Arild Andersenのソロ作:ECMでしか成り立たないよなぁ。
"Landloper" Arild Andersen(ECM)
ECMというレーベルはベースやチェロのソロ・アルバムをリリースしてしまう稀有な存在と言ってよいが,それは総帥Manfred Eicherがベーシストだったという出自による部分もあるのかもしれない。今回はそのEicherはExecutive Producerとなっているので,これはArild Andersenの持ち込み音源なのかもしれない。
冒頭の"Peace Universal"こそ宅録ながら,それ以外はライブ音源で,Arild Andersenによる完全ソロだが,シークェンサーのようなエレクトロニクスも駆使しているので,相応に色彩感は確保されている。もはやジャズと言うよりアンビエントな世界であるが,想定以上の聞き易さもあって,これはなかなか楽しめるアルバムである。
アンビエントな響きと言いつつ,オリジナルに加えて,スタンダード"A Nightingale in Sang in Berkley Square"やOrnette Colemanの"Lonely Woman"をCharlie Hadenの"Song for Che"をメドレーでやったり,Albert Aylerの"Ghost"も別のメドレーの一部に組み込んだりと,幅広い選曲が面白い。また先述の冒頭に収められた"Peace Universal"はドラマーのBob Mosesのオリジナルのようだが,よくぞこんな曲を見つけてくるものだと感心してしまうほど,掴みはOKなのだ。
まぁ,このアルバムを聞いて面白いと思えるかどうかはそれぞれのリスナーの嗜好次第だが,私はこのサウンドは結構いいと思う。ECMならではの世界観としか言いようがないが,ついつい評価も甘くなり,星★★★★☆。
Recorded Live at Victoria National Jazzscene on June 18, 2020 and at Home
Personnel: Arild Andersen(b, electronics)
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コメント
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閣下、リンクをありがとうございました。
閣下が、投稿でおっしゃっているように、
ベース・ソロといえ、なかなかの色彩感にあふれた作品でしたね。
>想定以上の聞き易さ
私もそう思いました!
しかも、どちらかと言えば明るい雰囲気…
私も投稿のリンクを置いていきます!
今年もよろしくお願いいたします。m(_ _)m
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2025/01/post-9e2e00.html
投稿: Suzuck | 2025年1月10日 (金) 08時40分
Suzuckさん,こんにちは。リンクありがとうございます。
>ベース・ソロといえ、なかなかの色彩感にあふれた作品でしたね。
はい。ベース・ソロと言うとついつい身構えてしまいますが,その必要がないのが素晴らしいです。
>>想定以上の聞き易さ
>
>私もそう思いました!
>しかも、どちらかと言えば明るい雰囲気…
そうですね。いい意味でこちらの想定を裏切ってくれました。
>今年もよろしくお願いいたします。m(_ _)m
こちらこそよろしくお願いします。
投稿: 中年音楽狂 | 2025年1月11日 (土) 16時25分