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2025年9月30日 (火)

輸入盤の価格高騰にはついていけない。

今までだったら,絶対媒体を購入していたであろうアルバムも,昨今の円安による輸入盤の価格高騰でついつい買い控えをしてしまうことが多くなった。ECMのアルバムなどでも,一枚3,000円台の後半とか4,000円台になると,さすがに買う気も失せる。そもそも昨今は輸入盤と国内盤の価格逆転現象が当たり前のように起こってしまっている状態でもあり,輸入盤ではなく,国内盤で購入することも増えれば,ストリーミングでいいやってことになってしまうのも当たり前だ。これまでは「早い,安い」が輸入盤の存在意義だったと思うが,その前提も崩れてしまったのだから仕方がないとは言え,音楽好きとしては本当にそれでいいのかとも思ってしまうものの,それは時代の流れとも言えるし,日本という国の弱体化の証なのかもしれない。

しかし,媒体にこだわっているのは日本だけという話もある訳で,結局は音楽さえ聴ければそれでいいのだが。どうしてもってものは今後も買い続けるとしても,やはりソフト購入に関しては考え時が来たんだろうなぁというのが実感。一方でボックス・セットにはお買い得盤も結構あるから,今後は箱モノが増える運命か(爆)。

2025年9月29日 (月)

Chick Coreaの生前最後の公的ライブ演奏の模様がリリースされるようだ。

Chick-corea-farewell-performance"Forever Yours: The Farewell Performance" Chick Corea(Candid)

早いもので,Chick Coreaがこの世を去ってから4年半以上が経過した。つくづく惜しい人を亡くしたものだと思うが,Chick Coreaのサイトでもアナウンスされているように,2020年10月のフロリダでのソロ演奏の模様が近々リリースされるようだ。Chick Coreaのサイトからのメールによれば,ストリーミングでの解禁は10/17,媒体でのリリースは来年2月のようだ。

既にその中から珍しや,Stevie Wonderの"Overjoyed"の演奏の模様が公開されている(下に貼り付けておく)が,そこでの楚々とした演奏を聞くにつけ,全編解禁を待ちたいと思ってしまう。

このアルバムのトラック・リストは次の通り。

  1. Chick’s Welcome
  2. Armando’s Rhumba
  3. It Could Happen to You
  4. Overjoyed
  5. Piano Sonata in F Major, K. 322: II. Adagio
  6. Smoke Gets In Your Eyes
  7. Chick Talks About Monk And Bud
  8. ‘Round Midnight
  9. Trinkle Tinkle
  10. Dusk In Sandi
  11. Waltz For Debby
  12. In A Sentimental Mood
  13. Chick Talks Portraits
  14. Portrait: Sam
  15. Chick Introduces The Next Portrait
  16. Portrait: Terri
  17. Chick Talks Children’s Songs
  18. Children’s Song No. 1
  19. Children’s Song No. 2
  20. Children’s Song No. 10
  21. Children’s Song No. 17
  22. Children’s Song No. 1
  23. Children’s Song No. 20

2025年9月28日 (日)

録りだめしたビデオから今日見たのは「目撃」。

Absolute-power 「目撃 ("Absolute Power")」(’97,米,Warner Brothers)

監督:Clint Eastwood

出演:Clint Eastwood, Gene Hackman, Ed Harris, Scott Glenn, Laura Linney, Dennis Haysbert, E.G. Marshall, Judy Davis

録画してある映画は結構な数なのだが,それを見ている時間がなかなかない中,今回見たのがこの映画であった。前回同じような感じで取り上げたのが「ガントレット」だったので,またもClint Eastwoodの映画だが,本作は初見のはずだ。役者はいいところが揃っているし,シナリオはWilliam Goldmanだから結構期待して見たのだが,「ガントレット」よりはましとしても,ちょいと無理がある映画であった。

そもそも,現職アメリカ大統領が関与した犯罪の落とし前をどうつけるのかってところの描き方が中途半端で,世の中そんなにうまくいかねぇだろうというようなストーリー展開も相当厳しいと思えた。まぁそうは言っても途中で見るのをやめたくなるほどではないのだが,もろ手を挙げてお勧めしたくなるような映画では決してない。

まぁ,Clint Eastwoodが大泥棒の役を演じるとか,変装シーンとかあまりお目に掛かったことがないような展開はあるものの,名手William Goldmanをもってしても,原作からの改変具合(だいぶ筋書きが変わっているらしい)はどうしようもなかったというところではないか。親子愛も描いていしまうついでに,娘も出演させてしまうのはEastwoodらしいが...。

繰り返しになるが,「ガントレット」よりはましってことでは星★★★とするが,それが精一杯。やっぱり話に無理があり過ぎなのであった。それにしても,すぐに人を殺したがるSP(その割にあっさりEastwoodに手玉に取られる:笑)を演じたDennis Haysbertは黒人としては相当のイケメンで,もう少し売れてもよさそうなものだと思ったが,その後の作品に恵まれないのは惜しい気もしたのであった。

本作のBlu-rayへのリンクはこちら

2025年9月27日 (土)

イタリア・ジャズ界の実力者たちによるShelly Mannトリビュート。

_20250905_0003 "Remembering Shelly" Roberto Gatto(Albore Jazz)

先日,このブログで"More Swinging Sounds"を取り上げたShelly Mannであるが,そのShelly Mannにトリビュートするというのは珍しい企画と言ってもよいように思う。ドラマーと言えば,Art Balkey,Max Roach,Elvin Jones辺りの影響力が強いと思うが,Shelly Mannというのはあまり聞いたことがない。しかもShelly Mann & His MenによってBlack Hawkで演じられたレパートリーは誰も再演したことがなく,楽譜もなかったとリーダーのRoberto Gattoが語っているから,やはりそういう位置づけなのだ。そうしたレパートリーを譜面起こしからやったというのだから念が入っている。

そして,ここに参加している面々はそれぞれがリーダー作を持つ人たちであり,大スターとまでは言わなくとも,実力は間違いない人たちによって演じられる演奏がなかなか楽しい。Shelly Mannにならって,決してハードにはならないが,時にリラクゼーションにも満ちた演奏は,決して緩いだけのものではなく,ジャズの楽しさを感じさせるに十分なものだ。

ここで演じられるのはRobert Gattoのオリジナル1曲以外はShelly Mannのレパートリーだが,スタンダードと呼べそうなのは"The Breeze and I"ぐらいだろう。それとて,決して有名曲って訳ではなく,それ以外は当時のジャズマン・オリジナルが揃っているのだが,このバンドにも十分フィットしているのがいいねぇ。気楽に聞くには本当に丁度よいし,ライブの場でこういう演奏を聞かされれば,確実に心地よく家路につけるはずだと思えるナイスなアルバム。星★★★★には十分値する佳作。

Recorded Live at Alexanderplatz Jazz Club on April 28-May 2, 2009

Personnel: Roberto Gatto(ds), Marco Tamburini(tp), Max Ionata(ts), Luca Mannutza(p), Gieuseppe Bassi(b)

本作へのリンクはこちら

2025年9月26日 (金)

Linda May Han Ohの新作"Strange Heavens"を聞く。

Linda-may-han-oh "Strange Heavens" Lind May Han Oh(Biopholio)

私はLinda May Han Ohの参加作は聞いたことがあっても,彼女のリーダー作はこれまで聞いたことがなかったと思う。まぁそれはたまたまなのだが,縁がなかったということに過ぎないということにしよう。だが,今回のアルバムはトランペットの俊英,Ambrose Akinmusireに,ドラムスの注目株Tyshawn Soreyとのコードレス・トリオというなかなかチャレンジングな編成にも惹かれて聞いてみた。

ライブの場では,Pat Methenyのバンドに参加した時にLinda May Han Ohは聞いていて,その時にも「この人は侮れない」なんてこのブログに書いている私だが,近年では昨年,私がベスト作の一枚に選んだVijay Iyerの"Compassion"での仕事ぶりも忘れがたい。その"Compassion"でのリズム隊がラッパとのトリオで演奏するのだから,同様のテンションとハイブラウな響きを期待してしまうのは当然だ。

そして聞こえてくるのは予想通りの刺激と緊張感に満ちた音楽だと言ってよいが,これは必ずしも万人向けの演奏とは言えないだろうというのが正直な思いだ。ジャズという音楽に何を求めるかによるが,昨今は蕎麦屋でさえ有線でかかるジャズを以て,ジャズだと思っている人には厳しいのは言うまでもなかろう。だからと言って,フリー・ジャズの世界までは行っていないから,そこそこの許容度さえあれば,全然問題ないはずだ。三者がそれぞれの実力を発揮し,それぞれがいい音を出しているアルバムだ。しかし,Vijay Iyer盤と比べると...ってところもあり,星★★★★としよう。

Personnel: Linda May Han Oh(b), Ambrose Akinmusire(tp), Tyshawn Sorey(ds)

