Joe Hendersonのアナログ盤"Henderson’s Habiliment"について書くのを失念していた。
"Henderson’s Habiliment" Joe Henderson(Victor)
本作のアメリカ盤CDである"Joe Henderson in Japan"については既に記事にしたことがあって,そちらも私は十分興奮させてもらった。しかし,オリジナルのアナログと米国盤で曲順,曲目が違うのを知って,再発を機に本作のアナログ盤を入手していたのだが,記事にするのをすっかり失念していたので,遅ればせながらのアップである。
米盤との違いはこちらには"Black Narcissus"が収録されているが,米盤はそれに代わって"Out 'n' In"になっているのに加え,曲順が異なっていて,元の演奏がすこぶるいいので,どっちでもいいのだが,どちらを取るかは聞き手の好みの問題に過ぎない。
米国盤の対応が異なるのは,当時のレーベル・オーナーであるOrrin Keepnewsの意向が働いたものと思うが,私としてはオリジナルの通り,A面1曲目はまさにぶちかましとでも言うべき強烈な"Junk Blues"で始める方が,アルバム全体への期待を盛り上げるという観点ではよいのではないかと思いつつ,米盤にだけ入っている"Out 'n' In"も捨てがたく,これはどっちも保有しないといかんのだと結論づけるのである。
昨年発掘されたMcCoy Tynerとの"Forces of Nature: Live at Slugs'"でもそうだったのだが,晩年のJoe Hendersonと比べると,ここでもテナーの音が違うなぁと思わせるに十分で,とにかく強烈で実に熱い演奏を繰り広げていて,ついつい嬉しくなってしまうのである。こういう演奏を眼前で繰り広げられた興奮の坩堝というのはわかるが,一部の客の騒ぎっぷりが少々うるさく感じられるのが難点である。ライブの場にはたまに迷惑な客がいるのも承知しているが,やたらに叫べばいいと思っているのではないかとさえ感じる聴衆の存在は誠に残念だ。演奏が素晴らしいだけにそれを水を差すような叫び声はやめて欲しかった。
だからと言って,このアルバムの価値が下がるものではない。演奏だけを聞けば星★★★★★だ。日本人リズム・セクションも実力発揮の熱いプレイで応えるところも素晴らしい。エレピがこれほど魅力的に響くというのもこのアルバムの美点だ。
Recorded Live at the Junk on August 4, 1971
Personnel: Joe Henderson(ts), 市川秀男(el-p),稲葉国光(b),日野元彦(ds)
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