90歳を過ぎてもまだまだ現役,ナベサダのストリングス付きライブ盤。
"Hope for Tomorrow" 渡辺貞夫(Victor)
ナベサダこと渡辺貞夫は既に92歳となっているが,来年には"California Shower"を再演するツアーもアナウンスしていて,高齢者としては考えられないようなアクティブな活動を続けている。そんなナベサダが昨年の12月にストリングスを従えて行ったライブの実況盤をストリーミングで聞いた。このレコーディングが行われた時だって,既に91歳だ。私が最後にナベサダのライブを観たのは2019年のBlue Note東京でのことだった(そのライブに関する記事はこちら。)が,その時にも驚かされたのに,まだまだ驚かさせてくれるわが同郷のナベサダである。
この時のストリングスは20人からなる結構な編成だったそうだが,まずこのストリングスのアレンジを誰がやったのかと思いたくなる適切さにまず感心してしまった。私はストリングスものの最高傑作はWynton Marsalisの"Hot House Flowers"だと信じて疑わないが,同作を想起してしまうぐらいのレベルだと思っていた。
そうしたストリングスをバックに,ナベサダは気持ちよさそうに吹いているが,さすがに音は昔に比べればソフトになった感じがするものの,フレージングには全く衰えを感じさせないのは凄い。バックのトリオも実力者なので安心感があることも効いているとは思うが,当時91歳にしてこの演奏ぶりはもはや化け物の領域に入ってきたと言ってもいいかもしれない。しかし,ナベサダの年齢を考えれば,やはりこれは評価しなくてはならないだろうということで,星★★★★☆。半星引いたのは,開催時期を踏まえて演奏されたであろう"Sonho de Natal(邦題は「クリスマス・ドリーム」)"が曲として私として魅力を感じられなかったことによる。私にとってはこの曲は蛇足であった。
とは言え,これは味わい深く,なかなかいいアルバムだと思う。
Recorded Live at Various Venues on December 15, 18, 20 & 21, 2024
Personnel: 渡辺貞夫 (as), Russell Ferrante (p), Ben Williams (b), 竹村一哲 (ds), 押鐘貴之ストリングス
本作へのリンクはこちら。
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