本作のストリーミングへのリンクはこちら

2025年9月25日 (木)

先日購入のDionne WarwickボックスからDisc 1を聞く。

Presenting-dionne-warwick

先日当ブログでも記事にしたように,Dionne Warwickの12枚組ボックス,"Make It Easy on Yourself: The Scepter Recordings 1962-1971" を入手したので,まずはそのDisc 1から順番に聞いて行こうというもの。このDisc 1はDionne Warwickの1stアルバム,"Presenting Dionne Warwick"と2ndアルバム,"Anyone Who Had a Heart"を組み合わせて,ボートラ2曲を収録したものとなっている。そもそもこの2枚からしてBurt BacharachとHal Davidが多くの曲を書き,プロデュースしていることからしても,どれほど彼らがDionne Warwickを買っていたかのうかがわれる。筒美京平がいしだあゆみや平山三紀を買っていたのと似たような感じもする。それがはるかに長期に渡っているのだから,Dionne WarwickとBurt Bacharachは決して切り離して考えることはできないのだ。

Anyone-who-had-a-heart まぁこの2枚には後の大ヒット曲のようなものは含まれておらず,2ndのタイトル・トラックがポップ・チャートの8位に到達した程度であるから,後の大ヒットに向けた助走期間と言ってよいアルバムだろう。Dionne WarwickはR&Bカテゴリーで捉えられることもあるが,私にとってはあくまでもこの人はポップス畑の人だと思っている。ソウルの世界での「黒い情念」みたいな感覚からはかけ離れた世界の音楽ではある。だが,Burt Bacharachの音楽に惹かれる私のような人間にとっては心地よいことこの上ないのだ。

どうもチャートの動きを見ていると,アメリカより英国で先に売れたように見えるが,このある意味クセのなさが英国においても多くの人に受けたと思えるのだ。逆に純粋R&B/ソウル好きからすれば,Dionne Warwickの評価は高まらないのではないかと思えてしまうが,それがどうした!?と開き直りたい。このディスクを聞いて,初めて聞いた曲も多数だが,何回でもリピートできてしまうのがDionne Warwick,あるいはBurt Bacharachの音楽のよさだと思った私であった。

Disc 1だけでこれだけはまってしまうのだから,このボックスは私をDionne Warwickの沼に誘うこと必定だと思ってしまった。いやぁそれにしてもいいねぇ。古臭いと言われれば否定はしないが,こういうのをエヴァ―グリーンというのだ。1枚聞いただけでボックスを買って正解だったと思ってしまった。聞けばわかるのだ。まじでたまりまへんわ。

2025年9月24日 (水)

Hitchcockの「間諜最後の日」をAmazon Primeで見た。

Secret-agent 「間諜最後の日("Secret Agent")」(’36,英)

監督:Alfred Hitchcock

出演:John Gielgud, Madeleine Carroll, Peter Lorre, Robert Young, Percy Mermont

私はAlfred Hitchcockの映画がかなり好きだと思っているが,全部を見ている訳ではない中で,今回はこれまで未見であったこの映画をAmazon Primeで見た。さすがに90年近く前の映画なので,画質は厳しいものがあるが,それでもHitchcockはHitchcockである。教会のシーンでのオルガンや鐘の使い方等,いかにもHitchcock的な演出と言ってもよいかもしれない。

いかんせん古い映画だから,派手なところはないストーリーだし,シナリオにも少々無理があるところではあるが,それでも時代を考えれば,当時の観客にとってはスリリングな映画だったのだろうと想像する。ストーリー上の主役はJohn Gielgudだが,映画でのキャスト表示ではMadeleine Carrollがトップというのは少々不思議な感じもする。John Gielgudの出演した映画は1974年版「オリエント急行殺人事件」ぐらいしか見たことがないはずだが,さすがにこの当時はまだまだ若いし,美男だったんだねぇ。しかし彼らよりもこの映画はPeter Lorreだよなぁと思わざるをえないほど,完全に場をさらってしまっているのがPeter LorreのPeter Lorreたる所以だ。笑えるところもあれば,スパイとしての鋭さもちゃんと表現しているのはPeter Lorreの成せる業と言いたい。

面白いのが原作を書いたのが「月と六ペンス」等のSomerset Maugham(サマセット・モーム)なのだが,Somerset Maugham自身が元諜報部員で,一部その経験に基づいて本作の原作が書かれているという点だった。そんなことは露知らずの私はついついへぇ~となってしまったが,そうは言っても決して007のようにはならないのは当然だ。

イギリス時代のHitchcockにはこれより優れた「暗殺者の家」や「三十九夜」があるから,それらに比べると一段落ちると言わざるをえないものの,Hitcockがこの時代からそれなりに面白い映画を撮っていたということがはっきりわかるものであった。まぁ星★★★☆ぐらいだろうが,まだまだ未見のHitchcock作品もあるから,そのうちまたストリーミングで見てみよう。

本作のDVDへのリンクはこちら 。ストリーミングへのリンクはこちら

2025年9月23日 (火)

Johnathan Blakeの新譜は問題意識を打ち出したアルバム。Dayna StephensのEWIが効いている。

My-life-matters "My Life Matters" Johnathan Blake (Blue Note)

つくづくJohnathan Blakeというドラマーは優秀だと思う。元々はTom Harrellのバンドでその名前が知られるようになったと思うが,Kenny Barronのバックも務めれば,自分のアルバムでも非常に優れた演奏を聞かせる。そんなJohnathan BlakeのBlue Noteからの新作をストリーミングで聞いた。タイトルが象徴しているように"Black Life Matters"との関連性も濃厚な問題意識を内包したアルバムである。

そうした主張を音楽に持ち込むことがよいのかどうかというのは聞き手が判断すればよいが,ミュージシャンにはミュージシャンで自分の思いを発露する権利はあるから,私には全く否定的な感覚はない。そしてこのアルバムが昨今のNYCでは非常に刺激的なプログラムを聞かせるJazz Galleryからの委嘱によるものと知って,なるほどと思っていた。そして共同プロデューサーはRobert Glasperとの共演でも知られるDerrick Hodgeだから,出てくるサウンドがコンテンポラリーな感覚になるであろうことは予想がついた。

そして出てくる音楽は想定通りの刺激に満ちた音楽だ。Johnathan Blakeのドラムスはもちろんとして,本作のサウンド・カラーを際立たせているのがDayna StephensのEWIだと思える。Dayna Stephensはもう少しコンベンショナル寄りのプレイヤーと思っていた私だが,ここでのEWIの音はMichael Brecker的で,そのフレージングによるこのアルバムへの貢献度は高い。これがサックスだけだったらこうはなっていなかっただろう。全編を通じてもう少し刺激を強めることもできたであろうが,適切なレベルは維持していて,音楽的「主張」に目くじらを立てなければ,十分楽しめると思う。星★★★★☆

尚,Jazz Galleryのアーティスティック・ディレクターを務めるのはRio Sakairiという人だが,本作の曲名も彼女のインスピレーションによるものらしい。彼女はNew York Timesの記事によれば土浦出身とのことだから,日本出自の同胞がNYCにおいてこうした音楽,そして音楽を生み出す場に貢献していることは誇りに思っていいと思う。

Personnel: Johnathan Blake(ds), Dayna Stephens(ts, ss, EWI), Fabian Almazan(p), Jalen Baker(vib), Dezron Douglas(b), DJ Jahi Sundance(turntable), Bilal(vo)

2025年9月22日 (月)

またもやってしまった無駄遣い?Dionne Warwickの12枚組をゲット。

Dionne-warwick-make-it-easy "Make It Easy on Yourself: The Scepter Recordings 1962-1971" Dionne Warwick(SoulMusic Records)

またもやってしまったってところだ。Dionne Warwickの12枚組のボックス・セットを購入である。正直言っていつ聞くの?という感覚はあるし,Burt Bacharachとのコラボレーションを振り返るならば,ベスト盤でもいいのではないかという話もある。だが,私は全盛期と言ってよいこの時代のDionne Warwickのアルバムは聞いたことがなかったし,確実に楽しめるだろうという確信もあっての購入となった。

ストリーミングで聞けるものもあるのは事実だが,レア・トラックや未発表曲はやはり魅力的に見えてしまうのが,媒体指向の強い私の性だ。無駄遣いと言われれば返す言葉はないが,これから時間を掛けて聞く楽しみを与えてくれることを期待したい。当分は在宅勤務のBGMとなることで,きっと仕事も捗るであろう(爆)。

本作へのリンクはこちら

2025年9月21日 (日)

またもブートの話。5月のライブを思い出しながら聞くBrad Mehldau~Christian McBride~Marcus Gilmore。

_20250919_0001 "The Gilmore 2025" Brad Mehldau / Christian McBride / Marcus Gilmore(Bootleg)

