久しぶりに聞く父の遺品:"Django"。
"Django" Modern Jazz Quartet(Prestige)
元来クラシック好きだった私の父だが,晩年はジャズも聞くようになっていたことはこのブログにも何度か書いた。そんな私の父がこの世を去って,もはや四半世紀近い時間が経過して,私も父が亡くなった年齢に徐々に近づきつつあるが,音楽的な嗜好には結構違いが大きいままだ。父はジャズで言えば,Thelonius MonkやこのModern Jazz Quartetを好んで聞いていたように思う。特にMJQに関しては,父が残したCDを見ていると,MJQそのものに加え,Milt Jacksonが好きだったように思える。私はMonkもMJQも当然聞くが,Monkはさておき,MJQを積極的に聞いてきたとは言えない。"Concorde"と"Last Concert"を除けば,現在私が保有しているMJQのアルバムは父の遺品である。"Django"も昔はアナログで保有していたが,CDで買い直すところまではいかなかったのだ。
そんな私だが,久しぶりにこのアルバムを聞くにつけ,この「ノーブル」と言ってもよい響きやJohn Lewisが書くオリジナル曲が,必ずしも私の好むタイプのものではなかったようにも思えてくる。私も父と同じように,Milt Jacksonは好んで聞いていても,MJQのプレイバック頻度が上がってこないのは,結局は好みの問題ではある。しかし,本作を聞くにつけ,1953年から1955年にかけてのレコーディングにしてはいい音で録れていると思ってしまうし,やはり往年の名盤としての地位は揺るがないだろう。
このアルバムではドラムスはKenny Clarkeが叩いているが,後年のConnie Kayがどちらかと言えば堅実にグループをサポートする感じだったのに対し,バッパーとしての自己主張を感じさせる部分もあるものの,そこは実力者,演奏を破綻させることのない大人な対応である。それでもってこのアルバムにおいては,冒頭に置かれたタイトル・トラックがやはり有名曲としての存在感で頭抜けているように思えるが,全編を通じて熱くなることはないのがいかにもMJQ。そんな感じだから,Kenny ClarkeがMJQ単独アルバムとしては本作だけで脱退するのもまぁ当然だったって気がする。むしろ,改めて聞いてみると,Percy Heathが思った以上に目立っていたと思えたのが面白かった。
まぁ私としてはMJQならばこれより好きなアルバムもあるってことで,星★★★★としておこう。
Recorded on Jun 25, 1953,December 23, 1954 and on January 9, 1955
Personnel: Milt Jackson(vib), John Lewis(p), Percy Heath(b), Kenny Clarke(ds)
本作へのリンクはこちら。
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