2026年10月
日 月 火 水 木 金 土
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
フォト
無料ブログはココログ

お知らせ

  • 当ブログはAmazonのアソシエイトとして、適格販売により収入を得ています。

« 2025年11月 | トップページ | 2026年1月 »

2025年12月31日 (水)

皆さん,よいお年をお迎え下さい。

Fireworks-2025

今年も大晦日となった。去年も同じようなことを書いているが,今年もあまりにも秋が短い年だったという印象が強い。一方冬になっても,小春日和が続いたりしてやはり変だ。世の中では「四季」ではなく,もはや「二季」じゃないかとも言われるが,この季節感の減少は異常だ。それが一向に冬眠せず,人里に出没する熊にも伝播したとすら思えたが,季節感あってこその風情というものもあるし,それが失われては日本の良さも失われるのではないかと思えた。

今年は,私としては5年8か月振りの海外出張もあったが,久々ということもあり,あれほど旅慣れていると自負していた自分の嘘のような体たらくぶりにショックを受けるとともに,年初から神経痛に苦しむという一年を過ごした。歳は取りたくないと思いつつ,自分の衰えを痛感したのであった。

来年はもう少し真っ当な季節感をおぼえ,より健康に過ごしたいと思いつつ,今年も当ブログにお越し頂きありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

それでは皆さんよいお年をお迎え下さい。

2025年12月30日 (火)

年末年始休みにクロゼットに埋もれた本を読む。

Photo_20251224181801 「鍵の掛かった男」有栖川有栖(幻冬舎文庫)

買ったきり,クロゼットの肥やしと化している本なんていくらでもあるのだが,今回の休みは特にやることもないので,こうした本を救出(笑)するかってことで取り出したのがこの本。

お馴染み火村英生と有栖川有栖(アリス)のコンビが活躍するシリーズなのだが,この本が結構長い。あとがきまで含めると700ページ越えという長編であったが,そこは有栖川有栖,ちゃんと読ませる。これは本格推理というより,地道な情報収集から大団円を迎えるというものなので,いつもの火村シリーズとはちょっと趣を異にし,一種,警察小説的と言ってもいいかもしれない。そして本来の主役たる火村英生が活躍を始めるのは中盤過ぎで,それまではアリスの足を使った情報収集が中心に描かれる。

大阪の中之島が舞台ということもあり,中之島ってそんな感じだったかなぁなんて思いながら読んでいたが,私が関西在住していた頃とは中之島も大きく変貌したことは承知していても,何とも懐かしい地名が出てくると思いながら読み進めたのであった。

ストーリーを語るのは野暮なので控えるが,まぁ少々この筋運びには少々無理があると思わせる部分がない訳ではない。それでもちゃんと読ませるところは有栖川有栖の実力発揮ってところだろう。そして最後は泣かせてくれるしねぇ。

ということで,休みをゆったり過ごすには丁度よい読み物だったと思う。星★★★★。さて,次は何を救出するかねぇ。と言いつつ,新しい本も買っているので,まずはそっちから片付けるべきだろうなぁ。

本書へのリンクはこちら。

2025年12月29日 (月)

2025年の回顧:音楽編(その2::ジャズ)

2025-best_2

今年の回顧も最終回。今回はジャズのアルバム。現物がまだ届いていないものもあるが,ストリーミングも含めて今年を振り返ってみると,最高評価の星★★★★★を付けたものは何枚かあるが,その中でこれは絶対はずせないと思ったのがFred Herschの"The Surrounding Green"であった。聞いた瞬間から本年屈指のアルバムと書いているし,その感覚に変わりはない。

同じピアノ・トリオという編成でも全く違うタイプの音楽を生み出したのがBanksia Trioの"Live"であった。これまでの3作も優れた出来だったが,本作で示されたテンションや演奏能力はもはや世界レベルと確信した私である。

哀愁と抒情という観点ではMathias Eickの"Lullaby"とDino Saluzziの"El Viejo Caminante"がたまらなかった。結局私はこういう音が好きなのだなということを改めて痛感したが,特にDino Saluzziはあやうく聞き逃すところだったのを避けられたという点でも印象が強く残った。

そして毎度のことながらのBrad Mehldau絡みでは,リーダー作の"Ride into the Sun"もよかったのだが,ここではAl Fosterとの"Live at Smoke"を挙げたい。Christian McBride~Marcus Gilmoreとのトリオでも聞かせたオーセンティックな演奏への渇望感がそうさせたと言ってもよいが,だからと言って"Ride into the Sun"の評価が下がる訳ではない。あれはあれでいいアルバムなのだ。

少し変わったところではCraig Taborn~Nels Cline~Marcus Gilmoreの変則トリオによる "Trio of Bloom"を挙げたい。とにかくこの何でもありのようなサウンドには興奮させられた。ジャズもいろいろだねぇと思わせるに十分な刺激的なアルバムであった。

最後に挙げた2作はまだ現物がデリバリーされていないが,ストリーミングでもその魅力は十分伝わるとは言え,さっさとデリバリーされないかと待ちわびる私である。そのほかにもジョンスコ~Dave HollandやらJoe Lovano~Marcin Wasilewski Trioやらも挙げて然るべきであるが,印象の強さを優先した結果のチョイスとなった。

ここには挙げていないが,James Brandon Lewis,Patricia Brennan,そしてKris Davis等,これまでちゃんと聞けていなかった人たちの音楽に触れられたのもよかったと思える2025年であった。

2025年12月28日 (日)

2025年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外)

2025-best_1

今年の回顧も3回目となった。今回はジャズ以外の音楽で気に入ったものをご紹介することにしよう。と言っても,新譜を買うことは少なくなったし,せいぜいストリーミングでチェックするのが関の山という中で,回顧もへったくれもないだろうと言われればその通り。今年聞いた中で最も刺激的だったのは実はThe Cureの"Songs of the Lost World"だったのだが,同作品は昨年のリリースなので,今回は対象外とする。しかし,今年の初頭に聞いた作品ではありながら,記憶に残るというのは大したものだと思っているので,敢えてその名を挙げておく。

では今年聞いた中で,何に一番興奮したかと言えば,録音は10年も前なので反則と言えばその通りのTedeschi Trucks BandがLeon Russellと共演した"Mad Dogs & Englishmen Revisited Live at Lockin’"であった。アメリカン・ロック好きが興奮させられること必至のこのアルバムこそ,私にとってのロックにおけるナンバー1アルバム。

そして嬉しかったのが私の「推し」であるRachael Yamagataの9年ぶりのフル・アルバム"Starlit Alchemy"であった。少々仰々しい曲もあるところは惜しかったのだが,それでもやはりこの人の声は魅力的だと思えた。

また今年の後半では Mavis Staplesが多彩なゲストを迎えた"Sad and Beautiful World"が素晴らしかった。Mavis Staplesの音楽界における立ち位置を示すものとして,このアルバムはやはり高く評価すべきものと思っている。

ミュージック・マガジン誌でも今年のベスト・アルバムが発表されているが,ロックにしろ,ソウルにしろ,その他のジャンルにしろ,私が全然聞いたことのない音楽ばかりが並んでいて,見事なまでに私の関心領域から外れているのがよくわかった。今までだったら,聞いてみるかと思えたものも,食指が動かないというところに自分の加齢を感じたと言ってもよいだろう。来年はもう少し新しい音楽にも関心を示さんといかんなぁと反省しつつ,もう好きなものだけ聞いてりゃいいじゃんと思うのも一方では事実。さて,どうなることやら...。

2025年12月27日 (土)

無茶苦茶面白かった白黒ハード・ボイルド:「復讐は俺に任せろ」。

The-big-heat 「復讐は俺に任せろ("The Big Heat")」(’53,米,Columbia)