この3者による5月の日本公演は実によかった。いつにも増してオーセンティックなBrad Mehldauを聞いたという感覚だったから,彼らの音源は実に興味深いものがあるのは当然だ。そもそもここに収められた演奏は,演奏の模様がYouTubeにもアップされていて,いつでも見られるし,いつでも聞けるのだが,私としては映像なしでもいいやってところなので,若干のディスカウントもあったので,ついついまたこのブートを仕入れてしまった(笑)。

実力者の集まりなので,演奏の質に問題はないというところだが,5月に聞いた時よりはリラックスした感じが強いかもしれない。ただ,冒頭が"Anything Goes"かぁ...てっところはある。私の中でアルバム"Anything Goes"はあまり相性がよくないのだが,やっぱりこの曲は...って感じがあったのも事実。まぁブートレッグだけにどうこう文句を言ってはいけないのだが,それよりもこのブートの難点はドラムスの音だろうなぁ。サウンドボードだから基本的には大きな問題はないのだが,どうもシンバルやハイハットの音の聞こえがよくないのは私のオーディオ・セットがしょぼいからだけの理由ではないと思える。タムを叩く音はしっかり捉えられているのに比べると,バランスが悪いのだ。映像で見てもやはり同じ感覚で,どうもドラムスの違和感が拭えなかった。

演奏としてはDisc 2の方がこなれた感じがあって,より楽しめるとは思うが,私の中では紀尾井ホールでの演奏の印象が強く残っているだけに,生で聞いたのに比べると...ってところだ。そうは言っても,彼らの演奏をどのようなかたちでも聞けるだけでよしとしておこう。

Recorded Live at the Gilmore Piano Festival on April 13, 2025

Personnel: Brad Mehldau(p), Christian McBride(b), Marcus Gilmore(ds)

ネットにアップされているライブ映像も貼り付けておく。普通の人はこちらで十分だろう。

2025年9月20日 (土)

先日のライブで購入したBen Williamsのアルバム。

_20250905_0001_20250918182301 "Between Church & State" Ben Williams (Safe Space)

先日のCotton Clubにおけるライブはコンテンポラリーな感覚もあって,非常に楽しめたことは既にこのブログで書いた。客入りが芳しくなかったのは惜しいが,聞いているこちらは上機嫌で,Ben Williamsの印税に貢献しようということで(笑),現地で販売していた最新作のCDを購入し,本人と話もして,サインももらってきた。

ライブではアコースティック・ベースで通したBen Williamsであったが,このアルバムを聞けば,当然エレクトリックとの両刀使いになるだろうという音楽性である。まさにソウル,ヒップ・ホップとジャズのフュージョンという感じで,やはりこの人はコンテンポラリーなサウンド・メイカーだと思った。ジャズの枠で捉えてはいけない人なのだ。今回の来日メンバーに加え,いろいろなゲストを迎えた演奏は,典型的なブラック・ミュージック的な響きを持つものと言える。この手の音楽が好きなリスナーには確実に受けるだろう。

ライブの場での発言を聞いていると,この人は結構リベラルな人だろうと感じさせたが,このアルバム自体が黒人運動と教会を描いたドキュメンタリーと同期したものであり,Ben Williamsの祖父がMartin Luther Kingの腹心だったらしいから,なるほどと思いながら聞いていた。ある意味コンセプト・アルバムと言ってもよいが,そうした背景を知らずとも音楽的にも十分に楽しめるものだと思った。やはり有能なミュージシャンは何をやっても様になることを実証したアルバム。ライブの良さも加味して,星★★★★☆としよう。但し,コンベンショナルなジャズ・ファンには絶対受けないな(笑)。

Personnel: Ben Williams(b, synth, vo, prog), Muhsinah(vo), Bennie Barnes(speaker), Kendra Foster(vo), Wes Felton(rap, vo), Sy Smith(vo), Georgia Ann Muldrow(vo), Dwight Trible(spoken words), Haley Niswanger(ts, fl), Kamasi Washington(ts), Chief Adjuah(tp), Keyon Harold(tp), Brandon Coleman(p), Paris Strpther(synth, prog), Andrew Renfrow(g), Sasha Berliner(vib), Justin Brown(ds), Jonathan Pinson(ds), Kahlil Cummings(perc), Jusmin Charles(vln, perc), Stephnie Yu(vln), Corrine Sobolewski(vla), Mia Barcia Colombo(cello), Brian Bender(prog) 

媒体はBandcamp等では購入可能だが,国内ではなかなか入手が難しそうなので,本作のストリーミングへのリンクはこちら

YouTubeに本作所収の"Blue"のオフィシャル映像がアップされていたのでそちらも貼り付けておこう。

 

2025年9月19日 (金)

豪華ゲストを迎えたStephen Bishopの引退アルバム。

Thimk"Thimk" Stephne Bishop (Life's a Bish)

Stephen Bishopは1951年11月生まれなので,まだ73歳である。年齢を重ねても現役で頑張るミュージシャンが増えたこの時代に,この年齢でラスト・アルバムをリリースするというのはちょっと早くないかと思いたくもなるが,関節炎を患ってのことのようだ。なので,このアルバムのセッションでは一切ギターは弾いていないようで,このアルバムでもクレジットには"Original Guitar Arrangement"とされているのはそういう理由だろう。但し,最後に収められた"You Can Laugh at Me"はStephen Bishopのギター弾き語りなのだが,これは埋もれていたテープを掘り起こした過去音源(おそらくはかつてのデモ音源)だろう。

そんなStephen Bishopが自身のラスト・アルバムと宣言した本作は,本人のWebサイトでCDとアナログが販売されていたが,現在はSold Out状態となっている。私は慌てて国内のショップ(結構高い!)から仕入れたものだが,これだけ売れているなら再プレスされる可能性もあるだろうから,未入手の方はストリーミングで当面我慢してもらうしかないというところだ。

Stephen Bishopと言えば,アルバム"Careless"か"Bish"からというのが普通だと思うが,私もこの2枚,特に"Careless"は大好きなアルバムであった。中学生か高校生の頃に聞いた"On and On"の瑞々しさは忘れがたいし,その後の映画「トッツィー」の"It Might Be You"も印象深かった。声が魅力的な上に,いい曲を書く人なのだ。

さすがにこのアルバムでは歌は厳しい部分も出てきているのは事実だが,それを補っているのが豪華なゲスト陣。彼らの演奏や歌唱はエンジニアが別にクレジットされているところから,かなりの部分はオーバーダビングだろうが,それでもこれだけのメンツが集うところにStephen Bishopの人徳が感じられるのだ。仲間たちとのハーモニーを聞いているだけで感動してしまう。

このアルバムは過去の曲の再演や,これまで未発表だった曲で占められているが,やはりいい曲が揃っていると言える。ストリーミング版で最後に収めらている"A Message from Stephen"は,Stephen Bishopの結構笑わせる語りで始まり,Jimmy Webbがピアノで奏でる"On and On"で締めて泣かせる。媒体版にはその後に2曲のボーナス・トラックが入り,更には映像へのリンクも記載されている。

純粋に音楽だけで評価すれば決して満点のアルバムとは言えないだろうが,このアルバムは聞くに値するアルバムであることは間違いない。このアルバムの位置づけも鑑み,敢えて星は付けないが,私はしみじみとしながら聞きながら,Stephen Bishopのこれまでの活動に感謝したいと思っていたのであった。これまでグラミーには縁のなかったStephen Bishopだが,もしこの作品でグラミーを獲るようなことになれば,それこそ本人にとっても素晴らしいことだと思える。そうなるように是非音楽界も気を利かせて欲しいよなぁ。

Personnel: Stephen Bishop(vo, g), Eric Clapton(g), Marcus Eaton(g, synth, perc, vo), Christopher Cross(g), Greg Leisz(pedal steel), John Jarvis(p), Greg Phillinganes(p, el-p), Gerry Beckley(p, vo), Michael McDonald(el-p, org, vo), David Benoit(p), Dave Grusin(p), Steve Porcaro(el-p), Jimmy Webb(p), Mark Inti(b), Leland Sklar(b), Nathan East(b), Sean Hurley(b), Mai Leisz(b), Steve Gadd(ds), Jake Reed(ds, perc), Nic Collins(ds), Jack Tempchin(hca), Mehgan Cassidy(vln, vla), Sting(vo), Leah Kunkel(vo), Art Garfunkel(vo), James Lee Stanley(vo), Graham Nash(vo), Dewey Bunnel(vo), Jeff Larson(vo), David Pack(vo), Kenny Loggins(vo), Hunter Hawkins(vo), Marilyn Martin(vo), Liz Lieber(vo), Stephen Bishop, Jr.(laugh and sneeze)

本作のストリーミングへのリンクはこちら

2025年9月18日 (木)

