何でもできちゃうナベサダ・クァルテットって感じだ。
"Live at the Junk" 渡辺貞夫(CBSソニー)
先日取り上げたJoe Hendersonの"Henderson's Habiliment"が収録された銀座の「ジャンク」での,ナベサダこと渡辺貞夫のクァルテットによる1969年の実況録音盤である。60年代末と言えば,私はまだ小学生だからナベサダと同時代とはまだ言えない頃だが,今にして思えば,こういう感じだったのねぇと感じるレパートリーである。
主題にも書いた通り,ここでの演奏はバップあり,ロック・ビートあり,ポップス(Burt Bacharachの"This Guy’s in Love with You")のアダプテーションあり,スタンダードあり,ブラジルありと,何でもありという感覚が強い訳だが,やっている曲は多様でも,当時のジャズの熱さとでも言うべき感覚を覚えさせる演奏だと言ってよいと思う。リーダー,ナベサダの出番が多いのは当然だが,増尾好秋のソロもふんだんに捉えられていて,これがなかなか楽しい。
こうしたバラエティに富んだ選曲だと,捉えどころがないという言われ方もされかねないし,ナベサダのオリジナル,"If I Said the Sky Was Fallin'"のロック・ビートには時代も感じてしまうが,演奏の質は極めて高く,私の中ではナベサダのアルバムとしては結構評価したくなるアルバムだと思っている。収録時間の関係で最後の"Felicidade"がフェードアウトするのは惜しいが,その前の"Granny's Samba"で大いに盛り上がることを考えれば,まぁそれもまたよしってことにしておこう。星★★★★☆。
Recorded Live at the Junk on December 26 & 27,1969
Personnel: 渡辺貞夫(as,sn), 増尾好秋(g), 鈴木良雄(b), 渡辺文男(ds)
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