監督:Fritz Lang

出演:Glenn Ford, Gloria Grahame, Jocelyn Brando, Lee Marvin, Alexander Scourby, Jeanette Nolan

相も変わらず往年の白黒映画を見ている私だが,これは1953年に撮られた典型的ハードボイルドと言ってよい映画。まぁ原作がウィリアム・P. マッギヴァーンだからハードボイルドになって当たり前だが,私の中では西部劇のイメージが強いGlenn Fordがタフな刑事を演じている。

Gloria-grahame_20251227080101 まぁ善玉と悪玉がはっきりしているのだが,出てくる女優陣も色付けがはっきりしている。ここでヒロインの一人を演じるGloria Grahameは初めて見たように思うが,川本三郎も高く評価する人である。この人,綺麗は綺麗なのだが,少々私の好みからは外れる感じで,本作での途中までの少々おつむの弱そうな演じっぷりも少々影響したところはあるかもしれない。せっかくだから写真も貼り付けておこう。

Glenn Fordの妻を演じるJocelyn BrandoはMarlon Brandoのお姉さんらしいが,この人は清楚系,そして悪玉を演じるJeanette Nolanは結構怖い感じと,ハードボイルドでありながら,なかなか女優の使い方に工夫が感じられるところも感心してしまったのであった。この3人に加えて,この映画では89分という尺の中で,全部で4人の女性が命を落とすというのも,この当時としては相当強烈なストーリーだったと思わざるをえないが。

加えて強い印象を残すのがLee Marvinの悪役っぷり。Gloria Grahameの顔面にコーヒーをぶっかけて火傷を負わせるって結構無茶苦茶だが,その後その因果を受けるというのも強烈な話だ。そうしたストーリーや人物の造形も含めて,やっぱりこれはハードボイルドだと思ってしまった映画。実に面白いと思えた映画。星★★★★☆。

本作のDVDへのリンクはこちら。ストリーミングへのリンクはこちら。

2025年12月26日 (金)

キング・レコードが売りたかったのはAlan Broadbentなのか,Brian Brombergなのか。

_20251224_0001 "'Round Midnight" Alan Broadbent(Paddle Wheel)

Alan Broadbentは自身のアルバムもあれば,Quartet West,あるいは初期にはIrene Kralの歌伴,更にはオーケストレーション等,何でもこなすピアニストであるが,少なくとも日本においてはその存在は地味な方だと言っていいだろう。なので,このコンベンショナルなピアノ・トリオのフォーマットでも,Alan Broadbentの名前だけでは商売は厳しいと考えるのもまぁそれは無理はない。なので,バックにBrian BrombergとJoe LaBarberaを据えるというのは,ビジネス上の判断としてはありだろう。そしてキング・レコードが「低音」でBrian Brombergを売ろうとしていたこともわかっているから,Brian Brombergのソロ・スペースも通常よりも多いように感じる。即ち,聞いていてキング・レコードの商魂が見え隠れするというのが正直なところだ。

そもそも私がこのアルバムを入手したのは中古だったはずだが,Alan Broadbentに関しては上記のような活動を通じて結構評価していたから,まぁ聞いてみてもいいかぐらいが購入の動機だったはずだ。そんなこんなで入手したこのCDもプレイバックするのは超久しぶりだったが,一聴して「商魂」という言葉が私の頭をよぎってしまったのであった。ジャズマン・オリジナルにスタンダード,そしてAlan Broadbentのオリジナルを交えるというプログラムは悪くないし,演奏にしたって結構楽しめるものだと思う。だが,このアルバムをプロデュースしているのがBrian Brombergだからと言って,もう少し出番は控えめでもよくないかと思ってしまったのも事実。リーダーには華を持たせているとは言え,どっちが主役やねん?と感じる部分がなかったとは言えないのだ。

なので,久しぶりに聞いても,演奏自体は悪いとは思わなかったものの,何となく感じが悪いって思ってしまった私であった。星★★★☆。結局は音楽制作に美学や哲学を感じられないところが一番の不満。

Recorded on August 9 & 10, 2004

Personnel: Alan Broadbent(p), Brian Bromberg(b), Joe LaBarbera(ds)

本作へのリンクはこちら。尚,リンク先のジャケは上記のものとは少々異なるので念のため。

2025年12月25日 (木)

2025年の回顧:映画編

2025-movies

今年の回顧の2回目は映画である。今年の劇場通いは15本と大した数ではなかったが,愚作に当たらなかったのはよかった。まぁ,海外出張の折に機内エンタテインメントで観た「裸の銃(ガン)を持つ男 」のような全くしょうもない映画もあるにはあったが,劇場ではないので許す(笑)。

そうした中で,今年の映画界を象徴するのは「国宝」の大ヒットだろうが,私が「国宝」を見た際も傑作と評価した見事な作品だったと思う。私は洋画の興行が低調な中でも邦画はほとんど見ない人間だが,これは見てよかったと思えた。「国宝」以外は全て洋画であったが,その中で私がよかったと思ったのは見た順に「セプテンバー5」,「教皇選挙」そして「アイム・スティル・ヒア」であった。どれもシリアスな映画ではあるが,それぞれに見どころのある映画だったと思う。そのほか,「ブラック・バッグ」,「ブルータリスト」,「リアル・ペイン ~心の旅~」も印象深い。基本的にいい映画に巡り合えたが,そうした中で,「ワン・バトル・アフター・アナザー」に行きそこなったのが悔やまれる。また,劇場ではないが,ストリーミングやBlu-rayで観た「ハウス・オブ・ダイナマイト」や「陪審員2番」も印象深い作品として挙げておきたい。返す返すも「陪審員2番」の劇場公開が見送られたのは残念だと思えたのはきっと私だけではないはずだ。

一方,今年の私の映画体験という意味では,ストリーミングで往年の白黒映画,それもフィルム・ノワールを中心とする映画を見続けた一年だったと思う。ほとんどの映画が初見であったが,映画が数少ない娯楽の一つだった時代のストーリーを楽しみながら,過去の遺産に触れることができたと思っている。まだまだ未見の映画のストリーミングは山ほどあるので,こうした白黒映画再発見という「マイブーム」は当面続きそうだが,いい時代になったものだ。

ということで,来年も劇場ではいい映画は見逃すことなく,ストリーミングでは温故知新を心掛けたいと思う。

2025年12月24日 (水)

ストリーミングで聞いて痺れたPepper Adamsのライブ盤をアナログで入手。

Pepper-adams "Live from the Room at the Top" Pepper Adams (Reel to Real)

本作については全く認識していなかったのだが,Apple Musicでストリーミングをしている際にこのアルバムが表示されたので聞いてみると,Pepper Adamsがワンホーンでブリブリ吹きまくっていて,バリトン・サックス好きの私はついつい反応してしまった。すると,このアルバムのアナログ盤が結構なディスカウント価格で売られていたのを発見したので,すかさずゲットである。元々は2022年のRecord Store Dayで出たものらしく,ナンバリング付きの1,500セット限定で私の入手盤は#51であった。

半世紀以上前のモノラル音源だが,昨今やたらに名前を聞くKevin Grayがマスタリングした音は上々である。Pepper Adamsのバックを務めるのはカナダ―のローカル・ミュージシャンで,ピアノのTommy Banksはミュージシャンであるとともに,カナダの上院議員も務めたことがあるらしい人だが,腕は確か。トリオとしても破綻はなしだ。そうした中で主役たるPepper Adamsはこの人らしいバップ・フィーリング溢れるシャープなフレージングを繰り出し,聞いているこっちは興奮してしまう。