ありがとうございます。400万PV。

ここのところ,PCでサイトを見ていなかったので,全然気がついていなかったのだが,9/15に当ブログが400万PVに到達したようだ。300万PVから約4年8か月を要したが,昨今のSNSの多様化や表現手段の変化もあって,ブログそのものの位置づけが低下している中,このブログへのアクセス数も一時期より低下しているのは事実だと思う。特に8月は夏枯れ状態の日もあったが,それでもほぼコンスタントに500PV/日以上ではあったので,素人のブログにもかかわらず,アクセスしていただいたヴィジターの皆さんには改めて感謝である。

音楽に関して言えば,ストリーミングの普及もあるし,私の昨今の出不精もあって,新しい音楽ソフトを仕入れる機会自体が相当減っているのも事実なので,新譜を取り上げる機会も以前に比べれば本当に少なくなってしまった。新譜を取り上げる機会もある程度は確保していきたいが,そういう場合はストリーミングに依存する割合が増えていて,おそらく今後はそういうスタイルに変わっていくんだろうと思う。一方,手持ちのソフトを聞き返す機会も増えていて,改めて魅力に気づく場合もあれば,やっぱりこれはダメだなと思うこともある。ダメだと思ったものは売却を考えることで,増え過ぎたソフトの処分も考えていく時期(年齢)になってきたということだろう。

その分,ライブに行く回数は増えていると思うし,古い映画を見て楽しむことも増えた。これもライフスタイルの変化だということにしておこう。

ともあれ,次なる500万アクセスに到達するまでこのブログの更新が続くかはわからないが,これからも更新はできるだけ続けていきたいと思う。

2025年9月17日 (水)

追悼,Robert Redford。

Robert-redford

Robert Redfordが亡くなった。私は彼のファンという訳ではなかったが,「明日に向かって撃て!」や「スティング」は思い出深い映画だし,そのほかの作品でも私が見たものについては,駄作はなかったと思っている。後に「普通の人々」でオスカーの監督賞も受賞するとは想像しなかったが,サンダンス映画祭を立ち上げて,後進の育成にも努めるなど,映画人として実に見事な人だった。89歳。惜しい人を亡くした。

ポートレートに何を選ぼうか悩んだが,やはりSundance Kidを演じた時にした。カッコよかったねぇ。

R.I.P.

2025年9月16日 (火)

またも見ました白黒映画:今回は「戦慄の七日間」。

Seven-days-to-noon 「戦慄の七日間("Seven Days to Noon")」('50,英)

監督:John and Roy Boulting

出演:Barry Jones, André Morell, Olive Sloan, Hugh Cross, Sheila Manahan

私も完全に白黒映画にはまっていると感じる昨今だが,今回はイギリスのサスペンス映画。タイトルの「戦慄」というのは少々大げさに感じられるものの,まぁ見られる作品ではある。平和主義の原子力科学者が首相宛てに核兵器の製造を中止しなければ,新開発の爆弾をロンドンで爆発させるという脅しをかけるが,その期限が7日後ということでのこのタイトルである。映画のポスターにも"Super Thriller"なんて文字が見えるが,正直言ってそこまでの緊張感はない。

ただ,脅迫の期限が迫る中で,ロンドン市民に疎開をさせるというのも凄いが,誰もいなくなった往時のロンドンの街並みは,市民の協力なしには撮れなかったはずで,それも大都市ロンドンでのことだから,凄いことではある。コロナ禍の時の誰もいない渋谷の映像とかが思い出されるが,こっちはフィクションだからねぇ。CGでどうこうという時代ではないから,当時,実際にそういう環境を生み出したってことだ。オープニングにはロンドン市民への謝辞が大きく出てくるので,相当協力したってことかもしれない。

この映画のオープニングに映る駅は当時のパディントンではないかと思う。私が最後にロンドンに行ったのは確か2018年ぐらいだったが,ロンドンの定宿はパディントン・ヒルトンだっただけになんとも懐かしい感じがした。往時のロンドンの街並みと今では随分変わった部分もあれば,変わらない部分もあるというのがよくわかる映像が多かったのも何となく郷愁を誘う。

それはさておき,この映画は見ようによっては反核映画ではないのかとさえ感じさせる部分もあり,Barry Jones扮するWillingdon教授の姿勢はテロと言うより,原爆反対という印象が強いように感じるのは私だけか?まぁ上述の通り,緊張感はもう少し高められそうに思うが,タイム・リミットが迫る中,随分余裕をかましているように見受けられる面々がいるの「諦念」を示しているとは言い難く,その辺が原点材料となって,星★★★☆。

本作のDVDへのリンクはこちら。ストリーミングへのリンクはこちら

2025年9月15日 (月)

これは素晴らしい!Tedeschi Trucks BandとLeon Russellご一行による”Mad Dogs & Englishmen”再訪ライブ。

_20250913_0001"Mad Dogs & Englishmen Revisited Live at Lockin’" Tedeschi Trucks Band and Leon Russell(Fantasy)

Joe Cockerの"Mad Dogs & Englishmen"は当ブログでも取り上げたことがある大傑作であるが,それを再訪するという趣旨で,今から10年前のLockin’ Festivalで行われたライブの模様が時を経てリリースされたが,これがアメリカン・ロック好きが燃えること必定の素晴らしいライブである。

体裁としてはTedeschi Trucks Band(TTB)とLeon Russell率いるMad Dogsの共演というかたちになっているが,このMad DogsにはJoe Cocker盤にも参加していたミュージシャンも参加し,更には多様なゲストも参加して,Joe Cocker盤から45年後にオリジナルに対するリスペクトに満ちた演奏を披露している。面々によるSpace Choirと称するコーラスはもはやゴスペルと言ってよい響きを持ち,ホーン陣はソウル感を盛り上げる。これを聞いて燃えない奴はもぐりだと言いたくなるようなアルバム。

昨今のTTBは企画もののようなアルバムが多く,この4年後には"Layla Revisited"を同じLockin’ Festivalでやったが,本盤は"Layla"より圧倒的に優れていると聞いた。これはオリジナルのみならず,Leon Russell以下の面々へのTTBのリスペクトあってのことと考えたい。そしてDerek Trucksの時折出てくるスライドが効いているのだ。

これはTTBのアルバムとして捉えてもよいが,私はそれ以上の意味合いを持つライブだったと思った。最高だ。星★★★★★。

Recorded Live at Lockin’ Festival on September 11, 2015

Personnel: Mad Dogs<Leon Russell(vo, key), R(vo, key), Rita Coolidge(vo), Chris Stainton(key), Claudia Lennear(vo), Pamela Polland(vo), Chuck Blackwell(ds, perc), Daniel Moore(vo), Matthew Moore(vo), Bobby Torres(perc), Bobby Jones(vo)>, Tedeschi Trucks Band<Derek Trucks(g), Susan Tedeschi(vo, g), Kofi Burbridge(key) Mike Mattison(vo), Tyler Greenwell(ds), J.J. Johnson(ds), Kebbi Willams(sax), Mile Riverse(vo), Tim Lefebvre(b), Alecia Chakour(vo), Elliazabeth Lea(tb), Ephrain Owens(tp)> with Chris Robinson(vo), John Bell(vo), Warren Haynes(vo, g), Dave Mason(vo, g), Anders Osborne(g), Doyle Bramhall II(g), Shannon McNally(vo)

本作へのリンクはこちら

2025年9月14日 (日)

Sting 3.0@GLION Arena参戦記。

Sting-live

Stingの新バンド,Sting 3.0を見るために,神戸のGLION Arenaに行ってきた。なんで神戸?というのは言いっこなしで(笑)。GLION Arenaはバスケの神戸ストークスのホームのようだが,コンサート用のヴェニューとしても使われている新しいアリーナである。私は今回はアリーナから見ていたのだが,1万人規模のキャパでも,比較的見やすいホールではないかと思えた。東京で言えば,キャパ3,000人のKanadevia Hall(東京ドームシティホールが改名したようだ)を大型化したような感じと言えばよいだろうか。そしてそこがフルハウスなのだから,今なおStingの人気は衰えないというところだ。

Stingのライブには私はほとんど縁がなく,唯一見たのが1991年10月のMadison Square Gardenにおける"Concert for Walden Woods"以来だから,それから既に34年が経過してしまった。まぁそのライブも,Billy Joel,Sting,Don Henleyのトリプル・ビルだったので,Stingのステージは1時間程度だったはずなので,フル・ライブを観るのは今回が初めてだ。

正直言って,今回のライブに先立ってリリースされたライブ・アルバムはドラムスの音が気に入らないとか,いろいろ問題があったのも事実だ。しかし,今回のライブでは,そのChris Maasのドラムスの音もずっとタイトで,しかもStingの声がよく出ていて,アルバムよりずっといいじゃん,なんて思っていた私である。

