安定のHampton Hawes。
"All Night Session! Vol. 1" Hampton Hawes(Contemporary)
Hampton Hawesは1977年に48歳という若さでこの世を去ってしまったが,活動最盛期と言ってよい50年代後半にクスリで収監されたのはジャズマンとしてのキャリアにとってはもったいなかったと思わざるをえない。それほど50年代にContemporaryレーベルに残したアルバムは誰しもが楽しめる,いい出来のアルバムだったからだ。
そんなHampton Hawesが1956年にLP3枚分のアルバムを一気にレコーディングしたので,このタイトルが付いた訳だが,私が保有しているのはその3枚分を2枚のCDに収めたもの。ここではまずはそのVol.1から書いてみたい。
上述の通り,私は50年代のContemporaryにおけるHampton Hawesのアルバムには失望させられたことがないが,テクニカルに突出しているとかという感じではないものの,ジャズ好きならこういう演奏を嫌いだという人はいないだろうと思わせるような演奏をする人だと思う。換言すれば,Hampton Hawesという人は,歴史に残る決定的な名盤とかを生み出したというよりも,誰が聞いても楽しめるアルバムを作る人だった。
そしてその感覚はこのアルバムにも当てはまる。ピアノ・トリオ編成が多いHampton Hawesのトリオに加わるのがJim Hallなのだから,これは鉄板だ。このスイング感,最高である。ジャズマン・オリジナルとスタンダードが3曲,Hawesのオリジナルが2曲というバランスも最適,いつもの如く楽しめるアルバムだ。冒頭の"Jordu"は本家Duke JordanともClifford Brownとも違う感じだが,出足からして好調で,つかみはOKなのだ。加えて2曲のオリジナルがリラクゼーションとブルージーな感覚もあって,これがまた魅力的なのだ。星★★★★☆。
こういうピアノを聞いてしまうと,Hampton Hawesが若い頃,日本に駐留をして,当時の本邦ジャズ・ミュージシャンと交流を重ねていたのは,日本のジャズ界においても非常に貴重なことだったと思わざるをえない。
Recorded on November 12, 1956
Personnel: Hampton Hawes(p), Jim Hall(g), Red Mitchell(b), Bruz Freeman(ds)
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