久しぶりに聞いたSonny Rollinsの「ヴィレッジ・ヴァンガードの夜」。
"A Night at the Village Vanguard" Sonny Rollins(Blue Note)
このアルバムをこのブログで取り上げたのが2010年8月のことであった。果たしてそれ以来このアルバムをプレイバックしたことがあったか?と問われれば,Yesと答える自信がない。昨今と異なって,まだCDをガンガン買っていた時期は暫く続いて,新譜を聞くのに忙しかったこともあって,手持ちの音源を聞く機会というのは限られていたというのが実態だ。しかし,コロナ禍を経て,仕事も在宅勤務が中心になり,手持ちのアルバムを聞く機会は随分増えてきて,「温故知新」モードが強まっているように思う。それでも本作のように世評を確立したアルバムよりも,「これってどんなんだったけ?」という感じのアルバムの方に手が伸びることが多いのも事実で,ついついないがしろにしがちな往年の名盤なのだ。
ではなんでこのアルバムを急に聞く気になったかと言えば,先日取り上げたCharlie HadenとJoe Hendersonのトリオ・アルバムによるところが大きい。そう言えば本作も暫く聞いていないということで,本当に久しぶり(記事にして以来だとすれば,14年以上ぶり!)のプレイバックとなった。また,昨年,レコード・コレクター誌において「ブルー・ノート・ベスト100」なんて特集が組まれたことも影響があると思う。ただ言っておきたいのはレココレ誌のライターは通常のジャズ・リスナーとは少々テイストが違っていて,なんでこれが?みたいなアルバムが評価されているところもあるが,そうした中で本作は15位という当然と言ってよい(あるいはもっと上でもよい)ポジションを確保していた。
このピアノレス・トリオがアドリブの自由度の高さを求めてというところもあったとは思うが,選曲も自由度を発揮しやすそうな曲が並んでいる。そしてほとんどSonny Rollinsワンマン・ショーの如き吹きっぷりは今聞いても興奮する。こういう音楽はある程度ボリュームを上げて聞くべきであり,私の場合,「家人の居ぬ間」を狙うというのが一番だ(爆)。そして感じるのが50年代のSonny Rollinsの凄みだが,長年活躍を続けたSonny Rollinsであっても,やはりこの人のピークは50年代だったと思わざるをえない演奏の数々に思わず興奮してしまった私である。そしてそれを煽るElvin Jonesのドラムスだが,バスドラのキックも強烈なドラミングは,サックス奏者ならずとも共演者が燃えること必定。先般のCharlie HadenとJoe Hendersonの共演盤もいい出来だったと思うが,このアルバムと比べてしまうと...って感は否めない。
その後,様々なかたちでリリースが続けられることもこのアルバムの素晴らしさと人気を物語っていると思う。未発表だった音源にも興味はあっても,私はまずはこの一枚だ。Sonny Rollins恐るべしと思わせるに十分なアルバム。星★★★★★以外ありえない。
Recorded Live at the Village Vanguard on November 3, 1957
Personnel: Sonny Rollins(ts), Wilbur Ware(b), Donald Bailey(b), Elvin Jones(ds), Pete La Roca(ds)
本作へのリンクはこちら。
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