これも久しぶりに聞いたAmericaのベスト盤。
"The Complete Greatest Hits" America(Warner Brothers/Rhino)
久しぶりにこのアルバムを聞いた。私はAmericaというバンドに思い入れはないのでベスト盤で十分なのだが,私が彼らの音楽に惹かれた契機は"Ventura Highway"だったように思う。あるいは"Sister Golden Hair"だったか。いや,やっぱり"Ventura Highway"だ。子供心にこの曲のメロディ・ラインが魅力的だったのだ。このベスト盤を買ったのも"Ventura Highway"が聞きたかったからと言っても過言ではない。
それでもって改めて聞いてみると,端からわかっていることではあるが,曲にしてもコーラス・ワークにしても,明らかにCSN&Y的であった。ただ,Americaの場合はより西海岸的な軽快さと言うか,爽やかさが強い感じがあって,そちらのサウンド指向がより明確であるから,おそらくはこの調子では飽きられるのも早かったのではないかと思える。デビュー・シングルとアルバムが売れて,2枚目もそこそこ売れたものの,3枚目が大して売れずってのも納得なのだ。
4枚目のアルバムでGeorge Martinをプロデューサーに迎えて起死回生を図り,5枚目の"Hearts"所収の”Sister Golden Hair"で盛り返したものの,その辺りまでがAmericaというバンドの人気が維持されていたことになるだろう。それが82年になって,いきなり"You Can Do Magic"がヒットしてカムバックみたいな感じになるのだが,この頃になると完全にAOR化したって感じだろう。これは長年のファンに響いたってより,新たなファン層を開拓したってことになるだろうが,その後はアルバム・ジャケも完全AORじゃんって感じになっていくのも面白い。
まぁ本作はベスト・アルバムだから,それなりの曲が揃っているとは言え,クォリティにはばらつきがあると感じさせるのが否定できない。それでも一時代を築いたバンドの軌跡を手軽に知るには丁度いいって感じだろう。星★★★☆。
Personnel: America<Gerry Buckley(vo, key, g, b, hca), Dewey Bunnel(vo, g), Dan Peek(vo, g, b, key, hca)>
本作へのリンクはこちら。
« またもブート(まがい)の話:今度はBernsteinのマーラー5番。 | トップページ | これがRay Brownのラスト・レコーディング? »
「ロック」カテゴリの記事
- "Kid A":Radioheadの大きな変貌。(2025.02.08)
- またもやってしまった無駄遣い:Santanaの"Lotus"のMobile Fidelity版LP。(2025.01.28)
- The Cure:ウェットでダークなブリティッシュ・ロックの典型。(2025.01.26)
- 今年最初のライブはCatpack@Blue Note東京。(2025.01.25)
「ポップス」カテゴリの記事
- 笠井紀美子の"TOKYO SPECIAL":昨今ならシティ・ポップって言われるのか...。(2025.01.31)
- 今年最初のライブはCatpack@Blue Note東京。(2025.01.25)
- これも久しぶりに聞いたAmericaのベスト盤。(2025.01.23)
- ブラックホーク99選に選ばれている日本人の作品を改めて聞く。(2025.01.06)
- EBTGのベスト盤(?)は何組もあって大変だ(笑)。(2024.12.08)
「SSW/フォーク」カテゴリの記事
- 買ってから全然聞いていなかったIan Matthewsのアルバムだが,これぞ選曲の妙であった。(2025.01.29)
- これも久しぶりに聞いたAmericaのベスト盤。(2025.01.23)
- ブラックホーク99選に選ばれている日本人の作品を改めて聞く。(2025.01.06)
- 2024年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外)(2024.12.28)
- Nick Drakeの遺作。沁みるねぇ。(2024.11.30)
コメント
« またもブート(まがい)の話:今度はBernsteinのマーラー5番。 | トップページ | これがRay Brownのラスト・レコーディング? »
清涼感溢れるコーラスとアコースティックギターサウンドで、わが青春時代を大いに魅了してくれた「アメリカ」とは大好きでした。爽やかなハーモニーと洗練された演奏(哀愁も十分!)は、中年オヤジになってもいつまでも心に残り続けております。中学三年の時、高校受験勉強で深夜ラジオから流れてきたのが彼らのデビュー曲「名前のない馬」でした。淡々と歌い上げるフォークロックテイストの曲は期せずしていきなり全米NO1となり一躍全世界にブレイクし登場したのです。へ~、こんな地味な印象の曲が大ヒットとなるのか・・と驚いたものですが、なぜか心に刻まれ感性に訴えるものがありました。デビューアルバムもミリオンセラーを記録し、その年のグラミー賞では最優秀新人賞の栄光に輝いたのです。当時はハードロックやプログレの全盛期でしたが、それらとは一線を画す「シンプルで味わいある生の音」がとても新鮮でしたネ~!もしかして一発屋で終わるのかな・・と思いきや、その後も「ベンチュラハイウェイ」、「アイニードユー」と次々にヒット!やはり「金色の髪の少女」が最高です。来年は米国建国250年、アメリカ繋がりでもう一度特集を組む予定です。
投稿: ローリングウエスト | 2025年2月 1日 (土) 11時41分
ローリングウエストさん,おはようございます。
>清涼感溢れるコーラスとアコースティックギターサウンドで、わが青春時代を大いに魅了してくれた「アメリカ」とは大好きでした。
私は決してはまった訳ではないんですが,いい曲が多い人たちでした。
>「名前のない馬」...へ~、こんな地味な印象の曲が大ヒットとなるのか・・と驚いたものです
そうですよね。あの曲は確かに地味な印象ですが,よく売れたものだと思います。その後の曲の方がキャッチーでしたし。おっしゃる通り「金色の髪の少女」も忘れがたいですね。
投稿: 中年音楽狂 | 2025年2月 2日 (日) 10時22分
今もなお活動継続している英国ハードロックバンド「ナザレス」(50数年のキャリア)を紹介していますので覗いてみて下さい。ディープ・パープルとレッド・ツェッペリンとユーライア・ヒープとグランド・ファンクを足して4つで割った様なハードロック・サウンドが主体ですが、アメリカンロック志向のサウンドの中にCCRやストーンズの様な曲も登場して、実に多彩で隠れたお宝物バンドです。
投稿: ローリングウエスト | 2025年2月 4日 (火) 16時48分
ローリングウエストさん,おはようございます。ご連絡ありがとうございます。
>今もなお活動継続している英国ハードロックバンド「ナザレス」(50数年のキャリア)を紹介していますので覗いてみて下さい。
今でも現役というのは凄いですが,Stonesもそうですが,健康管理に留意しているってことでしょうね(笑)。正直なところ私はNazarethとは全く縁のない生活を送ってきたので,今度ストリーミングで聞いてみます。
投稿: 中年音楽狂 | 2025年2月 5日 (水) 07時34分