演じられる曲はThad Jones,Sonny RollinsにPepper Adamsのオリジナル2曲を加えた5曲だが,最後の"'Tis"を除けばほとんどが20分近い長尺で演じられ,Pepper Adamsのソロがこれだけ聞けるなんて,バリトン好きにはたまりませんわ。Pepper Adamsからすれば,ごく普通にやっているって感じかもしれないが,こっちからすればよくぞ発掘してくれましたって言いたくなるアルバムであった。甘いの承知で星★★★★☆。

Recorded Live at the University of Alberta, Student Union, Room at the Top on September 25th, 1972

Personnel: Pepper Adams(bs), Tommy Banks(p), Bob Cairns(b), Tom Doran(ds)

本作のCDへのリンクはこちら。

2025年12月23日 (火)

2025年の回顧:ライブ編

Photo_20251220153501

年の瀬も押し迫ってきたので,今年の回顧を始めようと思う。最初は年内の予定が終了したライブからである。今年行ったライブだが,計31本。大体月あたり2.5本ってことになる。昨年も31本だったから全く同じペースであった。

今年はがっくり来るようなライブはほとんどなく,基本的には満足のいく演奏を聞かせてもらったと思うが,その中でも印象に残っているのが,Brad Mehldau~Christian McBride~Marcus Gilmore@紀尾井ホール,Brian Blade & the Fellowship Band@Cotton Club,SFJazz Collective@Blue Note東京,そしてKlaus Mäkelä+パリ管@サントリーホール。一方,参考までにではあるが,一番つまらなかったのがJames Mason@Blue Note東京であることは間違いない(きっぱり)。

Mehldau~McBride~Gilmoreは実力者によるトリオによるオーセンティックなジャズ演奏の醍醐味を感じさせたし,Brian Bladeはゴスペルに根差した音楽性をリアル体験できたことの喜びが大きかった。SFJazz CollectiveはクリポタことChris Potterのリーダーシップもよい上に,メンバーのソロのレベルも上々だった。そしてKlaus Mäkelä+パリ管が聞かせた躍動感は実に素晴らしく,本当にワクワクしてしまったのであった。いろいろな意味で最も楽しんだのはKlaus Mäkelä+パリ管だったかもしれない。ということで,代表するライブとして彼らのコンサートの模様の写真を貼り付けておこう。

そのほかにもCamila Mezaもよかったし,Lars Janssonもよかった。Arooj Aftabは面白かったし,Stingも楽しかった。そして急遽お誘い頂いて参戦した上原ひろみのエンタテインメント性溢れる演奏も忘れられない。ということで,今年も充実したライブ通いだったと思う。来年の一発目はLee RiternourのGentle Thoughtsリユニオンだが,Anthony Jackson追悼も込めた素晴らしい演奏を期待したい。

2025年12月22日 (月)

今年最後の劇場での映画鑑賞は「エディントンへようこそ」。

Eddington 「エディントンへようこそ("Eddington")」(’25,米/英/フィンランド,A24)

監督:Ari Aster

出演:Joaquin Phoenix, Pedro Pascal, Emma Stone, Deirdre O'Connnel, Michael Ward, Luke Grimes, William Belleau, Austin Butler

今年最後の劇場通いで観た映画が本作である。Ari Asterという監督はホラー映画で知られるそうだが,ホラー映画を見ない私にとっては初の人であった。少なくとも本作はホラーではないが,多くの人物像が相当「いかれている」人間として描かれるところが今のアメリカを象徴しているように思える。

舞台はコロナ禍が本格化した2020年のニューメキシコ州の町。マスク着用を拒否する保安官がアクの強さ抜群のJoaquin Phoenixが主人公。段々おかしくなっていく様はまさにJoaquin Phoenixらしい(笑)。対立する市長がPedro Pascalであるが,このPedro PascalとJoaquin Phoenixの部下を演じるMichael Wardが比較的真っ当な人物として描かれる中,それを取り巻くその他のキャスト陣は陰謀論を振りまいたり,カルト的だったりと,ほとんどが怪しい。

コロナ禍と同時にBlack Lives Matterが劇中の背景となって,ストーリーは混沌を極めていくが,ある意味これはブラックな映画である。劇場にはそこそこ観客が入っていたし,高齢者も相当数な中で,この映画がどういう風にとらえられたのかと思ってしまうが,私にはこれはありだと感じた。現在のアメリカがおかしくなっていることの背景を感じさせるのが,この映画に出てくるデフォルメされたキャラクターたちだと思えるからだ。2時間半近くをちゃんと見させる映画にはなっているが,まぁ好き嫌いはわかれるだろうし,半ば高齢者のような私が言うのも変だが,高齢者にはどうかなぁ...というのが正直なところだ。

まぁそれでもA24らしいよなぁというところもあって,私としては星★★★★。劇場通いもこれが最後と思うので,そろそろ今年の回顧をせねば。

2025年12月21日 (日)

年末に届いた豪華メンツによるライブ盤。

_20251217_0001 "First Meeting: Live at Dizzy’s" Gonzalo Rubalcaba / Chris Potter / Eric Harland / Larry Grenadier (5Passion)

リリースされたことをお知り合いのブログで知り,慌てて発注したものの,届いたCDが我が家のCDプレイヤーと相性が悪く,交換を申し入れたものが再度デリバリーされたので,ようやく記事をアップである。

このバンドがDizzy's Clubに出演したことはDownBeatで読んだか,あるいはネット記事で認識はしていたが,メンツを見てへぇ~と思っていた。ベースがDave HollandならMonterey Quartetと同じなので,First Meetingは大袈裟ではないかと思いつつ,Larry Grenadier入りは初ってことだろうからまぁよしとしよう。しかし,そのMonterey Quartetからもう18年(アルバムが出たのは2009年だったから,正確に言えば16年だが)も経過していたとは思わなかった。光陰矢の如しだ。

それはさておき,これだけのメンツが揃えば,Monterey Quartet同様,おかしなことになるはずがない。そしてその当時からすれば,ミュージシャンたちの成熟度は一段上がっている。本作をリリースしたレーベルのオーナーであろうGonzalo Rubalcabaには悪いが,今,旬から一番はずれているのがGonzalo Rubalcaba本人だと言っては言い過ぎか。しかし,ほかの3人の活躍ぶりは目覚ましいものがあるし,それに比べればGonzalo Rubalcabaの活動が一番地味だろうと言われても仕方がないのだ。それほどこのクァルテットを構成するメンバーは強力なのだ。

演奏されるのはメンバー4人の各々によるオリジナルにChick Coreaの"500 Miles High"とDizzy Gillespieの"Con Alma"を加えた全6曲でその全てが13分越えの長尺演奏はライブ・レコーディングならでは。どれもが聞きどころはあると思うが,私の耳はついついクリポタことChris Potterに向いてしまう。ここでもさすがと思わせるフレージングを連発して,私をウハウハさせてくれたのであった。そのほかのメンバーのソロも実力者ならではのものであり,十分に楽しめるものだった。

まぁ少々冗長に流れていると感じさせる部分がない訳ではないが,ここは少々甘めの星★★★★☆としよう。このライブは気になっていただけに,リリースされただけでもよかった。

尚,CDのジャケにはステージの模様の写真があるので貼り付けておく。私はこのDizzy's Clubというヴェニューには行ったことがないが,背面がガラス張りなのはBillboard Live東京的。座席は随分ゆったりしているようだが,私が生きているうちにここを訪れるチャンスはあるのか?(笑)

Recorded Live at Dizzy's Club on August 25-28, 2022

Personnel: Gonzalo Rubalcaba(p), Chris Potter(ts, ss), Larry Grenadier(b), Eric Harland(ds)

現状,本作の現物へのリンクが見当たらないので,ストリーミングへのリンクはこちら。

_20251217_0002

2025年12月20日 (土)

