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2025年7月 2日 (水)

あっという間に読了した「国宝」原作。

__20250630150601 「国宝」吉田修一(朝日出版社)

映画「国宝」の出来が素晴らしかったので,原作はどうだったかということで,多分買ったまま読んでいなかったと思ったこの原作だが,探索しても見つからない。ってことは買っていなかったのか,あるいはまだどこかに埋もれているのかもわからなかったので,文庫版を購入することにして,読み始めたらあっという間に読み終えてしまった。原作も大変よく出来ていたと今更ながら思わされる。

よくよくこの原作と映画を比較すると,映画版にはかなりの脚色が入っていることがわかる。映画の方がやはり劇的な要素を加味していて,特に吉沢亮演じる三代目が一旦ドサ回りをするシークェンスは原作にはない。映画を観た時に書いた「転落と復活」という筋書きは映画のために準備されたものであって,原作では一旦新派に転じるという設定だし,娘との関係性も全く異なる。確かに登場する女性たちの小説での存在感は映画よりは強いものではあるし,原作ではより重要な役割を果たす徳治,辻村,弁天等のキャラクターも描かれていない部分もある。

だからと言って映画のシナリオが出来が悪いかと言えばそんなことはなく,原作の持つエッセンスや挿話は上手く使いながら,端折るところは端折って歌舞伎へのフォーカス度を強めて,よくあのシナリオに仕立てたものだと思える。シナリオを書いた奥寺佐渡子にとってはストーリーの取捨選択は大変だったろうが,映画は別物として見ても楽しめるし,この原作も映画とは別物として読んでも楽しめてしまうところが素晴らしい。

映画が星★★★★★なら,この原作も星★★★★★だと言いたくなるし,原作を読んだら,もう一回映画を見に行きたくなってしまうこと必定。映画もヒットしているようだが,それも頷ける話である。

 

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