2024年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外)
いよいよ年の瀬も押し詰まってきたので,今年の回顧も音楽編に突入である。今回はジャズ以外でよかったと思うアルバムを取り上げたいが,正直言って,新譜の購入枚数は減る一方なので,ストリーミングも利用しながら聞いた今年の新譜で私がよかったと思うものを挙げたい。最近はジャンルも越境している場合が多いので,どこまでをジャズ以外とするかは難しい。また,今年は発掘盤にいいものが多く,それを新譜として捉えていいのかは議論があるのを承知で,純粋新譜に発掘盤を交えて挙げることにしよう。
今年の前半で最も興奮させられたのがBrittany Howardの"What Now"であった。この人の作り出すサウンドは私の嗜好にばっちり合ってしまっており,今回も文句のつけようがないと思わされたナイスなアルバムであった。
そして,Brittany Howardとは全然音楽のタイプが異なるのに,私がずっぽしはまってしまったのが Arooj Aftabの"Night Reign"であった。彼女がVijay Iyer,Shahzad Ismailyと組んで作り上げた"Love in Exile"も昨年のベスト作の一枚に挙げた私だが,それを凌駕したと言ってもよい本作の魅力は,Arooj Aftabの声そのものだったと言いたい。
2月の来日公演も素晴らしかったMeshell Ndegeocelloの"No More Water: The Gospel of James Baldwin"も印象に残るアルバムであった。まぁ今回はコンセプト・アルバムと言ってよいものなので,彼女らしいファンク度は控えめではあるが,やはりこの人の作り出す音楽の質の高さが素晴らしい。ライブと併せて高く評価したい。
Laura Marlingも確実に期待に応えてくれる人だが,"Patterns in Repeat"にも裏切られることはなかった。パーソナルな響きの中で紡ぎ出されるメロディ・ラインが素晴らしい。ライブで観てみたい人だが,日本に来る様子がないのは残念だ。本作を聞きながらLaura Nyroの"Mother’s Spiritual"を思い出していた私であった。
発掘音源では何と言ってもJoni Mitchellである。Asylum後期の貴重な音源を集めた"Archives Volume 4: The Asylum Years (1976-1980)"こそ,今年最も私が興奮させられた音源だったと言っても過言ではない。マジでたまらない音源ばかりが収められたまさにお宝ボックスであった。
最後に現代音楽畑から,高橋アキの「佐藤聰明:橋」を挙げたい。リリースは23年なので,今年のベスト作と言うには遅きに失したのだが,昨年後半のリリースだったから,敢えてここにも挙げさせてもらう。
ということで,聞いたアルバムの枚数なんて知れたものなのだが,今年もいいアルバムに出会うことができたと思う。
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コメント
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ブリトニー2nd 素晴らしかったですよね!
ライブも一層良かったです
投稿: onscreen | 2024年12月29日 (日) 15時23分
onscreenさん,おはようございます。
>ブリトニー2nd 素晴らしかったですよね!
はい。この人はやっぱり私の趣味にぴったりです。
>ライブも一層良かったです
ライブをご覧になったんですね。羨ましいです。先日のWeb情報によると,サプライズでAlabama Shakesで演奏したというのも伝わっています。観てみたいですねぇ。
ということで,本年もありがとうございました。よいお年をお迎え下さい。
投稿: 中年音楽狂 | 2024年12月30日 (月) 08時19分
優しい言葉を頂戴しありがとうございます!
<サプライズでAlabama Shakesで演奏した
そっちはどうだったのでしょうね?
1stの曲とかだったら彼女もはっちゃけますね!
一方19年目とのこと
私も同じです
「継続は力なり」を信じてまいりましょう!
投稿: onscreen | 2025年1月 5日 (日) 16時57分
onscreenさん,こんばんは。
><サプライズでAlabama Shakesで演奏した
>そっちはどうだったのでしょうね?
演奏の具合はわかりませんが,間違いなく興奮させるものだったと想像します。
>一方19年目とのこと
>私も同じです
>「継続は力なり」を信じてまいりましょう!
はい。やめる気はないのですが,やはりネタが切れつつありますし,毎日更新は決して楽ではありませんね。せいぜい頑張りますが,さていつまで続くやら...。
投稿: 中年音楽狂 | 2025年1月 5日 (日) 19時24分