今年最後のライブは森山威男~山下洋輔デュオ@Blue Note東京。

Photo_20251218075201

年内での一旦の活動休止と休養を宣言している山下洋輔であるが,現在,非常に活発なライブを行っていて,年内は目一杯スケジュールされているようにも思わせる。しかし,山下洋輔も83歳という年齢を考えれば,無理はできないという判断もあっての活動休止だろうが,その割にこのところの働きっぷりはやり過ぎという気がしないでもない。一方の森山威男も80歳を過ぎている。そんなこんなで,この機会を逃すと,次に山下洋輔,あるいは森山威男とのデュオを観る機会があるかどうかもわからないということで,Blue Note東京へと足を運んだ。

Stage-at-bnt_mosaic

これが私にとっての本年最後のライブとなるだけに,どういう演奏をするかにも関心はあったが,やはりこの二人らしい演奏への期待値は高かったのだ。到着すると,どうもいつもと聴衆の感じが違うように感じられたのはこの二人だからかもしれない。また,ステージのセッティングも今までに見たことがないようなもので,座席もアリーナの隅っこの席をあてがわれていた私にとっては,むしろ見晴らしのいい席だったと思えたのであった(写真は聴衆のプライバシーを保護するため,顔が写っている場合はモザイクをかけてある)。

At-bntjpg 演奏は"But Not for Me"(だったと思うが,"Bye Bye Blackbird"だったかも...)から穏やかにスタート。山下洋輔のピアノには枯れた味わいすら感じさせたが,その一方で森山威男はスティックで結構派手に叩いていた。しかし,彼らに求めたいのは2曲目にやった"Clay"のようなトーンだと思ったし,聴衆もそっちへの期待が大きいのは"Chiasma"をやった時の反応を見ても明らかだろう。山下洋輔は休養を宣言しているだけに,ピアノの打鍵は少々力感が薄れたようにも感じられるものの,相変わらずの洋輔的フレージングをかましていた。一方の森山威男は叩くわ,叩くわって感じで,特にシンバルの強打が印象的で,強烈なパルスを生み出し,ほんまに傘寿か?と思っていた私である。しかし,トークになると洋輔は軽妙かつ明快なのに対し,森山の滑舌の悪さが顕著で,全く対照的なのもの彼ららしいと思ったのであった。

トークでは昔話に花が咲くって感じだった彼らだが,演奏に関しては,年齢を超越したものであり,山下洋輔は休養すれば復帰できるだろうと思わせたのであった。いずれにしても,これが最後とならないことを期待したい。

Live at Blue Note東京 on December 18, 2025,2ndセット

Personnel: 山下洋輔(p),森山威男(ds)

2025年12月19日 (金)

大西順子の初リーダー作をこれも久しぶりに聞いた。

_20251216_0001"Wow" 大西順子(Somethin'else)

大西順子の初リーダー作である本作がリリースされたのが1993年のことだ。このアルバムの冒頭の"The Junglar"を聞いた時は本当に驚いたのも懐かしい。それももはや30年以上前になってしまったが,この強烈な力感を聞いて燃えないジャズ・ファンはいないだろうとさえ思ってしまったのであった。

もはやバブル経済の崩壊が明らかになりつつあり,日本経済がシュリンクしていきつつ,バブルの残り香もあるこの時期に,こういう音楽を聞いて元気を出していた人間もいれば,バブルは不変と思っていた呑気な人間も多かったのではないかとも感じるが,それにしてもこのピアノ・タッチは強烈だったし,演奏も優れていて,いやはや凄い人が出てきたと思わせた。そもそもMonkの"Brilliant Corners"をやってしまうのも凄ければ,"Nature Boy"のような曲すらゴツゴツした感覚でやってしまうのにものけぞらされるよなぁ。

その後,引退,復帰を繰り返した大西順子であるが,現在は安定した活動を続けているのは大いに結構なことだ。昨年は村上JAMで音楽監督を務め,何でもできるところを示していたが,昨今のアルバムはあまり聞いていないとしても,近作では"Jatroit"のようなアルバムを評価してしまう私は,結局こういう路線を大西順子には期待しているのかなぁなんて思ったのであった。このアルバムを聞いて,往時の大西順子のアルバムを改めて聞き直してもいいなぁなんて感じたのは私の加齢ゆえの部分はあるとしても,やはり魅力的なピアニストであったことを再認識。星★★★★☆。

Recorded on September 3-5, 1992

Personnel: 大西順子(p),嶋友行(b),原大力(ds)

本作へのリンクはこちら。

2025年12月18日 (木)

久しぶりにオリジナル"Eyewitness"を聞いた。

Eyewitness "Eyewitness" Steve Khan(Trio)

今年亡くなったAnthony Jacksonを偲ぶ意味も込めて久しぶりにこのアルバムを聞いた。私が保有しているのは本作,"Modern Times"と"Casa Loco"の3枚のアルバムを2枚のCDに収めた再発盤であるが,単体のCDはアホみたいな値段がついているので,当時から入手困難だったのでこちらを購入したが,ちゃんとリマスターもされているので,音は悪くない。

本作はSteve Khanのバンドとしては最高レベルであったことは間違いないところだと思うが,このバンドの4人のコンビネーションは今にして思えば鉄壁と言ってもよいものであった。Anthony Jacksonのベースは魅力的な音でバッキングを繰り広げ,後にプロデューサーとしても活躍するSteve Jordanのドラムスは極めてタイト。この頃はまだ20代前半だったはずだが,ドラマーとしての腕は確実だった。そしてManolo Badrenaのパーカッションはバンドに色彩を与えるという意味で,とにかくコンビネーションが素晴らしいのだ。このバンドのアルバムをリリースした当時のTrioレーベルの慧眼は褒めても褒め足りないぐらいだ。

ここで聞かれるスリリングな響きは今聞いても鮮度が落ちていないし,40年以上前の録音にもかかわらず,間違いなく現代でも通用する音であった。曲よし,演奏よしで,懐かしさもあるし,Anthony Jackson追悼の意味も込めて星★★★★★。

Recorded on November 7 & 8, 1981

Personnel: Steve Khan(g), Anthony Jackson(b), Steve Jordan(ds), Manolo Badrena(perc)

本作を含むセットCDへのリンクはこちら。

2025年12月17日 (水)

Dino Saluzziの新作は哀愁度高く心に沁みるアルバムであった。

_20251215_0001 "El Viejo Caminante" Dino Saluzzi(ECM)

リリースからは5か月ぐらい経過しているが,今年リリースの新作である。卒寿を迎えたDino Saluzziが息子のJosé María Saluzziに,何とJacob Youngを加えた2ギター編成で吹き込んだこのアルバムは,彼らのオリジナルにスタンダード等を加えた構成なのだが,これが哀愁度が極めて高く,聞けば聞くほど味わいが増す好アルバムであった。どう経緯でJacob YoungがSaluzzi親子との共演に至ったのかはわからないが,全く違和感なしだ。

息子の方はクラシック・ギター,Jacob Youngの方はスチール弦のアコギに,エレクトリックはテレキャスを弾いているとECMのサイトには記載されているが,テレキャスとは思えぬソフトな音がここでの音楽にマッチしている。こういう音を聞くとやっている音楽は違っても,Ed Bickertのテレキャスの音を想起してしまった。

それにしてもDino Saluzzi,齢90とは思えぬ元気さである。本作が録音された時期こそ88歳になる直前というタイミングではあるものの,全く衰えを感じさせないのが素晴らしい。

先日,Enoのアンビエント・アルバムを「忙しない師走に聞くのに最適」と書いた私だが,こういうアルバムこそ落ち着きを取り戻すのにフィット感が強いと思えるアルバムであった。地味と言えば地味な音楽であるが,ここで展開される演奏は私のツボに完全にはまった。これには聞いた瞬間に星★★★★★と正直思えた一作。

