Walter Wanderleyからの今日はMarcos Valleだ(笑)。
"Samba '68" Marcos Valle(Verve)
昨日取り上げたWalter Wanderleyのアルバムにも参加していたMarcos Valleであるが,あちらでは曲は取り上げていても,ミュージシャンとしての露出は控えめだったこともあり,今日はMarcos Valle自身のリーダー作である。
本作は米国マーケットを意識したものなので,ブラジル音楽,特にボサノヴァがStan Getz以降ヒットしたことも踏まえての作りのため,「サンバ」と謳っていても,サンバと言うよりボサノヴァ色の方が濃厚に出ている。こういうのをブラジル人が聞くとどうなのかねぇと思いつつ,意識しているマーケットが違うのだから,まぁそれはよしとしよう。Milton Nascimentoの"Travessia"と"Courage"に明らかな違いがあったようなものだが,Milton Nascimentoの場合は私は完全に"Trvessia"なのだ(きっぱり)。なので,私は聞いたことはないが,Marcos Valleのよりブラジル色の濃い音楽にも興味は湧いてくるのだ。でもこの人の音楽にはそれほど土着性を求めてもいけないのかもしれないが。
いずれにしても本作はEumir Deodatoのアレンジメントに乗って,どちらかと言えばソフトな路線の音楽が多く,11曲中サンバ的なのは"Crickets Sing for Anamaria","Pepino Beach","It's Time to Sing"とWalter Wanderleyのアルバムにも入っていた"Batucada"ぐらいのものだ。その4曲とて決して熱量は高くない。だからと言ってそれが悪いというのではない。ここはMarcos Valleの書く佳曲を素直に楽しめばいいのだ。まずはMarcos Valleというシンガー・ソングライターを米国という巨大マーケットで売り出すためにはこういう構成はあって然るべきであったようにも思える。星★★★★☆。
Personnel: Marcos Valle(vo, g, p), Anamaria Valle(vo), Eumir Deodato(arr)
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