お馴染みの曲満載で,アンコール含めて約1時間40分のライブはよく出来たパッケージ・ショーであり,大いに楽しんだ私であった。最後は"Fragile"で締めたが,やっぱりいい曲だし,エンディングはこの曲でしっとりと締めるのがぴったりだと思ったのであった。Stingは間もなく74歳になる訳だが,いずれにしても元気な姿,元気な歌いっぷりを見られただけでも私は満足したのであった。

それにしても,Dominic Millerは自分のアルバムとは随分違う音楽だが,ちゃんとロックに徹した音を出していたのもよかった。

Live at GLION Arena Kobe on September 12, 2025

Personnel: Sting(vo, b), Dominic Miller(g, vo), Chris Maas(ds)

ネットに当日のセットリストが上がっていたので,貼り付けておこう。

1. Message in a Bottle
2. I Wrote Your Name (upon My Heart)
3. If I Ever Lose My Faith i
n You
4. Englishman in New York
5. Every Little Thing She Does Is Magic
6. Fields Of Gold
7. Never Coming Home
8. Mad About You
9. Wrapped Around Your Finger
10. Heavy Cloud No Rain
11. Driven to Tears
12. A Thousand Years
13. Can't Stand Losing You
14. Shape of My Heart
15. Walking on The Moon
16. So Lonely 
17. Desert Rose
18. King of Pain
19. Every Breath You Take

<Encore>
20. Roxanne
21. Fragile

ついでにネットに上がっていた写真も貼り付けておく。

Sting-live-glion-1

2025年9月13日 (土)

またもイタリア文化会館でのライブを聞く。今回はヴァイオリンのリサイタル。

Francesco-dorazio毎度お馴染みイタリア文化会館の無料ライブである。今回はFrancesco D'Orazioなるヴァイオリニストのリサイタル。一部でもう一人のヴァイオリン,毛利文香が加わり二重奏となるが,基本はヴァイオリン独奏。

イタリア文化会館の応募の仕組みが変わったことは前回の同地訪問の時の記事にも書いたが,以前は常にフルハウスだったのが,ここ2回は完全フルハウスになっていないのは,この仕組みに追随できない高齢者が多いのか?なんて勘繰ってしまうが,まぁそれはそれでよかろう。

プログラムはバロック期の作曲家,タルティーニにバッハが古典,それ以外が細川俊夫とベリオという現代音楽の組合せはユニークだと思う。バッハは「シャコンヌ」だしねぇ。私が興味津々だったのが細川俊夫の「ヴァイオリン独奏のためのUTA」だったのだが,これは細川が今回の主役であるFrancesco D'Orazioに献呈したものらしい。会場には細川俊夫本人も来ていたようだが,そこはかとなく雅楽のような響きさえ感じさせる部分もある曲調が,現代音楽にはまってしまった私には面白かった。

毛利文香はベリオの「2つのヴァイオリンのためのデュエット集」での登場だったが,これが短い曲の組曲みたいな感じで,これまたユニークだった。まぁプログラムの中で一番受けていたのは「シャコンヌ」なのは致し方がないところだとは思うが,こういうチャレンジングなプログラムで演奏してしまう,かつそれをただで聞けるというチャンスはそうあるものではない。イタリアの文化に対するサポートぶりがまたも嬉しく感じたのであった。開演前には1時間の演奏の予定というアナウンスがあったが,アンコール3曲含めてトータル約80分のプログラムは非常に面白かった。ただ,「シャコンヌ」は世の多数の名演と比べると...ってところではあったが。

そして言っておきたいのが,ここの聴衆にはちょっと癖の強い人が多いということだろう。私の横の人は完全熟睡モードなのは,この手の音楽に興味がなければ仕方がないとして,私の前の人はちょっとしたノイズにもとにかくヴィヴィッドに反応する神経過敏気味の方ってことで,前の人の反応ぶりが気になって仕方がなかった私である。前回は落ち着きのないガキンチョ,今回は神経過敏の大人ってことで,まぁしょうがないな,ただだから(爆)。

いずれにしても,ここのライブのシリーズはなかなか聞けないプログラムも多いので,これからも注目していくつもりだ。

Live at イタリア文化会館 on September 11, 2025

Personnel: Francesco D'Orazio(vln),毛利文香(vln)

2025年9月12日 (金)

多彩なヴォーカリストを迎えたChristian McBride Big Bandのアルバム。

Without-further-ado-vol-1 "Without Further Ado, Vol.1" Christian McBride Big Band (Mack Avenue) 

現在のジャズ界で,最もエンタテインメント性を感じさせる音楽を聞かせるのはChristian McBrideだと思っているが,ほぼ全編に多彩なヴォーカリストを迎えたビッグバンドによる新作でもその特性はよく表れている。楽しいアルバムだ。

いきなりStingとAndy Summersを迎えた"Murder by Numbers"でスタートする本作だが,Stingの歌はキーが下がっていて,少々印象が変わっているが,Andy Summersのギターの鋭さは不変だ。とても傘寿を過ぎているとは思えない若々しいギターには思わず嬉しくなる。それに続くのがJeffery Osborneを迎えた"Back in Love Again"でもファンク・フレイヴァーを聞かせて,この路線で行くのかと思いきや,3曲目以降は迎えるヴォーカリストもあって,よりオーセンティックな路線に変わっていく。何てたって,Samara Joy,José James,Cécile McLorin Salvant,Dianne ReevesにAntoinette Henryである。最後のAntoinette Henryって人はよく知らないが,Christian McBrideの同級生だそうだ。

Dianne Reevesこそ,Carol King作の"Will You Still Love Me Tomorrow"という選曲だが,そのほかの面々はジャズ畑の有名曲というのは,このメンツならではというところか。José Jamesが"Moanin'"を選ぶ辺りは少々違ったチョイスとも言えるが,リフに"Blues March"を引用したりして,笑みを誘うアレンジも楽しい。最後の"Op. 49 – Cold Chicken Suite, 3rd Movement"という少々仰々しいタイトルの付いた曲のみインストで演じられるが,全編を通じてリスナーを楽しませることを意識した作りと言ってよいと思う。

こうしたエンタテインメント性は私も大いに認めるのだが,アルバムとしては選曲がバラついている感じがあることは否めない。特に冒頭2曲目までと3曲目以降のギャップをどう捉えるかだと思う。私はどうせなら最初の2曲の線で押してもよかったのではないかと思う。Vol.1を謳っているのであれば,3曲目以降の感じはVol.2にするというやり方もあるように思えた。その方がChristian McBrideの多才さを示すことになるように思うのだが...。でもこの楽しさは認める必要があることは間違いなく,星★★★★。

下記のPersonnelはネットを漁ってまとめたもので,大体は合っていると思うが,過不足あるかもしれないので,念のため。

Personnel: Christian McBride(b), Freddie Hendrix(tp), Nabaté Isles(tp), Michael Dease(tb), Steve Davis (tb), James Burton(tb), Doug Purviance(b-tb), Max Seigel(tb), Justin Mullen(fr-h), Steve Wilson (as, ss), Todd Bashore (as, fl), Ron Blake(ts), Dan Pratt (ts), Carl Miraghi(bs, b-cl), Janet Axelrod(fl), Alan Kay(cl), Warren Wolf(vib), Xavier Davis(p, el-p, key), Rodney Jones(g), McClenty Hunter(ds) with Sting(vo), Andy Summers(g),Jeffrey Osborne(vo), Samara Joy(vo),  José James(vo), Cécile McLorin Salvant(vo), Dianne Reeves(vo), Antoinette Henry(vo), Pedrito Martinez(perc)

本作へのリンクはこちら

2025年9月11日 (木)

Nicole Glover 3@Body & Soul参戦記。

Nicole-glover-at-body-and-soul

一部で話題のNicole Gloverである。かなり早い段階で武蔵野スイングホールに出演予定というのは察知していたのだが,告知のメールを見逃し,同地での公演があっという間にソールド・アウトになってしまったのは残念だった。しかし,それで諦める私ではない(きっぱり)。ほかでも演奏するだろうとは思っていたが,あった,あったということで,今回は渋谷のBody & Soulでのライブに参戦である。

Nicole Gloverはリーダー作はそれほど多くないものの,女性バンド,Artemisや,Christian McBrideのUrsa Majorなるバンドにも参加して,昨今の注目度は爆上がりである。来日直前の8月末にはJohn Patitucci,Brian Blade共々,NYCのDizzy’s Clubに出演している。即ちChris Potterの代役を務めたということになり,本国での評価の高まりもそうしたところに表れている。

そんなNicole Gloverにいち早く注目されていたのが,惜しまれつつ閉店した新橋のテナーの聖地,Bar D2のマスター,河上さんであった。そのおかげもあって,私はNicole Gloverの名前は随分前から認識していたが,ライブは今回が初ということもあり,興味津々での参戦であったが,ピアノレスのトリオということで,熱いブロウを期待してのことであったことは言うまでもない。こちらの期待値は相応に高いにもかかわらず,集客がイマイチなのは,まだ日本ではNicole Gloverを知る人が少ないということか?武蔵野スイングホールはさておき,新宿Pit Innでの集客はどうだったのかも気になるところだ。