Recorded in April 2023

Personnel: Dino Saluzzi(bandneon), Jacob Young(g), José María Saluzzi(g)

本作へのリンクはこちら。

2025年12月16日 (火)

「このミス」とかのランキングは信用していないが,これはなかなかの出来と思えた「失われた貌」。

Photo_20251213111901 「失われた貌」櫻田智也(新潮社)

私は以前は「このミステリーがすごい!」とかのランキングにつられて本を買っていたこともあるが,どうも自分の趣味とは全く合わないと思わされる経験が続いて,もはやこの手のランキングは信用しないことにしていたのだが,先日本屋に立ち寄ったついでに別の小説とこの本を入手してきたもの。単なる気まぐれである(笑)。それを出張の道すがら+αで読了した。

「このミス」とかで評価されている本のどこが私の趣味に合わなかったかと言えば,無理などんでん返しを仕掛けるギミックみたいなところがあって,「それだけ?」と思わされるようなものをつかまされたと感じたからだが,今年高く評価されているこの本は,いろいろ伏線は張っているものの,純粋な警察小説としても読めるところがよかったと思う。

ストーリーとしてはなかなかよく出来ているとは思えるし,相応に読みごたえもあったが,伏線回収に腐心した感じもある。だが,つまらないギミックを弄した訳ではないので,この本は私としてはまだ真っ当と感じた。脇役で出てくるバーのマスターがいい味を出していると思えるのもよかった。星★★★★。

本書へのリンクはこちら。

2025年12月15日 (月)

懲りずにまだまだ楽しむ白黒映画:Olivia de Havilandの双子役(二役)が強烈な「暗い鏡」。

The-dark-mirror 「暗い鏡 ("The Dark Mirror")」(’46,米)

監督:Robert Siodmak

出演:Olivia de Haviland, Lew Ayers, Thomas Mitchell, Charles Evans, Richard Long

まだまだストリーミングで見続ける往年の白黒映画であるが,今回はOlivia de Havilandが双子の姉妹を演じたこの映画である。双子の姉妹でもキャラに大きな違いがあるところを演じ分けるのはさすがオスカー2回受賞の名女優ってところだが,私はOlivia de Havilandと言えば,「風と共に去りぬ」ぐらいしか記憶にない中で,こういう演技もしていたのかぁというところであった。

ストーリーを書くとネタバレになってしまうので,冒頭の殺人を犯したのは双子のどっちだ?というのが基本であるが,一卵性双生児の設定ゆえ,見た目が一緒なので,捕まえることができないというのはまぁわからないではないとしても,指紋とか違うでしょとか,双子だからと言って同じ衣装を着る必要はないでしょと思いつつ,前者に関しては凶器には指紋が残っていないとちゃんとセリフにもあったはずだから,突っ込みどころはあっても筋として破綻はない。

まぁ古き佳き時代ゆえ,筋書きが大体読めてしまうのはご愛嬌だが,やはり見どころはOlivia de Havilandの演技だろう。合成やスタンドインを駆使して双子を演じているが,後半には徐々に怖さも感じさせるところは見事。それも含めて星★★★★。

本作のDVDへのリンクはこちら。ストリーミングへのリンクはこちら。

2025年12月14日 (日)

"The Köln Concert: 50th Anniversary Special Edition"を入手。無駄遣いと言われればその通りだが。

Koln-concert-50th"The Köln Concert: 50th Anniversary Special Edition" Keith Jarrett (ECM)

先日,山口ちなみの完コピ盤に否定的な記事を書いたが,そこにも書いたように,「50周年記念盤のデリバリーが待ち遠しくなるという副次的な効果」はあった。

私は長年このアルバムをCDで聞いてきたが,恥ずかしながらアナログで入手するのは今回が初めてであった。CDを保有しているんだからそれでいいじゃないかと言われればその通りかもしれないし,昨今の輸入盤の価格高騰,かつアナログの高値を考えれば,無駄遣いと言われても返す言葉はない。

しかし,デリバリーされた2枚組のディスク1のA面から早速プレイバックしたところ,これがこれまでCDで聞いてきた印象と異なることには我ながら驚いた。私のオーディオ・セットは大したものではないが,これまで聞いてきたCDがアナログよりもずっとエッジが立った音だったという感触であった。心なしかテンポもゆったりしているのではないかとすら感じてしまうところもあった。

このアルバムに収められた空気感のようなものすら強く感じさせるもので,安くはなかったが,やはり入手してよかったと感じたのであった。結局のところ本家の演奏は圧倒的に素晴らしいのであった。

Recorded Live at the Opera, Köln on January 24, 1975

Personnel: Keith Jarrett(p)

本作へのリンクはこちら。

 

2025年12月13日 (土)

現物はまだデリバリーされていないが,Al Fosterの"Live at Smoke"をストリーミングで聞く。

Live-at-smoke"Live at Smoke" Al Foster(Smoke Sessions)

既に当ブログでも紹介した年末の最注目盤(記事はこちら)である。音源として12/5にリリース済みだが,現物が届いていない本作をストリーミングで聞いている。何せメンツが豪華である。フロントにはクリポタことChris Potter,リズム・セクションはリーダー,Al FosterにBrad Mehldau,Joe Martinの顔ぶれである。期待するなという方が無理な話だ。そしてその期待は裏切られることはない。

この演奏はAl Fosterの82歳の誕生日を記念した今年1月のセッションの模様であるが,その4か月後の今年5月に亡くなるとは思えない演奏ぶりである。

冒頭のクリポタのオリジナル"Amsterdam Blues"からワクワクするような演奏である。それに続くのがBrad Mehldauオリジナルの"Unrequited"とあってはマジで痺れる。更にJoe Martin,Al Fosterのオリジナルに加え,Wayne Shorterの"E.S.P.",Sonny Rollinsの"Pent-up House",John Coltraneの"Satellite",更にはスタンダードと聞きどころ満載なのだ。このメンツであればやはり間違いないのであった。現場にいた聴衆にジェラシーを感じた私である。

Al Fosterは生前,このアルバムの最終ミックスを聞いて涙したそうだが,自分の死期を悟った上でのことだったのだろうか。しかしこの世を去っても素晴らしい置き土産を残していったと言いたくなるアルバムである。リリースされたこと自体の喜びも含めて星★★★★★としよう。

Recorded Live at Smoke on January 18 & 19, 2025

Personnel: Al Foster(ds), Chris Potter(ts, ss), Brad Mehldau(p), Joe Martin(ds)

本作へのリンクはこちら。

2025年12月12日 (金)

忙しない師走に聞くのに最適なアンビエント・ミュージック。

_20251210_0002 "Apollo: Atmospheres & Soundtracks" Brian Eno (Virgin)

保有していることは覚えていても何年も聞いていなかったアルバムだ(爆)。Atmospheresとサブタイトルに掲げるだけあって,まさにアンビエント。主題の通り,忙しない師走にこういう音楽を聞いているとそうした忙しない気分からも解放される効果は間違いなくある。

元々はアポロ計画に関するドキュメンタリー用に製作されたもののようだが,ほかの映画のサウンドトラックにも使われるという使い勝手のよい(笑)アルバムであり,サウンドと言ってもよかろう。

作曲,演奏はBrian Eno,Daneil Lanois,そしてRoger Enoによって行われている一方,どういう楽器編成なのかは不明だが,そんなクレジットは不要って感じの音だ。まぁこれを音楽として捉えるかどうかは微妙な部分はあると言えばあるのだが,アンビエントというのはこういうものだと感じさせる。とにかくバックで流れていても何の邪魔にもならないことは保証可能(笑)。小音量で流していれば,美術館にもフィットしそうな音楽である。

Musicians: Brian Eno, Daniel Lanois, Roger Eno

2025年12月11日 (木)

ようやく現物が届いたMike ReidとJoe Henryのアルバム。どえりゃ~渋い!

