「微熱・ボサノヴァ」とは言い得て妙なArto Lindsayのアルバム。
"O Corpo Stil(The Subtle Body)" (Güt)
このアルバムがリリースされたのは1995年のことなので,もう30年にもなるのかと振り返ってみて驚いてしまった私である。Arto Lindsayと言えばノイズ系の音楽の人だというのが一般的な認識であるが,その認識を覆したのが彼がMarisa Monteのアルバムをプロデュースしていたことであり,そして更には本作であった。そもそもArto Lindsayがブラジル育ちであったということは後に知ったことであったが,Marisa Monteのアルバムを聞いていれば,ブラジル音楽にも精通していることが十分にうかがえるのであった。
そして本作であるが,私が保有しているのは国内盤なのだが,その帯には主題の通り,「微熱・ボサノヴァ」と書かれていて,まさにそういう感じのサウンドだ。ジャズ界のミュージシャンや坂本龍一なども招きつつ,Arto Lindsay的なボサ・ノヴァが展開されているが,基本オリジナルの中で1曲だけJobimの"Este Seu Olhar(あなたの瞳)"をやっているが,これが正調ボサ・ノヴァであり,本質をちゃんとわかった上での演奏ということは明らかなのだ。
ここで聞かれるのは都会的なサウンドと言ってもよいし,プロデュース過剰の部分もないとは言えないので,本作に対してオーセンティックなブラジル音楽のファンは抵抗を覚えるところもあるかもしれない。しかし,予断を抜きにして聞けば,これまでブラジル音楽に親しみのなかったノイジーなArto Lindsayのファンをも,ブラジル音楽の世界に引き込むという契機にもなりえたのではないかと思えるのだ。私はこのアルバム以降もこの路線のArto Lindsayのアルバムはそこそこ保有していて,結局こういう音が好きなんだろうなぁと思ってしまう(Ambitious LoversのArto Lindsayも好きなのだが...)。
実を言えば,このアルバムも極めて久しぶりに聞いたのだが,こんなにいいアルバムだったかと改めて思った次第。星★★★★★としてしまおう。
Personnel:Arto Lindsay(vo, g, prog), Amadeo Pace(g), Vinicius Cantuária(g, perc), Bill Frisell(g), Lomero Lubambo(g), 坂本龍一(p, synth), Melvin Gibbs(b), Joey Baron(ds9, Naná Vasconcelos(perc), Cyro Baptista(perc), Brian Eno(sonics), 本田ゆか(sampler), テイトウワ(prog, p-strings)
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