全然認識していなかったDave LiebmanのColtrane集。曲は濃いが演奏は軽め。
"Selflessness: The Music of John Coltrane" Dave Liebman Expansions(Dot Time)
二日連続のDave Liebmanである(笑)。昨日Dave LiebmanのThelonious Monk集を取り上げて記事を書きながら,久しぶりにLiebmanのWebサイトを覗いてみた。ディスコグラフィが2022年で止まっているが,これまでの活動を考えると,何かあったのかと思ってしまう。そこで見つけたのが2021年リリースの比較的新しい本作。これまでもColtrane集を吹き込んでいるDave Liebmanによる最新のColtraneへの取り組みが本作。ここで率いるグループ,Expansionsはベテランと若手の混成軍となっていて,Dave Liebmanが若手を鍛える場としてやっている感じだ。そこで取り上げるのがJohn Coltraneの音楽というのは,若い衆も決して避けては通れないという感覚だろう。
そして,私がこれを買いだと思ったのはその曲目(とその値段:笑。安かったのだ)にある。"Mr. Day"に始まり"Dear Lord"で締める曲目が実に濃いのだ。"Compassion","My Favorite Things","Ole","Lazy Bird","Peace on Earth","One Up One Down",そしてタイトル・トラックとかを並べられたらそりゃあ気になるわ。Dave Liebmenのことだから,思い切りハイブラウに攻めることもできただろうが,ここでは比較的あっさりやっているのは意外であった。アルトを吹くMatt Vashikishanはウインド・シンセも使っているし,ピアノのBobby Aveyはエレピやシンセも演奏していて,ゴリゴリだけではない感覚を付与しているのがDave Liebmanとしては珍しい気がする。そうした印象は録音のせいもあるかもしれない。しかし,Liebmanの吹くソプラノは相変わらずのLiebman節の連発だが。
更にここでやっているような曲を演奏すれば,1曲当たりの時間が長くなりそうなものだが,本作では最長の"My Favorite Things"でも8:35というのも意外だし,アレンジも意表を突いている。全体的にはコンテンポラリーな感覚も残しながら,軽い演奏が多いのだ。それでもこういうのもありだなと思わせる部分があって,やれ精神性がどうのこうのとかいう小難しいことを言わずに,John Coltraneの曲に取り組むやり方としては一つの方法論だろうと思えた。そして鍛錬中の若手二人,Matt VashikishanとBobby Aveyはかなりの実力者だと思えるプレイぶりも,メンターとしてのDave Liebmanの賜物であろう。
ここでの演奏をDave Liebmanのファンがどう思うかという部分はあると思えるし,私としてはもう少し暑苦しい感じの方が好みなのも事実だが,私はこういうやり方もありだと思えた。星★★★★。
Personnel: Dave Liebman(ss, wooden-fl), Matt Vashilishan(as, fl, cl, wind-synth), Bobby Avey(p, key, synth), Tony Marino(b), Alex Ritz(ds)
本作へのリンクはこちら。今見たら値段が跳ね上がっている...。私としてはラッキー,ラッキー(爆)。
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