CTIレーベル顔見世興行的なボートラ付きライブ盤。
"California Concert" Various Artists(CTI)
主題の通りである。CTIレーベルに吹き込みを行っているミュージシャンが集まって,顔見世的なセッションを聞かせたライブ・アルバム。元々2枚組のLPとしてリリースされていたものに3曲の未発表音源を加えて,トータル150分越えというオリジナルのほぼ倍という長尺盤となったもの。
冒頭の"Impressions"からして未発表音源だが,ミュージシャンの紹介から入るので,ライブの場でもこれが最初に演奏されたものであろう。ということで,手慣らしみたいな感じがあって,"Impressions"ならもっと熱くやってくれ~とさえ言いたくなってしまうようなテンポからして緩~い演奏からスタート。私のRon Carter嫌いは筋金入りだが,ここでもつまらないソロを聞かされて,面白くないことこの上ない。最初から一番気合が入っていると思えたのはメンツの中ではCTIと言うよりもKuduレーベルの人と言った方がよいJohnny Hammondであった。こういう演奏が24分近く続くと,この音源は未発表でも仕方ないよなと思ってしまう。
アナログでは1枚目の冒頭を飾っていたのが次のHubert Lawsをフィーチャーした"Fire and Rain"。Hubert LawsのフルートやGeorge Bensonのソロは聞かせるところがあるが,このお祭り的なイベントでやるにしては,少々アレンジメントが地味と言うか控えめ。
そしてこういうイベントにはこの男が必要みたいな感じで始まるのがFreddie Hubbardの"Red Clay"。オリジナルのアナログ盤ではA/B面に分かれて収録されるという憂き目に遭ったこの曲であるが,ここではCDの強みを活かして,そうした無粋な編集は行われていない。だが,この"Red Clay"とて,もっと熱くできるだろうと思えるのは,Freddie HubbardのバックでのBilly Cobhamのドラムスが結構控えめに感じられるせいのようにも思える。Stanley Turrentineのバックになって,ようやくBilly Cobhamらしくなるって感じなのが惜しい。まぁ後半のFreddie Hubbardはそれなりに吹いているのだが,もっとできたよなと思う。
続くDeodato作の"Blues West"は文字通りのブルーズ。こういうのは一丁上がりてきな演奏にはいいだろうが,だからどうなのよ?とも言いたくなる。それに比べれば,短いながらも"So What"はGeorge Bensonのショーケース的な演奏としてはまだ聞ける。
CD2枚目に移っても,どうもこれはいけていないと思える演奏が続く。そもそも選曲として"It's Too Late"のアドリブ・パートはまだしも,テーマ部分なんて,完全にずっこけるような演奏ぶり。Stanley Turrentineの"Sugar"もFreddie Hubbardの"Straigh Life"もオリジナルの方が圧倒的にいいのではなんだかなぁとなってしまう。その場にいれば感慨も違おうが,こりゃあダメだと改めて思ったのであった。
このアルバムのライナーではBob Beldenが「お仕事」的にこの時の演奏を褒めちぎっているが,それほどのものとは到底思えない。ついでに言っておくと,MCを務めたのはオーナーのCreed Taylorだと思うのだが,曲中に喋りを入れたりして,ちょっとうるさいんだよねぇ。それぞれのソロには相応に聞きどころはあっても,あまり面白いとは思えないアルバムであった。星★★。次回売却候補だな(爆)。
Recorded Live at the Hollywood Palladium on July 18, 1971
Personnel: Freddie Hubbard(tp,fl-h), Hubert Laws(fl, piccolo), Hank Crawford(as), Stanley Turrentine(ts), Johnny Hammond(org, el-p), George Benson(g), Ron Carter(b), Billy Cobham(ds), Airto Moreira(perc)
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