これまた久しぶりに聞いたGary Thomasの"While the Gate Is Open"。
"While the Gate Is Open" Gary Thomas (JMT)
本作が今はなきスイングジャーナル誌のジャズディスク大賞において,1990年の年間最優秀作である金賞に選ばれたのも今は昔だ。そんなGary Thomasは,21世紀に入ってその動静がほとんど聞こえなくなっており,90年代の活躍が嘘のようにシーンに登場することがなくなったのはなぜだったのか。現在もInstagramのアカウントはあるものの,Webサイトも見当たらない状態では,ほぼ引退状態なのだろうか?私と同い年なので,まだまだ現役で活動できそうなものなのだが...。
それはさておき,本作はジャズマン・オリジナルやスタンダードで固められたハイブラウな印象の強いGary Thomasにとっては異色と言ってもよいプログラムであり,リリース元であるJMTレーベルにとってもあまりないタイプのアルバムだと思うが,よくよくジャケを見ると著作権表示には日本のポリドールとあるから,企画を持ち込んだのは日本側かもしれない。しかし,複数のメンツ構成にも恵まれ,なかなか痺れる演奏を聞かせる。
冒頭,いきなりSonny Rollinsの"Strode Road"からというのが,相当チャレンジングであるが,Sonny Rollinsと全くタイプが異なると言ってよいGary Thomasだけに,受ける印象は大きく違う。よりスピーディかつコンテンポラリーな感覚が強くなるのは時代のなせる業ってところか。こういう演奏が日本で受けたのは,バブル末期の時代の高揚感と同期しているように感じるのは,Ralph Petersonの"V"が88年の年間最優秀作に推されたのと同質のイケイケ感をおぼえるからだ。その"V"も日本企画だったしなぁ。
ただ,このアルバム,選曲としてはイケイケ感だけではなく,2曲目に"Star Eyes"のような曲を持ってきたり,"Chelsea Bridge"をやったり,あるいは"Invitation"をフルートで演奏したりと,バランスは考えられている。但し,Gary Thomasのフレージングはどんな曲をやっても一筋縄ではいかないし,しっとり感は皆無で,逆にイケイケ感は相当あるが(笑)。まぁ,それを増幅させるのはデニチェンことDennis Chambersの手数の多いドラムスゆえか。
いずれにしても,こういう音源が日本で受けたのはやはりバブルの影響だと思ってしまうが,その後の所謂「失われた30年」を思えば,こうした時期を思い出すのも年寄りの特権だな(笑)。もう少し評価してもいいと思いつつ,一部の曲でフェードアウトする必要があったのか疑問なところもあって,星★★★★。
Recorded in May, 1990
Personnel: Gary Thomas(ts, fl), Kevin Eubanks(g), Renee Rosnes(p, synth), Dave Holland(b), Anthony Cox(b), Dennis Chambers(ds)
本作へのリンクはこちら。
« これも久しぶりだ。Branford Marsalisが複数のメンバー構成で聞かせる"Royal Garden Blues"。 | トップページ | DownBeat誌のArtist of the Year:James Brandon Lewisの最新作。ライブを聞いておくべきだった...。 »
「ジャズ(2025年の記事)」カテゴリの記事
- キング・レコードが売りたかったのはAlan Broadbentなのか,Brian Brombergなのか。(2025.12.26)
- 2025年の回顧:音楽編(その2::ジャズ)(2025.12.29)
- ストリーミングで聞いて痺れたPepper Adamsのライブ盤をアナログで入手。(2025.12.24)
- 2025年の回顧:ライブ編(2025.12.23)
- 今年最後のライブは森山威男~山下洋輔デュオ@Blue Note東京。(2025.12.20)
« これも久しぶりだ。Branford Marsalisが複数のメンバー構成で聞かせる"Royal Garden Blues"。 | トップページ | DownBeat誌のArtist of the Year:James Brandon Lewisの最新作。ライブを聞いておくべきだった...。 »































































コメント