「ブルータリスト」:なかなか厳しい映画だ...。
「ブルータリスト("The Brutalist")」(’24,米/英/加,Universal)
監督:Brady Corbet
出演:Adrian Brody, Felicity Jones, Guy Pearce, Joe Alwyn, Raffey Cassidy, Stacy Martin
Golden Globeも受賞して,オスカー戦線でも有力視されているこの映画,215分という尺にもかかわらず,私が観に行った回はかなりの聴衆でほぼ満席と言ってもよい客入りであった。昨今私が見た洋画でこれほど観客が入っていたのは実に久しぶりな気がする。
迫害を逃れて妻を置いて米国に逃亡したユダヤ人建築家の人生を描いた映画なのだが,Adrian Brody演じるLászló Tóthが自身の建築完遂のために精神的にも壊れていく様は見ていて辛いものがあるし,Felicity Jones演じるその妻もかなり怖いので,見る方も心理的負担の強い映画と言ってもよい。
しかし,「序曲」から始まって,第一部,休憩を挟んで第二部,そしてエピローグとして描かれる映画は古き佳き時代の長尺映画へのオマージュとも言えて,私を含めたベテランの観衆には懐かしさを与えていたのではないか。
各々の役者陣も優れた演技でこの重苦しいドラマに貢献しているが,見ていて重苦しさが勝ってしまう映画とも言えて,これは好き嫌いが分かれても仕方がないだろう。もちろん,この尺をものともしない重厚感は評価されて然るべきだが,見終わった後の疲労感は半端ではなかった。演出,脚本,演技のどれを取っても優れた映画であることは間違いないが,この重さは私には少々厳しいものだったというのが正直なところだ。星★★★★。
それにしても面白かったのはこの映画を見に行った時に配られたリーフレット。フィクションなのにあたかも実在するかのように仕立てた冊子を配ってしまうのはさすが配給元がPARCOって感じか。さすがに本国でもここまではやっているまい。
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