Archie Sheppの"Montreux" 2 in 1:終曲のフェード・アウトが痛い...。
"Montreux" Archie Shepp (Freedom)
本作は元々は"Montreux One","Montreux Two"という2枚のアルバムとして分売されていたもので,それが2 in 1のCDとして発売されたのがほぼ30年前のことだが,私は中古でゲットしたもの。それがいつ頃だったかは覚えていない。2 in 1というのは聞く方にとっては安く上がるのでありがたいことはありがたいのだが,残念なのはアルバム中で最も激しいと言ってよい最後の"Blues for Donald Duck"が演奏途中でフェード・アウトってことだ。まぁCDの収録時間には限界があるから,仕方がないとは言え,これはやはり惜しい。そうは言いながら,これを2枚組でリリースしたところで売れる枚数は限られているだろうというレコード会社の判断も,それはそれで仕方ない。しかし惜しいと言えばやはり惜しいと思えるのだ。
70年代以降のArchie Sheppはコンベンショナルなスタイルでの演奏が増えたが,昔ながらの激しい演奏ばかりやっていればいいってものでもないし,こういうミュージシャンの変化そのものはあっても不思議ではない。私は60年代の演奏も70年代以降の演奏のどちらも受け入れOKである。よく言われる50年代のArt Pepperと復帰後のArt Pepperのどちらがいいかという論争と同じで,私は両方いいと思っているのと同じである。
ここでの演奏はArchie Sheppのフレージングもよく,大いに楽しめる。そうした中で"Blues for Donald Duck"が突出した激しさを持っているだけにこれをフェード・アウトするか,ほかの曲をフェード・アウトにするかってのは難しい判断だ。全編を通じていい演奏が続くので,これは致し方ない判断だったという気もする。
そうした中で,1曲目のArchie Sheppのソロ・カデンツァから入る"Lush Life"が素晴らしく,冒頭からこういう演奏をされれば完全に掴みはOKで,そのまま好調な演奏が続いて嬉しくなってしまうのだ。
こういうアルバムはもう少し入手を簡単にしてもよいと思わせる演奏だが,やっぱり売れないのか...(苦笑)。久しぶりに聞いてもこのアルバムの時のArchie Sheppは好調だった。ということで,フェード・アウトなかりせばということで,半星減らして星★★★★☆。ついでに"Montreux Two"のジャケ写真もアップしておこう。
Recorded Live at Montreux Jazz Festival on July 18, 1975
Personnel: Archie Shepp(ts, ss), Charles Majid Greenlee(tb), Dave Burrell(p), Cameron Brown(b), Beaver Harris(ds)
本作へのリンクはこちら。
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