Lee Ritenour and Dave Grusin with Brasilian Friends Featuring Ivan Lins@Blue Note東京参戦記

ここのところ毎年のように来日しているLee RitenourとDave Grusinのコンビだが,今回は新作"Brasil"のリリースを受けて,Ivan Linsほかブラジル勢を加えた面々でライブを行うということで,Blue Note東京に行ってきた。Lee Ritenourは72歳,Dave Grusinは90歳,Ivan Linsも79歳という高齢者バンドであるが,演奏自体は矍鑠たるものであり,年齢を全く感じさせないのは誠に立派。さすがにDave Grusinは見た目そのものは随分老けたって感じがしたが,繰り出されるピアノやキーボードのプレイには全く衰えは感じられず,以前のままだというのも凄いことだ。ソロで聞かせた映画「ランダム・ハーツ」のテーマにおけるピアノのプレイも,この映画はヒットはしなかったが,曲そのものは印象深いというMCにも全然ぼけたところなしであった(1stでは映画「トッツィー」から"It Might Be You"をやったらしいが,そっちも聞いてみたかった)。Ivan Linsは若干危なっかしいところがなかった訳ではないが,年齢を考えれば声の出方も大したもので,「惚れてまうやろ~」と内心思っていた私であった(笑)。
私が現地に到着したのは19:15ぐらいだったと思うが,丁度1stセットが終わって,聴衆が出てくるタイミングであった。随分早いとも思えたが,Blue Noteが今月から採用したスマート決済(当日の飲食は事前登録のクレジット・カードで決済するため,レジに並ぶ必要なし)ゆえというところもあったようだ。しかし,ほぼオンタイムで始まった2ndセットはアンコールの"Rio Funk"まで含めて演奏は約90分に及び,私を含めた聴衆も大満足だったはずだ。"Stone Flower"終了後,ヴォーカルのTatiana Parraは一旦ステージから降りたので,Blue Noteのプログラムでは"Rio Funk"は予定外だったのかもしれないが,聞いているこちらにとっては大歓迎であった。
ご老体3名に加えて,ベースのMunir Hossn,更にはアルバム"Brasil"にも参加していたブラジルからのメンバーの技量も実に高く,それが演奏への満足度を高めた要因でもあった。私はベースのBruno Migottoの指さばきに感心することしきりであったが,ブラジル音楽界のレベルの高さは実証されたと思う。このバンドにおける不安の要因はWesley Ritenourのドラムスであったが,やっぱり叩き過ぎという感じは否めないものの,以前に比べればましになったというのが実感であった。
いずれにしても,総じて満足度は高く,生で聞くブラジル音楽のノリの心地よさも含めて,ライブの楽しさを満喫したのであった。私は何でもかんでもスタンディング・オヴェイションという人間ではないが,超満員の聴衆からのスタンディング・オヴェイションにもうなずける演奏だった。上の写真はBlue Note東京のサイトから拝借したものだが,衣装からすると当日の1stの模様と思われる。
Live at Blue Note東京 on November 19, 2024, 2ndセット
Personnel: Lee Ritenour(g), Dave Grusin(p, key), Ivan Lins(vo, key), Tatiana Parra(vo), Bruno Migotto(b), Munir Hossn(b, vo), Edu Ribeiro(ds), Wesley Ritenour(ds), Marcelo Costa(per)
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以前、Maria Ritaの記事にコメントしたRooster Cogburnです。
私もこれを川崎(11/17)で堪能しました。ブルーノートでは時間の制約で曲数が減るので、ホール公演を選びました。約2時間(休憩あり)。前半はグルーシンとリトナー。後半からブラジルチーム参加。最後は全員でって感じでした。
私がブラジルに嵌ったのは、1985年のハーレクインから。だからこの組み合わせは私にとっては夢であり見逃すことはできない。2019年にもこの3人のショーを観ているので5年ぶりです。
投稿: Rooster Cogburn | 2025年1月16日 (木) 16時03分
Rooster Cogburnさん,こんばんは。
>私もこれを川崎(11/17)で堪能しました。ブルーノートでは時間の制約で曲数が減るので、ホール公演を選びました。約2時間(休憩あり)。前半はグルーシンとリトナー。後半からブラジルチーム参加。最後は全員でって感じでした。
ホール公演が川崎であったんですか?全然知りませんでした。そっちも観たかったですねぇ。
>私がブラジルに嵌ったのは、1985年のハーレクインから。だからこの組み合わせは私にとっては夢であり見逃すことはできない。2019年にもこの3人のショーを観ているので5年ぶりです。
まぁ,この3人が揃えば間違いないところですが,今回のブラジル組は凄くよかったですね。
投稿: 中年音楽狂 | 2025年1月16日 (木) 18時13分