このアルバムも久しく聞いていなかったが,Charlie Byrdのギターもいいが,Bud Shankのソフトな響きのフィット感が魅力的であった。あまり心地よいので,何回もリピートしてしまった私である。

本作がレコーディングされたCharlie'sというのはワシントンD.C.はジョージタウンにあったクラブらしいが,Charlie Byrdはこの店で頻繁にプレイするだけでなく,一時期この店のオーナーでもあったとのことだから,まさにホームグラウンドと言ってもよいヴェニューだったと思われる。ここで感じられるリラクゼーションというのはそうした環境によるところも大きいと思えるが,くつりぎを感じさせる一方,適度なスイング感は正月休みにぴったりであった。選曲もいいし,明らかに評価を見直したアルバム。星★★★★。

Brasilville 尚,上のジャケはCDのものであるが,このアルバムのオリジナルのLPのジャケットは全然違うもので,何で変更したのかはよくわからんなぁ。まぁ,どっちでもいいんだけど(笑)。

Recorded Live at Charlie's in May, 1981

Personnel: Charlie Byrd(g), Bud Shank(as), Joe Byrd(b), Charles Redd(ds)

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2026年1月 1日 (木)

あけましておめでとうございます。

Flower-mountain-field

皆さん,あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

このブログもいよいよ20年目に突入となりました。よく続けてきたものだという思いもあれば,ほぼ毎日更新することで,いろいろなことへの興味を抱き続けられるのだと思えば,丁度よいボケ防止だと感じる年齢となりました。もはや中年ではないと思いつつ,リブランディングするほどでもないよなぁと思いつつ,65歳になる今年はやはりブログの名前を変えることを考えようと思っています。と言っても忘れられない程度のマイナー・チェンジにしないとなぁなんて姑息なことも考えています。

ともあれ,本年も当ブログをよろしくお願いします。

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