ジャズ界注目のヴァイブ奏者,Patricia Brennanの新作を聞く。
"Of the Near and Far" Partricia Brennan(Pyroclastic)
今年の7月に「Patricia Brennanって誰だ?ってことで聞いたアルバム。」という記事をアップしたが,今年のDownBeat国際批評家投票でも高く評価された前作"Breaking Stretch"が実に刺激的だったので,リリースされたばかりの新作をストリーミングで聞いた。今回は前作と異なりホーンは不在なのだが,その代わりに弦楽クァルテットが加わっている。そしてその結果として出てきた音はまたも刺激的なものであった。
Bandcampのサイトに本人の説明があり,本作の7曲のうち5曲は星座の名称に由来しているが,星座の形状を五度圏(Circle of Fifth)に当てはめることでピッチ,コード,キーが設定されることで曲が生み出されているようだ。ということで,ある意味作曲の技法的には現代音楽的なアプローチ,あるいは図形譜的と言ってもよいかもしれないが,そうは言ってもきっちり書かれている部分もあるようなので,出てくる音楽には難解さはそれほど強くは感じられない。
ただ,決してコンベンショナルなジャズとは言えず,実験的な要素は強いし,作曲に当たってのインスピレーションはブラームス,ドビュッシー,ドヴォルザーク,ストラヴィンスキー,コープランドから,ケージ,シュトックハウゼン,ランスキー,更にはレディオヘッドやサウンドガーデンの名前が挙がっているから,複雑な音になりそうなことは推して知るべしだ。最後に収められた"When You Stare into the Abyss"に顕著だが,アンビエント的,あるいはサウンドスケープ的な部分もあって,実に面白い。
ということで,ともすれば頭でっかちだという指摘も受けそうな部分はあるものの,これだけ刺激的な音を出してくれれば,現代音楽に何の抵抗もない私にとっては歓迎すべきものであった。やはりこのPatricia Brennanというプレイヤーは侮れないし,注目に値する人だ。星★★★★☆。
Recorded on December 8 & 9, 2024
Personnel: Patricia Brennan(vib with electronics, marimba), Sylvie Courvoisier(p), Miles Okazaki(g), Kim Cass(b), John Hollenbeck(ds, perc), Arktureye(electronics), Modney(vln), Pala Garcia(vln), Kyle Armbrust(vla), Michael Nicolas(cello), Eli Greenhoe(cond)
媒体でもリリースされているようだが,本作のストリーミングへのリンクはこちら。
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