年末年始に見た映画(1):名画なれどもテーマが重い「処女の泉」。
「処女の泉("Jungfrukällan")」(’60,スウェーデン)
監督:Ingmar Bergman
出演:Max von Sydow, Birgitta Valverg, Gunnell Lindblom, Birgitta Pettersson, Axel Düberg, Tor Isedal
年末年始には結構映画を見てしまう私だが,今回の休みの一本目に選んだのがこの映画であった。Amazon Primeでの配信終了が迫っていたこともあったし,以前から何度も見ようとしながら,結局見るチャンスがなかったのがこの映画だ。思えば中学生の頃にこの映画のほか,Ingmar Bergmanの映画を特集していたことがあって,確か前売り券は買っていたのだが,時期を逃し行き損ねたのがこの映画との縁遠さの始まりであった。
ということで,今回この映画を初めて見る機会となったのだが,テーマは「神の不在」という,繰り返しキリスト教において問題となるものであった。遠藤周作の「沈黙」も同様のテーマであるが,年末年始ののんべんだらりとした生活感の中で見るには非常に重い映画であった。もう少し気楽に見られる映画にしてもよかったかなぁなんて思いつつ,その映像美に痺れていた私であった。いくつかのシーンではAndrei Tarkovskyにも影響しているだろうなんて思っていた。
神の不在を描きながら,ラスト・シーンでは神の存在なり意思を示すというところが,キリスト教的宗教観の表れだと思えるものではあるが,1960年という製作年度を考えれば,この映画のシナリオや映像は問題作と言われても仕方がないところである。なので,公開当時は一部カットされたのも時代ゆえに仕方ないところだろう。
いずれにしても重いテーマを描きつつ,見事なカメラ・ワークや重厚な役者陣の演技にも感動させられる名作。たまにはこういう映画を真剣に見ることも大事だと痛感させられた。星★★★★★。
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