録りだめしてあった「蜘蛛巣城」を初めて見た。
監督:黒澤明
出演:三船敏郎,山田五十鈴,千秋実,志村喬,佐々木孝丸,浪花千栄子
録画してあったこの映画をこの歳になって初めて見た。シェイクスピアの「マクベス」を翻案したことでも知られるこの映画だが,ストーリーを舞台を変えつつもかなり忠実に脚色していて,へぇ~,こんな映画だったのかなんて今更ながら思っていた私である。
それにしても山田五十鈴が恐ろしい。マクベス夫人に相当する浅茅こそ悪女を絵に描いたような造形であるが,発狂後の姿もまた恐ろしい。それに操られるかの如き三船敏郎演じる鷲津武時の錯乱ぶりも,カッコいい三船の姿を見慣れているこちらからすれば,大した役者であったと改めて思ってしまった。その一方で乗馬シーンも見事で,何でもこなしてしまうところに感心してしまう。また,この映画のために組まれたセットも凄いもので,この美術を見るだけでも価値があった。
更に面白かったのが,クレジットの監督助手に野長瀬三摩地の名前を見つけたことであった。私たちの世代にとって,野長瀬三摩地は「ウルトラ・シリーズ」の演出でお馴染みであるが,黒澤の助監督を務めていたとは露知らず,これまたへぇ~となってしまったのであった。
いずれにしても,今更ながらでもこういう映画を見ることができて本当によかった。重苦しい映画と言ってもよいが,黒澤明の多様性を認識する上でも価値があると思う。星★★★★★。
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