Mike-reid-joe-henry"Life And Time" Mike Reid & Joe Henry(Thirty Tigers)

ちっとも現物が届かないでやきもきさせられたアルバム。とっくにストリーミングでは聞いていて,その渋さにまいっていた私だが,とにかく現物が来ない。某サイトでは挙句の果てに注文をキャンセルされ,結局別サイトに発注したものがようやく届いたものだ。アルバム自体は9月にリリースされていたにもかかわらず,一体これはどういうことだったのかと思ってしまうが,これだけ渋いアルバムではプレス枚数も少ないということか?国内盤のリリースも大幅に遅れているみたいだしねぇ...。

閑話休題。このアルバムはMike ReidとJoe Henryのコラボ・アルバムということになっているが,ライナーによれば,Joe Henryが書いた詞にMike Reidが曲を付けるというかたちのようだ。そしてMike Reidがピアノ弾き語りで歌ったものに,その他のミュージシャンの演奏がオーバーダビングされるという,「コロナ禍」中のコラボのようなかたちで録音されたようだ。Joe Henryがギターでクレジットされているのは1曲だけだが,コーラスを付けているのはJoe Henryと思われる。このMike Reidという人,もともとはNFLのシンシナティ・ベンガルズのラインバッカーだったらしいが,そこからソングライター業に転じたという超異色の経歴ながら,Bonnie Raittの"I Can't Make You Love Me"を書いたのもこの人と知って,へぇ~となってしまった。Bonnie Raittが"The Bridge"でコーラスを付けているのはそうした縁によるものだろう。

それにしても滋味あふれるアルバムである。刺激的なところは何もない(きっぱり)。誤解を恐れずに言えば,余計なものをそぎ落とした一種のミニマル・ミュージックと言ってもいいかもしれない。しかし,私のような年齢になると,こうしたサウンドには癒されると感じる部分が大きい。こういうアルバムをグラスを傾けながら聞いていると,間違いなく落ち着きと潤いをもたらしてくれるだろう。そして歌詞をよく咀嚼したくなるようなアルバムである。星★★★★☆。やはりプロデューサーとしてのJoe Henryは信頼に値すると思わせるに十分な出来だった。

Personnel: Mike Reid(vo, p), Joe Henry(vo, gp), Joe Henry(vo, g), Bonnie Raitt(vo), Steve Dawson(g, pedal steel), John Smith(g), Pattrick Warren(key, org), David Piltch(b), Ross Gallagher(b), Jay Bellrose(ds),, Levon Henry(ts, as, cl, melodica)

本作へのリンクはこちら。

2025年12月10日 (水)

Steve Cropperを偲んで"Dedicated"を聞く。

_20251208_0001 "Dedicated: A Salute to 5 Royales" Steve Cropper(429 Records)

先日亡くなったSteve Cropperを偲ぶなら何がいいかと思いつつ,そう言えばSteve Cropperのアルバムを保有していたことを思い出し,取り出したのがこのアルバム。2011年にリリースされたアルバムだが,このブログにはなぜかアップしていなかった。

サブタイトルにもある通り,Steve Cropperが影響を受けた"5" Royalesへのトリビュート・アルバム。サブタイトルは5 Royalesとなっているが,5には"5"とダブル・クォーテンションを付けるのが正しいようだ。不勉強にして"5" Royalesについては全然知らなかったが,50年代を中心に活躍したR&Bグループらしい。若かりし頃のSteve Cropperが影響を受けたとのことで,ここでは多様なゲストを迎えてのアルバムとなった。特に影響されたのはギタリストのLowman "Pete" Paulingらしいが,ライナーにはそのストラップに関する記述が結構されている。

ここではいかにもテレキャスターらしい音が溢れていて,これぞSteve Cropperって感じの音が全編で続く。エフェクターなんて大していらないぜっ!みたいな音が何ともソウルフル。こういう音源を聞くとつくづく惜しい人を亡くしたと思う。

アルバムについても少し述べておこう。そもそもアルバムのベースとなる演奏をしているリズム・セクションの面々が素晴らしく,それだけで出てくる音が想像できる。Steve Cropperを支えるのがSpooner Oldham,David Hood,Steve FerroneにSteve Jordanという面々なのだ。そしてベーシック・トラックのレコーディングを担当したのが,ヴォーカルも聞かせるDan Pennとあってはくぅ~っとなること必定なのだ。

ゲストも豪華だ。Steve Winwood,Bettye Lavette,B.B. King,Lucinda Williams,Delbert McClinton,更にはBrian May等に加え,Keb Moはバック・コーラスだけって何とも贅沢である。これも偏にSteve Cropperの人徳ゆえってところと思える。そうした点も踏まえ,改めてではあるが,R.I.P.。

Personnel: Steve Cropper(g, vo), Spooner Oldham(p, el-p, org), David Hood(b), Steve Ferrone(ds, perc), Steve Jordan(ds), Neal Sugarman(ts), Jon Tiven(ts, vo) with Steve Winwood(vo, org), Betty Lavette(vo), Willie Jones(vo), B.B. King(vo, g), Shemeka Copeland(vo), Lucinda Williams(vo), Dan Penn(vo), Delbert McClinton(vo), Brian May(g, vo), Sharon Jones(vo), Buddy Miller(vo, g), Dylan Lebranc(vo) + Harry Stinson(vo), Beth Hooker(vo), Angel Cropper(vo), Leroy Parnell(vo), Keb Mo(vo), Billy Block(tambourine)

本作へのリンクはこちら。

2025年12月 9日 (火)

追悼,Steve Cropper,Phil Upchurch。

Steve-and-phil

相次いで二人のギタリストの訃報に接することになった。影響力が大きかったのはSteve Cropperの方だろうが,Phil UpchurchもGeorge BensonやらDonny Hathawayをはじめとする人々のバックのみならず,リーダー・アルバムも多数という人であった。リーダーでもありながら,我々の記憶に残るのはバッキングというところが共通していると思えるが,60年代以降の音楽シーンの屋台骨を支えたと言ってよいギタリスト二人であった。

R.I.P.

2025年12月 8日 (月)

またも見ました白黒映画:今回は「ミュンヘンへの夜行列車」。

Night-train-to-munich「ミュンヘンへの夜行列車(“Night Train to Munich")」('40,英/米,Fox)

監督:Carol Reed

出演:Margaret Lockwood, Rex Harrison, Paul Henreid, Basil Radford, Naunton Wayne, James Harcourt

休みになると白黒映画を見続ける私だが,今回見たのが「第三の男」の名匠,Carol Reedがそれに先立って撮った娯楽映画。後に「マイ・フェア・レディ」でヒギンズ教授を演じるRex Harrisonが英国の諜報部員を演じるが,歌うシーンも出てきて,昔からああいう感じだったのねぇと思わせる。

狂言回し的な役割の二人組,Basil RadfordとNaunton Wayneが出てくるのがイギリス映画的だが,この二人,Hithcockの「バルカン超特急」にも出ているらしい(「バルカン超特急」も見たことはあるが,全然覚えていない...)。ポスターでもこの二人が結構目立っているから,結構重要なポジションにあったということかもしれない。そもそもMargaret Lockwoodはその「バルカン超特急」の主役だし,脚本を書いているSidney Gilliatも同じということで,姉妹編と言ってもよいような映画である。

Sidney Gilliatは先日取り上げた「絶壁の彼方に」を撮った人だが,この映画でも山並みが出てくるので,そうしたシチュエーションが得意だったと想像されるが,面白みのあるストーリーを仕上げる能力は大したものだと思った。