しかし,演奏自体は様々なテンポの曲を交えながら,音色,フレージングともに素晴らしい実力を示したと思う。そもそもベース以外は完全生音というのもなかなかないことだが,音のでかさもあれば,キレキレのフレージングにも正直痺れてしまった。バックを支える二人も,知名度は高くないものの,これまた実力十分。大いに楽しんだ私であった。

この人たちはアルバムよりもライブの方がいいと感じたのも事実なのだが,本人が持ち込んだ新作のCDが「NYに持って帰るの重いから,買って~」というのにも反応して,当然購入した私である。持ち込んだSavantレーベルの一作目にも併せて本人のサインをもらい,心地よく家路についた。

Live at Body & Soul 渋谷 on September 9, 2025

Personnel: Nicole Glover(ts), Tyrone Allen II(b), Kayvon Gordon(ds)

_20250910_0001

2025年9月10日 (水)

たまにはYumingでもということで,今日は「流線形’80」。

_20250909_0001 「流線形'80」松任谷由実 (東芝EMI)

久しぶりにユーミンのCDをプレイバックした。全部とは言わないまでも,そこそこYumingのアルバムは保有しているいるが、このアルバムはバラエティに富んでいると感じる。松任谷正隆のアレンジメントのせいというところもあると思うが、それでもアナログで言うとA面を構成する5曲はいかにもYumingらしく,冒頭の「ロッジで待つクリスマス」から「埠頭を渡る風」への流れはまさに鉄板。5曲目の「魔法のくすり」はこれぞユーミンの歌いっぷりだと思うのはきっと私だけではないはずだ。

一方,アルバム後半に入って,いきなりソウル・テイストを感じさせる「キャサリン」には驚いたが,果たしてこのアレンジがYumingに合っているのかは微妙なところ。むしろ「Corvett 1954」のボサノヴァ・アレンジが実に心地よくて、このアルバムの中で一番好きな曲と言ってもいいぐらいだ。来生たかおのヴォーカルもいいしねぇ。そしてこれもYumingらしい「入江の午後3時」をはさんで,最後の2曲はストリングスは歌謡曲的なところさえ感じるアレンジになっていて,へぇ~ってなってしまうのだ。まぁ最後の「12階のこいびと」の歌詞は決して歌謡曲的ではないが。あくまでもサウンド的な話と思って頂ければと思う。

このアルバムがリリースされたのが1978年で,もはや半世紀近い時間が経っていることを考えれば,今でも聞ける感覚というのは立派だと思う。それは私が同時代を過ごした年代ということあるかもしれないが,その点は評価しなければならないと思う。このバラエティに富んだ曲調もあるし,本作が私にとってYumingの最高作ではないというところもあるが,まぁYuming黄金時代の一枚と言ってもよいアルバムだろう。星★★★★☆。尚,ギターのTed M. Gibsonとは吉川忠英の変名らしい。

Personnel:松任谷由実(vo),松任谷正隆(key, arr),林立夫(ds),渡嘉敷祐一(ds),斉藤ノブ(perc),ラリー須永(perc),Pecker(perc),高水健司(b),鈴木茂(g),松原正樹(g),山下達郎(g, vo),Ted M. Gibson(g),来生たかお(vo),尾形道子(vo),槇みちる(vo),井上知子(vo) with Horn and Strings(クレジットは記載されているが,詳細略)

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2025年9月 9日 (火)

"Toninho in Vienna":心地よさ極まれり。

_20250905_0002"Toninho in Vienna" Toninho Horta (PAO)

2007年にリリースされたToninho Hortaのほぼソロ・アルバム。"Summertime"にのみヴァイオリンが加わるが,そのほかはToninho Hortaのギターとスキャット(鼻歌?)で構成されているのだが,これが実に心地よい。いかなる局面においても邪魔にならないから,ながら音楽としても聞ければ,集中してギターの技を聞くことも可能というところだ。そして時間はあっという間に流れていき,気がつけば63分を越えるアルバムが終わっているという感じなのだ。

難しいことをやっているようには感じさせないのだが,しっかりとしたテクニックに裏打ちされていることは間違いなく,ソロでこれだけ聞かせてしまうというのはやはり凄いことだと思ってしまう。

こういうアルバムは難しいことは考えず,身を委ねればよいという感じだ。Toninho Hortaが愛される理由はこういう演奏ができることだと思わされる一枚。星★★★★☆。因みにライブ音源と間違われそうなタイトルだが,スタジオ録音なので念のため。

しかし,本作がレコ―ディングされてもう20年も経っているのか...。またも時の流れを痛感。

Recorded on May 12, 2005

Personnel: Toninho Horta(g, vo)

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2025年9月 8日 (月)

Nicholas PaytonのRobert Glasper化(笑)。

Triune "Triune" Nicholas Payton(Smoke Sessions)

Nicholas Paytonの新作がリリースされた。ここのところ,私の関心からは外れていたと言ってよいNicholas Paytonであるが,振り返ってもこの人のリーダー作はこのブログにはアップしていない。例外は Chritian McBrideとMark Whitfieldとの共同リーダー作,"Fingerpaintings: The Music of Herbie Hancock"だけだ。しかし,今回はEsperanza Spaldingとの共演ということもあり,どんなことになっているのかという興味もあり,ストリーミングで聞いたのだが,これが驚きであった。

その驚きの理由は音楽的な変化である。主題の通り,まるでRobert Glasperのアルバムのようにさえ響くサウンドなのだ。しかもNicholas Payton本人によるキーボードが大きな役割を担い,本業のラッパの吹奏が少ない。Esperanzaやゲストのヴォーカルを加えたここでの演奏は,極めてコンテンポラリーなもので,デビュー当時のバリバリとラッパを吹くNicholas Paytonのイメージを覆している。知らぬこととは言え,こうした動きは従来から示していたらしいが,不勉強にして認識していなかった。

このアルバムにおいては,Esperanza Spaldingの存在が売れ行きにも影響を与えそうだが,Esperanzaはいつもながら歌も上手けりゃ,ベースも上手いというところを聞かせ,このアルバムに華を添えたと言ってよいと思う。世代的にはRobert Glasperより少し上のNicholas Paytonではあるが,Robert Glasperに触発されたと考えてよさそうなサウンドだが,クォリティは結構高い。星★★★★。

因みに余談ながら,自らの問題発言でバークリーのブラス部門の主管のポジションを追われたNicholas Paytonだが,これはバークリーをクビになってすぐのレコーディングのようだ。一体どういう気分でのレコーディングだったんだろうねぇ。

Recorded on May 1 & 2, 2025

Personnel: Nicholas Payton(tp, fl-h, p, el-p, key, vo, perc, clap), Esperanza Spalding(b, vo), Karriem Riggins (ds), Nikki Glaspie(vo), Ivan Neville(vo, org, key), Erica Falls(vo), Otis McDonald(vo)

2025年9月 7日 (日)

録りだめしたビデオから今日は「ガントレット」。

Gauntlet「ガントレット("The Gauntlet")」(’77,米,Warner Brothers)

監督:Clint Eastwood

出演:Clint Eastwood, Sondra Locke, Pat Hingle, William Prince, Bill McKinney, Michael Cavanaugh

私はNHK-BSで放映されている映画を結構録画しているのだが,録画するばかりで全然見られていないというのが実態だ。これはAmazon Primeで往年の白黒映画ばかり見ているからだって話もあるが,今回は懐かしいので本作をチョイスしたのであった。

私は若い頃は役者としてのClint Eastwoodが好きで,部屋に大型のポスターを貼っていたぐらいなのだが,今やそのEastwoodも優れた映画を連発する名匠となった。21世紀に入って以降,Clint Eastwoodの撮る映画には失望させられることは極めて稀だが,監督業に取り組み始めた70年代の作品にはまだそうした名匠の予感はない。この映画も空撮等はいい線行っていると思わせる部分もあるが,いかんせんストーリーがねぇ...という作品である。

実は私は公開時に映画館で見たように記憶しているのだが,その当時からクライマックスのドンパチ・シーンばかりが話題になっていたように思える。逆に言えば,そこが最大の見どころになる訳だが,作品中にはいくつかメリハリをつけるためのシーンは準備されているとは言え,警察内の指揮命令系統等含めて設定が無茶苦茶なので,正直言って決して高くは評価できない映画だと改めて思った。エンディングもなんでやねん?と突っ込みたくなるようなもので,これは演出や演技の問題ではなく,シナリオが悪いとしか言いようがない。

