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2024年10月10日 (木)

Marcin Wasilewski Trio@Cotton Club参戦記。

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Marcin Wasilewskiのトリオは私にとっては現代のジャズ・シーンにおいて,Brad Mehldauのトリオと双璧と言ってもよいと思っている。だから,前回2019年に来日した時も,Cotton Clubで1st,2nd通しで聴いているが,その演奏も実に優れたものであり,興奮気味に記事を書いている(その時の記事はこちら)。そして,今回トリオ結成30周年記念ツアーをワールドワイドで行う中,ついに再来日を果たした彼らを観るべく,Cotton Clubに足を運んだ。今回も同じく1st,2nd通しでの参戦である。財布には痛いが,その価値がある人たちなのだ(きっぱり)。

それでもって参戦した心持ちを正直に書こう。1stセット開演前に到着して,その集客の悪さに驚いてしまった。これほどレベルの高いトリオが来日しながら,3割,せいぜい4割ぐらいしか客席が埋まっていないのには愕然とした。Blue Note東京では結構席が埋まっていることが普通になっていて,集客が厳しいのではないかと思えたJohn Beasleyでさえ,月曜日の2ndでも7~8割埋まっていたことを考えると,これって一体どういうことなのだ?と思わざるをえない。私としてはこのトリオを聞かずして,現代のジャズ・ピアノは語れないとさえ思っているだけに,まずそれが残念と言わざるをえない。2ndはさすがに聴衆の数は少し増えたものの,フルハウスにはほど遠い状態というのは日本のジャズ・ファンにとってはもったいないことだと思っていた。

しかし,そんな集客の悪さをものともせず,トリオの演奏は繊細さとダイナミズムを併せ持つ素晴らしいものであった。1stと2ndで座席の位置は少々違っていたのだが,いずれにしても2セットとも最前列かぶりつきで見ていた私である。1stはMarcin Wasilewskiの鍵盤のタッチ,2ndはペダル使いに注目しながら聞いていた。私が感心してしまったのがMarcin Wasilewskiの弱音のタッチである。さすがピアノの国,ポーランド出身と思ってしまえるその繊細なタッチには見ていて惚れ惚れしてしまった。2ndは視点を変えて1stではよくわからなかったペダル使いを見ていたのだが,これも微妙にペダルを使う感覚は,実に素晴らしいものだったと思う。

そしてほぼ生音での演奏に接することで,このトリオの生み出す音を魅力を骨の髄まで感じることができたと言うべきだ。ベースのSalwomir Kurkiewiczも,ドラムスのMichal Miskiewiczも,このトリオの音楽性を引き出すのに最適なバンド・メイトだと思えるし,だからこそ30年も同じメンツで活動が続くのだろう。そんな彼らの演奏を聞いて,私は演奏後も心地よい余韻に浸ったことは言うまでもないが,1st演奏終了後は聴衆の引けが早いこと,早いこと。人のことはどうでもいいと思いつつ,あんな演奏を聞いておきながら,余韻に浸る余裕もないとは何とも無粋だと思っていた私である。

5年前もそうだったが,1stと2ndで曲が同じというのはやや残念ではあったものの,曲が同じでも与える感動は変わらないというのが素晴らしかった。やった曲にはまだ題名がついていないとか言っていたものもあったので,新曲だったかもしれないが,次のアルバムに入ってくることを期待したくなるような演奏であった。

いずれにしても,演奏後,私の頭に浮かんだのが「世界最高峰」というフレーズだった。ジャズ・ピアノ・トリオの世界では,私にとっては現在の世界最高峰はBrad Mehldauトリオだと思っているが,このMarcin Wasilewskiのトリオも世界最高峰として並び立つ存在と思えたのは冒頭に書いた「双璧」同様だ。どっちがエベレストで,どっちがK2でもよい。私にとってはもはや同列と考えたいトリオであった。昨今はBrad Mehldauはホールの公演が中心であることからすれば,ライブの満足度はMarcin Wasilewskiの方が上だと言ってもよいことは,2019年のライブの時の記事にも書いたが,今回も極めて満足度の高いライブであった。いやはや最高だ!

尚,上の写真はFBに本人がアップしていたものを拝借して少々トリミングを施したもの。下は当日の2nd終了後のサイン会での戦利品。もう一枚Thomas Stankoの"September Night"も持って行っていたのだが,本人との話に夢中になって,Marcin Wasilewskiのサインをもらい忘れてしまったので,3人のサインが揃った2枚だけアップしておく。

Live at Cotton Club東京 on October 8,2024

Personnel: Marcin Wasilewski(p),Salwomir Kurkiewicz(b), Michal Miskiewicz(ds)

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コメント

閣下、おはようございます。

いやぁ、、素晴らしいライブでしたね。
微弱音でも、高速フレージングでも、めちゃ美しい音でした。
そして、彼から溢れ出るメロディ綺麗。

私も世界最高峰だとおもいました!

いろいろとお世話になりました。m(_ _)m
また、いらしてくださるといいですね。

リンクを置いていきます!
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2024/10/post-6f576f.html

Suzuckさん,こんにちは。リンクありがとうございます。

>いやぁ、、素晴らしいライブでしたね。

はい。文句なしです。

>微弱音でも、高速フレージングでも、めちゃ美しい音でした。
>そして、彼から溢れ出るメロディ綺麗。

さすがピアノの国の人だという弾きっぷりに感動しました。

>私も世界最高峰だとおもいました!

はい。まさに世界のトップ・レベルです。

>いろいろとお世話になりました。m(_ _)m
>また、いらしてくださるといいですね。

こちらこそありがとうございました。またの機会をお待ちしております。

そうですか、Marcin Wasilewski trio のライブがあったんですか、知りませんでした。知っていても都合で行けなかったんですが・・・何にしても羨ましいです。
ニュー・アルバムに留まらず、Komedaの関係・ローズマリーのあかちゃんなど広く演じてくれたんですね。佳かったですね。
私の好むところのユーロ・ピアニストの3本の指の一人です。
会場も、大きくてもせめてこのぐらいまででしょう、ジャズを楽しむには。・・・その点も羨ましいです。

photofloyd(風呂井戸)さん,おはようございます。

>そうですか、Marcin Wasilewski trio のライブがあったんですか、知りませんでした。知っていても都合で行けなかったんですが・・・何にしても羨ましいです。

それは残念かつもったいなかったと思います。それぐらい素晴らしい演奏でした。是非次回はライブでお聴きになれるといいですね。

>ニュー・アルバムに留まらず、Komedaの関係・ローズマリーのあかちゃんなど広く演じてくれたんですね。佳かったですね。

"Sleep Safe and Warm"以外は曲目を認識できていないのですが,過去のレパートリーは控えめにして,MCからすると新曲中心ということだったかもしれません。

>会場も、大きくてもせめてこのぐらいまででしょう、ジャズを楽しむには。・・・その点も羨ましいです。

はい。ヴェニューとしてはCotton Clubは適切でした。それにしても2ndはともかく,1stセットの入りは...って感じでした。

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