最後はカーチェイス,ロープウェイによる脱出行やら,更には銃撃戦等のアクション映画的要素を織り込んで,戦時中とは思えぬ娯楽編となっているが,ミニチュアを使った映像が時代を感じさせて微笑ましい。一方,記録映画等を交えてのナチスへの敵愾心は相当なものなのも時代である。そこで憎々しいゲシュタポを演じるのがPaul Henreidで,この時はPaul von Henreidとクレジットされている。私は「カサブランカ」のPaul Henreidしか知らないが,「カサブランカ」とは真逆の役割なのが面白かった。

いずれにしても,こういう映画が欧州に戦火が広がっている時に撮られていたこと自体が驚きであるが,十分に楽しめるエンタテインメント映画であった。星★★★★。

本作のストリーミングへのリンクはこちら。

2025年12月 7日 (日)

上原ひろみのHiromi’s Sonicwonder@東京国際フォーラム参戦記

Sonicwonder-live

突然のお知り合いのお誘いにより上原ひろみのライブに行ってきた。このバンドのライブをCotton Clubで観た(その時の記事はこちら)のがもう2年前かぁって感じだが,今回の東京国際フォーラム公演は2夜連続でソールド・アウトという人気ぶり。直前の北京公演は日中関係の悪化を受けてキャンセルになったようだが,日本公演は結構な数が組まれていて,その人気ぶりは相変わらず凄まじい。今回のライブ前に未聴だったバンドとしての第2作"Out There"をストリーミングで予習しての参戦である。アルバム冒頭の"XYZ"から激しいグルーブで,これをライブでやったらどうなってしまうんだろうと思わせる音で,Hadrien Feraudのベースが強烈に煽る。今回もHadrien Feraudは注目だと思った。

Sonicwonder_20251207070601会場に到着すると,何と7列目中央というナイスなポジション。客層は意外(?)に高齢層が多い。上原ひろみのやっている音楽からすれば,もう少し年齢層が低いと想像していたが,彼女もデビューして23年目であるから,当時からのファンも歳を重ねた結果ということかもしれない。だとしても,ファンが離れないというのは大したものだと思う。

Photo_20251207072801 この日のスターは上原ひろみである。ライブは冒頭から笑いたくなるような強烈なグルーブを展開し,1曲当たりの演奏時間も長くなる中で,20分の休憩を挟んで,アンコール含め約2時間強のステージを見ていると,体力あるわぁ~と思ってしまった上原ひろみである。まさに彼女のプレイぶりは一種の「芸風」とさえ言いたくなるようなもので,まさに「弾き倒し」であった。全くやっている音楽は違うが,聞いていて(見ていて)一種の爽快感を与えるのは私にとっては山下洋輔と同じだと思いながら見ていた。期待のHadrien FeraudはPAのせいか,少々音がバンドに埋没する感じがあったものの,テクニシャンぶりを発揮して,見ているこっちは相変わらず凄いねぇと思いつつも,演奏中はあくまでも上原ひろみに視線が集中するようになっているのだ。これがスターってものだろう。

活動を重ねてバンドとしてもこなれて,前回は疑問を感じたGene Coyも今回は違和感なくバンドを煽っていたし,ラッパのAdam O'Farrillはエフェクターを使いながらも,ソロイストとしても場を与えられているのにちゃんと応える吹きっぷりであった。前回同様,この人の本質はコンベンショナルなプレイだとは思いつつ,ちゃんとこのバンドの音楽にフィットさせるのは大したものだ。

いずれにしても,バンドとしては聴衆を満足させる術を知っていると感じさせるものであり,エンタテインメントとして楽しめる演奏であったと言える。2枚のアルバムからの曲を演奏した後の,アンコールの1曲目として上原ひろみがソロで弾いたBeatlesの"Blackbird"。この曲はBrad Mehldauもよく弾くのでついつい比較したくなってしまったが,冒頭のメロディ・ラインの弾き方こそBrad Mehldauに近い部分があったが,演奏が進むにつれてピアニストとしての個性の違いも出てきて面白かった。

今回のライブに接して,上原ひろみがなぜ人気があるのかということを,2年前のCotton Clubでの演奏以上に理解した私であった。お誘い頂いたMさんにはこの場を借りて感謝したい。ありがとうございました!

Live at 東京国際フォーラム ホールA on December 5, 2025

Personnel: 上原ひろみ(p, key, synth), Adam O'Farrill(tp), Hadrien Feraud(b), Gene Coye(ds)

2025年12月 6日 (土)

Blue Note東京でのライブが蘇るSFJazz Collectiveの"Collective Imagery"。但しストリーミング・オンリーか?

Collective-imagery"Collective Imagery" SFJazz Collevtive(SFJazz)

今年3月に来日して素晴らしい演奏を聞かせたSFJazz Collectiveであるが,今回リリースされたのはライブの2ndセットで演奏された,デ・ヤング美術館で開催された"Art Place"展の作品にインスパイアされた曲のアルバム化。今のところ,媒体でリリースされている様子はなく,ストリーミングのみのようだ。

ライブの時は7曲だったはずだが,Edward Simonがインスパイアされた"New Normal"は"Guradians of the Oceans"と"Guardians of Forests"の2曲に展開され,全8曲になっている。この取り組みはメンバー7人の作曲能力と演奏能力が相俟って評価されるべきだが,そこは素晴らしいメンツが集まったSFJazz Collectiveであるから,全く問題なしである。

まぁプログラムの性格上,丁々発止という感じではなく,アンサンブルを基本に各人のソロが乗っかるというところだが,聞いていて十分魅力的な作品となっているのはミュージカル・ディレクターのクリポタことChris Potterの統率力ゆえと言ってもよい。ついつい星も甘くなり,星★★★★☆。

それにしてもクリポタの神出鬼没ぶりには驚かされる。SFJazz Collectiveのディレクターを務めながら,世界中でいろいろなライブ/演奏に参加している。間もなく開催されるモントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパンではHerbie Hancockのバンドの一員としても来日しながら,11月下旬にはスロヴェニアでビッグバンドに客演したりしているのだ。体力あるわ~。

Personnel: Chris Potter(music director, ts, ss, b-cl), David Sánchez(ts, perc), Mike Rodriguez(tp, fl-h), Warren Wolf(vib, perc, vo), Edward Simon(p), Matt Brewer(b), Kendrick Scott(ds), Cava Menzies(vo)

本作のストリーミングへのリンクはこちら。

2025年12月 5日 (金)

「ケルン・コンサート」の完コピ現る。

Photo_20251204174401 "The Koln Concert" 山口ちなみ(寺島レコード)

Keith Jarrettの"The Köln Concert"がリリースされて今年で50年ということで,間もなくアナログの50周年記念盤もリリースされる予定だが,それに先立って「完コピ」とでも言うべきアルバムが登場したのには驚いた。ということで興味本位で聞いた私である(笑)。こうしたアルバムが出てしまうこと自体,それだけKeithのアルバムのインパクトが強いということの証左ではあるが,譜面に基づいてプレイヤーの解釈で演奏するのはクラシックの乗りで,ストリーミングで聞いたここでの演奏には,山口ちなみの「解釈」はほとんど存在しないと言ってもよいものだ。

ピアノのタッチそのものやトーンに若干の違いはあるとしても,演奏に驚くようなところはない。なので,当然こういうアルバムがリリースされることには賛否両論存在することは間違いなかろうが,この程度のアダプテーションに留まるのであれば,存在意義が本当にあるかと言えば疑問だと言っておきたい。敢えてこれを聞くぐらいならKeith Jarrett本人の演奏を聞いていれば十分というのが私の感覚だ。ベーゼンドルファーを使ったらしいが,ストリーミングではその効果も感じないしなぁ...。