Phoenix_20250901100601 その一方,私はSondra Lockeが出ているClint Eastwoodの映画をほぼ評価しない立場ではあるのだが,この映画のSondra Lockeはまだましな方と言っておこう。それよりも冒頭のシーンで,映画の舞台はどこかなぁなんて思っていたのだが,アリゾナ州フェニックスとわかって,そうだったのかぁなんて思っていた。この映画を見た当時は,私がその後フェニックスを訪れるなんてことは夢にも思っていなかったのだが,仕事で何度か行った頃には更に都会的なビルが立ち並び,この映画の風景とは随分違ったなぁなんて見ながら郷愁めいたものを感じていた。ついでだから2020年に行ったフェニックスのダウンタウンの写真を載せておこう(その後のコロナ禍もあって,これが私にとっての最後の海外出張となってしまった。もはやシニア従業員の私に海外出張のチャンスはあるまい)。

閑話休題。Clint Eastwoodの映画としてはこれよりずっといいのがあるよなぁなんて感じるものであり,見たのが時間の無駄だったとまでは言わないが,評価はできない。星★★☆。

本作のBlu-rayへのリンクはこちら

2025年9月 6日 (土)

Ben Williams Band@Cotton Club参戦記。

Ben-williams-at-cotton-club 随分久しぶりのように思っていたのだが,Cotton Clubに行ったのは今年の4月以来だから,間が空いたようで,大して空いていない。そんなCotton ClubへBen Williamsのバンドのライブを観に行った。Ben Williamsのライブを観るのは私にとってはPat Metheny Unity Band以来のことだが,本人は相当の来日回数があるようだ。しかし,終演後に本人と話をしたら,私が6~7年前か?と言ったら本人は11年前だと言っていた。それでもって調べてみたら,確かに2014年であった。ミュージシャンって記憶力がいいのだ(笑)。

それはさておき,今回のライブは私としては参戦するつもりはそもそもなかったのだが,夜の部活メイト(笑)からのお誘いもあり行ってきたわけだが,これが予想を上回るいい演奏であった。そもそも私はBen Williamsのアルバムの予習もすることなく,今回のライブに臨んだのだが,1曲目にはWoody Shawの"Moontrane"をやりながら,コンテンポラリーな感覚を打ち出して,この手の音を好物とする私の心をあっという間につかんでしまったのであった。

Ben-williams-and-i-mosaic_20250905072901 その後,オリジナルやMarvin Gayeの"Inner City Blues"を交えながら繰り広げられた演奏は,純粋4ビートではないものの,聴衆にも心地よいグルーブを感じさせるものだったと思う。アンコール前はBen Williamsのベース・ソロで締めたが,そこにも"Come Together"を引用したりして,コンベンショナルなジャズだけを演じる人ではないと感じさせるものであった。

バンド・メンバーの実力も高く,ギターのAndrew RenfroeとドラムスのJustin BrownはBilly Childsのライブで経験済みだったから間違いないと思っていたが,今回はAndrew Renfroeの出番はやや少なめって感じであった(しかも見るからに結構時差ボケがきつい感じ)。一方,ピアノのBrandon ColemanとテナーのChelsea Baratzがどうかというところであったが,この二人も実力あるわ~と感じさせるに十分な出来であった。Chelsea Baratzは大柄な女性だったが,パワフルなブロウぶりに加え,Ben Williamsのヴォーカルへのコーラスにもきっちり対応していた。

それにしても,Ben Williamsはよく喋り,よく歌い,よくベースを弾くって感じだったが,残念なのは聴衆があまり多くなかったことか。テーブル席とサイド席はそこそこ埋まっていたが,お高い席はほとんど客がいない状態というのはちょっともったいなかった。先日のTerri Lyne Carringtonの時もそうだったが,ほかのつまらないライブがフルハウス近くになるのに,こうした実力あるミュージシャンのライブの集客が悪いというのはどういうことなのかと思ってしまう。

_20250905_0001 ということで,私にとってはかなり満足度の高いライブだったが,終演後,売っていたCD(値段高過ぎだったが...)も購入し,Ben Williamsの印税にちょいと貢献して,一緒に写真も撮らせてもらったのであった(ここではいつものようにモザイク付き)。

Live at Cotton Club on September 4, 2025 2ndセット

Personnel: Ben Williams(b, vo), Brandon Coleman(p,key), Justin Brown(ds), Andrew Renfroe(g), Chelsea Baratz(ts, vo)

2025年9月 5日 (金)

買った経緯の記憶なし(爆):Shelly Mannの"More Swinging Sounds"。

More-swinging-sounds "More Swinging Sounds" Shelly Mann & His Men(Contemporary)

ラックを漁っていると,どうして自分はこんなCDを持っているのかと思うことがある。これなんかはそうした一枚と言ってよいと思うが,しかも国内盤,しかも紙ジャケなのだが,購入した際の経緯,動機が全く思い出せない。それは加齢による記憶力の低下だ!って話もあるが,とにかく記憶が完全に飛んでいる。私はPacificレーベルのアルバムもそこそこ保有していて,西海岸のミュージシャンのアルバムも結構好きだと思っているが,このアルバムもそこそこのメンツが揃っていて,その辺が購入の動機か,あるいは動物ジャケに惹かれてかってところかもしれない。

冒頭のCharlie Parkerno"Moose the Mooche"からして快調な演奏だが,全編を通して,いかにも西海岸という感じの軽めのサウンドが心地よい。フロントはCharlie MarianoとStu Williamsonの2管だが,Charlie Marianoのフレージングが魅力的に響く。4曲目の"Tommyhawk"はJohnny Mandelの曲だが,Johnny Mandelと言えば美しいメロディ・ラインが特徴だが,この曲は若干異色と言いたくなるようなアップ・テンポの曲なのには驚いた。

それにも増してこのアルバムを特徴づけているのは,最後に収められたBill Holmanによる15分を超える4部構成の組曲"Quartet"だろう。裏ジャケには"Shelly Mann & His Men Play Bill Holman’s Quartet, etc"とも書かれているから,この曲がメインという扱いだったと思う。いかにも作編曲されたという感じの曲で,この辺りは好みが分かれるところではあるが,それが西海岸ジャズの特性だと思えば腹も立たない。ただ,もう少しハードあるいはエモーショナルな局面があってもいいかなぁと感じるのも事実。まぁ,Shelly Manneがこの曲ではマレットを多用しているのもソフト感を増しているようにも思える。また,Stu Williamsonはこの曲の一部ではヴァルブ・トロンボーンを吹いているが,ラッパよりもサウンドはソフト化するのは当然だ。余談ながら,あのMaynard Fergusonにもラッパとヴァルブ・トロンボーンを使い分けて吹いているアルバムがあったなぁ。

まぁすっきりしたアルバムだとは思うが,それなりのプレイバック頻度にしかならないところが,いくら西海岸ジャズに耐性がある私でも絶賛するほどのものではないと感じている証左か。せっかくのRuss Freemanにももう少しソロ・スペースがあってもよかったように思える。星★★★☆。

Recorded on July 16, August 15 and 16, 1956

Personnel: Shelly Mann(ds), Stu Williamson(tp, v-tb), Charlie Mariano(as), Russ Freeman(p), Leroy Vinnegar(b)

本作へのリンクはこちら

2025年9月 4日 (木)

来日目前,Stingの最新ライブを改めて聞く。

Sting-30 "Sting 3.0 Live" Sting(A&M)

本作は既に4月に一度記事を書いているが,その時はストリーミング版だったので,今回は2枚組日本ヴァージョンをCDで聞いた。

今回は,前回ジャケ不良につきCD交換の憂き目を見て,聞けていなかったCD2を中心に聞いたのだが,これは明らかにオマケだよなぁという感じで,選曲はさておき,あまり期待し過ぎてはいけないものだと思えた。CD1ではあまり気にならなかったStingのキーの下がり具合をこっちの方が顕著に感じたというところか。

懐かしさもあって,星★★★★ってことにするが,古希を過ぎているんだから当たり前だと言えばその通りなのだが,全盛期のStingを期待してはいかんということを肝に銘じてライブに参戦することにしよう。でも現場では歌っちゃうんだろうなぁ(笑)。

Personnel: Sting(vo, b), Dominic Miller(g, vo), Chris Maas(ds)

今度はツアー・エディションとしてDisc 2なしの,22年のライブBlu-ray付きのヴァージョンが出ているようだ。商魂たくましいねぇ。そちらへのリンクはこちら。私は買わんが(爆)。

2025年9月 3日 (水)

またも無駄遣い?一部で話題のKeith Jarrettのアナログ盤を購入。

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"At the Deer Head Inn: The Comprete Recordings" Keith Jarrett(ECM)

一部で話題になっているDeer Head InnにおけるKeith Jarrettのライブ音源のアナログ化である。ECMのサイトで€124.9という破格の価格で販売されている4枚組である。通常アナログは2枚組でも€37.9であることを考えるといかに高価格かわかる。そもそも既発音源なのになんでこんなに高いんだ?と思うのが人情だが,ECMのサイトには"There won’t be a second print-run of this box-set, limiting it strictly to this edition."とあるから初回限定ということになる。しかも音がいいらしい。

