実話に基づく「セプテンバー5」:スリリングかつ真面目に撮られた映画。
「セプテンバー5("September 5")」(’24,独/米,Paramaount)
監督:Tim Fehlbaum
出演:Peter Saasgard, John Magaro, Ben Chaplin, Leonie Benesch, Zinedine Soualem
1972年のミュンヘン・オリンピックで起きた黒い九月によるテロ事件は,人質全員死亡という悲劇的な結果に終わったことは私は子供心に記憶している。その後,Steven Spielbergが映画「ミュンヘン」でも描いたから,事件そのものについては理解しているつもりだ。この映画はその事件を報道する米国ネットワークABCのスタッフの対応について描いたもので,まさに事実は小説より奇なりと言うべきサスペンスフルな映画。
出てくるABCの面々は実在の人物で,私にとっては在米中にニュースのアンカーだったPeter Jenningsの名前が懐かしかった。リアルな報道と同時にスクープのために結構なことをやっていたのだなぁなんて感じてしまうが,ギリギリの中での取材への取り組みぶりは相当リアルな世界だったのだろうと思わせる。そうした中での「伝えるべきか,伝えざるべきか」という判断も絡んで,相当高いテンションが続く映画であり,この緊張感は90分強という尺が適切と思わせるものであった。
ほぼTVの中継スタジオという密室で描かれるドラマはシナリオもよく出来ており,オスカーへのノミネーションにもうなずけるもので,私は見ていて緊張を強いられながらも,大いに嬉しくなっていたのであった。今年観た映画はみんな当たりということで,評価も甘くなり星★★★★★にしてしまおう。
それにしても,こんな事件がありながら,オリンピックを一時中断だけで継続させたIOCの判断は本当に正しかったのかと今更ながら思うのであった。
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