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2025年9月 1日 (月)

待望!Brad Mehldauの新譜が届く。映画音楽のようにも響く穏やかなアルバム。

_20250829_0001 "Ride into the Sun" Brad Mehldau(Nonesuch)

待望のBrad Mehldauの新作が届いた。既にお知らせの通り,今回のテーマはElliott Smithである。Brad Mehldauはライナーで"Elliott Smith’s music is healing music"と書いているが,その通り,ここではオーケストラを交えた穏やかな演奏が中心となっているのが特徴だろう。

最近のBrad Mehldauは,オーセンティックなジャズ路線はライブやほかのミュージシャンのアルバムが中心になっていて,自身のアルバムは越境型のアルバムが多くなっている。トリオ作を出したのは2018年の"Seymour Reads The Constitution!"が最後となっているが,暫くはこういうかたちで活動を続けるつもりなのかもしれない。

それはさておき,本作を聞いていて,オーケストレーションもあるということで,サウンド的には"Highway Rider"路線と言ってよいだろうし,本作でBrad Mehldauと共同プロデュースを務め,オケを指揮したDan Colemanは,"Highway Rider"でもオケの指揮をしていたので,おそらくアレンジメントにも手を貸しているはずだから,近しい雰囲気になるのもうなずける話だ。

しかし,本作と"Highway Rider"の大きな違いはヴォーカル・チューンが含まれていることだろう。まぁElliott Smithの音楽を中心に据えるということであれば,シンガー・ソングライターとしてのElliott Smithにスポットライトを当てるためには,インストだけでは成り立たないという考えもあったものと思われる。お馴染みのPunch BrothersのChris Thileに加えて,更に歌の面で貢献しているのがGrizzly BearのDaniel Rossenで,この人の声が結構繊細な感じで,雰囲気を醸し出している。

アルバムにおいてはインスト曲とヴォーカル曲が混在しているし,インスト曲もオーケストラ入り,ピアノ・ソロ,バンド形式と分かれているので,Brad Mehdauが目指したのは一種の組曲としての取り組みのようなかたちかもしれない。1曲単位で捉えることもできるが,むしろ一枚のアルバムとして聞く必要があるのではないかと感じていた。ヴォーカル曲はフォーク的であったり,ややロック・タッチを感じさせるものが含まれるのに対し,インスト曲はクラシカルな響きが強く,こうした音楽の混在に戸惑うリスナーも相応に存在するはずだ。オーセンティックなBrad Mehldauを聞きたければ,トリオで演じられる"Between the Bars"辺りが最適だろうが,私のようなBrad Mehldauの追っかけにとっては,こういうのも十分にありだと感じていた。

本作はElliott Smithの曲を素材としつつ,Brad Mehldauの幅広い表現力を発露したアルバムとして捉えればよいと思うが,穏やかな曲が多く,映画音楽的に響く部分も感じられ,言ってみれば「Elliott Smithの人生を描いた映画のサントラ盤」のようだと考えていた。Elliott Smithの曲,Brad Mehldauのオリジナルに加えてBig Starの"Thirteen"とNick Drakeの"Sunday"が加えられているが,前者は美しいメロディ・ラインを活かしたピアノ・ソロを聞かせる一方,後者はフルートをフィーチャーした演奏で,これがまた何とも映画音楽的なのだ。

こういうアルバムなので,Brad Mehldauに何を求めるかで評価は大きく異なるはずだ。強烈なチャレンジ精神は感じないが,Elliott Smithへのリスペクトに根差したBrad Mehldauの新たな表現形式と考えたい。星★★★★☆。まぁ私としても,そろそろオーセンティックな路線でのリーダー作も期待したいところだが,これはこれで十分ありなのだ。

尚,多くの曲でベースを弾いているJohn Davisは本作のエンジニアリングも担当した二刀流。もう一人のFelix Moseholmは旧友Jorge Rossyも加わったトリオで時折Brad Mehldauと共演しているプレイヤー。

Recorded on January 24-28, 2025

Personnel: Brad Mehldau(p), Daniel Rossen(g, vo), Chris Thile(mandolin, vo), John Davis(b), Felix Moseholm(b), Matt Chamberlain(ds, perc), Dan Coleman(cond), Alex Sopp(fl), Jessica Han(fl), Agnes Marchione(cl), Adrian Morejon(basson), Eric Reed(horn), Ellen DePasquale(vln), Austin Wulliman(vln), Christina Courtin(vln), Laura Frautschi(vln), Joanna Maurer(vln), Derek Ratzenboeck(vln), Dov Shreidlin(vla), Mario Goto(vla), Nadia Sirota(vla), Sophie Shao(cello), Michael Haas(cello), Caitlin Sullivan(cello), David Grossman(b)

本作へのリンクはこちら

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コメント

わっはっは、それにつけても何となく残念なんですよね
このアルバムをCD、LP、Flacダウンロードで持っていたいと思わないところが全てです。むしろそれならライブ・ブートを買った方が良いと。
リンクさせてください↓
https://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2025/08/post-b8c7e7.html

photofloyd(風呂井戸)さん,おはようございます。リンクありがとうございます。

>わっはっは、それにつけても何となく残念なんですよね
>このアルバムをCD、LP、Flacダウンロードで持っていたいと思わないところが全てです。むしろそれならライブ・ブートを買った方が良いと。

Brad Mehldauに何を求めるかによって,ブートの方がいいじゃんという判断はあると思います。私の場合は追っかけである以上,ブートに目配りしながら,公式レコーディングは確実に入手するということにならざるをえませんが。GilmoreのライブはYouTubeでも見られますが,音だけでいいという場合,CDの方がいいですしねぇ。

閣下、トラバをありがうございました。m(_ _)m

私もヴォーカル・トラックにとても惹かれました。

>穏やかなアルバム

そうなんですよねぇ。これって、賛否両論になっちゃうんでしょうねぇ。私は、夏の間、車でヘビロテでした。夏のリリースのアルバムで、、ちょいと遅くなりましたが、、
私の投稿のリンクも置いていきますね。

https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2025/12/post-c6b975.html

Suzuckさん,おはようございます。リンクありがとうございます。

>私もヴォーカル・トラックにとても惹かれました。

こういうのを王道としないリスナーもいるでしょうが,いいですよねぇ。

>これって、賛否両論になっちゃうんでしょうねぇ。私は、夏の間、車でヘビロテでした。夏のリリースのアルバムで、、ちょいと遅くなりましたが、、

私も部屋で何度聞いたかわかりませんねぇ。何度聞いても飽きないって感じでした。

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