今はなきBradley'sにおけるKenny Barronの優れたライブ盤。
"Live at Bradley's" Kenny Barron(Verve)
私の2年弱という短いNYC生活の中で,数々のジャズ・クラブを訪れる機会があったことは自分の人生においても,実に貴重な経験であったと思う。そうした中で,一番好きなクラブはどこだったかと言えば,私はBradley'sだったと言いたい。もちろん,Sweet Basilや55 Barも好きだったが,インティメイトな感覚という意味ではBradley'sに勝る店はなかった。今やこの3つの店は閉店してしまってもうない...。そのほかの店も今でも残っている店の方が少ないぐらいなのは残念だが,イースト・ヴィレッジには結構新しい店も開いているようだ。因みに現存する店で言えば,ぎゅうぎゅう,きつきつに客を詰め込むBlue Noteは嫌いだったし,その後もあまり行きたいと思わない店の筆頭と言ってもよい。それに比べれば,テーブルもゆったりしたBirdlandの方がはるかにいい店だ(きっぱり)。
私がBradley'sを訪れるのは決まって2軒目としてで,それはジャズ・クラブのはしごとしてでもいいし,友人と食事をした後でもよかったのだが,決まって私はバーに陣取っており,テーブルに座ったことは一度もないし,食事を頼んだこともない。あくまでも酒を飲みながら,くつろいで音楽を聞くのに最適な店だったから,この店ではやかましい音楽が演奏されていることはまずなく,トリオやデュオ編成が多かった。
そんなBradley'sが惜しくも閉店した1996年に吹き込まれたライブ音源が本作であるが,私はこのアルバムを聞いた瞬間,Kenny Barronへの評価が爆上がりしたのであった。本作はレコーディングから暫くした2001年にリリースされたものだが,あまりのよさに,当時いろいろな人にこのアルバムを勧めまくっていたのであった。それももう四半世紀前近くになってしまった。
ここでもBradley'sで演奏されるに相応しいタイプの演奏が並んでいる。冒頭から"Everybody Loves My Baby, But My Baby Don’t Love Nobody But Me"のような古い曲をやっていてびっくりするが,決して古臭さを感じさせるものではない。アルバム全体のトーンは基本的には落ち着いたものと言ってよいが,James Williamsが書いた"Alter Ego"のイントロなんて痺れるしかない出来だ。しかし,2曲目の"Solar"ではスリリングなところも聞かせて,アルバムとしてのバランスもよいのだ。その後,このアルバムの続編も出たのだが,そっちも悪くないとしても,本作がよ過ぎたということで,割を食ったのである。私としてはKenny Barronのリーダー作と言えば今も昔もこれにならざるをえない傑作。星★★★★★。まぁだまされたと思って聞いてみて下さい。
Recorded Live at Bradley's on April 3 and 4, 1996
Personnel: Kenny Barron(p), Ray Drummond(b), Ben Riley(ds)
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