ということで,悩んだ末,結局は血迷っての購入となったのだが,実は最初に届いたレコードにはDisc 1のB面に強烈な傷が入っており,あえなく交換と相成った。その代替品が到着したので早速聞いてみたのだが,私のしょぼいオーディオ・セットで違いを把握できるわけもない(爆)。Keithの声やドラムスの聞こえ方が違うかなぁと思わないこともないが,その程度では無駄遣いだと言えばその通りであるが,アナログの質感はやはりCDとは異なるし,媒体として聞く場合の集中力は,私はアナログの方が保てると思っているので,まぁこれはこれでよしだ。まぁ私は以前,「サンベア・コンサート」がアナログ再発された際も,これまた血迷って購入してしまったクチだが,最近ではCDとアナログの購入数が同等ぐらいになっているようにも思える。この要因としては昨今のCDの輸入盤の価格高騰も影響して,ストリーミングで済ませることが多くなったこともあれば,これまで入手できていなかったアナログをようやく手に入れる機会があったこともあるかもしれない。

いずれにしても,久々にこの時の演奏に触れる機会になったことは間違いなく,Jack DeJohnetteじゃないのかぁ~なんて思って,これまで冷遇してきたと言ってもよいこの音源のよさを改めて認識できたのはよい副次効果であった。しかし,今見たら,Amazonでは随分値段が下がっているのはなんでだ?

Recorded Live at the Deer Head Inn on September 16, 1992

Personnel: Keith Jarrett(p), Gary Peacock(b), Paul Motian(ds)

本作へのリンクはこちら

2025年9月 2日 (火)

週末にAmazon Primeで見た懐かしの白黒映画:今度はIngrid Bergmanが綺麗な「ガス燈」。

Gaslight 「ガス燈("Gaslight")」('44,米,MGM)

監督:George Cukor

出演:Charles Boyer, Ingrid Bergman, Joseph Cotten, May Whitty, Angela Lansbury, Barbara Everest

まだまだ見続ける往年の白黒映画ってことで,今回選んだのがIngrid Bergmanがオスカーで主演女優賞を獲ったこの映画。過去にTVで見たことがあるようにも思うが,見たとしてもはるか昔のことだったはずで,記憶の彼方だろう。

これは舞台劇を原作とする心理サスペンスと言ってよいと思うが,今時この映画に描かれる程度の心理戦に引っ掛かる人間はいないだろうと言うのは野暮で,まだまだ往時の人間も素直だったと思わせるような筋書きだ。舞台がロンドンに移ってからのCharles Boyer(シャルル・ボワイエ)の悪辣ぶりがえげつないが,それに心理的に操られてしまう妻役をIngrid Bergmanが演じる。徐々に心を病んでいく感じのIngrid Bergmanの演技が一番の見ものという感じがする。それでもこのIngrid Bergmanの美貌を眺めているだけでも見る価値はあるってものだ。そしてJoseph Cottenは善玉を善玉らしく演じるところは「白黒」はっきりしていてよい。

面白かったのがこうした心理サスペンスにMay Whittyのようなコミック・リリーフを設定していることだろうが,この辺りは深刻になり過ぎるストーリーを緩ませるためには必要だったと思わせるし,まだティーンエイジャーだったらしいAngela Lansburyの若い頃の姿が見られるのも面白かった。

まぁ上述の通り,このシナリオは...ってところもあるのだが,当時の人々にはこれでも十分に刺激的な映画だっただろうと思わせる。そういう時代だったのだということを感じながら見ていた私である。星★★★★☆。

それにしても,この映画の監督,George Cukorは後に「マイ・フェア・レディ」を撮ることになるが,いろいろなタイプの映画に対応する職人だよなぁというのにも感心。

尚,この映画には別キャストによる1940年版があり,DVDには両方収録されているらしい。その1940年版もストリーミングで見られるので,そのうち機会があれば見てみてもいいが,それより先に見るべきものが多数だな(笑)。さて,次は何を見るかねぇ。

本作のDVDへのリンクはこちら

2025年9月 1日 (月)

待望!Brad Mehldauの新譜が届く。映画音楽のようにも響く穏やかなアルバム。

_20250829_0001 "Ride into the Sun" Brad Mehldau(Nonesuch)

待望のBrad Mehldauの新作が届いた。既にお知らせの通り,今回のテーマはElliott Smithである。Brad Mehldauはライナーで"Elliott Smith’s music is healing music"と書いているが,その通り,ここではオーケストラを交えた穏やかな演奏が中心となっているのが特徴だろう。

最近のBrad Mehldauは,オーセンティックなジャズ路線はライブやほかのミュージシャンのアルバムが中心になっていて,自身のアルバムは越境型のアルバムが多くなっている。トリオ作を出したのは2018年の"Seymour Reads The Constitution!"が最後となっているが,暫くはこういうかたちで活動を続けるつもりなのかもしれない。

それはさておき,本作を聞いていて,オーケストレーションもあるということで,サウンド的には"Highway Rider"路線と言ってよいだろうし,本作でBrad Mehldauと共同プロデュースを務め,オケを指揮したDan Colemanは,"Highway Rider"でもオケの指揮をしていたので,おそらくアレンジメントにも手を貸しているはずだから,近しい雰囲気になるのもうなずける話だ。

しかし,本作と"Highway Rider"の大きな違いはヴォーカル・チューンが含まれていることだろう。まぁElliott Smithの音楽を中心に据えるということであれば,シンガー・ソングライターとしてのElliott Smithにスポットライトを当てるためには,インストだけでは成り立たないという考えもあったものと思われる。お馴染みのPunch BrothersのChris Thileに加えて,更に歌の面で貢献しているのがGrizzly BearのDaniel Rossenで,この人の声が結構繊細な感じで,雰囲気を醸し出している。

アルバムにおいてはインスト曲とヴォーカル曲が混在しているし,インスト曲もオーケストラ入り,ピアノ・ソロ,バンド形式と分かれているので,Brad Mehdauが目指したのは一種の組曲としての取り組みのようなかたちかもしれない。1曲単位で捉えることもできるが,むしろ一枚のアルバムとして聞く必要があるのではないかと感じていた。ヴォーカル曲はフォーク的であったり,ややロック・タッチを感じさせるものが含まれるのに対し,インスト曲はクラシカルな響きが強く,こうした音楽の混在に戸惑うリスナーも相応に存在するはずだ。オーセンティックなBrad Mehldauを聞きたければ,トリオで演じられる"Between the Bars"辺りが最適だろうが,私のようなBrad Mehldauの追っかけにとっては,こういうのも十分にありだと感じていた。

本作はElliott Smithの曲を素材としつつ,Brad Mehldauの幅広い表現力を発露したアルバムとして捉えればよいと思うが,穏やかな曲が多く,映画音楽的に響く部分も感じられ,言ってみれば「Elliott Smithの人生を描いた映画のサントラ盤」のようだと考えていた。Elliott Smithの曲,Brad Mehldauのオリジナルに加えてBig Starの"Thirteen"とNick Drakeの"Sunday"が加えられているが,前者は美しいメロディ・ラインを活かしたピアノ・ソロを聞かせる一方,後者はフルートをフィーチャーした演奏で,これがまた何とも映画音楽的なのだ。

こういうアルバムなので,Brad Mehldauに何を求めるかで評価は大きく異なるはずだ。強烈なチャレンジ精神は感じないが,Elliott Smithへのリスペクトに根差したBrad Mehldauの新たな表現形式と考えたい。星★★★★☆。まぁ私としても,そろそろオーセンティックな路線でのリーダー作も期待したいところだが,これはこれで十分ありなのだ。

尚,多くの曲でベースを弾いているJohn Davisは本作のエンジニアリングも担当した二刀流。もう一人のFelix Moseholmは旧友Jorge Rossyも加わったトリオで時折Brad Mehldauと共演しているプレイヤー。

Recorded on January 24-28, 2025

Personnel: Brad Mehldau(p), Daniel Rossen(g, vo), Chris Thile(mandolin, vo), John Davis(b), Felix Moseholm(b), Matt Chamberlain(ds, perc), Dan Coleman(cond), Alex Sopp(fl), Jessica Han(fl), Agnes Marchione(cl), Adrian Morejon(basson), Eric Reed(horn), Ellen DePasquale(vln), Austin Wulliman(vln), Christina Courtin(vln), Laura Frautschi(vln), Joanna Maurer(vln), Derek Ratzenboeck(vln), Dov Shreidlin(vla), Mario Goto(vla), Nadia Sirota(vla), Sophie Shao(cello), Michael Haas(cello), Caitlin Sullivan(cello), David Grossman(b)

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