「教皇選挙」を見に行ったが,実に面白かった。
監督:Edward Berger
出演:Ralph Fiennes, Stanley Tucci, John Lithgow, Lucian Msamati, Sergio Castelitto, Isabella Rosselini
本年のオスカーで脚色賞を受賞した作品である。私は常々面白い映画はシナリオが大事だと思っているが,評価されるのも頷ける実に面白い作品であった。
ローマ法王が亡くなると,その後継者を選ぶノンが教皇選挙,コンクラーヴェであるが,これをヴァチカンが見たらどう思うかなとさえ感じてしまう,コンクラーヴェの背後の私欲渦巻く暗闘を描いていて,これが実にスリリングな映画なのだ。アクションなんて全くないのに,こうしたサスペンスフルな展開を生み出したシナリオ,演出,そして見事なまでにシスティナ礼拝堂を再現したセットが素晴らしい。
そもそもこの映画の原作を書いたRobert Harris自身が優れたシナリオ・ライターとして,「ゴーストライター」や「オフィサー・アンド・スパイ」でいい仕事をしているから,自分でも脚色はできそうなものだが,今回シナリオを任せたPeter Straughanがいい仕事をしたと言ってよいだろう。
まぁストーリーとしてはほぼ想定内の展開の中,ラストにはびっくりさせられたが,静かな中にもキリキリとするようなサスペンスを生み出したEdward Bergerの演出も見事なら,ほぼ出ずっぱりのRalph Fiennesの演技もよかった。繰り返しになるが,こういうのを面白い作品と言うのだ。私は朝一番の回を見に行ったのだが,昨今の洋画興行が不調の中,客入りもよかったのには救われる気分になった。多くの人に勧めたくなる映画だ。星★★★★☆。
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