まぁ,演奏としてはよく出来ましたってところではあろうが,私には全く必要のないアルバム。間もなくリリース予定の50周年基盤のデリバリーを待ち遠しくさせる効果はあったな(爆)。

Recorded on September 27, 2025

Personnel: 山口ちなみ(p)

本作へのリンクはこちら。

2025年12月 4日 (木)

ナベサダのフュージョン・アルバムをストリーミングで聞く。

Birds-of-passage "Birds of Passage" 渡辺貞夫(Elektra)

恥ずかしながら,このアルバムを通しで聞いたのは多分今回が初めてだ。このうちの何曲かはElektraレーベル時代のベスト盤"Selected"で聞いていたから,聞いた気になっていたかもしれないが,正直なところ私はあまりこの時代のアルバムを保有していないし,あまり聞いていないというのが実態だ。例外はPatti Austinが歌った"Any Other Fool"につられて買った"Front Seat"ぐらいだ。

今回改めて聞いて,よくよくクレジットを眺めると,Russell Ferranteが重要な役割を果たしていたことがわかる。既発曲である"Round Trip","Pastoral",そして"Chaser"のアレンジを任せたのに加え,キーボードで全面参加しているのを見てへぇ~となったが,今でも共演を続けているところを見ると,それなりの相性の良さをナベサダ本人も感じているのだろう。

全編を聞き通してみると,"Selected"に選曲された曲は確かに出来がよいが,それ以外は少々ソフトに流れた感じがする。特にGeorge Dukeがプロデュースした曲はそう感じる部分が強い。そうは言っても,相応のミュージシャンが揃っているので演奏に破綻はなく,それなりに楽しめるとは思いつつ,例えば"Chaser"なんかは"Autumn Blow"での演奏と比べるとスリリングな部分がそがれたかなぁって気がする。その辺りは少々残念にも思うが,まぁこういう感じねってところ。Hubert Lawsはさておき,Freddie Hubbardが1曲で客演している効果はあまりない。星★★★☆。

尚,PersonnelはDiscogsのデータを参考にした。

Personnel: 渡辺貞夫(as, sn, vo), Russell Ferrante(p, key), George Duke(synth), Dan Huff(g), Paul Jackson, Jr.(g), Abraham Laboriel(b), Vinnie Colaiuta(ds), John Robinson(ds), Alex Acuna(perc, vo), Paulinho Da Costa(perc, vo), Hubert Laws(fl), Freddie Hubbard(fl-h), Alexandria Brown(vo), Carl Carwell(vo), Lynn Davis(vo), Maria Laporace(vo), Daniel Acuna(vo), Diana Acuna(vo), Regina Acuna(vo), Jimmy Haslip(vo), Petsye Powell(vo)

本作へのリンクはこちら。

2025年12月 3日 (水)

らじる★らじるで聞き逃したDutoit/N響のオール・ラヴェルを振り返る。

Dutoit-n

海外出張の日程と重なり泣く泣く聞き逃したDutoit/N響のオール・ラヴェル・プロをNHKのネットラジオ,らじる★らじるで聞いた。生で聞くのとは全く異なるはずだとは思いつつ,こうして聞き逃した演奏に触れられただけでもよしとせねばなるまい。

冒頭の「亡き王女のためのパヴァーヌ」こそ馴らし運転って感じがしない訳でもなかったが,「クープランの墓」からして相当な出来だと感じさせ,「ダフニスとクロエ」への期待値を高める演奏ぶりであったと思う。

そして「ダフクロ」だが,これを生で聞いていたら興奮必定,音響が炸裂した際には,現場にいれば血沸き肉躍ると感じたこと間違いなしの激演であり,間違いなく凄かったであろうと確信しうるライブであった。エンディングに向けての二期会合唱団の歌いっぷりも素晴らしく,いやはや強烈なクライマックスであった。

仕事上の都合とは言え,改めてこの演奏を聞き逃し,見逃したことを痛切に悔やんだ私である。今後のTV放送を待つだけでなく,こうなったらDutoitが振った「惑星」も聞けるうちに聞くことにしよう。

2025年12月 2日 (火)

2年も前に出ていた原田知世のカヴァー・アルバムを今頃聞く。

4 「恋愛小説4」原田知世(Universal)

このアルバムが2023年にリリースされていたことも全く知らなかったのだが,洋楽カヴァー集としては「恋愛小説」以来8年ぶりだったそうだ。私にとっては,原田知世のこの手のアルバムでは「カコ」への評価が突出していると言ってもよいが,それでも原田知世の声で洋楽を歌われることには相応の期待をしてしまう。そして選曲が適切であれば,相応の成果は得られるはずだと思う。なので,このアルバムをストリーミングで聞く際にも,それないの期待値はあったことは言うまでもない。

そして並んでいる曲を見れば,まぁ原田知世の声には合いそうだという曲が並んでいて,「わかっているねぇ」という感じだ。Joni Mitchellの"Both Sides Now"は「カコ」でもやっていたので再演となるが,ほかの曲も洋楽好きはまぁ反応すること間違いないというところだろう。

アルバムを聞いていると,ここでの原田知世のウィスパー・ヴォイスは相変わらず魅力的だし,通常のリスナーの期待値には十分応えるだろうと思えるのだが,アレンジメントにはもう一工夫あってもよかったのではないか。原曲へのリスペクトを含めれば,こういう感じでも仕方ないところもあろうが,破綻はなくとも少々当たり前すぎて,凡庸に響くというのは否めないと思えた。出来としては「恋愛小説」第1作と似たようなものという感覚だが,そうした中で,Neil Youngの"Only Love Can Break Your Heart"は実にいい曲だったと改めて気づかせてくれたこともあり,少々甘めの星★★★☆。

しかし,このジャケはどうなんだろうねぇ...。

Personnel: 原田知世(vo),伊藤ゴロー(g, prog),佐藤浩一(p),鳥越啓介(b),小川慶太(ds),角銅真実(perc),伊藤彩(vln),結城貴弘(cello),坂本楽(fl),北村聡(bandneon),SARA(vo)

本作へのリンクはこちら。

2025年12月 1日 (月)

Gene Tierneyが美しい「ローラ殺人事件」。

Laura-movie-1944「ローラ殺人事件("Laura")」(’44,米,Fox)

監督:Otto Preminger

出演:Gene Tierney, Dana Andrews, Clifton Webb, Vincent Price, Judith Anderson, Dorothy Adams

太平洋戦争中にこういう映画が作られていたところに,国力の違いが強く感じられると思わざるをえない。余裕で映画製作が行われていたことを示すサスペンス映画の傑作。主役のGene Tierneyがなかなか登場しないところは,以前取り上げた「過去を逃れて」でJane Greerがなかなか出てこないところと共通するのが面白い。まぁこちらは回想シーンでの登場というところに違いはあるが,こういうシナリオが流行りだったのかとも思わせる。いずれにしてもこのGene Tierney,セクシーというよりクールな別嬪という感じの綺麗な人である。

Gene_tierneyそもそも殺伐とした殺人のシーンは出てこず,誰が犯人なのかわからないという展開で,最後はそういうこと?って感じにはなるが,よく出来たサスペンス映画で,その筋で高く評価されるのもよくわかる作品。作風の多様さで職人監督と言ってもよいOtto Premingerの初期作品だが,本作からしてその技を示したというところ。星★★★★☆。

尚,Michael Jacksonの「スリラー」でお馴染みのVincent Priceがプレイボーイ役を演じているのは,後の出演映画を考えると笑えるが,その長身にはびっくりしてしまった。Gene Tierneyの別嬪ぶりがよくわかるポートレートも貼り付けておこう。

本作のDVDへのリンクはこちら。ストリーミングへのリンクはこちら。

« 2025年11月 | トップページ | 2026年1月 »

Amazon マイストア