Charles Lloydの新作はまさに枯淡の境地。
"Figure in Blue" Charles Lloyd (Blue Note)
昨年にも"The Sky Will Be There Tomorrow"という素晴らしいアルバムをリリースしたCharles Lloydだが,既に87歳を過ぎたこの人の創造力には毎度のことながら驚かされること必定の新作。今回は付き合いの深いJason Moranに,ギターのMarvin Sewellを加えたトリオという編成で,これまた枯淡の境地と言ってもよい,渋くも優れた音楽を聞かせてくれる。
今回の注目はMarvin Sewellだろうが,この人は私の中ではCassandra WilsonやLizz Wright,更にはBrian Bladeとの共演が印象に残っていて,Charles Lloydから感じるアメリカーナな感覚の体現をサポートするには適した人材だと言ってよいように思う。Charles Lloydのパートナーとしては,Marvelsで共演するBill FrisellとGreg Lieszにも比肩しうるプレイヤーだと言いたい。"Chulahoma"や"Blues for Langston"のイントロにおけるブルージーなギターはMarvin Sewellの本領発揮ってところだ。
全編を通じて,落ち着いた響きの音楽が続く中で,ややアブストラクトなトーンも交えるというのはCharles Lloydの昨今のパターンではあるが,全14曲中10曲がCharles Lloydのオリジナルというのは凄いことではないか。そうした中で,タイトル・トラックは"Figure in Blue, memories of Duke"と題されるとともに,Disc 2ではDuke Ellingtonの"Heaven"と"Black Butterfly"が取り上げられていることからしても,このアルバムがDuke Ellingtonを強く意識していたのは間違いないところだろう。また,"The Ghost of Lady Day"なる曲や,"Humn to the Mother, for Zakir"という曲もあって,Billie Holiday, Zakir Huseinにオマージュしているところがあるのも前作同様と言ってよい。そして最後をあまりジャズには向かないと思わせる"Somewhere"をCharles Lloydならではの演奏で締めるというのも素晴らしい。ここで提示されたかたち以外での"Somewhere"という曲のジャズ化は難しかろうと誤解を恐れずに言い切ってしまおう。
"Ruminations"には「至上の愛」的なフレージングも飛び出してくるものの,やはり編成ゆえの落ち着き感は強いので,こうした編成で2枚組というのは聞く方にとっても相当にチャレンジングなのは確かだ。しかし聞いているうちに,時間の経過など関係なくなってくるようなこの音楽に身を委ねていれば幸せというところだ。星★★★★☆。
前作では自らも「老い」を意識したようなコメントをライナーに残していたCharles Lloydが,今回は"All my relations, we go forward."という力強い言葉を残していることからも,Charles Lloydはまだまだやるという宣言と受け取った。
Personnel: Charles Lloyd(ts, a-fl, tarogato), Jason Moran(p, shaker), Marvin Sewell(g)
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